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JP2009219992A - 石膏ボード廃材の処理方法及びセメント - Google Patents

石膏ボード廃材の処理方法及びセメント Download PDF

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JP2009219992A JP2008066079A JP2008066079A JP2009219992A JP 2009219992 A JP2009219992 A JP 2009219992A JP 2008066079 A JP2008066079 A JP 2008066079A JP 2008066079 A JP2008066079 A JP 2008066079A JP 2009219992 A JP2009219992 A JP 2009219992A
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Tomohisa Yoshikawa
知久 吉川
Kazumi Ojima
一己 尾島
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貴之 木村
Masami Uzawa
正美 鵜澤
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  • Processing Of Solid Wastes (AREA)
  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)

Abstract

【課題】紙や界面活性剤の含有率が十分に低減されており、それゆえ、セメントの石膏成分中に高い割合で置換して使用することのできる再資源化された石膏を、短時間で容易に得ることのできる石膏ボード廃材の処理方法を提供する。
【解決手段】石膏ボード廃材の破砕物を準備する工程(A)と、前記石膏ボード廃材破砕物と水とを混合して、石膏ボード廃材破砕物を水洗する工程(B)と、前記石膏ボード廃材破砕物と水との混合物から石膏ボード廃材破砕物を回収する工程(C)と、前記回収した石膏ボード廃材破砕物とアルコールとを混合して、石膏ボード廃材破砕物をアルコール洗浄する工程(D)と、前記石膏ボード廃材破砕物とアルコールとの混合物から石膏を回収する工程(E)と、を含むことを特徴とする石膏ボード廃材の処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、石膏ボード廃材の処理方法、特に、石膏ボード廃材から、セメント原料として再利用することのできる石膏を回収するための処理方法に関する。
建築物の改装・解体や新築内装工事等に伴って大量に排出される石膏ボード廃材は、その大部分が再利用されることなく廃棄され、埋立て処分されているのが現状である。
近年、石膏ボード廃材の発生量は年々増加する傾向にあり、石膏ボード廃材を廃棄処分するための埋立地の確保が困難になりつつあることや、環境保全の観点等から、石膏ボード廃材を再利用することが求められている。
石膏ボード廃材の再利用方法としては、石膏ボード廃材中の石膏を、セメントの石膏成分として利用することが検討されている。例えば、石膏ボード廃材から乾式破砕により紙を除去して得られる回収石膏を石膏成分の少なくとも一部として含有することを特徴とするコンクリート用ポルトランドセメントが提案されている(特許文献1)。
しかしながら、石膏ボード廃材から回収された石膏には、紙やセルロース繊維を多く含むため、そのままの状態でセメント原料として使用すると、セメント組成物のフロー値の低下などの弊害が起こることがある。また、石膏ボード廃材から回収された石膏には、石膏ボードを製造する過程で添加される界面活性剤も残存しているため、そのままの状態でセメント原料として使用すると、界面活性剤の気泡作用によりモルタルやコンクリートの機械的強度(例えば、圧縮強さ)が低下することが確認されている。そのため、特許文献1の技術によると、ポルトランドセメントの石膏成分中の、石膏ボード廃材からの回収石膏の使用割合(置換率)を、低く抑えることが必要であり、それゆえ、石膏ボード廃材を大量に処理することが困難であるという問題があった。
一方、石膏ボード廃材の粉砕物を水洗して得られた回収石膏をポルトランドセメント用の石膏として使用する方法も提案されている(特許文献2)。特許文献2の方法では、水洗により石膏ボード廃材中の界面活性剤を除去できるので、通常の石膏(排脱二水石膏)と比べてもモルタルやコンクリートの機械的強度(例えば、圧縮強さ)がほとんど低下しないことが確認されている。そのため、特許文献2の方法で得られた回収石膏は、ポルトランドセメントの石膏成分中に高い割合で置換して使用することが可能である。
