JP2010072143A - ポジ型感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】高感度で、200℃以下の低温焼成によって機械的強度と屈曲性に優れた硬化膜を得ることのできるポジ型感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(a)アルカリ可溶性ポリイミド樹脂、(b)ノボラック樹脂、(c)熱架橋性化合物、(d)光酸発生剤、(e)溶剤を含有するポジ型感光性樹脂組成物であって、(c)熱架橋性化合物の含有量が、樹脂(a)および(b)の総量100重量部に対して15〜80重量部であり、(c)熱架橋性化合物が少なくとも(c1)一般式(1)で表される化合物またはその縮合体、および(c2)下記一般式(2)で表される化合物またはその縮合体を含有し、(c1)と(c2)の含有量比(c1)/(c2)が50/50〜90/10(重量比)であるポジ型感光性樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】(a)アルカリ可溶性ポリイミド樹脂、(b)ノボラック樹脂、(c)熱架橋性化合物、(d)光酸発生剤、(e)溶剤を含有するポジ型感光性樹脂組成物であって、(c)熱架橋性化合物の含有量が、樹脂(a)および(b)の総量100重量部に対して15〜80重量部であり、(c)熱架橋性化合物が少なくとも(c1)一般式(1)で表される化合物またはその縮合体、および(c2)下記一般式(2)で表される化合物またはその縮合体を含有し、(c1)と(c2)の含有量比(c1)/(c2)が50/50〜90/10(重量比)であるポジ型感光性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明はポジ型感光性樹脂組成物に関する。より詳しくは、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜、有機電界発光素子の絶縁層などに適した、紫外線で露光した部分がアルカリ水溶液に溶解する感光性樹脂組成物に関する。
従来、電子機器の半導体素子の表面保護膜や層間絶縁膜等には、耐熱性や機械的特性等に優れたポリイミド系樹脂およびポリベンゾオキサゾール系樹脂が広く使用されている。また、半導体素子の高集積化によって、膜形成精度の向上のために感光性を付与した上記の樹脂が種々提案されており、例えばアルカリ現像可能なポジ型感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物がある。
ポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体を熱的に脱水閉環させてポリイミド薄膜やポリベンゾオキサゾール薄膜とする場合、通常350℃前後の高温焼成を必要とする。ところが、例えば近年登場してきた次世代メモリとして有望なMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory;磁気抵抗メモリ)などは高温プロセスに弱いため、表面保護膜においても、約250℃以下、さらに望ましくは200℃以下の低温での焼成で硬化可能であり、従来の350℃前後の高温で焼成したものと遜色ない性能が得られるポリイミド系樹脂またはポリベンゾオキサゾール系樹脂が求められている。
低温硬化可能なポジ型感光性耐熱性樹脂組成物としては、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾールなどの樹脂100重量部および熱架橋剤10〜100重量部を含有する樹脂組成物(例えば特許文献1参照)、アルカリ可溶性ポリアミドイミド樹脂、光酸発生剤、溶剤および架橋剤を含有するポジ型感光性ポリアミドイミド樹脂組成物(例えば特許文献2参照)などが知られている。これらの樹脂組成物は前駆体ではなく既閉環型の樹脂を用いることで、低温焼成においても耐薬品性に優れ、硬化時の熱収縮を抑えることが可能であった。ところが、これらの樹脂組成物は水銀灯のi線(365nm)の透過率が低く、低感度であるという課題があった。
高感度化の手法としては、耐熱性樹脂やその前駆体にノボラック樹脂やポリヒドロキシスチレン樹脂等のフェノール性水酸基を有する樹脂を混合する系が研究されている。具体的には、ポリイミド前駆体またはポリベンゾオキサゾール前駆体100重量部に対して、ノボラック樹脂および/またはポリヒドロキシスチレン樹脂101重量部以上、およびキノンジアジド化合物を含有するポジ型感光性樹脂前駆体組成物(例えば特許文献3参照)、ポリイミド樹脂、フェノール性水酸基を有する樹脂、光酸発生剤および架橋剤を含有する感光性樹脂組成物(例えば特許文献4参照)などが挙げられる。しかし、フェノール性水酸基を有する樹脂を含有する樹脂組成物は、特に200℃以下の低温で焼成した場合、膜の硬化が不充分なため機械的特性が著しく低下し、10μmの厚さの膜であっても強度のある自己支持膜が得られない課題があった。
特開2007―16214号公報(第1−4頁)
特開2007―240554号公報(第1−3頁)
特開2005―352004号公報(第1−3頁)
特開2008―83359号公報(第1−3頁)
本発明は、高感度で、200℃以下の低温焼成によって機械的強度と屈曲性に優れた硬化膜を得ることのできるポジ型感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は下記の構成からなる。すなわち、(a)アルカリ可溶性ポリイミド樹脂、(b)ノボラック樹脂、(c)熱架橋性化合物、(d)光酸発生剤および(e)溶剤を含有するポジ型感光性樹脂組成物であって、(c)熱架橋性化合物の含有量が、(a)アルカリ可溶性ポリイミド樹脂および(b)ノボラック樹脂の総量100重量部に対して15〜80重量部であり、(c)熱架橋性化合物が少なくとも(c1)下記一般式(1)で表される化合物またはその縮合体、および(c2)下記一般式(2)で表される化合物またはその縮合体を含有し、(c1)と(c2)の含有量比(c1)/(c2)が50/50〜90/10(重量比)であることを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物である。
一般式(1)中、R1は2〜10価の有機基を示す。R2は同じでも異なってもよく、炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは2〜10の整数を示す。一般式(2)中、R3〜R8は同じでも異なってもよく、1価の有機基を示す。ただし、R3〜R8のうち少なくとも4つは一般式(3)で表される基である。
