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JP2009208734A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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JP2009208734A
JP2009208734A JP2008056562A JP2008056562A JP2009208734A JP 2009208734 A JP2009208734 A JP 2009208734A JP 2008056562 A JP2008056562 A JP 2008056562A JP 2008056562 A JP2008056562 A JP 2008056562A JP 2009208734 A JP2009208734 A JP 2009208734A
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Yoshimasa Hashimoto
佳昌 橋本
Kinya Kawakami
欽也 川上
Yoshiaki Hashimura
嘉章 橋村
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Yokohama Rubber Co Ltd
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Yokohama Rubber Co Ltd
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Abstract

【課題】質量の増加を抑制しながら耐久性を向上することを可能にした空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】一対のビード部3,3間にカーカス層4を装架し、該カーカス層4の外周側にベルト層7を配置した空気入りタイヤにおいて、カーカス層4に沿ってタイヤ内面に空気透過防止層11を配置すると共に、ベルト層7のうちタイヤ径方向最内側に位置するベルト層7aのエッジEからタイヤ幅方向外側及び内側にそれぞれ3mmの幅を持つベルト端部領域Aを規定したとき、空気透過防止層11とは異なる空気透過防止層12を少なくともベルト端部領域Aを包含する領域Bにわたってタイヤ径方向最内側のベルト層7aよりもタイヤ内面側に配置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、一対のビード部間にカーカス層を装架し、該カーカス層の外周側にベルト層を配置した空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、質量の増加を抑制しながら耐久性を向上することを可能にした空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤは、一対のビード部間にカーカス層を装架し、該カーカス層の外周側にベルト層を配置したケーシング構造を備えると共に、通常、空気漏れを防止するために、タイヤ内面にハロゲン化ブチルゴム等の低気体透過性ゴムからなる空気透過防止層(インナーライナー層)を備えている。また、近年では、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂にエラストマーをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなる薄膜を空気透過防止層(インナーライナー層)としてタイヤ内面に配置することが提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
しかしながら、上述したインナーライナー層では空気透過を完全に防止することはできないため、タイヤ内への空気の充填後に経時的な空気透過を生じ、ベルト層やカーカス層等の補強層のコートゴムがタイヤ中を透過した空気に含まれる酸素により劣化する傾向がある。特に、ベルト層端部のコートゴムが酸素劣化すると、その部分にセパレーション故障を生じ易くなり、タイヤの耐久性が著しく低下する。これに対して、インナーライナー層を十分に厚くすれば、上述のような酸素劣化を抑制することが可能であるが、その場合、タイヤの質量が増加するという欠点がある。
特開平8−217923号公報 特開平11−199713号公報
本発明の目的は、質量の増加を抑制しながら耐久性を向上することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、一対のビード部間にカーカス層を装架し、該カーカス層の外周側にベルト層を配置した空気入りタイヤにおいて、前記カーカス層に沿ってタイヤ内面に第1の空気透過防止層を配置すると共に、前記ベルト層のうちタイヤ径方向最内側に位置するベルト層のエッジからタイヤ幅方向外側及び内側にそれぞれ3mmの幅を持つベルト端部領域を規定したとき、前記第1の空気透過防止層とは異なる第2の空気透過防止層を少なくとも前記ベルト端部領域を包含する領域にわたって前記タイヤ径方向最内側のベルト層よりもタイヤ内面側に配置したことを特徴とするものである。
