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JP2010006703A - アベルメクチンモノ配糖体誘導体 - Google Patents

アベルメクチンモノ配糖体誘導体 Download PDF

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JP2010006703A
JP2010006703A JP2006301671A JP2006301671A JP2010006703A JP 2010006703 A JP2010006703 A JP 2010006703A JP 2006301671 A JP2006301671 A JP 2006301671A JP 2006301671 A JP2006301671 A JP 2006301671A JP 2010006703 A JP2010006703 A JP 2010006703A
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acid
atom
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Satoshi Kondo
智 近藤
Hiroyuki Okita
洋行 沖田
Daigo Okamura
大悟 岡村
Shuji Itakura
修二 板倉
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Hokko Chemical Industry Co Ltd
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Hokko Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

【課題】優れた殺ダニ、殺虫または駆虫活性を有し、ダニ類の防除もしくは動物寄生虫によって引き起こされる種々の病害に対して優れた効果を示す新規4’−置換アベルメクチンモノ配糖体誘導体の提供。
【解決手段】下記一般式で表されるアベルメクチンモノ配糖体誘導体またはその塩、並びにこれらを有効成分として含有する殺ダニ剤、殺虫剤、または駆虫剤。
Figure 2010006703

【選択図】なし

Description

本発明は、アベルメクチン類からオレアンドロース1個が脱離したアベルメクチン類のモノデオレアンドロース配糖体の4'位水酸基に、複素環カルボニル基を付加することにより、殺ダニ、駆虫、殺線虫または殺虫活性を増強したアベルメクチンモノ配糖体誘導体に関する。
アベルメクチン類は、一連の16員環マクロライド化合物であり、公知の下記の式(II)で表される化合物である(特許文献1参照)。
Figure 2010006703
アベルメクチン類のモノ配糖体誘導体は、公知の下記の式(III)で表される化合物である(特許文献2参照)。
Figure 2010006703
上記アベルメクチン類は、殺ダニ、駆虫または殺虫活性を有することが知られており、それらの4"位またはアベルメクチン類のモノオレアンドロース配糖体の4'位水酸基に種々の置換基を導入した半合成アベルメクチン類も上記生物活性を有することが報告されて
いる。
アベルメクチン類の4"位またはアベルメクチン類のモノオレアンドロース配糖体の4'位水酸基にエステル結合による置換基を有するアベルメクチン類としては、置換または無置換低級アルカン酸、安息香酸または置換された安息香酸などが、アベルメクチン類の4"位またはアベルメクチン類のモノオレアンドロース配糖体の4'位水酸基でエステル結合したアベルメクチン誘導体が知られている(特許文献3参照)。
また、アベルメクチン類の5位水酸基に種々の置換基を導入した半合成アベルメクチン類も上記生物活性を有することが報告されている。5位水酸基にエステル結合を有するアベルメクチン類としては、菊酸誘導体、複素環カルボン酸誘導体等が5位水酸基にエステル結合したアベルメクチン誘導体が知られている(特許文献4参照)。
上記のようにアベルメクチン誘導体に関しては多数の報告がなされているが、無置換あるいは置換された複素環カルボン酸誘導体が、アベルメクチン類のモノオレアンドロース配糖体の4'位水酸基にエステル結合したアベルメクチン誘導体は、未だ報告されていない。
特開昭52−151197号公報 米国特許第4,206,205号公報 特開昭54−61197号公報 中国特許CN1302805号公報
アベルメクチン類は、殺ダニ、駆虫または殺虫剤として実用化されているが、これらはいずれも毒性が高く、毒物相当あるいは劇物に分類されている。特にアベルメクチンB1a/B1bは高い殺ダニ活性を示すものの、それ自体が毒物相当であるため、その使用が制限される。本発明の目的は、ダニ類、植物害虫類あるいは動物寄生虫に対して、より優れた殺ダニ、殺虫あるいは駆虫活性、及び/又は、低毒性で高い安全性を有する新規なアベルメクチン誘導体化合物を提供することである。
本発明者らは、上記目的に合致した農園芸用殺ダニ剤、殺虫剤あるいは動物寄生虫に対する駆虫剤を提供するために種々のアベルメクチン誘導体化合物の効果を検討した。その結果、新たに複素環カルボン酸誘導体をアベルメクチン類のモノオレアンドロース配糖体の4'位水酸基にエステル結合したアベルメクチン誘導体が、以下に示されるような強い生物活性、及び/又は、低毒性で高い安全性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、一般式(I)
Figure 2010006703
(式中、R1はイソプロピルまたはsec-ブチル基を示し、Aは、複素環であって、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群から選択される同一または異なった1個または2個以上の原子を含む5員環、6員環または縮合環を示し、これらの環は、無置換であるか、または、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、C1〜C6アルキルオキシ基、C1〜C6ハロアルキルオキシ基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルホキシル基、C1〜C6アルキルスルホニル基、C1〜C6アルキルアミノ基、C1〜C6アルキルカルボニル基、C1〜C6アルキルオキシカルボニル基、C1〜C6アルカノイルアミノ基から選択される同一または異なった1〜4個の置換基で置換されていてもよく、前記Aが、その環構成原子として窒素原子を含む場合には、その窒素原子は、N-オキシドを形成していてもよい。)で表されるアベルメクチンモノ配糖体誘導体またはその塩、並びにこれらを有効成分として含有する殺ダニ剤および殺虫剤、または駆虫剤に関するものである。
さらに本発明において好ましくは、前記一般式(I)におけるAが、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、テトラジン、フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾオキサジアゾールおよびベンゾチアジアゾール(これらの環は、無置換であるか、または、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、C1〜C6アルキルオキシ基、C1〜C6ハロアルキルオキシ基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルホキシル基、C1〜C6アルキルスルホニル基、C1〜C6アルキルアミノ基、C1〜C6アルキルカルボニル基、C1〜C6アルキルオキシカルボニル基およびC1〜C6アルカノイルアミノ基から選択される同一または異なった1〜4個の置換基で置換されていてもよく、前記Aが、その環構成原子として窒素原子を含む場合には、その窒素原子は、N-オキシドを形成していてもよい。)のいずれかであるアベルメクチンモノ配糖体誘導体またはその塩である。
より好ましい化合物としては、一般式(I)のAが、チアジアゾールであるアベルメクチンモノ配糖体誘導体またはその塩であるか、または、一般式(I)のAが、シンノリンであるアベルメクチンモノ配糖体誘導体またはその塩である。
前記一般式(I)で表される本発明の新規4'−置換アベルメクチンモノ配糖体誘導体は、殺ダニ、殺虫または駆虫活性を有し、ダニ類の防除もしくは動物寄生虫によって引き起こされる種々の病害に対して優れた効果を示す。特にダニに対しては、アベルメクチンま
たは市販剤の効き難いダニに対しても、ともに優れた効果を示す。又、本発明の新規化合物は低毒性で、毒物及び劇物取締法に基づく分類上、普通物に分類され、人畜に対して安全性の高い、殺ダニ剤、殺虫剤もしくは駆虫剤を提供することができる。
すなわち、本発明の化合物は果樹、野菜および花卉に寄生するハダニ科(Tetranychidae)およびフシダニ科(Eriophydae)等のダニ類の成虫および卵、動物に寄生するマダニ科(Ixodidae)、ワクモ科(Dermanyssidae)およびヒゼンダニ科(Sarcoptidae)などに対して殺ダニ活性を有しているばかりでなく、既存の殺ダニ剤が効かなくなり近年問題になってきている薬剤抵抗性のダニに対しても優れた効果を有している。このようなダニ類の例としては、以下の如きダニ類を例示することが出来る。例えば、ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ、チャノホコリダニ、ミカンサビダニ等を挙げることが出来る。
本発明の化合物は、又、その強力な殺虫効果により殺虫剤として利用可能であり、栽培植物に対して薬害を与えることなく、広範な種々の有害害虫、有害な吸汁性昆虫、咀嚼性昆虫およびその他の植物寄生害虫に対して的確な防除効果を発揮する。その他、貯蔵害虫および衛生害虫などの防除のために使用でき、それらの駆除撲滅のため適用できる。
本発明の化合物について以下に詳細に説明する。
一般式(I)中、A部分を構成する複素環としては、例えば、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、テトラジン、フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾオキサジアゾールまたはベンゾチアジアゾールのような窒素、酸素または硫黄原子より選択された1個または2個以上の原子を環原子として有する5員環、6員環または縮合環である複素環を例示することができる。
