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JP2009201215A - 回転電機 - Google Patents

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JP2009201215A
JP2009201215A JP2008038776A JP2008038776A JP2009201215A JP 2009201215 A JP2009201215 A JP 2009201215A JP 2008038776 A JP2008038776 A JP 2008038776A JP 2008038776 A JP2008038776 A JP 2008038776A JP 2009201215 A JP2009201215 A JP 2009201215A
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JP2008038776A
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Takuma Wada
拓真 和田
Yoichi Tamiya
洋一 田宮
Shigeo Osugi
重夫 大杉
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Mitsubishi Electric Corp
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

【課題】この発明は、永久磁石を継鉄部に保持させるようにし、永久磁石の配設に起因する高速回転時における爪状磁極部の揺動の増大をなくし、エアギャップの増大による出力の低下を抑え、かつ永久磁石を簡易な保持構造で安定して保持できる回転電機を得る。
【解決手段】第1嵌合溝31が、第1継鉄部19の第2爪状磁極部24の先端側内周面に対向する部位に、径方向外方および軸方向の界磁コイル側に開口し、かつ楔状の溝形状に凹設されている。第1永久磁石30が、下端部側を第1嵌合溝31に嵌合されて第1継鉄部19に保持され、上面を第2爪状磁極部24の先端側内周面に対向するように配設されている。第1磁石保持具32が、第1継鉄部19に固着されて第1嵌合溝31の軸方向の界磁コイル側開口を塞口し、第1永久磁石30の軸方向の移動を規制している。さらに、第1永久磁石30は、界磁コイルの作る磁界と逆向きに着磁配向されている。
【選択図】図2

Description

この発明は、車両用交流発電機などの回転電機に関し、特にランデル型の回転子における永久磁石の保持構造に関するものである。
ランデル型の回転子を用いる車両用交流発電機は、数十年にわたって自動車に使用されてきた。そして、近年の環境問題から車載される電装品の負荷が急増しており、ランデル型の回転子の発電量をより一層増加することが求められている。
このような状況を鑑み、従来、永久磁石を爪状磁極部間に配設し、爪状磁極部間の漏れ磁束を低減して、出力を改善するランデル型の回転子が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平05−207716号公報
従来のランデル型の回転子では、非磁性部材を用いて永久磁石を爪状磁極部間に保持しているので、永久磁石および非磁性部材の質量が爪状磁極部に付加され、高速回転時に過大な遠心力が爪状磁極部に作用し、爪状磁極部の揺動が大きくなる。これにより、爪状磁極部と固定子鉄心との間の干渉を回避するために、回転子鉄心と固定子鉄心との間のエアギャップを大きくする必要があり、界磁コイルによる磁束を有効に活用できなくなり、出力の低下をもたらすという課題があった。また、高速回転時における爪状磁極部の揺動が永久磁石の保持構造に影響して、永久磁石を安定して保持できなくなるという課題もあった。
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであって、永久磁石を継鉄部に保持させるようにし、永久磁石の配設に起因する高速回転時における爪状磁極部の揺動の増大をなくし、回転子鉄心と固定子鉄心との間のエアギャップの増大による出力の低下を抑えることができるとともに、永久磁石を簡易な保持構造で安定して保持できる回転電機を得ることを目的とする。