本発明では、カーカス層に沿ってタイヤ内面に第1の空気透過防止層を配置する一方で、これとは異なる第2の空気透過防止層を少なくともベルト端部領域を包含する領域にわたってタイヤ径方向最内側のベルト層よりもタイヤ内面側に配置することにより、ベルト層端部のコートゴムに空気透過による酸素劣化が生じるのを防止し、延いては、空気入りタイヤの耐久性を向上することができる。また、第2の空気透過防止層は酸素劣化を防止すべき部位だけに選択的に配置すれば良いので、空気入りタイヤの質量増加を抑制することができる。
本発明において、第2の空気透過防止層は熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーとをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から構成することが好ましい。これら熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー組成物を用いた場合、ブチルゴムを用いた場合に比べて第2の空気透過防止層を薄くすることができるので、タイヤの質量増加を最小限に止めることができ、しかもベルト層の形状を従来のまま平坦に保つことができる。
第2の空気透過防止層を熱可塑性エラストマー組成物から構成する場合、該熱可塑性エラストマー組成物におけるエラストマーの体積比率を55%〜95%とすることが好ましい。これにより、タイヤ部材として良好な弾性率を確保しつつ優れた空気透過防止性能を発揮することができる。
第2の空気透過防止層はタイヤ径方向最内側のベルト層とカーカス層との間に配置することが好ましい。これにより、ベルト層の酸素劣化を効果的に防止することができる。また、第2の空気透過防止層はストリップ片をタイヤ周方向に連続的に巻き付けた構造とし、ベルトエッジ側ではストリップ片の配置を密にし、ベルト中央側ではストリップ片の配置を疎にすることが好ましい。つまり、第2の空気透過防止層はベルト層の全幅にわたって配置することが好ましいが、そのような第2の空気透過防止層を付加した場合、加硫時にタイヤを膨脹させることが困難になる。そこで、ストリップワインディング方式にて、ベルトエッジ側ではストリップ片の配置を密にし、ベルト中央側ではストリップ片の配置を疎にすることにより、第2の空気透過防止層による締め付け力を緩和しながらベルト層の酸素劣化を効果的に防止することができる。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示し、図2はその要部を拡大して示すものである。図1において、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。左右一対のビード部3,3間には複数本の補強コードを含むカーカス層4が装架され、そのカーカス層4がビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側に巻き上げられている。カーカス層4の補強コードとしては、一般にナイロンコードやポリエステルコード等の有機繊維コードが使用されるが、トラック・バス用タイヤについてはスチールコードを使用しても良い。また、ビードコア5の外周上にはゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7は補強コードがタイヤ周方向に対して傾斜し、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7の補強コードとしては、一般にスチールコードが使用されるが、アラミドコード等の有機繊維コードを使用しても良い。これらベルト層7のうち、タイヤ径方向最内側に位置するベルト層7aはタイヤ径方向最外側に位置するベルト層7bよりもベルト幅が広くなっている。
上記空気入りタイヤにおいて、タイヤ内面にはカーカス層4に沿って空気透過防止層11(第1の空気透過防止層)が配置されている。空気透過防止層11の構成材料としては、ブチルゴムやハロゲン化ブチルゴム等の低気体透過性ゴムを主体とするゴム組成物のほか、熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー組成物を使用することができる。
ここで、ベルト層7のうちタイヤ径方向最内側に位置するベルト層7aのエッジEからタイヤ幅方向外側及び内側にそれぞれ3mmの幅を持つベルト端部領域Aを規定したとき、タイヤ径方向最内側のベルト層7aよりもタイヤ内面側には、空気透過防止層11とは異なる空気透過防止層12(第2の空気透過防止層)が少なくともベルト端部領域Aを包含する領域Bにわたって選択的に配置されている。空気透過防止層12はベルト層7aの全幅にわたって配置されていても良い。但し、空気透過防止層12をベルト層7から外れた領域に向かって延長してもベルト層7に対する保護効果が得られず単に質量増加を招くだけであるので、ベルト層7aのエッジEからの空気透過防止層12のタイヤ幅方向外側への突き出し幅Cは15mm以下にすると良い。
