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JP2010012946A - 充電制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】充電による経済効果を確実に大きくすることができる充電制御装置を提供する。
【解決手段】走行中に充電することによる経済効果を示す走行中充電コストGcを取得し(S204)、また、走行前に充電ステーション50で充電することによる経済効果を示す走行前充電コストGsを取得する(S202)。そして、それらを比較した上で充電ステーションでの充電要求電力量Woptを算出する(S208)。これにより、次走行区間を走行中に充電できるとしても、走行中に充電することによる経済効果が充電ステーション50で充電することによる経済効果よりも小さい場合には、充電ステーション50での充電量を制限しないことになる。そのため、充電によるコストを確実に低減できる等、充電による経済効果を確実に大きくすることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、車両に搭載された蓄電装置の充電を制御する充電制御装置に関し、特に、充電地点にて充電でき、且つ、走行中にも充電可能な車両の充電制御装置に関する。
車両の駆動力源としてエンジンとモータとを備えるハイブリッド車両や、モータのみを駆動力源とする電気自動車の中には、充電ステーション等、車両外部の電力(商用電源等)を利用できる充電地点において、走行に必要なエネルギを走行前に蓄電装置に充電することができる車両が知られている。車両外部の電力を利用することで、燃料費を削減することができるとともに、走行中の排出ガスの排出量を低減できる。
また、特許文献1の充電制御装置は、商用電源の電力を充電器にて取得して蓄電装置を充電する前後における所定時間の消費電力平均値を走行履歴情報として記憶しており、その走行履歴情報に基づいて、充電補正係数を算出し、算出した充電補正係数を使って商用電源を用いて充電する充電量を制限している。このようにすることで、走行開始直後も蓄電装置は電力を受け入れ可能であることから、走行開始直後の減速エネルギを熱エネルギとして捨ててしまわず、回生制動を行なって減速エネルギを回生して蓄電装置を充電することができる。
特開平9−294305号公報
特許文献1の電気自動車は、走行中に蓄電装置を充電する手段として、回生制動によって発電した電力を充電する手段しか備えていない。しかし、走行中に蓄電装置を充電する手段はそれ以外にも種々知られている。
たとえば、エンジンに燃料を供給して発電機を駆動させて発電した電力を充電する手段、太陽電池で発電した電力を充電する手段、廃熱で発電した電力を充電する手段、道路に埋め込まれる等、路面近傍に設けられた無線給電装置から、道路上の車両に向けて電磁誘導作用によってエネルギを給電して蓄電装置を充電する手段などが知られている。これら種々の充電手段の中には、商用電源等が給電源である充電地点での充電よりも高コストの充電手段も存在する。
しかしながら、特許文献1の充電制御装置は、走行履歴情報に基づいて充電量を制限するのみであるので、充電地点での充電後の走行において充電が見込める場合には必ず充電地点での充電量を制限してしまう。
従って、充電地点での充電後の走行において充電できる充電手段のコストが充電地点での充電コストよりも高い場合であっても充電地点での充電量を制限してしまうことになり、充電コストが却って高くなってしまう可能性もあった。
また、特許文献1の充電制御装置は、コストだけでなく、二酸化炭素の発生量や、燃料量など、充電による他の経済的な効果も、コストと同様に、却って小さくなってしまう可能性もあった。
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、充電による経済効果を確実に大きくすることができる充電制御装置を提供することにある。
その目的を達成するための請求項1記載の発明は、車両に搭載される蓄電装置の充電量を制御する充電制御装置であって、
前記車両は、前記蓄電装置に蓄電された電力によって走行でき、充電地点に設けられた外部電源から電力を取得することで、走行前に前記蓄電装置を充電する走行前充電手段と、車両で発電する電力または車両外部から取得する電力で車両の走行中に前記蓄電装置を充電する一種類または複数種類の走行中充電手段とを備えており、
前記充電制御装置は、前記走行前充電手段で充電することによる経済効果である走行前充電経済効果を取得する走行前充電効果取得手段と、前記充電地点を開始点とする所定の次走行区間を走行する場合に前記走行中充電手段で充電することによる経済効果である走行中充電経済効果を、走行中充電手段の種類別に算出する走行中充電効果算出手段と、前記走行前充電経済効果と前記走行中充電経済効果とを比較して、走行前充電経済効果よりも走行中充電経済効果のほうが大きい場合に、その走行中充電経済効果に対応する走行中充電手段で充電可能な充電量に基づいて、走行前充電手段を用いた充電量を制限する走行前充電量決定手段とを含むことを特徴とする。
このように、本発明では、走行中充電手段で充電することによる経済効果と走行前充電手段で充電することによる経済効果との比較に基づいて走行前充電手段を用いた充電量を制限しているので、次走行区間を走行中に充電できるとしても、走行中に充電することによる経済効果が走行前充電手段で充電することによる経済効果よりも小さい場合には、走行前充電手段を用いた充電量を制限しないことになる。そのため、充電によるコストを確実に低減できる等、充電による経済効果を確実に大きくすることができる。
請求項2は、前記走行前充電経済効果として、前記外部電源から前記車両に供給される電力量と、その電力量を発電するために必要となった費用との比を用い、前記走行中充電経済効果として、前記車両で発電し、または車両外部から取得して、前記蓄電装置に供給する電力量と、その電力量を発電するために必要となった費用との比を用いることを特徴とする。このように経済効果として電力量と費用との比を用いれば、充電による費用を確実に低減できる。
請求項3は、前記走行前充電経済効果として、前記外部電源から前記車両に供給される電力量と、その電力量を発電したことで発生した二酸化炭素の量との比を用い、前記走行中充電経済効果として、前記車両で発電し、または車両外部から取得して、前記蓄電装置に供給する電力量と、その電力量を発電する際に発生する二酸化炭素量との比を用いることを特徴とする。このように経済効果として電力量と二酸化炭素の発生量との比を用いれば、充電による二酸化炭素の発生量を確実に低減できる。
