JP2010040638A - Soi基板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】支持基板に金属不純物を残留させず、かつ低ニッケル化が可能なSIMOXウェーハの製造方法を提供する。
【解決手段】第1熱処理工程11に続いて、酸化膜が形成されたSOI基板の裏面にのみエッチングを施して、SOI基板の裏面の酸化膜を除去する裏面エッチング工程12と、裏面エッチングを施したSOI基板の表面、端面及び裏面の全面をポリシリコンでコーティングして、ポリシリコン膜を形成する工程13と、ポリシリコン膜を形成したSOI基板に第2熱処理を施す工程14と、第2熱処理したSOI基板にエッチングを施し、SOI基板のポリシリコン膜を除去するエッチング工程15とを更に含むことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】第1熱処理工程11に続いて、酸化膜が形成されたSOI基板の裏面にのみエッチングを施して、SOI基板の裏面の酸化膜を除去する裏面エッチング工程12と、裏面エッチングを施したSOI基板の表面、端面及び裏面の全面をポリシリコンでコーティングして、ポリシリコン膜を形成する工程13と、ポリシリコン膜を形成したSOI基板に第2熱処理を施す工程14と、第2熱処理したSOI基板にエッチングを施し、SOI基板のポリシリコン膜を除去するエッチング工程15とを更に含むことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、シリコン単結晶本体に埋込み酸化膜を介して単結晶シリコン層が形成されたSOI基板の製造方法に関する。更に詳しくは、製造工程における金属不純物、特にNiによるウェーハの金属汚染を低減し得るSOI基板の製造方法に関するものである。
SOI基板は、(1)素子と基板間の寄生容量を低減できるのでデバイス動作の高速化が可能であり、(2)放射線耐圧に優れており、(3)誘電体分離が容易のため高集積化が可能である、更に(4)耐ラッチアップの特性を向上できる等の非常に優れた特徴を有する。
現在SOI基板の製造方法には、大きく2つに分類できる。一つの方法は、薄膜化される活性ウェーハと、支持ウェーハを貼合せて形成する貼合せ法であり、他の方法はウェーハ表面より酸素イオンを注入してウェーハ表面から所定の深さの領域に埋込み酸化層を形成するSIMOX法である。特にSIMOX法は製造工程数が少なく、またSIMOX法により製造されるSOI基板、即ちSIMOXウェーハは、大面積でかつ結晶性の良好な素子形成領域を容易に得ることができるため、将来的に有効な手法として期待されている。
例えば、SIMOXウェーハの製造方法では、シリコン単結晶基板の一方の主面を鏡面加工した後に、この鏡面加工面から酸素イオンを基板中の所定深さに注入する酸素イオン注入工程と、酸素イオンを注入した基板に酸化雰囲気下、高温熱処理を施すことにより基板内部に埋込み酸化層を形成する高温熱処理工程から構成される。具体的には、シリコン単結晶基板を500℃〜650℃の温度に保持し、基板表面から1017〜1018個/cm2程度の酸素原子イオン或いは酸素分子イオンを所定の深さに注入する。引続き酸素イオンを注入したシリコン基板を500℃〜700℃の温度に保持した熱処理炉内に投入し、スリップを発生させないように徐々に昇温を開始して1300℃〜1390℃程度の温度で10〜30時間程度の熱処理を施す。この高温熱処理により基板内部に注入された酸素イオンがシリコンと反応して基板内部に埋込み酸化膜が形成される。このような工程を経て、支持基板と、この支持基板上に形成された埋込み酸化膜と、この埋込み酸化膜上に形成されたSOI層とを備えたSOI基板、即ちSIMOXウェーハが製造される。