この発明による回転電機は、ボス部、該ボス部の軸方向両端縁部から径方向外方に延設された一対の継鉄部、および該一対の継鉄部のそれぞれから交互に軸方向に延設され、噛み合って周方向に配列された複数の爪状磁極部を有し、上記ボス部の軸心位置に挿通されたシャフトに固着されたポールコアと、上記ボス部、上記一対の継鉄部、および上記複数の爪状磁極部に囲まれた空間内に収納された界磁コイルと、を有する回転子と、上記回転子の外周を所定のエアギャップを介して囲繞して配設された固定子と、を備えている。回転電機は、上記継鉄部の上記爪状磁極部の先端側内周面に対向する部位に、径方向外方および軸方向の界磁コイル側に開口し、かつ楔状の溝形状に凹設された嵌合溝と、下端部側を上記嵌合溝に嵌合されて上記継鉄部に保持され、上面を上記爪状磁極部の先端側内周面に対向するように配設された永久磁石と、上記継鉄部に固着されて上記嵌合溝の軸方向の界磁コイル側開口を塞口し、該嵌合溝に嵌合された上記永久磁石の軸方向の移動を規制する磁石保持具と、を有し、上記永久磁石が、上記界磁コイルの作る磁界と逆向きに着磁配向されている。
この発明によれば、永久磁石が嵌合溝に嵌合されて継鉄部に保持されているので、永久磁石の質量が爪状磁極部に付加されず、高速回転時に爪状磁極部に作用する遠心力の増大がない。そこで、永久磁石の配設に伴う爪状磁極部の揺動の増大が抑制されるので、固定子と回転子との間のエアギャップを大きくする必要がなく、界磁コイルによる磁束を効率的に利用でき、出力の向上が図られる。また、高速回転時の永久磁石の揺動が永久磁石の保持構造に影響せず、永久磁石の保持構造を簡易な構造で実現できる。
また、永久磁石が界磁コイルの作る磁界と逆向きに着磁配向されているので、ポールコアを構成する磁性体の磁束密度を大幅に低減することができ、磁気飽和を解消する。これにより、固定子に鎖交する磁束が増加し、発電量を増加することができる。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機を模式的に示す断面図、図2はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機における永久磁石の保持構造の要部を示す破断斜視図である。
図1および図2において、車両用交流発電機1は、それぞれ略椀形状のアルミ製のフロントブラケット2とリヤブラケット3とからなるケース4と、シャフト16をケース4に軸受5を介して支持されて、ケース4内に回転自在に配設された回転子13と、ケース4のフロント側に延出するシャフト16の端部に固着されたプーリ6と、回転子13の軸方向(以下、軸方向という)の両端面に固定されたファン7と、回転子13に対して一定のエアギャップ29を有して、回転子13の外周を囲繞してケース4に固定された固定子10と、シャフト16のリヤ側に固定され、回転子13に電流を供給する一対のスリップリング8と、各スリップリング8に摺動するようにケース4内に配設された一対のブラシ9と、を備えている。なお、図示していないが、固定子10で生じた交流を直流に整流する整流器、固定子10で生じた交流電圧の大きさを調整する電圧調整器などがケース4内に配設されている。
固定子10は、円筒状の固定子鉄心11と、固定子鉄心11に巻装され、回転子13の回転に伴い、後述する界磁コイル14からの磁束の変化で交流が生じる固定子コイル12と、を備えている。
回転子13は、励磁電流が流されて磁束を発生する界磁コイル14と、界磁コイル14を覆うように設けられ、その磁束によって磁極が形成されるポールコア15と、ポールコア15の軸心位置に貫装されたシャフト16と、を備えている。
ポールコア15は、それぞれ例えばS10Cなどの低炭素鋼で冷間鍛造製法により作製された第1および第2ポールコア体17,21に分割構成されている。
第1ポールコア体17は、外周面を円筒形状とし、シャフト挿通穴18aが軸心位置を貫通して形成された第1ボス部18と、第1ボス部18の一端縁部から径方向外側に延設された厚肉リング状の第1継鉄部19と、第1継鉄部19の外周部から軸方向他端側に延設された第1爪状磁極部20とを有している。第1爪状磁極部20は、その最外径面形状を略台形形状とし、周方向幅が先端側に向かって徐々に狭くなり、かつ、径方向厚みが先端側に向かって徐々に薄くなる先細り形状に形成され、第1継鉄部19の外周部に周方向に等角ピッチで例えば8つ配列されている。