請求項4は、前記走行前充電経済効果として、前記外部電源から前記車両に供給される電力量と、その電力量を発電するために必要となった燃料量との比を用い、前記走行中充電経済効果として、前記車両で発電し、または車両外部から取得して、前記蓄電装置に供給する電力量と、その電力量を発電するために必要となった燃料量との比を用いることを特徴とする。このように経済効果として電力量と燃料量との比を用いれば、充電に必要な燃料量を確実に低減できる。
請求項5は、前記走行前充電量決定手段は、前記走行前充電経済効果と前記走行中充電経済効果とを比較して、走行前充電経済効果よりも経済効果が大きい走行中充電経済効果がない場合、前記走行前充電手段を用いて前記蓄電装置を満充電することを特徴とする。このようにすれば、走行前充電経済効果よりも経済効果が大きい走行中充電経済効果がない場合にも、充電による経済効果を確実に大きくすることができる。
請求項6は、前記次走行区間を走行する際の放電電力量を決定する放電電力量決定手段と、前記次走行区間を走行する際に前記走行中充電手段が前記蓄電装置に供給可能な供給可能電力量を、走行中充電手段の種類別に決定する供給可能電力量決定手段と、前記走行中充電経済効果の大きい走行中充電手段での供給可能電力量から順に、前記放電電力量と相殺していくことで、前記放電電力量と全ての走行中充電手段の供給可能電力量の合計量との差である充放電収支を算出するとともに、全ての走行中充電手段での供給可能電力量のうち前記放電電力量と相殺されなかった供給可能電力量も決定する充放電収支算出手段とをさらに備え、
前記走行前充電量決定手段は、前記走行前充電経済効果と比較する走行中充電経済効果として、全ての走行中充電手段での供給可能電力量のうち前記放電電力量と相殺されなかった供給可能電力量に対応する走行中充電経済効果を用いることを特徴とする。
このようにすれば、次走行区間を走行中に車載電気負荷を含めた放電電力量を考慮した上で、走行前充電手段を用いた充電量を制限することになるため、制限量をより適切に決定することができる。
請求項7は、前記放電電力量決定手段は、前記車両が前記次走行区間を実際に走行したときに前記蓄電装置が放電した電力量に基づいて前記放電電力量を決定し、前記供給可能電力量決定手段は、前記車両が前記次走行区間を実際に走行したときに、前記走行中充電手段が前記蓄電装置に供給可能な電力量に基づいて前記供給可能電力量を決定し、前記走行中充電効果算出手段は、その供給可能電力量と、前記車両が前記次走行区間を実際に走行しているときに得られる情報とに基づいて、前記走行中充電経済効果を算出し、前記充放電収支算出手段は、それら放電電力量、供給可能電力量、走行中充電経済効果に基づいて、前記充放電収支を算出することを特徴とする。
このように、実際に次走行区間を走行したときの電力量等に基づいて放電電力量、供給可能電力量、走行中充電経済効果を算出し、それらに基づいて記充放電収支を算出すれば、充放電収支の精度が向上するので、その充放電収支に基づく充電量の制限量をより適切に決定できる。
請求項8は、前記放電電力量、前記供給可能電力量、前記走行中充電経済効果を、前記次走行区間の地図情報から算出することを特徴とする。このようにすれば、次走行区間を過去に走行したことがない場合であっても、充放電収支を算出することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、ハイブリッド車両(以下、単に車両という)1の要部構成を示す図である。図1に示すように、車両1は、エンジン4と2つのモータジェネレータMG1、MG2とを動力発生源として備えたシリーズパラレル式のハイブリッド車両である。
エンジン4は、燃料としてガソリンまたは軽油等を用いる内燃機関である。このエンジン4の出力軸は、遊星歯車装置12のプラネタリギアに連結されている。遊星歯車装置12のサンギアには第1モータジェネレータMG1の出力軸が連結され、遊星歯車装置12のリングギアには減速機13の入力軸が連結されている。この構成により、遊星歯車装置12は動力分割機構として機能し、エンジン4からの動力と第1モータジェネレータMG1からの動力とを統合して減速機13の入力軸に入力することができるとともに、エンジン4からの動力を減速機13の入力軸と第1モータジェネレータMG1とに分割することもできる。
上記減速機13の入力軸には、第2モータジェネレータMG2の出力軸も連結されている。減速機13は一対の常時噛み合い歯車を有しており、減速機13の出力軸の回転がデファレンシャルギア14を介して車軸(すなわち駆動軸)15に伝達される。
第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2は、それぞれ、第1インバータ8および第2インバータ10に接続されており、それら第1、第2インバータ8、10は、電力授受ライン18によってバッテリ6と電気的に接続されている。第1、第2モータジェネレータMG1、MG2は、バッテリ6からの電力が供給されるとモータとして機能して動力を発生させる。一方、車輪あるいはエンジン4の回転が伝達されることによって回転させられると発電機として機能して電力を発生させる。これらモータジェネレータMG1、MG2は、一方を発電機として機能させつつ、他方をその発電機で発電した電力を供給してモータとして機能させることもできる。第1、第2モータジェネレータMG1、MG2が発電機として機能して発生させた電力はバッテリ6に蓄電される。
バッテリ6は請求項の蓄電装置に相当するものであり、たとえば、ニッケル水素二次電池を用いる。このバッテリ6は、電力授受ライン18によってインバータ8、10と接続されていることに加えて、系内電力供給ライン19によって車両1に備えられている種々の電気負荷16とも接続されている。
本実施形態では、バッテリ6と電気負荷16とを総称して電源系という。なお、図1には示していないが、MGECU20、バッテリECU22、HV制御ECU24、エンジンECU26も系内電力供給ライン19によってバッテリ6からの電力供給を受けており、これらのECU20〜26も電気負荷16に含まれる。
バッテリECU22は、図示しない電流センサによって検出された系内電力供給ライン19の電流を逐次取得するとともに、その系内電力供給ライン19の電圧を逐次監視し、それらに基づいてバッテリ6の蓄電状態(以下、SOCという)を逐次演算する。そして、そのSOCを表す信号をHV制御ECU24へ逐次供給する。
