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JP2009542340A - 臓器リモデリングのための磁気デバイス - Google Patents

臓器リモデリングのための磁気デバイス Download PDF

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JP2009542340A
JP2009542340A JP2009518314A JP2009518314A JP2009542340A JP 2009542340 A JP2009542340 A JP 2009542340A JP 2009518314 A JP2009518314 A JP 2009518314A JP 2009518314 A JP2009518314 A JP 2009518314A JP 2009542340 A JP2009542340 A JP 2009542340A
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Abstract

組織および臓器制限を実現するためのデバイス、システムおよび方法。栄養欠乏その他の併発症を回避しつつ胃の容量を制限することに関して、磁気デバイスが説明される。さらに、磁気デバイス及びセンサを使用して胃の容量を自動的に制限するためのシステムが説明される。

Description

本分野は、概して臓器リモデリングのためのデバイスおよびその方法に関する。
肥満および過体重の状態は、世界規模で蔓延しており、西洋文明において最も頻発している栄養障害である。現在、「過体重(overweight)」状態および「肥満(obesity)」状態は、体格指数(「BMI」)によって区分されているが、BMIとは、身長に応じて決定される人の体重の統計的尺度である。1988年〜1994年の期間から1999年〜2000年の期間までに、過体重の成人の出現率は55.9%から64.5%に増加し、肥満の有病率は22.9%から30.5%までに上昇した。特に、米国は、病的な肥満者(すなわち望ましい体重よりも100ポンド以上超過する、または肥満に関連した1つ若しくは複数の重度の病状にある人)に関する大きな公共政策問題に直面している。
肥満を治療するために、従来の手法では1)制限式肥満学的手法(「制限手法(Restrictive Procedure)」)により身体中への食物摂取を制限するか、2)一般的に胃バイパス術(「吸収不良手法(Malabsorptive Procedure)」)として知られている吸収不良式肥満学的手法によりカロリー吸収を低減させるために、小腸の解剖学的構造を変更する又は人の正常な食物摂取の蠕動を小腸を迂回させる、ということが試みられる。また、上述の技法が共に併せて利用されるように、この2つの手法を組み合わせることも知られている。
上述の手法はそれぞれ、利点および欠点を有する。胃嚢(gastric pouch)の短絡を伴う吸収不良手法は、持続的な減量をもたらすことにおいて以前より比較的成功率の高いものであったが、この手法は一般的に実施が非常に困難で、悲惨な術後合併症の発生率が比較的高く、食物流(alimentary flow)の経路変更による長期間にわたる有害な変化を引き起こす。制限手法は、より容易な傾向があり、大きな合併症(complication)が比較的少なく、正常な消化管連続性を阻害しないために、吸収不良手法よりも多くの成功例を得てきた。
吸収不良手法においては、典型的には腸バイパスが実施される。これにより、消化管から小腸のほぼすべてが除外され、それによって、より少量のカロリーおよび栄養素を吸収することが可能となる。吸収不良手法の一例が、胆膵路変更術(biliopancreatic diversion)(「BPD」)である。BPDとは、食物摂取を制限して胃酸生成量を低減させるために、胃の約3/4を除去する手法である。この手法の実施は、食物リム(alimentary limb)を形成することにより小腸の解剖学的構造を変更することである。食物リムは、食物の進路を十二指腸および空腸を含む小腸の第1の部分を迂回させ、これによって、あらゆる胆汁および膵液による摂取された食物の消化を防止する。上記で簡単に述べたように、このプロセスは大きなリスクを伴う。
