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JP2009520958A - 結腸直腸癌の評価におけるオステオポンチンおよび癌胎児性抗原を含むマーカー組合せの使用 - Google Patents

結腸直腸癌の評価におけるオステオポンチンおよび癌胎児性抗原を含むマーカー組合せの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、結腸直腸癌の評価(=CRC)を補助する方法に関する。本発明は、結腸直腸癌の評価においてオステオポンチンおよび癌胎児性抗原を含むマーカー組合せの使用を開示する。さらにまた、本発明は、特に、試料中の少なくともマーカーオステオポンチンおよび癌胎児性抗原を測定することにより、個体由来の液体試料から結腸直腸癌を評価するための方法に関する。オステオポンチンおよび癌胎児性抗原を含むマーカー組合せは、例えば、結腸直腸癌の早期検出または治療、例えば手術を受けた患者のサーベイランスに使用され得る。

Description

本発明は、結腸直腸癌の評価(=CRC)を補助する方法に関する。本発明は、結腸直腸癌の評価においてオステオポンチンおよび癌胎児性抗原を含むマーカー組合せの使用を開示する。さらにまた、本発明は、特に、試料中の少なくともマーカーオステオポンチンおよび癌胎児性抗原を測定することにより、個体由来の液体試料から結腸直腸癌を評価するための方法に関する。オステオポンチンおよび癌胎児性抗原を含むマーカー組合せは、例えば、結腸直腸癌の早期検出または治療、例えば手術を受けた患者のサーベイランスに使用され得る。
癌は、検出および治療の進歩にもかかわらず、なお主要な公衆衛生の課題である。種々の型の癌のうち、結腸直腸癌(=CRC)は、西洋諸国で最も頻繁な癌の1つである。
結腸直腸癌は、最も頻繁に腺腫(ポリープ)から悪性癌腫に進行する。CRCの種々の病期がデュークス病期A〜Dに従って分類された(used to be)。
癌の病期分類は、程度、進行および重症度に関する疾患の分類である。それにより、癌患者は、予後および治療の選択に関する一般化され得るように群分けされる。
今日、TNMシステムは、癌の解剖学的程度の最も広く使用される分類である。これは、国際的に認められた一定の病期分類システムを表す。3つの基本的な変数: T(原発腫瘍の程度)、N(局所リンパ節の状態)およびM(遠隔転移の有無)がある。TNM基準は、UICC (International Union Against Cancer)(Sobin、L.H. and Fleming、I.D., Cancer 80 (1997)1803-1804)によって公表されている。
特に重要なことは、CRCの早期診断が非常に良好な予後と解釈されることである。ほとんどの結腸直腸の悪性腫瘍は、良性腫瘍、すなわち腺腫から生じると思われる。したがって、最良の予後は、腺腫段階で診断された患者を有する。Tis、N0、M0またはT1-3;N0;M0という早い段階に診断された患者は、適正に処置された場合、遠隔転移が既に存在すると診断された患者ではわずか10%の5年生存率に比べ、診断後5年生存の90%より高い見込みを有する。
本発明の意味において、CRCの早期診断は、悪性状態前(腺腫)または転移が全く存在しない(近位にも遠位にも)、すなわち、腺腫Tis、N0、M0またはT1-4;N0;M0が存在する腫瘍段階における診断をいう。Tisはインサイチュ癌腫を表す。
CRCは、腸壁を貫通するほどまだ充分に成長しておらず、したがって、臓側腹膜に孔が開いておらず、他の臓器もしくは構造も浸潤されていないときに診断されること、すなわち、診断は、段階Tis、N0、M0またはT1-3;N0;M0 (=Tis-3;N0;M0)で行なわれることがさらに好ましい。
より早期に癌が検出/診断され得ると、全体の生存率は良好になる。これは、CRCについて特にそうである。進行段階の腫瘍の予後は不良である。患者の3分の1より多くが進行疾患で診断の5年以内に死亡し、5年で約40%の生存率に相当する。現在の処置は、一部の患者を治癒するだけであり、疾患の初期段階に診断された患者に対して明白に最良の効果を有する。
公衆衛生問題としてのCRCに関して、結腸直腸癌のより有効なスクリーニングおよび予防的措置が開発されることは必須である。
結腸直腸癌について、現在利用可能な最も早期検出の手順は、糞便血液試験または内視鏡手順の使用を伴う。しかしながら、糞便血液が検出される前に、典型的に有意な腫瘍サイズが存在するはずである。グアヤク系糞便の潜血試験の感度は約26%であり、これは、悪性病変を有する患者の74%が未検出となることを意味する(Ahlquist、D. A., Gastroenterol. Clin. North Am. 26 (1997)41-55)。前癌性および癌性病変の可視化は、早期検出のための最良のアプローチを表すが、結腸内視術は侵襲性であり、相当なコスト、リスクおよび合併症を伴う(Silvis、S. E., et al., JAMA 235 (1976)928-930;Geenen、J. E., et al., Am. J. Dig. Dis. 20 (1975)231-235;Anderson、W. F., et al., J. Natl. Cancer Institute 94 (2002)1126-1133)。
臨床的に有用であるためには、単独のマーカーとしての新規な診断マーカーが、当該技術分野で公知の最良の単独マーカーと少なくとも同等に良好であるべきである。あるいは、新規なマーカーは、それぞれ単独または1種類以上の他のマーカーとの組合せのいずれかで使用される場合、診断の感度および/または特異性において進歩をもたらすべきである。試験の診断の感度および/または特異性は、下記に詳細に記載される受信者動作特性で最も良く評価される。
結腸直腸癌における生化学マーカーの臨床的有効性は腫瘍マーカーの欧州グループ(European Group on Tumor Markers)(EGTM)によって最近再検討されている(Duffy, M.J.ら, Eur. J. Cancer 39 (2003) 718-727)。
現在、腫瘍に関連する糖タンパクである癌胎児性抗原(CEA)の検出に基づく診断血液検査は第一に、CRCの領域における診断を助けることが可能である。CEAは結腸直腸癌、胃癌および膵臓癌、ならびに大部分の胸、肺、ならびに頭および首の癌腫を持つ患者から得た組織試料の95%において増加する(Goldenberg, D.M.ら, J. Natl. Cancer Inst. (Bethesda) 57 (1976) 11-22)。上昇したCEAレベルはまた、悪性でない疾患の患者でも報告されており、新たに検出された結腸直腸癌をもつ多くの患者が、特に疾患の早期段階に、血清中で正常なCEAレベルを有する(Carriquiry, L.A.およびPineyro, A., Dis. Colon Rectum 42 (1999) 921-929; Herrera, M.A.ら, Ann. Surg. 183 (1976) 5-9; Wanebo, H.J.ら, N. Engl. J. Med. 299 (1978) 448-451;Wanebo, H.J., et al.上記)。再発検出において血清または血漿で測定されたCEAの有用性は、伝えるところによれば、賛否両論で、まだ広くは利用されていない(Martell, R.E.ら, Int. J. Biol. Markers 13 (1998) 145-149; Moertel, C.G.ら, JAMA 270 (1993) 943-947)。
得られるデータを踏まえると、血清CEA測定方法は、無症候集団における結腸直腸癌のスクリーニング試験としての使用を可能にする感度も特異性も持たない(Reynoso, G.ら, JAMA 220 (1972) 361-365; Sturgeon, C., Clinical Chemistry 48 (2002) 1151-1159)。
全血、血清または血漿は、臨床的業務において最も広く用いられる試料の源である。信頼性のある癌発見の助けとなる、または早期の予後情報を提供する、早期のCRC腫瘍マーカーの同定は、診断において、および疾患の管理において大いに助けになる診断アッセイをもたらし得る。従って、インビトロでのCRCの評価を改善する緊急の臨床的必要性が存在する。早期に診断された患者の生存可能性は、疾患の進行した段階に診断された患者に比べるとはるかに高いので、CRCの早期診断を改善することが特に重要である。
