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JP2010084179A - ニッケル酸化物膜を有する積層体 - Google Patents

ニッケル酸化物膜を有する積層体 Download PDF

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JP2010084179A JP2008253493A JP2008253493A JP2010084179A JP 2010084179 A JP2010084179 A JP 2010084179A JP 2008253493 A JP2008253493 A JP 2008253493A JP 2008253493 A JP2008253493 A JP 2008253493A JP 2010084179 A JP2010084179 A JP 2010084179A
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Hiroyuki Kobori
裕之 小堀
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Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

【課題】種々の部材の高性能化に寄与できる積層体を提供する。
【解決手段】ニッケル源である硝酸ニッケルを含有し、かつ、溶媒としてニッケル酸化物の単結晶2を形成可能な単結晶形成可能溶媒である水、メタノール、エタノールまたはアセトンとジケトン類またはケトエステル類とを含有するニッケル酸化物膜3形成用溶液を、ニッケル酸化物膜形成温度以上の温度まで加熱した基材1に接触させることにより、前記基材上にニッケル酸化物膜を形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材の表面から成長した複数の単結晶からなるニッケル酸化物膜を有し、かつ、種々の部材の高性能化に寄与できる積層体に関する。
従来より、ニッケル酸化物膜は、様々な優れた物性を示すことが知られており、その特性を活かして、SOFC燃料電池の燃料極(アノード)、熱電変換素子、サーミスタ、NOxガス改質触媒、ガスセンサー、半導体、エレクトロクロミック素子等の幅広い分野において使用されている。このようなニッケル酸化物膜の製造方法として、例えば、ゾルゲル法、スパッタリング法、CVD法、PVD法、印刷法、レーザーアブレーション法等が知られている。
例えば、特許文献1においては、ガス検知を行う目的で、レーザーアブレーション法によって1〜50nmの一次粒子又はこの一次粒子が凝集した500nm以下の粒子からなる酸化ニッケル薄膜を形成することが開示されている(特許文献1の請求項1および請求項7等参照)。この方法は、酸化ニッケル薄膜を得ることは可能だが、粒子が凝集した膜であり、さらなる高性能化に向けては、より単結晶に近い膜が求められている。
また、酸化ニッケルは、SOFC燃料電池のアノードに用いられている。一般的に、酸化ニッケルを電解質成分と共にバインダーに分散させ、印刷法によって電解質へ塗布することにより、アノード層を形成する。しかしながら、この手法で得られたアノード層は、酸化ニッケルの結晶方位があらゆる方向を向いており、水素還元されニッケル金属となった場合の結晶性を整えることはできなかった。さらなる高性能化に向けては、結晶構造が整った酸化ニッケルが望まれていた。
特開2004−286466号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、種々の部材(例えばSOFC燃料電池の燃料極、熱電変換素子、サーミスタ、NOxガス改質触媒、ガスセンサー、半導体、エレクトロクロミック素子等)の高性能化に寄与できる積層体を提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明においては、基材と、上記基材の表面から成長した複数のニッケル酸化物の単結晶からなるニッケル酸化物膜とを有することを特徴とする積層体を提供する。
本発明によれば、基材の表面から成長した複数のニッケル酸化物の単結晶からなるニッケル酸化物膜を有することから、種々の部材の高性能化に寄与できる積層体とすることができる。
上記発明においては、上記ニッケル酸化物が、ニッケル元素、酸素元素およびドーピング金属元素から構成されていることが好ましい。ドーピング金属元素の種類を適宜選択することにより、種々の部材に有用な積層体とすることができるからである。
上記発明においては、上記ドーピング金属元素が、リチウム元素であることが好ましい。熱電変換素子やサーミスタ等に有用な積層体とすることができるからである。
上記発明においては、上記ニッケル酸化物膜の膜厚が、50nm以上であることが好ましい。より実用的な積層体とすることができるからである。また、このような大きな膜厚を有するニッケル酸化物膜(複数のニッケル酸化物の単結晶からなるニッケル酸化物膜)は、従来知られていなかったものである。本発明においては、後述する積層体の製造方法により、容易に大きな膜厚を有するニッケル酸化物膜を形成することができる。