上述のようにカーカス層4に沿ってタイヤ内面に空気透過防止層11を配置する一方で、これとは異なる空気透過防止層12を少なくともベルト端部領域Aを包含する領域Bにわたってタイヤ径方向最内側のベルト層7aよりもタイヤ内面側に配置することにより、ベルト層7aの端部のコートゴムに空気透過による酸素劣化が生じるのを防止し、延いては、空気入りタイヤの耐久性を向上することができる。しかも、空気透過防止層12は酸素劣化を防止すべき部位だけに選択的に配置すれば良いので、空気入りタイヤの質量増加を抑制することができる。
空気透過防止層12の構成材料としては、ハロゲン化ブチルゴム等の低気体透過性ゴムを主体とするゴム組成物を使用することが可能であるが、特に熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー組成物を使用することが好ましい。これら熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー組成物を用いた場合、ブチルゴムを用いた場合に比べて空気透過防止層12を薄くすることができる。そのため、空気透過防止層12をベルト層7の端部付近に追加しても、タイヤの質量増加を最小限に止めることができ、しかもベルト層7の形状を従来のまま平坦に保つことができる。
上述した空気透過防止層12を熱可塑性エラストマー組成物から構成する場合、該熱可塑性エラストマー組成物におけるエラストマーの体積比率は55%〜95%にすると良い。これにより、タイヤ部材として良好な弾性率を確保しつつ優れた空気透過防止性能を発揮することができる。ここで、熱可塑性エラストマー組成物におけるエラストマーの体積比率が55%未満であると薄膜の弾性率が高過ぎてタイヤ部材としての使用が困難になり、逆に95%を超えると空気透過防止性能が低下する。
上述した実施形態では、空気透過防止層12をカーカス層4の外周側に該カーカス層4と密着するように配置しているが、空気透過防止層12をタイヤ径方向最内側のベルト層7aの内周側に該ベルト層7aと密着するように配置しても良い。このようにタイヤ径方向最内側のベルト層7aとカーカス層4との間に空気透過防止層12を配置した場合、ベルト層7の酸素劣化を効果的に防止することができる。但し、空気透過防止層12はカーカス層4の内周側に該カーカス層と密着するように配置しても良い。
また、空気透過防止層12は、その空気透過防止層12と実質的に等しい幅を有するシート材から構成しても良いが、空気透過防止層12よりも狭い幅を有するストリップ片をタイヤ周方向に連続的に巻き付けた構造としても良い。この場合、ベルトエッジ側ではストリップ片の配置を密にし、ベルト中央側ではストリップ片の配置を疎にすることが好ましい。
図3はストリップ材から構成した空気透過防止層を概略的に示すものである。図3において、空気透過防止層12は、その空気透過防止層12よりも狭い幅を有するストリップ片Sをタイヤ周方向に連続的に巻き付けた構造を有し、ベルトエッジ側ではストリップ片Sの配置が相対的に密であり、ベルト中央側ではストリップ片Sの配置が相対的に疎である。このようにベルトエッジ側ではストリップ片Sの配置を密にし、ベルト中央側ではストリップ片Sの配置を疎にすることにより、空気透過防止層12による締め付け力を緩和しながらベルト層7の酸素劣化を効果的に防止することができる。
以下、本発明で空気透過防止層に使用される熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー組成物について説明する。空気透過防止層は、熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーとをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物から構成することができる。
本発明で使用される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリアミド系樹脂〔例えば、ナイロン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナイロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610)、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/66)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合体、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重合体〕及びそれらのN−アルコキシアルキル化物、例えば、ナイロン6のメトキシメチル化物、ナイロン6/610共重合体のメトキシメチル化物、ナイロン612のメトキシメチル化物、ポリエステル系樹脂〔例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、ポリオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチレンテレフタレート共重合体などの芳香族ポリエステル〕、ポリニトリル系樹脂〔例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、(メタ)アクリロニトリル/スチレン