逆に、制限手法においては、進路は一般的に胃の上方部分から下方部分へと構築されており、したがって、胃による大量の食物の貯蓄を防ぎ、食道から小腸への食物の進行を遅滞させる。従来の制限手法は、胃のバンディング(banding)および/またはステープリング(stapling)によって、食道胃接合部付近の胃の上位部分に小嚢を生成するものである。初めにこれが生成されるときには、この嚢は、わずかに約1オンスほどの食物および液体を収容することしかできないが、一般的には後に拡張して2から3オンスを貯蓄するように膨らむ。
生成された嚢の下方出口は、拡張不能であり、その直径は一般的にわずかに1/2インチ以下である。小嚢は、食道から直に食物および液体を受容し、直ぐに充満する。また、この嚢は、食物および液体の進路を胃の下方部分にそらせ、したがって胃そのものの中での食物の貯蓄を回避させる。この嚢のサイズ、および、より大きな胃内への比較的狭い出口によって、患者は早期に飽満感を感じ、次いで、これが食欲を減退させて減量を実現させる。肥満に対する完全制限手法(Purely Restrictive Procedure)としては、調節可能な胃のバンディング(adjustable gastric banding)と、垂直帯胃形成術(vertical banded gastroplasty)とが含まれる。これらの手法は、消化プロセスに影響を及ぼさず、したがって吸収不良手法に関連するリスクをもたらさない。さらに、制限手法は、吸収不良手法と比較してより安全であり、腹腔鏡を用いて実施することが可能であり、これによって合併症のリスクがさらに低減される。
全ての制限手法において、バンドの上方の小嚢の容積は、初期手術後には最大で10倍まで拡張することが可能である。したがって、術中の嚢の容積は、初めは非常に小さくされる必要がある。このような小胃嚢11を考慮して、術後直ぐに患者が十分な栄養を摂取することが可能になるように、初めは胃への開口は比較的大きくなければならない。その後、この嚢が拡張するにつれて、この手法の最適な成果を享受するために、後に瘻孔開口(stoma opening)を縮小しなければならない。さらに、胃嚢のサイズが拡張するにつれて、術後1年の間は、瘻孔開口のサイズを徐々に小さくすべきである。
制限手法の1つである調節可能な胃のバインディング(adjustable gastric binding)(「AGB」)が、調節手段を提供し、それによって瘻孔開口のサイズの術後の微調節を可能にする。AGBにおいては、バンドが、胃の上位部分の周囲に配置されて、小嚢と、胃の残りの部分への狭い通路とを形成する。一般的に、バンド自体は、膨張可能な空洞を有する中空シリコンゴムバンドで構成される。バンドの膨張可能な空洞は、アクセスポートにバンドを連結するチューブを介して、典型的には等張食塩水である流体で膨張させることが可能であり、このアクセスポートは一般に、患者が容易にアクセスし得るように皮下に配置される。時間とともに、バンドの空洞内の流体量を増加または減少させることによりバンドを緊縮または弛緩させて、瘻孔開口のサイズを変更することができる。バンドの空洞に液体を加えることにより、バンドは径方向に内方に拡張し、瘻孔開口のサイズを縮小させる。
しかしながら、AGBの大きな欠点は、バンドを直接的に操作することの結果として、胃嚢を形成するゴムバンドが滑脱または摩滅する傾向にあることである。さらに、アクセスポートへの注入により流体をバンドの空洞に加える従来のAGBプロセスにおいては、同一部位への注入の反復によって、アクセスポートの周囲の部位における感染のリスクが高まる。さらに、針を使用して患者の皮膚を貫通してポートにアクセスすることにより必要な瘻孔開口の術後の調節を行う際、これは患者にとって不快なものとなる。
AGBと同様に、垂直帯胃形成術(「VBG」)は、ゴムバンドおよびステープルを使用して小胃嚢を生成する制限手法である。しかし、AGBとは異なり、VBGは手動によって調節可能ではない。VBG手法は、嚢を生成するための胃への穿刺(puncturing)を伴う。AGBと同様に、VBGは滑脱および/またはバンドの劣化が生じやすい。また、VBGに関しては、ステープルラインの断裂を含む他の合併症が生じるおそれがあり、これは、胃内容物の漏出および/または深刻な感染を引き起こす可能性がある。これらのような合併症によって、抗生物質治療およびさらには追加手術を伴う入院の長期化を余儀なくされる場合がある。付随するリスクに基づいて、VBGは米国医師会によって「極めて危険度の高い」手術として分類されている。