また、本発明においては、ニッケル源を含有し、かつ、溶媒としてニッケル酸化物の単結晶を形成可能な単結晶形成可能溶媒とジケトン類またはケトエステル類とを含有するニッケル酸化物膜形成用溶液を、ニッケル酸化物膜形成温度以上の温度まで加熱した基材に接触させることにより、上記基材上にニッケル酸化物膜を形成することを特徴とする積層体の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記のニッケル酸化物膜形成用溶液を用いることにより、基材の表面から成長した複数のニッケル酸化物の単結晶からなるニッケル酸化物膜を有する積層体を得ることができる。
上記発明においては、上記単結晶形成可能溶媒が、水、メタノール、エタノールまたはアセトンであることが好ましい。ニッケル酸化物の単結晶を容易に得ることができるからである。
上記発明においては、上記ニッケル源が、硝酸ニッケルであることが好ましい。ニッケル酸化物の単結晶を容易に得ることができるからである。
上記発明においては、上記ニッケル酸化物膜形成用溶液が、さらにドーピング金属源を含有することが好ましい。ドーピング金属源の種類を適宜選択することにより、種々の部材に有用な積層体を得ることができるからである。
上記発明においては、上記ドーピング金属源が、リチウム元素を有することが好ましい。熱電変換素子やサーミスタ等に有用な積層体を得ることができるからである。
本発明においては、種々の部材(例えばSOFC燃料電池の燃料極、熱電変換素子、サーミスタ、NOxガス改質触媒、ガスセンサー、半導体、エレクトロクロミック素子等)の高性能化に寄与できるという効果を奏する。
以下、本発明の積層体およびその製造方法について、詳細に説明する。
A.積層体
まず、本発明の積層体について説明する。本発明の積層体は、基材と、上記基材の表面から成長した複数のニッケル酸化物の単結晶からなるニッケル酸化物膜とを有することを特徴とするものである。
本発明によれば、基材の表面から成長した複数のニッケル酸化物の単結晶からなるニッケル酸化物膜を有することから、種々の部材の高性能化に寄与できる積層体とすることができる。特に、本発明におけるニッケル酸化物膜は、ニッケル酸化物の単結晶からなるものであるため、通常、結晶欠陥や不純物はほとんど存在しない。さらには、ニッケル酸化物の粒子を凝集させたニッケル酸化物膜と比較して、粒子間の界面抵抗が低い。そのため、ニッケル酸化物膜の内部に特定のキャリアを伝導させる場合に、そのキャリアの伝導度を向上させることができるのである。
なお、本発明における「ニッケル酸化物」とは、少なくともニッケル元素および酸素元素を有する化合物をいう。そのため、ニッケル元素、酸素元素および後述するドーピング金属元素を有する化合物(複合酸化物)も、本発明におけるニッケル酸化物に含まれる。また、本発明において、ニッケル元素および酸素元素のみから構成されるニッケル酸化物を酸化ニッケルと称し、酸化ニッケルからなる膜を酸化ニッケル膜と称する場合がある。
次に、本発明の積層体について図面を用いて説明する。図1は、本発明の積層体の一例を説明する概略断面図である。図1に示される積層体は、基材1と、基材1の表面から成長した複数のニッケル酸化物の単結晶2からなるニッケル酸化物膜3と、を有するものである。
以下、本発明の積層体について、構成ごとに説明する。
1.ニッケル酸化物膜
まず、本発明におけるニッケル酸化物膜について説明する。本発明におけるニッケル酸化物膜は、基材の表面から成長した複数のニッケル酸化物の単結晶からなるものである。ここで、ニッケル酸化物が単結晶であることは、透過型電子顕微鏡(TEM)により確認することができる。本発明における「ニッケル酸化物の単結晶」とは、基材に成長したニッケル酸化物の結晶の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、一つの結晶において、単一の回折格子が70%以上連続している結晶をいう。なお、本発明におけるニッケル酸化物の結晶のTEM観察を行うと、結晶の上部(基材から離れた先端部)では、回折格子を明瞭に観察することができるが、結晶の下部(基材に近い根元部)では、目的とする結晶以外に、小さい柱状の結晶が多数存在するため、回折格子を明瞭に観察することが難しい場合がある。そのため、結晶の上部において、単一の回折格子が70%以上連続していることが好ましい。また、一つの結晶において、単一の回折格子が80%以上連続していることがより好ましく、90%以上連続していることがさらに好ましく、100%連続していることが特に好ましい。
図2は、結晶のTEM測定の一例を示す断面写真である。図3〜図5は、図2の中央に存在する色の濃い結晶の上部、中部、下部をそれぞれ拡大したものである。結晶の上部(図3)および中部(図4)においては、非常に細かい単一の回折格子が連続していることを明瞭に観察することができる。一方、結晶の下部(図5)においては、目的とする結晶以外に、小さい柱状の結晶が多数存在するため、単一の回折格子であるかを判断することが難しい。なお、図2では、結晶の上部において、単一の回折格子が70%以上連続している。