特開2003−192403号公報 特開2002−255598号公報
しかしながら、特許文献2の方法では、石膏ボード廃材中の界面活性剤を除去するためには、大量の水を使用して水洗処理を長時間連続して行うか、又は水量を少な目にして複数回(少なくとも3回以上)の水洗処理を行う必要があり、手間と時間のかかるものであった。
そこで、本発明は、界面活性剤の含有率が十分に低減されており、それゆえ、セメントの石膏成分中に高い割合で置換して使用することのできる再資源化された石膏を、短時間で容易に得ることのできる石膏ボード廃材の処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、石膏ボード廃材破砕物を水洗した後、さらにアルコール洗浄すれば、界面活性剤の含有率を短時間で容易に低減させることができ、この石膏をセメント原料用の石膏として好適に用い得ることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[4]を提供するものである。
[1]石膏ボード廃材の破砕物を準備する工程(A)と、前記石膏ボード廃材破砕物と水とを混合して、石膏ボード廃材破砕物を水洗する工程(B)と、前記石膏ボード廃材破砕物と水との混合物から石膏ボード廃材破砕物を回収する工程(C)と、前記回収した石膏ボード廃材破砕物とアルコールとを混合して、石膏ボード廃材破砕物をアルコール洗浄する工程(D)と、前記石膏ボード廃材破砕物とアルコールとの混合物から石膏を回収する工程(E)と、を含むことを特徴とする石膏ボード廃材の処理方法。
[2]石膏ボード廃材破砕物は、最大粒径が5mm以下である上記[1]に記載の石膏ボード廃材の処理方法。
[3]アルコールが、メタノール又はエタノールである上記[1]又は[2]に記載の石膏ボード廃材の処理方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の石膏ボード廃材の処理方法により得られた石膏を含むセメント。
本発明の石膏ボード廃材の処理方法によると、石膏ボード廃材破砕物を水洗した後、さらにアルコール洗浄するという簡易な方法によって、短時間で石膏ボード廃材から回収される石膏中の界面活性剤の含有率を大きく低減させることができる。
本発明の処理方法により得られた石膏は、界面活性剤の含有率が小さいため、セメントの石膏成分中に大きな割合(置換率)で使用することができる。例えば、普通ポルトランドセメントの原料である石膏成分の全量を、本発明の処理方法により得られた石膏で代替しても、通常の石膏(排脱二水石膏)とほぼ同等の物性(圧縮強さ等の機械的強度や、フロー値等)を発現し得るポルトランドセメントを得ることができる。よって、石膏ボード廃材から紙や界面活性剤を除去せずに、石膏を再資源化した場合と比べて、石膏ボード廃材の処理量、及び再資源化した石膏の使用量を増大させることができる。その結果、廃棄処分される石膏ボード廃材の量を削減することができ、石膏ボード廃材の埋立処分地の確保の問題なども軽減することができる。
まず、本発明の石膏ボード廃材の処理方法について詳細に説明する。
本発明の石膏ボード廃材の処理方法は、石膏ボード廃材の破砕物を準備する工程(A)と、前記石膏ボード廃材破砕物と水とを混合して、石膏ボード廃材破砕物を水洗する工程(B)と、前記石膏ボード廃材破砕物と水との混合物から石膏ボード廃材破砕物を回収する工程(C)と、前記回収した石膏ボード廃材破砕物とアルコールとを混合して、石膏ボード廃材破砕物をアルコール洗浄する工程(D)と、前記石膏ボード廃材破砕物とアルコールとの混合物から石膏を回収する工程(E)と、を含む。
[工程(A)]
本工程は、石膏ボード廃材の破砕物を準備する工程である。
本発明の処理方法の対象となる石膏ボード廃材としては、廃棄物として扱われる石膏ボードであればよく、例えば、石膏ボードの生産時や新築内装工事等で発生する石膏ボードの端材や、建築物の改装・解体工事等で発生する石膏ボード等が挙げられる。
石膏ボードは、石膏を主体とする芯材を、石膏ボード用原紙で被覆した板状の構造を有するものである。
石膏ボードにおける石膏と紙の割合は、厚さ12mmの石膏ボードの場合、石膏が93質量%程度、紙が7質量%程度である。
セメント原料として用いる石膏成分中に紙が含まれていると、セメント組成物のフロー値の低下などの弊害が起こることがある。そのため、本発明において、石膏ボード廃材破砕物は、紙を除去したのであることが必要である。なお、本発明において、「紙を除去する」とは、紙を完全に除去する場合に限らず、紙を部分的に除去する場合も含む。
石膏ボード廃材破砕物中の紙の含有率は、前記の紙による弊害(例えば、セメント組成物のフロー値の低下)を避ける観点から、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
