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JP2010013461A - 低い水溶性を有する生物学的に活性な化合物を可溶化するための方法および組成物 - Google Patents

低い水溶性を有する生物学的に活性な化合物を可溶化するための方法および組成物 Download PDF

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JP2010013461A JP2009199056A JP2009199056A JP2010013461A JP 2010013461 A JP2010013461 A JP 2010013461A JP 2009199056 A JP2009199056 A JP 2009199056A JP 2009199056 A JP2009199056 A JP 2009199056A JP 2010013461 A JP2010013461 A JP 2010013461A
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Hoogevest Peter Van
ヴァン フーゲヴェスト ピーター
Henricus Tiemessen
ティーメッセン ヘンリカス
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Abstract

【課題】難溶性薬物物質の新規な溶解方法の提供。
【解決手段】親油性化合物との分子会合体を形成するための組成物、および親油性の生物学的に活性な化合物を、予め形成された、脂質粒子の水性懸濁物中に装填する改善された方法。バイアルまたは他の適切なコンテナ中に、直径が1000nm未満の脂質粒子を含む、注射目的での好ましい実施形態が、記載される。この方法は、第1のコンテナ中の、溶液中またはアモルファスとして、好ましくは、凍結乾燥された粉末として、親油性組成物を、第2のコンテナ中に含まれた脂質粒子の水性懸濁物と混合して、分子会合体を形成する工程を包含する。最小の攪拌のみが必要とされる。この手順全体は、病室において、または寝台のそばでの、使用の直前に、インサイチュで即座に、密封された滅菌ユニット中で実施され得る。
【選択図】なし

Description

本発明は、低い水溶性を有する生物学的に活性な化合物を可溶化するための、組成物および方法に関する。
本明細書中において、以下の定義が適用される:
「脂質」とは、リン脂質、糖脂質、セラミド、ガングリオシドおよびセレブロシドが挙げられる、膜脂質をいう。この用語は、本明細書中において使用される場合、1つの単一の型のみの脂質、およびその混合物(酵素で改変されたバージョンを含む)をいう。
「脂質懸濁物」とは、少なくとも1種の膜脂質を主成分(major component)または主成分(major constituent)として含有する、分散した脂質粒子の水性分散物をいう。
「化合物」とは、生存生物において生理学的および/または薬理学的な効果を有する、生物学的に活性な物質である。
「コンテナ」とは、ゴムの栓およびキャップを備えるアンプルまたはコンテナ、単一または二重のチャンバの注射器、非経口投与に適切な、ポリマー材料またはガラスから作製される注入用のバッグまたは瓶を意味する。この用語はまた、液体を保持するための任意の容器を含む。
「低い水溶性」とは、1部の化合物を溶解するために10部より多い水を必要とする、任意の化合物を意味する。この用語は、USP24に定義されるような、わずかに可溶性(10〜30)から非常にわずかに可溶性(1000〜10,000)の間の定義にまたがる。この記載は、親油性化合物および疎水性化合物を含む。
「分子会合体」とは、化合物および脂質から形成される複合体であり、これによって、この分子は、脂質中に均一に分散するか、または可溶化される。
化合物と脂質分子との間の「分子会合体」は、試験材料を含有する脂質混合物を蒸留水で濾過した後に、会合していない試験材料の20%以下が、200nmのポリカーボネート膜フィルタ上に残る場合に、達成される。
「装填する」とは、化合物を脂質粒子中に組み込むかまたは移動させて、分子会合体を形成することを意味する。
生物学的に活性な化合物を送達する際の主要な問題は、その化合物の乏しい水溶性を懸念する。この問題は、特に、非経口注入または静脈内注入によって投与される親油性化合物に対して適用される。その低い溶解度に起因して、この化合物は、iv注射または注入の前または後に沈澱し得、そして毛細管の閉鎖を引き起こし得る。沈澱および集合の結果として、標的のレセプターおよび器官に移送されるためのリポタンパク質への結合のために、十分な濃度の薬物が利用可能ではないかもしれない。従って、必要とされる治療効果を引き起こすために、親油性化合物を可溶化することが必要である。
先行技術において、Cremophor EL(登録商標)またはポリソルベート80のような界面活性剤エタノール溶液および水性溶液が、親油性化合物を可溶化するために、通常使用されている。あるいは、これらの化合物は、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンと複合体化され得るか、または油/水エマルジョン系に溶解され得る。しかし、有機溶媒の希釈の際の薬物の沈澱は、問題であり、そしてCremophore ELとの注射の後のアナフィラキシーは、未知の問題ではない。水中油エマルジョンは、十分な油溶性を有する化合物に制限される。さらに、この化合物は、水中油エマルジョンの物理的不安定性に関連し得、そしていくつかは、加熱滅菌または貯蔵に耐えるほど安定ではないかもしれない。リン脂質小胞を含有するリポソームは、アンホテリシンのような、水に難溶性の化合物を送達するために、時々使用される。