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JP2010010195A - 自動車用電子部品の冷却装置 - Google Patents

自動車用電子部品の冷却装置 Download PDF

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JP2010010195A
JP2010010195A JP2008164505A JP2008164505A JP2010010195A JP 2010010195 A JP2010010195 A JP 2010010195A JP 2008164505 A JP2008164505 A JP 2008164505A JP 2008164505 A JP2008164505 A JP 2008164505A JP 2010010195 A JP2010010195 A JP 2010010195A
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electronic component
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直栄 佐々木
Masahiro Watanabe
正裕 渡辺
Kunihiro Iwata
邦弘 岩田
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Sumitomo Light Metal Industries Ltd
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Toyoda Iron Works Co Ltd
Sumitomo Light Metal Industries Ltd
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Abstract

【課題】コンパクトで、高い冷却性能を発揮する自動車用電子部品の冷却装置を提供すること。
【解決手段】扁平な形状を呈する外管12内に、細径な内管14の複数を内挿して、それら内管14が一列に密接配列され、さらに外管12の内周面に内管14の外周面が密接されるようにして構成した第一のユニット16a及び第二のユニット16bの二つを、電子部品26が取り付けられる側の外管12の平坦面24がそれぞれ外側となるようにして、重ね合わせた状態において直列に接続し、第一のユニット16aと第二のユニット16bとの対向する平坦面18,18間に、断熱材20を挟み込んで、冷却装置を構成する冷却ユニット10を形成した。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車用電子部品の冷却装置に関し、特に、ハイブリッド自動車等に用いられているインバータ等の電子部品の冷却器として好適に用いられ得る自動車用電子部品の冷却装置に関するものである。
近年、環境保護に加えて、燃料の高騰化等から、内燃機関に代わり、電気を駆動力として用いる交通・輸送システムとして、電気自動車、燃料電池自動車、ハイブリッド自動車等が注目を受けており、そこでは、インバータを介してバッテリーに蓄えられた電気エネルギーを用いてモーターを駆動して、動力を得るようになっている。而して、そのような動力出力機構においては、インバータ装置に大電流が流れることとなり、そのため、インバータ装置を構成しているIGBT等の半導体素子の発熱が大きくなるところから、それを冷却するために、冷却能力の大きい冷却器が必要とされて来ている。
このため、従来から、そのような高熱密度の発熱体を冷却すべく、下記のような液冷式の冷却器が、各種提案されているのである。例えば、特開平7−38025号公報(特許文献1)においては、一対のくし型の冷却ブロックを組み合わせて、扁平チューブ型とした冷却構造体が提案されており、そこでは、冷却ブロックとして、熱伝導性の優れた金属、例えば銅を切削加工して成形したものが、用いられている。また、特開2002−9216号公報(特許文献2)には、空調装置のコンデンサー用やエバポレーター用等として一般的に用いられているタイプである、押出加工にて一体成形した扁平チューブを用いた冷却流体冷却型回路装置が、提案されている。更に、特開2005−203732号公報(特許文献3)にあっては、アルミニウム製等の金属プレートの2枚をプレス成形にて加工し、その縁部を接合して、チューブ状と為すと共に、そのチューブ内に、アルミニウム製等の波板状のフィンを配置せしめてなる構造の冷却器が、提案されている。そして、これら提案されている冷却装置では、何れも、チューブの外面に取り付けられた半導体素子から発生する熱を、チューブの内部を流通する冷却液によって冷却せしめるようにした構造が、採用されているのである。
