JP2009293139A - 印刷用板紙 - Google Patents
印刷用板紙 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009293139A JP2009293139A JP2008145378A JP2008145378A JP2009293139A JP 2009293139 A JP2009293139 A JP 2009293139A JP 2008145378 A JP2008145378 A JP 2008145378A JP 2008145378 A JP2008145378 A JP 2008145378A JP 2009293139 A JP2009293139 A JP 2009293139A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- printing
- paper
- layer
- base paper
- paperboard
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Paper (AREA)
Abstract
【課題】インク接着力が強くかつ高い印刷光沢が得られ、しかも塗工層の板紙との接着強度の高い低コストの印刷用板紙を提供する。
【解決手段】複数層からなる基紙1について、塗工層2と接触する表面層3に針葉樹パルプ及び無機顔料を特定割合で配合し、スチレン系樹脂を含有する塗工剤をその上に塗工して塗工層を設け、印刷用板紙全体としての紙密度を特定範囲に調整する。前記塗工層は、前記基紙の少なくとも一方の表面上に、乾燥状態において0.1g/m2以上0.8 g/m2以下の塗工量で塗工されており、前記塗工層の塗工剤は、スチレン系樹脂を含有し、前記塗工層と接する前記基紙の表面層は、原料パルプ中に針葉樹パルプが5重量%以上50重量%以下で配合されており、かつ、無機顔料が3重量%以上20重量%以下で配合されており、印刷用板紙全体としての紙密度が0.8g/cm3以上1.1g/cm3以下に調整されている。
【選択図】図1
【解決手段】複数層からなる基紙1について、塗工層2と接触する表面層3に針葉樹パルプ及び無機顔料を特定割合で配合し、スチレン系樹脂を含有する塗工剤をその上に塗工して塗工層を設け、印刷用板紙全体としての紙密度を特定範囲に調整する。前記塗工層は、前記基紙の少なくとも一方の表面上に、乾燥状態において0.1g/m2以上0.8 g/m2以下の塗工量で塗工されており、前記塗工層の塗工剤は、スチレン系樹脂を含有し、前記塗工層と接する前記基紙の表面層は、原料パルプ中に針葉樹パルプが5重量%以上50重量%以下で配合されており、かつ、無機顔料が3重量%以上20重量%以下で配合されており、印刷用板紙全体としての紙密度が0.8g/cm3以上1.1g/cm3以下に調整されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、印刷用途に使用される印刷用板紙に関し、特にインク接着力と印刷光沢の両立を図った印刷用板紙に関するものである。
従来、印刷用途に使用される印刷用板紙においては、印刷光沢を上げるため、インク溶剤に溶け難いアクリル系樹脂やスチレン樹脂を表面にコーティングし、インクが紙層に浸透し難くなるようにしたものが知られている。また、基紙の表面にクレーなどの無機顔料とバインダーからなる塗工層を形成したコート紙も知られている。
また、オフセット印刷とグラビア印刷に共用するため、炭酸カルシウムとバインダー樹脂からなる下塗り塗工層の上に、焼成カオリンを含む無機顔料とバインダーピグメントとバインダー樹脂とからなる上塗り塗工層を設けた印刷用白板紙も知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、グラビア印刷時の網点欠落防止とオフセット印刷時の耐水性改善のために、塗工層にアルキルケテンダイマなど、ゼータ電位が所定範囲のサイズ剤を所定量添加することで、ウェット強度と表面加工・印刷特性を改善した印刷用白板紙も知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、塗工ライナー(板紙)において、グラビア印刷時の網点欠落防止と白紙・印刷光沢を確保するため、基紙の表面に、焼成クレーと、構造化カオリン又はデラミネーテッドクレーと、有機ピグメントとを、それぞれ所定重量%含み、かつ、これら成分を全体として70重量%以上含む顔料と、ラテックスとから成る塗工層を設けた塗工ライナなども知られている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。