また、ニッケル酸化物の単結晶が基材の表面から成長している様子は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、基材およびニッケル酸化物膜の界面を観察することにより確認することができる。
本発明におけるニッケル酸化物は、ニッケル元素および酸素元素のみから構成されたものであっても良く、ニッケル元素、酸素元素およびドーピング金属元素から構成されたものであっても良い。前者は、電気絶縁性に優れた積層体であり、具体的にはNiOおよびNiO等を挙げることができる。一方、後者は、種々の部材(例えばSOFC燃料電池の燃料極、熱電変換素子、サーミスタ、NOxガス改質触媒、ガスセンサー、半導体、エレクトロクロミック素子等)に有用な積層体である。
上記ドーピング金属元素は、ニッケル元素以外の金属元素であれば特に限定されるものではないが、アルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素であることが好ましい。特に、本発明においては、上記ドーピング金属元素が、リチウム元素であることが好ましい。例えば、熱電変換素子やサーミスタ等に有用な積層体とすることができるからである。ここで、リチウム元素を含有するニッケル酸化物膜としては、具体的にはLiドープNiO等を挙げることができる。なお、ニッケル酸化物膜の組成は、XPS(X線光電子分光)により確認することができる。
本発明において、ニッケル酸化物の単結晶は、基材の表面から成長しているものであれば特に限定されるものではないが、中でも、基材の表面から柱状に成長しているものであることが好ましい。また、ニッケル酸化物の単結晶の膜厚方向の最大長さをAとし、膜厚方向とは直交する方向の最大長さをBとすると、A/Bは1〜10の範囲内にあることが好ましく、2〜7の範囲内にあることがより好ましい。
本発明におけるニッケル酸化物膜は、膜厚が大きいことが好ましい。本発明の積層体を適用する種々の部材を、さらに高性能化することができるからである。ニッケル酸化物膜の膜厚は、例えば50nm以上であることが好ましく、100nm以上がより好ましく、200nm以上がさらに好ましい。一方、ニッケル酸化物膜の膜厚は、通常10μm以下である。なお、このような大きな膜厚を有するニッケル酸化物膜(複数のニッケル酸化物の単結晶からなるニッケル酸化物膜)は、従来知られていなかったものである。本発明においては、後述する積層体の製造方法により、容易に大きな膜厚を有するニッケル酸化物膜を形成することができる。
2.基材
次に、本発明に用いられる基材について説明する。本発明に用いられる基材の材料としては、所望の耐熱性を有するものであれば、特に限定されるものではないが、例えばガラス、SUS等の金属板、セラミック基材、耐熱性プラスチック等を挙げることができ、中でもガラス、SUS等の金属板、セラミック基材が好ましく、特にSUS等の金属板が好ましい。充分な耐熱性を有しているからである。
また、本発明に用いられる基材は、例えば、平滑な表面を有するもの、微細構造部を有するもの、穴が開いているもの、溝が刻まれているもの、多孔質であるもの、多孔質膜を備えたものであっても良い。中でも、平滑な表面を有するもの、微細構造部を有するもの、溝が刻まれているもの、多孔質であるもの、多孔質膜を備えたものが好ましく、特に、多孔質であるもの、多孔質膜を備えたものが好ましい。
また、本発明に用いられる基材は、表面にパターニングされた金属部を有していても良い。例えば、このパターニングされた金属部を電極として用い、その金属部の表面上に、ニッケル酸化物膜を形成することができる。なお、ニッケル酸化物膜のパターニングは、基材上のニッケル酸化物膜を形成しない領域にマスクを行うことにより、容易に行うことができる。なお、本発明に用いられる基材の厚さは、本発明の積層体の用途に応じて、適宜選択することが好ましい。
3.積層体
本発明の積層体は、上述した基材およびニッケル酸化物膜を有するものである。本発明の積層体の用途としては、例えばSOFC燃料電池の燃料極、熱電変換素子、サーミスタ、NOxガス改質触媒、ガスセンサー、半導体、エレクトロクロミック素子等を挙げることができる。
B.積層体の製造方法
次に、本発明の積層体の製造方法について説明する。本発明の積層体の製造方法は、ニッケル源を含有し、かつ、溶媒としてニッケル酸化物の単結晶を形成可能な単結晶形成可能溶媒とジケトン類またはケトエステル類とを含有するニッケル酸化物膜形成用溶液を、ニッケル酸化物膜形成温度以上の温度まで加熱した基材に接触させることにより、上記基材上にニッケル酸化物膜を形成することを特徴とするものである。
本発明によれば、上記のニッケル酸化物膜形成用溶液を用いることにより、基材の表面から成長した複数のニッケル酸化物の単結晶からなるニッケル酸化物膜を有する積層体を得ることができる。
次に、本発明の積層体の製造方法について図を用いて説明する。図6は、本発明の積層体の製造方法の一例を示す説明図である。図6に示すように、本発明の積層体の製造方法は、基材1をニッケル酸化物膜形成温度以上の温度まで加熱し、ニッケル源を含有し、かつ、溶媒としてニッケル酸化物の単結晶を形成可能な単結晶形成可能溶媒とジケトン類またはケトエステル類とを含有するニッケル酸化物膜形成用溶液4を、スプレー装置5を用いて噴霧することにより、基材1上にニッケル酸化物膜を形成する方法である。