熱処理が施される熱処理炉の処理室は、処理ガスが導入される反応管、基板を支持する支持具及び炉口部からの放熱を抑制する断熱板等が配設されている。これら処理室内に配設された各部材は、ウェーハと直接接触するシリコンリング以外、ほぼ全ての部品にSiC製のSiC部材が使用されており、このSiC部材表面又は内部には金属不純物が付着している。これらの金属不純物は、比較的低温で行う熱処理の場合は安定してSiC部材に残留するが、特に、SIMOXウェーハの製造工程では、上述のように1300℃を越える高温熱処理が必要とされる。このような1300℃を越える高温熱処理を施すと、安定して残留していた金属不純物がSiC部材から放出され、ウェーハ表面に拡散してしまう。SIMOXウェーハの製造工程では、この高温熱処理の際、熱処理炉内のSiC部材から放出されるこれらの金属不純物に起因する、ウェーハ基板表面のデバイス領域の汚染が大きな問題となっている。
そこで、ウェーハ基板表面のデバイス領域から金属不純物を除く、又はゲッタリングシンクと呼ばれるデバイス領域以外の十分離れた場所に、金属不純物を移動させるゲッタリング技術という手法が発達した。具体的には、基板裏面にサンドブラストで歪みをつける方法、基板裏面にポリシリコン膜を堆積する方法、基板裏面に高濃度のリンを注入する方法などの外部ゲッタリング法(External Gettering:EG)、或いはシリコン基板内部に析出した酸素析出物に起因する結晶欠陥をゲッタリングシンクとして利用する内部ゲッタリング法(Intrinsic Gettering:IG)等が存在する。
ところでSOI基板は、上述のように、バルク層である支持基板と、デバイス領域であるSOI層との間に埋込み酸化膜が形成された構造を持つが、IGによりゲッタリングを施す場合、埋込み酸化膜より下方のバルク層、即ち支持基板に酸素析出核を形成し、これをゲッタリングシンクとする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−175390号公報(請求項3)
しかしながら、近年、SOI基板のSOI層の薄膜化が要望されていることや、デバイスメーカーにおいては、埋込み酸化膜自体をキャパシタとして用いるようになってきたことから、埋込み酸化膜の直下のバルク層、即ち支持基板に、ゲッタリングシンクを形成し、そこに金属不純物が捕獲されているとキャパシタリークなどの不具合が生じることがある。
また、各種金属不純物のうち、特にNiはシリコンとのなじみが良く、他の種類の金属不純物に比べてゲッタリングシンクへ拡散し難いため、デバイス領域等に残存しやすい傾向にある。このため、SOI基板の製造工程における低ニッケル化を実現するゲッタリング技術が強く要望されている。
本発明の目的は、SOI基板の製造方法であって、支持基板に金属不純物を残留させず、かつ低ニッケル化が可能なSOI基板の製造方法を提供することにある。
請求項1に係る発明は、支持基板上に埋込み酸化膜とSOI層をこの順に有するSOI基板の製造方法において、SOI基板は表面と裏面と、前記表面と裏面とを接続する端面とを有し、SOI基板はその表面、端面及び裏面の全面に酸化膜を形成する第1熱処理を施す工程を経て製造され、第1熱処理工程に続いて、酸化膜が形成されたSOI基板の裏面にのみエッチングを施して、SOI基板の裏面の酸化膜を除去する裏面エッチング工程と、裏面エッチングを施したSOI基板の表面、端面及び裏面の全面をポリシリコンでコーティングして、ポリシリコン膜を形成する工程と、ポリシリコン膜を形成したSOI基板に第2熱処理を施す工程と、第2熱処理したSOI基板にエッチングを施し、SOI基板のポリシリコン膜を除去するエッチング工程とを更に含むことを特徴とするSOI基板の製造方法である。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、裏面エッチングが濃度5〜50質量%、温度25〜60℃のフッ酸を用いて行われるSOI基板の製造方法である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明であって、ポリシリコン膜の厚さが10〜1000nmであるSOI基板の製造方法である。
