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JP2009289703A - リチウムイオン電池及びこの製造方法 - Google Patents

リチウムイオン電池及びこの製造方法 Download PDF

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JP2009289703A JP2008143815A JP2008143815A JP2009289703A JP 2009289703 A JP2009289703 A JP 2009289703A JP 2008143815 A JP2008143815 A JP 2008143815A JP 2008143815 A JP2008143815 A JP 2008143815A JP 2009289703 A JP2009289703 A JP 2009289703A
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Abstract

【課題】 充放電に用いられるリチウムイオンの濃度が低下してしまうのを抑制する。
【解決手段】 リチウムイオン電池(1)は、正極素子(12)及び負極素子(13)を備え、第1の電解液を含む発電要素(11)と、発電要素を収容するケース(10)と、ケース内に収容され、発電要素の外部に位置する第2の電解液(20)と、を有する。そして、第2の電解液におけるリチウムイオンの濃度が、第1の電解液におけるリチウムイオンの濃度よりも高くなっている。
【選択図】 図4

Description

本発明は、リチウムイオン電池及び、この製造方法に関するものであり、より具体的には、充放電を行う際の電解液中に含まれるリチウムイオンの濃度が低下するのを抑制することができるリチウムイオン電池等に関するものである。
図5は、リチウムイオン電池(単電池)の構成を示している。ここで、正極素子101及び負極素子102の間には、電解液を含むセパレータ103が配置されている。正極素子101は、集電板101aと、集電板101aの表面に形成され、正極に応じた活物質を含む正極層101bとを有している。また、負極素子102は、集電板102aと、集電板102aの表面に形成され、負極に応じた活物質を含む負極層102bとを有している。なお、図5では、正極素子101及び負極素子102をセパレータ103から離して示しているが、実際には、正極層101b及び負極層102bがセパレータ103に接触している。
図5に示すリチウムイオン電池の構成において、充電を行うときには、正極層101bから負極層102bに向かってリチウムイオンが移動し、放電を行うときには、負極層102bから正極層101bに向かってリチウムイオンが移動する。なお、図5では、放電時におけるリチウムイオンの移動を示している。
一方、複数のリチウムイオン電池を並列に配置して電池モジュール(組電池)を構成する場合には、電池モジュールを狭持するための力(外力)Fを、電池モジュールの両端部に対して作用させている。この場合には、図5に示すように、1つのリチウムイオン電池に対しても外力Fが作用することになる。
特開平10−50339号公報
図5に示すように、リチウムイオン電池に対して外力Fが作用している状態において、放電を行うと、負極層102bからリチウムイオンが離れることにより、負極層102bの体積が減少することになる。すなわち、負極層102bは、外力Fを受けることにより、外力Fが作用する方向において縮むことになる。
そして、負極層102bが縮む際に、負極層102bの表面や内部に存在する電解液が、リチウムイオンとともに負極層102bの外部に移動してしまうことがある。具体的には、図6の矢印Dで示す方向に、電解液が移動してしまうことがある。ここで、図6は、外力Fが作用する方向から負極層102bを見たときの正面図である。
上述したように、電解液がリチウムイオンとともに負極層102bの外部に移動してしまうと、充放電に用いられるリチウムイオンの濃度が低下してしまい、リチウムイオン電池の出力性能が低下してしまうおそれがある。
そこで、本発明の目的は、充放電に用いられるリチウムイオンの濃度が低下してしまうのを抑制することができるリチウムイオン電池を提供することにある。