リン脂質の低い毒性および高い許容性により、リポソームは、親油性化合物を送達するための魅力的なビヒクルとなる。しかし、親油性薬物を含有する脂質粒子の、より広い市場での使用は、親油性薬物を脂質に会合させるための、問題の多い高価な製造手順を必要とする。このような手順の例としては、高いせん断および/または高圧の均質化、制御された有機溶媒希釈、薬物を含有する水性リポソーム懸濁物を製造するための、クロスフロー濾過が挙げられる(例えば、非特許文献1、Isele,U.;Van Hoogenvest,P.;Hilfiker,R.;Capraro,H−G.;Schieweck,K.およびLeuenberger,H.,Large−Scale Production of Liposomes Containing Monomeric Zinc Phthalocyanine by Controlled Dilution of Organic Solvents,J.Pharm.Sci.(1994),83,1608−1616を参照のこと)。製造の問題が克服され得る場合でさえ、大部分の薬物およびリン脂質は、溶解状態において、水中で化学的または生理学的に不安定であり、そして貯蔵のために、凍結乾燥される必要がある。ここでの問題は、凍結乾燥されたリポソームが、再構成の際に生理学的安定性を維持するために、高い相転移温度を有する、高価な合成脂質または半合成脂質を必要とし得ることであり、これは、すでに高い費用をさらに追加する。
多数の先行技術文献において、低い水溶性を有する化合物を可溶化するためのリン脂質の使用が、記載されている:
特許文献1(WO98/58629は、少なくとも1種のモノアシル脂質(例えば、モノアシルリン脂質およびモノアシルリン脂質とジアシルリン脂質との混合物)を含有する、脂質組成物を記載する。この組成物は、親油性化合物を分子形態で保持する際に効果的である。この組成物は、硬質または軟質のゼラチンカプセルに充填するために適切な、蝋質の固体、ペースト様の材料、または粘性流体であり得る。注射可能な薬物処方物の即座の調製は言及されていない。
水に難溶性の薬物溶媒和物の溶解挙動を増加させるための、ジアシルリン脂質を使用する脂質−薬物共沈澱の調製、および少量(0.05%未満)のポリビニルピロリドンを組み込むことによる、このような分散物からの薬物放出の改変の可能性が、非特許文献2、J.Pharm.Sci.81,283−286(1992)に記載されている。この組成物は、本質的に、共沈澱によって調製され、そして溶媒中の結晶構造への脂質の組み込みを生じる。溶媒和結晶にトラップされた残余の溶媒は、水に難溶性の化合物の改善された溶解度の可能な理由と考えられる。注射可能な薬物処方物のインサイチュ調製は、記載されていない。
特許文献2(WO86/05694は、エステル化されていない脂肪酸およびモノグリセリドを、小量のモノアシル脂質(リゾホスファチジルコリン)と共に使用して、種々の親油性化合物に対して改善された経口吸収を示す固体粒子を形成することを記載する。改善された経口吸収は、この混合物の独特の特性に起因すると説明されている。注射可能な薬物処方物のインサイチュ調製は、記載されていない。
特許文献3(米国特許第5,091,188号は、注射可能な組成物、および不溶性または難溶性の粉末をより安定にするための方法を開示する。この方法は、外側表面を1層以上のリン脂質で安定化させて、貯蔵の間に薬物粒子が集合することを防止することによる。この薬物は、分子の分散物ではなく、そして注射可能な処方物のインサイチュでの調製は、記載されていない。
特許文献4(WO99/49846は、組成物、ならびにリン脂質、荷電表面改変剤およびブロックコポリマー(表面に接着して粒子が懸濁物中で粒子成長、集合または凝集することを防止する)と一緒になった、水に不溶性の薬物の、ミクロン未満およびミクロンのサイズの安定な粒子を得る手順を開示する。この粒子は、脂質分子との分子分散物ではない。マイクロフルイダイザーを複数回通すことによる高せん断の混合が、薬物粒子のサイズを減少させるために必要である。注射可能な薬物処方物の即座の調製は言及されていない。
特許文献5(WO99/65469は、液化ガス中の化合物および界面改変剤の圧縮溶液から水性媒体に急速に膨張させることにより、界面改変剤分子(例えば、リン脂質)で薬物のマイクロ粒子懸濁物を安定化させることによって、同時に調製された、水に不溶性の薬物のミクロン未満の粒子を開示する。薬物の粒子は、懸濁物中で表面を安定化され、そして集合を防ぐ。この粒子は、分子分散物ではなく、そして注射可能な薬物処方物のインサイチュでの調製は言及されていない。
特許文献6(欧州特許出願公開第0 795 585号は、生理学的に適合性の乳化剤の存在下で水性媒体と混合された揮発性の有機溶媒中の、粒子状レチノイドまたはカレチノイド(caretinoid)の、微際に分割された懸濁物を調製するためのプロセスを開示する。使用される種々の乳化剤の例は、加水分解されたレクチン(Emulfluid E)であり、これは、かなりの量の非極性油および遊離脂肪酸(すなわち、45%未満)を含有する。レチノイドまたはカレチノイドは、分子分散物ではない、記載される組成物は、非経口用途のために適切ではない。
特許文献7(欧州特許第0 256 090号は、小さな単層小胞(SUV)懸濁物中で疎水性物質を可溶化するための、特定のモノアシル脂質(すなわち、リソ−ホスファチジル−エタノールアミン)の、単独でかまたは他のジアシルリン脂質と組み合わせての使用を記載する。注射可能な薬物処方物のインサイチュでの調製は言及されていない。
特許文献8(欧州特許第0 158 441号は、組成物に水性流体を添加することによって脂質小胞を作製する方法のための、膜脂質に基づくプロリポソーム(pro−liposome)組成物、および小胞の水性分散物に関する。この組成物は、水溶性または油溶性の、生物学的に活性な化合物を含有する。これらはまた、注射の目的に適切な有機溶媒(例えば、エタノール)を含有し得る。注射可能な薬物処方物のインサイチュでの調製は、記載されていない。