第2ポールコア体21は、外周面を円筒形状とし、シャフト挿通穴22aが軸心位置を貫通して形成された第2ボス部22と、第2ボス部22の他端縁部から径方向外側に延設された厚肉リング状の第2継鉄部23と、第2継鉄部23の外周部から軸方向一端側に延設された第2爪状磁極部24とを有している。第2爪状磁極部24は、その最外径面形状を略台形形状とし、周方向幅が先端側に向かって徐々に狭くなり、かつ、径方向厚みが先端側に向かって徐々に薄くなる先細り形状に形成され、第2継鉄部23の外周部に周方向に等角ピッチで例えば8つ配列されている。
このように構成された第1および第2ポールコア体17,21は、第1および第2爪状磁極部20,24を交互に噛み合わせ、かつ、第1ボス部18の他端面を第2ボス部22の一端面に突き合わせ、シャフト挿通穴18a,22aに貫装されたシャフト16に固着されている。そして、ボビン(図示せず)に巻装された界磁コイル14が、第1および第2ボス部18,22、第1および第2継鉄部19,23および第1および第2爪状磁極部20,24に囲まれた空間に装着されている。ここで、第1および第2ボス部18,22および第1および第2継鉄部19,23が、それぞれポールコア15のボス部および一対の継鉄部に相当する。また、軸方向において、第1および第2爪状磁極部20,24の先端部がそれぞれ第2および第1継鉄部23,19と重なっている。
第1永久磁石30は、矩形の平坦面からなる下面と、該下面と直交し、互いに平行な平坦面からなる幅方向の両側面と、該下面と鋭角に交差し、かつ両側面と直交する平坦面からなる厚み方向の一側の端面と、該下面および両側面と直交する平坦面からなる厚み方向の他側の端面と、両側面と直交し、厚み方向の一側の端面と鋭角に交差し、かつ厚み方向の他側の端面と鈍角に交差する平坦面からなる上面と、からなる柱状体に作製されている。
第1嵌合溝31は、第2爪状磁極部24の先端側内周面と対向する第1継鉄部19の部位に、径方向外方および軸方向他端側に開口し、第1永久磁石30の下端部側を嵌着する溝形状に凹設されている。つまり、第1嵌合溝31は、径方向と直交する断面形状が矩形であり、軸方向一端側の内壁面が径方向と直交する断面矩形の軸方向長さを径方向外方に向かって漸次短くする傾斜面に形成された楔状の溝形状に形成されている。第1磁石保持具32は、例えばSS材、SUS材などの鉄鋼材を用いて所定厚みを有する矩形平板状に作製されている。
そして、第1永久磁石30は、厚み方向を軸方向に一致させて、その下端部側を軸方向他端側から第1嵌合溝31内に挿入されている。さらに、第1磁石保持具32が第1継鉄部19の軸方向他端面に溶着、接着などにより固着され、第1嵌合溝31の軸方向他端側の開口を塞口している。これにより、第1永久磁石30は、下面が第1嵌合溝31の底面に、両側面が第1嵌合溝31の周方向の両内壁面に、厚み方向の一側の端面が第1嵌合溝31の軸方向一端側の内壁面に、厚み方向の他側の端面が第1磁石保持具32の表面に、それぞれ密接して、第1嵌合溝31に嵌着保持されている。そこで、第1永久磁石30は、第1嵌合溝31の周方向の両内壁面により周方向の移動が規制され、第1嵌合溝31の軸方向の一端側の内壁面と第1磁石保持具32とにより軸方向および径方向の移動が規制されている。そして、第1永久磁石30の上面が第2爪状磁極部24の先端側内周面と所定の隙間を有して略平行となって相対している。
第2永久磁石35は、矩形の平坦面からなる下面と、該下面と直交し、互いに平行な平坦面からなる幅方向の両側面と、該下面と鋭角に交差し、かつ両側面と直交する平坦面からなる厚み方向の他側の端面と、該下面および両側面と直交する平坦面からなる厚み方向の一側の端面と、両側面と直交し、厚み方向の他側の端面と鋭角に交差し、かつ厚み方向の一側の端面と鈍角に交差する平坦面からなる上面と、からなる柱状体に作製されている。
第2嵌合溝36は、第1爪状磁極部20の先端側内周面と対向する第2継鉄部23の部位に、径方向外方および軸方向一端側に開口し、第2永久磁石35の下端部側を嵌着する溝形状に凹設されている。つまり、第2嵌合溝36は、径方向と直交する断面形状が矩形であり、軸方向他端側の内壁面が径方向と直交する断面矩形の軸方向長さを径方向外方に向かって漸次短くする傾斜面に形成された楔状の溝形状に形成されている。第2磁石保持具37は、例えばSS材、SUS材などの鉄鋼材を用いて所定厚みを有する矩形平板状に作製されている。
