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JP2009214640A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents

ハイブリッド車両の制御装置 Download PDF

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JP2009214640A JP2008058963A JP2008058963A JP2009214640A JP 2009214640 A JP2009214640 A JP 2009214640A JP 2008058963 A JP2008058963 A JP 2008058963A JP 2008058963 A JP2008058963 A JP 2008058963A JP 2009214640 A JP2009214640 A JP 2009214640A
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Abstract

【課題】 エンジン又は/及びモータの駆動力を用いて走行しつつ、正確な変速を実現できるハイブリッド車両の制御装置を提供すること。
【解決手段】 モータMと自動変速機ATとを断接する第2締結要素(第2クラッチCL2)を備え、変速要求があるときは、第2締結要素の締結容量TCL2を制御して自動変速機ATに入力されるトルクが所定値となるように制御することとした。
【選択図】 図7

Description

本発明は、動力源にエンジンとモータを備えたハイブリッド車両の制御装置に関する。
ハイブリッド車両の制御装置として特許文献1の技術が開示されている(以下、従来例という)。この従来例は、エンジンとモータとを断接する第1の締結要素(クラッチ装置)のほかに、モータと駆動輪との間に介装された自動変速機内に第2の締結要素(切換要素)を備え、第2の締結要素の伝達トルク容量(以下、締結容量)を制御することでエンジン始動時の出力トルク変動を抑制している。
特開2005−221073号公報
この従来例にあっては、エンジン又は/及びモータから自動変速機へ入力されるトルクの変動やバラツキが生じる場合がある。このように入力トルクが変動している状態で変速を実行しようすると、変速が不正確となってショックが発生したり変速が間延びしたりするおそれがある。本発明は、上記問題に着目してなされたもので、エンジン又は/及びモータの駆動力を用いて走行しつつ、正確な変速を実現できるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のハイブリッド車両の制御装置は、モータと自動変速機とを断接する第2締結要素を備え、変速要求があるときは、第2締結要素の締結容量を制御して自動変速機に入力されるトルクが所定値となるように制御することとした。
よって、エンジン又は/及びモータの駆動力を用いて走行しつつ、正確な変速を実現できる。
以下、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の制御装置が適用されたハイブリッド車両を示す全体システム図である。車両駆動系は、エンジンE、モータM、及びモータMと左右の後輪RL,RR(駆動輪)との間に介装された自動変速機ATを有している。
エンジンEは、ガソリンエンジン等の内燃機関である。エンジン出力軸A1にはフライホイールFWと、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転センサ14とが設けられている。
エンジンEとモータMとの間には、これらを断接する締結要素として乾式単板クラッチである第1クラッチCL1が介装されている。第1クラッチCL1はエンジン出力軸A1とモータ出力軸A2に接続されている。
モータMは、ロータRに永久磁石を埋設し、ステータSにコイルを巻き付けた同期型モータジェネレータである。モータMは、バッテリ4から電力供給を受けて回転駆動し、電動機(モータ)としての動力により車両を駆動し、またエンジンEの始動を行う。一方、ロータRが外力により回転している場合には、発電機(ジェネレータ)としてバッテリ4を充電する(以下、この動作状態を「回生」と呼ぶ)。モータ出力軸A2には、モータ回転数Nmを検出するモータ回転センサ15が設けられている。
モータMと自動変速機ATとの間には、これらを断接する締結要素として第2クラッチCL2が介装されている。第2クラッチCL2は、比例ソレノイドで油流量及び油圧を連続的に制御できる湿式多板クラッチであり、モータ出力軸A2と自動変速機ATの入力軸(変速機入力軸)A3とに接続されている。