特許文献9(WO97/25977は、シクロスポリン、ラパマイシンまたはアスコルマイシン、あるいはその誘導体を含有する、水中油の脂肪エマルジョン組成物の即時の調製のためのプロセスを開示する。このプロセスは、プラシーボの脂肪エマルジョンに、活性な安定化剤(例えば、リン脂質)および有機溶媒を含有する濃縮物を混合する工程を包含する。主成分が難溶性化合物を含有するリン脂質である脂質粒子を含有する、注射可能な組成物の、インサイチュでの調製の言及はなく、そしてこの特許は明らかに、シクロスポリン、ラパマイシン、およびアスコルマイシン、ならびにこれらの誘導体のみに関する。
特許文献10および11(米国特許第5,747,066号および米国特許第4,158,707号は、改善された貯蔵特性を有する溶液を得るために、水にほんのわずかに可溶性であるかまたは不溶性の活性物質の、水への可溶化のための混合されたミセルを記載する。このミセルは、ホスファチドおよび胆汁酸塩からなる。注射可能な薬物処方物のインサイチュでの調製は言及されていない。
特許文献12(米国特許第5,192,549号は、pH勾配によって両親媒性薬物をリポソームに装填する方法を開示し、一方で特許文献13(米国特許第5,316,771号は、アンモニウムイオン勾配による両親媒性薬物のリポソームへの装填を記載する。特許文献14(米国特許第5,380,531号もまた、アミノ酸およびペプチドをリポソームに蓄積させるための方法を記載する。これら3つの例は、水溶性でありプロトン化され得る塩基性機能を保有する化合物での、予め形成されたリポソームの装填に制限される。
特許文献15(米国特許第5,616,341号において、リポソーム抗腫瘍剤の高薬物:脂質処方物が、提供される。リポソームは、膜貫通イオン勾配、好ましくは膜貫通pH勾配を使用する活性機構によって薬物を負荷するプロセスによって作製され得る。この技術を使用して、捕捉効率は、100%に達し、そしてリポソームは、使用の直前に薬物と共に負荷され得、リポソーム中の薬物の保持に関連する安定性の問題を排除する。用いられる薬物:脂質の比は、従来のリポソーム調製物より約3〜80倍高く、そしてリポソームからの薬物の放出速度は、低下される。リポローム調製物中の遊離抗腫瘍剤を決定するためのアッセイ方法もまた、開示される。この開示される方法は、イオン化可能抗腫瘍剤の負荷に制限され、そしてこのアプローチの治療的使用が、明らかに意図される。
国際公開第WO98/58629号パンフレット 国際公開第WO86/05694号パンフレット 米国特許第5,091,188号明細書 国際公開第WO99/49846号パンフレット 国際公開第WO99/65469号パンフレット 欧州特許出願公開第0 795 585号明細書 欧州特許第0 256 090号明細書 欧州特許第0 158 441号明細書 国際公開第WO97/25977号パンフレット 米国特許第5,747,066号明細書 米国特許第4,158,707号明細書 米国特許第5,192,549号明細書 米国特許第5,316,771号明細書 米国特許第5,380,531号明細書 米国特許第5,616,341号明細書
Isele,U.;Van Hoogenvest,P.;Hilfiker,R.;Capraro,H−G.;Schieweck,K.およびLeuenberger,H.,Large−Scale Production of Liposomes Containing Monomeric Zinc Phthalocyanine by Controlled Dilution of Organic Solvents,J.Pharm.Sci.(1994),83,1608−1616 J.Pharm.Sci.81,283−286(1992)
親油性薬物を脂質粒子に結合するための有効な方法の実際的な必要性があることが、理解される。本発明の目的は、分子が脂質粒子(主成分が少なくとも1つの膜脂質を構成している)に結合する場合に、疎水性化合物を可溶化するための改良された方法を提供することであるが、単に非経口用途のみを特別には意図しない。安定性の問題および貯蔵の問題を回避するために、使用直前にインサイチュで調製され得る滅菌組成物を提供することが、本発明の目的である。再現性があり、商業的に実行可能であり、費用効果があり、そして実用的であり、検査され得る方法を提供することが、本発明のさらなる目的である。使用される成分が、安全であり、容易に入手可能であり、そして滅菌され得ることもまた、目的である。本発明が、医用用途、臨床研究および前臨床スクリーニング用途(例えば、インビトロにおける細胞の効力/毒性研究またはインビボにおける動物の効力/毒性研究)において、および内的適用および外的適用のためにさらに処理され得る脂質キャリア中の化合物を可溶化するために使用され得ることもまた、なおさらなる目的である。
本発明は、製造および安定性の問題を回避する、費用効果のある簡単な組成物および方法を提供することにおいて、上記の局面に取り組む。さらに、本発明は、高価な合成または半合成の脂質を使用する必要なく、信頼性があり、費用効果のあるリン脂質を使用することを可能にする。予想外なことに、本発明は、水性媒体中で低い溶解度を有する化合物が、一緒に混合された場合に、別個の粒子(ここで主成分は少なくとも1つの膜脂質である)を含有する膜脂質懸濁液と自発的かつ瞬時に分子会合物を形成し得ることが見出された。さらに、本発明により、2つの成分は、混合時まで、別個のコンテナ中で分かれたままであり得る。難溶性化合物は、親水性媒体に溶解され得るか、または乾燥粉末形態で存在し得る。好ましくは、この脂質懸濁液は、透明であり、そして脂質会合物を含有する得られる組成物は、非経口用途に特に適切であるが、生きた生物への経口投与、肺投与および局所投与のためにもまた用いられ得る。