ところで、この種の冷却装置においては、その設置に際して、スペースに制約があるところから、出来るだけコンパクト化することが望まれているのであり、また半導体素子から発生する熱が益々高熱密度化されて来ているところから、更なる高冷却性能化が求められているのであるが、これまでに提案されている冷却装置にあっては、そのようなコンパクト化・高冷却性能化の要請に対して、各種の問題点を内在している。
例えば、特許文献1や特許文献3に明らかにされている如きタイプの冷却装置にあっては、二つのパーツを組み合わせてチューブを形成するものであるところから、必然的に、それらパーツ間に接合部が存在することとなるのであり、そこでは、接合部のシール性についての信頼性が問題となってくるのである。具体的には、特許文献1では、チューブの一番外側の接合部にOリングを装着して、ねじ止めする構造が採用されており、また特許文献3では、2枚のプレートの縁部がロウ付けにて接合されて、目的とするチューブが完成されているのであるが、そのようなチューブにロウ付け接合部が存在することは、一体のチューブから構成されるものと比較して、シールの信頼性に難があり、またその対策としてOリング装着等の措置は、ねじを用いた固着作業に加えて、部品点数が増大して、コストアップの要因ともなり、好ましくないことに加えて、コンパクトな冷却器となればなる程、その困難性は大きくなるのである。
かかる状況下、一体成形品が用いられる特許文献2に提案の如きタイプの冷却器が、好ましいものではあるが、そこでは、冷却器をコンパクト化する際に、冷却性能面に限界がある問題を内在している。特に、自動車のインバータ等の電子回路部品の冷却用途においては、発熱体の高密度化に加え、出来るだけ冷却器のコンパクト化が求められており、そしてそのために、限られた断面内に出来るだけ大きな冷却液流路を確保しつつ、冷却液とチューブの伝熱面も充分に確保することが必要となるものであるところ、そのような要請に充分に応え得ないのである。即ち、特許文献2に提案の如きタイプの冷却器においては、チューブの内壁を出来るだけ細く(薄く)して、その数を増やすことによって、冷却性能の向上が図られるのであるが、押出加工にて、中空のチューブの小さな断面形状の中に、細い内壁を多数形成させることは、容易ではないのである。
しかも、チューブの材質が、押出加工性の良好なアルミニウム若しくはアルミニウム合金である場合において、ポートホール押出にて中空材の押出加工は可能ではあるものの、上記したような、小断面で、複雑な断面形状の押出加工は、極めて困難となって来るのであり、更にチューブ材質として、熱伝導性の良好な銅若しくは銅合金を用いる場合にあっては、前記せるような中空のチューブを押出によって成形加工することは、殆ど不可能であったのである。
特開平7−38025号公報 特開2002−9216号公報 特開2005−203732号公報
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、コンパクトで、高冷却性能を発揮する自動車用電子部品の冷却装置を提供することにある。
そして、本発明にあっては、そのような課題を解決するために、扁平な形状を呈する外管に対して、複数本の内管が内挿されて、一列に密接配列せしめられ、該外管の内周面に該内管の外周面が密接されていると共に、該外管の扁平形状によって与えられる平坦面の一つには、所定の自動車用電子部品が取り付けられる一方、該内管内及び該内管と該外管との間の間隙全体には、冷却液が流通せしめられるように構成した第一及び第二のユニットを有し、該第一のユニットと該第二のユニットとを、それぞれの外管の対応する一端部において、リターン流路にて直列に接続せしめてなる構造の冷却ユニットの複数から構成され、それら冷却ユニットが、それぞれの第一及び第二のユニットにおける外管の対応する他端部において、冷却液の流入出口となるヘッダにて、直列に又は並列に連結せしめられてなる構造の自動車用電子部品の冷却装置にして、前記冷却ユニットにおける第一のユニットと第二のユニットとが、前記電子部品が取り付けられる側の前記外管の平坦面がそれぞれ外側となるようにして、重ね合わされると共に、該第一のユニットと該第二のユニットとの対向する前記外管の平坦面間に、断熱層が介在せしめられていることを特徴とする自動車用電子部品の冷却装置を、その要旨とするものである。
なお、かかる本発明に従う自動車用電子部品の冷却装置の望ましい態様の一つによれば、前記断熱層は、所定間隙の空間にて構成される空気層とされ、更に別の望ましい態様の一つによれば、前記断熱層は、所定厚さの断熱材層とされることとなる。