CRCを評価する際に用いられ得る生化学マーカーが同定され得るかどうかを、調査することが本発明の課題であった。
驚いたことに、オステオポンチンおよび癌胎児性抗原を含むマーカー組合せの使用は、当該分野の水準で公知の課題を少なくとも部分的に克服し得ることが見出されている。
発明の概要
本発明は、試料中のオステオポンチンの濃度を測定する工程、試料中の癌胎児性抗原の濃度を測定する工程、および任意に結腸直腸癌の1種類以上の他のマーカーを測定する工程、ならびに結腸直腸癌を評価するために、それぞれオステオポンチン、癌胎児性抗原および任意に結腸直腸癌の1種類以上の他のマーカーについて測定された濃度を組み合わせる工程を含む、結腸直腸癌をインビトロで評価する方法に関する。
また、結腸直腸癌の評価におけるマーカーオステオポンチンおよび癌胎児性抗原の組合せの使用、ならびに結腸直腸癌の評価におけるオステオポンチン、癌胎児性抗原、および結腸直腸癌の1種類以上の他のマーカーを含むマーカーパネルの使用が開示される。
本発明は、さらに、オステオポンチンおよび癌胎児性抗原を特異的に測定するために必要とされる試薬を含む、本発明によるCRCの評価方法を行なうためのキットに関する。
発明の詳細な説明
好ましい態様において、本発明は、a)試料中のオステオポンチンの濃度を測定する工程、b) 試料中の癌胎児性抗原の濃度を測定する工程、およびc)任意に結腸直腸癌の1種類以上の他のマーカーを測定する工程、ならびにd) 結腸直腸癌を評価するために、工程(a)、(b) において測定された濃度および任意に工程(c)測定された濃度(1つまたは複数)を組み合わせる工程を含む、結腸直腸癌をインビトロで評価するための方法に関する。
オステオポンチン(OPN):
OPNは、正常な血漿、尿、乳汁および胆汁に見られる(US 6,414,219;US 5,695,761;Denhardt、D.T.およびGuo、X., FASEB J. 7 (1993)1475-1482;Oldberg、A., et al., PNAS 83 (1986)8819-8823;Oldberg、A., et al., J. Biol. Chem. 263 (1988)19433-19436;Giachelli、C.M., et al., Trends Cardiovasc. Med. 5 (1995)88-95)。ヒトOPNタンパク質およびcDNAは、単離され配列決定されている(Kiefer M.C., et al., Nucl. Acids Res. 17 (1989)3306)。
インテグリンおよびCD44受容体との結合を介した細胞マトリックス相互作用および細胞シグナル伝達を調節することによる細胞接着、化学走性、マクロファージ指向インターロイキン-10 (IL-10)抑制、ストレス依存性新脈管形成、アポトーシスの抑制、および腫瘍細胞の固定非依存性増殖におけるOPN機能。OPNの構成的発現は、いくつかの細胞型に存在するが、誘導発現は、Tリンパ球、表皮細胞、骨細胞、マクロファージ、ならびに炎症、虚血-再灌流、骨吸収および腫瘍進行などのリモデリングプロセス中の腫瘍細胞において検出されている(Wai, P.Y. & Kuo P.C. J. Surg. Res. 121 (2004)228-241に概説)。
OPNは、多数のインテグリン受容体と相互作用することが知られている。OPN発現の増大は、多数のヒトの癌において報告されており、そのコグネート受容体 (av-b3、av-b5およびav-b1インテグリンならびにCD44)が同定された。Irby, R.B., et al., Clin. Exp. Metastasis 21 (2004)515-523によるインビトロ研究は、内因性OPN発現(安定なトランスフェクションにより)ならびに外因性OPN(培養培地への添加)により、ヒト結腸癌細胞の運動性および侵襲能力がインビトロで増強されたことを示す。OPNは、CD44との相互作用を介して運動性を調節するようであった。また、OPN発現により、転移性癌細胞に特徴的とみなされる細胞内(同型)接着が低下した。また、OPNでの4種類の不充分な腫瘍形成性ヒト結腸癌細胞株の安定なトランスフェクションにより、OPN発現の程度と一致する、増殖の増大およびCD31陽性微小血管計測数の増加とともにインビボで腫瘍形成性の増強がもたらされた。
Mor、G., et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102 (2005)7677-7682は、OPNおよび3つの他の検体の同時定量に基づく上皮卵巣癌の早期診断のための血液(血清)試験を報告する。
好ましい態様において、本発明は、試料中のオステオポンチンの濃度を測定する工程および、測定された濃度をCRCの評価に使用する工程を含む、生化学的マーカーによってCRCをインビトロで評価するための方法に関する。
癌胎児性抗原 (CEA):
CEA (癌胎児性抗原)は、およそ45〜60%の変動的糖質成分を有する単量体糖タンパク(分子量およそ180.000ダルトン)である(Gold, P.およびFreedman, S.O., J. Exp. Med. 121 (1965) 439-462)。
AFPなどのCEAは、胚および胎児期の間に産生される癌胎児性抗原の群に属する。CEA遺伝子ファミリーは、2つのサブグループの約17個の活性な遺伝子からなる。第1の群は、CEAおよび非特異的交差反応性抗原(NCA)を含み、第2の群は、妊娠特異的糖蛋白(PSG)を含む。
CEAは、主に、胎児の胃腸管および胎児の血清に見られる。また、微量で、健常成体の腸、膵臓および肝臓組織にも存在する。CEAの形成は、出生後は抑制され、したがって、血清CEA値は、健常成体ではほとんど測定され得ない。
高CEA濃度は、結腸直腸腺癌の症例で高頻度で見られる(Fateh-Modhadam, A. et al. (編), Tumormarker und ihr sinnvoller Einsatz, Juergen Hartmann Verlag GmbH, Marloffstein-Rathsberg (1993), ISBN-3-926725-07-9)。微量から中程度のCEA上昇(稀に>10 ng/mL)が、腸、膵臓、肝臓および肺の良性疾患(例えば、肝硬変、慢性肝炎、膵炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、気腫)の20〜50%に起こる(Fateh-Moghadam, A., et al., 上記)。喫煙者も上昇したCEA値を有する。
CEA測定の主な適用は、結腸直腸癌を有する患者の追跡調査および治療マネージメントである。
CEA測定は、一般集団の癌スクリーニングには推奨されない。正常範囲内のCEA濃度は、あり得る悪性疾患の存在を排除しない。
Roche Diagnosticsが製造したアッセイ用抗体は、CEAおよび(ほぼすべてのCEA検出法の場合のように)胎便中の(meconium)抗原 (NCA2)と反応する。NCA1との交差反応性は0.7%である(Hammarstrom, S.ら, Cancer Research 49 (1989) 4852-4858およびBormer, O.P., Tumor Biol. 12 (1991) 9-15)。
CEAは、Elecsys(登録商標)解析装置において、Roche製品番号11731629を用い、製造業者の使用説明書に従って測定されている。
本明細書中において、以下の用語のそれぞれはこの項中でそれと関連する意味を有する。
冠詞「a」および「an」は本明細書中では、冠詞の文法的目的語の1つ以上(すなわち、少なくとも1つ)をいうのに用いられる。一例として、「マーカー(a marker)」は1つのマーカーまたは1つより多いマーカーを意味する。