本願第1の発明であるリチウムイオン電池は、正極素子及び負極素子を備え、第1の電解液を含む発電要素と、発電要素を収容するケースと、ケース内に収容され、発電要素の外部に位置する第2の電解液と、を有する。そして、第2の電解液におけるリチウムイオンの濃度が、第1の電解液におけるリチウムイオンの濃度よりも高くなっている。
ここで、負極素子は、集電板上に形成され、活物質を含む負極層を有しており、放電時に負極層が変形することによって、第1の電解液が発電要素の外部に移動する。そして、負極層は、リチウムイオン電池を狭持するための外力を受けることによって変形する。
また、第2の電解液におけるリチウムイオンの濃度を、負極層の変形によって発電要素の外部に移動する第1の電解液におけるリチウムイオンの濃度と略等しくすることができる。これにより、放電時における負極層の変形によって、リチウムイオンを含む第1の電解液が、発電要素の外部に移動して第2の電解液と混ざっても、リチウムイオンの濃度が変化してしまうのを防止できる。
本願第2の発明は、正極素子及び負極素子を備えた発電要素が電解液とともにケース内に収容されたリチウムイオン電池の製造方法であって、ケース内に第1の電解液を注入することにより、第1の電解液を発電要素の内部に含ませる第1工程と、第1の電解液におけるリチウムイオンの濃度よりも高い濃度のリチウムイオンを有する第2の電解液をケース内に注入する第2工程と、を有する。
ここで、第1工程において、発電要素の外部に位置する第1の電解液をケース外に排出させ、第2工程において、第1の電解液の排出量に相当する量の第2の電解液をケース内に注入することができる。これにより、ケース内のスペースのうち、発電要素の外部において、第2の電解液を位置させておくことができる。
また、負極素子が、集電板上に形成され、活物質を含む負極層を有しており、第2の電解液を、放電時の負極層の変形によって発電要素の外部に移動する第1の電解液におけるリチウムイオンの濃度と略等しくすることができる。これにより、放電時における負極層の変形によって、リチウムイオンを含む第1の電解液が、発電要素の外部に移動して第2の電解液と混ざっても、リチウムイオンの濃度が変化してしまうのを防止できる。
本発明では、発電要素の外部に位置する第2の電解液におけるリチウムイオンの濃度を、発電要素の内部に位置する第1の電解液におけるリチウムイオンの濃度よりも高くしている。これにより、放電時に第1の電解液がリチウムイオンとともに発電要素の外部に移動しても、第2の電解液を発電要素の内部に移動させて、発電要素内におけるリチウムイオンの濃度が低下してしまうのを抑制することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
まず、本発明の実施例1であるリチウムイオン電池の構成について説明する。
図1は、本実施例のリチウムイオン電池の内部構成を示す断面図である。ここで、図1に示すX軸、Y軸及びZ軸は、互いに直交する軸を示している。そして、Z軸は、重力が作用する方向を示している。
リチウムイオン電池1は、電池ケース10と、電池ケース10の内部に収容された発電要素11とを有している。発電要素11は、充放電を行うことができる要素であり、図2に示すように、電池ケース10の内部において巻かれた状態で収容されている。ここで、図2は、リチウムイオン電池1をX−Z平面で切断したときの断面図である。
発電要素11は、図3に示すように、正極素子12と、負極素子13と、正極素子12及び負極素子13の間に配置され、電解液を含むセパレータ14とで構成されている。セパレータ14は、電解液を保持することができる部材であり、例えば、不織布を用いることができる。
ここで、正極素子12は、図5に示す構成と同様に、集電板12aと、集電板12aの表面に形成された正極層12bとを有している。正極層12bは、集電板12aのうち、セパレータ14と向かい合う面に形成されている。なお、集電板12aの両面に正極層12bを形成することもできる。
正極層12bとは、正極に応じた活物質を含む層である。正極層12bの活物質としては、例えば、リチウム−遷移金属複合酸化物を用いることができる。また、正極層12bには、活物質の他にも、導電剤等を含めることができる。導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、カーボンナノチューブを用いることができる。