吸収不良手法および制限手法を組合せた手術が今日行われている最も一般的な肥満学的手法である。このような組合せ手法は、食物摂取と、身体が吸収可能なカロリーおよび栄養素の量との両方を制限する。組合せ手法の一例が、延長(遠位)Roux−en−Y胃バイパス術(Extended (Distal) Roux−en−Y Gastric Bypass)(「RYGBP−E」)であり、ステープリングによって、胃の残りの部分から完全に分離される小さな(約15から20ccの)胃嚢を生成する。小腸が、十二指腸(空腸に胃を連結する中空管)を越えて直ぐに分岐され、「ルー・リム(Roux limb)」を介して、小さな上方胃嚢からの食物の流出を可能にするようにY形状に再構成される。したがって、小腸には、新たに形成された胃嚢の出口が形成され、これは、空腸の下方部分に直に注いでおり、このようにしてカロリー吸収を回避する。この腸の両部分の長さは、吸収不良レベルを調節するために伸ばすことが可能である。
この処置においては十二指腸が迂回されるため、鉄およびカルシウムの吸収悪化が、全身の鉄濃度の低下および鉄欠乏性貧血傾向をもたらすおそれがある。RYGBP−E処置の他の合併症としては、「ダンピング症候群」として知られる状態が挙げられる。正常な場合、胃の下方端部の幽門弁が、腸内への食物の放出を調整する。ダンピング症候群とは、胃の内容物が小腸内に急速に進み、嘔気、衰弱、発汗、失神および場合によっては食後の下痢を含む極度に不快な状態をもたらす状態のことである。糖は、特に急速に腸内に進むため、RYGBP−Eの手術後にいかなる形の甘味食も食べることができなくなる患者もいる。
米国特許第5449368号明細書 米国特許第6558400号明細書
肥満であると、多数の健康上の派生的な問題が存在する。肥満は、多数の疾病の重大な危険因子であり、心臓血管疾患の大きな素因となる危険因子を増加させる。さらに、全身性高血圧、肺高血圧(左心室不全、慢性低酸素症)および冠状動脈性心疾患の全てが、肥満の個人において過度に高い頻度で発生し、心臓の構造および機能の変質における原因または影響を与えるものとなり得る。また、肥満の個人においては、突発性心臓死のリスクが高まる。
したがって、肥満を治療する安全で効果的な方法が必要である。現行の制限手法、吸収不良手法および組合せ手法は、栄養失調、感染、嘔吐、および、バンドの滑脱または劣化による再発を含むいくつかの合併症の高いリスクを呈する。したがって、当該技術分野において知られている従来の手法に関連する合併症を生じにくい、新たな制限式腹腔鏡下技術(restrictive laparoscopic technique)が必要である。
肥満治療のための、具体的には、胃の医学的有効容積(medically effective volume)を制限するための磁気デバイスが提供される。一実施形態において、前記磁気デバイスは、胃壁の周囲に配置され、2つの胃部分を生成するようにバイアスをかけられた(biased)磁気バーを備える。第1の胃部分は、摂取された食物の一次消化のための部分であり、第2の胃部分は、消化プロセスにおいて迂回される。
さらなる実施形態において、胃の容量を制限し、胃の排出通路(gastric evacuation channel)を形成するためのデバイスが提供される。前記デバイスは、前記胃の上位面から前記胃の下位面までにわたって前記胃の外壁上に配置された磁気体を備える。前記デバイスは、前記胃の前記外壁に隣接して位置する、気球嚢(balloon pouch)の容積を調整するための皮下気球ポートと、前記デバイスの安定性を向上させるための複数の接着バンド(adhesive band)とをさらに備えてもよい。
別の実施形態において、食物の摂取と同時に胃の容量を自動的に縮小させるためのシステムが提供される。前記システムは、前記胃の容量を制限するためのデバイスと、食物の摂取を感知するためのセンサと、電源とを備える。前記センサは、前記デバイスと電子的に通信することが可能であり、これにより、前記デバイスは、前記胃が圧縮されない開状態と、前記胃が圧縮されて2つの部分になる閉状態との間で変動し得る。さらに別の実施形態においては、胃の医学的有効容積の縮小をもたらすように、胃壁の周囲に磁気バーを配置するための方法が提供される。
閉状態にある、胃リモデリングデバイスの一実施形態の側面図である。 開状態にある、図1Aに図示される胃リモデリングデバイスの正面図である。 図1Aおよび1Bの胃リモデリングデバイスを備える胃リモデリングシステムの正面図である。 胃の上に配置された、図1Aおよび1Bに図示される胃リモデリングデバイスの正面図である。 図1Cの胃リモデリングシステムの一実施形態の正面図である。 図1Bに図示される胃リモデリングデバイスの一実施形態の斜視図である。 閉状態にある、図3Bの胃リモデリングデバイスの側面図である。 図1Cの胃リモデリングシステムの一実施形態の部分正面図である。 互いに近接した2つの磁石の磁力図である。