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3いずれか1項に係る発明であって、第2熱処理がアルゴンガス雰囲気中、800〜1100℃の温度で30〜120分間、又はアルゴン及び酸素の混合ガス雰囲気中、800〜1100℃の温度で30〜120分間行われるSOI基板の製造方法である。
本発明によれば、主に高温熱処理の際、熱処理炉内のSiC部材から放出され、ウェーハ表面に付着しデバイス領域等を汚染する金属不純物であって、特にシリコンとのなじみが良く、従来法では除去するのが困難であったNiを捕獲し除去することができる。これにより低ニッケルのSOI基板を製造することができる。また、本発明の製造方法により製造されたSOI基板は、埋込み酸化膜直下のバルク層、即ち支持基板にはゲッタリングシンクは形成されていないため、埋込み酸化膜をデバイス領域として用いる場合であっても、ゲッタリングシンクに捕獲された金属に起因するキャパシタリークなどの不具合を解消することができる。
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明は、支持基板上に埋込み酸化膜とSOI層をこの順に有するSOI基板の製造方法に関するものである。そして、図1に示すように、本発明におけるSOI基板の製造方法は、第1熱処理工程11に続いて、酸化膜が形成されたSOI基板の裏面にのみエッチングを施して、SOI基板の裏面の酸化膜を除去する裏面エッチング工程12と、裏面エッチングを施したSOI基板の表面、端面及び裏面の全面をポリシリコンでコーティングして、ポリシリコン膜を形成する工程13と、ポリシリコン膜を形成したSOI基板に第2熱処理を施す工程14と、第2熱処理したSOI基板にエッチングを施し、SOI基板のポリシリコン膜を除去するエッチング工程15とを更に含むことを特徴とする。
次に、本発明のSOI基板の製造方法のうち、SIMOX法による製造方法を代表して説明する。
(1)酸素イオン注入工程
SIMOX法では、先ず、チョクラルスキー法やフローティングゾーン法等の方法により製造された単結晶インゴットを、スライスしてウェーハに加工し、このウェーハにラッピング、エッチング、研削、研磨、更には鏡面研磨等を施し形成されたシリコンウェーハを準備する。この酸素イオン注入前のシリコンウェーハの酸素濃度は、15〜30ppmaが好ましい。
(1)酸素イオン注入工程
SIMOX法では、先ず、チョクラルスキー法やフローティングゾーン法等の方法により製造された単結晶インゴットを、スライスしてウェーハに加工し、このウェーハにラッピング、エッチング、研削、研磨、更には鏡面研磨等を施し形成されたシリコンウェーハを準備する。この酸素イオン注入前のシリコンウェーハの酸素濃度は、15〜30ppmaが好ましい。
そして、準備されたシリコンウェーハの内部に酸素イオンを注入する。酸素イオンの注入は従来から行われている手段と同一の手段で行うが、最終的に得られるSIMOXウェーハにおけるSOI層の厚さが50〜100nm、好ましくは70〜90nmになるように、ウェーハ表面から所定の深さの領域に注入する。
(2)第1熱処理工程
次に、酸素イオンが注入されたシリコンウェーハを、酸素と不活性ガスとの混合雰囲気中、1300〜1390℃の温度で第1熱処理を施す。不活性ガスとしては、アルゴンや窒素ガスが挙げられる。従って、この第1熱処理のガス雰囲気は、酸素とアルゴンの混合ガス、又は酸素と窒素の混合ガスであることが好ましい。また第1熱処理の熱処理時間は1〜20時間、好ましくは10〜20時間であることが好ましい。
次に、酸素イオンが注入されたシリコンウェーハを、酸素と不活性ガスとの混合雰囲気中、1300〜1390℃の温度で第1熱処理を施す。不活性ガスとしては、アルゴンや窒素ガスが挙げられる。従って、この第1熱処理のガス雰囲気は、酸素とアルゴンの混合ガス、又は酸素と窒素の混合ガスであることが好ましい。また第1熱処理の熱処理時間は1〜20時間、好ましくは10〜20時間であることが好ましい。