本明細書中で用いられる、用語「マーカー」または「生化学マーカー」は、患者の検査試料を分析するための標的として用いられる分子をいう。かかる分子標的の例は、タンパク質またはポリペプチドそれら自身、ならびに試料中に存在する抗体である。本発明でマーカーとして用いられるタンパク質もしくはポリペプチドは、該タンパク質の任意の変異体ならびに該タンパク質もしくは該変異体の断片、特に免疫学的に検出可能な断片を含むことを意図される。当業者は細胞によって遊離した、または例えば炎症の間に損傷した細胞外基質に存在していた、タンパク質がかかる断片に分解または開裂され得ることを理解するだろう。ある特定のマーカーは不活性な形態で合成され、引き続いてタンパク質分解によって活性化され得る。当業者はタンパク質またはそれらの断片もまた複合体の一部として存在し得ることを認識するであろう。かかる複合体もまた、本発明の意味ではマーカーとして用いられ得る。マーカーポリペプチドの変異体は同じ遺伝子によってコードされるが、PIもしくはMW、または両者において異なり(例えば、選択的mRNAまたはmRNA前駆体プロセシング、例えば、選択的スプライシングまたは制限タンパク質分解、の結果として)および、さらに、もしくは代わりに、特異な翻訳後修飾(例えば、糖化、アシル化、および/またはリン酸化反応)から起こり得る。
用語「結腸直腸癌の評価」は、本発明の方法(単独で、または他のマーカーもしくは変数、例えばUICC (UICC (上記参照)により示された基準と共に)が、例えば医師がCRCの有無の確証または確認する助けとなったり、予後、治療の有効性(例えば、手術、化学療法または放射線療法後)および再発検出(術後患者の追跡調査)のモニタリングにおいて医師の助けとなることを示すのに用いられる。
用語「試料」は、本明細書中において、インビトロでの評価の目的のために得た生物学的試料をいう。本発明の方法において、試料または患者試料は好ましくは任意の体液を含み得る。好ましい検査試料としては、血液、血清、血漿、尿、唾液、および滑液が挙げられる。好ましい試料は、全血、血清、血漿、または滑液で、血漿もしくは血清が最も好ましい。
当業者には認識されるように、任意の測定および対応する評価がインビトロで行なわれる。患者試料はその後、廃棄される。患者試料は、単にインビトロでの本発明の診断方法に用いられるだけのためのもので、患者試料の物質は患者の身体には戻されない。通常は、試料は液体試料で、例えば、全血、血清、または血漿である。
診断のため理想的なシナリオは、例えば、感染性疾患において、単一事象または経過がそれぞれの疾患を引き起こす状況であろう。全ての他の症例において、特に疾患の病因が、CRCの症例として完全には理解されていない時、正確な診断は非常に困難であり得る。当業者には認識されるように、例えばCRCの領域において、所定の疾患について100%の特異性および同時に100%の感度で診断する生化学マーカーはない。むしろ、生化学マーカーは、疾患の有無を一定の可能性または予測値で評価するために用いられる。従って、日々の臨床診断では、様々な臨床的症状および生物学的マーカーは、診断、治療、および潜在的な疾患の管理において、一般的に一緒に考慮される。
生化学マーカーは個々に測定され得るか、または本発明の好ましい態様においては、チップ、もしくはビーズ系のアレイ技術を用いて同時に測定され得るかのいすれかである。バイオマーカーの濃度はその後、各マーカーの個別のカットオフ(cut-off)を用いて単独で解釈されるか、解釈のために組み合わされる。好ましくは、CEAおよびオステオポンチンについて測定された値は、適切な数学的または統計学的関数を用いて組み合わされる。
オステオポンチンおよびCEAを含む本発明において開示されたマーカー組合せは、CRCの評価を改善し得る。オステオポンチンおよびCEAを含むマーカー組合せは、以下:スクリーニング;診断補助;予後;治療のモニタリング;および追跡調査の一つ以上の側面において特に有利であり得る。
スクリーニング:
CRCは先進国において男性および女性の両方で、二番目によくみられる悪性腫瘍である。その高い有病率、長い無症候期および前癌病変の存在のために、CRCはスクリーニング基準の多くに合う。明らかに、許容範囲の感度および特異性を有する血清腫瘍マーカーは、FOB検査または内視鏡検査のどちらかよりもスクリーニングのためにより適している。
実施例項で与えられるデータが示すように、マーカーOPN単独またはCEAマーカー単独では、例えばCRCの危険性のある集団などの、全般的なスクリーニングを可能にするには十分ではないだろう。これらのマーカー両方では、感度は、スクリーニング目的に(fro)必要とされる特異性レベルで充分高くない。しかし、本発明で立証されたデータは、マーカーOPNおよびCEAの組合せがスクリーニング目的に適したマーカーパネルのなくてはならない部分を形成するであろう事を示す。本発明は従って、CRCスクリーニング目的のためのCRCマーカーパネルのコアとしてのOPNおよびCEAの使用に関する。本発明のデータはさらに、これらの2つのマーカーの組合せと、1種類以上の他のマーカーとの特定の組合せがCRCのスクリーニングに有利であろうことを示す。従って、本発明はまた、CRCスクリーニングの目的のための例えば、OPN、CEAおよびNSEを含むマーカーパネル、またはOPN、CEAおよびNNMTを含むマーカーパネルの使用に関する。
診断補助:
術前のCEA値の診断価値は限られている。それでもなお、対腫瘍マーカー欧州委員会(European Committee on Tumor Markers (ECTM))は、基準値の確立および予後の評価のため、手術前にCEAを測定することを推奨する。本発明によるマーカー組合せは、マーカーCEA単独よりも優れていることが予測される。したがって、OPNおよびCEAを含むマーカー組合せを診断補助として使用することは、本発明による好ましい態様であることが予測され、好ましい態様を表す。マーカー組合せは、特に手術前の基準値が確立されると、特に良好な診断補助であり得る。
本発明は従ってまた、CRCの手術前の基準値を確立するためのOPNおよびCEAを含むマーカー組合せの使用に関する。
予後:
CRCの患者において予後を調べるための最も基準になる検査は、デュークスのTNMまたは他の病期分類システムによって規定される疾患の程度(extend)である。CEAなどのマーカーが、転帰を予測するために使用される場合、これは、既存の病期分類システムにより得られるものより強い予後情報を提供しなければならず、既存のシステムとは独立した情報を提供しなければならず、または既存の基準によって規定される特定の亜群内、例えば、デュークスのBまたは節(node)陰性患者内において予後データを提供しなければならない。
最近、米国癌合同委員会(American Joint Committee on Cancer) (AJCC)の合意会議(Consensus Conference)で、CEAを、結腸直腸癌のTNM病期分類システムに加えるべきであることが提案された。CEAレベルは、以下のとおりに指定されるべきである: CX、CEAは評価され得ない; CO、CEA上昇なし(<5μg/l)またはCEA1、CEA上昇(>5μg/l) (Compton, C.ら, Cancer 88 (2000) 1739-1757)。
好ましい態様において、マーカー組合せCEAおよびOPNは、CRCを患う患者の疾患の過程を予後診断するために使用される。さらに好ましい態様において、OPNおよびCEAの手術前のレベルは、CRCの1種類以上の他のマーカーおよび/またはAJCCによってCEAに推奨されるTNM病期分類システムと組み合わされ、CRCを患う患者の疾患の結果の予後に使用される。
化学療法のモニタリング:
いくつかの報告では、進行したCRCの患者の治療のモニタリングにおけるCEAの使用が記載されている(概略は、Duffy, M.J., Clin. Hem. 47 (2001) 625-630; Fletcher, R.H., Ann. Int. Med. 104 (1986) 66-73; Anonymous, J. Clin. Oncol. 14 (1996) 2843-2877を参照)。これらの調査のほとんどは、遡及的でランダムではなく、少数の患者を含んだ。これらの試験は、a) 化学療法を受けている間にCEAレベルが減少した患者は、一般的に、CEAレベルが減少しなかった患者よりも良好な結果を有し、(b) ほぼすべての患者で、CEAレベルの増加は疾患の進行と関連したことを示した。
実施例の項に示すデータにより、OPNおよびCEAを含むマーカー組合せは、化学療法のモニタリングに使用した場合、CEA単独よりも優れていることが期待されるべきである。したがって、本発明はまた、化学療法を受けているCRC患者のモニタリングにおけるOPNおよびCEAを含むマーカー組合せの使用に関する。