前記複素環の置換基群の一として含まれる「ハロゲン原子」としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素原子を例示することができる。
前記複素環の置換基群の一として含まれる「C1−C6アルキル基」は、炭素数1〜6個の直鎖状または分岐状アルキル基であり、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、2−メチルブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、1−メチル−1−エチルプロピル基、1,2−ジメチルブチル基、2−メチル−1−エチルプロピル基、2,2−ジメチルブチル基などを例示することができる。
前記複素環の置換基群の一として含まれる「C1−C6ハロアルキル基」は、炭素数1〜6個の直鎖状または分岐状であり、その例としては、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、1−フルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、1−フルオロプロピル基、3−フルオロプロピル基、2−クロロプ
ロピル基、3−クロロプロピル基、3−ヨードプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、1−フルオロブチル基、4−フルオロブチル基、1−クロロブチル基、5−フルオロペンチル基、6−フルオロヘキシル基、トリデカフルオロヘキシル基などのような、前記のC1−C6アルキル基にフッ素、塩素、臭素またはヨウ素のようなハロゲン原子が結合したアルキル基を意味する。
前記複素環の置換基群の一として含まれる「C1−C6アルコキシ基(アルキルオキシ基)」は、炭素数1〜6個の直鎖状または分岐状アルキル基が酸素原子と結合してなる基であり、その例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、2−メチルブトキシ基、ネオペントキシ基、n−ヘキソキシ基、4−メチルペントキシ基、3−メチルペントキシ基、2−メチルペントキシ基、3,3−ジメチルブトキシ基、1,1−ジメチルブトキシ基、1,3−ジメチルブトキシ基、2,3−ジメチルブトキシ基、1−エチルブトキシ基、1−メチル−1−エチルプロポキシ基、1,2−ジメチルブトキシ基、2−メチル−1−エチルプロポキシ基、2,2−ジメチルブトキシ基などを例示することができる。
前記複素環の置換基群の一として含まれる「C1−C6ハロアルキルオキシ基」は、例えば、炭素数1〜6個の直鎖状または分岐状アルキル基が酸素原子と結合してなる基であり、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素からなる群から選択される1種又は複数種のハロゲン原子が1又はそれ以上置換したものを意味する。その例としては、フルオロメトキシ基、クロロメトキシ基、ブロモメトキシ基、ヨードメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、ジクロロメトキシ基、トリクロロメトキシ基、2−フルオロエトキシ基、2−クロロエトキシ基、2−ブロモエトキシ基、1−フルオロエトキシ基、1,1−ジフルオロエトキシ基、2,2,2−トリフルオロエトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、1−フルオロプロポキシ基、3−フルオロプロポキシ基、2−クロロプロポキシ基、3−クロロプロポキシ基、3−ヨードプロポキシ基、ヘプタフルオロイソプロポキシ基、1−フルオロブトキシ基、4−フルオロブトキシ基、1−クロロブトキシ基、5−フルオロペントキシ基、6−フルオロヘキソキシ基、トリデカフルオロヘキソキシ基などを例示することができる。
一般式(I)中、A部分を構成する前記複素環の置換基群の一として含まれる「C1−C6アルキルチオ基」は、炭素数1〜6個の直鎖状または分岐状アルキル基が硫黄原子と結合した基であり、その例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、イソペンチルチオ基、2−メチルブチルチオ基、ネオペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、4−メチルペンチルチオ基、3−メチルペンチルチオ基、2−メチルペンチルチオ基、3,3−ジメチルブチルチオ基、1,1−ジメチルブチルチオ基、1,3−ジメチルブチルチオ基、2,3−ジメチルブチルチオ基、1−エチルブチルチオ基、1−メチル−1−エチルプロピルチオ基、1,2−ジメチルブチルチオ基、2−メチル−1−エチルプロピルチオ基、2,2−ジメチルブチルチオ基などを例示することができる。
一般式(I)中、A部分を構成する前記複素環の置換基群の一として含まれる「C1−C6アルキルスルホキシル基」は、炭素数1〜6個の直鎖状または分岐状アルキル基がスルホキシル基の硫黄原子と結合した基であり、その例としては、メチルスルホキシル基、エチルスルホキシル基、n−プロピルスルホキシル基、イソプロピルスルホキシル基、n−ブチルスルホキシル基、イソブチルスルホキシル基、sec−ブチルスルホキシル基、tert−ブチルスルホキシル基、n−ペンチルスルホキシル基、イソペンチルスルホキシル基、2−メチルブチルスルホキシル基、ネオペンチルスルホキシル基、n−ヘキシルスルホキシル基、4−メチルペンチルスルホキシル基、3−メチルペンチルスルホキシル基
、2−メチルペンチルスルホキシル基、3,3−ジメチルブチルスルホキシル基、1,1−ジメチルブチルスルホキシル基、1,3−ジメチルブチルスルホキシル基、2,3−ジメチルブチルスルホキシル基、1−エチルブチルスルホキシル基、1−メチル−1−エチルプロピルスルホキシル基、1,2−ジメチルブチルスルホキシル基、2−メチル−1−エチルプロピルスルホキシル基、2,2−ジメチルブチルスルホキシル基などを例示することができる。
一般式(I)中、A部分を構成する前記複素環の置換基群の一として含まれる「C1−C6アルキルスルホニル基」は、炭素数1〜6個の直鎖状または分岐状アルキル基がスルホニル基の硫黄原子と結合した基であり、その例としては、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、n−ブチルスルホニル基、イソブチルスルホニル基、sec−ブチルスルホニル基、tert−ブチルスルホニル基、n−ペンチルスルホニル基、イソペンチルスルホニル基、2−メチルブチルスルホニル基、ネオペンチルスルホニル基、n−ヘキシルスルホニル基、4−メチルペンチルスルホニル基、3−メチルペンチルスルホニル基、2−メチルペンチルスルホニル基、3,3−ジメチルブチルスルホニル基、1,1−ジメチルブチルスルホニル基、1,3−ジメチルブチルスルホニル基、2,3−ジメチルブチルスルホニル基、1−エチルブチルスルホニル基、1−メチル−1−エチルプロピルスルホニル基、1,2−ジメチルブチルスルホニル基、2−メチル−1−エチルプロピルスルホニル基、2,2−ジメチルブチルスルホニル基などを例示することができる。
一般式(I)中、A部分を構成する前記複素環の置換基群の一として含まれる「C1−C6アルキルアミノ基」は、炭素数1〜6個の直鎖状または分岐状アルキル基が1個または2個、窒素原子と結合した基であり、アルキル基が2個の場合アルキル基は同一でも異なっていても良い。その例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、2−メチルブチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、4−メチルペンチルアミノ基、3−メチルペンチルアミノ基、2−メチルペンチルアミノ基、3,3−ジメチルブチルアミノ基、1,1−ジメチルブチルアミノ基、1,3−ジメチルブチルアミノ基、2,3−ジメチルブチルアミノ基、1−エチルブチルアミノ基、1−メチル−1−エチルプロピルアミノ基、1,2−ジメチルブチルアミノ基、2−メチル−1−エチルプロピルアミノ基、2,2−ジメチルブチルアミノ基などを例示することができる。
一般式(I)中、A部分を構成する前記複素環の置換基群の一として含まれる「C1−C6アルキルカルボニル基」は、炭素数1〜6個の直鎖状または分岐状アルキル基がカルボニル基の炭素原子と結合してなる基であり、その例としては、アセチル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基、n−ブチルカルボニル基、イソブチルカルボニル基、sec−ブチルカルボニル基、tert−ブチルカルボニル基、n−ペンチルカルボニル基、イソペンチルカルボニル基、2−メチルブチルカルボニル基、ネオペンチルカルボニル基、n−ヘキシルカルボニル基、4−メチルペンチルカルボニル基、3−メチルペンチルカルボニル基、2−メチルペンチルカルボニル基、3,3−ジメチルブチルカルボニル基、1,1−ジメチルブチルカルボニル基、1,3−ジメチルブチルカルボニル基、2,3−ジメチルブチルカルボニル基、1−エチルブチルカルボニル基、1−メチル−1−エチルプロピルカルボニル基、1,2−ジメチルブチルカルボニル基、2−メチル−1−エチルプロピルカルボニル基、2,2−ジメチルブチルカルボニル基などを例示することができる。
一般式(I)中、A部分を構成する前記複素環の置換基群の一として含まれる「C1−C6アルキルオキシカルボニル基」は、炭素数1〜6個の直鎖状または分岐状アルキル基がカルボニルオキシ基の酸素原子と結合してなる基であり、その例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−ペントキシカルボニル基、イソペントキシカルボニル基、2−メチルブトキシカルボニル基、ネオペントキシカルボニル基、ヘキソキシカルボニル基、4−メチルペントキシカルボニル基、3−メチルペントキシカルボニル基、2−メチルペントキシカルボニル基、3,3−ジメチルブトキシカルボニル基、1,1−ジメチルブトキシカルボニル基、1,3−ジメチルブトキシカルボニル基、2,3−ジメチルブトキシカルボニル基、1−エチルブトキシカルボニル基、1−メチル−1−エチルプロポキシカルボニル基、1,2−ジメチルブトキシカルボニル基、2−メチル−1−エチルプロポキシカルボニル基、2,2−ジメチルブトキシカルボニル基などを例示することができる。