また、そのような本発明に従う自動車用電子部品の冷却装置の好ましい態様の一つにあっては、前記外管及び前記内管は、それぞれ、銅又は銅合金にて構成され、更に別の好ましい態様の一つにあっては、前記外管及び前記内管は、それぞれ、アルミニウム又はアルミニウム合金にて構成されることとなる。
このような本発明に従う自動車用電子部品の冷却装置にあっては、各冷却ユニットにおける第一及び第二の二つのユニットにおいて、それぞれの外管の扁平な外周面に設けた平坦面の一方に、所定の自動車用電子部品が個々に取り付けられる一方、内管内及び外管と内管との間の間隙全体に冷却液を流通させて、冷却を行うようにしていることにより、高熱密度の電子部品の熱が、外管の管壁全体へ熱伝導により広がると共に、電子部品を取り付けた外管内には、内管が密接するように内挿配置されているところから、外管の管壁から内管の管壁へ効果的に伝熱せしめられるようになるのであり、その結果、外管の内表面のみならず、内管の内外表面も、また、冷却液への伝熱面となるのであり、以て、冷却液への伝熱面積がより一層効果的に増加せしめられ得て、高い冷却能力を発揮することが可能となるのである。
しかも、そのような本発明に従う自動車用電子部品の冷却装置にあっては、各冷却ユニットにおいて、第一及び第二のユニットを構成する太径の外管内に、細径の内管の複数本が内挿されて、密接配置せしめられてなる一体構造を有し、ロウ付け接合部やOリング装着部を存在せしめる必要がないところから、そのコンパクト化が有利に実現され得ることとなるのであり、また、構造上においても、太径の外管内に細径の内管の複数本を内挿せしめて構成されるものであるところから、押出加工の如き特別な操作を採用することなく、小さな断面形状の中に、伝熱面となる内壁を多数形成することが、容易に可能となる。
また、かくの如き本発明に係る自動車用電子部品の冷却装置にあっては、各冷却ユニットに対して電子部品が取り付けられる箇所が、第一及び第二の2つのユニットに分割されて、冷却液流路が二分割されてなる独立した構造となっているところから、二つの電子部品を一つの外管の上下面に取り付けたユニットにおいて、相互の熱干渉を回避すべく、かかる外管の扁平な厚さを厚くする場合よりも、冷却液の流路断面積が有利に削減され得て、冷却液流速を増加させることが可能となるのであり、以て、冷却能力を効果的に向上させることが出来るのである。
さらに、かかる本発明に従う自動車用電子部品の冷却装置にあっては、各冷却ユニットにおいて、第一と第二に二分割した二つのユニットの間、即ち分割された冷却液流路間に、所定の断熱層が介在せしめられていることによって、一方の冷却液流路の温度上昇の影響(熱干渉)が他方の冷却液流路に対して及ばないように構成されているところから、冷却液の温度上昇を抑制して、より有利に冷却能力を向上させることが可能となる特徴を有している。換言すれば、一方の冷却ユニットに取り付けられた電子部品の熱が、他方のユニットに取り付けられた電子部品の冷却効果に影響を与えることがなくなり、冷却装置全体としての冷却効率が、有利に向上せしめられ得るのである。
そして、そのような第一及び第二の2つのユニットを直列に接続して、冷却液の流路がリターン流路構造となるように構成したことにより、直線流路構造とした場合に比べて、冷却装置の流れ方向長さを1/2に短縮することが出来、この点からしても、冷却装置の小型化に寄与し得ることとなったのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1は、本発明に従う自動車用電子部品の冷却装置を構成する冷却ユニットの一実施形態を示しており、そこで、(a)には、その斜視形態が、また(b)には、その平面形態が、それぞれ示されている。更に、図2及び図3には、それぞれ、図1(b)におけるA−A断面及びB−B断面の形態が示されている。
それらの図において、冷却ユニット10は、太径で厚肉の扁平形状乃至は長円形状を呈する外管12と、かかる外管12内に収容された、細径で薄肉の略円形形状を呈する7本の内管14とから、それぞれ構成されている第一のユニット16a及び第二のユニット16bの二つが、それぞれのユニットの一方の平坦面18,18が対向するようにして、所定間隔を隔てて重ね合わされて、構成されている。そして、それら第一のユニット16aと第二のユニット16bの対向する平坦面18,18の間に形成される間隙部分には、所定厚さの断熱材20が、挟み込まれている。更に、そのような冷却ユニット10を構成する第一のユニット16aと第二のユニット16bとは、図1(a)や図1(b)に示されるように、軸方向の対応する一方の端部において、それぞれの外管12,12が絞り込まれて細径とされていると共に、それらを接続するようにU字状に湾曲せしめられたリターン流路部22が一体的に形成されることによって、それら第一のユニット16aと第二のユニット16bとが直列的に接続されてなる構造とされている。また、他方の端部においては、それら第一のユニット16aと第二のユニット16bの内部を流通せしめられる冷却液の流入出口となるヘッダ23,23が、それぞれ取り付けられている。
