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JP2010088713A - ミシンの糸調子装置 - Google Patents

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JP2010088713A JP2008262649A JP2008262649A JP2010088713A JP 2010088713 A JP2010088713 A JP 2010088713A JP 2008262649 A JP2008262649 A JP 2008262649A JP 2008262649 A JP2008262649 A JP 2008262649A JP 2010088713 A JP2010088713 A JP 2010088713A
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博嗣 山本
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Abstract

【課題】糸の張力の調節作業を容易にし、工具を用いなくても簡単に張力を調節する。
【解決手段】ミシンの糸調子装置(1)は、一対の糸調子皿により糸を挟持して糸に張力を付与する第1糸調子(2)と、糸を挟持して糸に張力を付与すると共に、糸に付与される張力が調節可能とされた第2糸調子(3)と、糸に付与する張力を調節可能とされた糸取りばね(7)と、糸を天秤に向けて案内する第1天秤糸案内(4)と、ミシンフレームの左右方向に沿って移動可能とされ、糸に付与する張力を調節可能とされた第2天秤糸案内(5)と、少なくとも、第2糸調子と第1天秤糸案内のうち何れか一方と第2天秤糸案内とが設けられる土台(6)と、を備え、土台は、第1糸調子及び天秤に対し、少なくとも、第2糸調子と第1天秤糸案内のうち何れか一方及び第2天秤糸案内の位置関係を同時に変化するように、ミシンフレームに対して移動自在に設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、糸の張力を調節するミシンの糸調子装置に関する。
1本針のミシンにおいては、図6に示すように、ミシンフレームに第1糸調子101、第2糸調子102、第1天秤糸案内103、第2天秤糸案内104が設けられている。糸供給源から引き出された糸110は、第1糸調子101から上記の順に掛け渡され、ミシンフレームの上下方向に沿って往復移動する天秤105に通され、針に導かれる。
ここで、第1糸調子101は、糸切り時に糸の乱れを抑えるものである。第2糸調子102は、図7に示すように、一対の糸調子皿102a,102bにより糸を挟持して糸に張力を付与すると共に、糸取りばね106により糸の張力の微調整を行うものである。一対の糸調子皿102a,102bによる糸への張力の付与は、調節ダイヤル102cを操作して、ばね102dを付勢することで一方の糸調子皿102bを他方の糸調子皿102aに押し付けることにより行われる。糸取りばね106による張力の調節は、糸取りばね106の一端が取り付けられている糸調子軸107を回転させることにより行われる。すなわち、糸調子軸107を回転させる程、糸取りばね106がねじられるので、元に戻ろうとする付勢力が大きくなり、糸に付与する張力を大きくすることができる。糸調子軸107は、止めねじ108により固定される。
また、第1天秤糸案内103は、天秤105に至る糸のガイドである。第2天秤糸案内104は、ミシンフレームの左右方向に移動させることで、天秤105と第1天秤糸案内103間の糸経路を変更して糸にかかる張力を調節するものである。
従って、糸の張力の調節は、第2糸調子102の糸調子皿、糸取りばね106、第2天秤糸案内104により調節することができる。
2本針のミシンにおいては、図8に示すように、2本の糸210,211の張力を調節するため、第1糸調子201,202、第2糸調子203,204、第1天秤糸案内205,206がそれぞれの糸に対して設けられている。そして、第2天秤糸案内207で一つにまとめられ、天秤208に導かれている。2本針のミシンの場合、各部品のレイアウトの観点、第2糸調子203,204の張力解放の機構上の観点から、各部品はミシンフレームにねじ209で固定された土台220に設けられている。