前記複素環の置換基群の一として含まれる「C1−C6アルカノイルアミノ基」は、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ブチリルアミノ基のような炭素数1個〜6個のアルカノイル基を有するアミノ基を意味する。
本発明において、一般式(I)で表されるアベルメクチンモノ配糖体誘導体の塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、このような塩としては、例えば、有機酸、無機酸、有機塩基または無機塩基との塩などが挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、塩酸、硫酸、燐酸などとの塩が挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン[トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン]、tert−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩などが挙げられる。
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。
上記した塩の中でも有機酸または有機塩基との塩が好ましく、さらに有機酸との塩としては、酢酸、安息香酸などとの塩が好ましく、有機塩基との塩としては、トリエチルアミンなどとの塩が好ましい。
なお、本発明における塩は、上記の塩に何ら限定されるものではない。
本発明における新規アベルメクチンモノオレアンドロース配糖体誘導体の4'位水酸基上の代表的な置換基の例を以下の表1−1〜表1−3に示す。ただし、本発明はこれらの表に例示された置換基を有する化合物に限定されるものではない。
表1−1〜表1−3において、各置換基を有する本発明化合物の物理化学的物性値として高速液体クロマトグラフィーでの保持時間(HPLC保持時間)を記載している。このHPLC保持時間については、後述の実施例で測定条件(使用カラム、溶離液、流量等)
を詳しく述べる。
Figure 2010006703
Figure 2010006703
Figure 2010006703
本発明の一般式(I)に示す化合物は、次の工程図に示す方法により製造することができる。
Figure 2010006703
本製造法の出発物質である一般式(II)で表される天然物のアベルメクチンB1は、特許文献1などに記載されている公知の方法に準じて発酵製造することもできるが、発酵生産物の市販品を用いることもできる。市販のアベルメクチンは25位にsec−ブチル基およびイソプロピル基がそれぞれ置換したアベルメクチンB1aおよびアベルメクチンB1bの混合物であり、その組成は約96%の“B1a”成分と約4%の“B1b”成分を含有するものである。一般式(I)の化合物の出発原料としてのアベルメクチンは、アベルメクチンB1aおよびアベルメクチンB1bの混合物をさらに精製した単一化合物もしくはそれらの混合物の状態のいずれでもあり得る。
また、本製造法のもう一つの出発物質である一般式(V)で表される複素環化合物は、公知の方法により製造するか、または市販品を用いることができる。
Figure 2010006703
本発明化合物の製造方法
以下に、アベルメクチン類(II)から一般式(I)で表される本発明の化合物を製造する方法を工程別に詳細に説明する。
[製造工程1]
製造工程1はアベルメクチンの末端のオレアンドロース 1個を酸加水分解あるいは加アルコール分解し、アベルメクチンのモノオレアンドロース配糖体を製造する工程である。
使用される酸としては、硫酸または塩酸のような無機酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸またはパラクロロベンゼンスルホン酸のような有機酸が挙げられるが、好適には、硫酸である。使用される酸の量は1当量程度が好適であるが、使用される酸および溶媒の種類により大幅に変わりうる。
反応に使用される溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールまたはt−ブタノールなどが挙げられる。これらの中で、好適には、2−プロパノールである。また、反応に使用される溶媒には、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解する溶媒を添加してもよい。好適には、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;メチレンクロリド、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プロピルのようなエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類およびアセトニトリルのようなニトリル類を挙げることができる。
反応温度は、−10℃から100℃で行われ、好適には10℃から50℃である。反応時間は、主に反応温度、または使用される溶媒の種類によって異なるが、通常5時間から100時間である。好適には、10時間から50時間である。
[製造工程2]
製造工程2はアベルメクチンモノオレアンドロース配糖体の5位水酸基を保護する工程である。7位の水酸基は、非常に反応性が低く、保護する必要はない。保護基としては、5位水酸基と選択性良く反応し、4'位水酸基での反応に影響を与えず、又、分子の他の部分に影響を与えることもなく、容易に除去されるものならばいずれも使用可能である。
一般式(IV)においてR2で表されるアベルメクチンモノオレアンドロース配糖体の5位水酸基の保護基の例としてはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、ジメチルイソプロピルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリベンジルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、ジ−t−ブチルメチルシリル基、t−ブチルメトキシフェニルシリル基、t−ブトキシジフェニルシリル基など3置換シリル基が挙げられる。好ましくはトリアルキルシリル基が挙げられ、特に好ましくはt−ブチルジメチルシリル基が挙げられる。
アベルメクチンモノオレアンドロース配糖体をジメチルホルムアミドなどの非プロトン性の溶媒に溶解し、塩基としてイミダゾールを加える。この溶液にt−ブチルジメチルシリルクロリドを加え、反応させることにより、5位水酸基がほぼ選択的に保護される。
反応温度は、−10℃から50℃で行われ、好適には0℃から25℃である。反応時間は、主に反応温度、または使用される溶媒の種類によって異なるが、通常0.5時間から24時間である。好適には、0.5時間から3時間である。
[製造工程3]
製造工程3は、5位を保護したアベルメクチンモノオレアンドロース配糖体の4'位にA−COOH(一般式(V))で表される酸あるいはその反応性誘導体をエステル結合させる反応である。
一般式(V)で表される酸の反応性誘導体としては、例えば酸ハライド(酸クロリド、酸ブロミドなど)、酸無水物、混合酸無水物、活性エステル、活性アミドなど、縮合反応に通常用いられるものが挙げられる。
一般式(V)で表される酸を用いる場合は、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ヨウ化2−クロロ−1−メチルピリジニウム、塩化2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム(DMC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)塩酸塩、p−トルエンスルホン酸、硫酸などの脱水剤が使用される。好適には、塩化2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムが挙げられる。その使用量は、一般式(V)で表される酸に対して、通常1〜5当量、好適には1〜2当量である。
使用される溶媒は、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はないが、好適には、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンのような炭化水素類、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタンのようなハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類、アセトニトリルのようなニトリル類およびこれらの溶媒の混合物などであり、特に好適には、塩化メチレンまたは1,2−ジクロロエタンである。
反応温度は、通常、−10℃〜90℃であるが、好適には0℃〜60℃である。反応時間は、主に反応温度、原料化合物、反応試薬または使用される溶媒の種類によって異なるが、通常15分〜24時間であり、好適には30分〜12時間である。
一般式(V)で表される酸ハライドを用いる場合は、反応は塩基の存在下で行われ、好適な塩基としては、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕ノネン−5(DBN)または1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン−7(DBU)のような有機塩基が挙げられる。
一般式(V)で表される酸ハライドは、通常1〜10当量、そして塩基は、通常2〜8当量使用される。反応に使用される溶媒は、カルボン酸自体を使用する場合と同様である。反応は通常、0℃〜50℃で行われ、反応時間は、5分〜12時間である。
[製造工程4]
製造工程4は4'−O−複素環カルボニルアベルメクチンモノオレアンドロース配糖体誘導体から、前記製造工程2において導入した5位の保護基を酸処理により除去する工程である。