自動変速機ATは、複数の締結要素を締結又は解放することにより前進5速・後退1速等の有段階の変速比を車速VSPやアクセル開度APO等に応じて自動的に切り換える変速機である。自動変速機ATの出力軸(変速機出力軸)A4は、プロペラシャフトPS、ディファレンシャルDF、及び左右のドライブシャフトDSL,DSRを介して左右後輪RL,RRに連結されている。
変速機入力軸A3には、変速機入力回転数Ninを検出する変速機入力回転センサ16が設けられ、変速機出力軸A4には、変速機出力回転数Noutを検出する変速機出力回転センサ17が設けられている。
自動変速機ATには、変速機入力軸A3と変速機出力軸A4を断接する複数の締結要素(クラッチ及びブレーキ)が内蔵されている。第3クラッチCL3は、これらの締結要素の1つである。第3クラッチCL3は、比例ソレノイドで油流量及び油圧を連続的に制御できる湿式多板クラッチであり、少なくとも第1速で締結される。後述するWSC走行モード及びエンジン始動制御で自動変速機AT内の締結要素がスリップ制御される場合は、この第3クラッチCL3が制御対象になるものとする。
このハイブリッド駆動系は、3つの走行モードを有している。第1は、第1クラッチCL1の解放状態で、エンジンEを停止しモータMのみを動力源として走行するモータ使用走行モード(以下、「EV走行モード」という)である。第2は、第1クラッチCL1の締結状態で、エンジンEを動力源に含みながら走行するエンジン使用走行モード(以下、「HEV走行モード」という)である。
第3は、第1クラッチCL1を締結した状態で、モータMと駆動輪RL,RRとの間に介装された締結要素(第2クラッチCL2又は第3クラッチCL3)をスリップ制御し、エンジンEを動力源に含みながら走行又は発進するエンジン使用スリップ走行モード(以下、「WSC(Wet Start Clutch)走行モード」という)である。このモードは、特にバッテリSOCが低いときやエンジン水温が低いとき(このためエンジン停止を許可できないとき)に、クリープ走行を達成する。更に、エンジン停止状態からの発進時に、エンジンEを始動しつつ駆動力を出力可能なモードである。
更に上記「HEV走行モード」は、「エンジン走行モード」と「モータアシスト走行モード」と「走行発電モード」の3つの走行モードを有する。「エンジン走行モード」はエンジンEのみを動力源とし、「モータアシスト走行モード」はエンジンEとモータMの双方を動力源として、駆動輪RR,RLを駆動する。「走行発電モード」は、定速運転時や加速運転時にエンジンEを動力源として駆動輪RR,RLを駆動すると同時に、エンジンEの動力を利用してモータMを発電機として機能させる。減速運転時は、制動エネルギを回生してモータMにより発電し、バッテリ4の充電のために使用する。
(制御系の構成)
次に、車両制御系を説明する。制御系は、図1に示すように、情報交換が可能なCAN通信線13を介して互いに接続されたエンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、第2クラッチコントローラ7と、ATコントローラ9と、統合コントローラ12と、を有している。
エンジンコントローラ1は、エンジン回転センサ14からの入力を受け、統合コントローラ12からの目標エンジントルク指令等に応じ、エンジン動作点(エンジン回転数Ne,エンジントルクTe)を制御する指令を演算してエンジンE(例えばスロットルバルブアクチュエータ)へ出力する。
モータコントローラ2は、ロータRの回転位置を検出するレゾルバ18からの情報入力を受け、統合コントローラ12からの目標モータトルク指令等に応じ、モータ動作点(モータ回転数Nm,モータトルクTm)を制御する指令を演算してインバータ3へ出力する。インバータ3により作り出された三相交流がステータコイルに印加されることでモータMが制御される。モータコントローラ2は、バッテリ4の充電状態を表すバッテリSOCを監視しており、バッテリSOC情報は、モータMの制御情報に用いると共に、CAN通信線13を介して統合コントローラ12へ供給する。
第1クラッチコントローラ5は、統合コントローラ12からの第1クラッチ制御指令に応じ、第1クラッチCL1の締結・解放を制御する油圧指令を演算して、AT油圧コントロールバルブ内の第1クラッチ油圧ユニット6(の比例ソレノイド)に出力する。第1クラッチ油圧ユニット6により作り出された制御油圧により、スリップ締結とスリップ解放を含み第1クラッチCL1の締結・解放(締結容量)を制御する。