また、2本針ミシンでは、第2天秤糸案内を移動させて糸張力の調節を行っている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−93681号公報
しかし、上記した1本針ミシン或いは2本針ミシンにおいて糸の張力を調節する場合には、第2糸調子102の糸調子皿102a,102bの挟持力、糸取りばね106の取付角度、第2天秤糸案内104の位置をそれぞれ個別に調節する必要があった。
さらに2本針のミシンにおいては、それぞれの針に連なる糸に対して同様に張力の調節をする必要があるため、糸の張力の調節作業は手間のかかるものであった。また、糸張力の調節に第2天秤糸案内104を移動させるだけでは、大きな移動量を必要とした。
また、図7に示すように、糸調子軸107の位置を固定する止めねじ108は、第2糸調子102の奥側にあるため、第2糸調子102が取り付けられた状態ではミシンフレーム100の内部にある。そのため、糸取りばね106の取付角度の調節を行う際には、第2糸調子102をミシンフレーム100から取り外し、ドライバ等の工具で止めねじ108を操作する必要があった。従って、糸の張力の調節作業は手間のかかるものであった。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、糸の張力の調節作業を容易にすると共に、再現性が高く、簡単に張力を調節することができるミシンの糸調子装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、
糸を引き上げる天秤(11)と糸供給源との間の糸経路上に配置され、一対の糸調子皿により糸を挟持して糸に張力を付与する第1糸調子(2)と、
前記天秤と前記第1糸調子との間の糸経路上に配置され、一対の糸調子皿(3a,3b)により糸を挟持して糸に張力を付与すると共に、前記糸調子皿の動作により糸に付与される張力が調節可能とされた第2糸調子(3)と、
前記第2糸調子に設けられ、付勢力により糸に付与する張力を調節可能とされた糸取りばね(7)と、
前記天秤と前記糸取りばねとの間の糸経路上に設けられ、糸を引っ掛けて前記天秤に向けて案内する第1天秤糸案内(4)と、
前記天秤と前記第1天秤糸案内との間の糸経路上に設けられ、ミシンフレームの左右方向に沿って移動可能とされ、糸に付与する張力を調節可能とされた第2天秤糸案内(5)と、
を備えるミシンの糸調子装置(1)において、
少なくとも、前記第2糸調子と前記第1天秤糸案内のうち何れか一方と、前記第2天秤糸案内とが設けられる土台(6)を備え、
前記土台は、前記第1糸調子及び前記天秤に対し、少なくとも、前記第2糸調子と前記第1天秤糸案内のうち何れか一方及び前記第2天秤糸案内の位置関係を同時に変化するように、前記ミシンフレームに対して移動可能に設けられていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミシンの糸調子装置(1)において、
前記土台(6)には、前記第2天秤糸案内(5)、前記第1糸調子(2)、前記第2糸調子(3)が設けられ、
前記ミシンフレームには、前記第1天秤糸案内(4)が設けられ、
前記土台は、前記ミシンフレームと連結される連結軸(61)を中心として回転自在であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のミシンの糸調子装置(1a)において、
前記土台(6a)には、前記第2天秤糸案内(5a)、前記第1天秤糸案内(4a)が設けられ、
前記ミシンフレームには、前記第1糸調子(2a)、前記第2糸調子(3a)が設けられ、
前記土台は、前記第2糸調子の軸線を中心として回転自在であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載のミシンの糸調子装置(1b)において、
前記土台(6b)には、前記第2天秤糸案内(5b)、前記第1天秤糸案内(4b)が設けられ、
前記ミシンフレームには、前記第1糸調子(2b)、前記第2糸調子(3b)が設けられ、