共重合体、(メタ)アクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体〕、ポリメタクリレート系樹脂〔例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル〕、ポリビニル系樹脂〔例えば、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共重合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PDVC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体(ETFE)〕、セルロース系樹脂〔例えば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース〕、フッ素系樹脂〔例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチレン/エチレン共重合体〕、イミド系樹脂〔例えば、芳香族ポリイミド(PI)〕等を好ましく用いることができる。
本発明で使用されるエラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴム及びその水添物〔例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR、高シスBR及び低シスBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化NBR、水素化SBR〕、オレフィン系ゴム〔例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM)、マレイン酸変性エチレン−αオレフィン共重合ゴム、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M−EPM)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族ビニル又はジエン系モノマー共重合体、アクリルゴム(ACM)、アイオノマー〕、含ハロゲンゴム〔例えば、Br−IIR、CI−IIR、イソプロピレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物、イソブチレンパラメチルスチレン共重合体の臭素化物(Br−IPMS)、クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、マレイン酸変性塩素化ポリエチレンゴム(M−CM)〕、シリコンゴム〔例えば、メチルビニルシリコンゴム、ジメチルシリコンゴム、メチルフェニルビニルシリコンゴム〕、含イオウゴム〔例えば、ポリスルフィドゴム〕、フッ素ゴム〔例えば、ビニリデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニルエーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン−プロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム、含フッ素ホスファゼン系ゴム〕、熱可塑性エラストマー〔例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ボリアミド系エラストマー〕等を好ましく使用することができる。
前記した特定の熱可塑性樹脂とエラストマーとの相溶性が異なる場合は、第3成分として適当な相溶化剤を用いて両者を相溶化させることができる。ブレンド系に相溶化剤を混合することにより、熱可塑性樹脂とエラストマーとの界面張力が低下し、その結果、分散層を形成しているゴム粒子径が微細になることから両成分の特性はより有効に発現されることになる。そのような相溶化剤としては、一般的に熱可塑性樹脂及びエラストマーの両方又は片方の構造を有する共重合体、或いは熱可塑性樹脂又はエラストマーと反応可能なエポキシ基、カルボニル基、ハロゲン基、アミノ基、オキサゾリン基、水酸基等を有した共重合体の構造をとるものとすることができる。これらは混合される熱可塑性樹脂とエラストマーの種類によって選定すればよいが、通常使用されるものには、スチレン/エチレン・ブチレンブロック共重合体(SEBS)及びそのマレイン酸変性物、EPDM、EPM、EPDM/スチレン又はEPDM/アクリロニトリルグラフト共重合体及びそのマレイン酸変性物、スチレン/マレイン酸共重合体、反応性フェノキシン等を挙げることができる。かかる相溶化剤の配合量には特に限定はないが、好ましくは、ポリマー成分(熱可塑性樹脂とエラストマーとの合計)100重量部に対して、0.5〜10重量部がよい。
熱可塑性エラストマー組成物において、特定の熱可塑性樹脂とエラストマーとの組成比は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマーが不連続相として分散した構造をとるように適宜決めればよいが、好ましい範囲は重量比90/10〜30/70である。