また、印刷光沢及びインクの接着性向上のためアクリル樹脂又はスチレン樹脂と、有機ピグメントと、ラテックスとからなる塗工層を設けた印刷板紙も知られている(例えば、特許文献5)。
特開平6−65898号公報
特開平11−269798号公報
特開平11−279989号公報
特開2002−363887号公報
特開2006−322081号公報
しかしながら、印刷光沢を確保するため、スチレン系樹脂を紙表面にコーティングした板紙では、インクが紙層に浸透しないため、インク接着に必要な溶融接着が困難となる。また、溶融接着の代わりに水素結合による接着も考えられるが、塗工剤には水酸基がないため水素結合が起こりにくく、インク接着力が不足して印刷が剥がれ易いという問題があった。特に硝化綿樹脂を使用したインクにおいては、インクの接着力が堅調に悪くなる。
また、無機顔料を含有する塗工剤を塗工したコート紙は、その塗工層が基紙から剥がれ易いという問題があった。この点、特許文献1及び特許文献2に開示された印刷用白板紙(コート紙)も、基紙上に無機顔料を含有する塗工層を有する板紙であるため、その塗工層が基紙から剥がれやすいという問題がある。
ここで、特許文献1に開示されている発明は、オフセット印刷とグラビア印刷共用の白板紙に関するものであり、グラビア印刷適性を十分に満足できるものではない。また、使用用途としては化粧箱や石鹸用箱に用いられ、段ボールのように中芯、外層、内層と複数の紙を張り合わせて使用されるものではなく、出来上がったシートを折り曲げる際に、表層のコート層がひび割れる問題を抱えている。これは、特許文献2に開示されている塗工紙の発明についても同様である。
一方、特許文献3に開示されている塗工ライナは、塗工量が3〜12g/m2とされており、
特許文献4に開示されている塗工白板紙は、塗工量が8〜12g/m2(2層合計)とされており、どちらも塗工量が多いので罫線割れが起こり易いという問題がある。また、特許文献3及び特許文献4に開示されている発明は、塗工ライナとしてのグラビア印刷適性を向上させるために、網点の欠落防止、白紙・印刷光沢の改善を行うために、表層の塗料処方について検討したものであり、複数の紙を貼合する段ボール用の外層側に使用される際に、耐罫線割れ性能を満足させるものではない。
特許文献4に開示されている塗工白板紙は、塗工量が8〜12g/m2(2層合計)とされており、どちらも塗工量が多いので罫線割れが起こり易いという問題がある。また、特許文献3及び特許文献4に開示されている発明は、塗工ライナとしてのグラビア印刷適性を向上させるために、網点の欠落防止、白紙・印刷光沢の改善を行うために、表層の塗料処方について検討したものであり、複数の紙を貼合する段ボール用の外層側に使用される際に、耐罫線割れ性能を満足させるものではない。
また、上記文献5に開示されている印刷用板紙は、基紙の表面又は裏面に、アクリル系樹脂又はスチレン系樹脂と、ラテックスと、有機顔料とを含む塗工層を設けているが、アクリル系樹脂はインクの溶剤に溶け易いため、塗工層がインクを吸収し易く、インクの接着性は改善されるが、印刷光沢の低下を起こす可能性があった。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、段ボール用途に使用した場合であっても耐罫線割れ特性を発揮し、無機物や微細繊維欠落による印刷抜けがなく、高い印刷光沢が得られる、グラビア印刷に適した印刷用板紙を提供することを課題とする。
本発明者らは、複数層からなる基紙について、塗工層と接触する表面層に針葉樹パルプ及び無機顔料を特定割合で配合し、スチレン系樹脂を含有する塗工剤をその上に塗工して塗工層を設け、印刷用板紙全体としての紙密度を特定範囲に調整することにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
具体的に、本発明は、
複数層からなる基紙と、塗工層とを有する印刷用板紙であって、
前記塗工層は、前記基紙の少なくとも一方の表面層上に、乾燥状態において0.1g/m2以上0.8 g/m2以下の塗工量で塗工されており、
前記塗工層の塗工剤は、スチレン系樹脂を含有し、
前記塗工層と接する前記基紙の表面層は、原料パルプ中に針葉樹パルプが5重量%以上50重量%以下で配合されており、かつ、無機顔料が3重量%以上20重量%以下で配合されており、