この脂質懸濁液および化合物は、別個の組成物として調製され、そして2つの別個のコンテナ中に保持される。第1のコンテナ中の親油性化合物は、好ましくは、親水性媒体に溶解されるか、または粉末もしくは凍結乾燥物として存在する。第2のコンテナ中の脂質懸濁液は、長期の貯蔵に適切であり、そして標準的な高圧ホモジナイザーおよび/またはエクストルーダーを使用して製造され得る。これは、滅菌濾過され得、そしていくつかの場合において、さらに加熱滅菌される。投与の直前に、一方のコンテナの内容物が、他方のコンテナに加えられる。この化合物の親油性および別個の脂質粒子により示される広い表面積に起因して、この化合物は、優先的に脂質に分割され、そして分子会合物を形成する。従って、分割および分子会合によって負荷が即時に行われるので、このプロセスは、即時分割負荷(Instant Partition Loading(IPL))と記載され得る。
驚くべきことに、細かく分割された脂質粒子(すなわち、主成分(componentまたはconstituent)として少なくとも1つの膜脂質を含有する予備形成された粒子)の水性懸濁液は、この化合物がすでに形成された脂質粒子に添加され、かつこの粒子の形成の間に脂質溶液に溶解されない場合(これは通常、従来技術の場合である)に、親油性化合物を可溶化するはるかに高い能力を有することが見出された。従って、本発明は分子会合物を可溶化または形成するための組成物を包含し、これはさらに、2つのコンテナの内容物が混合されるまで、薬学的に受容可能な親水性媒体(例えば、エタノール)中の溶液としてか、または粉末もしくは凍結乾燥物としてのいずれかで、第1のコンテナ中に収容される、低い水溶性を有する化合物、ならびに第2のコンテナ中に収容される少なくとも1つの膜脂質粒子の別個の懸濁液を含む。脂質粒子はさらに、主成分として少なくとも1つの膜脂質を含む。必要に応じて、薬学的に受容可能な賦形剤および成分(例えば、安定化剤および保存剤)が、1つまたは両方のコンテナ中に存在し得るか、またはさらなるコンテナ中に存在し得る。本発明の別の局面において、この親油性化合物をこの別個の脂質粒子の予備形成された懸濁液中に負荷する方法が、提供され、この方法は、2つのコンテナの内容物を混合して、分子会合物を形成する工程を包含する。分子会合物を含有する得られる組成物は、注射に特に適切であるが、他の用途にも使用され得る。本発明に従う方法は、高い負荷効率および実用性によって特徴付けられる。親油性組成物をリポソーム中に懸濁する従来の方法と比較して、分割および分子会合による負荷は、簡単である。調製および外部材料を除去するために実施される操作の間に、pHを変更する必要性はない。この方法は、特に、pHの考慮および条件から独立して水性媒体に対して難溶性である化合物の分子会合を可能にする。本発明に従う方法によって、安定性および貯蔵の問題は、回避され得る。
親油性化合物は、親水性溶媒中の溶液として、または粉末としてのいずれかで、調製される。非常に親油性であるかまたは不安定な化合物について、結晶形態を、より容易に溶解し得るアモルファス形態に変換することが、好ましくあり得る。これは、安定化剤を用いてかまたは用いずに、沈殿および/もしくは凍結乾燥、または任意の他の方法(例えば、ミリング)によって、実施され得る。親油性化合物は、適切な親水性媒体中に溶解してか、または凍結乾燥粉末としてのいずれかで(両方とも、必要に応じて他の賦形剤を含む)、バイアルまたは他のタイプの容器に収容される。
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
分子会合体を処方するための組成物であって、以下:
a)低い水溶性を有する、生物学的に活性な化合物であって、生理学的に受容可能な親水性溶媒中に溶解しているか、または粉末形態であり、必要に応じて他の賦形剤と共に、第1のコンテナ中に保持されている、生物学的に活性な化合物;
b)脂質粒子の水性懸濁物であって、少なくとも1種の膜脂質を主成分として含有し、必要に応じて他の賦形剤と共に、第2のコンテナ中に保持されている、水性懸濁物;および
c)必要に応じて、他の生理学的に受容可能な賦形剤、
を含有する、組成物。
(項目2)
上記水性脂質懸濁物が、1000nm未満、好ましくは、300nm未満のサイズを有し、そして低い多分散性指数を有する、脂質粒子を含有する、項目1に記載の組成物。
(項目3)
上記水性脂質懸濁物が、1ミクロンより大きな平均粒子サイズを有する脂質粒子を含有する、項目1に記載の組成物。
(項目4)
上記膜脂質が、非極性脂質を実質的に含まない、項目1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
(項目5)
上記膜脂質が、リン脂質、糖脂質、スフィンゴリピド、セラミド、ガングリオシド、およびセレブロシドからなる群より選択される、項目1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
(項目6)
上記膜脂質が、モノアシルホスファチジルコリンもしくはジアシルホスファチジルコリン、またはその混合物であり、上記ジアシルホスファチジルコリンが、好ましくは、ダイズPC、卵PC、POPC、およびOOPCからなる群より選択され、そして上記モノアシルホスファチジルコリンが、好ましくは、酵素(ホスホリパーゼA2)で改変されたダイズPC、卵PC、1−パルミトイルPC、1−オレオイルPC、および1−ステアロイルPCからなる群より選択される、項目5に記載の組成物。
(項目7)
上記膜脂質が、以下の式:
(化1)
Figure 2010013461