なお、本発明において、「ニッケル酸化物膜形成温度」とは、ニッケル源に含まれるニッケル元素が酸素と結合し、基材上にニッケル酸化物膜を形成することが可能な温度をいい、ニッケル源の種類、溶媒等のニッケル酸化物膜形成用溶液の組成によって大きく異なるものである。本発明において、このような「ニッケル酸化物膜形成温度」は、以下の方法により測定することができる。すなわち、実際に所望のニッケル源を含有するニッケル酸化物膜形成用溶液を用意し、基材の加熱温度を変化させて接触させることにより、ニッケル酸化物膜を形成することができる最低の基材加熱温度を測定する。この最低の基材加熱温度を本発明における「ニッケル酸化物膜形成温度」とすることができる。この際、ニッケル酸化物膜が形成したか否かは、通常、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)より得られた結果から判断し、結晶性のないアモルファス膜の場合は、光電子分光分析装置(V.G.Scientific社製、ESCALAB 200i−XL)より得られた結果から判断するものとする。
ニッケル酸化物膜形成温度は、上述したように、用いられるニッケル源等の種類により異なるものであるが、通常200℃〜600℃の範囲内である。また、本発明において、基材の加熱温度は、ニッケル酸化物膜形成温度以上の温度であれば特に限定されるものではないが、例えば、ニッケル酸化物膜形成温度+300℃以下、中でもニッケル酸化物膜形成温度+200℃以下、特にニッケル酸化物膜形成温度+100℃以下であることが好ましい。基材の加熱温度は、例えば300℃〜600℃の範囲内である。
以下、本発明の積層体の製造方法について、構成ごとに説明する。
1.ニッケル酸化物膜形成用溶液
まず、本発明に用いられるニッケル酸化物膜形成用溶液について説明する。本発明に用いられるニッケル酸化物膜形成用溶液は、通常、ニッケル源を含有し、溶媒としてニッケル酸化物の単結晶を形成可能な単結晶形成可能溶媒とジケトン類またはケトエステル類とを含有する。さらに、必要に応じて、ドーピング金属源および添加剤等を含有していても良い。
(1)ニッケル源
本発明に用いられるニッケル源は、ニッケル元素を含有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば塩化ニッケル(II)・六水和物、酢酸ニッケル(II)・四水和物、酢酸ニッケル(II)・四水和物、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)・六水和物、ニッケル(II)アセチルアセトナート・二水和物、硫酸ニッケル(II)・六水和物、硫酸ニッケル(II)アンモニウム・六水和物などが挙げられる。中でも硝酸ニッケル(II)・六水和物、塩化ニッケル(II)・六水和物、ニッケル(II)アセチルアセトナート・二水和物が好ましい。溶解性が良く、価格も安いからである。
ニッケル酸化物膜形成用溶液におけるニッケル源の濃度としては、特に限定されるものではないが、例えば0.001mol/L〜1mol/Lの範囲内、中でも0.01mol/L〜0.5mol/Lの範囲内であることが好ましい。濃度が上記範囲内にあれば、比較的短時間でニッケル酸化物膜を形成することができるからである。
(2)溶媒
次に、ニッケル酸化物膜形成用溶液に用いられる溶媒について説明する。本発明において、ニッケル酸化物膜形成用溶液は、通常、溶媒として、ニッケル酸化物の単結晶を形成可能な単結晶形成可能溶媒と、ジケトン類またはケトエステル類とを含有する。
本発明における単結晶形成可能溶媒は、ニッケル酸化物の単結晶を形成可能な溶媒であれば特に限定されるものではない。単結晶形成可能溶媒であることは、ニッケル源の種類に応じて予備実験等を行うことにより、確認することが好ましい。中でも、本発明における単結晶形成可能溶媒は、水、メタノール、エタノールまたはアセトンであることが好ましく、水であることがより好ましい。容易にニッケル酸化物の単結晶を得ることができるからである。その理由については明らかではないが、ニッケル源が溶解している状態では、ニッケル元素の周囲に、溶媒等の配位子が配位した錯体構造が形成されていると考えられ、この配位子の少なくとも一つが水になることで、高温基材に接触した際にスムーズに錯体の分解反応が生じ、規則正しく結晶が成長するからであると考えられる。なお、本発明においては、2種類以上の単結晶形成可能溶媒を用いても良い。
全溶媒における単結晶形成可能溶媒の割合は、例えば30重量%〜80重量%の範囲内、中でも40重量%〜70重量%の範囲内であることが好ましい。