使用される酸としては、硫酸、塩酸またはフッ化水素酸のような無機酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、パラクロロベンゼンスルホン酸のような有機酸、その他H+型の各種強酸性あるいは弱酸性のイオン交換体が挙げられるが、好適には、パラトルエンスルホン酸である。使用される酸の量は、使用される酸および溶媒の種類により大幅に変わりうるが、通常0.1〜10当量である。好適には0.5〜2当量である。
反応に使用される溶媒としては、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールおよびt−ブタノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;メチレンクロリド、1,2−ジクロロエタン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸プ
ロピルのようなエステル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタンのようなエーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドのようなアミド類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類およびアセトニトリルのようなニトリル類を挙げることができる。これらの混合溶媒でもよい。
また、反応溶媒中に必要に応じてアンモニア、トリエチルアミン、ピリジン、テトラブチルアミンなどの有機塩基、あるいはクラウンエーテルなどを加えても良い。
反応温度は、−10℃から100℃で行われ、好適には0℃から30℃である。反応時間は、主に反応温度、または使用される溶媒の種類によって異なるが、通常10分から50時間である。好適には、0.5時間から5時間である。
上記の製造工程1〜4の各工程の反応終了後、目的の反応生成化合物は、周知の方法で反応混合物より単離され、必要に応じカラムクロマトグラフィーなどの公知の手段によって精製してもよい。
前記一般式(I)で表される本発明の新規4'−置換アベルメクチンモノ配糖体誘導体は、殺ダニ、殺虫または駆虫活性を有し、ダニ類の防除もしくは動物寄生虫によって引き起こされる種々の病害に対して、優れた効果を示す。特にダニに対しては、アベルメクチンまたは市販剤の効き難いダニに対しても、優れた効果を示す。また、本発明の新規化合物は、低毒性で普通物に分類され、人畜に対して安全性の高い殺ダニ剤、殺虫剤もしくは駆虫剤を提供することができる。
すなわち、本発明の化合物は果樹、野菜および花卉に寄生するハダニ科(Tetranychidae)およびフシダニ科(Eriophydae)等のダニ類の成虫および卵、並びに、動物に寄生するマダニ科(Ixodidae)、ワクモ科(Dermanyssidae)およびヒゼンダニ科(Sarcoptidae)などのダニ類に対して、殺ダニ活性を有しているばかりでなく、既存の殺ダニ剤が効かなくなり近年問題になってきている薬剤抵抗性のダニに対しても、優れた殺ダニ効果を有している。このようなダニ類の例としては、例えば、ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ、チャノホコリダニ、ミカンサビダニ等を挙げることができる。
本発明の化合物は、また強力な殺虫効果を示す。従って、これらは殺虫剤としても使用することができる。すなわち、本発明の化合物は、栽培植物に対して薬害を与えることなく、広範な種々の有害害虫、有害な吸汁性昆虫、咀嚼性昆虫およびその他の植物寄生害虫に対して的確な防除効果を発揮する。その他、貯蔵害虫および衛生害虫などの防除のために使用でき、それらの駆除撲滅のために適用できる。
そのような害虫類の例としては、以下の如き害虫類を例示することが出来る。昆虫類として鞘翅目害虫、例えば、アズキゾウムシ、コクゾウムシ、コクヌストモドキ、ニジュウヤホシテントウ、トビイロムナボソコメツキ、ヒメコガネ、コロラドポテトビートル、マツノマダラカミキリ、イネミズゾウムシ、ヒラタキクイムシ等;鱗翅目害虫、例えば、マイマイガ、ウメケムシ、アオムシ、ハスモンヨトウ、ヨトウガ、ニカメイチュウ、アワノメイガ、コナマダラメイガ、コカクモンハマキ、コドリンガ、カブラヤガ、ハチミツガ、コナガ、ミカンハモグリガ等;半翅目害虫、例えば、ツマグロヨコバイ、トビイロウンカ、クワコナカイガラムシ、ヤノネカイガラムシ、モモアカアブラムシ、リンゴアブラムシ、ワタアブラムシ、ニセダイコンアブラムシ、ナシグンバイ、チャバネアオカメムシ、トコジラミ、オンシツコナジラミ、キジラミ等;総翅目害虫、例えば、ミカンキイロアザミウマ、ミナミキイロアザミウマ、ネギアザミウマ等;直翅目害虫、例えば、ケラ、バッタ等;網翅目害虫、例えば、チャバネゴキブリ、ワモンゴキブリ等;等翅目害虫、例えば、ヤマトシロアリ、イエシロアリ等;双翅目害虫、例えば、イエバエ、タネバエ、トマトハモグリバエ、マメハモグリバエ、ネッタイシマカ、シナハマダラカ、コガタアカイエカ等を挙げることが出来る。また、畑作・野菜などで問題となる土壌線虫や、松に寄生して松
枯れを引き起こすマツノザイセンチュウを防除する為の殺線虫剤としても有用である。
その他、種々の有害な動物寄生性昆虫類など(内部および外部寄生虫)に対して使用して有効である。このような動物寄生性昆虫類の例としては、以下の如き害虫を例示することが出来る。例えば、ウマバエ、サシバエ、ハジラミ、サシガメ、マダニ、イヌノミ等を挙げることができる。
さらに、本発明の化合物は動物および人間の寄生虫に対する駆虫剤として優れた殺寄生虫活性を有している。
特に、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコおよびニワトリのような家畜、家禽および愛玩動物に感染する次の線虫に有効である。ヘモンクス属、トリコストロンギルス属、オステルタギア属、ネマトジルス属、クーペリア属、アスカリス属、ブノストーマム属、エスファゴストーマム属、シャベルティア属、トリキュリス属、ストロンギルス属、トリコネマ属、ディクティオカウルス属、キャピラリア属、ヘテラキス属、トキソカーラ属、アスカリジア属、オキシルス属、アンキロストーマ属、ウンシナリア属、トキサスカリス属およびパラスカリア属。
ネマトジルス属、クーペリア属およびエソファゴストーマム属のある種のものは腸管を攻撃し、一方、ヘモンクス属およびオステルタギア属のものは胃に寄生し、ディクティオカウルス属の寄生虫は肺に見出されるが、本発明の化合物は、これらに対しても活性を示す。また、フィラリア科やセタリア科の寄生虫は心臓および血管、皮下およびリンパ組織のような他の組織および器官に見出されるが、本発明の化合物は、これらに対しても活性を示す。
本発明化合物は、又、人間に感染する寄生虫に対しても有用である。例えば、人間の消化管に寄生する最も普通の寄生虫である、アンキロストーマ属、ネカトール属、アスカリス属、ストロンギロイデス属、トリヒネラ属、キャピラリア属、トリキュリス属およびエンテロビウス属や、人間の消化管の外の血液または他の組織および器官に見出される他の医学的に重要な寄生虫である、フィラリア科のブツヘレリア属、ブルギア属、オンコセルカ属およびロア糸状虫属ならびに蛇状線虫科のドラクンクルス属の寄生虫、更には腸管内寄生虫の特別な腸管外寄生状態におけるストロンギロイデス属およびトリヒネラ属にも活性を示す。
本発明化合物を動物および人における駆虫剤として使用する場合は、液体飲料として経口的に投与することが出来る。飲料は、通常は、ベントナイトのような懸濁剤および湿潤剤またはその他の賦形剤と共に、適当な非毒性の溶剤または水を用いて、溶液、懸濁液または分散液として調製される。一般に、飲料形態として用いる場合には、消泡剤を含有させる。飲料処方においては、一般に、本発明化合物を約0.01〜0.5重量%、好適には0.01〜0.1重量%含有させる。
乾燥した固体の単位使用形態で経口投与することが望ましい場合は、所望量の本発明化合物を含有させたカプセル、丸薬または錠剤を使用するのが好適である。これらの使用形態は、活性成分を適当な細かく粉砕された希釈剤、充填剤、崩壊剤および/または結合剤、例えばデンプン、乳糖、タルク、ステアリン酸マグネシウム、植物性ゴムなどと均質に混和することにより製造される。このような単位使用処方は、治療される宿主動物の種類、感染の程度および寄生虫の種類および宿主の体重によって、駆虫剤の重量および含量に関して広く変化させることができる。
動物飼料と共に投与する場合は、本発明化合物を飼料に均質に分散させるか、トップドレッシングとするか又はペレットの形態として使用される。望ましい抗寄生虫効果を達成させるためには、最終飼料中に本発明化合物を0.0001〜0.02重量%配合させる
のが好適である。
又、本発明化合物を適当な溶剤または水などの液体担体に溶解または分散させたものは、前胃内、筋肉内、気管内または皮下に注射によって、非経口的に動物に投与することができる。
本発明化合物は、非経口投与のためには、落花生油、綿実油のような適当な植物油と混合して用いるのが好適である。非経口投与処方では、一般に本発明化合物を0.05〜50重量%含有させるのが好適である。
又、本発明化合物をジメチルスルホキシドまたは炭化水素溶剤のような適当な単体と混合することによって、局所的に投与し得る製剤にすることもできる。このような製剤はスプレーまたは直接的注加によって動物の外部表面に直接適用される。
最善の結果を得るための本発明化合物の最適使用量は、治療される動物の種類および寄生虫感染の型および程度によって決まるが、一般に動物体重1kgあたり約0.01〜100mg、好適には0.5〜50.0mgを経口投与することが好ましい。本発明化合物は、このような使用量を一度にまたは分割した使用量で1〜5日のような比較的短期間にわたって与えられる。
本発明化合物を農業または園芸用薬剤として使用する場合には単独で用いてもよいが、その目的に応じて当業界で慣用の処方により製剤化して用いることが好ましい。すなわち、一般式(I)の化合物またはその塩と適当な担体、界面活性剤、その他の製剤用補助剤を配合して、農薬の製剤として一般に用いられる製剤にすることができる。例えば、常法によって、水和剤、顆粒水和剤、乳剤、液剤、フロアブル剤、粉剤、DL(ドリフトレス型)粉剤、フローダスト剤、微粒剤、粒剤、錠剤、噴霧剤、マイクロカプセル、種子用コーティング剤などに製剤化することができる。なお、製剤化できる剤型はここに挙げたものに限られるものではない。