一般式(3)中、R9は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は高感度であり、200℃以下の低温焼成によって機械的強度と屈曲性に優れた硬化膜を得ることができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、(a)アルカリ可溶性ポリイミド樹脂、(b)ノボラック樹脂、(c)熱架橋性化合物、(d)光酸発生剤および(e)溶剤を含有するポジ型感光性樹脂組成物であって、(c)熱架橋性化合物の含有量が、(a)アルカリ可溶性ポリイミド樹脂および(b)ノボラック樹脂の総量100重量部に対して15〜80重量部であり、(c)熱架橋性化合物が少なくとも(c1)下記一般式(1)で表される化合物またはその縮合体、および(c2)下記一般式(2)で表される化合物またはその縮合体を含有し、(c1)と(c2)の含有量比(c1)/(c2)が50/50〜90/10(重量比)であることを特徴とする。
本発明における(a)アルカリ可溶性ポリイミド樹脂とは、ポリマーの構造単位中にカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基を有するポリイミド樹脂をいう。構造単位中にこれらのアルカリ可溶性基を有することでアルカリ現像時に露光部のスカム発現を抑えることができる。また、構造単位中にフッ素原子を有すると、アルカリ水溶液で現像する際に、膜の界面に撥水性が付与され、界面のしみこみなどが抑えられるため好ましい。(a)アルカリ可溶性ポリイミド樹脂中のフッ素原子含有量は、界面のしみこみ防止効果を充分得るために10重量%以上が好ましく、また、アルカリ水溶液に対する溶解性の点から20重量%以下が好ましい。
(a)アルカリ可溶性ポリイミド樹脂は、特に限定されるものではないが、一般式(4)で表される構造単位を有することが好ましい。
一般式(4)中、R10は4〜14価の有機基、R11は2〜12価の有機基を表す。R12およびR13は、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基またはチオール基を示し、それぞれ同じでも異なっていてもよい。αおよびβは0〜10の整数を表す。
上記一般式(4)中、R10はテトラカルボン酸二無水物の残基を表しており、4価〜14価の有機基である。中でも芳香族環または環状脂肪族基を含有する炭素原子数5〜40の有機基が好ましい。
テトラカルボン酸二無水物としては、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9−ビス{4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル}フルオレン二無水物または下記に示した構造の酸二無水物などが好ましい。これらを2種以上用いてもよい。
R14は酸素原子、C(CF3)2、C(CH3)2またはSO2を示す。R15およびR16は水素原子、水酸基またはチオール基を示す。
酸成分としては、上に例示したテトラカルボン酸二無水物のほか、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(カルボキシフェニル)プロパンなどの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸などのジカルボン酸や、トリメリット酸、トリメシン酸などのトリカルボン酸などを使用することができる。また、ヒドロキシフタル酸、ヒドロキシトリメリット酸などの水酸基を有する酸も用いることができる。これら酸成分は2種以上用いても構わないが、テトラカルボン酸二無水物を1〜40モル%共重合することが好ましい。
上記一般式(4)において、R11はジアミンの残基を表しており、2〜12価の有機基である。中でも芳香族環または環状脂肪族基を含有する炭素原子数5〜40の有機基が好ましい。
ジアミンの具体的な例としては、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルヒド、3,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、4,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンまたは下記に示した構造のジアミンなどが好ましい。これらを2種以上用いてもよい。
R14は酸素原子、C(CF3)2、C(CH3)2またはSO2を示す。R15〜R18は水素原子、水酸基またはチオール基を示す。
また、基板との接着性を向上させるために、耐熱性を低下させない範囲で、R10またはR11にシロキサン構造を有する脂肪族の基を共重合してもよい。具体的には、ジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(p−アミノフェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどを1〜10モル%共重合したものなどが挙げられる。
一般式(4)において、R12およびR13はカルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基またはチオール基を示す。αおよびβは0〜10の整数を示す。得られるポジ型感光性樹脂組成物の安定性からは、αおよびβは0が好ましいが、アルカリ水溶液に対する溶解性より見ると、αおよびβは1以上が好ましい。
このR12およびR13のアルカリ可溶性基の量を調整することで、アルカリ水溶液に対する溶解速度が変化するので、この調整により適度な溶解速度を有したポジ型感光性樹脂組成物を得ることができる。
上記R12およびR13がいずれもフェノール性水酸基である場合、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に対する溶解速度をより適切な範囲とするためには、(a)アルカリ可溶性ポリイミド樹脂がフェノール性水酸基量を(a)1kg中2〜4モル含有することが好ましい。フェノール性水酸基量をこの範囲とすることで、より高感度および高コントラストのポジ型感光性樹脂組成物が得られる。
また、一般式(4)で表される構造単位を有するポリイミドは、主鎖末端にアルカリ可溶性基を有することが好ましい。このようなポリイミドは高いアルカリ可溶性を有する。アルカリ可溶性基の具体例としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基およびチオール基などが挙げられる。主鎖末端へのアルカリ可溶性基の導入は、末端封止剤にアルカリ可溶性基を持たせることにより行うことができる。末端封止剤は、モノアミン、酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物などを用いることができる。
末端封止剤として用いられるモノアミンとしては、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノールなどが好ましい。これらを2種以上用いてもよい。