HV制御ECU24には、車速を表す車速信号SSp、アクセル開度を表すアクセル開度信号Acc、ブレーキ踏力を示すブレーキ信号Sb、シフト位置を表すシフト位置信号Psが供給される。また、MGECU20、バッテリECU22、エンジンECU26、ナビゲーション部30との間で相互に信号の送受信を行う。そして、供給される種々の信号に基づいて所定の演算処理を実行する。
上記演算処理には、車両1が要求する駆動パワー要求値Dpおよび減速パワー要求値Bpの算出処理がある。いずれのパワー要求値Dp、Bpを算出するかは、アクセル開度およびブレーキ踏力によって定まり、それらアクセル開度およびブレーキ踏力からドライバが減速を要求していると判断できるときは減速パワー要求値Bpを算出し、ドライバが加速または速度維持を要求していると判断できるときは駆動パワー要求値Dpを算出する。
駆動パワー要求値Dpを算出する場合、まず、アクセル開度信号Accが示すアクセル開度とシフト位置信号Psが示すシフト位置とから、予め記憶されている要求駆動トルク決定マップを用いて要求駆動トルクを設定する。次いで、車速信号SSpが示す車速に基づいて車軸15の回転速度を算出し、その回転速度に上記要求駆動トルクを乗じることにより駆動パワー要求値Dpを算出する。
一方、減速パワー要求値Bpを算出する場合には、まず、ブレーキ信号Sbからブレーキ踏力を決定し、またはアクセル開度信号Accが示すアクセル開度からアクセル戻し量を決定する。そして、そのブレーキ踏力またはアクセル戻し量を加減速操作量として、加減速操作量とシフト位置信号Psが示すシフト位置とから、予め記憶されている要求減速トルク決定マップを用いて要求減速トルクを設定する。次いで、車速信号SSpが示す車速に基づいて車軸15の回転速度を算出し、その回転速度に上記要求減速トルクを乗じることにより減速パワー要求値Bpを算出する。
さらに、HV制御ECU24は、上記駆動パワー要求値Dpまたは減速パワー要求値Bp、および電源系との電力授受量EPwから、エンジン4の目標動力を算出する。電力授受量EPwは、電力授受ライン18を流れる電力量であり、電源系が電力を必要とする場合には、モータジェネレータMGによって発電された電力が電源系に供給される一方、アシスト走行の場合には、電源系からモータジェネレータMG1,2へ電力が供給される。
駆動パワー要求値Dpを算出した場合であって電源系へ電力を供給する場合には、エンジン4の動力によって、車軸15に駆動パワー要求値Dpの駆動力を発生させつつ、電源系へ供給する電力を発電するために必要なトルクをモータジェネレータMGにて発生させることができる駆動パワーが、エンジン4の目標動力となる。駆動パワー要求値Dpを算出した場合であってアシスト走行を行なう場合には、機械損失を考慮しつつバッテリ6からの電力によってモータジェネレータMGにてアシストされる動力を駆動パワー要求値Dpから差し引いた値がエンジン4の目標動力となる。減速パワー要求値Bpを算出した場合には、エンジン4の目標動力はゼロとなる。
さらに、HV制御ECU24は、目標動力をエンジン4が発生させるために必要なエンジン4のトルクを算出する。そして、その算出したトルクの出力を指示するエンジントルク指令信号をエンジンECU26へ送信する。
また、HV制御ECU24は、アシスト走行の場合には、駆動パワー要求値Dpとエンジン4の目標動力との差に基づいて、モータジェネレータMGで発生させる必要がある力行トルクを算出する。また、車両1が減速を行なう場合、すなわち、減速パワー要求値Bpが算出されている場合には、その減速パワー要求値Bp、ブレーキ踏力に基づいて、回生トルクを算出する。そして、その算出したトルクの出力を指示するMGトルク指令信号をMGECU20へ送信する。
エンジンECU26は、図示しないエンジン回転速度センサからの信号に基づいて、エンジン4の回転速度を逐次算出する。そして、逐次算出したエンジン4の回転速度と、スロットル開度とから、公知の手法によりエンジン4の実際のトルクを推定しつつ、その推定したトルクが、HV制御ECU24から送信されたエンジントルク指令信号が示すトルクとなるように、エンジン4を制御する。
MGECU20は、レゾルバ等の公知の回転速度検出センサからの信号に基づいて、モータジェネレータMG1,2の回転速度を算出するとともに、モータジェネレータMG1,2に流れる電流からモータジェネレータMG1,2のトルクを逐次算出する。そして、逐次算出したモータジェネレータMG1,2のトルクが、ハイブリッド制御ECU24から送信されたMGトルク指令信号が示すトルクとなるように、モータジェネレータMG1,2を制御する。
バッテリECU22は、電力授受ライン18を流れる電気量(すなわち充放電量)を積算し、その積算した電気量とバッテリ6の定格容量と充放電特性から、バッテリ6のSOCを逐次算出する。そして、そのSOCとバッテリ6の定格容量とから、バッテリ6が充電可能な最大の電力量および放電可能な最大の電力量を逐次算出する。ここで算出した充電可能最大電力量および放電可能最大電力量はハイブリッド制御ECU24へ送信され、エンジン4の目標動力の算出の際等に利用される。
ナビゲーション部30は、走行測定部32、演算部34、記憶部36、位置検出部38を備えている。走行測定部32は、HV制御ECU24から種々の情報を取得して、それらの情報と位置情報との対応付けを行う。ここで取得する情報としては、バッテリ6の放電電力、バッテリ6へ供給される電力、バッテリ6へ供給可能な電力、SOCなどがある。
演算部34は、走行測定部32で位置情報と対応付けられた種々の情報を記憶部36の記憶媒体に記憶させる。また、演算部34は、その記憶媒体に記憶されている種々の情報を読み出して、充電器40を用いた充電量の決定等を行なう。
記憶部36は、道路地図データベースを記憶している。また、演算部34によって演算された情報を記憶する。位置検出部38は、GPS受信機等、車両の位置検出に一般的に利用される機器を少なくとも一つ備え、その機器を用いて車両1の現在位置を逐次検出する。この現在位置には、高度を含んでいることが好ましいが、必ずしも高度を含んでいる必要はない。
充電器40には、電力授受ライン18が接続されているとともに、充電ケーブルおよび充電コネクタを備えている。その充電コネクタが車両外部の充電ステーション50の電力供給口に接続されている状態では、充電器40は、充電ステーション50から電力を取得し、取得した電力をバッテリ6や電気負荷16に供給する。充電器40がバッテリ6に供給する電力量すなわち充電量は充電器ECU28によって制御可能な構成となっている。
外部給電受信機42は、道路に埋め込まれる等、路面近傍に設けられて電磁誘導作用によって道路上の車両へ給電する無線給電装置からの電力を受信するものであり、この受信した電力でバッテリ6を充電したり、電気負荷16に電力を供給したりできる。また、この外部給電受信機42が受信した電力の情報は、ナビゲーション部30の演算部34に送信される。