また、負極素子13は、図5に示す構成と同様に、集電板13aと、集電板13aの表面に形成された負極層13bとを有している。負極層13bは、集電板13aのうち、セパレータ14と向かい合う面に形成されている。なお、集電板13aの両面に負極層13bを形成することもできる。負極層13bとは、負極に応じた活物質を含む層である。負極層の活物質としては、例えば、カーボンを用いることができる。また、負極層13bには、活物質の他にも、導電剤等を含めることができる。
なお、集電板の一方の面に正極層12bを形成するとともに、集電板の他方の面に負極層13bを形成した電極を用いることもできる。この電極は、いわゆるバイポーラ電極と呼ばれるものである。また、本実施例では、図1及び図2に示すように、リチウムイオン電池1をいわゆる角型の構成としているが、これに限るものではなく、いわゆる円筒型の構成とすることもできる。すなわち、電池ケース10を矩形状又は円筒形状とし、この電池ケース10の内部に、発電要素11を巻いた状態で収容すればよい。
一方、電池ケース10の内部には、図1に示すように、余剰液としての電解液20が収容されている。電解液20は、電池ケース10内において、発電要素11の外部に位置しており、発電要素11と接触している。電解液20は、発電要素11における充放電の性能を担保するために用いられている。ここで、発電要素11の内部には、後述するように、電解液20とは異なる電解液が含まれている。
なお、電解液20の量は、適宜設定することができる。また、電池ケース10内のスペースのうち、電解液20が位置していない領域には、気体が存在している。この気体としては、例えば、空気や、アルゴンといった希ガスがある。
図1において、正極素子12の集電板12aに接続された正極タブ12cには、正極端子21が電気的及び機械的に接続されている。ここで、正極端子21に接続される正極タブ12cは、図1に示すように、巻かれた状態の発電要素11のうちY方向における一端部から突出している。正極タブ12cは、正極素子12の集電板12aと一体として構成することもできるし、別体として構成することもできる。
また、負極素子13の集電板13aに接続された負極タブ13cには、負極端子22が電気的及び機械的に接続されている。ここで、負極端子22に接続される負極タブ13cは、巻かれた状態の発電要素11のうちY方向における他端部から突出している。負極タブ13cは、負極素子13の集電板13aと一体として構成することもできるし、別体として構成することもできる。
正極端子21及び負極端子22は、電池ケース10の上面から突出しており、配線(不図示)を介して電子機器(不図示)に電気的に接続される。これにより、リチウムイオン電池1の出力を用いて、電子機器を駆動することができる。
ここで、リチウムイオン電池1を車両の駆動源として用いる場合には、リチウムイオン電池1を複数用意しておき、これらのリチウムイオン電池1を電気的に直列に接続することにより、電池モジュール(組電池)を構成することができる。そして、電池モジュールから車両の走行に必要なエネルギを取り出したり、車両の制動時に発生する運動エネルギを回生電力として電池モジュールに蓄えたりすることができる。
なお、各リチウムイオン電池1における正極端子21及び負極端子22は、他のリチウムイオン電池1における正極端子21及び負極端子22と、バスバーを介して電気的に接続される。また、電池モジュールを備えた車両としては、内燃機関又は燃料電池といった他の動力源と共に用いられるハイブリッド自動車や、電池モジュールだけを動力源として備えた電気自動車が挙げられる。また、電池モジュールと電気的に接続される機器としては、例えば、車両の走行用モータを駆動するためのインバータや、電池モジュールの出力(電圧値)を変換するためのDC/DCコンバータがある。
次に、リチウムイオン電池1の製造工程について説明する。
まず、正極素子12及び負極素子13をそれぞれ製造しておき、図3に示すように、正極素子12及び負極素子13を、セパレータ14を挟んだ状態で積層する。ここで、正極素子12は、集電板12aに対して、正極層12bを構成する材料を塗布することによって得られる。また、負極素子13は、集電板13aに対して、負極層13bを構成する材料を塗布することによって得られる。なお、正極層12b及び負極層13bを構成する材料は、例えば、グラビアロール又はスプレーを用いた塗布装置を用いて塗布することができる。
次に、正極素子12、負極素子13及びセパレータ14が積層された発電要素11を、図2に示すように巻いた状態とする。そして、巻いた状態の発電要素11を、電池ケース10に収容し、電解液を電池ケース10に注入する。電池ケース10に注入される電解液としては、発電要素11の内部に含ませる電解液(第1の電解液)と、発電要素11の外部に位置する余剰液としての電解液(第2の電解液)とがある。