の膜脂質、またはこのような化合物の塩であり、ここで、R は、C 10 〜C 20 アシルを表し;R は、水素またはC 10 〜C 20 アシルを表し;そしてR は、水素、2−トリメチルアミノ−1−エチル、2−アミノ−1−エチル、C 〜C アルキル、カルボキシで置換されたC 〜C アルキル、カルボキシおよびヒドロキシで置換されたC 〜C アルキル、カルボキシおよびアミノで置換されたC 〜C アルキル、イノシトール基またはグリセリル基を表す、項目1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
(項目8)
上記第2のコンテナ中の上記脂質粒子が、主成分として存在する少なくとも1種の膜脂質を含有する、項目1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
(項目9)
低い水溶性を有する生物学的に活性な化合物との、分子会合体を形成する方法であって、上記方法は、生理学的に受容可能な親水性溶媒中に溶解しているかまたは粉末形態である、低い水溶性を有する生物学的に活性な化合物を含有する、第1のコンテナの内容物を、少なくとも1種の膜脂質を主成分として含有する脂質粒子の懸濁物を含有する、第2のコンテナの内容物、および必要に応じて、他の生理学的に受容可能な賦形剤と混合する工程を包含する、方法。
(項目10)
上記第2のコンテナの内容物が、必要に応じて溶媒、および胆汁酸塩のような界面活性剤を含有する、等張性の、等水素イオン濃度の水性媒体中に懸濁した、0.5%w/w〜25%w/wの間、好ましくは、20%w/w未満、最も好ましくは、5%w/w〜15%w/wの間の、少なくとも1種の膜脂質、好ましくは、リン脂質を含有する、脂質粒子の分散物を含む、項目9に記載の方法。
(項目11)
上記膜脂質が、以下の式:
(化2)
Figure 2010013461

またはこのような化合物の塩であり、ここで、R は、C 10 〜C 20 アシルを表し;
は、水素またはC 10 〜C 20 アシルを表し;そしてR は、水素、2−トリメチルアミノ−1−エチル、2−アミノ−1−エチル、C 〜C アルキル、カルボキシで置換されたC 〜C アルキル、カルボキシおよびヒドロキシで置換されたC 〜C アルキル、カルボキシおよびアミノで置換されたC 〜C アルキル、イノシトール基またはグリセリル基を表す、項目10に記載の方法。
(項目12)
上記水性脂質分散物が、高圧の均質化および高圧ホモジナイザーでの抽出に供されて、300nm未満、好ましくは100nmより小さな粒子サイズを与える、項目9〜11のいずれか1項に記載の方法。
(項目13)
上記第2のコンテナ中の上記脂質粒子が、小胞性、非小胞性、または組合せである、請求項9〜12のいずれか1項に記載の方法。
(項目14)
上記第2のコンテナ中の上記脂質粒子が、660nmの波長または適切な極大において、1cmのセル中で測定される場合に、入射光の少なくとも40%の透過を可能にする、項目9〜13のいずれか1項に記載の方法。
(項目15)
上記第1のコンテナの上記内容物が、溶媒中の親油性化合物の溶液から、沈澱および/または凍結乾燥によって調製された、アモルファス粉末である、項目9〜14のいずれか1項に記載の方法。
(項目16)
上記装填される脂質懸濁物が乾燥される、項目1〜15のいずれか1項に記載の方法。
(方法)
代表的には、別個の脂質粒子の水性懸濁液は、大量調製される。この脂質分散物は、0.5%w/w〜25%w/wの間、好ましくは20%w/w未満、最も好ましくは5%w/w〜15%w/wの間の、少なくとも1つの膜脂質、好ましくはリン脂質を含み、これは水性媒体に懸濁され、必要に応じて、溶媒および界面活性剤(例えば、胆汁酸塩)を含む。50μmまでの平均粒径を有する脂質懸濁液を生じる任意の生成方法が、用いられ得る。特に好ましい実施形態において、水性脂質懸濁液を、高圧ホモジナイズまたは高圧ホモジナイザーでの押出しに供して、1000nm未満、好ましくは300nm未満、最も好ましくは100nm未満のサイズを有し、透明であるかまたは光学的に透明な懸濁液を生成する低い多分散指数を有する粒子を得る。このサイズは、光子相関分光法を使用して、光子Z平均直径を示す。光学的に透明な懸濁液は、2つのコンテナの内容物が、適用(例えば、注射)の直前に、インサイチュで一緒に混合される適用において望まれる特徴である。従って、光学的に透明な脂質懸濁液が、非常に望ましいが、他の適用(例えば、経口用途)のための親油性化合物を会合する目的のための本発明の必須の特徴ではない。本発明の重要な特徴は、透明性とも層状性とも関係なく、脂質粒子の予備形成された懸濁液への親油性化合物の最大の負荷を得ることである。この懸濁液は、大量生成され得、そして大量生成のために適切な第2のコンテナ(container)または容器(vessel)中に収容され、そしてバイアルのような個々の単位コンテナに移される。この懸濁液は、特定の投与経路、用いられる脂質の型、および低い水溶性を有する化合物の割合に依存して、小胞、非小胞またはその組み合わせであり得る。この組成物は、濾過により滅菌され得、そして適切なゴム栓を備えた個々の滅菌バイアルに無菌的に充填され得る。あるいは、これらのバイアルおよび内容物は、最後に滅菌され得る。
バイアルまたはコンテナの1つの内容物は、必要に応じて、使用直前にインサイチュで分子会合物を形成するために、他のコンテナに加えられ、そして混合され得る。あるいは、より安定な化合物について、調製されたかまたは十分に負荷された脂質懸濁液は、長期間の貯蔵のためのより小さなコンテナに移され得る。あるいは、この脂質懸濁液は、任意の適切な方法(例えば、流動床乾燥またはスプレー乾燥)によって、凍結乾燥または乾燥され得る。この負荷方法は、迅速かつ実用的であり、そして80%w/w以上、好ましくは90%w/w以上、最も好ましくは99%w/w以上の会合効率を達成し得る。脂質粒子または凍結乾燥物質の懸濁液は、これ自体、ボーラス用量としての注射に特に適切であるか、またはこれは、注射流体に濃縮物として添加され得る。これはまた、他の目的(例えば、吸入のためのネブライザーにおいて、および局所適用のため)に使用され得る。第2のコンテナ中の脂質懸濁液が、光学的に透明である場合、任意の会合していない組成物は、拒絶され得る。小さな粒径によって、分子会合物は、非経口投与前に安全フィルターを通過し得る。