充電ステーション50は、外部電源で充電可能な車両が車載バッテリを充電するための施設であり、上記電力供給口を一つまたは複数備えているとともに、駐車スペースを備えている。充電ステーション50が供給する電力は、別の場所で発電された商用電力であってもよいし、充電ステーション50にて発電した電力であってもよい。また、それらを組み合わせた電力であってもよい。また、充電ステーション50は、電力を供給するとともに、後述する走行前充電コストGsの情報を、充電ケーブルを介して送信する等、所定の方法で車両1へ送信する機能も備えている。なお、この走行前充電コストGsが請求項の走行前経済効果に相当する。
充電器ECU28は、上記走行前充電コストGsの情報を充電ステーション50から取得する。また、ナビゲーション部30と接続されており、ナビゲーション部30の演算部34との間で情報のやりとりを行う。そして、ナビゲーション部30の演算部34によって算出された充電要求電力量Woptとなるように、充電器40の充電量を制御する。なお、充電器ECU28と充電器40が請求項の走行前充電手段に相当する。
次に、この充電量の制御のメインフローチャートを図2に示す。なお、ステップS200〜S208は、ナビゲーション部30の演算部34が実行し、ステップS210〜S212は充電器ECU28が実行する。
まず、ステップS200では、車両1が充電ステーション50に接続されていることを検出したか否かを判断する。充電ステーション50に接続されていることを検出しない場合はこのステップS200を繰り返し実行する。
一方、充電ステーション50に接続されたことを検出した場合、走行前充電効果取得手段に相当する処理であるステップS202に進み、走行前充電コストGsを取得する。この走行前充電コストGsは、以下の式1で定義されるものである。
Figure 2010012946
式1において、Wsは、充電ステーション50が発電した発電電力量であり、充電ステーション50が発電設備を備えている場合には、その発電設備が発電した電力量であり、充電ステーション50自体は発電設備を備えず、別の場所の発電所にて発電した電力を供給する施設である場合には、その発電所の発電電力量となる。また、Fsは発電電力量Wsを発電するのにかかった経済量である。この経済量Fsはたとえば費用で表現される。経済量Fsとして費用を用いる場合、走行前充電コストGsの単位は[円/kWh]である。この他の経済量Fsの表現方法としては投入燃料量、二酸化炭素発生量などがあり、投入燃料量、二酸化炭素発生量の場合には、走行前充電コストGsの単位はいずれも [g/kWh] である。
式1にて走行前充電コストGsを定義すると、単位発電電力量に対する経済量が小さいほど、走行前充電コストGsの値が小さくなる。例えば1[kWh]を発電するのに20[円]かかった場合、走行前充電コストGsは20[円/kWh]であり、1[kWh]充電するために投入した燃料量が100[g]だった場合、走行前充電コストGsは100[g/kWh]と表現できる。
この走行前充電コストGsの取得方法は、たとえば、充電器ECU28が充電器40の充電ケーブルを介して充電ステーション50から取得し、さらに、充電器ECU28からナビゲーション部30の演算部34へ送信されることで、演算部34が取得する方法がある。また、記憶部36に複数の充電ステーション50の走行前充電コストGsを予め記憶しておき、位置情報に基づいて充電ステーション50を特定し、その位置情報に基づいて記憶部36から走行前充電コストGsを呼び出してもよい。また、記憶部36に走行前充電コストGsを予め記憶しておく場合、過去の使用時の走行前充電コストGsを記憶しておいてもよいし、また、設備保守時などに通信によって定期的に記憶内容を更新してもよい。
続くステップS204では、この充電ステーション50の位置を始点とする次走行区間における走行中充電コストGc[i]および充電電力量Wc[i]を、ナビゲーション部30の記憶部36から、給電源の種類別に呼び出す。ここで、[i]は給電源の種類番号であり、次走行区間を走行中にバッテリ6へ給電可能な給電源の種類の数を最大値とする変数である。この給電源は請求項の走行中充電手段に相当するものであり、給電源としては、車両1に搭載された発電装置が含まれることはもちろんのこと、車両外部から走行中に電力供給可能な給電源も含まれる。
前者の給電源として、本実施形態では、エンジン4の動力によってモータジェネレータMGを回転させて行う発電(以下、エンジン発電)を行なう構成(エンジン4およびモータジェネレータMG等)、および、制動動力によってモータジェネレータMGを回転させて行う発電(以下、回生発電)を行なう構成を備えている。他に、太陽電池を給電源として備えていてもよいし、廃熱発電装置を備えていてもよい。
後者の給電源としては、道路に埋め込まれる等、路面近傍に設けられて電磁誘導作用によって道路上の車両へ給電する無線給電装置からの電力を受信する外部給電受信機42がある。この外部給電受信機42を介して無線給電装置からバッテリ6へ行なう給電を、以下、道路給電という。なお、次走行区間の設定、および、走行中充電コストGc[i]および充電電力量Wc[i]の算出および記憶処理については後述する。
続くステップS206では、ナビゲーション部30の記憶部36から、次走行区間に対する車両走行時のバッテリ6の放電電力量Acを呼び出す。この放電電力量Acは、充電ステーション50を出発点とする次走行区間を過去に走行したときに、実際の放電電力を積算することで求めた値である。なお、次走行区間に対する車両走行時のバッテリ6の放電電力量Acの算出および記憶処理も後述する。
続くステップS208は請求項の走行前充電量決定手段に相当するものであり、ステップS202で呼び出した走行前充電コストGsと、ステップS204で呼び出した走行中充電コストGc[i]、充電電力量Wc[i]と、ステップS206で呼び出したバッテリ6の放電電力量Acから、充電ステーション50での充電要求電力量Woptを算出する。このステップS208の処理も後に詳述する。
ステップS208で充電ステーション50での充電要求電力量Woptを算出した後は、その充電要求電力量Woptとなるように充電器ECU28で充電器40を制御する(ステップS210)。続くステップS212では、充電が完了したか否か、すなわち、今回の充電において充電した電力量が充電要求電力量Woptとなったか否かを判断する。充電が完了したら制御フローを終了し、充電が未完了ならばステップS210へ戻り、充電制御を継続する。