ここで、電池ケース10の内部に電解液を注入する工程について、図4を用いて説明する。
ステップS10において電池ケース10の内部を減圧状態とした後に、ステップS11において、第1の電解液を電池ケース10に注入する。第1の電解液においては、リチウムイオンの濃度が所定値に設定されている。所定値とは、リチウムイオン電池1の特性に基づいて予め設定されたリチウムイオンの濃度であり、例えば、1.0[mol/L]とすることができる。また、第1の電解液は、リチウムイオンの濃度に関して、上述した電解液20とは異なっている。
電池ケース10の内部を減圧状態とした上で、第1の電解液を注入することにより、発電要素11の内部に第1の電解液が浸透する。具体的には、セパレータ14の内部、正極層12b及び負極層13bの内部、セパレータ14と正極層12b(及び負極層13b)との間の隙間に、第1の電解液が浸透する。
次に、ステップS12において電池ケース10の内部を減圧状態とした後に、ステップS13において、第1の電解液を電池ケース10に注入する。この第1の電解液は、ステップS11で用いられた第1の電解液と同じである。ステップS12,13の処理によっても、発電要素11の内部に第1の電解液を浸透させることができる。
本実施例では、減圧状態の電池ケース10に対して、第1の電解液を2回に分けて注入するようにしている。これにより、発電要素11の内部に第1の電解液を効率良く浸透させることができる。なお、第1の電解液を注入する回数は、2回に限るものではなく、適宜設定することができる。そして、第1の電解液の注入処理を複数回に分けて行うことにより、発電要素11の内部において第1の電解液の量がばらつくのを抑制することができる。
ここで、ステップS13までの処理において、電池ケース10内に注入する第1の電解液の量(体積)は予め設定されている。
ステップS13の注入処理が完了すると、電池ケース10内のスペースのうち、発電要素11の外部に位置するスペースには、余剰液としての第1の電解液が存在するようになっている。
次に、ステップS14において、電池ケース10の内部に存在する余剰液としての第1の電解液を電池ケース10の外部に排出させ、排出された第1の電解液の量(体積)を計測する。ここで、余剰液としての第1の電解液を電池ケース10の外部に排出させても、発電要素11の内部には第1の電解液が残ったままとなっている。すなわち、発電要素11の充放電に用いられる電解液は、ステップS11,13の注入処理で用いられた第1の電解液となる。
なお、本実施例では、電池ケース10の外部に排出された第1の電解液の量を直接、計測するようにしているが、これに限るものではない。すなわち、電池ケース10の外部に排出された第1の電解液の量を間接的に計測することもできる。
具体的には、ステップS13の注入処理が完了した時点での電池ケース10の重量を測定するとともに、第1の電解液を排出した後の電池ケース10の重量を測定する。ここでいう電池ケース10の重量とは、電池ケース10自体の重量ではなく、電池ケース10の内部に収容された発電要素11や第1の電解液の重量を含むものである。そして、電池ケース10の重量の差を求めることにより、電池ケース10の外部に排出された第1の電解液の量を特定することができる。
次に、ステップS15において電池ケース10の内部を減圧状態とした後に、ステップS16において、第2の電解液を電池ケース10に注入する。第2の電解液の量(体積)は、ステップS14で計測された第1の電解液の量(体積)と略等しくしている。また、第2の電解液におけるリチウムイオンの濃度は、第1の電解液におけるリチウムイオンの濃度よりも高くなっている。電池ケース10内に注入された第2の電解液は、上述した余剰液としての電解液20となる。
ここで、第2の電解液におけるリチウムイオンの濃度は、以下に説明するように設定することができる。
まず、外力F(図5参照)を受けることによって、発電要素11の内部から外部に漏れる電解液におけるリチウムイオンの濃度を測定する。具体的には、発電要素11を連続放電させた状態において、外力Fを受けることによって、発電要素11の外部に漏れる電解液におけるリチウムイオンの濃度を測定する。そして、測定したリチウムイオンの濃度と略等しくなるように、第2の電解液におけるリチウムイオンの濃度を設定する。
