JP2009238612A - 蓄電デバイス - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の蓄電デバイスにおける正極5には、正極活物質として酸化状態において式(I)で示されるN−オキソ−アンモニウムカチオン部分構造をとり、還元状態において式(II)で示されニトロキシルラジカル部分構造をとるニトロキシル化合物が含有されている。本発明の蓄電デバイスは、これらの2つの状態間で電子の授受を行う反応式(A)で示される酸化還元反応を正極反応として用いる。
また、ニトロキシル高分子は、単独で用いることができるが、二種類以上を組み合わせて用いても良い。また、本発明における正極中には、従来公知の正極活物質を含んでもよい。従来公知の正極活物質としては、例えばLiMnO2等のリチウムマンガン系酸化物、LiCoO2等のリチウムコバルト系酸化物、LiNiO2等のリチウムニッケル系酸化物、LiFePO4等のリチウム鉄系酸化物あるいはLixV2O5(0<x<2)等のリチウムバナジウム系酸化物、導電性高分子、活性炭等が挙げられる。
また、ニトロキシル高分子化合物と導電性付与剤の結びつきを強めるために、結着剤を用いることもできる。このような結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、各種ポリウレタン等の樹脂バインダーが挙げられる。
本発明における正極5は、正極集電体6の上に例えばシート状に形成することができる。正極集電体6としては、ニッケルやアルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金、ステンレス、炭素等からなる箔、シート、平板等を用いることができる。
負極3としては、リチウム金属やリチウム合金、グラファイト等を用いることができる。これらの形状としては特に限定されるものではなく、例えば、薄膜状、粉末を固めたもの、繊維状のもの、フレーク状のもの等であっても良い。また、これらの負極活物質を単独、もしくは組み合わせて使用できる。
負極の各構成材料間の結びつきを強めるために、結着剤を用いることもできる。このような結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、部分カルボキシ化セルロース、各種ポリウレタン等が挙げられる。
負極3は、ニッケルやアルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金、ステンレス、炭素等からなる箔、シート、平板などの負極集電体1上に例えばシート状に形成されたものを用いることができる。
正極5と負極3が接触しないようにこれらを分離する絶縁性の多孔性セパレータ4を用いる。セパレータ4としてはポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質フィルム、セルロース膜、不織布などを用いることができる。
電解液は、負極3と正極5の両極間の荷電担体輸送を行うものであり、負極3と正極5とに含浸している。電解液は一般には20℃で10-5〜10-1S/cmのイオン伝導性を有している。電解液としては、例えば電解質塩を溶剤に溶解した有機溶媒を利用することができる。電解質塩として、例えばLiPF6、LiClO4、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2(以下LiTFSI)、LiN(C2F5SO2)2(以下LiBETI)、Li(CF3SO2)3C、Li(C2F5SO2)3C等の従来公知の材料を用いることができる。
還流管を付けた100mlナスフラスコ中に、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンメタクリレートモノマー20g(0.089mol)を入れ、乾燥テトラヒドロフラン80mlに溶解させた。そこへ、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.29g(0.00187mol)(モノマー/AIBN=50/l)を加え、アルゴン雰囲気下75〜80℃で攪拌した。6時間反応後、室温まで放冷した。へキサン中でポリマーを析出させて濾別し、減圧乾燥してポリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジンメタクリレート)18g(収率90%)を得た。
合成したポリメタクリレートPTMA3gと、炭素繊維5mg、ポリフッ化ビニリデン樹脂バインダー2gを測り採り、そこにNMP18gを混合してよく攪拌する。得られたスラリーをアルミ箔上に塗布し、120℃でよく乾燥させることで正極板とした。正極板を、真空中80℃で一晩乾燥した後、直径12ミリの円形に打ち抜いて蓄電デバイス用正極として成型した。電極の総重量は17.8mgであり、これには3.52mg(30重量%)のPTMAが含まれる。
<リン酸エステルを含有する電解液の作製例>
ドライルーム中でリン酸トリメチル中に1.0mol/LのLiTFSIを溶解させ電解液を作製した。
上記の方法で得られたニトロキシル高分子化合物を含有する正極を、ステンレスからなるコインセル受形を兼ねた正極集電体上に置き、多孔質のポリエチレンフィルムからなるセパレータを挟んでリチウム金属からなる負極と重ね合わせ電極積層体を得た。得られた電極積層体に、上記の方法で得られたリン酸エステルを含む電解液を注入し、真空含浸させた。十分に含浸させて電極及びセパレータの空隙を電解液で埋めた後、絶縁パッキンとコインセル受型を兼ねた負極集電体とを重ね合わせ、専用のかしめ機で一体化させて、蓄電デバイスを作製した。
<実施例1>
ニトロキシル化合物としてポリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシルメタクリレート)(PTMA)、負極としてリチウム金属、電解液としてリン酸トリメチル(TMP)に1.0mol/Lのリチウムビストリフルオロメタンスルフォニウムイミド(LiTFSI)を溶解させたものを使用した蓄電デバイスを作製した。