印刷用板紙全体としての紙密度が0.8g/cm3以上1.1g/cm3以下に調整されていることを特徴とする印刷用板紙に関する。
複数層からなる基紙と、塗工層とを有する印刷用板紙であって、
前記塗工層は、前記基紙の少なくとも一方の表面層上に、乾燥状態において0.1g/m2以上0.8 g/m2以下の塗工量で塗工されており、
前記塗工層の塗工剤は、スチレン系樹脂を含有し、
前記塗工層と接する前記基紙の表面層は、原料パルプ中に針葉樹パルプが5重量%以上50重量%以下で配合されており、かつ、無機顔料が3重量%以上20重量%以下で配合されており、
印刷用板紙全体としての紙密度が0.8g/cm3以上1.1g/cm3以下に調整されていることを特徴とする印刷用板紙に関する。
本発明の印刷用板紙では、塗工層と接する基紙表面層の原料パルプ中に針葉樹パルプを5重量%以上50重量%配合し、かつ、無機顔料を3重量%以上20重量%以下の範囲で配合することにより、最表層のパルプ繊維の結合が強く、罫割れが防止できる上、微細繊維や無機物の欠落も防止される。また、無機顔料を基紙最表層中に3重量%以上20重量%配合することにより、塗工層と接する基紙表面層のパルプ繊維間の目止めができ、不透明性の向上及び印刷面の平滑化が図れる。また、スチレン系樹脂を塗工剤に含有させることにより、高い印刷光沢を得ることができる。
前記塗工層の塗工量は、塗工層の乾燥状態(すなわち、基紙上に形成された塗工層の状態)において0.1g/m2以上0.8 g/m2以下である。0.1g/m2未満では上述した効果を十分に発揮させることができず、一方、0.8 g/m2を超えると塗工剤の使用量が増え、製造コストが上昇するためである。
また、基紙の少なくとも一方の表面層に塗工層を塗工した後、印刷用板紙全体の紙密度を0.8g/cm3以上1.1g/cm3以下に調整することで、塗工剤が基紙へと吸収されにくくなる。このため、塗工剤の塗布量を少なくすることが可能であり、塗工層を薄く、平滑にすることができる。基紙の両方の表面層に塗工層を塗工する場合でも同様である。
なお、針葉樹パルプは、繊維が柔らかくカレンダー処理した際に繊維が潰れ易いため、塗工層の塗工前に複数層からなる基紙をカレンダー処理することにより、さらに基紙表面が平坦となり、塗工層をより均一に塗工することが可能となる。
前記塗工剤は、ラテックスと有機顔料とをさらに含むことが好ましい。ラテックスは適度な造膜性があり、かつ、柔軟でインク着肉性も良好であり、有機顔料と組み合わせることで、印刷用板紙の中層からの浮き出しを防止する効果が発揮される。また、塗工剤にラテックスと有機顔料とを含ませることにより、罫線割れ防止効果も増大する。有機顔料は、無機顔料に比べ粒子に弾力性があり、光沢もあるので、印刷適性の点で無機顔料よりも好ましい。
前記無機顔料は、クレー、カオリン、カルシウム、シリカ等一般に鉱物系の顔料を使用することができるが、古紙パルプを製造する古紙処理工程の脱墨工程で排出される脱墨フロスを主原料として焼成した凝集体であって、カルシウム、ケイ素及びアルミニウムを含む複合凝集体であることが好ましい。
前記塗工剤における配合割合は、スチレン系樹脂4重量%以上30重量%以下、ラテックス10重量%以上48重量%以下、有機顔料10重量%以上70重量%以下とすることが好ましい。
本発明の印刷用板紙は、罫割れがなく、高い印刷光沢、インク抜けやカスレのない印刷適性を有する。また、塗工層の厚みが薄いために、インクが基紙へと浸透しやく、インク接着性も高い。さらに、ホットメルト接着剤で接着するような場合であっても、印刷も塗工層も剥がれるおそれがなく、グラビア印刷にも適している。
以下、本発明の印刷用板紙について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の記載に限定されない。
本発明の印刷用板紙は、複数層からなる基紙と、基紙の少なくとも一方の表面上に塗工された塗工層とを有する。基紙は、例えば、2層〜7層の湿紙を抄き合わせること等の方法によって製造される複数層からなる。塗工層は、印刷用板紙の用途によって、基紙の片面だけに塗工してもよく、両面に塗工してもよい。
5層からなる基紙1と、基紙の一方の表面上に塗工された塗工層2とを有する印刷用板紙の断面図を、図1に示す。基紙1は、表面層3、表面下層4、中心層5、裏面下層6及び裏面層7から構成される。この図では、表面層3が塗工層2と接している。