ステップS17において、第1及び第2の電解液を注入するために用いられた注入口を閉じる。ここで、注入口を閉じる処理は、後述するように、注入口を再度、開いた状態とすることがあるため、注入口を仮に閉じておくものである。上述した処理により、電解液を電池ケース10に注入する工程が完了する。
ここで、図4に示す処理が完了した後は、発電要素11の充放電を行う。このとき、発電要素11からはガスが発生することもあるため、閉じた状態の注入口を開いた状態に戻し、電池ケース10内に存在するガスを外部に排出させる。この後、例えば、注入口を溶接によって閉じることにより、リチウムイオン電池1が得られる。ここで、電池ケース10内の電解液が注入口を介して電池ケース10の外部に漏れてしまうのを防止するために、注入口は完全に閉じた状態とする必要がある。
本実施例によれば、上述したように、電解液を注入する工程を変更するだけで、本実施例におけるリチウムイオン電池1を得ることができる。
なお、本実施例では、電池ケース10の内部を減圧状態とした上で、電解液を注入するようにしているが、これに限るものではない。例えば、重力を利用して電解液を注入したり、遠心力を利用して電解液を注入したりすることができる。
図5及び図6を用いて説明したように、放電時における負極層13bの変形によって、負極層13bの内部や表面に存在する第1の電解液が、リチウムイオンとともに発電要素11の外部に漏れてしまうことがある。ここで、リチウムイオン電池1を連続放電させた場合には、負極層13bの表層部分に位置する第1の電解液において、リチウムイオンの濃度が一次的に上昇することになる。すなわち、放電時には、リチウムイオンが負極層13bから正極層12bに向かって移動することになるため、負極層13bの表層部分には、リチウムイオンが多く存在することになる。
このとき、負極層13bの表層部分に位置する第1の電解液が、発電要素11の外部に漏れてしまうと、第1の電解液とともに、より多くのリチウムイオンが発電要素11の外部に漏れてしまうことになる。
発電要素11から漏れた第1の電解液は、発電要素11の外部に位置する余剰液としての電解液(第2の電解液)20と混ざることになる。そして、一般的には、発電要素11から漏れる第1の電解液の量は、電解液20の量よりも少ないため、電解液20におけるリチウムイオンの濃度はほとんど変化しない。
ここで、従来のリチウムイオン電池では、電池ケース内に注入される電解液としては、リチウムイオンの濃度が一定である電解液が用いられている。また、発電要素から漏れる電解液におけるリチウムイオンの濃度が、発電要素の外部に位置する電解液におけるリチウムイオンの濃度よりも高くなることがある。この場合には、発電要素から漏れる電解液が、発電要素の外部に位置する電解液と混ざることにより、リチウムイオンの濃度が希釈されることになる。
発電要素から漏れて電解液と混ざった電解液は、発電要素を充電させたり、放置させたりしたときに、発電要素の内部に戻ることがある。このとき、発電要素に戻る電解液におけるリチウムイオンの濃度は、発電要素の外部に位置する電解液におけるリチウムイオンの濃度と略等しくなっている。
ここで、従来の構成では、発電要素から漏れたときのリチウムイオンの濃度よりも低い濃度のリチウムイオンが発電要素に戻ることになる。すなわち、発電要素内におけるリチウムイオンの濃度を、発電要素から電解液が漏れる前の濃度に戻すことができなくなってしまう。このような場合には、発電要素内におけるリチウムイオンの濃度が低下してしまい、リチウムイオン電池の出力性能が低下してしまうことになる。
そこで、本実施例では、上述したように、余剰液としての電解液(第2の電解液)20におけるリチウムイオンの濃度を、発電要素11の内部に存在する電解液(第1の電解液)におけるリチウムイオンの濃度よりも高くしている。これにより、発電要素11の内部に存在する第1の電解液が外部に漏れて、余剰液としての電解液20と混ざっても、リチウムイオンの濃度が希釈化されてしまうのを抑制することができる。
そして、発電要素11の外部に位置する電解液20を発電要素11の内部に戻すことにより、発電要素11内の電解液に含まれるリチウムイオンの濃度が低下してしまうのを抑制することができる。すなわち、発電要素11内の電解液に含まれるリチウムイオンの濃度よりも高い濃度のリチウムイオンを含む電解液が、発電要素11の内部に戻るため、発電要素11内の電解液におけるリチウムイオンの濃度が低下するのを抑制できる。