そして、第2永久磁石35は、厚み方向を軸方向に一致させて、その下端部側を軸方向一端側から第2嵌合溝36内に挿入されている。さらに、第2磁石保持具37が第2継鉄部23の軸方向一端面に溶着、接着などにより固着され、第2嵌合溝36の軸方向一端側の開口を塞口している。これにより、第2永久磁石35は、下面が第2嵌合溝36の底面に、両側面が第2嵌合溝36の周方向の両内壁面に、厚み方向の他側の端面が第2嵌合溝36の軸方向他端側の内壁面に、厚み方向の一側の端面が第2磁石保持具37の表面に、それぞれ密接して、第2嵌合溝36に嵌着保持されている。そこで、第2永久磁石35は、第2嵌合溝36の周方向の両内壁面により周方向の移動が規制され、第2嵌合溝36の軸方向の他端側の内壁面と第2磁石保持具37とにより軸方向および径方向の移動が規制されている。そして、第2永久磁石35の上面が第1爪状磁極部20の先端側内周面と所定の隙間を有して略平行となって相対している。
このように第1および第2継鉄部19,23に保持された第1および第2永久磁石30,35は、径方向外方から第2および第1爪状磁極部24,20を第1および第2継鉄部19,23上に投影して得られる投影領域内に位置している。また、第1および第2永久磁石30,35は、図1に示されるように、界磁コイル14に通電されて発生する磁界40の向きと逆向きに着磁配向される。即ち、第1永久磁石30は、着磁方向41が径方向外方を向くように着磁配向され、第2永久磁石35は、着磁方向41が径方向内方を向くように着磁配向されている。なお、界磁コイル14を流れる界磁電流が作る磁界40の向きが反転した設計の場合には、第1および第2永久磁石30,35も逆向きに着磁配向される。
つぎに、このように構成された車両用交流発電機1の動作について説明する。
まず、電流がバッテリ(図示せず)からブラシ9およびスリップリング8を介して回転子13の界磁コイル14に供給され、磁束が発生される。この磁束により、第1ポールコア体17の第1爪状磁極部20がN極に磁化され、第2ポールコア体21の第2爪状磁極部24がS極に磁化される。
一方、エンジンの回転トルクがベルト(図示せず)およびプーリ6を介してシャフト16に伝達され、回転子13が回転される。そこで、回転磁界が固定子10の固定子コイル12に与えられ、起電力が固定子コイル12に発生する。この交流の起電力が、整流器で直流電流に整流され、バッテリが充電され、或いは電気負荷に供給される。
界磁コイル14に通電されて発生した磁束は、第1爪状磁極部20からエアギャップ29を通って固定子鉄心11のティース部に入る。固定子鉄心11に入った磁束は、固定子鉄心11のティース部からコアバック部を通って周方向に移動し、隣の第2爪状磁極部24に対向するティース部からエアギャップ29を通ってその第2爪状磁極部24に入る。ついで、第2爪状磁極部24に入った磁束は、第2継鉄部23、第2ボス部22、第1ボス部18、第1継鉄部19を通って第1爪状磁極部20に至る。ここで、従来のランデル型回転子では、第1および第2ポールコア体は限界設計されているので、界磁コイルの発生する磁界により磁気飽和し、回転子で発生する磁束が減少する。
本回転子13では、第1および第2永久磁石30,35は、界磁コイル14の発生する磁界40の向きと反対となるように着磁配向されている。そこで、第1永久磁石30から発生する磁束は、第1継鉄部19に入り、第1ボス部18、第2ボス部22、第2継鉄部23および第2爪状磁極部24を通り、空隙を介して第1永久磁石30に戻る。また、第2永久磁石35から発生する磁束は、空隙を介して第1爪状磁極部20に入り、第1継鉄部19、第1ボス部18、第2ボス部22、第2継鉄部23を通り、第2永久磁石35に戻る。第1および第2永久磁石30,35の発生する磁束は、界磁コイル14の発生する磁束と逆向きとなり、第1および第2ポールコア体17,21を構成する磁性体の磁束密度を大幅に低減することができ、磁気飽和を解消することができる。
このように、この実施の形態1によれば、本回転子13では、第1および第2永久磁石30,35の配置および着磁方向41を工夫することで、界磁コイル14の発生する磁界による第1および第2ポールコア体17,21の磁気飽和を緩和している。これにより、固定子10に鎖交する磁束が増加し、発電量を増加することができる。
また、着磁方向41を径方向内方とする第1永久磁石30が回転子13の軸方向一端側に周方向に並んで配列され、着磁方向41を径方向外方とする第2永久磁石35が回転子13の軸方向他端側に周方向に並んで配列されている。そこで、第1永久磁石30の群と、第2永久磁石35の群とが、回転子13の軸方向に離間して配置されるので、軸方向の各端部側に周方向に配列される全ての永久磁石の着磁配向方向が径方向内方、又は径方向外方に画一化される。