表面層3は、原料パルプ中に針葉樹パルプが5重量%以上50重量%以下で配合されており、かつ、無機顔料が3重量%以上20重量%以下の範囲で配合されている。表面層以外の4層については、その原料は限定されないが、一般的には、表面下層4及び裏面下層6の湿紙は、上白古紙とコート紙の白損からなる中白古紙等を適宜配合したものを主原料とする原料パルプを用い、中心層5及び裏面層7は、紙器製造時に発生する裁落損紙、新聞、雑誌等を原料として抄造した白ボール等、地券古紙を主原料とする原料パルプを用いて抄造される。このような5層構造の基紙は、長網多層抄紙機等により、各層の湿紙を順次抄き合わせることによって抄造することができる。
各層の湿紙は、それぞれの円網又はワイヤ上にインレットから原料スラリーを供給することによって形成される。塗工層2と接する表面層3は、原料パルプ全体に対する重量百分率として、針葉樹パルプを5重量%以上50重量%以下とすることが好ましく、10重量%以上30重量%以下とすることがより好ましい。5重量%を下回ると長繊維パルプが少なくなることで罫割れが発生しやくなり、50重量%を超えれば長繊維パルプが多すぎるために表面層3の均一な地合いが取れなくなり、印刷不良の原因となるためである。
表面層3の原料パルプに対して配合する無機顔料は、3重量%以上20重量%以下とすることが好ましく、5重量%以上15重量%以下とすることがより好ましい。3重量%を下回るとパルプ繊維間の目止めが十分でないため、印刷光沢等の低下に繋がるためであり、20重量%を超えれば印刷の際、無機物の欠落が発生し印刷不良となる他、繊維結合が下がるため紙力低下となり、罫割れの原因となるからである。
なお、基紙の坪量は、100g/m2以上500 g/m2以下とすることが好ましい。100g/m2未満の場合、段ボール用途に使用した際、ケースの圧縮強度が低くなるといった問題があり、500g/m2を超えると、紙厚も大きくなり、折り曲げた際に、表面の応力が強くなりすぎ、表層の塗工層及び表層がひび割れる問題が発生するためである。
ワイヤ上で形成された湿紙は、プレスパート及びドライヤーパートで乾燥される。その後、表面層3の上に塗工層2が塗工される。このとき、塗工前にカレンダーパートで基紙を表面処理した後、表面層3上に塗工剤が塗工することが、塗工層を均質、かつ、平滑に塗工するためには、より好ましい。
塗工剤に使用するスチレン系樹脂としては、例えば、商品名「ポリマロン351S」:荒川化学工業(株)製などが好適に用いられ、分子量が2万〜10万であるものが好ましい。分子量が2万未満であると樹脂の粘度が低下するため、塗工した際に、基紙に吸収されやすくなり、基紙に塗工層を塗工しにくくなる。一方、分子量が10万を超えると粘度が高くなり過ぎ、塗工ムラ等のトラブルに繋がる。
ラテックスとしては、Tg(ガラス転移温度)が-20℃以上50℃以下のSBR(スチレンブタジエンゴム)等を好適に用いることができる。Tgが-20℃未満であればラテックスが低温で溶けやすくなるため、ドライヤーやカレンダー等に汚れが発生する可能性があり、一方、50℃を超えると塗工層のクッション性が失われ、印刷適性が低下するためである。SBRラテックスとしては、例えば、商品名「PA5036」:日本A&L(株)製(Tg=1℃)、商品名「JSR 0589」:日本JSR(株)製(Tg=0℃)を挙げることができる。
有機顔料としては、真球状又は中空状のPP(Plastic Pigment)等が好ましい。無機粒子に比べて硬度が低く、顔料自体の変形も容易であり、塗工層の耐罫割れ特性を向上させるからである。なお、有機顔料の粒子径が2μm未満になると、塗工剤を塗工した後に印刷用板紙をカレンダー処理する際、塗工層の厚みが薄くなり過ぎ、塗工層のクッション性を低下させるため、グラビア印刷時印刷カスレの原因となる。一方、有機顔料の粒子径が12μmを超えると、塗工剤を塗工後、カレンダー処理した際、塗工層が潰れにくくなるため表面が凸凹になり、グラビア印刷時印刷カスレの原因となる。
スチレン系樹脂、ラテックス及び有機顔料を配合した塗工剤は、0.1g/m2以上0.8 g/m2以下の塗工量(乾燥状態)で、基紙表面層上に塗工される。この塗工剤は、抄紙機に設置されているバーコーターやロッドコーター、エアナイフ等の塗工機によって塗工される。
塗工量が0.1g/m2未満になると塗工層の厚みが薄くなり過ぎ、基紙へとインクが吸収されやすくなるため、印刷光沢が低下する。一方、塗工量が0.8 g/m2を超えると、インクが基紙へと全く吸収されなくなり、インクの接着力が低下する。なお、コストと品質を鑑み、0.2g/m2以上0.5 g/m2の塗工量(乾燥状態)とすることがさらに好ましい。
基紙を抄紙後、2次加工で印刷機やバーコーターやロッドコーター、エアナイフ等の塗工機により塗工剤を塗工することも可能である。