ここで、上述したように、発電要素11の外部に位置する電解液20におけるリチウムイオンの濃度を、負極層13bの変形によって発電要素11の外部に漏れる電解液におけるリチウムイオンの濃度と略等しくすることができる。これにより、発電要素11の外部に漏れた電解液が電解液20と混ざっても、リチウムイオンの濃度が変化することはない。
このように、発電要素11内におけるリチウムイオンの濃度が低下するのを抑制することにより、リチウムイオン電池1の出力性能が低下してしまうのを抑制することができる。
なお、本実施例では、発電要素11に対して、電池モジュールを拘束したときの外力Fが作用する場合について説明したが、これに限るものではない。すなわち、負極層13bを変形させる外力が発電要素11に加わる状態であれば、本発明を適用することができる。
また、本実施例では、図4のステップS14で説明したように、発電要素11の外部に残った第1の電解液を、電池ケース10の外部に排出させているが、これに限るものではない。具体的には、発電要素11の内部に含ませる量だけの第1の電解液を電池ケース10に注入しておけば、第1の電解液を排出させなくてもよい。この場合において、電池ケース10の内部に注入する電解液の総量は予め決定されているため、この総量と、注入した第1の電解液の量との差に相当する量だけ、第2の電解液を注入すればよい。
リチウムイオン電池の内部構成を示す図である。 リチウムイオン電池の内部構成を示す断面図である。 発電要素の構成を示す概略図である。 電池ケースの内部に電解液を注入する工程を説明するためのフローチャートである。 リチウムイオン電池における充放電を説明するための図である。 負極層から電解液が漏れる状態を説明するための図である。
符号の説明
1:リチウムイオン電池 10:電池ケース 11:発電要素
12:正極素子 12b:正極層 13:負極素子
13b:負極層 12a,13a:集電板 14:セパレータ
20:電解液(余剰液) 21:正極端子 22:負極端子

Claims (7)

  1. 正極素子及び負極素子を備え、第1の電解液を含む発電要素と、
    前記発電要素を収容するケースと、
    前記ケース内に収容され、前記発電要素の外部に位置する第2の電解液と、を有し、
    前記第2の電解液におけるリチウムイオンの濃度が、前記第1の電解液におけるリチウムイオンの濃度よりも高いことを特徴とするリチウムイオン電池。
  2. 前記負極素子は、集電板上に形成され、活物質を含む負極層を有しており、
    放電時における前記負極層の変形によって前記第1の電解液が前記発電要素の外部に移動することを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池。
  3. 前記負極層は、前記リチウムイオン電池を狭持するための外力を受けることによって変形することを特徴とする請求項2に記載のリチウムイオン電池。
  4. 前記第2の電解液におけるリチウムイオンの濃度は、前記負極層の変形によって前記発電要素の外部に移動する前記第1の電解液におけるリチウムイオンの濃度と略等しいことを特徴とする請求項2又は3に記載のリチウムイオン電池。
  5. 正極素子及び負極素子を備えた発電要素が電解液とともにケース内に収容されたリチウムイオン電池の製造方法であって、
    前記ケース内に第1の電解液を注入することにより、前記第1の電解液を前記発電要素の内部に含ませる第1工程と、
    前記第1の電解液におけるリチウムイオンの濃度よりも高い濃度のリチウムイオンを有する第2の電解液を前記ケース内に注入する第2工程と、を有することを特徴とするリチウムイオン電池の製造方法。
  6. 前記第1工程において、前記発電要素の外部に位置する前記第1の電解液を前記ケース外に排出させ、
    前記第2工程において、前記第1の電解液の排出量に相当する量の前記第2の電解液を前記ケース内に注入することを特徴とする請求項5に記載のリチウムイオン電池の製造方法。
  7. 前記負極素子は、集電板上に形成され、活物質を含む負極層を有しており、
    前記第2の電解液は、放電時の前記負極層の変形によって前記発電要素の外部に移動する前記第1の電解液におけるリチウムイオンの濃度と略等しいことを特徴とする請求項5又は6に記載のリチウムイオン電池の製造方法。
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