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JP2010013647A - サイドウォール保護膜および空気入りタイヤ - Google Patents

サイドウォール保護膜および空気入りタイヤ Download PDF

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JP2010013647A JP2009157108A JP2009157108A JP2010013647A JP 2010013647 A JP2010013647 A JP 2010013647A JP 2009157108 A JP2009157108 A JP 2009157108A JP 2009157108 A JP2009157108 A JP 2009157108A JP 2010013647 A JP2010013647 A JP 2010013647A
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mass
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Tatsuya Miyazaki
達也 宮崎
Keiichi Nakadera
恵一 中寺
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

【課題】耐空気透過性を維持しつつ、耐久性、隣接ゴムとの接着性および加工性の向上を同時に実現することが可能なポリマー組成物を用いたサイドウォール保護膜および空気入りタイヤの提供を目的とする。
【解決手段】スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体99〜60質量%と、ポリアミドを分子鎖に含むショアD硬度が70以下のポリアミド系ポリマー1〜40質量%を含むポリマー混合物からなるサイドウォール保護膜に関する。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐久性と耐空気透過性が良好で、かつ隣接ゴムとの接着性に優れたポリマー組成物を用いたサイドウォール保護膜および空気入りタイヤに関する。
近年、車の低燃費化に対する強い社会的要請から、タイヤの軽量化が図られており、タイヤ部材のなかでも、タイヤの内部に配され、空気入りタイヤ内部から外部への空気の漏れの量(空気透過量)を低減して耐空気透過性を向上させるはたらきをもつインナーライナーにおいても、軽量化などが行われるようになってきた。
現在、インナーライナー用ゴム組成物は、ブチルゴム70〜100質量%および天然ゴム30〜0質量%を含むブチル系ゴムを使用することで、タイヤの耐空気透過性を向上させることが行われている。また、ブチル系ゴムはブチレン以外に約1質量%のイソプレンを含み、これが硫黄・加硫促進剤・亜鉛華と相まって、隣接ゴムとの共架橋を可能にしている。上記ブチル系ゴムは、通常の配合では乗用車用タイヤでは0.6〜1.0mm、トラック・バス用タイヤでは1.0〜2.0mm程度の厚みが必要となるが、タイヤの軽量化を図るために、ブチル系ゴムより耐空気透過性に優れ、インナーライナー層の厚みをより薄くできるポリマーが提案されている。
特許文献1には、空気圧低下の抑制、耐久性の向上および燃費の向上を同時に実現することが可能な空気入りタイヤとして、天然ゴムおよび/または合成ゴムからなるゴム成分の100質量部に対して、下記の一般式(I)、
Figure 2010013647
(式中、mおよびnはそれぞれ独立して1〜100であり、xは1〜1000である。)で表されるエチレン−ビニルアルコール共重合体が15〜30質量部の範囲内で少なくとも含有されたインナーライナー用ゴム組成物をインナーライナー層に用いてなる空気入りタイヤが提案されている。しかし、特許文献1の技術においては、該ゴム組成物を用いたゴムシートの厚みは1mmであり、タイヤの軽量化という点で改善の余地がある。
特許文献2には、空気透過率の低いナイロンを用いてインナーライナー層を形成し、ゴム組成物であるタイヤ内面またはカーカス層との接着性を向上させることのできる空気入りタイヤが提案されている。しかし、特許文献2の技術においては、ナイロンフィルム層を形成するために、ナイロンフィルムをRFL処理した後、ゴム組成物から成るゴム糊を接着する必要があり、工程が複雑化するという問題がある。
特開2007−291256号公報 特開平9−165469号公報
本発明は上記の課題を解決し、耐空気透過性を維持しつつ、耐久性、隣接ゴムとの接着性および加工性の向上を同時に実現することが可能なポリマー組成物を用いたサイドウォール保護膜および空気入りタイヤの提供を目的とする。
本発明は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体99〜60質量%と、ポリアミドを分子鎖に含むショアD硬度が70以下のポリアミド系ポリマー1〜40質量%を含むポリマー混合物からなるサイドウォール保護膜である。
本発明に係るサイドウォール保護膜において、ポリマー混合物が、エチレン−ビニルアルコール共重合体15〜40質量%を含むことが好ましい。
本発明に係るサイドウォール保護膜において、ポリマー混合物は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体がスチレンを10〜30質量%の範囲で含むことが好ましい。
本発明に係るサイドウォール保護膜において、ポリマー混合物は、ポリアミド系ポリマーがポリアミド成分とポリエーテル成分からなるブロック共重合体であることが好ましい。
本発明に係るサイドウォール保護膜において、ポリマー混合物100質量部に対して、フィラーを5〜40質量部含むことが好ましい。
本発明に係るサイドウォール保護膜において、ポリマー混合物100質量部に対して、フィラーとしてマイカを10〜25質量部含むことが好ましい。
本発明に係るサイドウォール保護膜において、ポリマー混合物100質量部に対して、C5石油系レジン、C9石油系レジンおよびテルペン樹脂からなる群から選択された1種以上を1〜30質量部含むことが好ましい。
本発明は、前記サイドウォール保護膜を備えたサイドウォール部を有する空気入りタイヤである。
本発明によれば、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体およびポリアミド系ポリマーを特定量配合することにより、耐久性と耐空気透過性が良好で、かつ隣接ゴムとの接着性に優れたポリマー組成物を用いたサイドウォール保護膜および空気入りタイヤを提供することができる。
さらに前記ポリマー組成物に非フェノール系の樹脂を添加することにより、加工性に優れたサイドウォール保護膜および空気入りタイヤを提供することができる。
また、前記ポリマー組成物にインスレーションゴムを接合すること、またはゴム糊を塗布することで、隣接ゴムとの接着性および加工性を更に向上させることができる。