次に、前述のステップS206にて呼び出すための放電電力量Acの算出および記憶処理を図3を用いて説明し、前述のステップS204にて呼び出すための走行中充電コストGc[i]および充電電力量Wc[i]の算出および記憶処理を図4を用いて説明する。図3、図4の処理は、いずれも、充電ステーション50を出発する毎に、その出発時に開始する。
まず、図3から説明する。なお、この図3の処理は請求項の放電電力量決定手段に相当する。ステップS310では次走行区間を設定する。次走行区間は、位置検出部38によって検出された現在位置、すなわち、充電ステーション50の位置を出発点とした一定距離の区間であり、経路案内の目的地が設定されている場合には、設定された経路に沿った一定距離、経路が設定されていない場合には、走行履歴に基づいて予想される経路に沿った一定距離の区間を設定する。
ステップS312〜S316は、ステップS310を実行した後、一定時間毎に実行する。ステップS312では、バッテリ6が現在放電中か否かをバッテリECU22を介して検出する。バッテリ6が放電中でない場合(NOの場合)はステップS316を実行し、バッテリ6が放電中である場合(YESの場合)はステップS314を実行する。
ステップS314では、その時の放電電力を算出し、現在までの放電電力の積算値に加えることで放電電力量Acを更新する。ステップS314を実行した後は、ステップS316に進む。
ステップS316では、位置検出部38を用いて現在位置を決定し、その現在位置から、ステップS310で設定した次走行区間の走行を終了したか否かを判定する。現在位置が次走行区間内(S316がNO)ならば、ステップS312へ戻り、再びステップS312以降のステップを繰り返す。一方、現在位置が次走行区間外(S316がYES)ならば、ステップS318を実行する。
ステップS318では、ステップS314で更新した最新の放電電力量を、次走行区間で放電した放電電力量Acとして、記憶部36に記憶する。なお、記憶部36に記憶することに代えて、車両1を充電ステーション50に接続した時に充電ステーション50のデータベースに記憶させてもよい。そして、充電ステーション50を利用した時に車両を判別して、事前に記憶させておいた放電電力量Acを読み込むものでもよい。この場合、充電ステーション50のデータベースに記憶させるまでは、RAM等の一時記憶メモリに放電電力量Acを記憶しておく。
なお、次走行区間をN回走行した場合には、放電電力量AcがN走行分算出されることになるが、N走行分の平均値を記憶してもよいし、走行別に放電電力量Acを記憶して、放電電力量Acの利用時に、平均値を算出して利用してもよい。
次に図4を説明する。まず、ステップS410では次走行区間を設定する。ここで設定する次走行区間はステップS310と同じ区間である。ステップS412〜S422は、ステップS410を実行した後、一定時間毎に実行する。
ステップS412では、現在、車両が充電中またはバッテリ6へ電力供給可能な状態かをバッテリECU22、HV制御ECU24を介して検出する。充電中でもなく、また、電力供給可能な状態でもない場合はステップ422を実行する一方、充電中またはバッテリ6へ電力供給可能な状態である場合はステップS414を実行する。
ここで、充電中とは、回生発電やエンジン発電等、車両1で発電を行い、発電した電力でバッテリ6を充電しているとき、または、前述の道路給電によって、走行中に車両外部から電力供給を受けて、その電力でバッテリ6を充電しているときである。
また、バッテリ6へ電力供給可能な場合とは、発電自体は可能な状態あるいは道路給電によって車両外部から電力供給可能な状態にあるにも関わらず、バッテリ6が満充電状態であるためにバッテリ6への充電が制限されている場合である。例としては、減速時であるため、回生発電は可能であるが、バッテリ6が満充電であるために、回生発電を行わない場合などがある。バッテリ6のへ電力供給可能な状態かどうかの検出方法は、バッテリ6の満充電状態を検出後、給電源別に定められた条件が成立するか否かを判定することで行なう。たとえば、回生発電の場合には、バッテリ6の満充電状態を検出後、HV制御ECU24のブレーキ信号を検出したことを条件とする。道路給電の場合には、道路給電のための無線給電装置からの電波を車両に搭載された外部給電受信機42が受信したことを条件とする。
ステップS412がYESの場合、ステップS414にて、充電中または電力供給可能な給電源が何であるかを特定する。そして、供給可能電力量決定手段に相当するステップS416では、給電源別に、充電電力量Wc[i]を算出する。充電電力量Wc[i]は、バッテリ6へ実際に供給した電力と、バッテリ6へ電力供給可能な場合における供給可能電力を時間積算したものである。
バッテリ6へ実際に供給した電力としては、バッテリ6を充電するために実際に発電した電力を用いる。バッテリ6を充電するために実際に発電した電力は、給電源が車両1において発電するものである場合には、その給電源が発電した電力となる。また、給電源が道路給電のための外部給電受信機42である場合には、その外部給電受信機42が取得した電力となる。
一方、バッテリ6へ電力供給可能な場合における供給可能電力は、推定によって算出する。例えば回生発電の場合は、ブレーキ踏力から算出された車軸の減速トルク、車輪速度、MGの効率から推定を行う。道路給電の場合は、道路の単位長さ当たりの給電電力量と道路の長さから推定する。給電源がN個ある場合、この充電電力量Wc[i]や、後述する経済量Fc[i]、走行中充電コストGc[i]は、給電源ごとに算出する。
ステップS416を実行した後は、ステップS418にて、上記ステップS416で算出した充電電力量Wc[i]を発電するのにかかった経済量Fc[i]を算出する。経済量Fc[i]はたとえば費用で表現される。回生発電の費用は発電量によらずゼロとなり、エンジン発電の費用は、エンジン発電のために投入した燃料量×燃料単価となり、道路給電の場合には、供給を受けた電力量×道路給電電力単価となる。この道路給電電力単価は、たとえば、通信によってこのステップS416を実行時に取得する。また、予め取得しておいてもよい。ただし、予め取得する場合、逐次更新されるようになっていることが好ましい。また、ユーザが入力してもよい。その他の給電源の費用も予め定められた計算手法で計算する。また、経済量Fcが費用である場合の走行中充電コストGcの単位は[円/kWh]である。