基紙表面層上に塗工層を形成させて印刷用板紙とした後、ソフトカレンダー、硬質チルド鉱等の金属ロールを数段重ねたカレンダー等を用い、印刷用板紙全体としての紙密度を0.8g/cm3以上1.1g/cm3以下に調整する。0.8g/cm3未満では塗工層表面の凹凸が大きくなり、印刷かすれの原因となる。一方、1.1g/cm3を超えると印刷用板紙としてのクッション性が低下し、グラビア印刷では印刷カスレの原因となる。なお、印刷用板紙全体としての紙密度は、0.9g/cm3以上1.0g/cm3以下に調整することがより好ましい。
本発明の印刷用板紙は、単に塗工液の改善だけでなく、塗工層と接する表面層の原料配合、無機顔料の添加量及び紙全体の密度を、上記特定範囲に調整することによって、はじめて、グラビア印刷適性を満足させ、段ボール用途にも必要な耐罫割れ性を発揮しうる。
次に、本発明の実施例について、比較例と対比しながら説明する。
図1に示したような5層の基紙と、塗工層とを有する印刷用板紙を製造した。針葉樹のバージンパルプと、広葉樹のバージンパルプとをいろいろな重量比率で混合させたパルプを、ダブルデスクレファイナーにより、フリーネスを400ccに調整した。このパルプ中に無機顔料としてクレーアマゾプラスJPG(商品名、具体的な物質名を追記して下さい)を、原料パルプの重量に対して2重量%〜22重量%添加し、抄紙した。これを塗工層に接する基紙表面層の湿紙とした。
表面下層及び裏面下層の湿紙は、上白古紙と中白古紙を1:1の重量比で配合したものを主成分とした原料スラリーを用いて抄紙した。また、中心層及び裏面層は、地券古紙を主成分とした原料スラリーを用いて抄紙した。そして、これら5層の湿紙を抄き合わせて、坪量210g/m2、5層構造の基紙(板紙)とした。
この5層構造の基紙の表面層上に、スチレン樹脂(商品名「ポリマロン351S」、荒川化学工業(株)製)20重量%、SBRラテックス(商品名「PA5036(Tg=1℃)」、日本A&L(株)製)45重量%、有機顔料(Plastic Pigment、商品名「V1005」、日本ゼオン社製)35重量%からなる塗工剤を、バーコーターにて0.05g/m2〜0.9g/m2の塗工量で塗工し、印刷用板紙とした。なお、上記3成分の重量%は、乾燥状態における数値である。
さらに、グロスカレンダーの加圧条件を変え、印刷用板紙全体としての紙密度を0.78g/m2〜1.15 g/m2に調整した。基紙表面層の原料パルプ、無機顔料の添加率、印刷用板紙全体としての紙密度及び塗工剤の塗工量は、表1に示すとおりである。
実施例及び比較例の印刷用板紙について、印刷光沢、インク抜け、罫線割れ及びインク接着力を、以下の方法によって評価した。評価結果は、表1に示すとおりであった。
塗工層表面の印刷光沢は、JIS-P8129に規定されているIGT印刷適性試験機に用いる標準ダックグレードインクを、熊谷理機工業(株)製KRK万能印刷適性試験機を用いて印刷用板紙の塗工層に印刷した後、JIS-P8142に規定されている75度白紙光沢(%)を測定することによって評価した。なお、印刷光沢3%以上を「適」と判断した。
インク抜けは、グラビア印刷機にサカタインクス(株)製グラビアインクNT-2000を使用し、100線、50μ深度のグラビアロールを用いて印刷用板紙にベタ印刷を行い、印刷用板紙(A4サイズ)の塗工層上に発生した直径0.3mm以上のピンホールの数を、肉眼で確認した。
◎:ピンホールの数が5個以下である
○:ピンホールの数が6個〜10個である
△:ピンホールの数が11個〜20個である
×:ピンホールの数が20個超である
◎:ピンホールの数が5個以下である
○:ピンホールの数が6個〜10個である
△:ピンホールの数が11個〜20個である
×:ピンホールの数が20個超である
罫線割れは、インク抜けと同様に印刷を行った印刷用板紙をA4サイズ(縦目)に断裁し、長辺に対して2つ折りにし、プレス圧2.0kg/m2で5分間プレス後、肉眼にて折り目部分の割れの有無を確認することによって評価した。
◎:ひび割れが発生していない
○:折り目長さに対して、総全長が15%未満であるひび割れが発生する
△:折り目長さに対して、総全長が15%以上30%未満であるひび割れが発生する
×:折り目長さに対して、総全長が30%以上であるひび割れが発生する
◎:ひび割れが発生していない
○:折り目長さに対して、総全長が15%未満であるひび割れが発生する
△:折り目長さに対して、総全長が15%以上30%未満であるひび割れが発生する