この出願は、2006年6月30日に出願された米国特許仮出願第60/817423号に基づく優先権を主張する。
以下、図面中に図示される実施形態を参照し、特定の用語を使用してそれらの実施形態を説明する。しかし、これらの実施形態の説明によって特許請求の範囲を限定することを意図されていないことが理解されるだろう。
図1Aおよび1Bは、胃リモデリングデバイスの一実施形態の2つの図を示す。この実施形態においては、胃リモデリングデバイス10は、吸収不良手法に関して観察される栄養欠乏を回避させ、裂開(例えば縫合箇所が開くこと)または瘻孔(fistula)(例えば臓器間または腸間の異常連結)に至り著しい量の逆流(regurgitation)および嘔吐を引き起こすおそれのある縫合またはステープルを要さない。図1Aおよび1Bに図示される実施形態において、胃リモデリングデバイス10は、第1の磁気バー12と第2の磁気バー14とを備える。磁気バー12、14はそれぞれ、近位端部18および遠位端部20を有する。第1および第2の磁気バー12、14は、当該技術分野において知られている任意の永久磁石材料で構成されるものとすることができ、可撓性、半可撓性、または連結式のものであってもよい。一実施形態において、第1および第2の磁気バー12、14はそれぞれ、薄く平滑な強磁性バーを含む。
第1および第2の磁気バー12、14は、第1および第2の磁気バー12、14が共に胃の側部に容易に適合するものである限りにおいて、任意の形状に構成し得る。一実施形態において、第1の磁気バー12および第2の磁気バー14は共に、同一のS字状(sigmoid−like)の形状を有し、互いに対して合致するミラーイメージ関係で配置される。第1の磁気バー12および第2の磁気バー14は、第1の磁気バー12および第2の磁気バー14が互いの方向にバイアスされるように偏極されている。第1の磁気バー12と第2の磁気バー14との間の合致(mating)構成およびバイアスにより、第1および第2の磁気バー12、14は、磁気的に係合することが可能である。第1および第2の磁気バー12、14が磁気的に係合すると、2つの磁気バー12、14は、その間で圧縮される任意の組織に磁気的に固定される単一のユニットを形成する。
第1の磁気バー12の近位端部18は、第2の磁気バー14の近位端部18に磁気的かつ機械的に係合し、それによって2つの磁気バー12、14はヒンジ結合(hingedly coupled)され、頂部16、角θおよび内部スペースを画定する。内部スペースは、幅Aを有する。単なる例として、いかなる限定も意図することなく、第1および第2の磁気バー12、14がそれらの近位端部18で磁気的に結合されると、胃リモデリングデバイス10はV字形状として構成される。
第1および第2の磁気バー12、14の近位端部18の係合によって形成される角θの値は、内部スペースの幅Aに直接的に比例する。したがって、角θの値が増加すると、幅Aは同時に増大する。同様に、角θの値が減少すると、幅Aは縮小する。第1および第2の磁気バー12、14が完全に係合されると、幅Aの値は0になり、第1の磁気バー12および第2の磁気バー14は、それらの全長に沿って機械的に係合される。
作動時に、胃リモデリングデバイス10は、図1Cおよび図2に図示されるように胃25に適用される。具体的には、第1の磁気バー12は胃25の前壁に隣接して配置され、第2の磁気バー14は胃25の後壁に隣接して配置され、それにより、胃リモデリングデバイス10の頂部16が底部32および食道胃接合部26(「GEJ26」)の近傍に配置される。
第1の磁気バー12および第2の磁気バー14は、胃の組織25を介在させて互いに磁気的に係合することが可能であり、それによって胃25の一部分を締めつける(pinch off)。したがって、第1の磁気バー12および第2の磁気バー14が胃25の上に配置されて磁気的に係合されると、胃25は、2つの部分、すなわち幽門を通って腸への食物の通過物を排出する1つの小胃嚢11と、胃液分泌を排出する小さな通路を有する1つのより大きな胃の部分とに区分される。より大きな胃の部分が胃液分泌を排出する小さな通路は、幽門括約筋の、すなわち十二指腸28から胃を分離させる幽門の括約筋の一部であり、小胃嚢11の下位に配置される。胃リモデリングデバイス10により画定される小胃嚢11のサイズに起因して、患者が一度に摂取可能な食物の量が著しく減少する。したがって、第1および第2の磁気バー12、14の相互作用により、胃嚢区域と、幽門の胃の部分に対応する遠位胃通路とが区切られる。