追跡調査:
治癒を目的とした外科的切除を受ける患者のおよそ50%は、後に再発または転移性疾患が起こる(Berman, J.M.ら, Lancet 355 (2000) 395-399)。これらの再発のほとんどは、診断から最初の2〜3年以内に起こり、通常、肝臓、肺または局所領域(locoregional)の部分に限定される。再発性/転移性疾患は、常に致死的であるため、相当な研究が、その初期ひいては潜在的に治療可能な段階での同定に焦点を当てている。その結果、これらの患者の多くは、多くの場合CEAの定期的モニタリングを含む、術後のサーベイランスプログラムを受ける。
CEAの連続モニタリングにより、再発性/転移性疾患が、およそ80%の感度およびおよそ70%の特異性で検出されることが示されており、5ヶ月の平均リードタイム(lead-time)が提供される(概説は、上記のDuffy, M.J.らおよび上記のFletcher, R.Hを参照のこと)。さらにまた、CEAは、無症候の患者において最もよく見られる再発のインジケーターであり(Pietra, N.ら, Dis. Colon Rectum 41 (1998) 1127-1133およびGraham, R.A.ら, Ann. Surg. 228 (1998) 59-63)、潜在的に治癒可能な再発性疾患の検出には、放射線使用よりもコスト効率が高かった。再発/転移の部位に関しては、CEAは、肝臓転移の検出に最も感度が高かった(ほぼ100%)。他方、CEAは、局所領域(locoregional)での再発の診断では信頼性が低く、感度は、わずかおよそ60%であった(Moertel, C.G.ら, Jama 270 (1993)943-947)。
患者の利便性、コストおよび疾患検出の効率間の妥協策として、ASCO Panel (Anonymous, J. Clin. Oncol. 14 (1996) 2843-2877)などのEGTM Panelは、CEA試験を最初の診断後、2〜3ヶ月ごとに少なくとも3年間行なうことを提案する。3年後は、より低頻度で、例えば6ヶ月ごとに試験を行ない得る。しかしながら、試験のこの頻度を支持する証拠はない。
当該技術分野の技術水準について上記のように、術後のCRC患者の追跡調査は、適切な生化学マーカーまたはマーカーの適切な組合せの使用の最も重要な領域の1つである。調査されたCRC患者におけるマーカー組合せOPNおよびCEAの高感度さにより、このマーカー組合せ単独または1種類以上の他のマーカーとの組合せで、CRC患者、特に、術後のCRC患者の追跡調査において非常に有用であることが期待される。CRC患者の追跡調査におけるOPNおよびCEAならびに任意にCRCの1種類以上の他のマーカーを含むマーカーパネルの使用は、本発明のさらに好ましい態様を表す。
本発明は、CRC診断分野またはCRCの評価のそれぞれにおけるマーカーOPNおよびCEAの使用を開示し、したがって、好ましい態様において、該使用に関する。
またさらなる好ましい態様では、本発明は、個体から得た液体試料からの結腸直腸癌の評価において、1種類以上の結腸直腸癌用マーカー分子との組合せでの結腸直腸癌用マーカー分子としてのOPNおよびCEAを含むマーカーパネルの使用に関する。この点に関し、「1つ以上」という表現は、1〜20、好ましくは1〜10、好ましくは1〜5、より好ましい3または4を示す。OPNおよびCEAならびに1種類以上の他のマーカーがCRCマーカーパネルを形成する。
したがって、本発明の好ましい態様は、個体から得た液体試料からの結腸直腸癌の評価において、1種類以上の結腸直腸癌用マーカー分子との組合せでの結腸直腸癌のマーカー組合せOPNおよびCEAの使用である。OPNおよびCEAの測定と組み合せ得る他のCRCマーカーで好ましく選択されるものは、NSE、ASC、NNMT、CA 19-9、MASP、CYFRA 21-1、FREEおよび/またはCA 72-4である。またさらに好ましくは、CRCの評価に使用されるマーカーパネルは、OPNおよびCEA、ならびにNSEおよびNMMTからなる群より選択される少なくとも1つの他のマーカー分子を含む。
OPNおよびCEAと組み合わせるか、またはOPNおよびCEAを含むCRCマーカーパネルの一部を形成する1種類以上のマーカーを、それぞれ、以下により詳細に議論する。
NSE:
NSE(ニューロン-特異的エノラーゼ)は、解糖酵素エノラーゼ(2-ホスホ-D-グリセリン酸ヒドロラーゼ、EC 4.2.1.11、分子量およそ80kD)としても知られており、α、βおよびγと称する3つの免疫学的に異なるサブユニットを含む種々の二量体イソフォームで存在する。エノラーゼのα-サブユニットは、哺乳動物の数々の型の組織に存在するが、β-サブユニットは、主に、心臓および横紋筋組織に見られる。エノラーゼイソフォームαγおよびγγは、ニューロン-特異的エノラーゼ(NSE)またはγ-エノラーゼと呼ばれ、主に、ニューロンおよび神経内分泌細胞ならびにこれらに由来する腫瘍において高濃度で検出され得る(Lamerz, R., NSE (Neuronen-spezifische Enolase), γ-Enolase, In: Clinical Laboratory Diagnosis, Thomas, L. (編), TH-Books, Frankfurt, 英語版第1版(1998): 979-981, 5. deutsche Auflage (1998):1000-1003)。
NSEは、気管支の小細胞癌のモニタリングにおけるマーカーの第1選択肢として記載されているが(Lamerz, R., NSE (Neuronen-spezifische Enolase), γ-Enolase, 上記)、気管支の非小細胞癌では、CYFRA 21-1がNSEよりも優れている(Ebert, W.ら, Eur. J. Clin. Chem. Clin. Biochem 32 (1994) 189-199)。
NSE濃度の上昇が、気管支の小細胞癌の症例の60〜81%において見られる。
NSEについて、転移部位または脳転移との相関性はないが、臨床病期、すなわち疾患の程度とは充分な相関性がある。
化学療法に応答して、最初の治療周期の24〜72時間後、腫瘍細胞の細胞溶解の結果としてNSEレベルの一時的な上昇がある。その後、1週間以内または最初の治療周期の終了までに、血清値(治療前は上昇していた)は急速に低下する。対照的に、治療に応答しない人は、常に高いか、または参照範囲に入らないレベルを示す。寛解の間、患者の80〜96%が正常値を有する。NSE値の上昇は、再発の場合において見られる。この上昇は、場合によっては、1〜4ヶ月の潜伏期に起こり、しばしば指数関数的であり(倍加時間は10〜94日間である)、生存期間と相関する。NSEは、気管支の小細胞癌における治療および疾患経過のモニタリング中の単独の予後因子および活性マーカーとして有用である。診断感度93%、陽性期待値92%(Lamerz, R., NSE (Neuronen-spezifische Enolase)、γ-Enolase, 上記)。
神経芽細胞腫において、30 ng/mlより高いNSE血清値が、罹患小児の62%に見られる。中央値は、疾患の病期に従って上昇する。病理学的NSE値の大きさまたは頻度と疾患の病期との間に有意な相関性があり、病気なしの生存と逆相関性がある。
精上皮腫の患者の68〜73%は、臨床的に有意な NSE上昇を有する(Lamerz, R., NSE (Neuronen-spezifische Enolase), γ-Enolase, 上記)。疾患の臨床経過との利用可能な相関性がある。
また、NSEは他の腫瘍でも測定されている。非肺悪性疾患は、症例(すべての病期における癌腫)の22%において25 ng/mlより上の値を示す。神経膠腫、髄膜腫(miningioma)、神経線維腫、および神経鞘腫などの脳腫瘍は、時々上昇血清NSE値を伴うにすぎない。原発性の脳腫瘍または脳転移ならびに悪性黒色腫および褐色細胞腫では、上昇NSE値は、CSF(脳脊髄液)において生じ得る。増大したNSE濃度は、臓器限局の癌の14%および転移性の腎臓癌の46%で報告されており、独立した予後因子として悪性度分類(grade)との相関性を有する。