より詳細には、外管12は、銅又は銅合金にて形成された、内管14よりも太径で厚肉の、その外周面に所定幅の平坦な二つの面をもつ扁平形状の管体とされている一方、内管14は、外管12と同様に銅又は銅合金にて形成された、外管12よりも細径で薄肉な、断面が略円形形状を呈する管体とされている。そして、そのような内管14の複数、ここでは7本の内管14が外管12内に内挿され、それぞれの内管14の外周面が、図2に示されるように外管12の内周面と密接させられると共に、図3に示されるように隣り合う内管14の外周面に密接するようにして一列に配置されることによって、外管12と内管14とが一体化せしめられて、それらが熱的に接合している、第一のユニット16a及び第二のユニット16bが、それぞれ構成されているのである。
そして、このような第一のユニット16aと第二のユニット16bが、それぞれのユニットの電子部品(発熱体)が取り付けられる側の平坦面24,24がそれぞれ外側になるようにして、即ち第一のユニット16aの平坦面18と第二のユニット16bの平坦面18とが所定間隔を隔てて対向するように重ね合わされている。なお、そのような間隙には、所定厚さの断熱材20が挿入されて、第一のユニット16aと第二のユニット16bとの間で熱干渉が発生しないようにされている。また、断熱材20としては、例えば、一般的な断熱材の一つであるロックウールが、用いられることとなる。
また、それら重ね合わされた第一及び第二のユニット16a,16bは、それぞれの外管12,12の対応する端部において細径化されて、U字形状に湾曲せしめられてなるリターン流路部22とされることによって、直列に連結されている(図1参照)。なお、外管12内に挿入配置された7本の内管14は、図3に示されるように、外管12内において両端部が開口せしめられており、そして、外管12が細径化される端部箇所よりも内側に配置されていることによって、冷却液の流路となる外管12の内周面と内管14の外周面との間に形成される間隙部分や内管14の内部が、かかる細径化部分(リターン流路部22)において相互に連通されてなる形態とされている。また、それら第一及び第二のユニット16a,16bにおける外管12,12の他方の対応する端部には、それぞれヘッダ23,23が取り付けられ、その一つが冷却液の上流側流路に、そして他の一つが冷却液の下流側流路に、それぞれ接続せしめられる構造となっている。
さらに、このような構造とされた冷却ユニット10には、その重ね合わされた第一のユニット16aと第二のユニット16bの外側に位置する平坦面24,24に、発熱体であるインバータ等の電子部品26,26が取り付けられると共に、外管12の内部、即ち、外管12の内周面と内管14の外周面との間に形成される間隙部分や内管14の内部に、所定の冷却液が流通せしめられることにより、電子部品26からの熱がそれと密着する外管12や内管14に伝達され、更にそのように外管12や内管14に伝達された熱が、管内を流通する冷却液に伝達されることによって、電子部品26と冷却液との間で熱交換が為されて、電子部品26の冷却が行われるようになっているのである。
ところで、かかる本発明に従う構造とされた冷却ユニット10は、公知の各種の手法に従って形成されることとなるが、例えば、以下に示されるような方法が、有利に採用されることとなる。即ち、先ず、第一及び第二のユニット16a,16bを構成する、所定大きさの円形の外管12の1本と内管14の複数(ここでは、ユニット当り7本)を用意し、外管12内に所定本数の内管14を挿入せしめて、管軸方向に所定間隔を隔てて配置した後、かかる外管12の外壁面に外力を加えて、外管12を目的とする扁平形状に圧縮変形させ、一体化することによって、それぞれの内管14の外周面を、隣り合う内管14の外周面や外管12の内周面に密接せしめる。この操作を、1本の外管12における第一及び第二のユニット16a,16b形成部位に対してそれぞれ実施することによって、図4(a)や図4(b)に示されるように、1本の外管12において、それぞれ7本の内管14と一体化された扁平形状部分28a,28bを形成するのである。