上記の製剤化に用いる固体担体としては、カオリン、ベントナイト、クレー、モンモリロナイト、タルク、バーミキュライト、アタパルガイド、珪藻土、珪砂、合成ケイ酸塩、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、アルミナ、ホワイトカーボン、硫安、尿素、デンプン、結晶セルロース、大豆粉、クルミ殻粉、タバコ茎粉などが挙げられる。
液体担体としては、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、グリセリン等)、エーテル類(例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等)、エステル類(例えば、脂肪酸のグリセリンエステル、フタル酸エステル等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、脂肪族または脂環式炭化水素類(例えば、シクロヘキサン、パラフィン類等)、芳香族炭化水素類(例えば、キシレン混合物、置換ナフタレン等)、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミドのような極性溶剤、大豆油、ココナツ油のような植物油などが挙げられる。
界面活性剤は良好な乳化、分散、湿潤性を有する製剤を得るために用い、通常の農薬製剤に用いるノニオン系、アニオン系、カチオン系、両性イオン性のいずれのタイプの界面活性剤を用いることもできる。
好適なノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、砂糖の脂肪酸エステル、グリセリンおよびペンタエリスリットの脂肪酸エステル、プルロニックタイプの界面活性剤、アセチレンアルコールならびにアセチレンジオールおよびこれらにエチレ
ンオキサイドを付加した界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、アルキルグリコシド等を挙げることができる。
好適なアニオン系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキル硫酸塩、アシルメチルタウリンの塩、上記のエチレンオキサイドを付加したノニオン系界面活性剤を硫酸または燐酸でエステル化し、必要により、これを適当なアルカリで中和したアニオン系界面活性剤、リグニンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸およびその縮合物の塩、フェノールスルホン酸およびその縮合物の塩、アクリル酸、マレイン酸、スチレンスルホン酸およびビニル基の縮合物の塩よりなる種々のポリカルボン酸型およびポリスルホン酸型ポリソープ、2−オクテノイルコハク酸塩を付加したデンプンまたはデキストリンのようなデンプン系の界面活性剤、カルボキシメチルセルロースの塩、高級脂肪酸のナトリウム、カリウム塩のような石鹸類、α−オレフィンスルホン酸塩などを挙げることができる。
好適なカチオン界面活性剤としては、アミン塩型、4級アンモニウム塩型、高級脂肪族アミンおよび脂肪族アミドのエチレンオキサイド付加物などを挙げることができる。
好適な両性イオン性界面活性剤としては、アミノ酸型あるいはベタイン型の界面活性剤、レシチンなどを挙げることができる。
これら各種の界面活性剤の水素原子の一部または全部をフッ素原子で置換した界面活性剤もまた、表面張力を低下させる力が強く、有効に使用し得る。又、上記の各種界面活性剤は、用途に応じて、単独あるいは混合して用いられる。
製剤用補助剤には、物理性改良剤、分解防止剤、消泡剤、粘度調節剤、結合剤および粘着剤等があり、これらを単独であるいは混合物として、本発明の殺ダニ剤、殺虫剤、又は駆虫剤は含むことができる。これらの製剤用補助剤の例として、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、アラビアゴム、ゼラチン、カゼイン、アルギン酸ソーダ、トラガカントゴム、キサンタンガムなどを挙げることができる。
これらの製剤中における有効成分としての本発明化合物の含有率は、製剤の形態、施用方法などの条件により適宜変更できる。一般に0.01〜99%、好適には0.1〜95%(重量%、以下同じ)になる範囲で製剤中に使用するのが望ましい。固体または液体担体は1〜99%、界面活性剤は0〜25%の範囲で含むことができる。製剤が濃縮された形である場合には、使用する前に一般に、0.00001〜0.01%(すなわち、0.1〜100ppm)に希釈される。
本発明化合物は、製剤および製剤によって調製された使用形態において、他の活性化合物、例えば、殺虫剤、毒餌、殺菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、防カビ剤、除草剤、鳥類忌避剤、植物成長調節剤、肥料、土壌改良剤などと混合して使用することができる。そして、その混用により、適用性(適用害虫、使用方法、使用時期など)の拡大を図ることができる。場合によってはそれぞれの有効成分の共力作用によって相乗的防除効果を期待することができる。ここで、上記殺虫剤としては、例えば、有機リン系殺虫剤、カーバメート系殺虫剤、ピレスロイド系殺虫剤、ネオニコチノイド系殺虫剤、微生物源殺虫剤、昆虫成長制御剤などを挙げることができる。
さらに、本発明化合物は、共力剤との混合剤としても用いることができる。共力剤は、それ自体活性を有する必要はなく、本発明化合物の殺ダニ、殺虫、又は駆虫等の効果を増強する働きをする化合物であればよい。
以下に実施例、試験例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。すなわち、本発明は、以下の製造実施例および農園芸用殺虫剤の製剤例における有効成分の添加量、担体および補助剤の種類ならびにこれらの添加量に限定はされない。又、以下の製造実施例および製剤例中、(部)とあるのはすべて重量部を意味し、%とあるのは特に体積%と記載したところを除き、重量%を意味する。
本発明化合物の出発原料としては、公知となっている発酵法で製造するか、あるいは市販品、例えば、販売元:和光純薬工業(株)(製造元:LKT Lab.Inc.)の製品名:Abamectinとして入手可能なアベルメクチン化合物が好適に使用できる。このものは、アベルメクチン骨格の25位にsec−ブチル基およびイソプロピル基がそれぞれ置換したアベルメクチンB1aおよびアベルメクチンB1bの混合物であり、その組成は約96%の“B1a”成分と約4%の“B1b”成分を含有するものである。“B1b”化合物は、重量にして極めて僅かな割合でしか存在せず、また構造上の差異は反応工程および生物活性にほとんど影響しないことから、これらの極めて類似した化合物の分離は一般に行われない。
したがって、本実施例においても、アベルメクチンモノ配糖体B1a/B1b誘導体は混合物であって、これらの各々に分離することなく、25位の置換基がsec−ブチル基およびイソプロピル基の混合物として用いた。このように、この系統の化合物は混合物であるため、物理化学特性を表すのに融点などは用いられず、一般的には高速液体クロマトグラフィーの保持時間が用いられる。本実施例でも、アベルメクチンモノ配糖体B1a/B1bの各誘導体の物理化学特性は、高速液体クロマトグラフィーでの保持時間によって表した。高速液体クロマトグラフィーでの測定条件は、以下に詳述する通りであり、各誘導体の検出には紫外線吸収の多波長検出器を用い、スペクトルマッチングにより行った。その結果を表1にまとめて示した。
なお、調製したアベルメクチンモノ配糖体B1a/B1b誘導体の化学構造は、1H−及び13C−核磁気共鳴スペクトル、および必要に応じて質量スペクトルにより確認した。
HPLCの分析条件
カラム: 株式会社ワイエムシィー製 YMC-pack ODS-AQ, 5μm(φ4.6 mm × 250mm)
移動相: A;0.01%トリフルオロ酢酸−70体積%のアセトニトリル水溶液
B;0.01%トリフルオロ酢酸−アセトニトリル
グラジエント条件:
Figure 2010006703
カラム温度:40℃
流速:2ml/min
検出:東ソー社製PD8020多波長検出器により、クロマトグラム:246nm、スペクトル:200〜300nmでの3次元検出
特にアベルメクチン骨格に特有の246nmの極大吸収、238nm及び254nmのショルダー吸収によりアベルメクチン誘導体と判断した。
実施例1
アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(工程1)
100gのアベルメクチンB1a/B1b(一般式II)を1000mlのイソプロパノールに溶解させ、氷浴にて冷却した。この溶液中に100mlのイソプロパノールに溶解した濃硫酸5gを滴下した。滴下後室温に戻し、窒素気流下、室温(約20℃)で43時間撹拌した。飽和重曹水を加えて反応液を中和した後、反応液を吸引ろ過し、ろ液を減圧下約200mlまで濃縮することによりイソプロパノールを留去した。この溶液に酢酸エチル1000mlと水500mlを加え、撹拌後2層に分離した。水層はさらに2回、1000mlの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル抽出物を合わせ、蒸留水で4回洗い、飽和食塩水で1回洗った。この酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより118gのアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体粗抽出物を得た。この粗抽出物をシリカゲル60(粒径0.063〜0.2mm、メルク社製、996g)を用いたカラムクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中の酢酸エチル濃度を30体積%〜60体積%まで5体積%ずつ段階的に上昇させて溶出した。このようにして純粋なアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(一般式III) 72.9g(工程収率:87%)を得た。
実施例2