前記土台は、前記ミシンフレームの上下方向又は左右方向にスライド移動自在であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項2又は3に記載のミシンの糸調子装置(1c)において、
前記土台(6c)は、前記土台の回転中心を中心とする円弧状の溝(80)を有し、
前記溝に挿通され、前記ミシンフレームとの連結により前記土台を前記ミシンフレームに固定可能な位置決め部材(81)を設けたことを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、土台をミシンフレームに対して移動させると、土台に設けられている第2糸調子と第1天秤糸案内のうち何れか一方と、第2天秤糸案内とが土台と共に同時に移動する。すると、第2糸調子の糸取りばねから天秤に至るまでの糸経路が変更され、糸にかかる張力が変わる。
よって、土台を移動させるという動作だけで、糸の張力を変えることができるので、糸の張力の調節作業を容易できる。また、土台ごと移動させるので、移動後に調節前に戻す場合、再現性がよい。
請求項2に記載の発明によれば、連結軸を中心として土台を回転させると、土台に設けられている第2天秤糸案内、第1糸調子、第2糸調子、糸取りばねも共にミシンフレームに対して同時に回転する。
ここで、ミシンフレームに設けられている第1天秤糸案内はミシンフレームに対して位置は変わらないため、土台を回転させると、第2糸調子の糸取りばねから天秤に至るまでの糸経路が変更され、糸にかかる張力が変わる。
よって、土台を回転させるという動作だけで、糸の張力を変えることができるので、糸の張力の調節作業を容易にできる。
請求項3に記載の発明によれば、第2糸調子の軸線を中心として土台を回転させると、土台に設けられている第2天秤糸案内、第1天秤糸案内も共にミシンフレームに対して同時に回転する。
ここで、ミシンフレームに設けられている第1糸調子、第2糸調子はミシンフレームに対して位置は変わらないため、土台を回転させると、第2糸調子の糸取りばねから天秤に至るまでの糸経路が変更され、糸にかかる張力が変わる。
よって、土台を回転させるという動作だけで、糸の張力を変えることができるので、糸の張力の調節作業を容易にできる。
請求項4に記載の発明によれば、土台をミシンフレームの上下方向、左右方向にスライド移動させると、土台に設けられている第2天秤糸案内、第1天秤糸案内も共にミシンフレームに対して上下方向又は左右方向に同時に移動する。
ここで、ミシンフレームに設けられている第1糸調子、第2糸調子はミシンフレームに対して位置は変わらないため、土台をスライド移動させると、第2糸調子の糸取りばねから天秤に至るまでの糸経路が変更され、糸にかかる張力が変わる。
よって、土台をスライド移動させるという動作だけで、糸の張力を変えることができるので、糸の張力の調節作業を容易にできる。
請求項5に記載の発明によれば、溝には位置決め部材が挿通されているため、土台を所望の位置まで回転させた後、位置決め部材をミシンフレームに連結することにより、土台をミシンフレームに固定することができる。
よって、張力を一定の間隔毎に調節することができる。また、張力の頻繁な変更に対しても簡単に対応することができる。
以下、図面を参照して、ミシンの糸調子装置の最良の形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
<ミシンの糸調子装置の構成>
図1は、糸調子装置1が設けられたミシンの斜視図である。
図1に示すように、ミシンの糸調子装置1は、ミシンフレーム10の作業者に対向する面(正面)に設けられている。糸調子装置1は、不図示の糸供給源(糸巻き)から供給される糸(上糸)Tに適切な張力を付与して縫い目を美しく形成するための装置である。
ミシンフレーム10の正面には、糸調子装置1に加え、主軸の駆動に連動して上下動し、糸Tが先端に通される天秤11が設けられている。天秤11の先端には、糸Tの挿通孔11aが形成されており、この先端はミシンフレーム10の外部に突出するように設けられている。天秤11は、ミシンフレーム10にその上下方向に沿って形成された溝10aに通されており、溝10aに沿って上下動する。天秤11は、その上下動の際に布に通された糸Tを締め上げ、縫い目の弛みを防止する。