第2クラッチコントローラ7は、統合コントローラ12からの第2クラッチ制御指令(目標締結容量TCL2*)に応じ、第2クラッチCL2の締結・解放を制御する油圧指令を演算して、AT油圧コントロールバルブ内の第2クラッチ油圧ユニット8に出力する。第2クラッチ油圧ユニット8により作り出された制御油圧により、スリップ締結とスリップ解放を含み第2クラッチCL2の締結・解放(締結容量)を制御する。
ATコントローラ9は、アクセル開度センサ19からの入力を受けるとともに、変速機出力回転センサ17からの情報に基づき車速VSPを算出し、予め設定されたシフトスケジュールに沿って目標変速段を設定する。シフトスケジュールは、車速VSPとアクセルペダル開度APOに基づいて予め目標変速段が定められたものであり、アップシフト線、ダウンシフト線等が設定されている。目標変速段に応じて自動変速機AT内の締結要素を架け替え(すなわち締結・解放する複数の締結要素の組み合わせを変更し)、変速を実行する。上記架け替え制御は、従来の自動変速機ATにおいて一般に行われている制御を利用する。
またATコントローラ9は、統合コントローラ12からの第3クラッチ制御指令(目標締結容量TCL3*)に応じ、第3クラッチCL3の締結・解放を制御する油圧指令を演算して、AT油圧コントロールバルブに出力する。AT油圧コントロールバルブにより作り出された制御油圧により、スリップ締結とスリップ解放を含み第3クラッチCL3の締結・解放(締結容量)を制御する。
統合コントローラ12は、車両全体の消費エネルギを管理し、最高効率で車両を走らせる機能を担う。モータ回転数Nm、変速機入力回転数Nin、変速機出力回転数Nout、及びCAN通信線13を介して得られた情報の入力を受け、エンジンE及びモータMの動作制御と、第1、第2クラッチCL1,CL2及び第3クラッチCL3の締結・解放制御を行う。
(制御の内容)
以下、統合コントローラ12にて演算される制御を説明する。
目標駆動力演算では、所定の目標駆動力マップを用いて、アクセルペダル開度APOと車速VSPとから、要求駆動力としての目標駆動力tFoOを演算する。
走行モード選択では、所定のマップを用いて、走行状態(アクセルペダル開度APO及び車速VSP)から、目標走行モードを演算する。但し、バッテリSOCが所定値以下であれば、強制的に「HEV走行モード」を目標走行モードとする。上記マップには、低車速でアクセルペダル開度APOが大きいときに大きな駆動力を出力するため、WSC走行モード領域が設定されている。上記低車速は、HEV走行モード時に変速段が第1速のとき、(計算上の)エンジン回転数Neがアイドル回転数よりも小さくなるような車速以下に設定されている。本実施例1で、WSC走行モードでは、目標変速段を第1速に設定するものとする。
目標充放電量演算では、所定の目標充放電量マップを用いて、バッテリSOCに基づき目標充放電電力tPを演算する。
動作点指令では、アクセルペダル開度APOと、目標駆動力tFoOと、目標走行モードと、車速VSPと、目標充放電電力tPとから、過渡的な動作点到達目標として、目標エンジン回転数Ne*及び目標エンジントルクTe*と、目標モータ回転数Nm*及び目標モータトルクTm*と、を演算する。
目標走行モードがWSC走行モードであるとき、駆動輪RL,RRに伝達されるトルク(出力トルク)は、第2クラッチCL2の締結容量TCL2と第3クラッチCL3の締結容量TCL3とのうち小さいほうの値により決定される。このため、WSC走行モード中は、上記出力トルクが目標駆動力tFoOを実現する値(要求駆動力相当)となるように、目標締結容量TCL2*及びTCL3*を演算する。
エンジン始動制御では、例えば目標走行モードがEVモードからHEVモードに切り換わってエンジン始動要求がなされると、モータトルクTmをエンジンEに伝達してエンジン回転数Neを引き上げるべく、半締結領域内で目標締結容量TCL1*を設定し、第1クラッチCL1のスリップ制御を行う。締結容量TCL1が発生すると、エンジン出力軸A1が回されてエンジン回転数Neが0rpmから上昇し、エンジンEのクランキングが行われる。所定条件が成立するとエンジン点火が行われ、エンジンEが自立回転を始める。エンジン回転数Neが自立回転を示す値になったことを確認すると、目標締結容量TCL1*を一定割合で最大値TCL1maxまで上昇させる。これにより第1クラッチCL1を完全締結状態として、エンジン始動を完了する。