5−O−t−ブチルジメチルシリルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(工程2)
アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 52.6gとイミダゾール 68.1gを合わせ、この中へ421mlの脱水ジメチルホルムアミドを加え、完全に溶解させた。次いで、t−ブチルジメチルシリルクロリド 24gを100mlの脱水ジメチルホルムアミドに溶解し、反応溶液中に撹拌下10分間かけて滴下した。この反応溶液を室温でさらに70分間撹拌した。反応液に2000mlの酢酸エチルと蒸留水を加え、撹拌後2層に分離した。酢酸エチル層をさらに4回少量の蒸留水で洗った後、飽和食塩水で洗った。水層はさらに2回、1000mlの酢酸エチルで抽出し、同様に処理した。この酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより68.6gの5−O−t−ブチルジメチルシリルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体粗抽出物を得た。この粗抽出物をシリカゲル60(粒径0.063〜0.2mm、メルク社製、683g)を用いたカラムクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中の酢酸エチル濃度を5体積%〜40体積%まで5体積%ずつ段階的に上昇させて溶出した。このようにして純粋な5−O−t−ブチルジメチルシリルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(一般式IV)52.3g(工程収率:86%)を得た。
実施例3
5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'− O−ピリダジン−3−カルボニルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(工程3)
乾燥したフラスコに、ピリダジン−3−カルボン酸 100mg、5−O−t−ブチルジメチルシリルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 300mg、脱水ピリジン 2ml、ジメチルアミノピリジン 10mgをそれぞれ入れ、ジクロロメタン 3mlを加えて完全に溶解させる。この溶液に塩化2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム 300mgを加え、室温で16時間撹拌した。反応液を飽和重曹水中に注ぎ、100mlの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層をさらに4回少量の蒸留水で洗った後、飽和食塩水で洗った。水層はさらに2回、100mlの酢酸エチルで抽出し、同様に処理した。この酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより
、5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−ピリダジン−3−カルボニルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体の粗抽出物 400.3mgを得た。この粗抽出物をシリカゲル60(粒径0.063〜0.2mm、メルク社製、138g)を用いたカラムクロマトグラフィーにかけ、ヘキサン中の酢酸エチル濃度を40体積%〜100体積%まで20体積%ずつ段階的に上昇させて溶出した。このようにして純粋な5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'− O−ピリダジン−3−カルボニルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(一般式VI) 273mg(工程収率:81%)を得た。
実施例4
4'− O−ピリダジン−3−カルボニルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.1:工程4)
5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'− O−ピリダジン−3−カルボニルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 273mgをメタノール 10mlに溶解し、撹拌しながら氷水浴中で冷却した。273mgのp−トルエンスルホン酸を1mlのメタノールに溶解し、氷冷した後、反応液中に加え、氷冷下でさらに90分間撹拌した。この反応液を飽和重曹水中に注ぎ、酢酸エチル100mlで抽出した。酢酸エチル層をさらに4回少量の蒸留水で洗った後、飽和食塩水で洗った。水層はさらに2回、50mlの酢酸エチルで抽出し、同様に処理した。この酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより、粗抽出物 268mgを得た。この粗抽出物をシリカゲル60(粒径0.04〜0.05mm、関東化学製、83g)カラムクロマトグラフィーにかけ、酢酸エチル中のメタノール濃度を0%〜10%まで連続的に上昇させて溶出した。このようにして純粋な4'−O−ピリダジン−3−カルボニルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(一般式I) 215mg(工程収率:90%)を得た。
1H−核磁気共鳴スペクトル(300MHz、CDCl3)δppm:0.84(1H,t, J=10.9), 0.88(3H,d, J=6.8), 0.90(3H,t, J=7.5), 1.16(3H,d, J=7.0), 1.20(3H,d, J=6.2), 1.43(1H,m), 1.48(3H,brs), 1.50(2H,m), 1.56(1H,m), 1.72(1H,m), 1.76(1H,brdd,J=12.7,3.9), 1.84(3H,brs), 1.99(1H,brdd,J=11.6,4.4), 2.21(1H,m), 2.28(2H,m), 2.31(1H,m), 2.37(1H,d,J=8.1), 2.51(1H,brt,J=6.8), 3.27(1H,dd,J=4.6,2.4), 3.39(3H,s), 3.45(1H,d,J=9.5), 3.86(1H,m), 3.94(1H,m), 3.95(1H,m), 3.97(1H,d,J=5.9), 4.20(1H,dq,J=9.9,6.4), 4.27(1H,brt,J=6.8), 4.66(2H,ABq,J=16.3,2.0), 4.84(1H, brd,J=3.5),
4.98(1H,brd,J=9.7), 5.02(1H,t, J=9.5), 5.37(1H,m), 5.39(1H,brs), 5.52(1H,dd,J=9.9,2.4), 5.72(2H,m), 5.73(1H,dd,J=9.7,1.5), 5.86(1H,m), 7.65(1H,dd, J=5.0,8.4), 8.23(1H,dd, J=1.8,8.4), 9.34(1H,dd, J=1.7,5.0)
13C−核磁気共鳴スペクトルNMR(75MHz,CDCl3)δppm:11.99(q), 12.90(q), 15.07(q), 16.33(q), 17.44(q), 19.90(q), 20.13(q), 27.48(t), 30.54(d), 34.23(t), 35.04(t), 35.16(d), 36.59(t), 39.76(d), 40.46(t), 45.68(d), 57.27(q), 66.32(d), 67.69(d), 68.28(d), 68.41(t), 74.92(d), 75.58(d), 78.66(d), 79.09(d), 80.38(s), 82.49(d), 95.14(d), 95.74(s), 118.02(d), 118.54(d), 120.36(d), 124.91(d),
126.92(d), 127.75(d), 127.95(d), 135.04(s), 136.24(d), 137.70(d), 137.92(s), 19.76(s), 151.63(s), 153.04(d), 163.81(d), 173.63(d)
実施例5
5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−ピリジン−3−カルボニルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体
乾燥したフラスコに、ニコチン酸クロリド塩酸塩 185mg、5−O−t−ブチルジメチルシリルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 200mg、4−ジメチルアミノピリジン 5mgをそれぞれ入れ、脱水ピリジン 3mlを加えて完全に溶解させ、室温で8時間撹拌した。反応液を飽和重曹水中に注ぎ、酢酸エチル15mlで抽出した。酢酸エチル層をさらに4回少量の蒸留水で洗った後、飽和食塩水で洗った。水層はさらに2回、10mlの酢酸エチルで抽出し、同様に処理した。この酢酸エチル溶液を無水硫酸ナ
トリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより粗抽出物を得た。この粗抽出物をシリカゲルを用いたクロマトグラフィーにより精製し(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル 3:1)、5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−ピリジン−3−カルボニルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 200mg(工程収率:89%)を得た。
実施例6
4'−O−ピリジン−3−カルボニルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.5)