糸供給源から引き出された糸Tは、糸調子装置1に通されて適切な張力が付与された後、天秤11に通され、糸ガイド12を介して針13に通される。
糸調子装置1は、第1糸調子2と、第2糸調子3と、第1天秤糸案内4と、第2天秤糸案内5と、土台6と、を備えている。
第1糸調子2は、天秤11と糸供給源との間の糸経路上に配置され、一対の糸調子皿により糸を挟持して糸に張力を付与する。第1糸調子2は、糸切り時に糸Tの乱れを抑えるものであり、縫製中の糸に付与する張力は小さい。第1糸調子2は、土台6に固定されている。
第2糸調子3は、天秤11と第1糸調子2との間の糸経路上に配置され、一対の糸調子皿3a,3bにより糸Tを挟持して糸Tに張力を付与する。第2糸調子3は、調節ダイヤル3cの操作により、糸Tに付与する張力を調節することができる。具体的には、調節ダイヤル3cの回転により、一方の糸調子皿3aを糸調子ばね3dの付勢力に抗して他方の糸調子皿3bに近づけることで糸Tに付与する張力を増加することができる。逆に、一方の糸調子皿3aを他方の糸調子皿3bから引き離すことにより、糸Tに付与する張力を減少することができる。
第2糸調子3には、付勢力により糸Tに付与する張力を調節可能とされた糸取りばね7が備えられている。糸取りばね7は、第2糸調子3の糸調子軸(図示略)に一端が取り付けられており、糸調子軸を回転させることにより、糸取りばね7をねじることで糸取りばね7に発生する付勢力を調節することができる。第1糸調子2は、土台6に固定されている。
第1天秤糸案内4は、天秤11と糸取りばね7との間の糸経路上に設けられ、糸取りばね7から導かれた糸Tを屈曲するように引っ掛けて天秤11に向けて案内するものである。第1天秤糸案内4は、ミシンフレーム10の正面において、土台6の移動の支障とならない位置で固定されている。
第2天秤糸案内5は、天秤11と第1天秤糸案内4との間の糸経路上に設けられ、ミシンフレーム10の左右方向に沿って移動可能とされている。第2天秤糸案内5は、左右方向への固定位置により第1天秤糸案内4と天秤11との間に掛け渡された糸Tの屈曲を変えることができ、糸Tに付与する張力が調節可能となっている。第2天秤糸案内5は、土台6に固定されている。
土台6は、少なくとも、第2糸調子3と第1天秤糸案内4のうち何れか一方と、第2天秤糸案内5とが設けられる。本実施形態では、土台6には第2糸調子3と第2天秤糸案内5とが設けられている。
土台6は、第2糸調子3と第2天秤糸案内5とを同時に動作させることにより、糸取りばね7から第1天秤糸案内4、第2天秤糸案内5を通って天秤11に至る糸経路を変更させて糸Tにかかる張力が調節できるように、ミシンフレーム10に対して移動自在に設けられている。
具体的には、土台6は、板状に形成されており、ミシンフレーム10の正面の面方向にほぼ沿うように配置されている。土台6は、連結軸61によりミシンフレーム10に取り付けられている。ここで、土台6は、連結軸61を回転中心として回転自在となるようにミシンフレーム10に設けられている。
土台6には、第1糸調子2、第2糸調子3、第2天秤糸案内5が設けられており、土台6の連結軸61を中心とする回転により第1糸調子2、第2糸調子3、第2天秤糸案内5を同時に回転させる。すなわち、第1天秤糸案内4のみがミシンフレーム10に固定され、土台6の回転により、第1天秤糸案内4と、第1糸調子2、第2糸調子3、第2天秤糸案内5との位置関係が変化する。その結果、糸取りばね7から第1天秤糸案内4、第2天秤糸案内5を通って天秤11に至る糸Tの経路を変更させて糸Tにかかる張力を変えることができる。
なお、土台6を回転させて張力を調節した後は、ねじ等の固定部材によりミシンフレーム10に固定して縫製が行われる。
<張力の調節操作について>
次に、図2を用いて糸Tに付与する張力を変える方法について説明する。