本発明において、空気透過防止層を構成する熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマー組成物には、タイヤ部材としての必要特性を損なわない範囲で前記した相溶化剤などの他のポリマーを混合することができる。他のポリマーを混合する目的は、熱可塑性樹脂とエラストマーとの相溶性を改良するため、材料の成型加工性をよくするため、耐熱性向上のため、コストダウンのため等があり、これに用いられる材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS、SBS、ポリカーボネート(PC)等を例示することができる。また、一般的にポリマー配合物に配合される充填剤(炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ等)、カーボンブラック、ホワイトカーボン等の補強剤、軟化剤、可塑剤、加工助剤、顔料、染料、老化防止剤等をタイヤ部材としての必要特性を損なわない限り任意に配合することもできる。
また、エラストマーは熱可塑性樹脂との混合の際、動的に加硫することもできる。動的に加硫する場合の加硫剤、加硫助剤、加硫条件(温度、時間)等は、添加するエラストマーの組成に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。
加硫剤としては、一般的なゴム加硫剤(架橋剤)を用いることができる。具体的には、イオウ系加硫剤としては粉末イオウ、沈降性イオウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、不溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイド、アルキルフェノールジサルファイド等を例示でき、例えば、0.5〜4phr〔本明細書において、「phr」は、エラストマー成分100重量部あたりの重量部をいう。以下、同じ。〕程度用いることができる。
また、有機過酸化物系の加硫剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジ(パーオキシルベンゾエート)等が例示され、例えば、1〜20phr程度用いることができる。
更に、フェノール樹脂系の加硫剤としては、アルキルフェノール樹脂の臭素化物や、塩化スズ、クロロプレン等のハロゲンドナーとアルキルフェノール樹脂とを含有する混合架橋系等が例示でき、例えば、1〜20phr程度用いることができる。
その他として、亜鉛華(5phr程度)、酸化マグネシウム(4phr程度)、リサージ(10〜20phr程度)、p−キノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジオキシム、テトラクロロ−p−ベンゾキノン、ポリ−p−ジニトロソベンゼン(2〜10phr程度)、メチレンジアニリン(0.2〜10phr程度)が例示できる。
また、必要に応じて、加硫促進剤を添加してもよい。加硫促進剤としては、アルデヒド・アンモニア系、グアニジン系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジチオ酸塩系、チオウレア系等の一般的な加硫促進剤を、例えば、0.5〜2phr程度用いることができる。
具体的には、アルデヒド・アンモニア系加硫促進剤としては、ヘキサメチレンテトラミン等、グアジニン系加硫促進剤としては、ジフェニルグアジニン等、チアゾール系加硫促進剤としては、ジベンゾチアジルジサルファイド(DM)、2−メルカプトベンゾチアゾール及びそのZn塩、シクロヘキシルアミン塩等、スルフェンアミド系加硫促進剤としては、シクロヘキシルベンゾチアジルスルフェンアマイド(CBS)、N−オキシジエチレンベンゾチアジル−2−スルフェンアマイド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアマイド、2−(チモルポリニルジチオ)ベンゾチアゾール等、チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジサルファイド(TMTD)、テトラエチルチウラムジサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラムテトラサルファイド等、ジチオ酸塩系加硫促進剤としては、Zn−ジメチルジチオカーバメート、Zn−ジエチルジチオカーバメート、Zn−ジ−n−ブチルジチオカーバメート、Zn−エチルフェニルジチオカーバメート、Te−ジエチルジチオカーバメート、Cu−ジメチルジチオカーバメート、Fe−ジメチルジチオカーバメート、ピペコリンピペコリルジチオカーバメート等、チオウレア系加硫促進剤としては、エチレンチオウレア、ジエチルチオウレア等を挙げることができる。
また、加硫促進助剤としては、一般的なゴム用助剤を併せて用いることができ、例えば、亜鉛華(5phr程度)、ステアリン酸やオレイン酸及びこれらのZn塩(2〜4phr程度)等が使用できる。
熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は、予め熱可塑性樹脂とエラストマー(ゴムの場合は未加硫物)とを2軸混練押出機等で溶融混練し、連続相(マトリックス)を形成する熱可塑性樹脂中に分散相(ドメイン)としてエラストマーを分散させることによる。エラストマーを加硫する場合には、混練下で加硫剤を添加し、エラストマーを動的加硫させてもよい。また、熱可塑性樹脂またはエラストマーへの各種配合剤(加硫剤を除く)は、上記混練中に添加してもよいが、混練の前に予め混合しておくことが好ましい。熱可塑性樹脂とエラストマーの混練に使用する混練機としては、特に限定はなく、スクリュー押出機、ニーダ、バンバリミキサー、2軸混練押出機等が使用できる。中でも熱可塑性樹脂とエラストマーの混練およびエラストマーの動的加硫には、2軸混練押出機を使用するのが好ましい。更に、2種類以上の混練機を使用し、順次混練してもよい。溶融混練の条件として、温度は熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であればよい。また、混練時の剪断速度は1000〜7500sec-1であるのが好ましい。混練全体の時間は30秒から10分、また加硫剤を添加した場合には、添加後の加硫時間は15秒から5分であるのが好ましい。上記方法で製作されたポリマー組成物は、射出成形、押出し成形等、通常の熱可塑性樹脂の成形方法によって所望の形状にすればよい。
このようにして得られる熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性樹脂のマトリクス中にエラストマーが不連続相として分散した構造をとる。かかる構造をとることにより、タイヤ部材として十分な柔軟性と連続相としての樹脂層の効果により十分な剛性を併せ付与することができると共に、エラストマーの多少によらず、成形に際し、熱可塑性樹脂と同等の成形加工性を得ることができる。
熱可塑性樹脂および熱可塑性エラストマー組成物のヤング率は、特に限定されるものではないが、好ましくは1〜500MPa、より好ましくは50〜500MPaにするとよい。
上記熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー組成物はシート又はフィルムに成形して単体で用いることが可能であるが、隣接するゴムとの接着性を高めるために接着層を積層しても良い。この接着層を構成する接着用ポリマーの具体例としては、分子量100万以上、好ましくは300万以上の超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、エチレンエチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレンメチルアクリレート樹脂(EMA)、エチレンアクリル酸共重合体(EAA)等のアクリレート共重合体類及びそれらの無水マレイン酸付加物、ポリプロピレン(PP)及びそのマレイン酸変性物、エチレンプロピレン共重合体及びそのマレイン酸変性物、ポリブタジエン系樹脂及びその無水マレイン酸変性物、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SEBS)、フッ素系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性樹脂などを挙げることができる。これらは常法に従って例えば樹脂用押出機によって押し出してシート状又はフィルム状に成形することができる。接着層の厚さは特に限定されないが、タイヤ軽量化のためには厚さが少ない方がよく、5μm〜150μmが好ましい。
タイヤサイズ195/65R15であって、一対のビード部間にカーカス層を装架し、該カーカス層の外周側に2層のベルト層を配置した空気入りタイヤにおいて、カーカス層に沿ってタイヤ内面に位置する第1の空気透過防止層、及び、ベルト端部領域に位置する第2の空気透過防止層の構成を種々異ならせた従来例、実施例1〜5及び比較例1,2のタイヤを製作した。
従来例のタイヤは、ブチルゴムからなる厚さ0.5mmの第1の空気透過防止層をカーカス層に沿ってタイヤ内面に配置する一方で、第2の空気透過防止層を設けていないものである。
実施例1のタイヤは、ブチルゴムからなる厚さ0.5mmの第1の空気透過防止層をカーカス層に沿ってタイヤ内面に配置する一方で、ブチルゴムからなる厚さ0.5mmの第2の空気透過防止層をベルト層とカーカス層との間であってタイヤ径方向最内側のベルト層のエッジからタイヤ幅方向外側及び内側にそれぞれ3mmの幅(±3mm)を持つ領域に配置したものである。
実施例2のタイヤは、ブチルゴムからなる厚さ0.5mmの第1の空気透過防止層をカーカス層に沿ってタイヤ内面に配置する一方で、熱可塑性樹脂(ナイロン6,66)とエラストマー(臭素化ブチルゴム)とをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなる厚さ0.05mmの第2の空気透過防止層をベルト層とカーカス層との間であってタイヤ径方向最内側のベルト層のエッジからタイヤ幅方向外側及び内側にそれぞれ3mmの幅(±3mm)を持つ領域に配置したものである。
実施例3のタイヤは、ブチルゴムからなる厚さ0.5mmの第1の空気透過防止層をカーカス層に沿ってタイヤ内面に配置する一方で、熱可塑性樹脂(ビニルアルコール/エチレン共重合体)からなる厚さ0.005mmの第2の空気透過防止層をベルト層とカーカス層との間であってタイヤ径方向最内側のベルト層のエッジからタイヤ幅方向外側及び内側にそれぞれ3mmの幅(±3mm)を持つ領域に配置したものである。