一方、本発明におけるジケトン類またはケトエステル類は、成膜性を向上させるために用いられる溶媒である。上記ジケトン類としては、例えばアセチルアセトン、ジアセチル、ベンゾイルアセトン等を挙げることができ、中でもアセチルアセトンが好ましい。一方、上記ケトエステル類としては、例えばアセト酢酸エチル、ピルビン酸エチル、ベンゾイル酢酸エチル、ベンゾイル蟻酸エチル等を挙げることができる。なお、本発明においては、ジケトン類およびケトエステル類を組合せて用いても良く、ジケトン類またはケトエステル類を、それぞれ2種類以上組合せて用いても良い。
全溶媒におけるジケトン類またはケトエステル類の割合は、例えば5重量%〜40重量%の範囲内、中でも10重量%〜30重量%の範囲内であることが好ましい。
(3)ドーピング金属源
次に、本発明に用いられるドーピング金属源について説明する。本発明においては、ニッケル酸化物膜形成用溶液に、ドーピング金属源を添加することができる。これにより、ニッケル元素、酸素元素、およびドーピング金属元素から構成されるニッケル酸化物膜を得ることができる。
上記ドーピング金属源は、ニッケル元素以外の金属元素を有するものであれば特に限定されるものではないが、アルカリ金属元素またはアルカリ土類金属元素を有することが好ましい。特に、本発明においては、上記ドーピング金属源が、リチウム元素を有することが好ましい。
例えば、熱電変換素子およびサーミスタに用いられるLiドープNiOを得る場合には、ニッケル源の他に、ドーピング金属源としてリチウム源をニッケル酸化物膜形成用溶液に添加する。上記リチウム源としては、例えば塩化リチウム等を挙げることができる。
ニッケル酸化物膜形成用溶液におけるドーピング源の濃度としては、特に限定されるものではないが、例えば0.001mol/L〜0.5mol/Lの範囲内、中でも0.01mol/L〜0.1mol/Lの範囲内であることが好ましい。また、ニッケル源およびドーピング源の添加割合は、目的とするニッケル酸化物膜の組成に応じて、適宜選択することが好ましい。
(4)添加剤
本発明に用いられるニッケル酸化物膜形成用溶液は、セラミックス微粒子および界面活性剤等の添加剤を含有していても良い。
上記セラミックス微粒子を用いることにより、上記セラミックス微粒子を取り囲むようにニッケル酸化物膜が形成され、異種セラミックスの混合膜を得ることやニッケル酸化物膜の体積増加を図ることができる。なお、上記セラミックス微粒子の含有量は、使用する部材の特徴に合わせて適宜選択することが好ましい。
上記セラミックス微粒子の種類としては、例えばITO、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、珪素酸化物、チタン酸化物、スズ酸化物、セリウム酸化物、カルシウム酸化物、マンガン酸化物、マグネシウム酸化物、チタン酸バリウム等を挙げることができる。
一方、上記界面活性剤は、上記ニッケル酸化物膜形成用溶液と上記基材表面との界面に作用するものである。上記界面活性剤を用いることにより、ニッケル酸化物膜形成用溶液と基材表面との接触面積を向上させることができ、均一なニッケル酸化物膜を得ることができる。特に、ニッケル酸化物膜形成用溶液を噴霧により接触させる場合、上記界面活性剤の効果により、ニッケル酸化物膜形成用溶液の液滴と、基材表面とを充分に接触させることができる。なお、上記界面活性剤の使用量は、使用するニッケル源等に合わせて適宜選択することが好ましい。
上記界面活性剤の種類としては、例えば、サーフィノール485、サーフィノールSE、サーフィノールSE−F、サーフィノール504、サーフィノールGA、サーフィノール104A、サーフィノール104BC、サーフィノール104PPM、サーフィノール104E、サーフィノール104PA等のサーフィノールシリーズ(以上、全て日信化学工業(株)社製)、NIKKOL AM301、NIKKOL AM313ON(以上、全て日光ケミカル社製)等を挙げることができる。
2.基材
本発明に用いられる基材については、上記「A.積層体」に記載した内容と同様であるので、ここでの記載は省略する。
3.基材とニッケル酸化物膜形成用溶液との接触方法
次に、本発明における基材とニッケル酸化物膜形成用溶液との接触方法について説明する。上記接触方法としては、上述した基材と上述したニッケル酸化物膜形成用溶液とを接触させる方法であれば特に限定されるものではないが、基材およびニッケル酸化物膜形成用溶液を接触させた際に、基材の温度を低下させない方法であることが好ましい。基材の温度が低下すると成膜反応が起こらず、所望のニッケル酸化物膜を得ることができない可能性があるからである。このような基材の温度を低下させない方法としては、例えば、ニッケル酸化物膜形成用溶液を液滴として基材に接触させる方法等が挙げられ、中でも上記液滴の径が小さいことが好ましい。上記液滴の径が小さければ、ニッケル酸化物膜形成用溶液の溶媒が瞬時に蒸発し、基材温度の低下をより抑制することができ、さらに液滴の径が小さいことで、均一な膜厚のニッケル酸化物膜を得ることができるからである。
このような径が小さいニッケル酸化物膜形成用溶液の液滴を基材に接触させる方法は、特に限定されるものではないが、具体的には、ニッケル酸化物膜形成用溶液を噴霧することにより基材に接触させる方法、ニッケル酸化物膜形成用溶液をミスト状にした空間の中に基材を通過させる方法等が挙げられる。