良性疾患では、上昇した血清NSE濃度(>12 ng/ml)が、良性肺疾患および大脳疾患の患者において見られている。上昇した値は、主に体液(liquor)中で、脳血管髄膜炎、播種性脳炎、脊髄小脳性変性、脳虚血、脳梗塞、脳内血腫、クモ膜下出血、頭部外傷、炎症性脳疾患、器質性癲癇、統合失調症およびクロイツフェルト‐ヤーコプ病において見られた(Lamerz, R., NSE (Neuronen-spezifische Enolase), γ-Enolase, 上記)。
NSEは、Elecsys(登録商標)解析装置において、Roche製品番号12133113を用い、製造業者の使用説明書に従って測定され得る。
NNMT:
タンパク質ニコチンアミドN-メチルトランスフェラーゼ(NNMT; Swiss-PROT: P40261)は、29.6 kDaの見かけ分子量および5.56の等電点を有する。
NNMTは、ニコチンアミドおよび他のピリジン類のN-メチル化を触媒する。この活性は、多くの薬物および生体異物化合物の生体内変化に重要である。このタンパク質は、主に肝臓内で発現され、細胞質内に位置することが報告されている。NNMTは、ヒト肝臓由来のcDNAからクローン化し、29.6 kDaの計算分子量を有する264個のアミノ酸のタンパク質をコードする792個のヌクレオチドのオープンリーティングフレームを含んでいる(Aksoy, S.ら, J. Biol. Chem. 269 (1994) 14835-14840)。ヒト癌における該酵素の潜在的役割については、文献ではほとんど知られていない。ある論文では、肝臓NNMTの酵素活性の増大が、マウスにおいて、癌悪液質のマーカーであると報告された (Okamura, A.ら, Jpn. J. Cancer Res. 89 (1998) 649-656)。最近の報告では、放射線感受性細胞株内の放射線に応答したNNMT遺伝子のダウンレギュレーションが示された (Kassem, H.ら, Int. J. Cancer 101 (2002) 454-460)。
最近 (WO 2004/057336)、NMMTが、CRCの評価において重要であろうことがわかった。WO 2004/057336に記載されたイムノアッセイは、本研究の試料(CRC、健常対照および非悪性結腸疾患)を測定するために使用されている。
CA 19-9
測定されたCA 19-9(糖質抗原19-9)値は、モノクローナル抗体1116-NS-19-9の使用によって規定(define)される。血清中の1116-NS-19-9反応性決定基は、多数のCA19-9エピトープを含有する主にムチン様タンパク質上で発現される(Magnani, J.L., Arch. Biochem. Biophys. 426 (2004) 122-131)。
集団の3〜7%がLewis a-ネガティブ/b-ネガティブ血液群形態を有し、反応性決定因子CA 19-9を有するムチンを発現することができない。この発見を説明する際にこのことを考慮しなければならない。
CA19-9含有ムチンは胎児期に胃、小腸および膵臓の上皮で発現される。生体組織の肝臓、肺および膵臓においても低濃度で見出され得る(Fateh-Moghadam, A., et al., 上述;Herlyn, M., et al., J. Clin. Immunol. 2 (1982) 135-140)。
CA 19-9アッセイ値は、膵臓癌を有する患者の鑑別診断およびモニタリング(感度70〜87%)を補助し得る(Ritts, R.E., Jr., et al., Int. J. Cancer 33 (1984) 339-345)。腫瘍塊およびCA 19-9アッセイ値の間に関連性はない。しかし、10,000U/mLよりも高いCA 19-9血清レベルを有する患者はほぼ常時、遠位の転移を有する。
CA 19-9の測定は、膵臓癌の初期の検出には使用できない(Steinberg, W.M., et al., Gastroenterology 90 (1986) 343-349)。
肝胆嚢癌におけるCA 19-9値は、50〜75%の感度を提供する。胃癌の場合にはCA 72-4とCEAの同時の測定が推奨される。結腸直腸癌においては、CEA単独の測定で十分であり、CEA-陰性症例の限定的な数においてのみCA 19-9の測定が有用であり得る。
ムチンが肝臓から独占的に放出される場合、いくつかの症例においてほんのわずかな胆汁鬱帯によりCA 19-9血清レベルの明確な上昇がもたらされ得る。CA 19-9値の上昇はまた、いくつかの良性腫瘍および胃腸管および肝臓の炎症性疾患ならびに嚢胞性線維症を伴って見られる。
CA 19-9は、Roche製造番号11776193を用いて、製造業者の指示書に従い、Elecsys(登録商標)で測定されている。
ASC:
「カスパーゼ関連会合(recruitment)ドメイン含有アポトーシス関連斑(speck)様タンパク質」(ASC)は、「メチル化誘導サイレンシング標的1」(TMS1)(Swiss-PROT: Q9ULZ3)として公知である。ASCは理論的分子量21,627Daおよび理論的等電点pH 6.29を有する。
カスパーゼ関連会合ドメイン(CARD)は、APAF1(アポトーシス性プロテアーゼ活性化因子1)などのアダプタータンパク質とアポトーシスに関与するカスパーゼ前形態(例えば、CASP 9)の間の相互作用を仲介する。ASCはCARD含有アダプタータンパク質ファミリーの一員である。
前骨髄球細胞株の免疫スクリーニングにより、MasumotoらによってASCをコードするcDNAが単離された。推定195アミノ酸のタンパク質は、N末端ピリン様ドメイン(PYD)および87残基のC末端CARDを含有する。ウェスタンブロット解析により22kDaタンパク質の発現が示され、抗癌剤によって白血球細胞株のアポトーシス性刺激への感受性を高めることによりASCはプロアポトーシス性活性を有し得ることが示された(Masumoto, J., et al., J. Biol. Chem. 274 (1999) 33835-33838)。
Conwayらによるメチル化感受性制限PCRおよびメチル化特異的PCR(MSP)解析により、ASCのサイレンシングはエクソン1周辺のCpG島の過メチル化に関連すること、およびDNMT1(DNAシトシン-5-メチルトランスフェラーゼ-1)の過剰発現はASCの過メチル化およびサイレンシングを促進することが示された。正常乳組織ではなく、乳癌細胞株は、ASCの完全なメチル化を示し、ASCメッセージは全く発現されなかった。乳癌細胞株におけるASCの発現は、増殖を阻害し、生存していたコロニーの数を減少させた。Conwayらは、ASCがカスパーゼ依存的アポトーシスの促進に機能すること、およびASCの過剰発現が乳癌細胞の増殖を阻害することを結論付けた(Conway, K.E., et al., Cancer Research 60 (2000) 6236-6242)。
McConnellおよびVertinoは、ASCの誘導性の発現により細胞増殖が阻害され、カスパーゼインヒビターにより阻害され得るDNA断片化が誘導されることを示した。免疫蛍光顕微鏡検査により、アポトーシスの誘導が散在性の細胞質発現から球形の核周辺の凝集へのCARD依存的シフトをもたらすことが明らかにされた(McConnell, B.B., およびVertino, P.M., Cancer Research 60 (2000) 6243-6247)。 Morianiらは、乳癌のみならず胃癌においてもASC遺伝子のメチル化を観察した。彼らは乳癌および胃癌の進行におけるASC遺伝子の異常なメチル化についての直接的な役割はプロアポトーシス性ASC遺伝子のダウンレギュレーションに関連することを示唆した(Moriani, R., et al., Anticancer Research 22 (2002) 4163-4168)。
Conwayらは、TMS1メチル化について一次乳組織を試験し、健常組織におけるメチル化と結果を比較した(Conway K.E., et al., Cancer Research 60 (2000) 6236-6242)。Levineらは、ASCサイレンシングは特異的CpG部位のメチル化に関連せず、むしろASC CpG島の密なメチル化に関連することを見出した。独占的にメチル化ASCコピーを含有する乳腫瘍組織細胞株はASCを発現しないが、部分的にメチル化された細胞株においてはASC発現のレベルは細胞集団中に存在するメチル化されたASC対立遺伝子の割合に直接関連する(Levine, J.J., et al., Oncogene 22 (2003) 3475-3488)。