本発明に係る空気入りタイヤの右半分を示す模式的断面図である。 本発明に係る空気入りタイヤの右半分を示す模式的断面図である。 本発明に係るインナーライナーゴム−インスレーションゴム接合体とカーカスの模式的断面図である。
本発明のポリマー混合物は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(以下、SIBSともいう)99〜60質量%と、ポリアミドを分子鎖に含むショアD硬度が70以下のポリアミド系ポリマー1〜40質量%を含む。
SIBSのイソブチレン部位由来により、該ポリマー混合物は優れた耐空気透過性と耐久性を有する。また、SIBSは芳香族以外の分子構造が完全飽和であることにより、劣化硬化が抑制され、優れた耐久性を有する。一方、ポリアミド系ポリマーのポリアミド部位由来の寄与により、該ポリマー混合物は不飽和ポリマーと接着可能となり、隣接ゴムとの接着性が向上する。
さらに本発明においては、該ポリマー混合物を含むポリマー組成物を空気入りタイヤに使用する場合、SIBSを含有させることにより耐空気透過性を確保するため、たとえばハロゲン化ブチルゴム等の、従来耐空気透過性を付与するために使用されてきた高比重のハロゲン化ゴムを使用しないか、使用する場合にも使用量の低減が可能である。これによってタイヤの軽量化が可能であり、燃費の向上効果が得られる。さらに該ハロゲン化ゴムは、ゴム中のハロゲンにより空気入りタイヤのプライコードとゴムとの間の接着性を悪化させるという問題点を有しているが、本発明においては該ハロゲン化ゴムの使用量を低減できるため、プライコードと該ポリマー組成物との間の接着性の向上による空気入りタイヤの耐久性の向上効果も得られる。
<スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体>
本発明のポリマー混合物において、SIBSの含有量は99〜60質量%とされる。SIBSの含有量が60質量%以上であることにより、優れた耐空気透過性と耐久性を有するポリマー組成物を得ることができる。また、耐空気透過性と耐久性がより良好になる点で、該含有量は95〜80質量%とされることが好ましい。
該SIBSは一般的にスチレンを10〜40質量%含む。耐空気透過性と耐久性がより良好になる点で、該スチレンの含有量は10〜30質量%であることが好ましい。
該SIBSは、イソブチレンとスチレンのモル比(イソブチレン/スチレン)が、該共重合体のゴム弾性の点から40/60〜95/5であることが好ましい。SIBSにおいて、各ブロックの重合度は、ゴム弾性と取り扱い(重合度が10,000未満では液状になる)の点からイソブチレンでは10,000〜150,000程度、またスチレンでは30,000程度以下であることが好ましい。
SIBSは、一般的なビニル系化合物の重合法により得ることができ、例えば、リビングカチオン重合法により得ることができる。
例えば、特開昭62−48704号公報および特開昭64−62308号公報には、イソブチレンと他のビニル化合物とのリビングカチオン重合が可能であり、ビニル化合物にイソブチレンと他の化合物を用いることでポリイソブチレン系のブロック共重合体を製造できることが開示されている。このほかにも、リビングカチオン重合法によるビニル化合物重合体の製造法が、例えば、米国特許第4,946,899号、米国特許第5,219,948号、特開平3−174403号公報などに記載されている。
SIBSは分子内に芳香族以外の二重結合を有していないために、分子内に二重結合を有している重合体、例えばポリブタジエン、に比べて紫外線に対する安定性が高く、従って耐候性が良好である。さらに分子内に二重結合を有しておらず、飽和系のゴム状ポリマーであるにも関わらず、波長589nmの光の20℃での屈折率(nD)は、ポリマーハンドブック(1989年:ワイリー(Polymer Handbook, Willy,1989))によると、1.506である。これは他の飽和系のゴム状ポリマー、例えば、エチレン−ブテン共重合体に比べて有意に高い。
<ポリアミド系ポリマー>
本発明のポリマー混合物において、ポリアミド系ポリマーの含有量は1〜40質量%とされる。ポリアミド系ポリマーの含有量が40質量%以下であることにより、耐久性と接着性とが両立されたポリマー混合物を得られる。また、耐久性と接着性が確保でき、耐空気透過性に優れるSIBSとエチレン−ビニルアルコール共重合体をより多く配合できる点で、該含有量は3〜20質量%とされることが好ましい。
本発明のポリアミド系ポリマーは、ショアD硬度が70以下のポリアミド系ポリマーであることが好ましい。ショアD硬度が70を超えるとタイヤ屈曲時および移動時の亀裂性に劣るため好ましくない。ショアD硬度は、好ましくは15〜70の範囲、さらに好ましくは18〜70の範囲、より好ましくは20〜70の範囲、特に好ましくは25〜70の範囲が好ましい。
本発明のポリアミド系ポリマーは、下記のポリエーテルアミドエラストマー(X)を50質量%以上含むことが好ましい。
ポリエーテルアミドエラストマー(X):
下記式(II)で表されるトリブロックポリエーテルジアミン化合物(A)、ポリアミド形成性モノマー(B)、及びジカルボン酸化合物(C)を重合して得られるポリアミド成分とポリエーテル成分からなるブロック共重合体である。
Figure 2010013647
(式中、aおよびbは1〜20、cは4〜50を示す。)
上記ポリアミド形成性モノマー(B)が、下記式(III)および/または下記式(IV)で表わされることが好ましい。
Figure 2010013647
(式中、R1は炭化水素鎖を含む連結基を表わす。)
Figure 2010013647
(式中、R2は炭化水素鎖を含む連結基を表わす。)
上記ジカルボン酸化合物(C)が、下記式(V)および/または脂肪族ジカルボン酸化合物および/または脂環族ジカルボン酸化合物で表されることが好ましい。
Figure 2010013647
(式中、R3は炭化水素鎖を含む連結基を表わし、yは0または1を表わす。)
該ポリアミド系ポリマーがポリアミド成分に由来するハードセグメント、ポリエーテル成分に由来するソフトセグメントを有するポリアミド系ポリマーであると、結晶性が低くなり、このため、破断伸びEBが高く、低温から高温領域まで柔軟性を示すポリアミド系ポリマーを得ることができる。
また、ポリアミド系ポリマーはタイヤ加硫温度(140〜180℃)で流動性が高まり、凹凸面との濡れ性が高まるため、隣接ゴムとの接着性においても優れた効果を発揮することができる。
本発明におけるポリアミド系ポリマーは、公知のポリアミド系ポリマーを用いることができる。ポリアミド系ポリマーとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12から選ばれる少なくとも1種の脂肪族ナイロンからなるポリアミドブロックと、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンから選ばれる少なくとも1種のポリエーテルブロックとから構成されるエラストマーなどを用いることができる。