紙の除去方法としては、(a)石膏ボード廃材をジョークラッシャで解砕した後、篩を用いて紙と石膏とを分離する方法、(b)石膏ボード廃材をロール間で圧縮し、石膏分を粉状にして紙と石膏を分離する方法、(c)市販の石膏ボード粉砕分別機を用いる方法、などを挙げることができる。
なお、除去した紙には、若干の石膏分が付着している。この紙は、カルシウムサルホアルミネートクリンカーや特殊セメントクリンカー用の原料として使用することができる。
石膏ボード廃材破砕物の最大粒径は、好ましくは5mm以下、より好ましくは2.5mm以下である。該最大粒径が5mmを超えると、界面活性剤の含有率の小さい石膏を製造するのが困難になるため、好ましくない。
石膏ボード廃材の破砕方法としては、上述の(a)〜(c)の紙の除去方法における破砕・粉砕方法等が挙げられる。
石膏ボード廃材における紙の除去と石膏の破砕の順序は、紙を除去した後に石膏を破砕してもよいし、あるいは、石膏ボード廃材を破砕して、所望の粒度の石膏ボード破砕物を得た後に、紙を除去してもよい。
[工程(B)]
本工程は、工程(A)で準備した石膏ボード廃材破砕物と水とを混合して、石膏ボード廃材破砕物を水洗する工程である。
石膏ボード廃材破砕物と水とを混合して石膏ボード廃材破砕物を水洗する方法としては、容器に仕込んだ水中で廃石膏ボード破砕物を撹拌しながら洗浄を行うバッチ式洗浄方法、フィルタープレスに廃石膏ボード破砕物を充填し、該充填層に一定方向より洗浄水を連続的、或いは断続的に通過せしめる機内洗浄により行う連続的洗浄方法などが挙げられるが、洗浄水の節約や洗浄時間の短縮等から、容器に仕込んだ水中で廃石膏ボード破砕物を撹拌しながら洗浄を行うバッチ式洗浄方法が好ましい。
上記バッチ式洗浄方法を採用する場合、水洗時間は、好ましくは5〜30分間、より好ましくは10〜20分間である。水洗時間が5分間未満では、界面活性剤の含有率が小さい石膏を製造するのが困難となる。一方、撹拌時間が30分間を越えても、界面活性剤の含有率はそれほど変化せず、水洗時間が長くなるので好ましくない。
また、上記バッチ式洗浄方法を採用する場合、石膏ボード廃材破砕物濃度は5〜30質量%であることが好ましく、7〜25質量%がより好ましく、10〜20質量%がさらに好ましい。石膏ボード廃材破砕物濃度が30質量%を超えると、長時間の水洗処理を行う必要があるうえ、界面活性剤の含有率が小さい石膏を製造するのも困難となる。一方、石膏ボード廃材破砕物濃度が5質量%未満では、石膏ボード廃材破砕物の単位質量当たりの水量が大きくなり、処理の効率が低下する。
[工程(C)]
本工程は、工程(B)の石膏ボード廃材破砕物と水との混合物から石膏ボード廃材破砕物を回収する工程である。石膏を回収する方法としては、フィルタープレス、ベルトフィルター、デカンター等の固液分離装置を使用して、含水率50質量%以下に脱水して回収する方法が挙げられる。
[工程(D)]
本工程は、工程(C)で回収した石膏ボード廃材破砕物とアルコールとを混合して、石膏ボード廃材破砕物をアルコール洗浄する工程である。アルコールとしては、コストや界面活性剤の除去効果等の観点から、メタノール又はエタノールを用いることが好ましい。
石膏ボード廃材破砕物とアルコールとを混合して石膏ボード廃材破砕物をアルコール洗浄する方法としては、容器に仕込んだアルコール中で廃石膏ボード破砕物を撹拌しながら洗浄を行うバッチ式洗浄方法、フィルタープレスに廃石膏ボード破砕物を充填し、該充填層に一定方向よりアルコールを連続的、或いは断続的に通過せしめる機内洗浄により行う連続的洗浄方法などが挙げられるが、洗浄用アルコールの節約や洗浄時間の短縮等から、容器に仕込んだアルコール中で廃石膏ボード破砕物を撹拌しながら洗浄を行うバッチ式洗浄方法が好ましい。
なお、本工程においては、石膏ボード廃材破砕物は乾燥したものをアルコールと混合しても良いし、未乾燥のものをアルコールと混合しても良いが、処理コストや処理時間の短縮を考慮して、未乾燥のものをアルコールと混合することが好ましい。
上記バッチ式洗浄方法を採用する場合、洗浄時間は、好ましくは5〜30分間、より好ましくは10〜20分間である。洗浄時間が5分間未満では、界面活性剤の含有率が小さい石膏を製造するのが困難となる。一方、撹拌時間が30分間を越えても、界面活性剤の含有率はそれほど変化せず、洗浄時間が長くなるので好ましくない。
また、上記バッチ式洗浄方法を採用する場合、石膏ボード廃材破砕物濃度は5〜30質量%であることが好ましく、7〜25質量%がより好ましく、10〜20質量%がさらに好ましい。石膏ボード廃材破砕物濃度が30質量%を超えると、長時間の洗浄処理を行う必要があるうえ、界面活性剤の含有率が小さい石膏を製造するのも困難となる。一方、石膏ボード廃材破砕物濃度が5質量%未満では、石膏ボード廃材破砕物の単位質量当たりのアルコール量が大きくなり、コストが高くなるうえ、処理効率が低下する。