また、第1および第2永久磁石30,35が第2および第1爪状磁極部24,20の先端側内周面に対向するように配設されているので、第1および第2永久磁石30,35の磁気回路が回転子13内部で閉じた磁気回路となる。そこで、第1および第2永久磁石30,35の発生する磁束のなかの固定子鉄心11に鎖交する磁束成分(漏れ磁束)がなくなる。その結果、無負荷無励磁における第1および第2永久磁石30,35の誘起電圧の発生が抑制される。
また、第1および第2永久磁石30,35は、径方向外方から第2および第1爪状磁極部24,20の先端部を第1および第2継鉄部19,23上に投影して得られる投影領域内に位置しているので、第1および第2永久磁石30,35は固定子10側に露出せず、固定子スロット高調波による誘導加熱が確実に防止され、熱減磁を未然に防止できる。
また、第1および第2永久磁石30,35が第1および第2継鉄部19,23に直接保持されているので、第1および第2永久磁石30,35に作用する遠心力が第1および第2爪状磁極部30,35に付加されず、高速回転時における第1および第2爪状磁極部20,24の揺動の増大が抑制される。そこで、第1および第2永久磁石30,35の配設に起因する固定子10と回転子13との間のエアギャップ29の増大がなく、界磁コイル14による磁束を効率的に利用でき、出力の向上が図られる。また、高速回転時の第1および第2爪状磁極部20,24の揺動が第1および第2永久磁石30,35の保持構造に影響しないので、第1および第2永久磁石30,35の保持構造を簡易な構造で実現できる。
第1嵌合溝31を軸方向の一端側の内壁面を傾斜面とする楔状の溝形状とし、第1磁石保持具32を第1継鉄部19の軸方向他端面に固着して、第1嵌合溝31の軸方向の他端側の開口を塞口している。そこで、遠心力が第1永久磁石30に作用した時、第1永久磁石30は第1嵌合溝31の軸方向の一端側の内壁面上を摺動して径方向外方に移動しつつ軸方向他端側に移動しようとする。この時、第1磁石保持具32が第1永久磁石30の軸方向他端側への移動を規制するので、第1永久磁石30の飛び出しが防止される。このように、径方向外方および軸方向他端側に開口するように第1継鉄部19に形成した楔状の溝形状の第1嵌合溝31に第1永久磁石30を嵌着し、第1磁石保持具32を第1継鉄部19の軸方向他端面に固着して第1嵌合溝31の軸方向の他端側の開口を塞口するという簡易な保持構造で、第1永久磁石30を安定して保持することができる。
第2嵌合溝36を軸方向の他端側の内壁面を傾斜面とする楔状の溝形状とし、第2磁石保持具37を第2継鉄部23の軸方向一端面に固着して、第2嵌合溝36の軸方向の一端側の開口を塞口している。そこで、遠心力が第2永久磁石35に作用した時、第2永久磁石35は第2嵌合溝36の軸方向の他端側の内壁面上を摺動して径方向外方に移動しつつ軸方向一端側に移動しようとする。この時、第2磁石保持具37が第2永久磁石35の軸方向一端側への移動を規制するので、第2永久磁石35の飛び出しが防止される。このように、径方向外方および軸方向一端側に開口するように第2継鉄部23に形成した楔状の溝形状の第2嵌合溝36に第2永久磁石35を嵌着し、第2磁石保持具37を第2継鉄部23の軸方向一端面に固着して第2嵌合溝36の軸方向の一端側の開口を塞口するという簡易な保持構造で、第2永久磁石35を安定して保持することができる。
なお、第1および第2永久磁石30,35には、磁束密度の高いネオジウム・鉄・ボロン磁石やサマリウムコバルト磁石などの焼結された希土類磁石を用いることが好ましい。
また、第1および第2永久磁石30,35はその下端部側が第1および第2嵌合溝31,36と第1および第2磁石保持具32,37とにより画成される楔状の溝に嵌着、保持される形状を有していればよく、当該楔状の溝からの延出部の形状については特に限定されない。
また、第1および第2嵌合溝31,36が軸方向の一方の内壁面を傾斜面とする楔状の溝形状に形成されているものとしているが、第1および第2嵌合溝の溝形状はこれに限定されるものではなく、例えば、第1および第2嵌合溝は、周方向の両内壁面を傾斜面とし、あるいは周方向の一方の内壁面を傾斜面として、径方向と直交する断面の周方向幅が径方向外方に向かって漸次縮小する楔状の溝形状としてもよい。
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2に係る車両用交流発電機における永久磁石の保持構造の要部を示す破断斜視図、図4はこの発明の実施の形態2に係る車両用交流発電機に適用される磁石保護カバーを示す斜視図である。なお、第2磁石保護カバーは、図示されていないが、第1磁石保護カバーと同様に構成されているので、ここでは、第1永久磁石の固定構造についてのみ説明する。