×:折り目長さに対して、総全長が30%以上であるひび割れが発生する
インク接着力は、JIS-P8129に規定されているIGT印刷適性試験機に用いる標準タックグレードインクを、熊谷理機工業(株)製KRK万能印刷適性試験機を用いて印刷用板紙の塗工層に印刷した後、RI印刷適性試験によって評価した。
◎:表面の毛羽立ち又は紙むけが認められない
○:0.5mm以上の毛羽立ち又は紙むけが2箇所以下である
△:0.5mm以上の毛羽立ち又は紙むけが3〜5箇所である
×:0.5mm以上の毛羽立ち、紙むけが6箇所以上である
◎:表面の毛羽立ち又は紙むけが認められない
○:0.5mm以上の毛羽立ち又は紙むけが2箇所以下である
△:0.5mm以上の毛羽立ち又は紙むけが3〜5箇所である
×:0.5mm以上の毛羽立ち、紙むけが6箇所以上である
実施例1〜12の印刷光沢はすべて3%以上であり、印刷用板紙としての実用性を有していた。また、インク抜け、罫線割れ及びインク接着力の評価についても、「×」となったものは存在しなかった。
これに対して比較例1〜11では、インク抜け、罫線割れ及びインク接着力のいずれか1つは「×」と評価されるか、または印刷光沢が3%未満であり、印刷用板紙として実用性を欠いていた。
なお、表1に示す結果より、スチレン系樹脂は4重量%以上30重量%以下、ラテックスは10重量%以上48重量%以下、有機顔料は10重量%以上70重量%以下の比率で配合し、塗工剤とすることが好ましいと確認された。
このように、基紙表面層に針葉樹パルプ及び無機顔料を特定割合で配合し、スチレン系樹脂を含有する塗工剤を表面層上に特定塗工量で塗工して塗工層を設け、印刷用板紙全体としての紙密度を特定範囲に調整することにより、印刷光沢、インク抜け、罫線割れ及びインク接着力のいずれの項目についても、問題のない品質である印刷用板紙が得られた。
なお、上記実施の形態では、塗工層を基紙片面にのみ設けた印刷用板紙について説明したが、例えば、図1に示す印刷用板紙の構造において、裏面層7を表面層3と同じ材質にすれば、両面に同じ塗工層を設けた印刷用板紙とすることが可能である。その場合、裏面下層6も表面下層4と同じ材質にすることが好ましく、塗工剤、塗工量、印刷用板紙全体としての紙密度も、塗工層を基紙片面にのみ設ける印刷用板紙と同様にしなければならない。
本発明の印刷用板紙は、印刷特性に優れ、コストも低い印刷用板紙として、製紙、印刷等の分野において有用である。
1:基紙
2:塗工層
3:表面層(塗工層と接する層)
4:表面下層
5:中心層
6:裏面下層
7:裏面層
2:塗工層
3:表面層(塗工層と接する層)
4:表面下層
5:中心層
6:裏面下層
7:裏面層
Claims (4)
- 複数層からなる基紙と、塗工層とを有する印刷用板紙であって、
前記塗工層は、前記基紙の少なくとも一方の表面上に、乾燥状態において0.1g/m2以上0.8 g/m2以下の塗工量で塗工されており、
前記塗工層の塗工剤は、スチレン系樹脂を含有し、
前記塗工層と接する前記基紙の表面層は、原料パルプ中に針葉樹パルプが5重量%以上50重量%以下で配合されており、かつ、無機顔料が3重量%以上20重量%以下で配合されており、
印刷用板紙全体としての紙密度が0.8g/cm3以上1.1g/cm3以下に調整されていることを特徴とする印刷用板紙。 - 前記塗工剤が、さらにラテックスと有機顔料とを含む請求項1に記載の印刷用板紙。
- 前記無機顔料が、シリカ、カルシウム及びアルミニウムを含む凝集体粒子である請求項1又は2に記載の印刷用板紙。
- 前記塗工剤における配合割合が、スチレン系樹脂4重量%以上30重量%以下、ラテックス10重量%以上48重量%以下、有機顔料10重量%以上70重量%以下である請求項2又は3に記載の印刷用板紙。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008145378A JP2009293139A (ja) | 2008-06-03 | 2008-06-03 | 印刷用板紙 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008145378A JP2009293139A (ja) | 2008-06-03 | 2008-06-03 | 印刷用板紙 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009293139A true JP2009293139A (ja) | 2009-12-17 |
Family
ID=41541573