末端封止剤として用いられる酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、ナジック酸無水物、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物などの酸無水物、3−カルボキシフェノール、4−カルボキシフェノール、3−カルボキシチオフェノール、4−カルボキシチオフェノール、1−ヒドロキシ−7−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−6−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−5−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−7−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−6−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−5−カルボキシナフタレン、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸などのモノカルボン酸類およびこれらのカルボキシル基が酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、テレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレンなどのジカルボン酸類の一方のカルボキシル基だけが酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、モノ酸クロリド化合物とN−ヒドロキシベンゾトリアゾールやN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物などが好ましい。これらを2種以上用いてもよい。
末端封止剤に用いられるモノアミンの導入割合は、全アミン成分に対して、好ましくは0.1モル%以上、特に好ましくは5モル%以上であり、好ましくは60モル%以下、特に好ましくは50モル%以下である。末端封止剤として用いられる酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物またはモノ活性エステル化合物の導入割合は、ジアミン成分に対して、好ましくは0.1モル%以上、特に好ましくは5モル%以上であり、好ましくは100モル%以下、特に好ましくは90モル%以下である。複数の末端封止剤を反応させることにより、複数の異なる末端基を導入してもよい。
一般式(4)で表される構造単位を有するポリイミドにおいて、構造単位の繰り返し数は3以上が好ましく、5以上がより好ましく、また200以下が好ましく、100以下がより好ましい。この範囲であれば本発明の感光性樹脂組成物の厚膜での使用が可能になる。
本発明に用いられる(a)アルカリ可溶性ポリイミド樹脂は、一般式(4)で表される構造単位のみからなるものであってもよいし、他の構造単位との共重合体あるいは混合体であってもよい。その際、一般式(4)で表される構造単位をポリイミド樹脂全体の10重量%以上含有することが好ましい。10重量%以上であれば、熱硬化時の収縮を抑えることができ、厚膜作製に好適である。共重合あるいは混合に用いられる構造単位の種類および量は、最終加熱処理によって得られるポリイミドの耐熱性を損なわない範囲で選択することが好ましい。例えば、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾチアゾールなどが挙げられる。これらの構造単位はポリイミド樹脂中70重量%以下が好ましい。
本発明に用いられる(a)アルカリ可溶性ポリイミド樹脂は、例えば、公知の方法を用いてポリイミド前駆体を得、これを公知のイミド化反応法を用いてイミド化させる方法を利用して合成することができる。ポリイミド前駆体の公知の合成法としては、ジアミンの一部を末端封止剤であるモノアミンに置き換えて、または、酸二無水物の一部を末端封止剤であるモノカルボン酸、酸無水物、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物に置き換えて、アミン成分と酸成分を反応させることで得られる。例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物(一部をモノアミンに置換)を反応させる方法、低温中でテトラカルボン酸二無水物(一部を酸無水物、モノ酸クロリド化合物またはモノ活性エステル化合物に置換)とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後ジアミン(一部をモノアミンに置換)と縮合剤の存在下で反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、ジアミン(一部をモノアミンに置換)と反応させる方法などがある。
また、(a)アルカリ可溶性ポリイミド樹脂のイミド化率は、例えば、以下の方法で容易に求めることができる。まず、ポリマーの赤外吸収スペクトルを測定し、ポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピーク(1780cm−1付近、1377cm−1付近)の存在を確認する。次に、そのポリマーを350℃で1時間熱処理し、赤外吸収スペクトルを測定し、1377cm−1付近のピーク強度を比較することによって、熱処理前ポリマー中のイミド基の含量を算出し、イミド化率を求める。
本発明における(a)アルカリ可溶性ポリイミド樹脂のイミド化率は、耐薬品性、高収縮残膜率の点から80%以上であることが好ましい。
また、(a)アルカリ可溶性ポリイミド樹脂に導入された末端封止剤は、以下の方法で容易に検出できる。例えば、末端封止剤が導入されたポリイミドを、酸性溶液に溶解し、ポリイミドの構成単位であるアミン成分と酸無水物成分に分解し、これをガスクロマトグラフィー(GC)や、NMR測定することにより、本発明に使用の末端封止剤を容易に検出できる。これとは別に、末端封止剤が導入されたポリマー成分を直接、熱分解ガスクロクロマトグラフ(PGC)や赤外スペクトル及び13C−NMRスペクトルで測定することによっても、容易に検出可能である。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(b)ノボラック樹脂を含有する。(b)ノボラック樹脂は、フェノール類をホルマリンなどのアルデヒド類で公知の方法で重縮合することにより得られる。
フェノール類としては、例えばフェノール、p−クレゾール、m−クレゾール、o−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,3,4−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2,4,5−トリメチルフェノール、メチレンビスフェノール、メチレンビスp−クレゾール、レゾルシン、カテコール、2−メチルレゾルシン、4−メチルレゾルシン、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、2,3−ジクロロフェノール、m−メトキシフェノール、p−メトキシフェノール、p−ブトキシフェノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、2,3−ジエチルフェノール、2,5−ジエチルフェノール、p−イソプロピルフェノール、α−ナフトール、β−ナフトールなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