(光学的に透明)
バイアル中の懸濁液が透明であるか、または光学的に透明、すなわち、入射光の透過を可能にすることが、特に非経口用途のための本発明の所望される特徴である。これは、透明性および濁りについての目視検査によって、判断され得る。透明性は、最初に、脂質濃度に依存して、例えば、660nm、または最も適切な波長で、1cmの透過セルを使用して、決定される。第2の決定は、負荷プロセス(IPL)の後に行われ、透過値の差異は負荷効率を示す。これは、分子的に分散していない任意の会合していない化合物が、より大きな粒子として沈殿し、そして初期の懸濁液の濁りを増加させるという事実に基づく。一般に、第2のコンテナ中の脂質粒子の初期の懸濁液は、少なくとも40%、好ましくは60%、最も好ましくは80%より多くの光を透過させるのに十分透明でなければならない。これらの初期値を基準値として使用して、沈殿物も会合していない薬物も実質的に含まない同じ脂質粒子の負荷懸濁液は、透過を、25%以下、好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下減少してはならない。この方法は、負荷懸濁液が使用時に作製される必要がある場合に、本発明の負荷効率を評価するための速くかつ信頼性のある手段を与える。
投与前の注射用組成物のインサイチュの調製について、沈殿した薬物粒子についての目視検査を可能にするために、光学的に透明な脂質懸濁液が好ましい。ほとんどの他の適用(例えば、経口投与)について、光学透明性は必須の特徴でなくてもよい。
薬物との分子会合物に変換される脂質粒子の懸濁液は、特定の型の脂質粒子に制限されないことが、明確に理解されるべきである。しかし、静脈内用途について、小胞構造が好ましくあり得る。得られる脂質粒子の型は、ジアシル〜モノアシルの膜脂質成分の組み合わせに依存し、そしてWO98/58629(PCT/GB98/01803)(これは本明細書中で参考として援用される)に記載されている。
(親油性化合物)
本発明は、難水溶性化合物を可溶化するために特に適切であり、この化合物は、約10mgより多い単回用量で投与され、そして周囲温度において、脱イオン水に対して10mg/100ml未満の溶解度を有する。本発明は、1mg/100ml未満の水溶解度を有する化合物、およびリポタンパク質上に結合する親油性化合物に特に適切である。難水溶性を有する生物学的に活性な親油性化合物の代表的な例としては、中性環状ペプチド(例えば、シクロスポリンA、タクロリムスまたはマクロライド(例えば、ラパマイシン))のような疎水性免疫抑制剤が挙げられる。
第1のコンテナ中の親油性化合物は、この化合物に適合性であり、かつ脂質の負荷を促進する他の賦形剤を含み得ることがさらに理解されるべきである。必要に応じて、この賦形剤は、共沈殿物として溶液中にか、または凍結乾燥粉末としてのいずれかで、組成物の微量成分として含まれる、バルク剤、膜脂質、好ましくは荷電した脂質、胆汁酸塩または脂肪酸の塩であり得る。
(脂質)
薬物 対 脂質の比は、代表的には、重量部で、1:2〜1:200の間、好ましくは、1:5〜1:100の間、最も好ましくは、1:5〜1:50の間である。
この脂質は、少なくとも1つの膜脂質を含み、好ましくは、以下の式の少なくとも1つのリン脂質、またはこのような化合物の塩を含む:
Figure 2010013461

ここで、
は、C10〜C20アシルを表し;Rは、水素またはC10〜C20アシルを表し;Rは、水素、2−トリメチルアミノ−1−エチル、2−アミノ−1−エチル、C〜Cアルキル、カルボキシで置換されたC〜Cアルキル、カルボキおよびヒドロキシで置換されたC〜Cアルキル、カルボキシおよびアミノで置換されたC〜Cアルキル、イノシトール基またはグリセリル基を表す。
このリン脂質は、中性であり得るか、または荷電され得る。このリン脂質は、二重鎖または一本鎖で、両親媒性であり得る。二重鎖を有する中性のリン脂質の例は、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)およびスフィンゴミエリンである。荷電したリン脂質の例は、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ホスファチジルセリン(PS)およびホスファチジルグリセロール(PG)である。炭化水素鎖は、不飽和または飽和のいずれかであり得、そして10〜24の間、好ましくは14〜18の間の炭素原子を有し得る。
一本鎖脂質は、中性または荷電したリン脂質のモノアセチル誘導体であるが、これはまた、糖脂質およびスフィンゴリピドのモノアセチル誘導体であり得る。脱アセチル化は、ホスホリパーゼA2酵素加水分解または化学的手段によって、行われ得る。この炭化水素鎖は、不飽和または飽和のいずれかであり得、そして10〜24の間、好ましくは14〜18の間の炭素原子を有し得る。この脂質は、天然の植物供給源、または動物供給源もしくは微生物供給源(合成されたかまたは部分的に合成されている)由来であり、ポリエチレングリコール(PEG)由来のモノアセチルリン脂質(例えば、ペグ化モノアセチルホスファチジルエタノールアミン)が挙げられる。
他の膜脂質(例えば、糖脂質、セラミド、ガングリオシドおよびセレブロシド)を、リン脂質の代わりに、またはリン脂質の部分的置換として使用し得る。好ましい膜脂質は、ホスファチジルコリン(PC)である。最も好ましいジアシルホスファチジルコリンは、大豆PCであり、次いで、卵PC、POPC、およびOOPCである。最も好ましいモノアセチル対応物は、酵素改変(ホスホリパーゼA2)大豆PC、次いで、卵PC、1−パルミトイルPC、1−オレイルPC、1−ステアロイルPCである。