ポリアミド系ポリマーの製法に関しては特に限定されず、特開昭56−65026号公報、特開昭55−133424号公報、特開昭63−95251号公報等に開示されている方法を利用することができる。
<ポリマー混合物>
本発明のポリマー混合物は、SIBSと、ポリアミドを分子鎖に含むショアD硬度が70以下のポリアミド系ポリマーに加えて、他のポリマーまたは樹脂を含んでも良い。
本発明のポリマー混合物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を15〜40質量%の範囲内で含むことが好ましい。ポリマー混合物中のエチレン−ビニルアルコール共重合体の含有量が15質量%以上であることにより、ポリマー組成物のガスバリアー性が確保される。また該含有量が40質量%以下であることにより、ポリマー組成物の作製時の混練性が確保されるとともに、タイヤのインナーライナー層において機械強度等の基本性能が確保される。該含有量は、さらに20質量%以上、さらに25質量%以上とされることが好ましい。また、タイヤの耐久性の観点から、該含有量はさらに30質量%以下とされることが好ましい。
本発明のエチレン−ビニルアルコール共重合体は、下記の一般式(I)
Figure 2010013647
(式中、mおよびnはそれぞれ独立して1〜100であり、xは1〜1000である。)で表わされるエチレン−ビニルアルコール共重合体であることが好ましい。
エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン由来部位により、該ポリマー混合物との相溶性が良好に付与され、エチレン−ビニルアルコール共重合体はポリマー組成物中に微細な分散サイズで存在することができる。一方、該エチレン−ビニルアルコール共重合体は、ビニルアルコール由来部位の寄与により良好なガスバリアー性を有する。すなわち、本発明においては、ポリマー組成物中に、ガスバリアー性に優れるエチレン−ビニルアルコール共重合体が微細なサイズで島状に分散していることにより、タイヤのインナーライナー層が薄くされた場合でも良好なガスバリアー性が発現される。これによりタイヤの軽量化が可能であり、燃費の向上効果が得られる。
一般式(I)において、エチレン−ビニルアルコール共重合体を構成するためにmおよびnは1以上とされる。一方、mおよびnがそれぞれ100以下であることにより、ポリマー混合物との相溶性とガスバリアー性とが両立されたエチレン−ビニルアルコール共重合体が得られる。ポリマー混合物との相溶性がより良好になる点で、mは、さらに5以上とされることが好ましい。また、ガスバリアー性がより良好になる点で、nは、さらに5以上とされることが好ましい。一方、ビニルアルコール由来部位によるガスバリアー性の発現を損ない難い点で、mは、さらに95以下、さらに80以下とされることが好ましい。また、エチレン由来部位によるポリマー混合物との良好な相溶性の発現を損ない難い点で、nは、さらに95以下、さらに80以下とされることが好ましい。
一般式(I)において、エチレン−ビニルアルコール共重合体を構成するためにxは1以上とされる。一方、xが1000以下であることにより、ポリマー組成物の作製時の混練性が確保され、エチレン−ビニルアルコール共重合体が均一に分散されたポリマー組成物が得られる。ポリマー混合物との相溶性およびガスバリアー性が良好に発現される点で、xは、さらに10以上とされることが好ましく、混練性が良好である点で、xは、さらに500以下、さらに100以下とされることが好ましい。
一般式(I)で表されるエチレン−ビニルアルコール共重合体は、他の成分との共重合体とされた状態でポリマー組成物中に含有されても良く、この場合のエチレン−ビニルアルコール共重合体の含有量とは、一般式(I)で表される構造部分の含有量を意味する。
エチレン−ビニルアルコール共重合体の分子構造は、たとえば赤外吸収スペクトル(IR)や核磁気共鳴スペクトル(NMR)等により確認することができる。
ポリマー組成物は、下記の一般式(VI)、
Figure 2010013647
(式中、Rはアルキル基であり、pおよびqはそれぞれ独立して1〜100であり、zは1〜5である。)で表わされる相溶化剤をさらに含むことが好ましい。該相溶化剤は、ポリマー組成物中で、ポリマー混合物とエチレン−ビニルアルコール共重合体との相溶性をさらに高める作用を有する。一般式(VI)中のpおよびqがそれぞれ1以上である場合、相溶化剤としての作用が良好であり、pおよびqがそれぞれ100以下である場合、ポリマー混合物での該相溶化剤の分散性が良好である。pはさらに5以上が好ましく、またさらに95以下、さらに80以下が好ましい。qはさらに5以上が好ましく、またさらに95以下、さらに80以下が好ましい。
一般式(VI)中のzは、ブロック共重合体を構成するために1以上とされる。また、ポリマー組成物での該相溶化剤の分散性が良好である点で、zは5以下とされることが好ましい。zはさらに2以上が好ましく、またさらに4以下が好ましい。
一般式(VI)で表される相溶化剤のポリマー混合物中の含有量は、0.1〜4.8質量%の範囲内とされることが好ましい。該含有量が0.1質量%以上である場合相溶化剤としての作用が良好に発現され、4.8質量%以下である場合、タイヤのインナーライナー層において機械強度等の基本性能が低下することを良好に防止できる。該含有量は、さらに0.5質量%以上、さらに1.0質量%以上、さらに1.5質量%以上とされることが好ましく、また、さらに4.3質量%以下、さらに3.8質量%以下、さらに3.4質量%以下とされることが好ましい。
一般式(VI)で表される相溶化剤は、他の成分との共重合体とされた状態でポリマー組成物中に含有されても良く、この場合の該相溶化剤の含有量とは、一般式(VI)で表される構造部分の含有量を意味する。
本発明のポリマー混合物は、SIBSとポリアミド系ポリマーに加えて、ナイロン、PET、クロロブチルゴム、天然ゴム、エチレンプロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等を配合することができる。
<ポリマー組成物>
上記ポリアミド系ポリマーとSIBSからなるポリマー組成物のショアA硬度は25〜65の範囲内とされることができる。該硬度が25以上である場合インナーライナー用ポリマー組成物の機械強度が良好であり、65以下である場合インナーライナー用ポリマー組成物が硬くなり過ぎることによる耐久性の低下等を防止できる。該硬度はさらに40以上、さらに42以上、さらに45以上が好ましく、またさらに62以下、さらに58以下が好ましい。なお上記の硬度は、JIS K 6253にしたがって測定される値である。
本発明において用いられるインナーライナー用ポリマー組成物の比重は1.70以下とされることができる。該比重が1.70以下である場合、タイヤの軽量化による燃費の向上効果が良好である。該比重はさらに1.40以下、さらに1.20以下に好ましく設定される。
<軟化剤>
本発明においては、インナーライナー用ポリマー組成物が、非フェノール系の樹脂を含んでいても良い。この場合、該インナーライナー用ポリマー組成物の耐空気透過性、転がり抵抗および加工性がより向上する。該非フェノール系の樹脂の含有量は、ポリマー混合物100質量部に対して、1〜30質量部の範囲内とされることが好ましい。