また、アルデヒド類としては、ホルマリンの他、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロロアセトアルデヒドなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物において用いられる(b)ノボラック樹脂の好ましい重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算で2,000〜50,000、より好ましくは3,000〜40,000である。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物において、(a)アルカリ可溶性ポリイミド樹脂と(b)ノボラック樹脂の含有量比は、(a)/(b)=90/10〜30/70(重量比)が好ましい。(a)+(b)の総量に対して(a)アルカリ可溶性ポリイミド樹脂含有量が30重量%以上であれば、硬化膜の機械的強度、耐熱性および耐薬品性がより向上する。一方、(b)ノボラック樹脂含有量が10重量%以上であれば、露光部の溶解性がより向上する。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(c)熱架橋性化合物を含有する。本発明においては、(c)熱架橋性化合物が少なくとも(c1)下記一般式(1)で表される化合物またはその縮合体、および(c2)下記一般式(2)で表される化合物またはその縮合体を含有し、(c1)と(c2)の含有量比(c1)/(c2)が50/50〜90/10(重量比)であることを特徴とする。(c1)および(c2)はいずれも前述の一般式で表される化合物とその縮合体の両方を含んでもよい。
一般式(1)中、R1は2〜10価の有機基を示す。R2は同じでも異なってもよく、炭素数1〜4のアルキル基を示す。nは2〜10の整数を示す。一般式(2)中、R3〜R8は同じでも異なってもよく、1価の有機基を示す。ただし、R3〜R8のうち少なくとも4つは一般式(3)で表される基である。
一般式(3)中、R9は炭素数1〜4のアルキル基を示す。
(c1)および(c2)の熱架橋性化合物は、モノマー1分子に対して少なくとも4つのアルコキシメチル基を有する。これらの多官能アルコキシメチル基含有熱架橋性化合物を用いることで、200℃以下の低温焼成時においても、例えば膜厚10μmの自己支持性のある硬化膜を得ることができる。3官能以下のアルコキシメチル基含有熱架橋性化合物を用いた場合では、200℃以下の低温焼成では硬化が不充分となり、強い自己支持膜が得られない。さらに、本発明においては、かかる多官能アルコキシメチル基含有熱架橋性化合物の中でも、高感度化に寄与する(c1)と、低温硬化における屈曲性に寄与する(c2)を組み合わせることにより、得られる感光性樹脂組成物は200℃以下の低温焼成でも硬化可能となり、焼成後の膜の機械的強度および耐薬品性が飛躍的に向上する。
(c1)前記一般式(1)で表される熱架橋性化合物としては以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
(c2)前記一般式(2)で表される熱架橋性化合物としては以下の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明において、(c)熱架橋性化合物の含有量は、樹脂(a)および(b)の総量100重量部に対して15〜80重量部であることが重要である。15重量部未満の場合、200℃以下の低温焼成では硬化が不充分となり、強い自己支持膜が得られない。また、80重量部を超える場合、硬化膜の屈曲性低下が起こる。
本発明において、(c)熱架橋性化合物(c1)と(c2)の含有量比は、(c1)/(c2)=50/50〜90/10(重量比)であることが重要である。(c1)および(c2)をこの範囲の含有量比で用いることによって、高感度であり低温焼成時の硬化膜の機械的強度および屈曲性が優れたポジ型感光性樹脂組成物が得られる。(c1)の含有量がこの範囲を超える場合、低温焼成時の自己支持膜の屈曲性が低下する。逆に(c2)の化合物をこの範囲を超えて使用すると、露光部および未露光部のアルカリ現像時の膜減りが著しく小さくなり、感度が低下する。
本発明に用いられる(d)光酸発生剤としては、キノンジアジド化合物、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩などがある。これらの中では、ノボラック樹脂と併用することで優れた溶解抑止効果を発現し、高感度かつ低膜減りの感光性樹脂組成物を得られるという点から、キノンジアジド化合物が好ましく用いられる。
キノンジアジド化合物は、ポリヒドロキシ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステルで結合したもの、ポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がスルホンアミド結合したもの、ポリヒドロキシポリアミノ化合物にキノンジアジドのスルホン酸がエステル結合および/またはスルホンアミド結合したものなどが挙げられる。これらポリヒドロキシ化合物やポリアミノ化合物の全ての官能基がキノンジアジドで置換されていなくても良いが、官能基全体の50モル%以上がキノンジアジドで置換されていることが好ましい。このようなキノンジアジド化合物を用いることで、一般的な紫外線である水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)に感光するポジ型の感光性樹脂組成物を得ることができる。キノンジアジド化合物を2種以上使用しても構わない。また、光酸発生剤を2種以上用いることで、より露光部と未露光部の溶解速度の比を大きく取ることができ、この結果、高感度な感光性樹脂組成物を得ることができる。