上記ニッケル酸化物膜形成用溶液を噴霧することにより基材に接触させる方法は、例えばスプレー装置等を用いて噴霧する方法等が挙げられる。上記スプレー装置等を用いて噴霧する場合、液滴の径は、通常0.1μm〜1000μmの範囲内、中でも0.5μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。液滴の径が上記範囲内にあれば、基材温度の低下を抑制することができ、均一なニッケル酸化物膜を得ることができるからである。
また、上記スプレー装置の噴射ガスとしては、ニッケル酸化物膜の形成を阻害しない限り特に限定されるものではないが、例えば、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素等を挙げることができ、中でも不活性な気体である窒素、アルゴン、ヘリウムが好ましい。また、上記噴射ガスの噴射量としては、例えば、0.1L/min〜50L/minの範囲内、中でも1L/min〜20L/minの範囲内であることが好ましい。また、上記スプレー装置は固定されているもの、可動式のもの、回転によって上記溶液を噴射させるもの、圧力によって上記溶液のみを噴射させるもの等であっても良い。このようなスプレー装置としては、一般的に用いられるスプレー装置を用いることができ、例えばハンドスプレー(スプレーガンNo.8012、アズワン社製)、超音波ネプライザー(NE−U17、オムロン社製)等を用いることができる。
また、ニッケル酸化物膜形成用溶液をミスト状にした空間の中に基材を通過させる方法においては、液滴の径は、通常0.1μm〜300μmの範囲内、中でも1μm〜100μmの範囲内であることが好ましい。液滴の径が上記範囲内にあれば、基材温度の低下を抑制することができ、均一なニッケル酸化物膜を得ることができるからである。
また、基材の加熱方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ホットプレート、オーブン、焼成炉、赤外線ランプ、熱風送風機等の加熱方法を挙げることができ、中でも基材温度を上記温度に保持しながら上記ニッケル酸化物膜形成用溶液に接触できる方法が好ましく、具体的にはホットプレート等を使用することが好ましい。
次に、上述した接触方法について図面を用いて具体的に説明する。上述したニッケル酸化物膜形成用溶液を噴霧することにより基材に接触させる方法としては、例えば、ローラーによって基材を連続的に移動させ噴霧する方法、固定された基材上に噴霧する方法、パイプのような流路に噴霧する方法等が挙げられる。
上記ローラーによって基材を連続的に移動させ噴霧する方法としては、例えば、図7に示すように、基材1を、ニッケル酸化物膜形成温度以上の温度まで加熱したローラー6〜8を用いて連続的に移動させ、スプレー装置5によりニッケル酸化物膜形成用溶液4を噴霧しニッケル酸化物膜を形成する方法等を挙げることができる。この方法は、連続的にニッケル酸化物膜を形成することができるという利点を有する。
また、上記固定された基材上に噴霧する方法としては、例えば、図6に示すように、基材1をニッケル酸化物膜形成温度以上の温度まで加熱し、この基材1に対して、スプレー装置5を用いてニッケル酸化物膜形成用溶液4を噴霧することにより、ニッケル酸化物膜を形成する方法等を挙げることができる。
また、上述したニッケル酸化物膜形成用溶液をミスト状にした空間の中に基材を通過させる方法としては、例えば、図8に示すように、ニッケル酸化物膜形成用溶液4をミスト状にした空間に、ニッケル酸化物膜形成温度以上の温度まで加熱された基材1を通過させることによりニッケル酸化物膜を形成する方法等を挙げることができる。
4.その他
また、本発明の積層体の製造方法においては、上述した接触方法等により得られたニッケル酸化物膜の洗浄を行っても良い。上記ニッケル酸化物膜の洗浄は、ニッケル酸化物膜の表面等に存在する不純物を取り除くために行われるものであって、例えば、ニッケル酸化物膜形成用溶液に使用した溶媒を用いて洗浄する方法等を挙げることができる。また、本発明においては、ニッケル酸化物膜の作製中または作製後に、紫外線の照射を行っても良い。紫外線を照射することにより、例えばニッケル酸化物膜の結晶性を向上させることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
本実施例においては、硝酸ニッケルを原料として酸化ニッケル膜を作製した。
まず、基材として、スライドガラスを用意した。次に、ニッケル源として硝酸ニッケル(関東化学社製)、溶媒として水80重量%、アセチルアセトン20重量%の混合溶媒を用意した。その後、混合溶媒に、硝酸ニッケルを0.1mol/Lとなるように溶解させ、100mLのニッケル酸化物膜形成用溶液を得た。
次に、上記基材(スライドガラス)をホットプレート(アズワン社製)で400℃に加熱し、この基材に対し、上記ニッケル酸化物膜形成用溶液を超音波ネプライザ(オムロン社製)にて風量の目盛りを5、霧化量の目盛りを1とした条件で100mLスプレーし、基材上に酸化ニッケル膜を得た。