Virmaniらは、肺癌および乳癌組織においてASCのメチル化状態を試験した。彼らは、ASCの異常なメチル化が乳癌細胞株の46%および乳腫瘍組織の32%に存在することを見出した。非悪性の乳組織ではメチル化はまれであった(7%)(Virmani, A., et al., Int. J. Cancer 106 (2003) 198-204)。
Shioharaらは、ASCのアップレギュレーションはヒトの好中球における炎症およびアポトーシスに密接に関連することを見出した(Shiohara, M., et al., Blood 98 (2001) 229a)。
Masumotoらは、高レベルのASCが上皮細胞および白血球に豊富に発現していることを観察した(Masumoto, J., et al., Journal Histochem. Cytochem. 49 (2001) 1269-1275)。
ASC測定についてインハウス(in-house)サンドイッチアッセイが開発された。このアッセイはマイクロタイタープレート形式で実施される。ストレプトアビジンコートしたマイクロタイタープレートを使用する。このサンドイッチアッセイにおいて、ASCに対するビオチン化ポリクローナル抗体を捕捉抗体として使用し、ASCに対するジゴキシゲニン化ポリクローナル抗体を第2の特異的結合パートナーとして使用する。形成されたサンドイッチ複合体を、最終的に抗ジゴキシゲニンホースラディッシュペルオキシダーゼコンジュゲートおよび適切なペルオキシダーゼ基質により視覚化する。
MASP:
タンパク質MASP(マスピン(maspin)前駆体;Swiss-PROT: P36952)は、プロテアーゼインヒビターであるセルピン(serpin)スーパーファミリーと相同性を有する42kDaタンパク質である。免疫染色試験により、マスピンは細胞外マトリックスおよび細胞膜で見出されることが示されている(Zou, Z., et al., Science 263 (1994) 526-529)。
ヒトMASP遺伝子(PI5のSERPINB5)は、最初にmRNAレベルの発現に基づいてサブトラクティブハイブリダイゼーションにより、正常乳腺上皮から単離された(Zou et al.,上述)。マスピンは、ほとんどの乳腺癌細胞株にはなく、正常な乳腺上皮細胞で発現していた。Zouら(上述)により、その発現により形質転換された細胞の腫瘍形成および転移を誘導する能力が低減されることが示され、マスピン遺伝子は腫瘍サプレッサーをコードすることが示唆された。
Bass, R.ら(J. Biol. Chem. 277 (2002) 46845-46848)は、真核生物のマスピンを特徴づけし、それが試験されたいずれのタンパク質分解系プロテアーゼ阻害作用も有さないことを見出した。しかしながら、それは腫瘍および血管平滑筋細胞の両方の移動を阻害した。
Song, S.Y.ら(Digestive Diseases and Sciences 47 (2002) 1831-1835)は、腺腫、腺癌および転移性腺癌由来の組織切片の免疫組織化学染色により、結腸癌におけるマスピンの発現を試験した。Songら(上述)によって見出されたマスピンの免疫反応性はいくらかの核染色を伴った細胞質性であった。90%より多くの腺腫、75%の腺癌および47%の転移性カルシノーマ組織切片はマスピンについて陽性に染まった。この試験はウェスタンブロット解析などの定量的アッセイ系を用いていないという限定を有した。隣接する正常結腸組織との比較における発現レベルは評価されなかった。
FERR:
フェリチン(FERR)は約20%の鉄を含有するタンパク質であり、腸、肝臓および脾臓に見られる。本体内に鉄が貯蔵されているのが主要な形態のひとつである。内部の鉄の保存は結腸直腸新生物のリスクを増加させると報告されている。148人の患者(50人の患者が結腸直腸癌であると診断され、49人の患者が結腸疾患を有さず、患者らは結腸腺腫を有する)からの試料を用いたScholefield, J.H. らによる試験(Dis. Colon Rectum 41 (1998) 1029-1032)において、血清フェリチンをアッセイした。3つの群のいずれの間にも血清フェリチンレベルに有意な差はなかった。
CYFRA 21-1:
「CYFRA 21-1」についてのアッセイにより、循環系中に存在するサイトケラチン19の可溶性断片を特異的に測定する。CYFRA 21-1の測定は、典型的に2種類のモノクローナル抗体に基づく(Bodenmueller, H., et al., Int. J. Biol. Markers 9 (1994) 75-81)。Roche Diagnostics, GermanyのCYFRA 21-1アッセイにおいて、2種類の特異的モノクローナル抗体(KS 19.1およびBM 19.21)を使用し、分子量およそ30,000ダルトンを有するサイトケラチン19の可溶性フラグメントを測定した。
サイトケラチンは上皮中間フィラメントのサブユニットを形成する構造タンパク質である。20種類の異なるサイトケラチンがこれまでに同定されている。それらの特異的な分布パターンのために、それらは腫瘍病理学の分化マーカーとして著しく適している。完全なサイトケラチンポリペプチドは可溶性に乏しいが、可溶性フラグメントは血清中で検出され得る(Bodenmueller, H., et al., 上述)。
CYFRA 21-1は非小細胞肺癌(NSCLC)について良く確立されたマーカーである。CYFRA 21-1に対する主な適用は、非小細胞肺癌(NSCLC)の経過のモニタリングである(Sturgeon, C., Clinical Chemistry 48 (2002) 1151-1159)。
主要な診断において、高いCYFRA 21-1血清レベルは腫瘍段階の進行および非小細胞肺癌を有する患者における予後不良を示す(van der Gaast, A.., et al., Br. J. Cancer 69 (1994) 525-528)。正常な値またはわずかに高い値は腫瘍存在を除外しない。
治療の成功はCYFRA 21-1血清レベルの正常範囲への迅速な減少により示される。一定のCYFRA 21-1値またはCYFRA 21-1値のわずかなもしくは緩やかな減少は腫瘍の不完全な除去または相当する治療的、予後的結果により複数の腫瘍の存在を示す。疾患の進行は、しばしば臨床的症候学および画像化手段よりもCYFRA 21-1値の増加によってより早期に示される。
肺癌の最初の診断は臨床的症候学、画像化または内視鏡法および手術中の所見に基づいてなされるべきであると認められる。CYFRA 21-1値>30ng/mLを伴う肺における不明確な環状の病巣は、原発的気管支癌の存在の高い可能性を示す。
CYFRA 21-1はまた、膀胱の筋肉侵襲性癌の経過モニタリングに適している。良性肺疾患(肺炎、類肉芽腫、結核、慢性的気管支炎、気管支喘息、気腫)に対するCYFRA 21-1により良好な特異性が示される。
値のわずかな上昇(10ng/mLまで)は、まれに顕著な良性肝臓疾患および腎不全において見られる。性別、年齢または喫煙との関連はない。CYFRA 21-1についての値はまた、妊娠よっても影響を受けない。
最近、CYFRAはまた、乳癌の分野における疾患の再発の検出および処置効果の補助に有用であるということも見出されている(Nakata, B., et al., British J. of Cancer (2004) 1-6)。
好ましくは、CYFRA 21-1は、Roche製品番号11820966を用いて、製造業者の指示書に従って、Elecsys(登録商標)解析器により測定される。
当業者が理解するように、検査における診断の疑問を改善するために、2種類以上のマーカーの測定を使用する多くの方法が存在する。全く単純に、しかしそれでのなおしばしば有効なアプローチにおいて、検査される試料が少なくとも1つのマーカーについて陽性である場合には、陽性の結果が想定される。これは、例えばエイズのような感染性の疾患を診断する場合にあり得る。