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008145378A Pending JP2009293139A (ja) | 2008-06-03 | 2008-06-03 | 印刷用板紙 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009293139A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010084268A (ja) * | 2008-09-30 | 2010-04-15 | Daio Paper Corp | 多層抄き塗工板紙 |
JP2014141773A (ja) * | 2012-12-26 | 2014-08-07 | Chuetsu Pulp Kogyo Kk | 印刷用塗工紙 |
JP2020020065A (ja) * | 2018-08-02 | 2020-02-06 | 日本製紙株式会社 | 板紙 |
CN113748243A (zh) * | 2019-05-24 | 2021-12-03 | 大王制纸株式会社 | 瓦楞纸用箱纸板和瓦楞纸用箱纸板的制造方法 |
Citations (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0641896A (ja) * | 1991-10-25 | 1994-02-15 | Honshu Paper Co Ltd | 白板紙 |
JPH0665898A (ja) * | 1992-08-20 | 1994-03-08 | Honshu Paper Co Ltd | オフセット・グラビア印刷共用白板紙 |
JPH11269798A (ja) * | 1998-03-18 | 1999-10-05 | Oji Paper Co Ltd | 塗工紙 |
JPH11279989A (ja) * | 1998-03-26 | 1999-10-12 | Oji Paper Co Ltd | 塗工ライナ |
JP2002363887A (ja) * | 2001-06-04 | 2002-12-18 | Oji Paper Co Ltd | オフセット・グラビア印刷共用塗工白板紙 |
JP2003253594A (ja) * | 2002-02-28 | 2003-09-10 | Oji Paper Co Ltd | 白板紙 |
JP2005048293A (ja) * | 2003-07-29 | 2005-02-24 | Daio Paper Corp | カラーライナー及びその製造方法 |
JP2006322081A (ja) * | 2005-05-17 | 2006-11-30 | Daio Paper Corp | 印刷用板紙 |
JP2007146355A (ja) * | 2005-10-26 | 2007-06-14 | Daio Paper Corp | 再生粒子凝集体内添紙の製造方法 |
JP2007197879A (ja) * | 2006-01-30 | 2007-08-09 | Daio Paper Corp | 塗工紙 |
-
2008
- 2008-06-03 JP JP2008145378A patent/JP2009293139A/ja active Pending
Patent Citations (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0641896A (ja) * | 1991-10-25 | 1994-02-15 | Honshu Paper Co Ltd | 白板紙 |
JPH0665898A (ja) * | 1992-08-20 | 1994-03-08 | Honshu Paper Co Ltd | オフセット・グラビア印刷共用白板紙 |
JPH11269798A (ja) * | 1998-03-18 | 1999-10-05 | Oji Paper Co Ltd | 塗工紙 |
JPH11279989A (ja) * | 1998-03-26 | 1999-10-12 | Oji Paper Co Ltd | 塗工ライナ |
JP2002363887A (ja) * | 2001-06-04 | 2002-12-18 | Oji Paper Co Ltd | オフセット・グラビア印刷共用塗工白板紙 |
JP2003253594A (ja) * | 2002-02-28 | 2003-09-10 | Oji Paper Co Ltd | 白板紙 |