この他の経済量Fcの表現方法としては、投入燃料量、二酸化炭素発生量などがある。回生発電の投入燃料量は発電量によらずゼロとなり、エンジン発電の投入燃料量は、エンジン発電のために投入した燃料量となり、道路給電の場合には、供給を受けた電力量を車両外部の発電設備が発電するために投入した燃料量となり、この燃料量は、たとえば、通信によってこのステップS416を実行時に取得する。また、予め取得しておいてもよい。回生発電の二酸化炭素発生量は発電量によらずゼロとなり、エンジン発電の二酸化炭素発生量は、エンジン発電によって発生した二酸化炭素量であり、投入燃料量から推定する。道路給電の場合には、供給を受けた電力量を車両外部の発電設備が発電する際に発生した二酸化炭素量であり、この二酸化炭素量は、たとえば、通信によってこのステップS416を実行時に取得する。また、予め取得しておいてもよい。なお、経済量Fcが投入燃料量または二酸化炭素発生量の場合には、走行中充電コストGcの単位はいずれも [g/kWh] である。
ステップS418を実行した後は、走行中充電効果算出手段に相当するステップS420にて、ステップS416で算出した充電電力量Wc[i]およびステップS418で算出した経済量Fc[i]から、走行中充電コストGc[i]を算出する。この走行中充電コストGc[i]は、以下の式2で定義されるものである。
Figure 2010012946
式2にて走行中充電コストGc[i]を定義すると、単位充電電力量に対する経済量が小さいほど、走行中充電コストGc[i]の値が小さくなる。なお、この走行中充電コストGc[i]と、前述の走行前充電コストGsは同じ単位系で表現することとする。例えば走行中充電コストGc[i]の経済量Fc[i]を燃料消費量で表現した場合、走行中充電コストGsの経済量Fsも燃料消費量で表現する。
ステップS420を実行した後はステップS422に進む。ステップS422では、位置検出部38を用いて現在位置を決定し、その現在位置から、ステップS410で設定した次走行区間の走行を終了したか否かを判定する。現在位置が次走行区間外(S422がYES)ならば、ステップS424を実行する。
一方、現在位置が次走行区間内(S422がNO)ならば、ステップS412へ戻り、再びステップS412以降のステップを繰り返す。従って、次走行区間内を走行中は、逐次、充電電力量Wc[i]、経済量Fc[i]、走行中充電コストGc[i]を逐次更新することになる。
ステップS424では、最新の走行中充電コストGc[i]および充電電力量Wc[i]を記憶部36に記憶する。なお、放電電力量Acの場合と同様に、記憶部36に記憶することに代えて、車両を充電ステーション50に接続した時に充電ステーション50のデータベースに記憶させ、充電ステーション50を利用した時に車両を判別して、事前に記憶させておいた走行中充電コストGc[i]および充電電力量Wc[i]を読み込んでもよい。
次に、図2のステップS208における充電要求電力量Woptの算出処理を詳しく説明する。図5は、その充電要求電力量Woptの算出処理を示すフローチャートである。まず、ステップS500では、ステップS204で呼び出した次走行区間の走行中充電コストGc[i]が、ステップS202で取得した走行前充電コストGsよりも安いか否かを判断する。
全ての走行中充電コストGc[i]についてステップS500がNOの場合、すなわち、走行前充電コストGsよりも安い走行中充電コストGc[i]がない場合は、充電ステーション50で満充電まで充電することが一番充電コストを安くできることになる。この場合、ステップS514へ進み、バッテリ6が満充電となるような充電要求電力量Woptを決定する。一方、走行前充電コストGsよりも安い走行前充電コストGc[i]がある場合はステップS502を実行する。
ステップS502では、走行中充電コストGc[i]が複数ある場合、すなわち、給電源が複数ある場合に、その複数の走行中充電コストGc[i]をコストが低い順に並べ替える。
ステップS502を実行した後は、充放電収支算出手段に相当するステップS504を実行する。ステップS504では、ステップS206で呼び出した放電電力量AcとステップS204で呼び出した充電電力量Wc[i]とから、次走行区間の充放電収支Whを算出する。この充放電収支Whは、走行中充電コストGc[i]が低い充電電力量Wc[i]から順に、その充電電力量Wc[i]を放電電力量Acから引いていくことで算出する。
充電電力量Wc[i]の総和が放電電力量Acよりも多い場合には、走行中にバッテリ6の充電が可能であることになる。この場合には、充放電収支Whを算出することに加えて、放電電力量Acと相殺されなかった充電電力量Wc[i]を供給する給電源、および、相殺されなかった電力量を決定する。
ここで、ステップS502およびステップS504を図6に示す具体例を用いて説明する。図6は次走行区間において3つの給電源A−Cを使用可能な場合の放電電力量Ac、走行中充電コストGc[i]、充電電力量Wc[i]、充放電収支Whの関係を示したものである。なお、この図6の例では、給電源A、B、Cの走行中充電コストGcを、それぞれ、Gc[1]、Gc[2]、Gc[3]とし、それら3つの走行中充電コストGc[i]の大小関係は、Gc[1] < Gc[2] < Gc[3]とする。
ステップS502で走行中充電コストGc[i]の小さい順に充電電力量Wc[i]を並べ替えた結果が図6右側のグラフに示されている。一方、図6左側のグラフは放電電力量Acである。充放電収支Whの算出においては、走行中充電コストGc[i]の低い順に放電電力量Acと相殺していくため、給電源Aの充電電力量Wc[1]は全て放電電力量Acと相殺され、給電源Bの充電電力量Wc[2]の一部が放電電力量Acと相殺される。
そして、充放電収支Whは図に示す量となり、充電電力量Wc[i]の総和が放電電力量Acよりも多いことから、走行中にバッテリ6の充電が可能であると言える。なお、この場合、給電源Bの充電電力量Wc[2]の残りの部分および給電源Cの充電電力量Wc[3]の全部が放電電力量Acと相殺されない。
図5に戻り、ステップS504を実行後は、ステップS506へ進み、ステップS504で算出した充放電収支Whをもとに、次走行区間で充電可能か否かを判定する。次走行区間で充電可能でない場合(S504がNO)、次走行区間の充放電収支Whは放電となるので、充電ステーション50で満充電することが充電コストを最も安くできることになる。そこで、ステップ514へ進み、充電ステーション50での充電要求電力量Woptを満充電となるように設定する。一方、次走行区間で充電可能ならば(S506がYES)、ステップS508を実行する。