一実施形態において、第1の磁気デバイス12および第2の磁気デバイス14はそれぞれ、交互の極性を有する一連の磁石を備える。例えば、第1の磁気デバイス12は、特定の極性の順序で整列された3つの磁石のセットを備えてもよい。また、第2の磁気デバイス14は、逆の極性の順序を有する3つの磁石のセットを備えてもよい。この態様においては、第1および第2の磁気デバイス12、14が、腹腔鏡を用いてまたは他の方法により体腔(body cavity)内に挿入されると、第1の磁気デバイス12および第2の磁気デバイス14は、適切な配列において磁気的にのみ係合することが可能となり、それにより手法が簡素化される。
別の代替実施形態においては、第1および第2の磁気デバイス12、14の代わりに非磁性機械デバイスを使用して、食道24から十二指腸28まで延在する小胃嚢を形成することが可能である。機械デバイスが、胃25の上位面から胃25の下位面までの範囲に及ぶことと、胃25をしっかりと圧縮して2つの独立した部分にすることが可能である限りにおいて、任意の個数の従来技術の機械デバイスを小胃嚢11の形成において使用できることが理解されるだろう。例えば、このような従来技術の機械デバイスとしては、特許文献1において開示されるロッキング機構を有するバンディングデバイス、または特許文献2において開示されるラチェットワイヤデバイスが含まれる。
小胃嚢11は、GEJ26に入口を、十二指腸28に出口を備え、これらはそれぞれ、胃25に食物および流体が進入するための通常の(customary)入口、および胃25から消化された食物および流体が出るための通常の出口である。したがって、胃リモデリングデバイス10が胃25を制限しても、正常な消化プロセスを経て食物は消化され、これにより、吸収不良手法により一般的にもたらされるビタミンおよび電解質の吸収におけるいかなる阻害も回避される。
さらなる実施形態においては、胃リモデリングデバイス10は、複数の接着バンド50をさらに備える。接着バンド50はそれぞれ、第1および第2の端部を有する。各接着バンド50の第1の端部は、第1の磁気バー12または第2の磁気バー14のいずれかにしっかりと(securely)結合される。各接着バンド50の第2の端部は、対向する磁気バーに結合される接着バンド50、または対向する磁気バー自体のいずれかに結合される。胃リモデリングデバイス10の作動時には、接着バンド50は、胃25の小弯(lesser curvature)30に巻き付いてデバイス10の位置を固定し、胃嚢の拡張または胃リモデリングデバイス10の移動を防止する。
胃リモデリングデバイス10は、少なくとも1つの気球嚢70をさらに備えてよい。気球嚢70は、チューブ80を介して拡張可能であり、第1および第2の磁気バー12、14のいずれか又は両方に付着し得る軟嚢(soft pouch)で構成されている。一実施形態においては、気球嚢70を分割することができる(図3A〜図3Cを参照)。ポート82がチューブ80に結合され、気球嚢70に流体連結(fluid communication)する。ポート82は皮下に埋め込まれてもよく、これにより、患者は気球嚢70内の流体の量を調節することが可能となる。
図1Cに図示される実施形態においては、気球嚢70は、気球嚢70が流体またはガスで充填された際に、胃25の前胃壁が圧縮されて小胃嚢11のサイズが縮小されるように、第1の磁気バー12の後面に結合される。先に述べたように、気球嚢70は、患者が気球嚢70を所望の容積に拡張するのを補助するための分割式気球嚢を備えてもよい。分割式気球嚢を使用するさらなる利点は、患者が広範囲の容積で小胃嚢11を調節することが可能になるという点である。
一実施形態においては、第1の気球嚢70は、第1の磁気バー12の後面に結合され、第2の気球嚢70は、第2の磁気バー14の前面に結合される。2つ以上の気球嚢70または分割式気球嚢70が使用される場合には、チューブ80は気球嚢70のそれぞれに連通し、したがって患者はポート82を介して気球嚢70のそれぞれを拡張させるまたは収縮させることが可能である。気球嚢70のサイズの操作は、胃室の所要体積(cc/ml)に応じて小胃嚢11のサイズに直接的に働きかける。この態様においては、患者は、侵襲手術の必要性または胃リモデリングデバイス10の位置決め阻害を伴うことなく、小胃嚢11のサイズを容易に変更することが可能である。