その後、図4(c)に示されるように、二つの扁平形状部分28a,28bを接続している細径部分28cを引き伸ばしつつ、扁平形状部分28a,28bの扁平面18,18が対向するように折り曲げることによって、扁平形状部分28aからなる第一のユニット16aと、扁平形状部分28bからなる第二のユニット16bが、図4(d)に示される如く、第一のユニット16aの平坦面18と第二のユニット16bの平坦面18とが所定間隔を隔てて対向するように重ね合わされた形状の、冷却ユニット10が実現されることとなるのである。
このような方法を採用することによって、外管12と内管14との一体化や第一のユニット16a及び第二のユニット16bを直列に接続するためのロウ付け等の作業が必要でなく、圧縮変形等の単純な工程のみで、目的とする冷却構造体10を形成することが可能となるのである。なお、第一のユニット16aや第二のユニット16bを形成する際、外管12へ外力を加え、圧縮変形をさせる手段としては、特に限定されるものではなく、例えば、縮径ダイスによる抽伸加工やプレス加工等の公知の各種の手段を適宜に採用することが可能である。また、そのような外管12の圧縮変形の際に、内管14にも変形作用が加わることによって、隣り合う内管14同士や内管14と外管12との間の密接性も、有利に高められ得ることとなる。
従って、そのような構造とされた冷却ユニット10にあっては、冷却液の流通せしめられる流路が、第一のユニット16a及び第二のユニット16bの二つのユニットによって二つに分割されているところから、二つの発熱体26の冷却構造において、流路断面積が有利に削減されて、冷却液の流速を増加させることが可能となり、その結果、冷却能力を向上させることが出来るのである。
しかも、そのように二分割した第一のユニット16a及び第二のユニット16bの二つのユニットの間には、断熱層(20)が設けられているために、一方のユニットにて吸収された発熱体26からの熱による冷却液の温度上昇が、他方のユニットの冷却液に対して発生しない、即ち、一方のユニットの温度上昇が他方のユニットに対して影響する熱干渉が及ばなくされているところから、より有利に冷却ユニット10の冷却能力を向上させることが可能となる。
また、そのような第一のユニット16aと第二のユニット16bとを直列に接続して、冷却液の流路がリターン流路構造となるようにされているため、冷却ユニットを一つのユニットにて構成した直線流路構造とした場合に比べて、冷却ユニット全体の大きさのうち、冷却液が流通する方向の長さを1/2に短縮することが出来、コンパクトな冷却ユニット10、ひいては冷却装置を得ることが可能となるのである。
さらに、かくの如き構成の冷却ユニット10にあっては、電子部品26が取り付けられてなる外管12の内周面に密接するように、複数本(ここでは、7本)の内管14が、内挿配置されているところから、外管12の平坦面24に取り付けられた電子部品26の高熱密度の熱が、熱伝導により、外管12の管壁全体に広がると共に、外管12の管壁から内管14の管壁へと伝熱せしめられ、そしてそのようにして、外管12のみならず、内管14に伝熱された熱が、外管12の端部より導入された冷却液と熱交換されることとなる。このように、外管12の内表面のみならず、内管14の内外表面も、また、冷却液への伝熱面となるようにされているところから、冷却液への伝熱面積が効果的に増加せしめられ得、以て、高い冷却能力を発揮することが出来るのである。
なお、かかる冷却ユニット10を構成する第一のユニット16a及び第二のユニット16bを形成するために用いられる外管12としては、少なくとも一つの平坦な外周面を予め形成した管体や、予め扁平形状に成形されてなる管体を用いることが可能であるが、単純円形断面形状の管体を用い、上述せるように、外壁面への外力を加えることで、内管14との密接と同時に、外表面に平坦面(18,24)を形成するようにすることが、有利に採用されることとなる。
また、そのような冷却ユニット10を構成する外管12や内管14の管材質として、ここでは熱伝達性の良好な銅又は銅合金が採用されているところから、冷却ユニット10の冷却能力が、更に向上せしめられている。なお、そのような銅や銅合金以外にも、加工性の良好なアルミニウムやアルミニウム合金を用いて冷却ユニット10を構成しても良く、それらを採用した場合にあっては、良好な冷却能力のみならず、安価に冷却ユニット10を製作することが可能となる利点も発揮されることとなる。
そして、本発明に従う自動車用電子部品の冷却装置は、かかる例示の図1の如き冷却ユニット10の複数を、図5(a)及び図5(b)に示されるように、並列的に接続したり、或いは、図5(c)に示されるように、直列的に接続することにより、構成されることとなるが、更に、それら直列的な接続と並列的な接続とを組み合わせた形態の冷却装置とすることも、勿論可能である。このように、直列方向や並列方向に複数の冷却ユニット10を接続することによって、更なる冷却性能の向上や、より大きな面積の冷却をすることが可能となるのであり、それらの接続方式や個数は、目的とする冷却装置の性能や大きさに応じて、適宜に選択されることとなる。