<実施例2>
ニトロキシル化合物としてPTMA、負極としてリチウム金属、電解液としてTMPとプロピレンカーボネート(PC)の混合溶媒(混合比9:1)に1.0mol/LのLiTFSIを溶解させたものを使用した蓄電デバイスを作製した。
<実施例3>
ニトロキシル化合物としてPTMA、負極としてリチウム金属、電解液としてTMPとPCの混合溶媒(混合比8:2)に1.0mol/LのLiTFSIを溶解させたものを使用した蓄電デバイスを作製した。
<実施例4>
ニトロキシル化合物としてPTMA、負極としてリチウム金属、電解液としてTMPとPCの混合溶媒(混合比7:3)に1.0mol/LのLiTFSIを溶解させたものを使用した蓄電デバイスを作製した。
<実施例5>
ニトロキシル化合物としてPTMA、負極としてリチウム金属、電解液としてTMPとPCの混合溶媒(混合比6:4)に1.0mol/LのLiTFSIを溶解させたものを使用した蓄電デバイスを作製した。
<実施例6>
ニトロキシル化合物としてPTMA、負極としてリチウム金属、電解液としてTMPとPCの混合溶媒(混合比5:5)に1.0mol/LのLiTFSIを溶解させたものを使用した蓄電デバイスを作製した。
<実施例7>
ニトロキシル化合物としてPTMA、負極としてリチウム金属、電解液としてTMPとPCの混合溶媒(混合比4:6)に1.0mol/LのLiTFSIを溶解させたものを使用した蓄電デバイスを作製した。
<実施例8>
ニトロキシル化合物としてPTMA、負極としてリチウム金属、電解液としてTMPとPCの混合溶媒(混合比3:7)に1.0mol/LのLiTFSIを溶解させたものを使用した蓄電デバイスを作製した。
<実施例9>
ニトロキシル化合物としてPTMA、負極としてリチウム金属、電解液としてTMPとPCの混合溶媒(混合比2:8)に1.0mol/LのLiTFSIを溶解させたものを使用した蓄電デバイスを作製した。
<実施例10>
ニトロキシル化合物としてPTMA、負極としてリチウム金属、電解液としてTMPとPCの混合溶媒(混合比1:9)に1.0mol/LのLiTFSIを溶解させたものを使用した蓄電デバイスを作製した。
<実施例11>
ニトロキシル化合物としてポリ(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノキシルビニルエーテル)(PTVE)、負極としてリチウム金属、電解液としてTMPに1.0mol/LのLiTFSIを溶解させたものを使用した蓄電デバイスを作製した。
<実施例12>
ニトロキシル化合物としてPTMA、負極としてリチウム金属、電解液としてリン酸トリエチル(TEP)に1.0mol/LのLiTFSIを溶解させたものを使用した蓄電デバイスを作製した。
<実施例13>
ニトロキシル化合物としてPTMA、負極としてリチウム金属、電解液としてTMPとエチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(混合比10:3:7)に1.0mol/LのLiTFSIを溶解させたものを使用した蓄電デバイスを作製した。
<実施例14>
ニトロキシル化合物としてPTMA、負極としてリチウム金属、電解液としてTMPに1.0mol/Lのリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF6)を溶解させたものを使用した蓄電デバイスを作製した。
<実施例15>
ニトロキシル化合物としてPTMA、負極としてリチウム金属、電解液としてTMPに0.5mol/LのLiTFSIを溶解させたものを使用した蓄電デバイスを作製した。
ニトロキシル化合物としてPTMA、負極としてリチウム金属、電解液としてPCに1.0mol/LのLiTFSIを溶解させたものを使用した蓄電デバイスを作製した。
<比較例2>
ニトロキシル化合物としてPTVE、負極としてリチウム金属、電解液としてPCに1.0mol/LのLiTFSIを溶解させたものを使用した蓄電デバイスを作製した。
<比較例3>
ニトロキシル化合物としてPTMA、負極としてリチウム金属、電解液としてエチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(混合比3:7)に1.0mol/LのLiTFSIを溶解させたものを使用した蓄電デバイスを作製した。
<比較例4>
ニトロキシル化合物としてPTMA、負極としてリチウム金属、電解液としてPCに1.0mol/Lのリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF6)を溶解させたものを使用した蓄電デバイスを作製した。
<比較例5>
ニトロキシル化合物としてPTMA、負極としてリチウム金属、電解液としてPCに0.5mol/LのLiTFSIを溶解させたものを使用した蓄電デバイスを作製した。
以上のように作製した蓄電デバイスを0.01mA/cm2の電流密度で充放電させ、平均充電電圧と平均放電電圧の中間点を取って平衡電位を求めた。
表1に、各実施例および各比較例における平衡電位を示す。
2 絶縁パッキン
3 負極
4 セパレータ
5 正極
6 正極集電体
Claims (5)
- 前記リン酸エステルが、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリスブトキシエチル、リン酸トリス2−エチルヘキシル、リン酸トリス(2−クロロイソプロピル)、リン酸トリス(2−クロロエチル)、リン酸トリス(1,3−ジクロロ−2−プロピル)、リン酸トリフェニル及びリン酸トリクレジルから選ばれることを特徴とする請求項1に記載の蓄電デバイス。
- 前記リン酸エステルが、リン酸トリメチル又はリン酸トリエチルであることを特徴とする請求項2記載の蓄電デバイス。
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