実施例4のタイヤは、熱可塑性樹脂(ナイロン6,66)とエラストマー(臭素化ブチルゴム)とをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなる厚さ0.05mmの第1の空気透過防止層をカーカス層に沿ってタイヤ内面に配置する一方で、同熱可塑性エラストマー組成物からなる厚さ0.05mmの第2の空気透過防止層をベルト層とカーカス層との間であってタイヤ径方向最内側のベルト層のエッジからタイヤ幅方向外側及び内側にそれぞれ3mmの幅(±3mm)を持つ領域に配置したものである。
実施例5のタイヤは、熱可塑性樹脂(ビニルアルコール/エチレン共重合体)からなる厚さ0.005mmの第1の空気透過防止層をカーカス層に沿ってタイヤ内面に配置する一方で、同熱可塑性樹脂からなる厚さ0.005mmの第2の空気透過防止層をベルト層とカーカス層との間であってタイヤ径方向最内側のベルト層のエッジからタイヤ幅方向外側及び内側にそれぞれ3mmの幅(±3mm)を持つ領域に配置したものである。
比較例1のタイヤは、ブチルゴムからなる厚さ0.8mmの第1の空気透過防止層をカーカス層に沿ってタイヤ内面に配置する一方で、第2の空気透過防止層を設けていないものである。
比較例2のタイヤは、ブチルゴムからなる厚さ0.5mmの第1の空気透過防止層をカーカス層に沿ってタイヤ内面に配置する一方で、ブチルゴムからなる厚さ0.5mmの第2の空気透過防止層をベルト層とカーカス層との間であってタイヤ径方向最内側のベルト層のエッジからタイヤ幅方向外側及び内側にそれぞれ2mmの幅(±2mm)を持つ領域に配置したものである。
上述した従来例、実施例1〜5及び比較例1,2のタイヤについて、質量を計測し、下記の評価方法により耐久性を評価し、その結果を表1に示した。
耐久性:
各試験タイヤをリムサイズ15×6Jのホイールに組付け、タイヤ内に酸素を350kPaで封入し、80℃にて5日間放置した後、内圧を200kPaとして高速耐久試験を実施し、ベルト層にセパレーション故障が生じるまでの走行距離を計測した。評価結果は、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど耐久性が優れていることを意味する。
Figure 2009208734
この表1から明らかなように、実施例1〜5のタイヤは、従来例に比べて耐久性が優れており、質量の増加も僅かであった。一方、比較例1のタイヤは、従来例に比べて耐久性が優れているが、質量の増加が多いものであった。比較例2のタイヤは、耐久性の改善効果が見られるものの十分ではなかった。
本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線半断面図である。 図1の空気入りタイヤの要部を示す断面図である。 ストリップ材から構成した空気透過防止層を概略的に示す断面図である。
符号の説明
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
11 第1の空気透過防止層
12 第2の空気透過防止層

Claims (5)

  1. 一対のビード部間にカーカス層を装架し、該カーカス層の外周側にベルト層を配置した空気入りタイヤにおいて、前記カーカス層に沿ってタイヤ内面に第1の空気透過防止層を配置すると共に、前記ベルト層のうちタイヤ径方向最内側に位置するベルト層のエッジからタイヤ幅方向外側及び内側にそれぞれ3mmの幅を持つベルト端部領域を規定したとき、前記第1の空気透過防止層とは異なる第2の空気透過防止層を少なくとも前記ベルト端部領域を包含する領域にわたって前記タイヤ径方向最内側のベルト層よりもタイヤ内面側に配置したことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記第2の空気透過防止層が熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーとをブレンドした熱可塑性エラストマー組成物からなることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記第2の空気透過防止層が熱可塑性エラストマー組成物からなり、該熱可塑性エラストマー組成物におけるエラストマーの体積比率が55%〜95%であることを特徴とする請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記第2の空気透過防止層を前記タイヤ径方向最内側のベルト層と前記カーカス層との間に配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記第2の空気透過防止層をストリップ片をタイヤ周方向に連続的に巻き付けた構造とし、ベルトエッジ側では前記ストリップ片の配置を密にし、ベルト中央側では前記ストリップ片の配置を疎にしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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