得られた酸化ニッケル膜を、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)を用いて測定したところ、酸化ニッケル膜が形成されていることが確認された(図9参照)。また、走査型電子顕微鏡による観察結果から、基材の表面から成長した複数の結晶からなる酸化ニッケル膜が確認された(図10参照、図10(a)は断面写真であり、図10(b)は平面写真である)。さらに、透過型電子顕微鏡による観察結果から、1つの結晶の少なくとも上部75%において、単一の回折格子が連続していることが確認された。これにより、得られた酸化ニッケルの結晶は単結晶であることが確認された。
[実施例2]
本実施例においては、溶媒としてメタノール80重量%、アセチルアセトン20重量%の混合溶媒を用いたこと以外は、実施例1と同様にして酸化ニッケル膜を得た。得られた酸化ニッケル膜を、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)を用いて測定したところ、酸化ニッケル膜が形成されていることが確認された(図11参照)。また、走査型電子顕微鏡による観察結果から、基材の表面から成長した複数の結晶からなる酸化ニッケル膜が確認された(図12参照、図12(a)は断面写真であり、図12(b)は平面写真である)。さらに、透過型電子顕微鏡による観察結果から、1つの結晶の少なくとも上部70%において、単一の回折格子が連続していることが確認された。これにより、得られた酸化ニッケルの結晶は単結晶であることが確認された。
[実施例3]
本実施例においては、溶媒としてエタノール80重量%、アセチルアセトン20重量%の混合溶媒を用いたこと以外は、実施例1と同様にして酸化ニッケル膜を得た。得られた酸化ニッケル膜を、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)を用いて測定したところ、酸化ニッケル膜が形成されていることが確認された(図13参照)。また、走査型電子顕微鏡による観察結果から、基材の表面から成長した複数の結晶からなる酸化ニッケル膜が確認された(図14参照、図14(a)は断面写真であり、図14(b)は平面写真である)。さらに、透過型電子顕微鏡による観察結果から、1つの結晶の少なくとも上部72%において、単一の回折格子が連続していることが確認された。これにより、得られた酸化ニッケルの結晶は単結晶であることが確認された。
[実施例4]
本実施例においては、溶媒としてアセトン80重量%、アセチルアセトン20重量%の混合溶媒を用いたこと以外は、実施例1と同様にして酸化ニッケル膜を得た。得られた酸化ニッケル膜を、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)を用いて測定したところ、酸化ニッケル膜が形成されていることが確認された(図15参照)。また、走査型電子顕微鏡による観察結果から、基材の表面から成長した複数の単結晶からなる酸化ニッケル膜が確認された(図16参照、図16(a)は断面写真であり、図16(b)は平面写真である)。さらに、透過型電子顕微鏡による観察結果から、1つの結晶の少なくとも上部78%において、単一の回折格子が連続していることが確認された。これにより、得られた酸化ニッケルの結晶は単結晶であることが確認された。
[実施例5]
本実施例においては、硝酸ニッケルおよび硝酸リチウムを原料としてリチウムがドープされたニッケル酸化物膜を作製した。
まず、基材として、スライドガラスを用意した。次に、ニッケル源として硝酸ニッケル(関東化学社製)、リチウム源として硝酸リチウム(関東化学社製)、溶媒として水80重量%、アセチルアセトン20重量%の混合溶媒を用意した。その後、混合溶媒に、硝酸ニッケルを0.1mol/L、硝酸リチウムを0.05mol/Lとなるように溶解させ、100mLのニッケル酸化物膜形成用溶液を得た。
次に、上記基材(スライドガラス)をホットプレート(アズワン社製)で400℃に加熱し、この基材に対し、上記ニッケル酸化物膜形成用溶液を超音波ネプライザ(オムロン社製)にて風量の目盛りを5、霧化量の目盛りを1とした条件で100mLスプレーし、基材上にニッケル酸化物膜を得た。
得られたニッケル酸化物膜を、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)を用いて測定したところ、ニッケル酸化物が形成されていることが確認された(図17参照)。XPS組成分析から、リチウム元素がニッケル元素に対して31%ドープされていた。また、走査型電子顕微鏡による観察結果から、基材の表面から成長した複数の結晶からなるニッケル酸化物膜が確認された(図18参照、図18(a)は断面写真であり、図18(b)は平面写真である)。さらに、透過型電子顕微鏡による観察結果から、1つの結晶の少なくとも上部77%において、単一の回折格子が連続していることが確認された。これにより、得られたニッケル酸化物の結晶は単結晶であることが確認された。
[比較例1]
溶媒として水100重量%を用いたこと以外は、実施例1と同様にして酸化ニッケル膜を得た。