次に図3A〜図3Cを参照して、胃リモデリングデバイス10のさらなる実施形態が示される。胃リモデリングデバイス200が、胃リモデリングデバイス10において使用される複数の磁気バーの代わりに、単一の磁気バー202を備える。磁気バー202は、ある程度の可撓性を有する限り、当該技術分野において知られている任意の強磁性体材料とすることができる。磁気バー202は、カテーテルを介して体腔内に挿入し、その後、前部分204と後部分206とに屈曲させることができる。その後、磁気バー202は、胃リモデリングデバイス10に関して説明したのと同様の形で胃25の上に配置される。
胃リモデリングデバイス200は、胃25の小弯に巻き付いて胃リモデリングデバイス200を定位置に固定し、その後の位置ずれ又は脱落を防ぐ接着バンド50をさらに備えてもよい。さらに、胃リモデリングデバイス200は、胃リモデリングデバイス10と同様に、複数の気球嚢70およびポート82を備えてもよい。複数の気球嚢70およびポート82は、胃リモデリングデバイス200および胃リモデリングデバイス10に関して全く同様に構成され、かつ作動することが理解されるだろう。
本明細書において説明される胃リモデリングデバイス10および200を肥満治療において使用することにより、吸収不良手法後に観察される栄養欠乏が回避され、裂開または瘻孔の形成に至り得る、または肥満治療のために使用される従来の方法に関連して観察される度合の逆流および嘔吐を引き起こし得る、縫合またはステープルが不要となる。さらに、本明細書において説明されるデバイスはそれぞれ、腹腔鏡を用いて体腔中に挿入することができ、それによりこの手法に関連するストレスおよび患者の回復時間を低減させる。本明細書において説明されるいずれのデバイスも、他の従来の肥満学的手法と組合わせて使用し得ることが当業者には理解されよう。
図1Cおよび図4Aは、胃制限システム300を図示する。胃制限システム300は、角θの変更、したがって胃制限デバイス10の開閉の開始による胃の容積の自動調節を可能にする。胃制限システム300は、胃制限デバイス10と、センサ310と、電源(図示せず)とを備える。センサ310は、センサ310を適用する構成部分における圧力、温度または流れの変化を検出することが可能な電磁石を備える。この実施形態においては、センサ310は、食道24の遠位部分に物理的に結合され、胃リモデリングデバイス10および電源に電子的に結合される。電源は、当該技術分野において知られている任意の電源を含んでもよく、一実施形態においては皮下に埋め込まれるバッテリーを含む。
センサ310は、少なくとも2つのワイヤ312を介して胃リモデリングデバイス10に電子的に結合されている。ワイヤ312は、薄い平滑な強磁性充填バーを備え、それぞれが第1および第2の端部を有する。ワイヤ312の第1の端部はセンサ310に結合され、ワイヤの第2の端部は第1の磁気バー12または第2の磁気バー14のいずれかの上に配置され、それにより各磁気バーは、センサ310と電気的に通信状態となる。図4Bに図示されるように、ワイヤ312は、2極間の磁力を調整するために第1および第2の磁気バー12、14の周囲に円形ループを形成する。具体的には、ワイヤ312の第2の端部が、電流がワイヤ312に印加されるとインダクタまたは磁気双極子を形成するように、第1および第2の磁気バー12、14のそれぞれの水平方向に沿って巻かれる。これらの磁気双極子を使用して、胃を圧縮または解放するために必要な力を制御する。
胃リモデリングデバイス10が「閉」状態にある場合には、角θは、比較的小さな値を有し、胃25は、第1および第2の磁気バー12、14間で圧縮され、それにより小胃嚢11が生成される。一方、胃リモデリングデバイス10が「開」状態にある場合には、角θは、比較的大きな値を有し、胃25は、第1および第2の磁気バー12、14により圧縮されない、または最小限度に圧縮される。閉状態とは、角θが0である場合に限定されず、様々な圧縮角度を包含し得ることが理解されるだろう。さらに、開状態とは、胃25が胃リモデリングデバイス10によって全く圧縮されない場合に限定されず、様々な程度の「開放性(openness)」を包含し得る。したがって、胃リモデリングデバイス10が開状態にある場合には、胃リモデリングデバイス10が閉状態にある場合の小胃嚢11とは対照的に、より大きな胃の容積が使用可能となる。