以上、本発明の代表的な実施形態の一つについて詳述してきたが、それは、あくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、そのような実施形態に係る具体的な記述によって、何等限定的に解釈されるものではないことが、理解されるべきである。
例えば、外管12内に内挿されて、密接配置される内管14の本数は、例示の7本に限られるものではなく、用いられる外管12や内管14の太さ等に応じて適宜の本数が選定され得るところである。
また、かかる実施形態においては、第一のユニット16aと第二のユニット16bとの間の間隙に挿入配置される断熱材20としてロックウールを採用していたが、それ以外にも、一般的に用いられる各種の断熱材が、適宜選択されて用いられることとなる。また、そのような断熱材を採用する他、かかる間隙の幅を適当な大きさの空間として、空気層を設けるようにしてもよい。即ち、所定の体積をもつ空気層により断熱効果を発揮させることにより、第一のユニット16aと第二のユニット16bとの間の熱干渉を抑えることが可能となり、間隙に断熱材を挿入した場合と同様の効果を発揮することが出来る。
さらに、例示の冷却ユニット10にあっては、第一のユニット16aと第二のユニット16bとを直列に接続するリターン流路部22が、それら第一及び第二のユニットを構成する外管12が縮径されると共に、U字形状に湾曲せしめられて、一体的に形成されていたが、そのように一体的にリターン流路部を形成しなくともよく、例えば、別体にて形成されたリターン流路部材(22)を用いて、第一のユニット16aと第二のユニット16bとを直列に接続するようにしても何等差支えない。
更にまた、そのような冷却ユニット10を構成する第一のユニット16aと第二のユニット16bとを接続するリターン流路部22の形成されている側とは反対側の端部に設けられたヘッダ23にあっては、別体にて形成されたヘッダ23を、それぞれのユニットの端部に設けるようにするほか、それらのユニットを構成する外管12を変形せしめて、それら第一のユニット16aや第二のユニット16bと一体的に形成するようにしてもよい。
その他、一々列挙はしないが、本発明が、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施されるものであり、またそのような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、何れも、本発明の範疇に属するものであることは、言うまでもないところである。
以下に、本発明の代表的な実施例の一つを示し、本発明の特徴を更に明確にすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。
先ず、本発明に従う構造を有する冷却装置を構成する冷却ユニットを形成するために、それぞれの材質がりん脱酸銅からなる、肉厚が1mmの大径の外管(12)と、肉厚が0.4mmの小径の内管(14)とを用意した。次いで、外管(12)内に7本の内管(14)を挿入した後、プレス加工を施し、それら外管12と内管14とを密着させて、図1や図2に示されるような扁平形状の第一及び第二のユニット(16a,16b)を形成した。その後、それら二つのユニットを、電子部品(26)が取り付けられる側の平坦面がそれぞれ外側になるように重ね合わせた状態で直列に接続すると共に、それら二つのユニットの対向する平坦面間に断熱材(20)としてロックウールを挟み込んで、本発明に従う構造の冷却ユニット(10)を形成し、これを実施例とした。なお、扁平形状に成形された外管12の、図2における左右方向の幅(W)は47mm、一つのユニットあたりの上下方向の厚さ(T0 )は8mm、二つのユニットを重ね合わせた冷却ユニット(10)の上下方向の厚さ(T)は17.25mmとなるようにした。また、それら二つのユニット間に挟まれる断熱材としてのロックウールは、熱伝導率が0.04W/(m・k)であり、その厚さは1.25mmであった。
このようにして得られる冷却ユニット10の断面における冷却液流路断面積は、一つのユニットあたり210mm2 であるので、二つのユニットの合計で420mm2 となり、伝熱面の面積は、冷却ユニット10の長さ:100mmあたり、71709mm2 であった。