上記エンジン始動中は、締結容量TCL2を目標駆動力tFoOに基づき設定し、第2クラッチCL2をスリップ制御する。又は、第2クラッチCL2の代わりに自動変速機AT内の締結要素(第3クラッチTCL3)の締結容量TCL3を目標駆動力tFoOに基づき設定し、第3クラッチCL3をスリップ制御する。また、モータMの制御モードをトルク制御から回転数制御へ切り替える。このモータ回転数制御では、第2クラッチCL2(又は第3クラッチCL3)のモータ側回転要素の回転数が駆動輪側回転要素の回転数よりも所定量だけ大きくなるように目標回転数Nm*が設定されることで、第2クラッチCL2(又は第3クラッチCL3)の過剰なスリップが防止される。
尚、第1クラッチCL1の締結容量TCL1を増大させる際、モータMに作用する負荷(エンジンクランキングトルク)が増大すると、モータMから第2クラッチCL2(又は第3クラッチCL3)へ出力されるトルク及びモータ回転数Nmが一時的に低下する。しかし、上記モータ回転数制御により、この低下した回転数を上昇させるよう、高い目標モータトルクTm*が自動的に再設定される。よって、車両走行に必要な駆動力が減少することはなく、駆動輪RR,RLには締結容量TCL2(又はTCL3)相当のトルクが確実に出力される。
エンジン始動が完了すると、モータMの回転数制御からトルク制御に再び切り換えると共に、スリップ制御していた第2クラッチCL2(又は第3クラッチCL3)を完全締結する。尚、HEVモードからEVモードへの切り替え時には第1クラッチCL1を解放してエンジンEを停止させる。その間も、目標駆動力tFoOが実現されるように第1、第2クラッチCL1,CL2等の制御指令(TCL1*,TCL2*等)が演算される。
以下、第1、第2クラッチCL1,CL2及び自動変速機AT内の各締結要素(第3クラッチCL3等)の締結状態に応じた各走行状態(モード)を、図2〜図7を用いて説明する。
図2は、第1クラッチCL1を完全締結させ、第2クラッチCL2をスリップ制御させて、エンジンEを動力源に含みながら走行又は発進する第1のWSC走行モード(エンジン始動時を除く)を示す。第1のWSC走行モード中、変速要求がないときは、駆動輪RL,RRに伝達されるトルクが要求駆動力相当となるように第2クラッチCL2の締結容量TCL2を制御する。
図3は、第1クラッチCL1を完全締結させ、自動変速機AT内の第3クラッチCL3をスリップ制御させて、エンジンEを動力源に含みながら走行又は発進する第2のWSC走行モード(エンジン始動時を除く)を示す。第2のWSC走行モード中、変速要求がないときは、駆動輪RL,RRに伝達されるトルクが要求駆動力相当となるように上記スリップ制御される第3クラッチCL3の締結容量TCL3を制御する。
図4は、第1のエンジン始動モードを示す。エンジン始動要求があり、かつ変速要求がないときは、第1クラッチCL1の締結容量TCL1を制御してモータMの動力をエンジンEに伝達させるとともに、駆動輪RL,RRに伝達されるトルクが要求駆動力相当となるように第2クラッチCL2の締結容量TCL2を制御する。
図5は、第2のエンジン始動モードを示す。エンジン始動要求があり、かつ変速要求がないときは、第1クラッチCL1の締結容量TCL1を制御してモータMの動力をエンジンEに伝達させるとともに、第2クラッチCL2を完全締結させ、自動変速機AT内の第3クラッチCL3をスリップ制御させて、駆動輪RL,RRに伝達されるトルクが要求駆動力相当となるように上記スリップ制御される第3クラッチCL3の締結容量TCL3を制御する。
図6及び図7は、変速要求があり、それに応じて自動変速機ATで変速を実行する場合のモードを示す。図6は、エンジン始動要求がない場合を示す。エンジン始動要求がなく、かつ変速要求があるとき、第1クラッチCL1を完全締結(HEV走行モード時等)又は完全解放(EV走行モード時)させるとともに、要求された変速段(目標変速段)を実現するように自動変速機AT内の複数の締結要素を締結又は解放させ、架け替え制御を実行する。「HEV走行モード時又はEV走行モード時に変速要求があった場合」のほか、「エンジン始動中でないWSC走行モード時(図2、図3)に変速要求があった場合」に図6のモードとなる。
図7は、エンジン始動要求がある場合を示す。エンジン始動要求があり、かつ変速要求があるときは、第1クラッチCL1の締結容量TCL1を制御してモータMの動力をエンジンEに伝達させる。同時に、第2クラッチCL2の締結容量TCL2を制御して自動変速機ATに入力されるトルクが所定値となるように制御しつつ、要求された変速段を実現するように自動変速機AT内の複数の締結要素を締結又は解放させ、架け替え制御を実行する。上記所定値は、目標駆動力tFoOを実現する値(要求駆動力相当)以上であり、かつ変速の進行が所定速度でスムースになされる値とする。よって、(パワーオン)アップシフト時のトルクダウン要求があった場合は、締結容量TCL2を低下させることで対応することになる。