この第1熱処理により、ウェーハ表面から所定の深さの領域に埋込み酸化膜22が形成されるとともに埋込み酸化膜22上のウェーハ表面にSOI層23が形成され、図2(a)に示すように、支持基板21と、この支持基板上に形成された埋込み酸化膜22と、この埋込み酸化膜上に形成されたSOI層23とを有するSOI基板20、即ちSIMOXウェーハが形成される。
また、第1熱処理後のSOI基板20、即ちSIMOXウェーハは、表面と裏面と、前記表面と裏面とを接続する端面とを有し、これらはこの第1熱処理により酸化膜24で覆われる。酸化膜の厚さは、アルカリエッチングの際、表面を保護するのに好適であることから、50〜1000nmが好ましい。このうち酸化膜の厚さは500〜800nmが特に好ましい。
(3)裏面エッチング工程
次に、図2(b)に示すように、第1熱処理した酸化膜24を有するSOI基板20の裏面にのみエッチングを施して、SOI基板20の裏面の酸化膜を除去する。
次に、図2(b)に示すように、第1熱処理した酸化膜24を有するSOI基板20の裏面にのみエッチングを施して、SOI基板20の裏面の酸化膜を除去する。
この裏面エッチングは、効率よく酸化膜を除去するために、エッチング溶液として濃度5〜50質量%のフッ酸水溶液を用い、温度25〜60℃の条件で行うのが好ましい。またこの裏面エッチング工程においては、SOI基板のエッチング溶液であるフッ酸が、SOI基板の端面及び表面には回り込まないよう行わなければならない。それは、SOI基板の端面及び表面の酸化膜までが除去されてしまうと、後述するポリシリコン膜を除去するエッチング工程の際に、端面及び表面の平坦度が損なわれるからである。特に端面は、支持基板、埋込み酸化膜及びSOI層の3層が露出した状態であり、酸化膜がない状態のままアルカリエッチング等を行うと、埋込み酸化膜のみが多めにエッチングされ、極端に平坦度が損なわれる不具合を生じる。そのため、この裏面エッチング工程は、例えば図3に示すような、特殊な片面酸化膜エッチャーを用いて行われる。
この装置では、先ず、図3(a)に示すように、全面に酸化膜24が形成されたSOI基板20を低速度で回転させながら低速度で下降し、SOI基板20の下面に相当する一方の主面のみをフッ酸水溶液31に接触させる。SOI基板20の一方の主面がフッ酸水溶液31に接触すると、図3(a)の拡大図に示すようにフッ酸水溶液がその表面張力により、一方の主面上の酸化膜24に均一に接触し、この酸化膜24を溶解除去する。この際、矢印で示すように容器32の上方から空気、窒素又はアルゴン等のキャリアガス33をSOI基板の上面及びフッ酸水溶液31に向けて流しておく。キャリアガス33は図の矢印に示すように流れるため、フッ酸水溶液の蒸気により基板端面部分の酸化膜24の浸食を防止する。図3(b)に示すように所定時間SOI基板20をフッ酸水溶液31に接触させた後、SOI基板20を低速度で回転させながらフッ酸水溶液31から低速度で引上げる。これにより、一方の主面のみ露出したSOI基板20が得られる。
続いて、上記方法等により酸化膜が除去されたSOI基板の裏面を洗浄する。洗浄は、一般的なRCA洗浄であるSC1洗浄や、オゾン水と希フッ酸を用いた枚葉スピン洗浄等により行う。この洗浄の目的は、酸化膜が除去されたSOI基板裏面に厚さ0.2〜0.7nmの自然酸化膜を形成することである。この自然酸化膜を形成する理由は、ポリシリコンを単結晶化させないためである。自然酸化膜の厚さが0.2nm未満では部分的な単結晶化が生じやすい。
(4)ポリシリコンのコーティング工程
次に、図2(c)に示すように、この表面及び端面に酸化膜24、裏面に自然酸化膜を有するSOI基板の表面、端面及び裏面の全面をポリシリコンでコーティングして、ポリシリコン膜25を形成する。
次に、図2(c)に示すように、この表面及び端面に酸化膜24、裏面に自然酸化膜を有するSOI基板の表面、端面及び裏面の全面をポリシリコンでコーティングして、ポリシリコン膜25を形成する。