脂質粒子は、ジアシル脂質またはモノアシル脂質全体を単独で含むか、またはこの脂質粒子は、モノアシル成分およびジアシル成分の混合物を、最終用途に依存して、酵素加水分解によって得られる任意の組み合わせで含み得る。
(親水性溶媒)
水混和性の薬学的に受容可能な溶媒の例は、以下である:エタノール、96% エタノール、無水グリセロール、プロピレングリコール、乳酸エチル、プロピレングリコール300、ポリエチレングリコール400、1,3−ブタンジオール、コハク酸ジエチルエステル、クエン酸トリエチル、セバシン酸ジブチル、ジメチルアセトアミド、DMSO、グリセリンホルマール、グリコフロール(glycofurol)(テトラグリコール)、イソプロパノール、乳酸ブチルエステル、N−メチルピロリドン、ソルケトール(solketol)、炭酸プロピレン、二酢酸プロピレングリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリアセチン。この親水性溶媒は、必要に応じて水を含み得る。好ましくは、この組成物は、非経口用途または静脈内用途のために、2つのコンテナの内容物の混合の後に、最終製品中の溶媒の15%w/wより多くを含むべきである。
(他の薬学的に受容可能な賦形剤)
任意の他の薬学的に受容可能な賦形剤が、安定剤または保存剤のいずれかとして存在し得る。これらは、脂質懸濁液を含む第2のコンテナ中、または溶液または凍結乾燥粉末としての活性化合物を含む第1のコンテナ中に含まれ得る。安定剤の例は、等張剤および緩衝剤(例えば、糖および塩)、または酸化防止剤(例えば、α酢酸トコフェロール、パルミチン酸アスコルビル)である。保存剤の例は、抗菌剤(例えば、メチルパラベンおよびブチルパラベン)である。第1のバイアルはまた、賦形剤を含み得、この賦形剤は、ポリエチレングリコール3000およびポリエチレングリコール4000、糖(例えば、マンニトールおよびラクトースおよびサッカロース)のように、凍結乾燥の際にケークを形成し得る。さらに、この第1のバイアルは、脂質の溶解度および負荷を改善する他の賦形剤(例えば、モノアシル膜脂質およびジアシル膜脂質(例えば、卵PC、大豆PC、大豆PG、脂肪酸およびそれらの塩)、ポリソルベート80のような界面活性剤、ポロキシマーおよびCremophor EL)を含み得る。
以下の実施例は、限定するためではなく、本発明およびその有用性を例示するために示される。本発明は、例示される化合物にも実施例に代表的に示される製造規模にも限定されることを意図しない。
(実施例1)
10mgのミコナゾールおよび1mgのPOPGを、0.25gのエタノールに溶解し、そしてバイアル中に維持する。2.5gの10%リン脂質(98%大豆ホスファチジルコリンおよび2%卵PG)の混合物を得、そして10mlの蒸留水中で水和する。この脂質分散物を、高圧ホモジナイザー(Emulsiflex C5,Avestin)に通して、光学的に透明な懸濁液を得る。この脂質粒子は、100nmより小さい。第1のバイアルの内容物を、第2のバイアル中のこの透明な脂質分散物に添加し、そして振盪する。この得られた分子会合物の分散物は、透明であり、光透過の減少はない。ミコナゾールの90%以上が、この脂質粒子に移り、そして分析的濾過およびHPLC分析によって、確認し得る。この脂質分散物を、ネブライザーを使用する吸入により投与し得るか、またはこれを、局所的に適用し得る。
(実施例2)
10mgのトリクラベンダゾール(triclabendazole)および5mgのオレイン酸ナトリウムを、50mgのラクトースを含有する5mlの脱イオン水を含む第1のコンテナ中で、0.5mlのエタノールに溶解する。オレイン酸ナトリウムの代わりに、胆汁酸塩または荷電した膜脂質を使用し得る。得られる分散物を、直ちに凍結し、そして凍結乾燥して、ケークを得る。このケークに、高圧ホモジナイザーにより生成した2.5gの10%リン脂質分散物(98%卵PC)を添加する。この分散物の外観は、このケークに添加した後、透明なままである。光透過の減少は、10%未満である。
(実施例3)
低い水溶解度(0.00008g/l)および179℃の融点を有する抗ウイルス性活性化合物C2921SFを、以下のようにして脂質粒子に結合する:
25mgの抗ウイルス性化合物を、PGを含むPEG400/エタノール(1:1 v/v)(2.5mg/ml、975mg)に溶解し、そして第1のバイアル中に維持する。
12%w/wのリン脂質懸濁液を、実施例1のようにして、2.5%w/wグリセロールを室温で分散させ、続いてAvestin高圧ホモジナイザーに通すことによって調整する。光子相関分光法により測定される場合、この脂質粒子の平均粒径は、約40nmである。これを、第2のバイアル中に維持する。
本発明に従う抗ウイルス性化合物の即時分配負荷を、バイアルを穏やかに振盪しながら、第1のバイアル中の有機薬物溶液0.4mlを第2のバイアル中の脂質粒子10mlに添加することによって、無菌条件下で予め形成する。この得られる脂質懸濁液は、54nmの粒径を有し、そして沈殿した薬物粒子を含まず、そして直接注射され得るか、または静脈内使用のために滅菌5%w/wグルコースで希釈した後に、注射され得る。この実施例における脂質粒子は、電子顕微鏡により決定されるように、単層小胞構造である。脂質の異なる組み合わせを使用して、形成された会合物は、非小胞構造または混合ミセル構造であり得る。この得られる分散物は、24時間より長い間、物理的に安定である。この薬物と結合した脂質粒子はまた、経口投与に適切である。
(実施例4)