しかしながら、頻繁に、マーカーの組合せが評価される。好ましくは、マーカーパネルのマーカーについて評価された個々の値は組み合わされ、組み合わされた値は診断的疑問の理解に相関される。本発明において、マーカーOPNおよびCEAの組合せがCRCの評価に使用される。
マーカーの値は、数学的手法の分野の任意の適切な状態により組み合わされ得る。マーカーの組合せと疾患の相関のための周知の数学的手法は、判別解析(DA)(すなわち、一次、二次、標準化DA)、カーネル法(すなわち、SVM)、ノンパラメトリック法(すなわち、k-Nearest-Neighbor Classifiers)、PLS(Partial Least Squares)、ツリーベース法(すなわち、理論回帰、CART、ランダムフォレスト法、ブースティング/バギング(Boosting/Bagging)法)、汎用線形モデル(すなわち、ロジスティック回帰)、主成分ベース法(すなわち、SIMCA)、汎用付加モデル、ファジー理論ベース法、ニューラルネットワークおよび遺伝的アルゴリズムベース法などの方法を使用する。当業者は本発明のマーカー組合せを評価するための適切な方法の選択に疑問を有さない。好ましくは、本発明のマーカー組合せを例えばCRCの有無に相関するのに使用される方法は、DA(すなわち、一次、二次、標準化判別解析)、カーネル法(即ち、SVM、ノンパラメトリック法(すなわち、k-Nearest-Neighbor Classifiers)、PLS(Partial Least Squares)、ツリーベース法(すなわち、理論回帰、CART、ランダムフォレスト法、ブースティング法)、または汎用線形モデル(すなわち、ロジスティック回帰)から選択される。これらの統計学的方法に関する詳細は以下の参考文献:Ruczinski, I., et al, J. of Computational and Graphical Statistics, 12 (2003) 475-511;Friedman, J. H., J. of the American Statistical Association 84 (1989) 165-175;Hastie, T., et al., The Elements of Statistical Learning, Springer Series in Statistics (2001):Breiman, L., et al., Classification and regression trees, California, Wadsworth (1984);Breiman, L., Random Forests, Machine Learning 45 (2001) 5-32;Pepe, M.S., The Statistical Evaluation of Medical Tests for Classification and Prediction, Oxford Statistical Science Series, 28 (2003);ならびにDuda, R.O., et al., Pattern Classification, Wiley Interscience, 第2版 (2001) に見られる。
生物学的マーカーの組合せを理解するために最適化された多変数カットオフ(cut-off)を使用すること、および状態Aと状態B、例えば疾患と健常を判別することは、本発明の好ましい態様である。この種の解析において、マーカーはもはや独立しておらず、マーカーパネルを形成する。OPNおよびCEAの測定を組み合わせることは、マーカー単独と比較した場合にCRCの診断制度を有意に改善するということが確立され得る。
注目すべきことに、一定かつ約90%の事前設定特異性では、CRCの診断についてマーカー組合せOPNおよびCEAの感度は、それぞれ単一のマーカー単独と比較して、有意に増加することが見出されている。
診断方法の精度は、その受信者動作特性(ROC)によって最も良く記載される。(特に、Zweig, M. H., およびCampbell, G., Clin. Chem. 39 (1993) 561-577参照)。ROCグラフは、観察されたデータの全範囲にわたって識別閾値が連続的に変化させることで得られる全感度/特異性のプロットである。
実験室試験の臨床的実績は、その診断精度、または被験体を臨床的に関連のあるサブグループに正確に分類する能力に依存する。診断精度は、検査された被験体の2種類の異なる症状を正確に区別する試験の能力を測定する。かかる症状とは、例えば健常と疾患、または良性対悪性疾患である。
それぞれの場合において、ROCプロットは、感度対1-特異性を識別閾値の全範囲についてプロットすることにより、2つの分布間の重複を示す。y軸上は感度、または真の陽性画分[(真陽性試験結果数)/(真陽性数+偽陰性試験結果数)で規定される]である。これはまた、疾患または症状の存在下での陽性度ともいう。これは罹患したサブグループのみから計算される。x軸上は偽陽性画分、または1-特異性[(偽陽性結果数)/(真陰性数+偽陽性結果数)で規定される]である。これは特異性の指標であり、罹患していないサブグループ全体から計算される。真陽性画分および偽陽性画分は、2種類の異なるサブグループの試験結果を用いて全体的に別々に計算されるので、ROCプロットは試料における疾患の罹患率から独立している。ROCプロット上のそれぞれの点は、特定の識別閾値に対応する感度/1−特異性のペアを示す。完全な識別による試験(2つの結果の識別に重複がない)は、真陽性画分が1.0または100%(完全な感度)である、左上の角を通過するROCプロットを有し、偽陽性画分が0(完全な特異性)である。区別がない試験についての理論的なプロット(2つの群についての結果が同一の分布)は、左下の角から右上の角までの45°の対角線である。ほとんどのプロットはこれら2つの極値の間に該当する。(ROCプロットが45°の対角線よりも完全に下にある場合、これは「陽性度」についての基準値を「より大きい」から「未満」へと逆にすることで容易に矯正される。)定性的に、プロットが左上の角に近づくほどに試験の全体の精度は高くなる。
実験室試験の診断精度を定量するために都合の良い1つの目標は、1つの数値でその性能を表すことである。かかる全体的なパラメーターは、例えばいわゆる「エラー総数(total error)」であるか、または「曲線下面積=AUC」である。最も一般的な包括的測定は、ROCプロット下面積である。慣例により、この面積は通常≧0.5である(もしそうでないなら、そうなるように決定基準を逆にすることができる)。値は、1.0(2つの群の試験値の完全な分離)〜0.5(試験値の2つの群の間に明確な識別の差がない)の範囲である。該面積は、対角線に最も近い点または90%の特異性における感度などのプロットの特定の領域のみには依存せずに、プロット全体に依存する。これは定量的であり、ROCプロットがどれだけ完全なもの(面積=1.0)に近いかということの説明的な表現である。
2つのマーカーOPNおよびCEAの組合せは、表面下面積の増加により示されるようにCRCについての診断精度を有意に改善する。
OPNおよびCEAの測定値を、その他の最近発見されたCRCについてのASCもしくはNNMTなどのマーカー、またはCYFRA 21-1およびNSEなどの公知の腫瘍マーカー、またはまだ発見されていないCRCの他のマーカーと組み合わせることで、CRCの評価において、さらなる改善がもたらされ、かつもたらされ得る。
好ましい態様において、本発明は、試料中で少なくともOPNおよびCEAそれぞれの濃度を測定し、測定された値を数学的に組合せ決定された濃度をCRCの有無に相関することで、CRC対健常対照および非悪性結腸疾患に罹患する患者についての診断精度を改善する方法に関し、1つのマーカー単独での分類と比較して、該改善により、健常対照および非悪性結腸疾患に罹患する患者に対してCRCに罹患すると正確に分類されるより多くの患者を生じる。
本発明による、なおもさらに好ましい方法において、CRCの評価に少なくとも生物マーカーOPN、CEAおよびNSEそれぞれの濃度が測定され、マーカー組合せが使用される。
本発明による、なおもさらに好ましい方法において、CRCの評価に少なくとも生物マーカーOPN、CEAおよびNNMTそれぞれの濃度が測定され、マーカー組合せが使用される。