ポリヒドロキシ化合物は、Bis−Z、BisP−EZ、TekP−4HBPA、TrisP−HAP、TrisP−PA、TrisP−SA、TrisOCR−PA、BisOCHP−Z、BisP−MZ、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisOCP−IPZ、BisP−CP、BisRS−2P、BisRS−3P、BisP−OCHP、BisP−AP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PCHP、DML−PC、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP、DML−POP、ジメチロール−BisOC−P、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MTrisPC、TriML−P、TriML−35XL、TML−BP、TML−HQ、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP、HML−TPPHBA、HML−TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、BIR−OC、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−PCHP、BIP−BIOC−F、4PC、BIR−BIPC−F、TEP−BIP−A、46DMOC、46DMOEP、TM−BIP−A(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)、2,6−ジメトキシメチル−4−t−ブチルフェノール、2,6−ジメトキシメチル−p−クレゾール、2,6−ジアセトキシメチル−p−クレゾール、ナフトール、テトラヒドロキシベンゾフェノン、没食子酸メチルエステル、ビスフェノールA、ビスフェノールE、メチレンビスフェノールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
ポリアミノ化合物は、1,4−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルヒド等が挙げられるが、これらに限定されない。
また、ポリヒドロキシポリアミノ化合物は、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明においてキノンジアジド化合物は5−ナフトキノンジアジドスルホニル基、4−ナフトキノンジアジドスルホニル基のいずれも好ましく用いられる。また、同一分子中に4−ナフトキノンジアジドスルホニル基、5−ナフトキノンジアジドスルホニル基を有するナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を用いてもよいし、4−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物と5−ナフトキノンジアジドスルホニルエステル化合物を併用することもできる。
本発明に用いられるキノンジアジド化合物は、特定のフェノール化合物から、次の方法により合成される。例えば5−ナフトキノンジアジドスルホニルクロライドとフェノール化合物をトリエチルアミン存在下で反応させる方法が挙げられる。フェノール化合物の合成方法は、酸触媒下で、α−(ヒドロキシフェニル)スチレン誘導体を多価フェノール化合物と反応させる方法などが挙げられる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、(d)光酸発生剤として、上記キノンジアジド化合物に加えてスルホニウム塩、ホスホニウム塩またはジアゾニウム塩を含有することが好ましい。これらを含有することにより、露光によって発生させた酸成分を適度に安定化させることができる。本発明の感光性樹脂組成物から得られる樹脂組成物は永久膜として使用するため、リン等が残存することは環境上好ましくなく、また膜の色調も考慮する必要があることから、これらの中ではスルホニウム塩が好ましく用いられる。
本発明の感光性樹脂組成物は、(d)光酸発生剤を含有するため、紫外線露光部に酸が発生し、露光部のアルカリ水溶液に対する溶解性が増大することで、露光部が溶解するポジ型のレリーフパターンを得ることができる。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物において、(d)光酸発生剤の含有量は、樹脂(a)および(b)の総量100重量部に対して、好ましくは0.01〜50重量部である。このうち、キノンジアジド化合物は3〜40重量部の範囲が好ましい。また、スルホニウム塩、ホスホニウム塩またはジアゾニウム塩は全体で0.05〜40重量部の範囲が好ましく、さらに0.1〜30重量部の範囲が好ましい。(d)光酸発生剤の含有量をこの範囲とすることにより、より高感度化を図ることができる。さらに増感剤などを必要に応じて含有してもよい。
また、必要に応じて上記感光性樹脂組成物の感度を向上させる目的で、キュア後の収縮残膜率を小さくしない範囲でフェノール性水酸基を有する化合物を含有してもよい。フェノール性水酸基を有する化合物を含有することで、得られる感光性樹脂組成物は、露光前はアルカリ現像液にほとんど溶解せず、露光すると容易にアルカリ現像液に溶解するために、現像による膜減りが少なく、かつ短時間で現像が容易になる。
フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、Bis−Z、BisP−EZ、TekP−4HBPA(テトラキスP−DO−BPA)、TrisP−HAP、TrisP−PA、BisOCHP−Z、BisP−MZ、BisP−PZ、BisP−IPZ、BisOCP−IPZ、BisP−CP、BisRS−2P、BisRS−3P、BisP−OCHP、メチレントリス−FR−CR、BisRS−26X(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、BIP−PC、BIR−PC、BIR−PTBP、BIR−BIPC−F(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)等が挙げられる。
フェノール性水酸基を有する化合物の含有量は、(a)成分の樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部であり、さらに好ましくは1〜40重量部の範囲である。
本発明に用いられる(e)溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどの極性の非プロトン性溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートなどのエステル類、乳酸エチル、乳酸メチル、ジアセトンアルコール、3−メチル−3−メトキシブタノールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。溶媒の含有量は、樹脂(a)および(b)の総量100重量部に対して、50〜2000重量部が好ましく、100〜1500重量部がより好ましい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の粘度は、2〜5000mPa・sが好ましい。粘度が2mPa・s以上となるように固形分濃度を調整することにより、所望の膜厚を得ることが容易になる。一方粘度が5000mPa・s以下であれば、均一性の高い塗布膜を得ることが容易になる。このような粘度を有する感光性樹脂組成物は、例えば感光性樹脂組成物中の固形分濃度を5〜60%にすることで容易に得ることができる。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、必要に応じて基板との濡れ性を向上させる目的で界面活性剤、乳酸エチルやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、エタノールなどのアルコール類、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類を含有してもよい。また、二酸化ケイ素、二酸化チタンなどの無機粒子などを含有することもできる。