ポリシリコン膜をSOI基板の裏面のみでなく、SOI基板の表面、端面及び裏面の全面に形成する理由は、ポリシリコン膜を容易にコーティングするためである。ポリシリコン膜のコーティングは、温度600〜800℃の条件で行い、縦型炉等を用いて行う。また膜厚は10〜1000nmとするのが好ましい。10nm未満であると膜厚にムラ等が生じやすく、上限値を越えるとボート跡等の突起等が生じやすい。このうち、ポリシリコン膜の膜厚は50〜100nmとするのが特に好ましい。なお、図2(c)では、ポリシリコン膜25の厚みは、本発明の内容を理解しやすくするため支持基板21に対して誇張して示している。
(5)第2熱処理工程
次に、ポリシリコン膜をコーティングしたSOI基板に、第2熱処理を施す。この第2熱処理の目的は、デバイス領域等を汚染する金属不純物、特にNiを、上記裏面エッチング工程で酸化膜を除去したSOI基板裏面側から、ポリシリコン膜へ捕獲するためである。この第2熱処理は、アルゴンガス雰囲気中、800〜1100℃の温度で30〜120分間、又はアルゴン及び酸素の混合ガス雰囲気中、800〜1100℃の温度で30〜120分間行うのが好ましい。アルゴンガス雰囲気中で行う場合、温度が下限値未満であると、ゲッタリングが不十分になりやすく、上限値を越えるとポリシリコンが再結晶化しやすくなる。また熱処理時間が30分未満であるとゲッタリングが不十分になりやすく、上限値を越えるとポリシリコンが再結晶化しやすくなる。このうち、アルゴンガス雰囲気中で行う場合は、900〜1000℃の温度で45〜75時間行うのが特に好ましい。一方、アルゴン及び酸素の混合ガス雰囲気中で行う場合、温度が下限値未満であると、ゲッタリングが不十分になりやすく、上限値を越えるとポリシリコンが再結晶化しやすくなる。また熱処理時間が30分未満であるとゲッタリングが不十分になりやすく、上限値を越えるとポリシリコンが再結晶化しやすくなる。このうち、アルゴン及び酸素の混合ガス雰囲気中で行う場合は、900〜1000℃の温度で45〜75時間行うのが特に好ましい。またアルゴン99〜95%、酸素1〜5%の割合の混合ガスとするのが好ましい。特に、アルゴン及び酸素の混合ガス雰囲気中で行うと、アルゴンガスのみで行う場合よりも、昇華に起因するポリシリコン膜の白色化を低減させ、表面の状態を良好に保つのに好適である。
次に、ポリシリコン膜をコーティングしたSOI基板に、第2熱処理を施す。この第2熱処理の目的は、デバイス領域等を汚染する金属不純物、特にNiを、上記裏面エッチング工程で酸化膜を除去したSOI基板裏面側から、ポリシリコン膜へ捕獲するためである。この第2熱処理は、アルゴンガス雰囲気中、800〜1100℃の温度で30〜120分間、又はアルゴン及び酸素の混合ガス雰囲気中、800〜1100℃の温度で30〜120分間行うのが好ましい。アルゴンガス雰囲気中で行う場合、温度が下限値未満であると、ゲッタリングが不十分になりやすく、上限値を越えるとポリシリコンが再結晶化しやすくなる。また熱処理時間が30分未満であるとゲッタリングが不十分になりやすく、上限値を越えるとポリシリコンが再結晶化しやすくなる。このうち、アルゴンガス雰囲気中で行う場合は、900〜1000℃の温度で45〜75時間行うのが特に好ましい。一方、アルゴン及び酸素の混合ガス雰囲気中で行う場合、温度が下限値未満であると、ゲッタリングが不十分になりやすく、上限値を越えるとポリシリコンが再結晶化しやすくなる。また熱処理時間が30分未満であるとゲッタリングが不十分になりやすく、上限値を越えるとポリシリコンが再結晶化しやすくなる。このうち、アルゴン及び酸素の混合ガス雰囲気中で行う場合は、900〜1000℃の温度で45〜75時間行うのが特に好ましい。またアルゴン99〜95%、酸素1〜5%の割合の混合ガスとするのが好ましい。特に、アルゴン及び酸素の混合ガス雰囲気中で行うと、アルゴンガスのみで行う場合よりも、昇華に起因するポリシリコン膜の白色化を低減させ、表面の状態を良好に保つのに好適である。