ステップS508では、充放電収支Wh内の走行中充電コストGc[i]の分析をおこなう。具体的には充放電収支Wh内の走行中充電コストGc[i]と走行前充電コストGsとの比較を行う。前述の図6の例の場合、図7の上図にも示すように、走行中充電コストGc[2]およびGc[3]を走行前充電コストGsと比較する。
比較の結果、充放電収支Wh内の走行中充電コストGc[i]が全て、走行前充電コストGsよりも高い場合、たとえば、走行中充電コストGc[3]> 走行中充電コストGc[2]> 走行前充電コストGsである場合、ステップS508はNOとなる。この場合には、充電ステーション50で満充電することが充電コストを最も安くできることになる。そこで、ステップS514へ進み、充電ステーション50での充電要求電力量Woptを満充電となるように設定する(図7左下図参照)。一方、充放電収支Wh内の走行中充電コストGc[i]で走行前充電コストGsよりも安い走行中充電コストがある場合、たとえば、走行中充電コストGc[3]> 走行前充電コストGs>走行中充電コストGc[2]である場合、ステップS508はYESとなる。この場合はステップS510を実行する。
ステップS510では、走行前充電コストGsよりも安い走行中充電コストGc[i]と充電電力量Wc[i]の抽出を行う。走行中充電コストGc[3]>走行前充電コストGs>走行中充電コストGc[2]である場合には、抽出する走行中充電コストGc[i]はGc[2]のみとなり、抽出する充電電力量Wc[i]は、給電源Bの充電電力量Wc[2]のうちの放電電力量Acと相殺されなかった部分となる(図7右下図参照)。
ステップS510を実行後は、ステップS512へ進み、バッテリ6の充電可能量(満充電SOC−充電ステーション50での充電開始時のSOC)から、ステップS510で抽出した充電電力量を引いた電力量を、充電ステーション50での充電要求電力量Woptとして決定する(図7右下図参照)。これによって、次走行区間を走行中にステップS510で抽出した充電電力量Wc[i]をバッテリ6に充電できる。
以上、説明した本実施形態によれば、走行中充電コストGc[i]と走行前充電コストGsとの比較に基づいて充電ステーション50での充電量を制限している。そのため、次走行区間を走行中に充電できるとしても、走行中に充電することによる充電コストが充電ステーション50で充電することによる充電コストよりも高い場合には、充電ステーション50での充電量を制限しないことになる。そのため、充電によるコストを確実に低減できる。
ここで、図8、図9を用いて、本発明を適用した場合のSOCの変化を従来技術と比較しつつ具体的に説明する。なお、図8、図9において、本発明を適用した車両は、回生発電および道路給電が可能な電気自動車である。
図8は、走行中充電コストGc[1]<走行前充電コストGs<走行中充電コストGc[2]の例であり、走行中充電コストGc[1]は回生発電のコスト、走行中充電コストGc[2]は道路給電のコストである。
図8において、実線は本発明、破線は従来技術を示し、図8の従来技術は、特許文献1と同様に、次走行区間においてバッテリ6を充電できる場合には、コストによらず走行中に充電することとして、充電ステーション50での充電量を制限する技術である。そのため、道路給電区間(d1−d3)では、その区間全部において充電を行ない、道路給電区間で充電できる充電量だけ、充電ステーション50(距離d0)での充電量を制限している。しかしながら、道路給電の走行中充電コストGc[2]は走行前充電コストGsよりも高いことから、道路給電区間(d1−d3)で充電を行なうために充電ステーション50での充電量を制限してしまうことは、却って高コストとなる。
一方、本発明では、道路給電の走行中充電コストGc[2]が走行前充電コストGsよりも高いことを判断して、充電ステーション50で満充電としている。そのため、充電コストを最小化できる。なお、距離d4−d5において回生発電で充電できるにもかかわらず、充電ステーション50で満充電としているのは、この回生発電での充電電力量は、走行時の放電電力量Acと相殺される分であり、充放電収支Whには含まれないからである。また、図8では、本発明も、一部の道路給電区間(d1−d2)では充電を行なっている。これは、図8の例は、電気自動車であるためエンジン走行ができないので、あまりSOCを低下させないようにしているためである。このようにしても、距離d2−d3では充電を行なっていないので、従来技術よりは充電コストを小さくすることができる。なお、距離d1−d2でも充電を行なわないように制御してもよい。
図9は、次走行区間に道路給電区間がなく、回生発電の走行中充電コストGc[1]<走行前充電コストGsとなった例である。また、この例では、充電ステーション50は高地に位置する。
図9において、実線は本発明、破線は従来技術を示し、図9の従来技術は、次走行区間を走行中に充電可能か否かを考慮せず、必ず、充電ステーション50で満充電する技術である。そのため、この例のように、次走行区間で回生発電によって多くの電力を発電できる場合には、距離d1にて満充電になってしまい、距離d1−距離d2は、回生発電ができるにもかかわらず、充電を行なうことができない。
一方、本発明では、次走行区間で充電できる充電量を考慮して充電ステーション50での充電量を制限している(距離d0)。従って、距離d1−d2においても回生発電による電力で充電を行なうことができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
たとえば、前述の実施形態では、実際に走行したときに、次走行区間の放電電力量Ac[i]および充電電力量Wc[i]を算出していたが、次走行区間の地図情報(標高データ等)を用いて、それら放電電力量Ac[i]および充電電力量Wc[i]を推定してもよい。また、地図情報に加えて平均車速データを用いてもよい。
また、前述の実施形態で示した給電源以外にも、公知の種々の給電源、例えば、太陽エネルギを用いた発電装置、飛行体や衛星から給電する装置等を用いることができる。
また、前述の実施形態の式1、式2において、分母と分子とを逆にしてもよい。この場合には、評価方法は前述の実施形態とは逆となる。
また、前述の実施形態の車両1は、シリーズパラレル式のハイブリッド車両であったが、その他の形式(シリーズ式、パラレル式)のハイブリッド車両にも本発明は適用できる。また、電気自動車にも本発明は適用できる。