図2(a)に示す状態から、連結軸61を中心として土台6を右回り(時計回り)に回転させると、連結軸61を中心として第1糸調子2、第2糸調子3、第2天秤糸案内5も土台6と共に同時に移動する。ここで、第1糸調子2、第2糸調子3、第2天秤糸案内5の互いの位置関係は変化しないが、第1天秤糸案内4は、ミシンフレーム10に固定されているため、天秤11及び第1天秤糸案内4と、第1糸調子2、第2糸調子3、第2天秤糸案内5との位置関係が同時に変化する。すなわち、図2(b)に示すように、第2糸調子3の糸取りばね7は上方に引き上げられるので、糸取りばね7と第1天秤糸案内の間の糸Tは引っ張られて屈曲の度合いが増し、張力が増加する。さらに、図2(b)に示すように、第2天秤糸案内5は、天秤11から遠ざかる方向に移動するので、第1天秤糸案内4と天秤11の間の糸Tは引っ張られて屈曲の度合いが増し、張力が増加する。また、第2天秤糸案内5が右側(天秤11から遠ざかる側)に移動することにより、天秤11のストロークは小さくなり、糸の締まりを強くする。
一方、図2(a)に示す状態から、連結軸61を中心として土台6を左回り(反時計回り)に回転させると、連結軸61を中心として第1糸調子2、第2糸調子3、第2天秤糸案内5も土台6と共に同時に移動する。この場合、図2(b)に示すように、第2糸調子3の糸取りばね7は下方に引き下げられるので、糸取りばね7と第1天秤糸案内の間の糸Tは弛んで屈曲の度合いが減り、張力が減少する。さらに、図2(b)に示すように、第2天秤糸案内5は、天秤11側に移動するので、第1天秤糸案内4と天秤11の間の糸Tは弛んで屈曲の度合いが減り、張力が減少する。また、第2天秤糸案内5が左側(天秤11に近づく側)に移動することにより、天秤11のストロークは大きくなり、糸の締まりを弱くする。
これにより、土台6を回転させる動作だけで、糸取りばね7と第2天秤糸案内5による糸Tの張力の調節(増加又は減少)を同時に行うことができる。
<作用効果>
ミシンの糸調子装置1によれば、土台6に第2糸調子3と第2天秤糸案内5とが設けられ、ミシンフレーム10に第1天秤糸案内4が設けられているため、連結軸61を中心に土台6を回転させると、第2糸調子3の糸取りばね7から第1天秤糸案内4までの糸Tの経路と第1天秤糸案内4から天秤11に至るまでの糸Tの経路が同時に変更され、糸Tにかかる張力が変わる。
よって、土台6を移動させるという動作だけで、糸取りばね7による張力調節と第2天秤糸案内5による張力調節を同時に行うことができるので、糸Tの張力の調節作業を容易にすることができる。これに伴い、縫い仕様(厚物、薄物間の変更等)を容易に変更することができる。
また、土台6を回転させるだけで、糸取りばね7による張力調節と同じ機能を果たせるので、第2糸調子3をミシンフレーム10から取り外して糸調子軸の位置を工具で調節する必要がなくなり、工具を用いなくても簡単に糸Tの張力を調節することができる。
また、土台6を仮固定した状態でミシンの各部に糸を通し、プーリを回転させて試し縫いを行った上で糸に負荷のかからない状況を確認し、釜の糸渡りがスムーズとなる位置で土台6を固定することもできる。
また、糸の滑りの悪い糸(綿糸)や、切れやすい糸に対しても、事前に土台6を仮固定した状態で試し縫いを行い、糸にかかる抵抗が少ない位置で土台6を固定することもできる。
[第2実施形態]
<ミシンの糸調子装置の構成>
図3は、ミシンの糸調子装置の第2実施形態である。図3において、二点鎖線は、土台6aの回転前の状態を示す図であり、実線は、土台6aの回転後の状態を示す図である。なお、第1実施形態と同じ構成のものには、同一符号を付して説明を省略する。
図3に示すように、土台6aには、第2天秤糸案内5a、第1天秤糸案内4aが固定されている。ミシンフレーム10には、第1糸調子2a、第2糸調子3aが固定されている。土台6aには、第1糸調子2aを通す長孔70と、第2糸調子3aを通す孔71が形成されている。
土台6aは、長孔70に第1糸調子2a、孔71に第2糸調子3aが通された状態で第2糸調子3aに回転自在に支持されている。すなわち、土台6aは、第2糸調子3aの軸線を中心として回転自在に設けられている。そして、長孔70は、土台6aを回動調整しても、土台6aが第1糸調子2aに干渉しないように、所定量の大きさを有している。
<張力の調節操作について>
次に、図3を用いて糸Tに付与する張力を変える方法について説明する。