「変速中(EV走行モードで変速中(図6))にエンジン始動要求があった場合」のほか、「エンジン始動中(図4、図5)に変速要求があった場合」に、図7のモードとなる。
また統合コントローラ12は、第2クラッチCL2又は第3クラッチCL3の耐久性を向上するため締結要素保護制御を実行する。この締結要素保護制御では、第2クラッチCL2及び第3クラッチCL3の熱量を検出し、検出された熱量が所定の閾値を上回ると過熱状態であると判断する。上記熱量は、第2クラッチCL2又は第3クラッチCL3のそれぞれのスリップ量(差回転)及び目標締結容量TCL2*,TCL3*に基づき算出する。
そして、変速要求がない場合であって第2クラッチCL2をスリップ制御しているとき(WSC走行モード時(図2)やエンジン始動中(図4))、第2クラッチCL2が過熱状態であると判断すると、第2クラッチCL2を完全締結させるとともに第3クラッチCL3をスリップ制御し、駆動輪RL,RRに伝達されるトルクが要求駆動力相当となるように第3クラッチCL3の締結容量TCL3を制御する(図3、図5)。
同様に、変速要求がない場合であって第3クラッチCL3をスリップ制御しているとき(WSC走行モード時(図3)やエンジン始動中(図5))、第3クラッチCL3が過熱状態であると判断すると、第3クラッチCL3を完全締結させるとともに第2クラッチCL2をスリップ制御し、駆動輪RL,RRに伝達されるトルクが要求駆動力相当となるように第2クラッチCL2の締結容量TCL2を制御する(図2、図4)。
[実施例1の効果]
(1)本実施例1のハイブリッド車両の制御装置は、動力源としてのエンジンE及びモータMと、エンジンEとモータMとを断接する第1締結要素(第1クラッチCL1)と、モータMと駆動輪RL,RRとの間に介装され、複数の締結要素を締結又は解放することにより変速する自動変速機ATと、モータMと自動変速機ATとを断接する第2締結要素(第2クラッチCL2)と、第1、第2締結要素の締結状態を制御し、変速要求に応じて(AT内の)複数の締結要素の締結状態を制御する締結制御手段(第1クラッチコントローラ5、第2クラッチコントローラ7、ATコントローラ9、統合コントローラ10)と、を備え、締結制御手段は、変速要求があるときは、第2締結要素の締結容量TCL2を制御して自動変速機ATに入力されるトルクが所定値となるように制御することとした(図6、図7)。
すなわち、エンジン始動時には、(エンジンE又は/及びモータMの動力により)モータ出力軸A2に発生するトルクの変動やバラツキが生じる。一方、変速の前後では、変速入力軸A3の回転数を上下させる必要がある。ここで、第2クラッチCL2が介装されていない従来例では、上記トルク変動に対して、変速機入力軸A3のトルクや回転数のコントロールが困難である。よって、変速制御が不正確となって、ショックが発生したり変速が間延びしたりして、変速フィーリングが悪化するおそれがあった。
また、第2クラッチCL2を介装することなく、自動変速機ATへ入力されるトルクの変動を考慮した正確な変速を実現しようとすると、自動変速機AT内の仕様や変速制御則を変更しなければならなくなり、従来の自動変速機をそのまま利用できなくなる。例えば、エンジン始動時に自動変速機内の上流側(モータ側)の締結要素をスリップさせれば、下流側(駆動輪側)に伝達されるトルクを一定にでき、変速制御を安定的に実行できるとも考えられる。しかし、この場合、スリップさせる締結要素の耐久性を確保するため、この締結要素を強化・改造する必要が出てくる。また、スリップ制御中は、その締結要素を締結・解放させることができず、変速(締結・解放の組み合わせ)の幅が狭くなって従来の変速制御をそのまま流用できないおそれがあった。
これに対し、本実施例1では、モータMと自動変速機ATとを断接する第2クラッチCL2を設け、変速時には第2クラッチCL2をスリップ制御するため、自動変速機ATに入力されるトルクをコントロールでき、エンジンE及びモータMのトルクの変動やバラツキを遮断できる。よって、エンジン始動中であっても変速をスムースかつ正確に実行できる、という効果を有する。