この実施例において、第1のコンテナは、96%エタノール中の10%w/wのシクロスポリンAおよび1%の卵ホスファチジルグリセロールの溶液を含むバイアルである。
第2のバイアルは、実施例3で調整された10%w/wリン脂質を含む脂質粒子の懸濁液を含む。
脂質粒子のシクロスポリンAでの即時負荷を、バイアルを穏やかに振盪しながら、第1のバイアルからの薬物溶液0.06mlを第2のバイアル中の脂質懸濁液3mlを注入することにより、無菌条件下で行う。この脂質懸濁液は、38nmの粒径を有し、そして沈殿した薬物物質を含まない。この得られた懸濁液は、24時間より長い間物理的に安定である。これを、直接か、または静脈内投与のための滅菌5%w/wグルコースで希釈した後に注射する。あるいは、これを、経口的に与え得るか、または局所的に適用し得る。
(実施例5)
1gのシクロスポリンAおよび0.1gの卵ホスファチジルグリセロールを、3.0mlのtert−ブタノールに溶解し、0.2μmのフィルターを通して滅菌濾過し、そして凍結乾燥によって溶媒を除去して、長期の安定性を有する乾燥投薬形態を得る。これを第1のコンテナ中に維持する。使用(投与)の直前に、10mlのエタノール96%をこのコンテナに添加し、その後、この内容物を、実施例4に記載されるように、脂質懸濁液を含む第2のコンテナと混合する。この方法は、エタノール性溶液中でさえ乏しい貯蔵安定性を有する化合物に特に適切である。
(実施例6)
この実施例において、5mgのパクリタキセル(SIGMA,97%純粋)および5mgの卵ホスファチジルグリセロール/mlを、無水エタノールに溶解し、そして第1のコンテナ中に維持する。この第1のコンテナの200μlのパクリタキセル溶液を、2mlの脂質懸濁液(上記の実施例におけるようなホスファチジルコリンおよびPGの5%w/wリン脂質分散物、および1.25%w/wグリセロールおよび2.5%w/wグルコースを含む)を含む第2のコンテナに添加する。パクリタキセルを含む得られる脂質分散物は、沈殿した薬物結晶を含まず、そして静脈内投与または経口投与に適切である。経口投与について、脂質ブレンドは、50%w/wまでのモノアシルホスファチジルコリンを含み得る。光透過の減少は、5%未満である。得られた分散物は、24時間より長い間、物理的に安定である。比較すると、第1のコンテナの200μlのパクリタキセル溶液を脂質粒子を含まない5%グルコースを含む第2のコンテナに添加する場合、粗沈殿物が形成され、これは投与のために適切ではない。
パクリタキセルの代わりに、他のタキサンを使用して、モノアシル誘導体を含む脂質成分の種々の組み合わせを使用して、代替のタイプの脂質粒子との脂質会合物を形成し得る。代替の脂質粒子および脂質混合物を使用する理由は、薬物分子と脂質成分との分子会合物を得るためである。
(実施例7)
低い水溶解度(2mg/ml)および2.5mg/ml未満のプロピレングリコールに対する溶解度、および2.5mg/ml未満のPEG400に対する溶解度を有する抗癌化合物C10SBrを、以下のようにして脂質粒子に結合する。
100gの抗癌化合物を、1.0lのDMSOに溶解し、そして第1のコンテナ中に維持する。この溶液を、20mlあたり125mgの薬物物質の濃度になるまで、さらに希釈する。
1%w/wリン脂質懸濁液を、脂質を50mM NaHPO(pH7.0)に室温で分散させることによって調製する。脂質粒子は、1.0〜12μmのサイズ範囲内の多層小胞である。これを、第2のバイアル中に維持する。
本発明に従う抗癌化合物の負荷を、バイアルを穏やかに振盪しながら、第1のバイアル中の有機薬物溶液20mlを第2のバイアル中の脂質粒子懸濁物250mlに添加することによって、行う。この得られた脂質懸濁液は、沈殿した薬物粒子を含まない。0.22μmのフィルターを通す濾過/押出しおよびHPLCによる測定の後、薬物の100%がこのフィルターを通過し得ることが見出される。リン酸緩衝液中の脂質と比較すると、薬物物質の98%が、このフィルター上に保持される。
(実施例8)
第1および第2のコンテナの内容物を混合するための代替の手順。親油性薬物を脂質分散物に負荷するために、第1のバイアル中の内容物は、第2のバイアルの内容物と混合されなければならない。
Figure 2010013461

(要旨)
本発明は、親油性化合物との分子会合物を形成するための組成物、および難溶性化合物を予め形成された脂質粒子の水性懸濁液に負荷する改善された方法に関する。非経口用途のための好ましい実施形態は、第1のコンテナ中に維持される透明な脂質懸濁液を含み、ここで、平均脂質粒子サイズは、1000nm未満であり、好ましくは、300nm未満である。これは、第1のコンテナ中の溶液または凍結乾燥物としていずれかの親油性化合物を、第2のコンテナ中に含まれる脂質粒子の水性懸濁液と混合して、分子会合物を形成する工程を包含する。このプロセスは、即時分配負荷(IPL)として記載され得る。最小の撹拌のみが必要とされる。この手順は、延長した貯蔵のための負荷懸濁液の生成のために使用され得るか、または病棟においてまたは病床における使用の直前に、インサイチュで密閉滅菌ユニット内で即時に実施され得る。

Claims (1)

  1. 分子会合体を処方するための組成物であって、以下:
    a)低い水溶性を有する、生物学的に活性な化合物であって、生理学的に受容可能な親水性溶媒中に溶解しているか、または粉末形態であり、必要に応じて他の賦形剤と共に、第1のコンテナ中に保持されている、生物学的に活性な化合物;
    b)脂質粒子の水性懸濁物であって、少なくとも1種の膜脂質を主成分として含有し、
    必要に応じて他の賦形剤と共に、第2のコンテナ中に保持されている、水性懸濁物;および
    c)必要に応じて、他の生理学的に受容可能な賦形剤、を含有する、組成物。
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