図3の二点鎖線に示す状態から、第2糸調子3aの軸線(詳細には、不図示の糸調子軸の軸心)を中心として土台6aを右回り(時計回り)に回転させると、第2糸調子3aの軸線を中心として第1天秤糸案内4a、第2天秤糸案内5aも土台6と共に同時に移動する。ここで、第1天秤糸案内4a、第2天秤糸案内5aの互いの位置関係は変化しないが、第2糸調子3aは、ミシンフレーム10に固定されているため、糸取りばね7a及び天秤11と、第1天秤糸案内4a、第2天秤糸案内5aとの位置関係が同時に変化する。すなわち、糸取りばね7aのストロークを調節することができる。
図3に示すように、第1天秤糸案内4aは上方に引き上げられるので、糸取りばね7と第1天秤糸案内4aの間の糸Tは弛んで屈曲の度合いが減り、糸取りばね7aのストロークが減少する。よって、糸Tの張力が減少する。
逆に、図3の二点鎖線に示す状態から、第2糸調子3aの軸線(詳細には、不図示の糸調子軸の軸心)を中心として土台6aを左回り(反時計回り)に回転させると、第1天秤糸案内4aは下方に引き下げられるので、糸取りばね7と第1天秤糸案内4aの間の糸Tは締まって屈曲の度合いが増し、糸取りばね7aのストロークが増加する。よって、糸Tの張力が増加する。
<作用効果>
ミシンの糸調子装置1aによれば、第2糸調子3aの軸線を中心として土台6aを回転させると、土台6aに設けられている第2天秤糸案内5a、第1天秤糸案内4aも共にミシンフレーム10に対して同時に回転する。
ここで、ミシンフレーム10に設けられている第1糸調子2a、第2糸調子3aはミシンフレーム10に対して位置は変わらないため、土台6aを回転させると、第2糸調子3の糸取りばね7aから天秤11に至るまでの糸経路が変更され、糸Tにかかる張力が変わる。
よって、土台6aを移動させるという動作だけで、糸取りばね7aによる張力調節と第2天秤糸案内5aによる張力調節を同時に行うことができるので、糸Tの張力の調節作業を容易にすることができる。また、土台6aを回転させるだけで、糸取りばね7aによる張力調節と同じ機能を果たせるので、第2糸調子3aをミシンフレーム10から取り外して糸調子軸の位置を工具で調節する必要がなくなり、工具を用いなくても簡単に糸Tの張力を調節することができる。
また、第2糸調子3aはミシンフレーム10に固定されているため、一対の糸調子皿の解放機構をそのまま用いることができ、第2糸調子3aが移動することによる解放機構の変更を強いられることもない。
[第3実施形態]
<ミシンの糸調子装置の構成>
図4は、ミシンの糸調子装置の第3実施形態である。図4において、二点鎖線は、土台6bの右方向へのスライド移動前の状態を示す図であり、実線は、土台6bの右方向へのスライド移動後の状態を示す図である。なお、第1実施形態と同じ構成のものには、同一符号を付して説明を省略する。
図4に示すように、土台6bには、第2天秤糸案内5b、第1天秤糸案内4bが固定されている。ミシンフレーム10には、第1糸調子2b、第2糸調子3bが固定されている。土台6bには、第1糸調子2bを通す孔72と、第2糸調子3bを通す孔73が形成されている。ここで、孔72,73は、ミシンフレーム10の左右方向に延びる長孔状に形成されている。
土台6bは、孔72に第1糸調子2b、孔73に第2糸調子3bが通された状態で第1糸調子2b及び第2糸調子3bに左右方向にスライド移動自在に支持されている。
<張力の調節操作について>
次に、図4を用いて糸Tに付与する張力を変える方法について説明する。
図4の二点鎖線に示す状態から、ミシンフレーム10の右方向に沿って土台6bをスライド移動させると、第1天秤糸案内4b、第2天秤糸案内5bも土台6bと共に同時に移動する。ここで、第1天秤糸案内4b、第2天秤糸案内5bの互いの位置関係は変化しないが、第2糸調子3bは、ミシンフレーム10に固定されているため、糸取りばね7b及び天秤11と、第1天秤糸案内4b、第2天秤糸案内5bとの位置関係が同時に変化する。
図4に示すように、第1天秤糸案内4bは糸Tを右側に引くので、糸取りばね7と第1天秤糸案内4bの間の糸Tは締まって屈曲の度合いが増し、糸取りばね7aのストロークが増加する。よって、糸Tの張力が増加する。また、第2天秤糸案内5bも糸Tを天秤11から遠ざかる方向に引くので、天秤11と第1天秤糸案内4bの間の糸Tは締まって屈曲の度合いが増し、糸Tの張力が増加する。