図3および図4において、第1磁石保護カバー33は、SUS材の薄板を折り曲げ加工して第1永久磁石30の上下面および厚み方向の両端面を覆う枠状に作製されている。そして、第1永久磁石30は、第1磁石保護カバー33が装着された状態で、厚み方向を軸方向に一致させて、その下端部側を軸方向他端側から第1嵌合溝31内に挿入されている。さらに、第1磁石保持具32が第1継鉄部19の軸方向他端面に溶着、接着などにより固着され、第1嵌合溝31の軸方向他端側の開口を塞口している。これにより、第1永久磁石30は、下面が第1磁石保護カバー33を介して第1嵌合溝31の底面に、両側面が第1嵌合溝31の周方向の両内壁面に、厚み方向の両側の端面が第1磁石保護カバー33を介して第1嵌合溝31の軸方向一端側の内壁面および第1磁石保持具32の表面に、それぞれ密接して、第1嵌合溝31に嵌着保持されている。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態2では、第1磁石保護カバー33が第1永久磁石30の上下面および軸方向の両端面を覆うように取り付けられている。そこで、第2爪状磁極部24が遠心力により揺動して、あるいは異物が飛来して、第1永久磁石30に衝突した時に、第1磁石保護カバー33が緩衝材として機能し、第1永久磁石30の割れや欠けの発生を抑制できる。仮に、第1永久磁石30に割れや欠けが発生しても、割れた、或いは欠けた磁石片の第1永久磁石30からの飛散が第1磁石保護カバー33により抑制される。
また、第1磁石保護カバー33が第1永久磁石30の軸方向の両端面と第1継鉄部19および第1磁石保持具32との間に介装されているので、第1永久磁石30の軸方向の両端面が第1継鉄部19および第1磁石保持具32に対して変位することに起因する摩耗の発生が抑制される。
なお、上記実施の形態2では、第1磁石保護カバー33が、第1永久磁石30の上下面および軸方向の両端面を覆うように作製されているものとしているが、第1磁石保護カバーは、第1永久磁石の上下面および軸方向の両端面に加えて、周方向の両側面を覆うように作製されてよい。
また、磁石保護カバーを磁性材料で作製した場合には、永久磁石で発生した磁束が磁石保護カバーを介して永久磁石に戻る磁路が形成される。その結果、対向する爪状磁極部に入る磁束量が低減するので、永久磁石の磁石量を多くする必要がある。このことから、磁石保護カバーは、SUS材や合成樹脂などの非磁性材料で作製することが望ましい。
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3に係る車両用交流発電機における永久磁石の保持構造の要部を示す破断斜視図、図6はこの発明の実施の形態3に係る車両用交流発電機に適用される磁石保護カバーを示す斜視図である。なお、第2磁石保持具は、図示されていないが、第1磁石保持具と同様に構成されているので、ここでは、第1永久磁石の固定構造についてのみ説明する。
図5および図6において、第1磁石保持具34は、SS材やSUS材などの鉄鋼材を折り曲げ加工して周方向に隣り合う第1爪状磁極部20の間に位置する第1継鉄部19の部位の軸方向両端面および径方向外周面を覆う断面コ字状に作製されている。さらに、第1磁石保持具34の底辺34aには、第1永久磁石30が挿通される貫通穴34dが穿設されている。そして、第1永久磁石30は、厚み方向を軸方向に一致させて、その下端部側を軸方向他端側から第1嵌合溝31内に挿入されている。さらに、第1磁石保持具34が径方向上方から貫通穴34d内に第1永久磁石30を挿通させつつ、底辺34aを第1継鉄部19の径方向外周面に接するように装着される。そして、第1磁石保持具34は、両側辺34b,34cを第1継鉄部19の軸方向両端面のそれぞれに密接させて溶着、接着などにより固着され、第1嵌合溝31の軸方向他端側の開口を塞口している。
なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。
この実施の形態3では、第1磁石保持具34が第1継鉄部19の径方向外周面および軸方向両端面に密接して第1継鉄部19に固着され、第1永久磁石30が第1磁石保持具34の底辺34aに穿設された貫通穴を挿通している。そこで、第1永久磁石30に作用する遠心力に対する第1磁石保持具34の剛性が大きくなり、第1永久磁石30の径方向移動を確実に規制できる。これにより、第1永久磁石30の径方向外方への変位が抑制され、第1永久磁石30の上面と第2爪状磁極部24の先端側内周面との間の隙間を高精度に管理することができる。