(6)エッチング工程
最後に、図2(d)に示すように、SOI基板20のポリシリコン膜をエッチングにより除去する。
最後に、図2(d)に示すように、SOI基板20のポリシリコン膜をエッチングにより除去する。
このエッチングはアルカリエッチングにより行い、SOI基板から捕獲した金属不純物とともに、SOI基板全面のポリシリコン膜を除去する。エッチング溶液は、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムなどから選択され、濃度5〜36質量%、温度50〜90℃の条件で行うのが好ましい。エッチング量は、ポリシリコンの膜厚以上とする必要があるが、エッチング量が多すぎるとエッチング斑により平坦度が悪化するため、1〜3μmが好ましい。なお、SOI基板の表面及び面取り面には酸化膜が形成されているため、エッチングレートの違いから酸化膜はエッチングされにくく、この酸化膜が保護膜となり、SOI基板の表面及び端面の平坦度を良好に維持することができる。このアルカリエッチング後、SOI基板から、一般的に行われる方法により、SOI基板全面の酸化膜を除去することにより、SIMOXウェーハが製造される。
なお、本発明のSOI基板の製造方法は、上記SIMOX法によるSOI基板の製造方法に限定されるものではなく、水素イオン剥離法や貼り合わせウェーハを研削研磨してSOI層を作製する方法等の貼り合わせ法によるSOI基板の製造方法にも適用できる。
次に本発明の実施例を比較例とともに説明する。
<実施例1>
先ず、チョクラルスキー法により育成した酸素濃度atoms/cm3、厚さ775μmのシリコンウェーハを用意した。次いでウェーハを600℃に加熱し、この状態でウェーハ表面から約0.5μmの領域に次の条件で酸素イオンを注入した。
<実施例1>
先ず、チョクラルスキー法により育成した酸素濃度atoms/cm3、厚さ775μmのシリコンウェーハを用意した。次いでウェーハを600℃に加熱し、この状態でウェーハ表面から約0.5μmの領域に次の条件で酸素イオンを注入した。
加速電圧: 200〜250keV
ビーム電流: 50〜70mA
ドーズ量: 2〜3×1017個/cm2
酸素イオン注入後、ウェーハをアルゴン、酸素ガス雰囲気中、1300〜1370℃の温度帯で、30時間第1熱処理を施し、図2(a)に示すように、支持基板21と、この支持基板21上に形成された埋込み酸化膜22と、この埋込み酸化膜22上に形成されたSOI層23とを有するSOI基板20を得た。得られたSOI基板20は、この第1熱処理により、表面、裏面及び端面の全面が酸化膜24で覆われていた。
ビーム電流: 50〜70mA
ドーズ量: 2〜3×1017個/cm2
酸素イオン注入後、ウェーハをアルゴン、酸素ガス雰囲気中、1300〜1370℃の温度帯で、30時間第1熱処理を施し、図2(a)に示すように、支持基板21と、この支持基板21上に形成された埋込み酸化膜22と、この埋込み酸化膜22上に形成されたSOI層23とを有するSOI基板20を得た。得られたSOI基板20は、この第1熱処理により、表面、裏面及び端面の全面が酸化膜24で覆われていた。
次いで、エッチング溶液として濃度45質量%のフッ酸水溶液を用い、温度50℃の条件で、SOI基板20の裏面のみにエッチングを施し、図2(b)に示すように、SOI基板20裏面の酸化膜24を除去した。この裏面エッチングは、図3に示すような、特殊な片面酸化膜エッチャーにより、SOI基板20の表面及び端面にエッチング溶液が回らないよう十分に注意して行った。続いて、酸化膜24が除去されたSOI基板20の裏面を枚葉式の洗浄機を用いてオゾン水及びフッ酸により洗浄し、酸化膜24が除去されたSOI基板裏面に厚さ0.7nmの自然酸化膜を形成した。