ハイブリッド車両1の要部構成を示す図である。 充電量の制御のメインフローチャートである。 ステップS206にて呼び出すための放電電力量Acの算出および記憶処理を示すフローチャートである。 ステップS204にて呼び出すための走行中充電コストGc[i]および充電電力量Wc[i]の算出および記憶処理を示すフローチャートである。 図2のステップS208における充電要求電力量Woptの算出処理を詳しく示すフローチャートである。 図5のステップS502およびステップS504を具体的に説明するための図である。 図5のステップS514、S512で設定する充電要求電力量Woptを具体的に説明するための図である。 本発明を適用した場合のSOCの変化の一例を従来技術と比較可能に示す図である。 本発明を適用した場合のSOCの変化の一例を従来技術と比較可能に示す図である。
符号の説明
1:ハイブリッド車両、 4:エンジン、 6:バッテリ(蓄電装置)、 8:第1インバータ、 10:第2インバータ、 12:遊星歯車装置、 13:減速機、 14:デファレンシャルギア、 15:車軸、 16:電気負荷、 18:電力授受ライン、 19:系内電力供給ライン、 20:MGECU、 22:バッテリECU、 24:ハイブリッド制御ECU、 26:エンジンECU、 28:充電器ECU、 30:ナビゲーション部、 32:走行測定部、 34:演算部、 36:記憶部、 38:位置検出部、 40:充電器、 42:外部給電受信機、 50:充電ステーション、 MG:モータジェネレータ、 S202:走行前充電効果取得手段、 S208:走行前充電量決定手段、 S310〜S318:放電電力量決定手段、 S416:供給可能電力量決定手段、 S420:走行中充電効果算出手段、 S504:充放電収支算出手段

Claims (8)

  1. 車両に搭載される蓄電装置の充電量を制御する充電制御装置であって、
    前記車両は、
    前記蓄電装置に蓄電された電力によって走行でき、
    充電地点に設けられた外部電源から電力を取得することで、走行前に前記蓄電装置を充電する走行前充電手段と、
    車両で発電する電力または車両外部から取得する電力で車両の走行中に前記蓄電装置を充電する一種類または複数種類の走行中充電手段とを備えており、
    前記充電制御装置は、
    前記走行前充電手段で充電することによる経済効果である走行前充電経済効果を取得する走行前充電効果取得手段と、
    前記充電地点を開始点とする所定の次走行区間を走行する場合に前記走行中充電手段で充電することによる経済効果である走行中充電経済効果を、走行中充電手段の種類別に算出する走行中充電効果算出手段と、
    前記走行前充電経済効果と前記走行中充電経済効果とを比較して、走行前充電経済効果よりも走行中充電経済効果のほうが大きい場合に、その走行中充電経済効果に対応する走行中充電手段で充電可能な充電量に基づいて、走行前充電手段を用いた充電量を制限する走行前充電量決定手段と
    を含むことを特徴とする充電制御装置。
  2. 請求項1において、
    前記走行前充電経済効果として、前記外部電源から前記車両に供給される電力量と、その電力量を発電するために必要となった費用との比を用い、
    前記走行中充電経済効果として、前記車両で発電し、または車両外部から取得して、前記蓄電装置に供給する電力量と、その電力量を発電するために必要となった費用との比を用いることを特徴とする充電制御装置。
  3. 請求項1において、
    前記走行前充電経済効果として、前記外部電源から前記車両に供給される電力量と、その電力量を発電したことで発生した二酸化炭素の量との比を用い、
    前記走行中充電経済効果として、前記車両で発電し、または車両外部から取得して、前記蓄電装置に供給する電力量と、その電力量を発電する際に発生する二酸化炭素量との比を用いることを特徴とする充電制御装置。
  4. 請求項1において、
    前記走行前充電経済効果として、前記外部電源から前記車両に供給される電力量と、その電力量を発電するために必要となった燃料量との比を用い、
    前記走行中充電経済効果として、前記車両で発電し、または車両外部から取得して、前記蓄電装置に供給する電力量と、その電力量を発電するために必要となった燃料量との比を用いることを特徴とする充電制御装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項において、
    前記走行前充電量決定手段は、前記走行前充電経済効果と前記走行中充電経済効果とを比較して、走行前充電経済効果よりも経済効果が大きい走行中充電経済効果がない場合、前記走行前充電手段を用いて前記蓄電装置を満充電することを特徴とする充電制御装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項において、
    前記次走行区間を走行する際の放電電力量を決定する放電電力量決定手段と、
    前記次走行区間を走行する際に前記走行中充電手段が前記蓄電装置に供給可能な供給可能電力量を、走行中充電手段の種類別に決定する供給可能電力量決定手段と、
    前記走行中充電経済効果の大きい走行中充電手段での供給可能電力量から順に、前記放電電力量と相殺していくことで、前記放電電力量と全ての走行中充電手段の供給可能電力量の合計量との差である充放電収支を算出するとともに、全ての走行中充電手段での供給可能電力量のうち前記放電電力量と相殺されなかった供給可能電力量も決定する充放電収支算出手段とをさらに備え、
    前記走行前充電量決定手段は、前記走行前充電経済効果と比較する走行中充電経済効果として、全ての走行中充電手段での供給可能電力量のうち前記放電電力量と相殺されなかった供給可能電力量に対応する走行中充電経済効果を用いることを特徴とする充電制御装置。
  7. 請求項6において、
    前記放電電力量決定手段は、前記車両が前記次走行区間を実際に走行したときに前記蓄電装置が放電した電力量に基づいて前記放電電力量を決定し、
    前記供給可能電力量決定手段は、前記車両が前記次走行区間を実際に走行したときに、前記走行中充電手段が前記蓄電装置に供給可能な電力量に基づいて前記供給可能電力量を決定し、
    前記走行中充電効果算出手段は、その供給可能電力量と、前記車両が前記次走行区間を実際に走行しているときに得られる情報とに基づいて、前記走行中充電経済効果を算出し、
    前記充放電収支算出手段は、それら放電電力量、供給可能電力量、走行中充電経済効果に基づいて、前記充放電収支を算出することを特徴とする充電制御装置。
  8. 請求項6において、
    前記放電電力量、前記供給可能電力量、前記走行中充電経済効果を、前記次走行区間の地図情報から算出することを特徴とする充電制御装置。
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