JP2005048293A (ja) * | 2003-07-29 | 2005-02-24 | Daio Paper Corp | カラーライナー及びその製造方法 |
JP2006322081A (ja) * | 2005-05-17 | 2006-11-30 | Daio Paper Corp | 印刷用板紙 |
JP2007146355A (ja) * | 2005-10-26 | 2007-06-14 | Daio Paper Corp | 再生粒子凝集体内添紙の製造方法 |
JP2007197879A (ja) * | 2006-01-30 | 2007-08-09 | Daio Paper Corp | 塗工紙 |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010084268A (ja) * | 2008-09-30 | 2010-04-15 | Daio Paper Corp | 多層抄き塗工板紙 |
JP2014141773A (ja) * | 2012-12-26 | 2014-08-07 | Chuetsu Pulp Kogyo Kk | 印刷用塗工紙 |
JP2020020065A (ja) * | 2018-08-02 | 2020-02-06 | 日本製紙株式会社 | 板紙 |
CN113748243A (zh) * | 2019-05-24 | 2021-12-03 | 大王制纸株式会社 | 瓦楞纸用箱纸板和瓦楞纸用箱纸板的制造方法 |
CN113748243B (zh) * | 2019-05-24 | 2022-12-16 | 大王制纸株式会社 | 瓦楞纸用箱纸板和瓦楞纸用箱纸板的制造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5344681B2 (ja) | 多層抄き塗工板紙 | |
JP2009293139A (ja) | 印刷用板紙 | |
JP2008214782A (ja) | グラビア印刷用塗工紙 | |
JP2009167540A (ja) | コールドオフセット用新聞印刷用紙 | |
JPH11279989A (ja) | 塗工ライナ | |
CN102362030A (zh) | 具有两面涂层的低密度纸张和纸板 | |
KR101100338B1 (ko) | 인쇄용 도피지 | |
JP5308115B2 (ja) | 印刷用塗工紙及び印刷用塗工紙の製造方法 | |
JP2010077552A (ja) | 塗工ライナー及びそれを用いた段ボールシート | |
JP2019157326A (ja) | 紙包装容器用原紙 | |
JP6507539B2 (ja) | 塗工白板紙 | |
JP6503666B2 (ja) | 塗工白板紙 | |
JP5574594B2 (ja) | 多層抄き塗工板紙 | |
JP5371276B2 (ja) | 塗工紙及びその製造方法 | |
JP4952628B2 (ja) | 塗工ライナー及びそれを用いた段ボールシート | |
JP4873973B2 (ja) | グラビア印刷用塗工紙の製造方法及びその塗工紙 | |
JP2007046218A (ja) | 印刷用塗被紙およびその製造方法 | |
JP2006322081A (ja) | 印刷用板紙 | |
JP6398878B2 (ja) | 塗工ライナーとその製造法及び塗工ライナーを有する段ボールシート | |
JP2020056117A (ja) | 段ボールシート用ライナー、段ボールシートおよび印刷物の製造方法 | |
JP2005133278A (ja) | ダル調塗工紙 | |
JP7424723B2 (ja) | 機能紙 | |
JP2012117184A (ja) | 塗工紙 | |
JP2011208309A (ja) | 工程剥離紙 | |
JP5593599B2 (ja) | 塗工ライナー及びそれを用いた段ボールシート |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110527 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120907 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120918 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20130219 |