[工程(E)]
本工程は、工程(D)の石膏ボード廃材破砕物とアルコールとの混合物から石膏を回収する工程である。石膏を回収する方法としては、フィルタープレス、ベルトフィルター、デカンター等の固液分離装置を使用して、固液分離した後、乾燥する方法等が挙げられる。
本発明の処理方法によって得られる石膏は、紙や界面活性剤の含有率が十分に低減されたものである。なお、石膏は、少なくとも回収時においては二水石膏の形態を有する。
本発明の処理方法により得られた石膏は、ほぼ全量が二水石膏であるので、そのまま/あるいは粉砕してセメント原料(石膏成分)として用いることができる。なお、セメント原料(石膏成分)として用いる場合のブレーン比表面積は、2000〜10000cm2/gであることが好ましく、3000〜8000cm2/gであることがより好ましい。
次に、本発明の処理方法によって得られた石膏を含むセメントについて説明する。
本発明の処理方法によって得られた石膏を、石膏成分として使用することのできるセメントとしては、二水石膏を用いるセメントであれば特に限定されないが、例えば普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント等のポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメントや、エコセメントや、ジェットセメント、白色セメント等の特殊セメントや、セメント系土壌改良材等が挙げられる。中でも、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント等のポルトランドセメントは、その生産量が多く、石膏ボード廃材の処理量を増大させることができるので、好ましい。
セメント(例えば、ポルトランドセメント)は、常法に従って、本発明の処理方法により得られた石膏と、セメントクリンカーとを混合することにより製造することができる。 セメント中の石膏の質量割合は、従来使用されている石膏(排脱石膏等)と同等である。
セメントの原料である石膏成分中の、本発明の処理方法により得られた石膏の使用割合は、特に限定されることがなく任意であるが、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは60〜100質量%、さらに好ましくは70〜100質量%である。該使用割合を前記の好ましい数値範囲内とすれば、石膏ボード廃材の処理量の増大を図ることができ、また、従来セメント原料として使用されている排脱石膏等の使用量を削減することができる。なお、得られるセメントを用いて調製されるモルタル・コンクリート等は、紙や界面活性剤の含有率が小さいため、排脱石膏を用いた場合とほぼ同等の物性(例えば、機械的強度、流動性等)を有するものである。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[1.石膏ボード廃材の粉砕処理]
石膏ボード廃材をロールクラッシャーで破砕し、10mmメッシュ及び2.5mmメッシュの篩かけを行い、紙の合計量が1.2質量%である石膏ボード廃材破砕物(A−1)(最大粒径:2.5mm以下)を得た。
[2.石膏ボード廃材破砕物の洗浄処理と石膏の回収(その1)]
上記石膏ボード廃材破砕物(A−1)と水とを、容器内で混合撹拌して石膏ボード廃材破砕物を水洗した。石膏ボード廃材破砕物濃度は10質量%とし、撹拌時間(水洗時間)は20分間とした。
水洗後、石膏ボード廃材破砕物と水との混合物をフィルタープレスで固液分離して、石膏ボード廃材破砕物を回収した。
上記回収した石膏ボード廃材破砕物(含水率40質量%程度)とメタノールとを、容器内で混合撹拌して石膏ボード廃材破砕物をメタノール洗浄した。石膏ボード廃材破砕物濃度は10質量%とし、撹拌時間(洗浄時間)は20分間とした。
メタノール洗浄後、石膏ボード廃材破砕物とメタノールとの混合物をフィルタープレスで固液分離した後、60℃で24時間乾燥して石膏(A−2)を回収した。
なお、得られた石膏(A−2)は、その全量が二水石膏であり、紙の合計量は0.03質量%以下であった。
[3.石膏ボード廃材破砕物の洗浄処理と石膏の回収(その2)]
洗浄用アルコールとして、エタノールを用いたこと以外は、上記2.と同様にして石膏(A−3)を回収した。
なお、得られた石膏(A−3)は、その全量が二水石膏であり、紙の合計量は0.03質量%以下であった。
[4.普通ポルトランドセメントの製造]
[実施例1]
普通ポルトランドセメント中のSO3量が2.0質量%となるように、石膏(A−2)をクリンカに加えて粉砕し、ブレーン値3270cm2/gの普通ポルトランドセメント(B−1)を製造した。