また、自動変速機ATの外部に、変速時の架け替え制御対象とはならない、スリップ制御専用の第2クラッチCL2を新たに追加した。よって、自動変速機ATに内蔵された第3クラッチCL3のみをスリップ制御させる場合と異なり、変速(締結・解放の組み合わせ)の幅が広くなり、従来の変速制御を流用できる。また、耐久性を確保するために第3クラッチCL3を強化・改造する必要がなく、このため自動変速機ATを改変する必要がない。よって、コストアップを回避できるとともに、例えばATユニット全体の長さが増大することを抑制して車両搭載性を向上できる、という効果を有する。
(2)第1クラッチCL1を完全締結させ、第2クラッチCL2又は自動変速機AT内の第3クラッチCL3をスリップ制御させて、エンジンEを動力源に含みながら走行又は発進するエンジン使用スリップ走行手段(WSC走行モード)を備え、締結制御手段は、エンジン使用スリップ走行中、変速要求がないときは、駆動輪RL,RRに伝達されるトルクが要求駆動力相当となるように上記スリップ制御される締結要素(第2クラッチCL2又は第3クラッチCL3)の締結容量TCL(TCL2又はTCL3)を制御することとした(図2、図3)。
よって、エンジン使用スリップ走行(WSC走行モード)により、特にバッテリSOCが低いときやエンジン水温が低いときに、クリープ走行を達成できる、という効果を有する。
また、WSC走行モード中、第1締結要素(第1クラッチCL1)を完全締結状態に保つ。このため、エンジンEから伝達されるトルクが大きくなり、モータMが担当する駆動トルクは抑制される。よって、モータMに駆動電流を供給する回路に加わる負荷を抑制でき、駆動回路(スイッチング素子)の耐久性を向上できる。また、自動車に搭載される電源(バッテリ4)の電圧低下を防止できる、という効果を有する。
さらに第2クラッチCL2は、自動変速機ATの外部に、変速とは無関係に設けられているため、スリップ制御に最適な仕様とすることができる。よって、第3クラッチCL3をスリップ制御させる場合(図3)に比べ、第2クラッチCL2をスリップ制御させる場合(図2)には、第3クラッチCL3の耐久性をより向上できる。また、WSC走行モードで変速要求があったときに、スリップ制御対象を第3クラッチCL3から第2クラッチCL2へ変更する必要がなく、タイムラグなくスムースに上記変速時の第2クラッチ締結制御(図6)へ移行することができる、という効果を有する。
(3)締結制御手段は、エンジン始動要求があり、かつ変速要求がないときは、第1締結要素の締結容量TCL1を制御してモータMの動力をエンジンEに伝達させるとともに、第2締結要素又は自動変速機AT内の第3クラッチCL3をスリップ制御させて、駆動輪RL,RRに伝達されるトルクが要求駆動力相当となるように上記スリップ制御される締結要素の締結容量を制御することとした(図4、図5)。
よって、エンジン始動中にも、車両走行に必要な駆動力が減少することはなく、駆動輪RR,RLには締結容量TCL2(又はTCL3)相当のトルクが確実に出力される。したがって、エンジン始動中にも、目標駆動力tFoOを達成しつつ、駆動輪RR,RL側には締結容量TCL2(又はTCL3)以上のトルクが出力されることを防止でき、安定した走行又は滑らかな発進を達成できる、という効果を有する。
また、上記(2)と同様、第3クラッチCL3をスリップ制御する場合(図5)に比べ、第2クラッチをスリップ制御する場合(図4)、第3クラッチCL3の耐久性をより向上できるとともに、エンジン始動中に変速要求があったときに、スムースに上記変速時の第2クラッチ締結制御(図7)へ移行できる、という効果を有する。
(4)エンジン使用スリップ走行中又はエンジン始動中にスリップ制御される締結要素(第2クラッチCL2又は第3クラッチCL3)の熱量を検出し、検出された熱量が所定の閾値を上回ると過熱状態であると判断する過熱判断手段(統合コントローラ12)を備え、締結制御手段は、変速要求がないとき、上記スリップ制御される締結要素(第2クラッチCL2又は第3クラッチCL3)が過熱状態であると判断されると、該締結要素を完全締結させるとともに他方の締結要素(第3クラッチCL3又は第2クラッチCL2)をスリップ制御させ、駆動輪RL,RRに伝達されるトルクが要求駆動力相当となるように該他方の締結要素の締結容量(TCL3又はTCL2)を制御することとした。
例えば登り坂等の低速高負荷走行時には連続的にWSC走行モードとなるため、スリップ制御される締結要素(第2クラッチCL2又は第3クラッチCL3)が発熱し、その耐久性が低下するおそれがある。ここで、締結要素を保護するため、発熱した締結要素を単にスリップ状態から完全解放状態又は完全締結状態に移行させるだけでは、駆動輪RL,RRに伝達されるトルクが運転者の意図に反して変動し、運転者が意図する駆動力を保障できない。