逆に、図4の二点鎖線に示す状態から、ミシンフレーム10の左方向に沿って土台6bをスライド移動させると、第1天秤糸案内4bは糸Tを左側に引くので、糸取りばね7と第1天秤糸案内4bの間の糸Tは弛んで屈曲の度合いが減り、糸取りばね7aのストロークが減少する。よって、糸Tの張力が減少する。また、第2天秤糸案内5bも糸Tを天秤11に近づく方向に引くので、天秤11と第1天秤糸案内4bの間の糸Tは弛んで屈曲の度合いが減り、糸Tの張力が減少する。
<作用効果>
ミシンの糸調子装置1bによれば、土台6bをミシンフレーム10の左右方向にスライド移動させると、土台6bに設けられている第2天秤糸案内5b、第1天秤糸案内4bも共にミシンフレーム10に対して左右方向に同時に移動する。
ここで、ミシンフレーム10に設けられている第1糸調子2b、第2糸調子3bはミシンフレーム10に対して位置は変わらないため、土台6bをスライド移動させると、第2糸調子3bの糸取りばね7bから天秤11に至るまでの糸経路が変更され、糸Tにかかる張力が変わる。
よって、土台6bをスライド移動させるという動作だけで、糸Tの張力を変えることができるので、糸Tの張力の調節作業を容易にすると共に、工具を用いなくても簡単に張力を調節することができる。
また、第2糸調子3bはミシンフレーム10に固定されているため、一対の糸調子皿の解放機構をそのまま用いることができ、第2糸調子3bが移動することによる解放機構の変更を強いられることもない。
[第4実施形態]
<ミシンの糸調子装置の構成>
図5は、ミシンの糸調子装置の第4実施形態である。図5において、二点鎖線は、土台6cの回転前の状態を示す図であり、実線は、土台6cの回転後の状態を示す図である。なお、第1実施形態と同じ構成のものには、同一符号を付して説明を省略する。
図5に示すように、土台6cには、第1糸調子2c、第2糸調子3c、第2天秤糸案内5cが固定されている。土台6cは、連結軸61cによりミシンフレーム10に回転自在に取り付けられている。
土台6cには、連結軸61cを回転中心とする円弧状の溝80が形成されている。土台6cには、溝80の長手方向に沿って等間隔に目盛り(図5においては、1,2,・・・,6)が記されている。これは、土台6cを所定角度ごとに回転させて固定することで張力の増減調節を行いやすくするためのものである。
溝80には、土台6cをミシンフレーム10に固定する位置決め部材としてのつまみねじ81が挿通されている。つまみねじ81の軸部81aは、ミシンフレーム10に形成された孔に螺合可能に形成されている。つまみねじ81は、ミシンフレーム10に螺合させていくと、その頭部81bが土台6cをミシンフレーム10側に押さえつける機構となっており、ミシンフレーム10に対してつまみねじ81の締め動作と緩め動作により土台6cの固定又は解放することができる。つまみねじ81の頭部81bは、手でつかんで操作することができるように形成されており、操作の際にドライバ等の工具を必要としないように形成されている。
<張力の調節操作について>
次に、図5を用いて糸Tに付与する張力を変える方法について説明する。
図5の二点鎖線に示す状態から、連結軸61cを中心として土台6cを右回り(時計回り)に回転させると、連結軸61cを中心として第1糸調子2c、第2糸調子3c、第2天秤糸案内5cも土台6cと共に移動する。ここで、第1糸調子2c、第2糸調子3c、第2天秤糸案内5cの互いの位置関係は変化しないが、第1天秤糸案内4cは、ミシンフレーム10に固定されているため、糸取りばね7a及び天秤11と、第1天秤糸案内4c、第2天秤糸案内5cとの位置関係が同時に変化する。
このような機構で糸Tに付与する張力を変えることができるが、その調節量は溝80の近傍に記された目盛りを基準に行うことができる。
<作用効果>
ミシンの糸調子装置1cによれば、溝80にはつまみねじ81が挿通されているため、土台6cを所望の位置まで回転させた後、つまみねじ81をミシンフレーム10に連結することにより、土台6cをミシンフレーム10に固定することができる。
よって、張力を一定の間隔毎に調節することができる。また、張力の頻繁な変更に対しても簡単に対応することができる。
また、つまみねじ81は手で操作することができるので、工具を必要とせず、張力調節の際の作業を容易にすることができる。
また、溝80の近傍に記された目盛りを見ながら張力を調節することができるので、張力の調節作業が容易となる。