[実施例2]
普通ポルトランドセメント中のSO3量が2.0質量%となるように、石膏(A−3)をクリンカに加えて粉砕し、ブレーン値3270cm2/gの普通ポルトランドセメント(B−2)を製造した。
[比較例1]
上記石膏ボード廃材破砕物(A−1)を、ふるい目開きが105μmのふるいを使用して、乾式振動ふるい処理を行った石膏(紙の合計量は0.2質量%)を、普通ポルトランドセメント中のSO3量が2.0質量%となるように、クリンカに加えて粉砕し、ブレーン値3270cm2/gの普通ポルトランドセメント(B−3)を製造した。
[比較例2]
上記石膏ボード廃材破砕物(A−1)と水とを、容器内で混合撹拌して石膏ボード廃材粉砕物を水洗(石膏ボード廃材破砕物濃度は10質量%、撹拌時間(水洗時間)は90分間)後、該混合物をフィルタープレスで固液分離した後、60℃で24時間乾燥して得た石膏を、普通ポルトランドセメント中のSO3量が2.0質量%となるように、クリンカに加えて粉砕し、ブレーン値3270cm2/gの普通ポルトランドセメント(B−4)を製造した。
[参考例1]
普通ポルトランドセメント中のSO3量が2.0質量%となるように、排脱二水石膏(市販品の普通ポルトランドセメントの製造に使用されているもの)をクリンカに加えて粉砕し、ブレーン値3270cm2/gの普通ポルトランドセメント(B−5)を製造した。
[4.普通ポルトランドセメントの物性の評価]
[実施例1]
普通ポルトランドセメント(B−1)について、下記に示す方法により、圧縮強さ及び空気量を測定した。結果を表1に示す。
(1)モルタルの圧縮強さ
JIS R 5201(セメントの物理試験方法)に準じて、モルタルの圧縮強さを測定した。なお、測定は、混練時から3日後、7日後、28日後の3つの時点で行った。
(2)モルタルの空気量
上記(1)の圧縮強さの試験に用いた混練物の空気量を、モルタルエアメーター(丸東製作所社製;商品名:C13−S)を用いて測定した。
[実施例2]
普通ポルトランドセメント(B−1)にかえて、普通ポルトランドセメント(B−2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして各種物性を測定した。
[比較例1]
普通ポルトランドセメント(B−1)にかえて、普通ポルトランドセメント(B−3)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして各種物性を測定した。
[比較例2]
普通ポルトランドセメント(B−1)にかえて、普通ポルトランドセメント(B−4)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして各種物性を測定した。
[参考例1]
普通ポルトランドセメント(B−1)にかえて、普通ポルトランドセメント(B−5)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして各種物性を測定した。
その結果を表1に示す。
Figure 2009219992
上記のように、本発明の処理方法により得られた石膏は、紙の含有量が少なかった。また、本発明の処理方法により得られた石膏を用いた普通ポルトランドセメント(実施例1、2)は、排脱二水石膏を用いた普通ポルトランドセメント(参考例1)とほぼ同等の圧縮強さを有することがわかる。一方、石膏ボード廃材を乾式粉砕した石膏を用いた普通ポルトランドセメント(比較例1)や石膏ボード廃材破砕物を90分間水洗処理しただけの石膏を用いた普通ポルトランドセメント(比較例2)では、実施例や参考例のセメントと比べて、モルタルの空気量が多く、圧縮強さが小さいことがわかる。

Claims (4)

  1. 石膏ボード廃材の破砕物を準備する工程(A)と、前記石膏ボード廃材破砕物と水とを混合して、石膏ボード廃材破砕物を水洗する工程(B)と、前記石膏ボード廃材破砕物と水との混合物から石膏ボード廃材破砕物を回収する工程(C)と、前記回収した石膏ボード廃材破砕物とアルコールとを混合して、石膏ボード廃材破砕物をアルコール洗浄する工程(D)と、前記石膏ボード廃材破砕物とアルコールとの混合物から石膏を回収する工程(E)と、を含むことを特徴とする石膏ボード廃材の処理方法。
  2. 上記石膏ボード廃材破砕物は、最大粒径が5mm以下である請求項1に記載の石膏ボード廃材の処理方法。
  3. 上記アルコールが、メタノール又はエタノールである請求項1又は2に記載の石膏ボード廃材の処理方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の石膏ボード廃材の処理方法により得られた石膏を含むセメント。
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