前記非フェノール系の樹脂は、イソブチレンとSP値(solubility Parameter:相溶度パラメータ)が近く、相溶性の良いC5石油系レジン(C5石油系レジンとはナフサ分解によって得られるC5留分中のオレフィン、ジオレフィン類を主原料とする脂肪族系石油樹脂)、C9石油系レジン(C9石油系レジンとはナフサ分解によって得られるC9留分中のオレフィンを主原料とする芳香族系石油系樹脂)およびテルペン樹脂から選択された1種以上を用いることが好ましく、中でもC5石油系レジンを用いることがより好ましい。たとえば、C5石油系レジンとしては、三井石油化学製ハイレッツG−100、丸善石油製マルカレッツT−100AS、トーネックス製エスコレッツ1102、C9石油系レジンとしては、東ソー製ペトコールXL、テルペン樹脂としてはヤスハラケミカル製YSレジンPX300N、YSレジンPX1150Nなどを挙げることができる。
ポリマーのSP値に近い軟化剤を用いると、ポリマーとの混ざりが良く、隣接部材と加硫接着性が良く、加工時には適度に常温粘着を発揮することができる。
軟化剤としてC5石油系レジンを用いる場合は、耐空気透過性、複素弾性率、粘着性および加工性を向上させるため、該含有量はポリマー混合物100質量部に対して、10〜30質量部の範囲内とすることがより好ましい。10質量部以上では隣接部材との粘着力が向上し、成形時にフィルムが自然に剥がれるのを防止することができるため好ましい。また30質量部以下ではtanδが良好で、加工時の過密着(しわ、穴開き)を防止できるため好ましい。
<フィラー>
本発明においては、インナーライナー用ポリマー組成物が、カーボンブラック、タルク、クレー、マイカ、炭酸カルシウムなどからなるフィラーを少なくとも1種さらに含んでもよい。この場合、該インナーライナー用ポリマー組成物の破断時の抗力および機械強度が良好となり、特にマイカなどの偏平フィラーを含む場合は、ガスバリアー性がより向上する。該フィラーの含有量は、ポリマー混合物100質量部に対して5〜40質量部の範囲内とされることが好ましい。該含有量が5質量部以上である場合インナーライナー用ポリマー組成物の機械強度が高くなるためタイヤの耐久性および操縦性能が良好となり、40質量部以下である場合、インナーライナー用ゴム組成物の作製時の加工性が良好である。該含有量は、さらに10〜30質量部の範囲内がより好ましい。
本発明においては、前記フィラーとしてマイカをポリマー混合物100質量部に対して10〜25質量部含むことが、空気遮断効果の向上の観点からさらに好ましい。
マイカ(雲母)としては、マスコバイト(白雲母)、フロゴバイト(金雲母)およびバイオタイト(黒雲母)から群から選ばれる1種以上であることが好ましい。これらのなかでも、他のマイカより扁平率が大きく空気遮断効果が優れるため、フロゴバイトを用いることが好ましい。
マイカの平均粒子径は40μm以上、好ましくは45μm以上である。平均粒子径が40μm未満では、空気保持性の向上効果が充分でない傾向がある。また、マイカの平均粒子径は100μm以下、好ましくは70μm以下である。平均粒子径が100μmをこえると、マイカが大きく亀裂の起点となり、インナーライナーが屈曲疲労により割れる傾向がある。
マイカの表面を被覆する樹脂としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂などがあげられる。なかでも、ゴムとの相溶性が比較的高いという点から、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂が好ましい。被覆方法としては、樹脂を溶融させ、その中にマイカを入れて、撹拌したのち、凝固させ、それを粉砕するなどの方法が用いられている。
マイカのアスペクト比(扁平率)は、50以上、好ましくは55以上である。アスペクト比が50未満では、充分な空気保持性の向上効果が得られない。また、マイカのアスペクト比は、100以下であることが好ましく、70以下であることがより好ましい。アスペクト比が100をこえると、マイカの強度が低下することで、マイカに割れが生じる。ここでアスペクト比とは、マイカにおける厚さに対する長径の比をいう。
マイカは、湿式粉砕、乾式粉砕などの粉砕方法によって得ることができる。湿式粉砕はきれいな表面ができ、空気保持性の向上効果がやや高い。また、乾式粉砕は製造工程が簡単でコストが安いというそれぞれの特徴があり、それぞれのケースにより使い分けるとよい。
マイカの含有量は、ポリマー混合物100質量部に対して10質量部以上、好ましくは15質量部以上である。マイカの含有量が10質量部未満では、インナーライナーの充分な空気保持性、発熱性および耐亀裂成長性が得られない。また、マイカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して25質量部以下、好ましくは20質量部以下であることが好ましい。マイカの含有量が25質量部をこえると、ゴム組成物の引き裂き強度が落ちるなどして、クラックが発生しやすくなる。
カーボンブラックおよび/またはシリカとして用いるカーボンブラックのチッ素吸着比表面積(N2SA)は、十分な補強性が得られ、耐亀裂成長性に優れるという点から、2
0m2/g以上が好ましく、25m2/g以上がより好ましい。また、カーボンブラックのN2SAは、ポリマー組成物の硬度を抑え、低発熱性に優れるという点から、70m2/g以下が好ましく、60m2/g以下がより好ましく、40m2/以下がさらに好ましい。
カーボンブラックおよび/またはシリカとして用いるシリカとしては、湿式法で調整されたものや、乾式法で調整されたものがあげられるが、特に制限はない。
シリカのチッ素吸着比表面積(N2SA)は、補強性、破断性に優れるという点から、
80m2/g以上が好ましく、100m2/g以上が好ましい。また、シリカのN2SAは
、ポリマー組成物の硬度を抑え、低発熱性に優れるという点から、200m2/g以下が
好ましく、180m2/g以下がより好ましく、150m2/g以下がさらに好ましい。
シリカを用いる場合には、該シリカの含有量は、ポリマー混合物100質量部に対して30質量部以下が好ましい。30質量部を超えるとシリカ同士が自己凝集する場合がある。
さらに、本発明のインナーライナー用ポリマー組成物は、ポリマー成分を相対的に減らし、ポリマー組成物を補強することができ、コストを低減することができるという点から、炭酸カルシウム、オースチンブラック、タルク、クレー、炭酸カルシウムなどを含有していても良い。中でも、粒径が亀裂成長の核とならず、分散性良く再凝集しないタルクやクレーを含有することが好ましい。
なお、軟化剤としてプロセスオイル、パラフィンオイル等の低分子量液状オイルを配合すると、フィルムとして加工する場合、薄膜が高温条件下(200℃前後)に置かれるためオイルが揮発し、粘着剤としての機能が発揮されにくくなる傾向が見られる。
<その他の配合成分>
本発明において用いられるインナーライナー用ポリマー組成物には、その他通常のタイヤ用ポリマー組成物において配合される下記のような成分を適宜配合することができる。
