JP2009299480A - ポンプ駆動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】実ポンプの回転数を一定に制御した場合の実ポンプの仕事量(消費電力)を検知し、検知した実ポンプの消費電力と回転数に基づいてポンプの体積効率を算出する。算出した体積効率ηvを運転管理マップMにプロットし、基準となる体積効率ηvのラインl1を補正することで、実ラインl11を得る。得られた実ラインl11を利用して実ポンプの運転を制御することで、製造バラツキなどによる実ポンプの性能を考慮することなく、最低ポンプを使用したときに得られる下限ラインl01を常に利用していた従来例と比較して、システム効率の高い運転制御が可能となる。
【選択図】図3
Description
燃料ガス供給系100は、水素を含む燃料ガスを燃料電池200に供給するためのインジェクタ400と、燃料電池200のアノード極に供給される燃料ガスが流れる燃料ガス通路110と、燃料電池20から排出される燃料オフガスを燃料ガス通路110に帰還させるための循環通路120と、循環通路120内の燃料オフガスを燃料ガス通路43に圧送する水素循環ポンプ300と、循環通路47に分岐接続される排気通路130と、燃料オフガスの排気量を調整するためのパージ弁500とを有している。
従来は、最低限必要な水素を確保するために、最も性能の低い(漏れ量が最も大きい)水素循環ポンプ(以下、最低ポンプ)を使用したときに得られる回転数と仕事量の関係をあらわす下限ライン(図5では、実線で示す)を利用して水素循環ポンプを運転していた。
前記算出手段は、ポンプの回転数を一定に制御した場合の該ポンプの消費電力を求め、求めたポンプの消費電力と、ポンプの回転数と、検知される流入圧力と、検知される流出圧力とに基づき、前記体積効率を算出する態様が好ましい。
以下、各図を参照しながら本発明に係わる実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係る車両に搭載された燃料電池システム10のシステム構成を示す。
本実施形態に係る燃料電池システム10は、実ポンプの性能に応じたシステム効率の高い運転を可能とするために、所定のタイミングで実ポンプの体積効率を算出し、算出した体積効率に基づき実ポンプの運転を制御する点に特徴がある。ここで、実ポンプの体積効率とは、実ポンプに漏れがないと仮定した場合のガス流量を基準として、実ポンプから実際に流出されるガス流量の割合をいう(詳細は後述)。
(1/2)O2+2H++2e- → H2O …(2)
H2+(1/2)O2 → H2O …(3)
従来技術の項において説明したように、従来技術の水素循環ポンプ47の特徴としては、製造時に許容される漏れ量の公差が大きい点が挙げられる。これは燃料ガスに含まれる水素の分子量が小さく、ポンプの隙間から漏れる水素のガス量が、ポンプの隙間から漏れる他の気体のガス量に対して多いことに起因する。このため、従来においては、各ポンプ間での漏れ量のバラツキを抑制することができないという問題があった。また、水素循環ポンプ47が圧送する燃料オフガスには、水分(燃料電池の発電時に生成された水)が含まれるが、現在の技術では、水分を蒸発させることなしに(すなわち加熱することなしに)、水分を含んだガスの流量を正確に測定することは難しい。
図2に示すように、運転管理マップM1には、各体積効率ηv=0.5(50%)、ηv=0.6(60%)、ηv=0.7(70%)での回転数と仕事量の関係を表すラインl01〜l03が示されている。このうち、体積効率ηv=0.5(50%)での回転数と仕事量の関係を表すラインl01は、基準ラインとなる。
本実施形態では、まず、燃料電池システム10を組み立てた後、水素循環ポンプ47を初めて駆動する場合に体積効率を求める。このように、実ポンプ47を初めて駆動する場合に体積効率を求める理由は、実ポンプの体積効率は個体差に依存する度合いが大きく、耐久性の劣化に依存する度合いが小さいためである。
Q ∝ N ・・・(1)
W = (Pb−Ps)*Q/ηv+Wm ・・・(2)
<変形例1>
上述した本実施形態では、製造直後に実ポンプ47の体積効率ηvを求める場合について説明したが、体積効率ηvを求めるタイミングはシステム等に応じて適宜設定・変更可能である。具体的には、コントローラ(算出手段)が、(1)燃料電池の発電停止直後に行う、(2)燃料電池の電解質膜の乾燥度合いが所定値以上の場合に行う、(3)燃料電池の発電開始前、あるいは発電停止後の掃気処理直後(加圧処理直後)に行うようにしても良い。(1)によれば、発電停止直後(すなわち、シャットダウン直後)は水素循環系の濃度が安定しているため、圧力損失(ポンプの入口、出口での圧力差)も安定し、精度良く測定することが可能となる。また、(2)によれば、燃料電池20の残水量が管理しやすく、圧力損失も安定し、精度良く測定することが可能となる。なお、燃料電池の電解質膜の乾燥度合いを測定する方法としては、コントローラ(検知手段、算出手段)70が周知の交流インピーダンス法によって燃料電池20のインピーダンスを測定し、測定結果に基づき電解質膜の乾燥度合いを求めれば良い。また、(3)によれば、水素循環系の濃度が安定しているため、圧力損失も安定し、精度良く測定することが可能となる。もちろん、これらのタイミングに限定する趣旨ではなく、一定期間毎(例えば1ヶ月毎など)に体積効率ηvを求めるようにしても良い。