また、基板との接着性を高めるために、本発明の感光性樹脂組成物にシリコン成分として、トリメトキシアミノプロピルシラン、トリメトキシエポキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリメトキシチオールプロピルシランなどのシランカップリング剤を、保存安定性を損なわない範囲で含有してもよい。好ましい含有量は、樹脂(a)および(b)の総量100重量部に対して0.01〜5重量部である。
次に、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を用いて耐熱性樹脂パターンを形成する方法について説明する。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物を基板に塗布する。基板としてはシリコンウェハー、セラミックス類、ガリウムヒ素などが用いられるが、これらに限定されない。塗布方法としてはスピンナを用いた回転塗布、スプレー塗布、ロールコーティングなどの方法がある。また、塗布膜厚は、塗布手法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常、乾燥後の膜厚が0.1〜150μmになるように塗布される。
シリコンウェハーなどの基板とポジ型感光性樹脂組成物との接着性を高めるために、基板を前述のシランカップリング剤で前処理することもできる。例えば、シランカップリング剤をイソプロパノール、エタノール、メタノール、水、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、アジピン酸ジエチルなどの溶媒に0.5〜20重量%溶解させた溶液を、スピンコート、浸漬、スプレー塗布、蒸気処理などにより表面処理をする。場合によっては、その後50℃〜300℃までの熱処理を行い、基板とシランカップリング剤との反応を進行させる。
次にポジ型感光性樹脂組成物を塗布した基板を乾燥して、ポジ型感光性樹脂組成物被膜を得る。乾燥はオーブン、ホットプレート、赤外線などを使用し、50℃〜150℃の範囲で1分間〜数時間行うことが好ましい。
次に、このポジ型感光性樹脂組成物被膜上に所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射し、露光する。露光に用いられる化学線としては紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、本発明では水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を用いることが好ましい。
耐熱性樹脂のパターンを形成するには、露光後、現像液を用いて露光部を除去する。現像液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。また場合によっては、これらのアルカリ水溶液にN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、ジメチルアクリルアミドなどの極性溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類などを単独あるいは数種を組み合わせたものを添加してもよい。現像後は水にてリンス処理をすることが好ましい。ここでもエタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類などを水に加えてリンス処理をしてもよい。
現像後、150℃〜500℃の温度を加えて熱架橋反応を進行させ、耐熱性および耐薬品性を向上させる。この加熱処理は温度を選び、段階的に昇温するか、ある温度範囲を選び連続的に昇温しながら5分間〜5時間実施する。一例としては、130℃、200℃で各30分ずつ熱処理する。あるいは室温より400℃まで2時間かけて直線的に昇温するなどの方法が挙げられる。本発明においてのキュア条件としては150℃以上350℃以下が好ましいが、本発明は特に低温硬化性において優れた硬化膜を提供するものであるため、180℃以上250℃以下がより好ましい。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物により形成した耐熱性樹脂被膜は、半導体のパッシベーション膜、半導体素子の保護膜、高密度実装用多層配線の層間絶縁膜などの用途に好適に用いられる。本発明のポジ型感光性樹脂組成物を使用して得られる表面保護膜や層間絶縁膜等を有する電子デバイスとしては、例えば、耐熱性の低いMRAMが好ましい。すなわち、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、MRAMの表面保護膜用として好適である。また、MRAM以外にも次世代メモリとして有望なポリマーメモリ(PolymerFerroelectric RAM:PFRAM)や相変化メモリ(Phase Change RAM:PCRAM、あるいはOvonics Unified Memory:OUM)も、従来のメモリに比べて耐熱性の低い新材料を用いる可能性が高い。したがって、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、これらの表面保護膜用としても好適である。また、基板上に形成された第一電極と、前記第一電極に対向して設けられた第二電極とを含む表示装置、具体的には例えば、LCD、ECD、ELD、有機電界発光素子を用いた表示装置(有機電界発光装置)などの絶縁層に用いることができる。特に、近年の半導体素子の電極や多層配線、回路基板の配線は、構造のさらなる微細化に伴い、銅電極、銅配線が主流となっており、本発明の感光性樹脂組成物により形成した耐熱性樹脂被膜をそのような電極、配線の保護膜として用いると、下地の銅電極や銅配線を腐食することなく高感度でパターン形成できるため、特に好ましく用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、実施例中の感光性樹脂組成物の評価は以下の方法により行なった。
感光性樹脂組成物被膜の作製
シリコンウェハー小片上に、感光性樹脂組成物(以下ワニスと呼ぶ)をプリベーク後の膜厚が所定の膜厚(現像性評価では7〜9μm、自己支持膜評価では10.5〜12.5μm)になるようにスピナー(ミカサ(株)製)を用いて塗布し、ついでホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製D−SPIN)を用いて、120℃で3分間プリベークすることにより、感光性樹脂組成物被膜を得た。