作動時において、胃リモデリングシステム300は、胃リモデリングデバイス10を作動させる電流源による胃の容積の自動調節を可能にする。患者が飲食を開始すると、固形食物が食道24を流れることにより、または食道24を流れる液体による温度変化により、食道24の拡張が起きる。これに応じて、食道24の拡張がセンサ310を刺激して、胃25の使用可能な容量を縮小し、そして飽満感を促進するように、第1および第2の磁気バー12、14の接近動作を作動させる。
サンプルの磁化プロセスの際に、第1および第2の磁気バー12、14は、飽和に近い磁束密度を生成する磁場を受ける。磁場が0に低下すると、インダクタンスはある値まで低下して戻る。磁場が逆になると、薄い平滑な強磁性バーの磁極は逆になる。
よく用いられる永久磁石の品質基準は、(BH)maxの積である。(BH)maxの積は、消磁曲線上の作動点での対応するBの値とHの値とを掛け合わせることによって求めることが可能な最大値である。Bは磁束密度であり、Hは磁場強度である。胃リモデリングシステム300の作動時において、Hは、磁気回路において電流Iにより直接的に生成される。起磁力Fは、引き付け合う磁極間の磁束(BA)および距離Dによって決定される。
永久磁石材料においては広範囲にわたる特性が得られるため、以下の基準を使用して、胃リモデリングシステム300で使用するための最適な材料が特定される。すなわち、1)適用磁石の磁場(Application−Magnet Field)要件、2)物理的または機械的空間率、重量(Physical or Mechanical−Space Factor,Weight)、3)安定性要件、4)可塑性要件、5)生体適合性、および6)コストである。
したがって、胃リモデリングデバイス10および胃リモデリングシステム300は、先行技術のデバイスおよびシステムを上回る多数の利点を提供する。胃リモデリングデバイス10は、腹腔鏡を用いて挿入し、侵襲性を最小限に押さえ、先行技術の手法と比較して負の副作用を低減することができる。さらに、胃リモデリングデバイス10および胃リモデリングシステム300は、患者が医師の補助なしに変更を容易に行うことが可能となるように、小胃嚢11の容積の簡単な変更を可能にする。
デバイスおよび方法が、いくつかの実施形態を参照として詳細に提示されたが、これらは、他の変形形態が可能であるように、非限定的な例として提供される。様々な他の変更形態および変形形態が当業者には明らかであり、そのような変更形態および変形形態は、以下の特許請求の範囲により定義されるデバイスおよび方法の精神および範囲内に包含されるように意図されることが予期される。

Claims (22)

  1. 胃の医学的有効容積を制限するための装置であって、
    胃壁の周囲に配置され、第1の胃部分および第2の胃部分を生成するようにバイアスをかけられた磁気バーを備え、
    前記第1の胃部分は、摂取された食物の一次消化のためのものであることを特徴とする装置。
  2. 前記磁気バーに結合された気球嚢であって、前記気球嚢の拡張および収縮により前記第1の胃部分のサイズを変更するように作動可能な気球嚢をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 前記磁気バーは前胃壁および後胃壁に隣接して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  4. 前記第1の胃部分は、食道と十二指腸との間に延在する制限区域を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  5. 前記磁気バーを前記胃壁に固定するための少なくとも1つのバンドをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  6. 胃の医学的有効容積を制限するための装置であって、
    胃壁の周囲に配置され、第1の胃部分および第2の胃部分を生成するようにバイアスをかけられた少なくとも1つの磁気バーを備え、
    前記第1の胃部分は摂取された食物の一次消化のためのものであることを特徴とする装置。
  7. 前記少なくとも1つの磁気バーは、第1の磁気バーおよび第2の磁気バーを備えることを特徴とする請求項6に記載の装置。
  8. 前記第1の磁気バーおよび前記第2の磁気バーを前記胃壁に固定するための少なくとも1つのバンドをさらに備えることを特徴とする請求項7に記載の装置。