これに対し、本実施例1の制御装置は、スリップにより一方の締結要素が過熱状態になると、これを完全締結するとともに他方の締結要素にスリップ制御対象を切り替える。これにより、どちらか一方の締結要素のみが過負荷となって過熱状態となることを回避でき、締結要素の耐久性を向上して寿命を効果的に延ばすことができるとともに、運転者が意図する駆動力を保障しつつWSC走行モードを可及的に継続できる、という効果を有する。
以上、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1では、自動変速機ATとして有段式のものを用いたが、ベルト式等の無段式のものを用いてもよい。
実施例1では第1クラッチCL1として乾式単板クラッチを用いたが、湿式又は多板のクラッチを用いてもよい。また、実施例1では第2クラッチCL2として湿式の多板クラッチを用いたが、乾式又は単板のクラッチを用いてもよい。
実施例1では、各締結要素(第2、第3クラッチCL2,CL3)のスリップ量及び目標締結容量TCL2*,TCL3*に基づき熱量を算出することとしたが、各締結要素の温度を検出する温度センサを設け、その検出値に基づき各締結要素の発熱状態を判断することとしてもよい。また実施例1では、熱量に基づき締結要素の過熱を判断することとしたが、締結要素の温度に基づき過熱を判断することとしてもよい。
実施例1では、自動変速機AT内でスリップ制御させる締結要素として、少なくとも第1速で締結される第3クラッチCL3を用いた。WSC走行モード時に自動変速機ATに内蔵された締結要素をスリップ制御させる場合、第1速で通常締結される締結要素を用いることが、車両発進時や極低速走行時における高い要求駆動力に応えるために合理的だからである。ここで、ワンウェイクラッチを使用するとともに所定のブレーキを締結することで第1速を実現する自動変速機ATを用い、上記ブレーキを第3クラッチCL3として用い、これをスリップ制御させることとしてもよい。一般にブレーキはクラッチと異なり、油が抜けにくく熱が引けにくいため、発熱対策を講じる必要性がより高い。よって、スリップ制御に最適な仕様とした第2クラッチCL2を自動変速機ATの外部に設け、これをスリップさせてWSC走行を行うことで、自動変速機AT内の第3クラッチCL3(ブレーキ)を必要以上にスリップさせることがなく、耐久性確保という上記作用効果をより効果的に得ることができる。
実施例1の制御装置が適用されたハイブリッド車両を示す全体システム図である。 第1のWSC走行モード(エンジン始動時を除く)を示す。 第2のWSC走行モード(エンジン始動時を除く)を示す。 第1のエンジン始動モードを示す。 第2のエンジン始動モードを示す。 エンジン始動要求がなく、かつ変速要求があるモードを示す。 エンジン始動要求があり、かつ変速要求があるモードを示す。
符号の説明
5 第1クラッチコントローラ(締結制御手段)
7 第2クラッチコントローラ(締結制御手段)
9 ATコントローラ(締結制御手段)
12 統合コントローラ(締結制御手段)
E エンジン
M モータ
AT 自動変速機
RL,RR 後輪(駆動輪)
CL1 第1クラッチ(第1締結要素)
CL2 第2クラッチ(第2締結要素)

Claims (10)

  1. 動力源としてのエンジン及びモータと、
    前記エンジンと前記モータとを断接する第1締結要素と、
    前記モータと駆動輪との間に介装され、複数の締結要素を締結又は解放することにより変速する自動変速機と、
    前記モータと前記自動変速機とを断接する第2締結要素と、
    前記第1、第2締結要素の締結状態を制御し、変速要求に応じて前記複数の締結要素の締結状態を制御する締結制御手段と、
    を備え、
    前記締結制御手段は、変速要求があるときは、前記第2締結要素の締結容量を制御して前記自動変速機に入力されるトルクが所定値となるように制御する
    ことを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
  2. 前記第1締結要素を完全締結させ、前記第2締結要素をスリップ制御させて、前記エンジンを動力源に含みながら走行又は発進する第1のエンジン使用スリップ走行手段を備え、
    前記締結制御手段は、前記第1のエンジン使用スリップ走行中、変速要求がないときは、前記駆動輪に伝達されるトルクが要求駆動力相当となるように前記第2締結要素の締結容量を制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  3. 前記第2締結要素の熱量を検出し、検出された熱量が所定の閾値を上回ると過熱状態であると判断する第1の過熱判断手段を備え、