次に、図2(c)に示すように、SOI基板20の表面、端面及び裏面の全面に、温度600〜800℃の条件で、縦型炉を用いて、膜厚100nmのポリシリコン膜25をコーティングした。その後、ポリシリコン膜25でコーティングしたSOI基板20に、アルゴン95%、酸素5%の割合の混合ガス雰囲気中、1000℃の温度で60分間、第2熱処理を施した。次に、エッチング溶液として濃度36質量%の水酸化カリウム水溶液を用い、温度90℃でアルカリエッチングを行い、図2(d)に示すように、SOI基板20全面にコーティングされたポリシリコン膜25を除去した。このアルカリエッチングの際のエッチング量は、SOI基板20裏面では1.5μmとし、一方、表面及び端面については、酸化膜24が十分残るように、エッチング量を0.7μmとした。最後に、このSOI基板20からフッ酸水溶液を用いてSOI基板20全面の酸化膜24を除去し、SIMOXウェーハを製造した。
<実施例2>
アルカリエッチングにおけるSOI基板裏面のエッチング量を2.0μmとしたこと以外は、実施例1と同様に、SIMOXウェーハを製造した。
アルカリエッチングにおけるSOI基板裏面のエッチング量を2.0μmとしたこと以外は、実施例1と同様に、SIMOXウェーハを製造した。
<実施例3>
アルカリエッチングにおけるSOI基板裏面のエッチング量を3.0μmとしたこと以外は、実施例1と同様に、SIMOXウェーハを製造した。
アルカリエッチングにおけるSOI基板裏面のエッチング量を3.0μmとしたこと以外は、実施例1と同様に、SIMOXウェーハを製造した。
<比較例1>
裏面の酸化膜を50nm残したこと以外は、実施例1と同様に、SIMOXウェーハを製造した。
裏面の酸化膜を50nm残したこと以外は、実施例1と同様に、SIMOXウェーハを製造した。
<比較試験及び評価1>
実施例1〜3及び比較例1で得られたSIMOXウェーハについて、SIMOXウェーハの表面及び裏面から深さ1μm以内、即ちSOI層の露出面及び支持基板の露出面から深さ1μm以内の金属不純物の含有量を評価した。その結果を以下の表1に示す。具体的には、先ず、フッ酸及び硝酸の混合液を用いて、実施例1及び比較例1で得られたSIMOXウェーハの表面及び裏面をエッチング量1μmでエッチングし、このエッチング溶液を回収する。次いで、このエッチング溶液を原子吸光分析により、金属不純物の含有量を測定するという方法で行った。
実施例1〜3及び比較例1で得られたSIMOXウェーハについて、SIMOXウェーハの表面及び裏面から深さ1μm以内、即ちSOI層の露出面及び支持基板の露出面から深さ1μm以内の金属不純物の含有量を評価した。その結果を以下の表1に示す。具体的には、先ず、フッ酸及び硝酸の混合液を用いて、実施例1及び比較例1で得られたSIMOXウェーハの表面及び裏面をエッチング量1μmでエッチングし、このエッチング溶液を回収する。次いで、このエッチング溶液を原子吸光分析により、金属不純物の含有量を測定するという方法で行った。
<比較試験及び評価2>
実施例1〜3及び比較例1で得られたSIMOXウェーハについて、SIMOXウェーハ全体の金属不純物の含有量を評価した。その結果を以下の表3に示す。具体的には、フッ酸及び硝酸の混合液に、実施例1〜3及び比較例1で得られた1枚のSIMOXウェーハそれぞれを全溶解させ、この溶液を原子吸光分析することにより、金属不純物の含有量を測定するという方法で行った。
実施例1〜3及び比較例1で得られたSIMOXウェーハについて、SIMOXウェーハ全体の金属不純物の含有量を評価した。その結果を以下の表3に示す。具体的には、フッ酸及び硝酸の混合液に、実施例1〜3及び比較例1で得られた1枚のSIMOXウェーハそれぞれを全溶解させ、この溶液を原子吸光分析することにより、金属不純物の含有量を測定するという方法で行った。
<実施例4>
ポリシリコン膜の厚さを100nmとしたこと以外は、実施例1と同様に、SIMOXウェーハを製造した。
ポリシリコン膜の厚さを100nmとしたこと以外は、実施例1と同様に、SIMOXウェーハを製造した。
<実施例5>
ポリシリコン膜の厚さを400nmとしたこと以外は、実施例1と同様に、SIMOXウェーハを製造した。