  9. 前記第1の磁気バーおよび前記第2の磁気バーはそれぞれ、交互の極性を有する一連の磁石を備えることを特徴とする請求項7に記載の装置。
  10. 胃の医学的有効容積を制限するための装置であって、
    胃壁の周囲に配置される制限器であって、食道と十二指腸との間に延在する胃部分を生成する制限器を備えることを特徴とする装置。
  11. 前記制限器は磁気バーを備えることを特徴とする請求項10に記載の装置。
  12. 前記制限器は機械式デバイスを備えることを特徴とする請求項10に記載の装置。
  13. 胃の医学的有効容積を制限するためのシステムにおいて、
    胃壁の周囲に配置され、第1の胃部分および第2の胃部分を生成するようにバイアスをかけられた磁気バーであって、前記第1の胃部分は摂取された食物の一次消化のためのものである磁気バーと、
    前記磁気バーに電子的に結合され、前記磁気バーに信号を送信するように作動可能なセンサであって、前記磁気バーは、送信された前記信号を受信すると開状態と閉状態との間で変動可能であるセンサと
    を備えることを特徴とするシステム。
  14. 前記センサは、食道に物理的に結合され、食道における拡張を感知することが可能であることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
  15. 前記磁気バーは、前記磁気バーを前記胃壁に固定するための少なくとも1つのバンドをさらに備えることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
  16. 前記磁気バーは少なくとも2つの磁気バーを備えることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
  17. 前記磁気バーは、前記磁気バーに結合され気球嚢であって、前記気球嚢の拡張および収縮により前記第1の胃部分のサイズを変更するように作動可能な気球嚢をさらに備えることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
  18. 胃壁の周囲に配置され、第1の胃部分および第2の胃部分を生成するようにバイアスをかけられた磁気バーを設けるステップであって、前記第1の胃部分は摂取された食物の一次消化のためのものであるステップと、
    食道から十二指腸まで延在する第1の胃部分、および、前記第1の胃部分と連通していない第2の胃部分をもたらすように、前記胃壁の周囲に前記磁気バーを配置するステップと
    を含むことを特徴とする肥満治療のための方法。
  19. 前記磁気バーに結合された少なくとも1つの気球嚢であって、前記気球嚢の拡張および収縮により前記第1の胃部分のサイズを変更するように作動可能な気球嚢を設けるステップと、
    前記気球嚢を拡張および収縮することによって前記第1の胃部分のサイズを変更するステップと
    をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
  20. 前記磁気バーに電子的に結合され、前記磁気バーに信号を送信するように作動可能なセンサを設けるステップと、
    摂取により前記センサを作動させるステップと、
    前記センサから前記磁気バーに信号を送信するステップと
    をさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
  21. 前記胃の前記胃壁の周囲に前記磁気バーを配置するステップは、
    前記信号を受信すると、第1の開状態から第2の閉状態に前記磁気バーを変動させることをさらに含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
  22. 胃壁の周囲に配置され、第1の胃部分および第2の胃部分を生成するようにバイアスをかけれらた機械式デバイスを設けるステップであって、前記第1の胃部分は摂取された食物の一次消化のためのものであるステップと、
    食道から幽門括約筋・十二指腸まで延在する第1の胃部分、および、前記第1の胃部分と連通していない第2の胃部分をもたらすように、前記胃壁の周囲に機械式デバイスを配置するステップと
    を含むことを特徴とする肥満治療のための方法。
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