可塑剤として、たとえばDMP(フタル酸ジメチル)、DEP(フタル酸ジエチル)、DBP(フタル酸ジブチル)、DHP(フタル酸ジヘプチル)、DOP(フタル酸ジオクチル)、DINP(フタル酸ジイソノニル)、DIDP(フタル酸ジイソデシル)、BBP(フタル酸ブチルベンジル)、DLP(フタル酸ジラウリル)、DCHP(フタル酸ジシクロヘキシル)等を配合しても良い。
<ポリマー組成物の作製>
本発明のポリマー組成物は、インジェクション加工により作製される。すなわち、所定の配合処方にしたがったポリマー混合物をインジェクションプレスに設置されている回転ローター内に投入し、回転ローター内でポリマー成分のブレンドを行った後、加圧して射出成形することにより、本発明のポリマー組成物を調整することができる。
上記射出成形は、13cm×13cm×2mm(厚み)の金型を使用し、金型ヘッド圧力100Kf、ヘッド温度200℃、インジェクション速度80mm/秒、ローター回転数100rpmの条件下で行うことが好ましい。
本発明のポリマー混合物にフィラーを添加する場合は、インジェクションプレスに設置されている回転ローターでは、分散度合いが不十分となる場合があるため、あらかじめポリマー混合物とフィラーをニーダー、ロール、バンバリーミキサーなど予備混合することが好ましい。該予備混合は、さらに温調ロールや温調バンバリー(温度条件:130℃〜180℃)で行うことが好ましい。
また、本発明のポリマー組成物は、2軸押出し機にてペレット化したのち、Tダイフィルム押出し機にて作製することもできる。
<インナーライナーゴム−インスレーションゴム接合体>
本発明に係るポリマー混合物またはポリマー組成物をタイヤのインナーライナーに使用する場合は、インナーライナーゴム−インスレーションゴム接合体を使用することが好ましい。
インナーライナーゴム−インスレーションゴム接合体について図3を用いて説明する。インスレーションゴム11は、インナーライナーゴム9bとカーカス6との間に介在することにより、両者間の接着力を高めて層間剥離を防ぐとともに、加硫成形時のゴム流れに起因するインナーライナー9とカーカスコード6aとの接触を抑制する。そのために、このインスレーションゴム11は、接着性に優れることが重要であり、例えばゴム成分100質量部中に、天然ゴム(NR)を50質量部以上配合させたNR系ゴムを使用することができる。なお残部ゴムとして、イソプレンゴム(IR)或いはブタジエンゴム(BR)が好適に使用しうる。
前記インナーライナーゴム−インスレーションゴム接合体の作製方法はたとえば以下の通りである。はじめにポリマー混合物またはポリマー組成物を、2軸押出し機にてペレット化したのち、Tダイフィルム押出し機にてポリマーフィルムを作製する。前記ポリマーフィルムを70℃〜130℃のカレンダー工程の温度で圧延されたインスレーションゴムとを接合してインナーライナーゴム−インスレーションゴム接合体を得る。
前記インスレーションゴムのカレンダー工程の温度は70℃〜130℃が好ましい。該温度が70℃未満であるとインナーライナーゴムとインスレーションゴム間の十分な粘着性能が得られない。また該温度が130℃を超えると、インスレーションゴムが加硫反応を始めており、インナーライナーゴムとインスレーションゴム間の十分な粘着性能が得られない。
<ゴム糊塗布インナーライナーゴム>
本発明に係るポリマー混合物またはポリマー組成物をタイヤのインナーライナーに使用する場合は、ゴム糊塗布インナーライナーゴムを使用することが好ましい。
前記ゴム糊塗布インナーライナーゴムの作製方法はたとえば以下の通りである。はじめにポリマー混合物またはポリマー組成物を、2軸押出し機にてペレット化したのち、Tダイフィルム押出し機にてポリマーフィルムを作製する。前記ポリマーフィルムにゴム組成物の濃度が5〜20重量%のゴム糊を塗布して、ゴム糊塗布インナーライナーゴムを得る。
前記ゴム糊は空気入りタイヤに通常用いられるものを使用することができる。たとえば天然ゴムを70質量%以上含むジエン系ゴムを含むゴム組成物をトルエン、N‐ヘキサン、またはナフサ等の極性の低い有機溶塩に溶かしたものであり、それ以外に、硫黄、カーボン、オイル、粘着付与剤であるレジン、老化防止剤、ステアリン酸、亜鉛華、加硫促進剤、加硫遅延剤等が、重量部でカーカス層のゴム配合と同等程度の量が含まれている。
前記ゴム糊中のゴム組成物の含有量は5〜20重量%が好ましい。該含有量が5重量%未満であると粘着性に劣る。また該含有量が30重量%を超えると均一に塗布することが困難であり、粘着性に劣る。
ゴム糊の塗布方法は、従来公知のものを使用することができ、たとえばスプレーで塗布する方法などが好ましい。
<空気入りタイヤ>
本発明の空気入りタイヤは、本発明のポリマー混合物またはポリマー組成物をインナーライナーに用いて、通常の方法によって製造される。インナーライナー層は、ポリマー混合物またはポリマー組成物の配合成分を、温調ロール(温度条件:130℃〜160℃)にてシート状(フィルム状)に押出加工し、タイヤ成形機上で他のタイヤ部材とともに貼りあわせ、未架橋タイヤを形成する。この未架橋タイヤを加硫機中で加熱加圧することによって本発明の空気入りタイヤを製造できる。
さらに、本発明の空気入りタイヤは、本発明のポリマー混合物またはポリマー組成物からなるインナーライナーに、70℃〜130℃のカレンダー工程の温度で圧延されたインスレーションゴムを接合することができる。インスレーションゴムを用いることによって、インナーライナー層とカーカスの接着性および加工性が向上し、耐久性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
また、本発明の空気入りタイヤは本発明のポリマー混合物またはポリマー組成物からなるインナーライナーに、ゴム組成物の濃度が5〜20重量%のゴム糊を塗布することができる。ゴム糊を塗布することによって、タイヤ作製時の成形粘着性能を向上させることができる。
本発明においては、規定内圧を充填した状態のタイヤ最大幅位置において測定されるインナーライナー層の厚みが0.1〜1.5mmの範囲内であることが好ましい。インナーライナー層の厚みが0.1mm以上である場合、空気圧低下の抑制効果が良好であり、1.5mm以下である場合、タイヤの軽量化による燃費の向上効果が良好である。インナーライナー層の厚みは、さらに0.15mm以上、さらに0.2mm以上が好ましく、またさらに1.0mm以下、さらに0.6mm以下が好ましい。