一方、従来の構造とされた冷却ユニットとして、実施例1と同様に、管材質としてりん脱酸銅からなる肉厚が1mmの外管32と、肉厚が0.4mmの内管34とを用意し、外管32内に14本の内管34を挿入した後、プレス加工を施し、電子部品が取り付けられる二つの平坦面36,36を形成すると共に、それら外管32と内管34とを密接せしめて、図6に示されるような横断面をもつ、冷却ユニット30を製作し、これを比較例とした。なお、扁平形状に成形された外管32の、図6における左右方向の幅(W)は47mm、上下方向の厚さ(T)は14mmとなるようにした。
また、このようにして得られる冷却ユニット30の断面における冷却液流路断面積は427mm2 となり、伝熱面の面積は、冷却ユニット30の長さ:100mmあたり、62970mm2 であった。
このように準備された実施例及び比較例の冷却ユニット(10,30)において、それぞれの外面の平坦面に対して6枚の電子部品をそれぞれ貼り付ける一方、管内に冷却液として水を8L/minの流量にて流通させることによって、電子部品を冷却せしめて、電子部品の表面温度の変化を測定する冷却性能測定試験を行なった。
その結果、実施例の冷却ユニットにおいては、比較例の冷却ユニットよりも冷却ユニットの厚さが1.23倍と若干大きくなるものの、電子部品表面温度を10K低下させることが出来ることが確認された。
本発明に従う自動車用電子部品の冷却装置を構成する冷却ユニットの一例を示す説明図であって、(a)は、その斜視説明図であり、(b)は、その正面説明図である。 図1(b)におけるA−A断面説明図である。 図1(b)におけるB−B断面説明図である。 本発明に従う自動車用電子部品の冷却装置を構成する冷却ユニットを製作する工程の一例を示す説明図であって、(a)は、外管を扁平形状に変形させて内管と一体化した状態を示す平面説明図であり、(b)は、(a)の状態における二つの扁平形状部分を接続している細径部を示す正面説明図であり、(c)は、かかる細径部を引き伸ばしながら折曲加工を行う様子を示す正面説明図であり、(d)は、扁平形状部分が重ね合わされた状態まで加工した様子を示す正面説明図である。 本発明に従う自動車用電子部品の冷却装置の好ましい態様の例を示す説明図であって、(a)は、複数個の冷却ユニットを並列に接続した様子の一例を示す正面説明図であり、(b)は、(a)に示される冷却ユニットの並列接続形態の平面説明図であり、(c)は、複数個の冷却ユニットを直列に接続した様子の一例を示す正面説明図である。 従来の構造に従う自動車用電子部品の冷却ユニットの一例を示す断面説明図である。
符号の説明
10 冷却ユニット
12 外管
14 内管
16a 第一のユニット
16b 第二のユニット
18 平坦面
20 断熱材
22 リターン流路部
23 ヘッダ
24 平坦面
26 電子部品

Claims (5)

  1. 扁平な形状を呈する外管に対して、複数本の内管が内挿されて、一列に密接配列せしめられ、該外管の内周面に該内管の外周面が密接されていると共に、該外管の扁平形状によって与えられる平坦面の一つには、所定の自動車用電子部品が取り付けられる一方、該内管内及び該内管と該外管との間の間隙全体には、冷却液が流通せしめられるように構成した第一及び第二のユニットを有し、該第一のユニットと該第二のユニットとを、それぞれの外管の対応する一端部において、リターン流路にて直列に接続せしめてなる構造の冷却ユニットの複数から構成され、それら冷却ユニットが、それぞれの第一及び第二のユニットにおける外管の対応する他端部において、冷却液の流入出口となるヘッダにて、直列に又は並列に連結せしめられてなる構造の自動車用電子部品の冷却装置にして、
    前記冷却ユニットにおける第一のユニットと第二のユニットとが、前記電子部品が取り付けられる側の前記外管の平坦面がそれぞれ外側となるようにして、重ね合わされると共に、該第一のユニットと該第二のユニットとの対向する前記外管の平坦面間に、断熱層が介在せしめられていることを特徴とする自動車用電子部品の冷却装置。
  2. 前記断熱層が、所定間隙の空間にて構成される空気層である請求項1に記載の自動車用電子部品の冷却装置。
  3. 前記断熱層が、所定厚さの断熱材層である請求項1に記載の自動車用電子部品の冷却装置。
  4. 前記外管及び前記内管が、それぞれ、銅又は銅合金にて構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の自動車用電子部品の冷却装置。
  5. 前記外管及び前記内管が、それぞれ、アルミニウム又はアルミニウム合金にて構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の自動車用電子部品の冷却装置。
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