得られた酸化ニッケル膜を、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)を用いて測定したところ、酸化ニッケル膜が形成されていることが確認された。また、走査型電子顕微鏡による観察結果から、粒状の結晶からなる酸化ニッケル膜が確認された(図19参照)。さらに、透過型電子顕微鏡による観察結果から、1つの結晶において、数種類の回折格子が存在しており、単一の回折格子は70%以上連続していなかった。これにより、得られた酸化ニッケルの結晶は単結晶ではないことが確認された。
[比較例2]
溶媒としてメタノール100重量%を用いたこと以外は、実施例2と同様にして酸化ニッケル膜を得た。
得られた酸化ニッケル膜を、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)を用いて測定したところ、酸化ニッケル膜が形成されていることが確認された。また、走査型電子顕微鏡による観察結果から、粒状の粒子からなる酸化ニッケル膜が確認された(図20参照)。さらに、透過型電子顕微鏡による観察結果から、1つの結晶において、数種類の回折格子が存在しており、単一の回折格子は70%以上連続していなかった。これにより、得られた酸化ニッケルの結晶は単結晶ではないことが確認された。
[比較例3]
溶媒としてエタノール100重量%を用いたこと以外は、実施例3と同様にして酸化ニッケル膜を得た。
得られた酸化ニッケル膜を、X線回折装置(リガク製、RINT−1500)を用いて測定したところ、酸化ニッケル膜が形成されていることが確認された。また、走査型電子顕微鏡による観察結果から、粒状の粒子からなる酸化ニッケル膜が確認された(図21参照)。さらに、透過型電子顕微鏡による観察結果から、1つの結晶において、数種類の回折格子が存在しており、単一の回折格子は70%以上連続していなかった。これにより、得られた酸化ニッケルの結晶は単結晶ではないことが確認された。
本発明の積層体の一例を示す概略断面図である。 結晶のTEM測定の一例を示す断面写真である。 図2に示す結晶の上部を拡大したものである。 図2に示す結晶の中部を拡大したものである。 図2に示す結晶の下部を拡大したものである。 本発明の積層体の製造方法の一例を示す説明図である。 本発明の積層体の製造方法の他の例を示す説明図である。 本発明の積層体の製造方法の他の例を示す説明図である。 実施例1で得られた酸化ニッケル膜のXRD測定の結果である。 実施例1で得られた酸化ニッケル膜のSEM写真である。 実施例2で得られた酸化ニッケル膜のXRD測定の結果である。 実施例2で得られた酸化ニッケル膜のSEM写真である。 実施例3で得られた酸化ニッケル膜のXRD測定の結果である。 実施例3で得られた酸化ニッケル膜のSEM写真である。 実施例4で得られた酸化ニッケル膜のXRD測定の結果である。 実施例4で得られた酸化ニッケル膜のSEM写真である。 実施例5で得られたニッケル酸化物膜のXRD測定の結果である。 実施例5で得られたニッケル酸化物膜のSEM写真である。 比較例1で得られた酸化ニッケル膜のSEM写真(断面写真)である。 比較例2で得られた酸化ニッケル膜のSEM写真(断面写真)である。 比較例3で得られた酸化ニッケル膜のSEM写真(断面写真)である。
符号の説明
1 … 基材
2 … ニッケル酸化物の単結晶
3 … ニッケル酸化物膜
4 … ニッケル酸化物膜形成用溶液
5 … スプレー装置
6、7、8 … ローラー

Claims (9)

  1. 基材と、前記基材の表面から成長した複数のニッケル酸化物の単結晶からなるニッケル酸化物膜とを有することを特徴とする積層体。
  2. 前記ニッケル酸化物が、ニッケル元素、酸素元素およびドーピング金属元素から構成されていることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
  3. 前記ドーピング金属元素が、リチウム元素であることを特徴とする請求項2に記載の積層体。
  4. 前記ニッケル酸化物膜の膜厚が、50nm以上であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の積層体。
  5. ニッケル源を含有し、かつ、溶媒としてニッケル酸化物の単結晶を形成可能な単結晶形成可能溶媒とジケトン類またはケトエステル類とを含有するニッケル酸化物膜形成用溶液を、ニッケル酸化物膜形成温度以上の温度まで加熱した基材に接触させることにより、前記基材上にニッケル酸化物膜を形成することを特徴とする積層体の製造方法。
  6. 前記単結晶形成可能溶媒が、水、メタノール、エタノールまたはアセトンであることを特徴とする請求項5に記載の積層体の製造方法。
  7. 前記ニッケル源が、硝酸ニッケルであることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の積層体の製造方法。
  8. 前記ニッケル酸化物膜形成用溶液が、さらにドーピング金属源を含有することを特徴とする請求項5から請求項7までのいずれかの請求項に記載の積層体の製造方法。
  9. 前記ドーピング金属源が、リチウム元素を有することを特徴とする請求項8に記載の積層体の製造方法。
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