本発明は、乗用車用、トラック・バス用、重機用等、種々の空気入りタイヤに対して適用され得る。図1は、本発明に係る空気入りタイヤの右半分を示す断面図である。空気入りタイヤ1は、トレッド部2とサイドウォール部3とビード部4とを有している。さらに、ビード部4にはビードコア5が埋設される。また、一方のビード部4から他方のビード部にわたって設けられ、両端を折り返してビードコア5を係止するカーカス6と、該カーカス6のクラウン部外側の2枚のプライよりなるベルト層7とが配置されている。カーカス6の内側には一方のビード部4から他方のビード部4に亘るインナーライナー9が配置されている。さらに図3に示すように、インナーライナーゴム9bはインスレーションゴム11を接合することができる。ベルト層7は、スチールコードまたはアラミド繊維等のコードよりなるプライの2枚をタイヤ周方向に対して、コードが通常5〜30°の角度になるようにプライ間で相互に交差するように配置される。またカーカスはポリエステル、ナイロン、アラミド等の有機繊維コードがタイヤ周方向にほぼ90°に配列されており、カーカスとその折り返し部に囲まれる領域には、ビードコア5の上端からサイドウォール方向に延びるビードエーペックス8が配置される。
また、本発明によるポリマー組成物は、タイヤのサイドウォール部の保護膜(ビニア)(図2)や気体輸送ホースにも転用することができる。本発明によるポリマー組成物をタイヤのサイドウォール部の保護膜に使用すると、タイヤの空気遮断性が向上し、オゾンおよび酸化劣化を抑制することができる。このためサイドウォール部に使用する老化防止剤を減少することができる。サイドウォール部の厚みは0.1〜2.0mmの範囲内であることが好ましく、さらに0.2mm〜0.6mmの範囲内であることが好ましい。
実施例にもとづいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
実施例および比較例で使用した各種薬品は以下の通りである。
SIBS 102T:カネカ社製の「シブスターSIBSTAR 102(ショアーA硬度25、スチレン含量25%)」
SIBS 103T:カネカ社製の「シブスターSIBSTAR 103(ショアーA硬度46、スチレン含量30%)」
ポリアミド系ポリマー 1:宇部興産社製の「UBESTA XPA 9040(ショアーD硬度40)」
ポリアミド系ポリマー 2:宇部興産社製の「UBESTA XPA 9048(ショアーD硬度48)」
エチレン−ビニルアルコール共重合体:クラレ社製の「エバールE105」
ナイロン:宇部興産社製の「ナイロン66」
PET:宇部興産社製の「ポリエチレンテレフタラートPET」
クロロブチル:エクソンモービル社製の「エクソンクロロブチル1068」
NR(天然ゴム):TSR20
C5石油系レジン:丸善石油化学社製の「マルカレッツT−100AS」
C9石油系レジン:丸善石油化学社製の「ペトコールXL」
非反応性フェノール樹脂:日本油脂社製の「SP1068」
テルペン樹脂1:ヤスハラケミカル社製の「YSレジンPX1150N」
テルペン樹脂2:ヤスハラケミカル社製の「YSレジンPX300N」
パラフィンオイル:ジャパンエナジー社製の「ミネラルオイル」
カーボン:東海カーボン社製の「シーストV」(N660、N2SA:27m2/g)
ハードクレー:Southeasten Clay社(米国)製の「ハードクレークラウン」
タルク:Luzenac社(フランス)製の「Mistron HAR」(平均粒径5.7μm、平均偏平率4.7)
マイカ:レブコ社製の「マイカ(雲母)S−200HG」(フロゴバイト、平均粒径50μm、アスペクト比55)
<実施例1〜19および比較例2〜9、11〜14>
表2および表3に示す配合処方にしたがったポリマー混合物および軟化剤を、インジェクションプレスの回転ローター内(100rpm、長さ1M)へ投入しブレンドしたのち、プレスに13cm×13cm×厚み2mmの金型を装着し、金型ヘッド圧力100Kgf、ヘッド温度220℃、インジェクション速度80mm/秒、ローター回転数100rpmの条件で押し出すことにより、実施例1〜19、および比較例2〜9、11〜14のポリマーシートを作製した。
なお、実施例6〜8および18、19は、ポリマー混合物とフィラーを予めニーダー、ロール(温調ロール(温度条件:160℃))、バンバリーミキサーなどを用いてミキシングしてマスターバッチを作製した後、これを計量しなおしてインジェクションプレスへ投入し、ポリマーシートを作製した。インジェクションプレスの条件は、上記と同様である。
また、空気入りタイヤについては、上記ポリマー混合物を用いて厚み0.6mmおよび0.3mmのポリマーシートを作製し、それぞれタイヤのインナーライナー部分に適用して170℃で20分間プレス成形し、195/65R15サイズのタイヤを作製した。
<比較例1および10>
比較例1および10は、表3に示すゴム成分100質量部に対して、ゴム配合物として、亜鉛華(東邦亜鉛社製の「銀嶺R」)4質量部、ミネラルオイル(出光興産社製の「ダイアナプロセスPA32」)10質量部、ステアリン酸(日本油脂社製の「椿」)1質量部、硫黄(鶴見化学工業社製の「5%オイル処理粉末硫黄」)0.5質量部および促進剤(大内新興化学工業社製の「ノクセラーDM(ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド)」)1.2質量部を含む。上記の配合処方にしたがい、バンバリーミキサーを用いて、亜鉛華、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を添加し、最高温度150℃の条件下で4分間混練りし、混練物を得た。その後、得られた混練物に亜鉛華、硫黄および加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて、最高温度95℃の条件下で4分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。得られた未加硫ゴム組成物を金型にてシート状に圧延し、170℃の条件下で12分間プレス加硫することにより、比較例1および10の加硫ゴムシートを作製した。
また、未加硫ゴム組成物を用いて厚み0.6mmおよび0.3mmのゴムシートを作製し、それぞれタイヤのインナーライナー部分に適用して170℃で20分間プレス成形し、195/65R15サイズの空気入りタイヤを得た。
<接着試験>
厚さ2mmの隣接カーカスコード付トッピングゴムシート、厚さ1mmの当該ポリマーシートまたは加硫ゴムシートおよび補強キャンバス布地を、150℃の条件下で20分間加圧加温することによってカーカスを作製した。
得られたカーカスを用いてJIS K6256「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム―接着性の求め方」にしたがって剥離試験を行い、以下の基準にしたがって評価した。
Figure 2010013647
<空気透過性試験>
ASTM D−1434−75M法にしたがい、当該ポリマーシートおよび加硫ゴムシートの空気透過量を測定した。
<引っ張り試験>
JIS K 6251「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム―引張特性の求め方」に準じて、当該ポリマーシートおよび加硫ゴムシートからなる3号ダンベル型試験片を用いて引張試験を実施し、各試験片の破断時伸びEB(%)を測定した。
<硬度>
JIS K 6253「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム―硬さの求め方」に準じて、当該ポリマーシートおよび加硫ゴムシートの硬度を25℃でJIS−A硬度計を用いて測定した。