シリコンウェハー小片上に、感光性樹脂組成物(以下ワニスと呼ぶ)をプリベーク後の膜厚が所定の膜厚(現像性評価では7〜9μm、自己支持膜評価では10.5〜12.5μm)になるようにスピナー(ミカサ(株)製)を用いて塗布し、ついでホットプレート(大日本スクリーン製造(株)製D−SPIN)を用いて、120℃で3分間プリベークすることにより、感光性樹脂組成物被膜を得た。
膜厚の測定方法
光干渉式膜厚測定装置(大日本スクリーン製造(株)製ラムダエースSTM−602)を使用し、屈折率1.629で測定した。
光干渉式膜厚測定装置(大日本スクリーン製造(株)製ラムダエースSTM−602)を使用し、屈折率1.629で測定した。
露光
露光機(GCA社製i線ステッパーDSW−8000)に、パターンの切られたレチクルをセットし、感光性樹脂組成物被膜を水銀灯のi線(365nm)により500mJ/cm2の露光量で露光した。
露光機(GCA社製i線ステッパーDSW−8000)に、パターンの切られたレチクルをセットし、感光性樹脂組成物被膜を水銀灯のi線(365nm)により500mJ/cm2の露光量で露光した。
現像
シャーレに2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を入れ、そこに露光後の感光性樹脂組成物被膜をシリコンウェハー小片ごと浸漬し、軽くゆすりながら現像し、パターン形成に要する時間を測定した。60秒経過後、または60秒以内にパターン形成した場合はその時点でウェハー小片を取り出し、すぐさま純水に浸してリンス処理した。ウェハー小片を圧空ブローにより乾燥し、未露光部の膜厚を測定した。パターン形成が完了していないものに関しては露光部の膜厚も測定した。パターン形成が完了していないものは、さらに追加現像を行ない、初回と合わせて1800秒(30分)経過後、または1800秒以内にパターン形成した場合はその時点でTMAH水溶液から取り出し、上記と同様にリンス、乾燥を行なった。
シャーレに2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を入れ、そこに露光後の感光性樹脂組成物被膜をシリコンウェハー小片ごと浸漬し、軽くゆすりながら現像し、パターン形成に要する時間を測定した。60秒経過後、または60秒以内にパターン形成した場合はその時点でウェハー小片を取り出し、すぐさま純水に浸してリンス処理した。ウェハー小片を圧空ブローにより乾燥し、未露光部の膜厚を測定した。パターン形成が完了していないものに関しては露光部の膜厚も測定した。パターン形成が完了していないものは、さらに追加現像を行ない、初回と合わせて1800秒(30分)経過後、または1800秒以内にパターン形成した場合はその時点でTMAH水溶液から取り出し、上記と同様にリンス、乾燥を行なった。
上記の方法で測定したパターン形成までの現像時間(パターン形成現像時間)は600秒(10分)以下を良好とした。
溶解速度比の算出
前記記載の現像方法において、60秒現像後または60秒以内にパターン形成した場合はその時点での膜厚から、以下の式に従って溶解速度比を算出した。
溶解速度比=(プリベーク後膜厚−露光部の現像後膜厚)/(プリベーク後膜厚−未露光部の現像後膜厚)
溶解速度比は20以上を良好とした。
前記記載の現像方法において、60秒現像後または60秒以内にパターン形成した場合はその時点での膜厚から、以下の式に従って溶解速度比を算出した。
溶解速度比=(プリベーク後膜厚−露光部の現像後膜厚)/(プリベーク後膜厚−未露光部の現像後膜厚)
溶解速度比は20以上を良好とした。
未露光部溶解速度の算出
前記記載の現像方法において、パターン形成後または1800秒現像時点での膜厚から、以下の式に従って未露光部溶解速度を算出した。
未露光部溶解速度=(プリベーク後膜厚−未露光部の現像後膜厚)/(現像時間)
未露光部溶解速度は0.3μm/分以下を良好とした。
前記記載の現像方法において、パターン形成後または1800秒現像時点での膜厚から、以下の式に従って未露光部溶解速度を算出した。
未露光部溶解速度=(プリベーク後膜厚−未露光部の現像後膜厚)/(現像時間)
未露光部溶解速度は0.3μm/分以下を良好とした。
自己支持膜評価
シリコンウェハー小片にワニスをプリベーク後の膜厚が10.5〜12.5μmになるように、上記の方法で塗布・プリベークした後、光洋サーモシステム(株)製イナートオーブンCLH−21CD−Sを用いて、窒素気流下(酸素濃度20ppm以下)、50℃で30分間、その後200℃まで昇温し、200℃で30分間熱処理をし、膜厚9〜11μmの硬化膜を得た。次に47重量%フッ酸水溶液を用いて、この硬化膜をシリコンウェハー基板から剥離し、水洗、乾燥した。自己支持膜が得られたものを良好(○)とし、膜がもろ過ぎて充分なサイズの自己支持膜として得られなかったもの、または硬化が不充分なため自己支持膜が得られなかったものを不良(×)とした。得られた自己支持膜を180°に折り曲げ、割れないものを屈曲性良好(○)とし、折り曲げて割れたものを屈曲性不良(×)とした。
シリコンウェハー小片にワニスをプリベーク後の膜厚が10.5〜12.5μmになるように、上記の方法で塗布・プリベークした後、光洋サーモシステム(株)製イナートオーブンCLH−21CD−Sを用いて、窒素気流下(酸素濃度20ppm以下)、50℃で30分間、その後200℃まで昇温し、200℃で30分間熱処理をし、膜厚9〜11μmの硬化膜を得た。次に47重量%フッ酸水溶液を用いて、この硬化膜をシリコンウェハー基板から剥離し、水洗、乾燥した。自己支持膜が得られたものを良好(○)とし、膜がもろ過ぎて充分なサイズの自己支持膜として得られなかったもの、または硬化が不充分なため自己支持膜が得られなかったものを不良(×)とした。得られた自己支持膜を180°に折り曲げ、割れないものを屈曲性良好(○)とし、折り曲げて割れたものを屈曲性不良(×)とした。
合成例1 キノンジアジド化合物(D−1)の合成
乾燥窒素気流下、TrisP−HAP(商品名、本州化学工業(株)製)15.31g(0.05モル)と5−ナフトキノンジアジドスルホニルクロリド(NAC−5、東洋合成(株)製)26.86g(0.10モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.18gを系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入させた。その後、析出した沈殿を濾過で集め、さらに1重量%塩酸1Lで洗浄した。その後、さらに水2Lで2回洗浄した。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、Qのうち平均して2個が5−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化された下記式で表されるキノンジアジド化合物(D−1)を得た。