<その他>
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の本質的部分を変更しない範囲において自由に設計変更が可能である。例えば、土台を回転させる構成においては、上記実施形態の回転中心に限らず、土台の回転が阻害されない位置であればよい。また、土台はミシンフレームの左右方向にスライド移動させるだけでなく、ミシンフレームの上下方向にスライド移動可能としてもよい。
また、上記実施形態においては、1本針ミシンを例に挙げて説明したが、複数本の針で縫製を行うミシンにおいても同様の機構を採用することで、同じ効果を奏することができる。
糸調子装置が設けられたミシンの斜視図。 (a)は、張力の調節前の状態を示す図であり、(b)は、(a)の状態から張力を増加させたときの図であり、(c)は、(a)の状態から張力を減少させたときの図。 第2実施形態におけるミシンの糸調子装置の正面図。 第3実施形態におけるミシンの糸調子装置の正面図。 第4実施形態におけるミシンの糸調子装置の正面図。 従来の1本針ミシンの糸調子装置の正面図。 糸調子装置に備えられる第2糸調子の断面図。 従来の2本針ミシンの糸調子装置の正面図。
符号の説明
1 ミシンの糸調子装置
2 第1糸調子
3 第2糸調子
3a 糸調子皿
3b 糸調子皿
4 第1天秤糸案内
5 第2天秤糸案内
6 土台
7 糸取りばね
61 連結軸
80 溝
81 つまみねじ(位置決め部材)

Claims (5)

  1. 糸を引き上げる天秤と糸供給源との間の糸経路上に配置され、一対の糸調子皿により糸を挟持して糸に張力を付与する第1糸調子と、
    前記天秤と前記第1糸調子との間の糸経路上に配置され、一対の糸調子皿により糸を挟持して糸に張力を付与すると共に、前記糸調子皿の動作により糸に付与される張力が調節可能とされた第2糸調子と、
    前記第2糸調子に設けられ、付勢力により糸に付与する張力を調節可能とされた糸取りばねと、
    前記天秤と前記糸取りばねとの間の糸経路上に設けられ、糸を引っ掛けて前記天秤に向けて案内する第1天秤糸案内と、
    前記天秤と前記第1天秤糸案内との間の糸経路上に設けられ、ミシンフレームの左右方向に沿って移動可能とされ、糸に付与する張力を調節可能とされた第2天秤糸案内と、
    を備えるミシンの糸調子装置において、
    少なくとも、前記第2糸調子と前記第1天秤糸案内のうち何れか一方と、前記第2天秤糸案内とが設けられる土台を備え、
    前記土台は、前記第1糸調子及び前記天秤に対し、少なくとも、前記第2糸調子と前記第1天秤糸案内のうち何れか一方及び前記第2天秤糸案内の位置関係を同時に変化するように、前記ミシンフレームに対して移動可能に設けられていることを特徴とするミシンの糸調子装置。
  2. 前記土台には、前記第2天秤糸案内、前記第1糸調子、前記第2糸調子が設けられ、
    前記ミシンフレームには、前記第1天秤糸案内が設けられ、
    前記土台は、前記ミシンフレームと連結される連結軸を中心として回転自在であることを特徴とする請求項1に記載のミシンの糸調子装置。
  3. 前記土台には、前記第2天秤糸案内、前記第1天秤糸案内が設けられ、
    前記ミシンフレームには、前記第1糸調子、前記第2糸調子が設けられ、
    前記土台は、前記第2糸調子の軸線を中心として回転自在であることを特徴とする請求項1に記載のミシンの糸調子装置。
  4. 前記土台には、前記第2天秤糸案内、前記第1天秤糸案内が設けられ、
    前記ミシンフレームには、前記第1糸調子、前記第2糸調子が設けられ、
    前記土台は、前記ミシンフレームの上下方向又は左右方向にスライド移動自在であることを特徴とする請求項1に記載のミシンの糸調子装置。
  5. 前記土台は、前記土台の回転中心を中心とする円弧状の溝を有し、
    前記溝に挿通され、前記ミシンフレームとの連結により前記土台を前記ミシンフレームに固定可能な位置決め部材を設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載のミシンの糸調子装置。
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