以下の実施例は、その真の範囲が添付の特許請求の範囲に示される本発明の理解を補助するために提供される。本発明の精神を逸脱することなく、以下に記載の手順において変更がなされ得ることが理解されよう。
実施例1
試験集団
試験集団を表1に示す。
試験集団は、CRCと診断された254人の患者(表1参照)由来の血清試料、および391の対照試料を含んだ。これらの集団の両方が訓練集合(training set)および試験集合に分けられた。
解析は128のCRC試料および195の対照試料の訓練集合に基づいた。対照のうち、16は胃-小腸疾患を何ら有さない個体由来であり、50は痔を有する個体由来であり、5は他の腸疾患を有する患者由来であった;63の対照は憩室症を有する個体由来であり、61は健常血液ドナー由来であった。
試験集合は126のCRC試料および196の対照からなった。対照のうち、20は胃-小腸疾患を何ら有さない個体由来であり、43は痔を有する個体由来であり、8は他の腸疾患を有する患者由来であった;65の対照は憩室症を有する個体由来であり、60は健常血液ドナー由来であった。
実施例2
使用したアッセイ手順
マーカーCEA、CYFRA 21-1およびNSEは市販のキット(Roche Diagnostics、それぞれ製品番号11731629、11820966および12133113)で解析した。
WO 2004/057336に記載される免疫アッセイを使用して本試験の試料中のNNMTを測定した。簡潔に、ヒト血清または血漿におけるNNMTの検出のために、サンドイッチELISAを開発した。抗原の捕捉および検出のために、抗NNMTポリクローナル抗体のアリコートをビオチンおよびジゴキシゲニンそれぞれとコンジュゲートさせた。
ストレプトアビジンコートした96ウェルマイクロタイタープレートを100μlの10mMリン酸、pH 7.4、1%BSA、0,9%NaClおよび0.1%Tween 20中10μg/mlのビオチン化抗NNMTポリクローナル抗体と60分間インキュベートした。インキュベーション後、プレートを0.9%NaCl、0.1%Tween 20で3回洗浄した。次いでウェルを、標準抗原として組換えタンパク質の連続希釈溶液(実施例2参照)のいずれかまたは患者由来の希釈血漿試料と2時間インキュベートした。NNMTの結合後、プレートを0.9%NaCl、0.1%Tween 20で3回洗浄した。結合したNNMTの特異的検出のために、ウェルを、10mMリン酸、pH 7.4、1%BSA、0.9%NaClおよび0.1%Tween 20中10μg/mlの100μlのジゴキシゲニン化抗NNMTポリクローナル抗体と60分間インキュベートした。その後、プレートを3回洗浄して未結合抗体を除去した。次の工程で、ウェルを、10mMリン酸、pH 7.4、1%BSA、0,9%NaClおよび0.1%Tween 20中20mU/mlの抗ジゴキシゲニンPODコンジュゲート(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany、カタログ番号1633716)と60分間インキュベートした。次いでプレートを同じバッファーで3回洗浄した。抗原抗体複合体の検出のために、ウェルを100μl ABTS溶液(Roche Diagnostics GmbH, Mannheim, Germany、カタログ番号11685767)でインキュベートし、30〜60分後、405nmで、ELISAリーダーを用いてODを測定した。
インハウスサンドイッチELISAでOPNを測定した。抗原の捕捉および検出のために、2種類の異なる抗体を使用した。これらの抗体は、異なる非重複エピトープを有するように選択した。使用した2種類の抗体のエピトープはアミノ酸167およびオステオポンチン配列のカルボキシ末端の間である(Kiefer M.C., et al., Nucl. Acids Res. 17 (1989) 3306)。
1つの抗体はビオチン化されており捕捉抗体として使用する。第2の抗体はジゴキシゲニン化されている。次いで、ジゴキシゲニン化抗体を適切な抗DIG二次抗体の使用により検出した。
該アッセイ手順は、OPN特異的抗体について以外は実質的にNNMTの検出について上述されたものであった。
実施例3
得られたデータの数学的評価
一般的な判別分析の汎用形である標準化判別解析(RDA)、すなわち、二次および一次判別解析(McLachlan, G. J., Discriminant Analysis and Statistical Pattern Recognition, Wiley Series in probability and mathematical statistics, 1992)により分類アルゴリズムを作成した。共分散について通常の最大見込み(プラグイン)推定値に対するRDA選択において、マトリックスが使用される。これらの選択は、2つのパラメーター(λ、γ)を特徴とし、その値は、将来の誤分類のリスクを連帯的に最小化することによって個々の状況に対応してカスタマイズされる(Friedman, J. H., Regularized Discriminant Analysis, J. of the American Statistical Association 84 (1989) 165-175)。代替的な方法としてサポートベクターマシンアルゴリズム(Support Vector Machines algorithms)(Hastie, T., et al., The Elements of Statistical Learning, Springer Series in Statistics, 2001)が比較分類結果に適合され得る。
マーカーパネルを段階的に構築して、分類問題について最良の単一マーカーから開始させ、約90%のレベルの特異性での感度の増加がそれ以上著しく変化しないような時点で終了させた。中心化分布を得るために全ての単一マーカーを自然対数関数に変換した。5倍のクロス確認を使用した。
表2は、CRCと診断された患者対非悪性結腸疾患を含む対照の分類結果を示す。
RDAによる測定として、上記試験集団のOPNについての感度は約34%であったが、CEAについては約38%の感度が見られた。OPNおよびCEA単独によりマーカーパネルは、感度において約46%の明確な増加を示すことが見出された。表2から分かるように、訓練集合で確立されたデータは実質的に試料の試験集合で確認された。

Claims (10)

  1. a) 試料中のオステオポンチンの濃度を測定する工程
    b) 試料中の、癌胎児性抗原、および
    c) 任意に結腸直腸癌の1種類以上の他のマーカーを測定する工程、ならびに
    d) 工程(a)、(b)で測定された濃度および任意に工程(c)で測定された(1つまたは複数の)濃度を組み合わせて結腸直腸癌を評価する工程
    を含む、インビトロで結腸直腸癌を評価する方法。
  2. 前記1種類以上の他のマーカーが、NSE、ASC、NNMT、CA 19-9、CA 72-4、MASP、CYFRA 21-1およびFERRからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
  3. 前記1種類以上の他のマーカーがNSEである、請求項2記載の方法。
  4. 前記1種類以上の他のマーカーがNNMTである、請求項2記載の方法。
  5. 結腸直腸癌の評価における、オステオポンチンおよび癌胎児性抗原のマーカー組合せの使用。
  6. 結腸直腸癌の評価における、オステオポンチンおよび癌胎児性抗原ならびに結腸直腸癌についての1種類以上の他のマーカーを含むマーカーパネルの使用。
  7. 1種類以上の他のマーカーが、NSE、ASC、NNMT、CA 19-9、CA 72-4、MASP、CYFRA 21-1およびFERRからなる群より選択される、請求項6記載のマーカーパネルの使用。
  8. 少なくともオステオポンチン、癌胎児性抗原およびNSEを含む、請求項7記載のマーカーパネルの使用。
  9. 少なくともオステオポンチン、癌胎児性抗原およびNNMTを含む、請求項7記載のマーカーパネルの使用。
  10. オステオポンチンおよび癌胎児性抗原を特異的に測定するために必要な試薬を含む、請求項1記載の方法を実施するためのキット。
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