    前記締結制御手段は、前記第1のエンジン使用スリップ走行中、変速要求がないとき、前記第2締結要素が過熱状態であると判断されると、前記第2締結要素を完全締結させるとともに前記自動変速機内のいずれかの締結要素をスリップ制御させ、前記駆動輪に伝達されるトルクが要求駆動力相当となるように該締結要素の締結容量を制御する
    ことを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  4. 前記第1締結要素を完全締結させ、前記自動変速機内のいずれかの締結要素をスリップ制御させて、前記エンジンを動力源に含みながら走行又は発進する第2のエンジン使用スリップ走行手段を備え、
    前記締結制御手段は、前記第2のエンジン使用スリップ走行中、変速要求がないときは、前記駆動輪に伝達されるトルクが要求駆動力相当となるように前記スリップ制御される締結要素の締結容量を制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  5. 前記スリップ制御される締結要素の熱量を検出し、検出された熱量が所定の閾値を上回ると過熱状態であると判断する第2の過熱判断手段を備え、
    前記締結制御手段は、前記第2のエンジン使用スリップ走行中、変速要求がないとき、前記スリップ制御される締結要素が過熱状態であると判断されると、該締結要素を完全締結させるとともに前記第2締結要素をスリップ制御させ、前記駆動輪に伝達されるトルクが要求駆動力相当となるように前記第2締結要素の締結容量を制御する
    ことを特徴とする請求項4に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  6. 前記締結制御手段は、エンジン始動要求があり、かつ変速要求がないときは、前記第1締結要素の締結容量を制御して前記モータの動力を前記エンジンに伝達させるとともに、前記駆動輪に伝達されるトルクが要求駆動力相当となるように前記第2締結要素の締結容量を制御する
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置。
  7. 前記第2締結要素の熱量を検出し、検出された熱量が所定の閾値を上回ると過熱状態であると判断する第1の過熱判断手段を備え、
    前記締結制御手段は、エンジン始動要求があり、かつ変速要求がないとき、前記第2締結要素が過熱状態であると判断されると、前記第2締結要素を完全締結させるとともに前記自動変速機内のいずれかの締結要素をスリップ制御させ、前記駆動輪に伝達されるトルクが要求駆動力相当となるように該締結要素の締結容量を制御する
    ことを特徴とする請求項6に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  8. 前記締結制御手段は、エンジン始動要求があり、かつ変速要求がないときは、前記第1締結要素の締結容量を制御して前記モータの動力を前記エンジンに伝達させるとともに、前記第2締結要素を完全締結させ、前記自動変速機内のいずれかの締結要素をスリップ制御させて、前記駆動輪に伝達されるトルクが要求駆動力相当となるように前記スリップ制御される締結要素の締結容量を制御する
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置。
  9. 前記スリップ制御される締結要素の熱量を検出し、検出された熱量が所定の閾値を上回ると過熱状態であると判断する第2の過熱判断手段を備え、
    前記締結制御手段は、エンジン始動要求があり、かつ変速要求がないとき、前記スリップ制御される締結要素が過熱状態であると判断されると、該締結要素を完全締結させるとともに前記第2締結要素をスリップ制御させ、前記駆動輪に伝達されるトルクが要求駆動力相当となるように前記第2締結要素の締結容量を制御する
    ことを特徴とする請求項8に記載のハイブリッド車両の制御装置。
  10. 前記締結制御手段は、エンジン始動要求がなく、かつ変速要求があるときは、前記第1締結要素を完全締結又は完全解放させるとともに、要求された変速段を実現するように前記自動変速機内の複数の締結要素を締結又は解放させる
    ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載のハイブリッド車両の制御装置。
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