上述した本実施形態では、実ポンプ47に流入される燃料オフガスの圧力(上流圧力)Psを検知する圧力センサP1、実ポンプ47から流出される燃料オフガスの圧力(下流圧力)Pdを検出する圧力センサP2が設けられている場合について説明したが、いずれか一方の圧力センサ(例えば、下流圧力Pdを検出する圧力センサP2)のみが設けられている場合にも適用可能である。この場合、実際に測定されない圧力(たとえば上流圧力)については推定値を用いれば良い。このように、圧力について推定値を用いることができるのは、圧力損失のバラツキは個体差として大きくないため、推定値を利用したとしても誤差は小さいからである。なお、上流圧力Ps、下流圧力Pdの両方について推定値を用いても良い。
上述した本実施形態では、機械損失Wmが常に一定としたが、変動する機械損失を考慮して体積効率ηvを算出しても良い。一般に、実ポンプはトータル運転時間(生涯回転数)が増加するにつれ、シール付近の部材が磨耗するなどして機械損失は徐々に減少していく傾向にある。そこで、水素循環ポンプについて生涯回転数と機械損失の関係を予め実験などによって求め、これを機械損失管理マップM2としてメモリ60に登録しておく。コントローラ70は、体積効率ηvを求める際、当該時点での回転数Nを検知した後、メモリ60に登録されている機械損失管理マップM2を参照し、この回転数Nに対応する機械損失Wmを取得する。そして、コントローラ70は、取得した機械損失Wmを上記式(2)に代入することで、体積効率ηvを求める。かかる構成によれば、より精度良く体積効率ηvを算出することが可能となる。
上述した本実施形態及び変形例では、回転数を一定に制御し、この場合に得られる仕事量(消費電力)Wと該回転数Nとに基づき体積効率ηvを求めたが、回転数ではなく仕事量(消費電力)を予め決定し(別言すれば設定された電力で)、この場合に得られる回転数Nと該仕事量Wとに基づき体積効率ηvを求めても良い。
そこで、予め水素循環ポンプ47の消費電力(仕事量)を決めておき、決められた消費電力でコントローラ(算出手段)70が回転数Nを求め、求めた回転数Nと消費電力とに基づき、体積効率を算出するようにしても良い。さらに、コントローラ70が水素循環ポンプ47のトルク値を用いて体積効率ηvを算出するようにしても良い。
Claims (11)
- 燃料電池システムのガス供給経路に水素を含む燃料ガスを送り出すポンプと、
前記ポンプの回転数と消費電力との関係を対応づけたポンプ制御情報を記憶する記憶手段と、
検知した前記ポンプの回転数と消費電力に基づき、該ポンプの体積効率を算出する算出手段と、
算出された前記体積効率に基づき、前記ポンプ制御情報を補正する補正手段と、
前記ポンプ制御情報を用いて前記ポンプの駆動を制御する駆動制御手段と
を具備するポンプ駆動制御装置。 - 前記算出手段は、ポンプの回転数を一定に制御した場合の該ポンプの消費電力を求め、求めたポンプの消費電力とポンプの回転数とに基づき、前記体積効率を算出する、請求項1に記載のポンプ駆動制御装置。
- 前記ポンプは、燃料電池から出力される燃料オフガスの一部を前記ガス供給路に戻す循環ポンプであり、前記燃料オフガスには水分が含まれる、請求項2に記載のポンプ駆動制御装置。
- 前記算出手段は、前記ポンプの最初の始動時に、前記体積効率を算出する、請求項2に記載のポンプ駆動制御装置。
- 前記算出手段は、前記燃料電池の発電を停止した後に、前記体積効率を算出する、請求項2に記載のポンプ駆動制御装置。
- 前記燃料電池の電解質膜の乾燥度合いを検知する検知手段をさらに備え、
前記算出手段は、前記電解質膜の乾燥度合いが設定値以上となった場合に、前記体積効率を算出する、請求項2に記載のポンプ駆動制御装置。 - 前記算出手段は、前記燃料電池の発電を停止した後、前記燃料ガスの循環系を掃気した後に前記体積効率を算出する、請求項2に記載のポンプ駆動制御装置。
- 前記算出手段は、前記ポンプの回転数を、設定された最高回転数近傍で一定に制御した場合の該ポンプの消費電力を求め、求めたポンプの消費電力とポンプの回転数とに基づき、前記体積効率を算出する、請求項2に記載のポンプ駆動制御装置。
- 前記ポンプに接続されたインバータと、
前記インバータの出力電流、出力電圧を検知する電流・電圧検知手段とをさらに備え、
前記算出手段は、検知された前記インバータの出力電流、出力電圧に基づき、前記ポンプの消費電力を求める、請求項2に記載のポンプ駆動制御装置。 - 前記ポンプに流入される燃料ガスの流入圧力を検知する第1圧力検知手段と、
前記ポンプから流出される燃料ガスの流出圧力を検知する第2圧力検知手段とをさらに備え、
前記算出手段は、ポンプの回転数を一定に制御した場合の該ポンプの消費電力を求め、求めたポンプの消費電力と、ポンプの回転数と、検知される流入圧力と、検知される流出圧力とに基づき、前記体積効率を算出する、請求項2に記載のポンプ駆動制御装置。 - 前記算出手段は、設定された電力で前記ポンプを駆動した場合の該ポンプの回転数を検知し、検知したポンプの回転数とポンプの消費電力とに基づき、前記体積効率を算出する、請求項2に記載のポンプ駆動制御装置。
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