ポリシリコン膜の厚さを400nmとしたこと以外は、実施例1と同様に、SIMOXウェーハを製造した。
<実施例6>
ポリシリコン膜の厚さを800nmとしたこと以外は、実施例1と同様に、SIMOXウェーハを製造した。
ポリシリコン膜の厚さを800nmとしたこと以外は、実施例1と同様に、SIMOXウェーハを製造した。
<比較例2>
ポリシリコン膜をコーティングしなかったこと以外は、実施例1と同様に、SIMOXウェーハを製造した。
ポリシリコン膜をコーティングしなかったこと以外は、実施例1と同様に、SIMOXウェーハを製造した。
<比較試験及び評価3>
実施例4〜6及び比較例2で得られたSIMOXウェーハについて、ウェーハの平坦度を評価した。その結果を以下の表4に示す。具体的には、KLA社製測定器を使用して、サイトフラットネス(SFQR)を測定した。SFQR(Site Front Least Squares Range)とは、表面基準のサイト内の各点の表面位置を示す全データから、最小二乗法によりサイト内の基準平面を計算し、この平面からのずれの最大値と最小値の和をとったものであり、SFQRmaxはウェーハ内全サイトのSFQRの最大値を示す。なお1サイトが、25mm×25mm角の単位面積で評価した。
実施例4〜6及び比較例2で得られたSIMOXウェーハについて、ウェーハの平坦度を評価した。その結果を以下の表4に示す。具体的には、KLA社製測定器を使用して、サイトフラットネス(SFQR)を測定した。SFQR(Site Front Least Squares Range)とは、表面基準のサイト内の各点の表面位置を示す全データから、最小二乗法によりサイト内の基準平面を計算し、この平面からのずれの最大値と最小値の和をとったものであり、SFQRmaxはウェーハ内全サイトのSFQRの最大値を示す。なお1サイトが、25mm×25mm角の単位面積で評価した。
11 第1熱処理工程
12 裏面エッチング工程
13 ポリシリコン膜を形成する工程
14 第2熱処理工程
15 エッチング工程
12 裏面エッチング工程
13 ポリシリコン膜を形成する工程
14 第2熱処理工程
15 エッチング工程
Claims (4)
- 支持基板上に埋込み酸化膜とSOI層をこの順に有するSOI基板の製造方法において、
前記SOI基板は表面と裏面と、前記表面と裏面とを接続する端面とを有し、
前記SOI基板はその表面、端面及び裏面の全面に酸化膜を形成する第1熱処理を施す工程を経て製造され、
前記第1熱処理工程に続いて、
前記酸化膜が形成されたSOI基板の裏面にのみエッチングを施して、前記SOI基板の裏面の酸化膜を除去する裏面エッチング工程と、
前記裏面エッチングを施したSOI基板の表面、端面及び裏面の全面をポリシリコンでコーティングして、ポリシリコン膜を形成する工程と、
前記ポリシリコン膜を形成したSOI基板に第2熱処理を施す工程と、
前記第2熱処理したSOI基板にエッチングを施し、前記SOI基板のポリシリコン膜を除去するエッチング工程と
を更に含むことを特徴とするSOI基板の製造方法。 - 裏面エッチングが濃度5〜50質量%、温度25〜60℃のフッ酸を用いて行われる請求項1記載のSOI基板の製造方法。
- ポリシリコン膜の厚さが10〜1000nmである請求項1又は2記載のSOI基板の製造方法。
- 第2熱処理がアルゴンガス雰囲気中、800〜1100℃の温度で30〜120分間、又はアルゴン及び酸素の混合ガス雰囲気中、800〜1100℃の温度で30〜120分間行われる請求項1ないし3いずれか1項に記載のSOI基板の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2008
- 2008-08-01 JP JP2008199547A patent/JP2010040638A/ja active Pending
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