乾燥窒素気流下、TrisP−HAP(商品名、本州化学工業(株)製)15.31g(0.05モル)と5−ナフトキノンジアジドスルホニルクロリド(NAC−5、東洋合成(株)製)26.86g(0.10モル)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.18gを系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入させた。その後、析出した沈殿を濾過で集め、さらに1重量%塩酸1Lで洗浄した。その後、さらに水2Lで2回洗浄した。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、Qのうち平均して2個が5−ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル化された下記式で表されるキノンジアジド化合物(D−1)を得た。
各実施例、比較例に使用した熱架橋性化合物を下記に示した。
実施例1
乾燥窒素気流下、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(セントラル硝子(株)製)29.30g(0.08モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.24g(0.005モル)、末端封止剤として、3−アミノフェノール(東京化成工業(株)製)3.27g(0.03モル)をN−メチル−2−ピロリドン(以降NMPと呼ぶ)80gに溶解させた。ここにビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物(マナック(株)製)31.2g(0.1モル)をNMP20gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で4時間反応させた。その後、キシレンを15g添加し、水をキシレンとともに共沸しながら、150℃で5時間撹拌した。撹拌終了後、溶液を水3Lに投入して白色沈殿を得た。この沈殿を濾過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。得られたポリマーAの固体を、赤外吸収スペクトルで測定したところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。このポリイミドポリマーAの、ジメチルアセトアミド中、濃度0.5g/dLに調整された希薄溶液の25℃における対数粘度は0.15dL/gであった。
乾燥窒素気流下、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(セントラル硝子(株)製)29.30g(0.08モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン1.24g(0.005モル)、末端封止剤として、3−アミノフェノール(東京化成工業(株)製)3.27g(0.03モル)をN−メチル−2−ピロリドン(以降NMPと呼ぶ)80gに溶解させた。ここにビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物(マナック(株)製)31.2g(0.1モル)をNMP20gとともに加えて、20℃で1時間反応させ、次いで50℃で4時間反応させた。その後、キシレンを15g添加し、水をキシレンとともに共沸しながら、150℃で5時間撹拌した。撹拌終了後、溶液を水3Lに投入して白色沈殿を得た。この沈殿を濾過で集めて、水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で20時間乾燥した。得られたポリマーAの固体を、赤外吸収スペクトルで測定したところ、1780cm−1付近、1377cm−1付近にポリイミドに起因するイミド構造の吸収ピークが検出された。このポリイミドポリマーAの、ジメチルアセトアミド中、濃度0.5g/dLに調整された希薄溶液の25℃における対数粘度は0.15dL/gであった。
得られたポリイミドA8gにノボラック樹脂B(商品名、XPS−4958G、m−クレゾール/p−クレゾール比=55/45(重量比)、群栄化学工業(株)製)を2g加え、さらに熱架橋性化合物としてC−1を2.4gとC−2を0.6g、光酸発生剤として合成例1で得られたキノンジアジド化合物D−1を2g、溶剤としてγ−ブチロラクトンを22.5g加えて感光性ポリイミド樹脂組成物のワニスを得た。得られたワニスを用いて、前記の方法で自己支持膜および現像性の各評価試験を行なった。
実施例2〜4、比較例1〜4
ポリイミド/ノボラックの樹脂比率または熱架橋性化合物を下表1のように変更する以外は実施例1と同様の方法でワニスを作製し、自己支持膜および現像性の各評価試験を行なった。
ポリイミド/ノボラックの樹脂比率または熱架橋性化合物を下表1のように変更する以外は実施例1と同様の方法でワニスを作製し、自己支持膜および現像性の各評価試験を行なった。
比較例5〜7
熱架橋性化合物および溶剤を下表1のように変更する以外は実施例2と同様の方法でワニスを作製し、自己支持膜評価試験を行なった。
熱架橋性化合物および溶剤を下表1のように変更する以外は実施例2と同様の方法でワニスを作製し、自己支持膜評価試験を行なった。
上記の評価結果を表2に示す。
Claims (4)
- (a)アルカリ可溶性ポリイミド樹脂、(b)ノボラック樹脂、(c)熱架橋性化合物、(d)光酸発生剤および(e)溶剤を含有するポジ型感光性樹脂組成物であって、(c)熱架橋性化合物の含有量が、(a)アルカリ可溶性ポリイミド樹脂および(b)ノボラック樹脂の総量100重量部に対して15〜80重量部であり、(c)熱架橋性化合物が少なくとも(c1)下記一般式(1)で表される化合物またはその縮合体、および(c2)下記一般式(2)で表される化合物またはその縮合体を含有し、(c1)と(c2)の含有量比(c1)/(c2)が50/50〜90/10(重量比)であることを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。
- 前記(a)アルカリ可溶性ポリイミド樹脂と(b)ノボラック樹脂の含有量比が(a)/(b)=90/10〜30/70(重量比)であることを特徴とする請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 前記(a)アルカリ可溶性ポリイミド樹脂がフェノール性水酸基を(a)1kg中2〜4モル含有することを特徴とする請求項1または2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 前記(d)光酸発生剤がナフトキノンジアジド化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物。
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2008
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