5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−ピリジン−3−カルボニルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 200mgをメタノール3mlに溶解し、撹拌しながら氷水浴中で冷却した。200mgのp−トルエンスルホン酸を1mlのメタノールに溶解し氷冷した溶液を反応液中に加え、氷冷下でさらに2時間撹拌した。この反応液を飽和重曹水中に注ぎ、15mlの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層をさらに4回少量の蒸留水で洗った後、飽和食塩水で洗った。水層はさらに2回、10mlの酢酸エチルで抽出し、同様に処理した。この酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより、粗抽出物を得た。この粗抽出物をシリカゲルを用いたクロマトグラフィーにより精製し(展開溶媒 ヘキサン:2−プロパノール 3:2)、4'−O−ピリジン−3−カルボニルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 140mg(工程収率:80%)を得た。
1H−核磁気共鳴スペクトル(300MHz、CDCl3)δppm:4.96(t, 1H, J=9.5), 7.43(m, 1H), 8.36(dt, 1H, J=1.8, 7.9), 8.80(dd, 1H, J=1.7, 4.8), 9.27(d, 1H, J=2.0)
実施例7
5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'− O−ベンゾフラン−2−カルボニルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体
乾燥したフラスコにベンゾフラン−2−カルボン酸 190mg、5−O−t−ブチルジメチルシリルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 200mg、4−ジメチルアミノピリジン 5mgをそれぞれ入れ、脱水ピリジン 3mlを加えて完全に溶解させた。この溶液に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 230mgを加え、室温で3時間撹拌した。反応液を飽和重曹水中に注ぎ、15mlの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層をさらに4回少量の蒸留水で洗った後、飽和食塩水で洗った。水層はさらに2回、10mlの酢酸エチルで抽出し、同様に処理した。この酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより粗抽出物を得た。この粗抽出物をシリカゲルを用いたクロマトグラフィーにより精製し(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル 4:1)、5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'− O−ベンゾフラン−2−カルボニルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 200mg(工程収率:85%)を得た。
実施例8
4'−O−ベンゾフラン−2−カルボニルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.20)
5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−ベンゾフラン−2−カルボニルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 200mgをメタノール3mlに溶解し、撹拌しながら氷水浴中で冷却した。220mgのp−トルエンスルホン酸を1mlのメタノールに溶解し、氷冷した溶液を反応液中に加え、氷冷下でさらに2時間撹拌した。この反応液を飽和重曹水中に注ぎ、15mlの酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層をさらに4回少量の蒸留水で洗った後、飽和食塩水で洗った。水層はさらに2回、10mlの酢酸エチルで抽出し、同様に処理した。この酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより粗抽出物を得た。この粗抽出物をシリカゲルを用いたクロマトグラフィーにより精製し(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル 2:1(体積比)から開始して
1:1(体積比)まで)、4'− O−ベンゾフラン−2−カルボニルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 145mg(工程収率:82%)を得た。
1H−核磁気共鳴スペクトル(300MHz、CDCl3)δppm:4.96(t, 1H, J=9.5), 7.71〜7.29(m, 5H,)
実施例9から実施例16まで
以下に示す実施例9から実施例16までの化合物は、上記実施例1から実施例8までに記載された操作に準じて製造された。それらの製造法をより具体的に示すため、各化合物番号の後に製造工程3で用いた複素環カルボン酸のエステル結合方法および各工程における収率を記載した。
複素環の結合方法は以下の通りである。
A法:塩化2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウムを用いる方法(実施例3)
B法:複素環カルボン酸の酸塩化物を用いる方法(実施例5)
C法:1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩を用
いる方法(実施例7)
実施例9
4'−O−(シンノリン−3−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体〔化合物No.18:C法、工程3(87%)→工程4(92%)〕
1H−核磁気共鳴スペクトル(300MHz、CDCl3)δppm:5.07(t, 1H, J=9.5), 7.93(m, 1H), 8.67(m, 1H), 8.87(m, 1H), 9.72(s, 1H)
実施例10
4'−O−(4−メチル−1,2,5−チアジアゾール−3−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体〔化合物No.19:C法、工程3(85%)→工程4(91%)〕
1H−核磁気共鳴スペクトル(300MHz、CDCl3)δppm:2.86(s, 3H), 4.96(t, 1H, J=9.5), 7.27(s, 1H)
実施例11
4'−O−(6−ヒドロキシピリダジン−3−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体〔化合物No.21:A法、工程1(85%)→工程4(92%)〕
1H−核磁気共鳴スペクトル(300MHz、CDCl3)δppm: 4.85(t,1H,J=9.5),
6.95(d,1H,J=9.9), 7.88(d,1H,J=9.9)
実施例12
4'−O−(3−ヒドロキシピリダジン−4−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体〔化合物No.22:A法、工程1(21%)→工程4(91%)〕
1H−核磁気共鳴スペクトル(300MHz、CDCl3)δppm:4.83(t,1H,J=9.5), 7.46(d,1H,J=4.0), 7.87(d,1H,J=4.0), 12.28(brs,1H)
実施例13
4'−O−(6−クロロピリダジン−3−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体〔化合物No.23:A法、工程1(82%)→工程4(92%)〕
1H−核磁気共鳴スペクトル(300MHz、CDCl3)δppm: 4.95(t,1H,J=9.5),
7.63(d,1H,J=8.9), 8.13(d,1H,J=8.9)
実施例14
4'−O−(3−クロロピリダジン−4−カルボニル)アベルメクチンB1a/B1bモ
ノ配糖体〔化合物No.24:A法、工程1(80%)→工程4(92%)〕
1H−核磁気共鳴スペクトル(300MHz、CDCl3)δppm: 4.91(t,1H,J=9.5),
7.78(d,1H,J=4.9), 9.28(d,1H,J=4.9)
実施例15
5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−1,2,3−チアジアゾール−4−カルボニルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体
乾燥したフラスコに1,2,3−チアジアゾール−4−カルボン酸 0.9g、5−O−t−ブチルジメチルシリルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 2.0g、4−ジメチルアミノピリジン 30mg、脱水ピリジン 1.0gをそれぞれ入れ、脱水ジクロロメタン20mlを加えて完全に溶解させる。この溶液に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 1.8gを加え、室温で2時間撹拌した。反応液を飽和重曹水中に注ぎ、100mlのジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタン層をさらに4回少量の蒸留水で洗った後、飽和食塩水で洗った。水層はさらに2回、50mlのジクロロメタンで抽出し、同様に処理した。このジクロロメタン溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより、粗抽出物を得た。この粗抽出物をシリカゲルを用いたクロマトグラフィーにより精製し(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル
5:1)、5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−1,2,3−チアジアゾール−4−カルボニルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 1.8g(工程収率:79%)を得た。
実施例16