なお、上記各実施の形態では、車両用交流発電機について説明しているが、この発明は、車両用交流発電機に限らず、車両用電動機や車両用発電電動機などの回転電機に適用しても、同様の効果を奏する。
また、上記各実施の形態では、永久磁石を全ての爪状磁極部の先端側に対向するように継鉄部に保持させるものとしているが、永久磁石は任意の爪状磁極部の先端側に対向するように選択して継鉄部に保持させるようにしてもよい。なお、この場合、周方向にバランスよく永久磁石を配置することが望ましい。例えば、第1および第2ポールコア体の一方にのみ永久磁石を配設したり、第1および第2ポールコア体の各ポールコア体に周方向の一つおきの爪状磁極部に対向するように永久磁石を配設してもよい。このような構成をとることは、全ての爪状磁極部に対向するように永久磁石を配設した場合に比べ、出力が少し低下するものの、分品点数を削減でき、安価な構成で出力をあげることができる。
この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機を模式的に示す断面図である。 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機における永久磁石の保持構造の要部を示す破断斜視図である。 この発明の実施の形態2に係る車両用交流発電機における永久磁石の保持構造の要部を示す破断斜視図である。 この発明の実施の形態2に係る車両用交流発電機に適用される磁石保護カバーを示す斜視図である。 この発明の実施の形態3に係る車両用交流発電機における永久磁石の保持構造の要部を示す破断斜視図である。 この発明の実施の形態3に係る車両用交流発電機に適用される磁石保護カバーを示す斜視図である。
符号の説明
10 固定子、13 回転子、14 界磁コイル、15 ポールコア、16 シャフト、17 第1ポールコア体、18 第1ボス部、19 第1継鉄部、20 第1爪状磁極部、21 第2ポールコア体、22 第2ボス部、23 第2継鉄部、24 第2爪状磁極部、29 エアギャップ、30 第1永久磁石、31 第1嵌合溝、32、34 第1磁石保持具、33 第1磁石保護カバー、35 第2永久磁石、36 第2嵌合溝、37 第2磁石保持具、40 磁界、41 着磁方向。

Claims (4)

  1. ボス部、該ボス部の軸方向両端縁部から径方向外方に延設された一対の継鉄部、および該一対の継鉄部のそれぞれから交互に軸方向に延設され、噛み合って周方向に配列された複数の爪状磁極部を有し、上記ボス部の軸心位置に挿通されたシャフトに固着されたポールコアと、上記ボス部、上記一対の継鉄部、および上記複数の爪状磁極部に囲まれた空間内に収納された界磁コイルと、を有する回転子と、
    上記回転子の外周を所定のエアギャップを介して囲繞して配設された固定子と、を備えた回転電機において、
    上記継鉄部の上記爪状磁極部の先端側内周面に対向する部位に、径方向外方および軸方向の界磁コイル側に開口し、かつ楔状の溝形状に凹設された嵌合溝と、
    下端部側を上記嵌合溝に嵌合されて上記継鉄部に保持され、上面を上記爪状磁極部の先端側内周面に対向するように配設された永久磁石と、
    上記継鉄部に固着されて上記嵌合溝の軸方向の界磁コイル側開口を塞口し、該嵌合溝に嵌合された上記永久磁石の軸方向の移動を規制する磁石保持具と、を有し、
    上記永久磁石が、上記界磁コイルの作る磁界と逆向きに着磁配向されていることを特徴とする回転電機。
  2. 磁石保護カバーが上記永久磁石を覆うように該永久磁石に装着されていることを特徴とする請求項1記載の回転電機。
  3. 上記磁石保持具は、上記継鉄部の径方向の外周面および軸方向の両端面を覆うように装着されて該継鉄部の軸方向の両端面に固着されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の回転電機。
  4. 上記永久磁石は、径方向外方から上記爪状磁極部の先端部を上記継鉄部上に投影して得られる投影領域内に位置するように配設されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の回転電機。
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