<正接損失(tanδ)>
JIS K 5394に準拠し、粘弾性測定装置を用い、温度25℃において初期歪3%、動的歪±2%、周波数10Hzの条件にて測定した。
<加工性>
インジェクション混合および押し出し後の糸状ゴムを温調ロール(150℃)で圧延し、厚さ0.6mmのシートを作製する。その際のシート平坦性、穴開き有無、シート端の凹凸具合を評点付けした。評価基準は以下の通りである。
A:シート平坦、穴開きなし、シート端ストレート、隣接ゴムと適切な加工タック有り。
B:Aの全てを満たさないが、実使用可能な加工性を有する。
C:実使用不可能。
<転がり抵抗変化率>
(株)神戸製鋼所製の転がり抵抗試験機を用い、製造した195/65R15スチールラジアルPCタイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、荷重3.4kN、空気圧230kPa、速度80km/時間の条件下で、室温(38℃)にて走行させて、転がり抵抗を測定した。そして、下記計算式により、比較例1を基準(±0)とし、各配合の転がり抵抗変化率(%)を指数で表示した。なお、転がり抵抗変化率が小さいほど、転がり抵抗が低減され、好ましいことを示し、具体的には、マイナスであることが好ましい。
(転がり抵抗変化率)=(各配合の転がり抵抗−比較例1の転がり抵抗)
÷(比較例1の転がり抵抗)×100
<静的空気圧低下率試験>
195/65R15スチールラジアルPCタイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、初期空気圧300Kpaを封入し、90日間室温で放置し、空気圧の低下率を計算する。
<タイヤ耐久性試験>
195/65R15スチールラジアルPCタイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、空気圧150kPa、荷重6.96KNの試験条件下で、室温(38℃)にて、φ1707mmドラム上で、速度80km/hで走行させる。インナーライナー内側の割れに由来する空気漏れ、概観サイドウォールにふくれの発生があれば停止させる。その膨れの発生までの距離の優劣により耐久性を判定する。評価基準は以下の通りである。
A:距離>30,000km
B:20,000<距離≦30,000km
C:10,000≦距離≦20,000km
結果を表2および表3に示す。
Figure 2010013647
Figure 2010013647
<実施例20,21、比較例15〜19>
表4に示す配合処方にしたがったポリマー混合物(比較例15はフィラーを含む)を、2軸押出し機(押出し径:50mmφ,長さ:1m,温調:220℃)にてペレット化したのち、Tダイフィルム押出し機(押出し径:80mmφ,温調:220℃,フィルムゲージ:0.6mm)にて実施例20,21、比較例15〜19のポリマーフィルムを作製した。前記ポリマーフィルムと表4に示すカレンダー工程の温度で圧延されたインスレーションゴムとを接合して得たインナーライナーゴム−インスレーションゴム接合体について、以下の試験を行なった。
また、空気入りタイヤについては、前記ポリマーフィルムおよびインスレーションゴムを用いて厚み0.6mmおよび0.3mmのポリマーシートを作製し、それぞれタイヤのインナーライナー部分に適用して170℃で20分間プレス成形し、195/65R15サイズのタイヤを作製した。
<接着試験>
厚さ2mmの隣接カーカスコード付トッピングゴムシート、厚さ1mmの当該インナーライナーゴム−インスレーションゴム接合体および補強キャンバス布地を、150℃の条件下で20分間加圧加温することによってカーカスを作製し、実施例1と同様の条件および基準にしたがって評価した。
<空気透過量>
当該インナーライナーゴム−インスレーションゴム接合体につき、実施例1と同様の条件で測定した。
<正接損失指数>
当該インナーライナーゴム−インスレーションゴム接合体につき、実施例10と同様の条件で正接損失(tanδ)を測定した。比較例15を基準(100)として、各配合の正接損失を指数で表示した。
(正接損失指数)=(各配合の正接損失/比較例15の正接損失)×100
<加工性>
フィルム押出し機にて、厚さ0.6mmのインナーライナーゴム−インスレーションゴム接合体のシートを作製する。その際のシート平坦性、穴開き有無、シート端の凹凸具合を評点付けした。評価基準は以下の通りである。
A:シート平坦、穴開きなし、シート端ストレート、隣接ゴムと適切な加工タック有り。
B:Aの全てを満たさないが、実使用可能な加工性を有する。
C:実使用不可能。
<転がり抵抗変化率>
実施例1と同様の方法で転がり抵抗を測定した。そして、下記計算式により、比較例15を基準(±0)とし、各配合の転がり抵抗変化率(%)を指数で表示した。なお、転がり抵抗変化率が小さいほど、転がり抵抗が低減され、好ましいことを示し、具体的には、マイナスであることが好ましい。
(転がり抵抗変化率)=(各配合の転がり抵抗−比較例15の転がり抵抗)
÷(比較例15の転がり抵抗)×100
<静的空気圧低下率試験>
実施例1と同様の方法で空気圧の低下率を計算した。
結果を表4に示す。
Figure 2010013647
<実施例22〜25、比較例20〜24>
表5に示す配合処方にしたがったポリマー混合物、軟化剤、フィラーを、2軸押出し機(押出し径:50mmφ,長さ:1m,温調:220℃)にてペレット化したのち、Tダイフィルム押出し機(押出し径:80mmφ,温調:220℃,フィルムゲージ:0.6mm)にて実施例22〜25、比較例20〜24のポリマーシートを作製した。該ポリマーシートについて以下の試験を行なった。
また、空気入りタイヤについては、表5に示す配合処方に従って厚み0.6mmおよび0.3mmのポリマーシートを作製し、それぞれタイヤのインナーライナー部分に適用して170℃で20分間プレス成形し、195/65R15サイズのタイヤを作製した。
<接着試験>
厚さ2mmの隣接カーカスコード付トッピングゴムシート、厚さ1mmの当該ポリマーシートおよび補強キャンバス布地を、150℃の条件下で20分間加圧加温することによってカーカスを作製し、実施例1と同様の条件および基準にしたがって評価した。
<空気透過量>
当該ポリマーシートにつき、実施例1と同様の条件で測定した。
<正接損失指数>
当該ポリマーシートにつき、実施例10と同様の条件で正接損失(tanδ)を測定した。比較例20を基準(100)として、各配合の正接損失を指数で表示した。
(正接損失指数)=(各配合の正接損失/比較例20の正接損失)×100
<加工性>
フィルム押出し機にて、厚さ0.6mmのポリマーシートを作製する。その際のシート平坦性、穴開き有無、シート端の凹凸具合を評点付けした。評価基準は以下の通りである。
A:シート平坦、穴開きなし、シート端ストレート、隣接ゴムと適切な加工タック有り。
B:Aの全てを満たさないが、実使用可能な加工性を有する。
C:実使用不可能。
<転がり抵抗変化率>