4'−O−1,2,3−チアジアゾール−4−カルボニルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(化合物No.30)
5−O−t−ブチルジメチルシリル−4'−O−1,2,3−チアジアゾール−4−カルボニルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 1.8gをメタノール 20mlに溶解し、撹拌しながら氷水浴中で冷却した。1.0gのp−トルエンスルホン酸を3mlのメタノールに溶解し氷冷した溶液を反応液中に加え、氷冷下でさらに1時間撹拌した。この反応液を飽和重曹水中に注ぎ、酢酸エチル100mlで抽出した。酢酸エチル層をさらに4回少量の蒸留水で洗った後、飽和食塩水で洗った。水層はさらに2回、50mlの酢酸エチルで抽出し、同様に処理した。この酢酸エチル溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮乾固することにより粗抽出物を得た。この粗抽出物をヘキサンで洗浄することにより、4'−O−1,2,3−チアジアゾール−4−カルボニルアベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体 1.6g(工程収率:100%)を得た。
1H−核磁気共鳴スペクトル(300MHz、CDCl3)δppm: 5.03(t, 1H, J=9.4), 9.34(s,
1H,)
製剤例1(粉剤)
化合物番号1番の化合物2部、PAP(物理性改良剤)1部およびクレー97部を均一に混合、粉砕して、有効成分を2%含有する粉剤を得る。
製剤例2(水和剤)
化合物番号14番の化合物30部、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル5部およびクレー62部を均一に混合、粉砕して、有効成分を30%含有する水和剤を得る。
製剤例3(乳剤)
化合物番号19番の化合物30部、メチルエチルケトン55部およびポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル15部を混合して溶解すれば、有効成分を30%含有する乳剤を得る。
製剤例4(粒剤)
化合物番号24番の化合物5部、ラウリルサルフェート1.5部、リグニンスルホン酸
カルシウム1.5部、ベントナイト25部およびクレー67部を均一に混合し、これに水15部を加えて混練機で混練した後、造粒機で造粒し、流動乾燥機で乾燥すると、有効成分を5%含有する粒剤を得る。
製剤例5(フロアブル剤)
化合物番号30番の化合物40部、ラウリルサルフェート2部、アルキルナフタレンスルホン酸ソーダ2部、ヒドロキシプロピルセルロース1部および水55部を均一に混合し、有効成分を40%含有するフロアブル剤を得る。
次に、本発明化合物の各種植物害虫(ダニ、昆虫)、線虫(C.elegans)に対する防除または殺虫活性および毒性試験の各試験例を示すが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されることはない。
なお、以下の表4、6、8および9中の比較化合物1は、アベルメクチンB1a/B1b(含有比約96:4)であり、比較化合物2は、アベルメクチンB1a/B1bモノ配糖体(含有比約96:4)であり、比較化合物3はミルベメクチンA3/A4(含有比約3:7)であり、次に示す構造を有する化合物である。
Figure 2010006703
試験例1 (ナミハダニに対する殺虫効果試験1、リーフディスク法)
本発明化合物各10mgを、アセトン6.2ml、キシレン2.5mlおよびソルポール700HD(東邦化学社製)1.3mlの混合液に溶解し、これをイオン交換水にて希釈することにより、本発明化合物を濃度1ppm及び0.1ppmで含有する供試薬液を調製した。一方で、ガラス製シャーレ(直径9cm)に、2.5gの寒天をイオン交換水1Lに溶解させた寒天溶液を満たし、放冷した。この寒天ゲル上にインゲンマメ本葉より作成した直径3cmのリーフディスクを2枚置き、そこへナミハダニ雌成体を10頭ずつ
放虫した。放虫24時間後にナミハダニ雌成体を除去し、産下された卵に対して、濃度1ppm及び0.1ppmに調製した供試薬液を2.5ml/シャーレの散布液量で筒型自動散布装置にて噴霧散布した。このリーフディスクを25℃恒温室内(16時間照明)に置き、処理8日後に実体顕微鏡下で生存個体数および死亡個体数を調査した。本試験は2連制で行い、下記の計算式により死虫率(%)を算出し、その平均死虫率を求めた。この平均死虫率を下記に示した基準により死虫率の評価値に換算した。その結果は表4のとおりである。
Figure 2010006703
Figure 2010006703
Figure 2010006703
試験例2 (マメアブラムシに対する殺虫効果)
プラスチック製カップ(直径5.5cm)で栽培したそらまめ苗に対して、マメアブラムシ成虫を3頭ずつ放虫した。そしてその24時間後にこのそらまめ苗をターンテーブル上に乗せ、試験例1と同様に調製した本発明化合物の濃度10ppmの供試薬液を2.5ml/カップの施用量でスプレーガンにより噴霧散布した。処理後、このそらまめを25℃恒温室内(16時間照明)に置き、処理4日後に寄生している成虫と幼虫数を調査した。本試験は2連制で行い、次式により防除価(%)を算出し、その平均防除価を求めた。この平均防除価を下記基準により防除価の評価値に換算した。その結果は表6のとおりである。

Figure 2010006703
Figure 2010006703
Figure 2010006703
試験例3 (C. elegansに対する殺線虫効果)
大腸菌を生育させたNGM培地のシャーレに土壌線虫 C. elegansを20℃で4日間飼育する。この線虫を生理食塩水で洗い取り、線虫濃度が100匹/mlになるよう希釈調整する。この線虫希釈液1mlをガラスシャーレ(直径4cm)に取り、濃度1ppm及び0.1ppmになるよう供試薬液を加え、25℃の恒温室内に放置した。24時間後、実体顕微鏡下で生存個体数および死亡個体数を調査した。本試験は2連制で行い、下記の計算式より殺線虫率を算出し、その平均殺線虫率を求めた。この平均殺線虫率を下記の基準により殺線虫率の評価値に換算した。その結果は表8のとおりである。

Figure 2010006703
Figure 2010006703
Figure 2010006703
試験例4 (マウスに対する急性経口毒性試験)
急性経口毒性試験の投与量は、30mg/kg体重と300mg/kg体重の2濃度で行った。10週齢、体重約30gの雄マウスを各試験区3頭ずつ用い、投与量が各マウスについて上記所定量になるよう調製した試験液を、金属製胃ゾンデを用いて単回強制経口投与した。投与後、14日間マウスの生死および一般状態から導き出される毒物及び劇物取締法に基づく毒性分類を評価した。その結果をLD50値と共に表9に示す。
Figure 2010006703

Claims (6)

  1. 下記一般式(I)で表されるアベルメクチンモノ配糖体誘導体またはその塩。
    Figure 2010006703
    (式中、R1はイソプロピルまたはsec-ブチル基を示し、Aは、複素環であって、酸素原子、窒素原子および硫黄原子からなる群から選択される同一または異なった1個または2個以上の原子を含む5員環、6員環または縮合環を示し、これらの環は、無置換であるか、または、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、C1〜C6アルキルオキシ基、C1〜C6ハロアルキルオキシ基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルホキシル基、C1〜C6アルキルスルホニル基、C1〜C6アルキルアミノ基、C1〜C6アルキルカルボニル基、C1〜C6アルキルオキシカルボニル基、C1〜C6アルカノイルアミノ基から選択される同一または異なった1〜4個の置換基で置換されていてもよく、前記Aが、その環構成原子として窒素原子を含む場合には、その窒素原子は、N-オキシドを形成していてもよい。)
  2. 前記一般式(I)において、Aが、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、テトラジン、フラン、チオフェン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾオキサジアゾールおよびベンゾチアジアゾール(これらの環は、無置換であるか、または、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、C1〜C6アルキル基、C1〜C6ハロアルキル基、ヒドロキシル基、チオール基、アミノ基、C1〜C6アルキルオキシ基、C1〜C6ハロアルキルオキシ基、C1〜C6アルキルチオ基、C1〜C6アルキルスルホキシル基、C1〜C6アルキルスルホニル基、C1〜C6アルキルアミノ基、C1〜C6アルキルカルボニル基、C1〜C6アルキルオキシカルボニル基およびC1〜C6アルカノイルアミノ基から選択される同一または異なった1〜4個の置換基で置換されていてもよく、前記Aが、その環構成原子として窒素原子を含む場合には、その窒素原子は、N-オキシドを形成していてもよい。)のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載のアベルメクチンモノ配糖体誘導体またはその塩。
  3. 一般式(I)において、Aがチアジアゾールであることを特徴とする請求項1に記載のアベルメクチンモノ配糖体誘導体またはその塩。
  4. 一般式(I)において、Aがシンノリンであることを特徴とする請求項1に記載のアベルメクチンモノ配糖体誘導体またはその塩。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のアベルメクチンモノ配糖体誘導体またはその塩を有効成分として含有することを特徴とする殺ダニ剤または殺虫剤。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のアベルメクチンモノ配糖体誘導体またはその塩を有効成分として含有することを特徴とする駆虫剤。
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