実施例1と同様の方法で転がり抵抗を測定した。そして、下記計算式により、比較例20を基準(±0)とし、各配合の転がり抵抗変化率(%)を指数で表示した。なお、転がり抵抗変化率が小さいほど、転がり抵抗が低減され、好ましいことを示し、具体的には、マイナスであることが好ましい。
(転がり抵抗変化率)=(各配合の転がり抵抗−比較例20の転がり抵抗)
÷(比較例20の転がり抵抗)×100
<静的空気圧低下率試験>
実施例1と同様の方法で空気圧の低下率を計算した。
結果を表5に示す。
Figure 2010013647
実施例22〜24はスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体90質量%とポリアミド系ポリマー10質量%からなるゴム成分100質量部に対して、C5石油系レジン、C9石油系レジンまたはテルペン樹脂をそれぞれ10質量部ずつ含むポリマー組成物である。実施例25はスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体70質量%、ポリアミド系ポリマー10質量%およびエチレン・ビニルアルコール共重合体20質量%からなるゴム成分100質量部に対して、C5石油系レジンを10質量部含むポリマー組成物である。これらは、ゴム成分としてクロロブチルおよびNRを含む比較例20に比べて接着性、耐空気透過性が良好で、加工性にも優れている。
比較例21はスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体の含有量が少なく、耐空気透過性および静的空気低下率が劣る。比較例22はポリアミド系ポリマーを含まず、接着性に劣る。比較例23はスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体を含まず、耐空気透過性および静的空気低下率が劣る。比較例24はスチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体およびポリアミド系ポリマーを含まず、耐空気透過性、静的空気低下率および接着性に劣る。
<実施例26,27、比較例25〜29>
表6に示す配合処方にしたがったポリマー混合物、フィラーを、2軸押出し機(押出し径:50mmφ,長さ:1m,温調:220℃)にてペレット化したのち、Tダイフィルム押出し機(押出し径:80mmφ,温調:220℃,フィルムゲージ:0.6mm)にて実施例26,27、比較例25〜29のポリマーフィルムを作製した。該ポリマーフィルムに表6に示すゴム組成物の濃度を有するゴム糊を塗布したゴム糊塗布インナーライナーゴムついて以下の試験を行なった。なお、ゴム糊の配合比は濃度20%である。
また、空気入りタイヤについては、表6に示す配合処方のポリマーフィルムを用いて厚み0.6mmおよび0.3mmのポリマーシートを作製し、該ポリマーシートにゴム糊を塗布したゴム糊塗布インナーライナーゴムをそれぞれタイヤのインナーライナー部分に適用して170℃で20分間プレス成形し、195/65R15サイズのタイヤを作製した。
<接着試験>
厚さ2mmの隣接カーカスコード付トッピングゴムシート、厚さ1mmの当該ゴム糊塗布インナーライナーゴムおよび補強キャンバス布地を、150℃の条件下で20分間加圧加温することによってカーカスを作製し、実施例1と同様の条件および基準にしたがって評価した。
<空気透過量>
当該ゴム糊塗布インナーライナーゴムにつき、実施例1と同様の条件で測定した。
<正接損失指数>
当該ゴム糊塗布インナーライナーゴムにつき、実施例10と同様の条件で正接損失(tan δ)を測定した。比較例25を基準(100)として、各配合の正接損失を指数で表示した。
(正接損失指数)=(各配合の正接損失/比較例25の正接損失)×100
<加工性>
フィルム押出し機にて、厚さ0.6mmのインナーライナーゴム−インスレーションゴム接合体のシートを作製する。その際のシート平坦性、穴開き有無、シート端の凹凸具合を評点付けした。評価基準は以下の通りである。
A:シート平坦、穴開きなし、シート端ストレート、隣接ゴムと適切な加工タック有り。
B:Aの全てを満たさないが、実使用可能な加工性を有する。
C:実使用不可能。
<転がり抵抗変化率>
実施例1と同様の方法で転がり抵抗を測定した。そして、下記計算式により、比較例25を基準(±0)とし、各配合の転がり抵抗変化率(%)を指数で表示した。なお、転がり抵抗変化率が小さいほど、転がり抵抗が低減され、好ましいことを示し、具体的には、マイナスであることが好ましい。
(転がり抵抗変化率)=(各配合の転がり抵抗−比較例25の転がり抵抗)
÷(比較例25の転がり抵抗)×100
<静的空気圧低下率試験>
実施例1と同様の方法で空気圧の低下率を計算した。
結果を表6に示す。
Figure 2010013647
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
空気圧低下の抑制効果、耐久性および隣接ゴムとの接着性に優れるポリマー組成物を用いた本発明の空気入りタイヤは、乗用車用、トラック・バス用、重機用等の種々の用途に対して好適に適用され得る。
1 空気入りタイヤ、2 トレッド部、3 サイドウォール部、4 ビード部、5 ビードコア、6 カーカス、6a カーカスコード、7 ベルト層、8 ビードエーペックス、9 インナーライナー、9b インナーライナーゴム、10 保護膜、11 インスレーションゴム。

Claims (8)

  1. スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体99〜60質量%と、ポリアミドを分子鎖に含むショアD硬度が70以下のポリアミド系ポリマー1〜40質量%を含むポリマー混合物からなるサイドウォール保護膜。
  2. 前記ポリマー混合物が、エチレン−ビニルアルコール共重合体15〜40質量%を含む請求項1記載のサイドウォール保護膜。
  3. 前記ポリマー混合物は、前記スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体がスチレンを10〜30質量%の範囲で含む請求項1または請求項2記載のサイドウォール保護膜。
  4. 前記ポリマー混合物は、前記ポリアミド系ポリマーがポリアミド成分とポリエーテル成分からなるブロック共重合体である請求項1〜3いずれか記載のサイドウォール保護膜。
  5. 前記ポリマー混合物100質量部に対して、フィラーを5〜40質量部含む請求項1〜4いずれか記載のサイドウォール保護膜。
  6. 前記ポリマー混合物100質量部に対して、前記フィラーとしてマイカを10〜25質量部含む請求項5に記載のサイドウォール保護膜。
  7. 前記ポリマー混合物100質量部に対して、C5石油系レジン、C9石油系レジンおよびテルペン樹脂からなる群から選択された1種以上を1〜30質量部含む請求項1〜6いずれか記載のサイドウォール保護膜。
  8. 請求項1〜7いずれかに記載のサイドウォール保護膜を備えたサイドウォール部を有する空気入りタイヤ。
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