JP2009288284A - 画像加熱装置、及びこれを備えた画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ベルト方式の画像加熱装置について、装置の複雑化・大型化・コストアップを抑えながら、ベルト破損の発生を抑える。
【解決手段】無端ベルト10の回転を正逆変更可能な駆動装置Mと、無端ベルトの幅方向への移動を規制する規制部材15を有し、プリント終了後、見短ベルトを記録材搬送方向に対して逆方向に所定時間だけ回転させる、或いは、無端ベルトが所定の位置に移動したことが位置検知手段54で検知されるまで回転させる。
【選択図】図9
【解決手段】無端ベルト10の回転を正逆変更可能な駆動装置Mと、無端ベルトの幅方向への移動を規制する規制部材15を有し、プリント終了後、見短ベルトを記録材搬送方向に対して逆方向に所定時間だけ回転させる、或いは、無端ベルトが所定の位置に移動したことが位置検知手段54で検知されるまで回転させる。
【選択図】図9
Description
本発明は、電子写真方式や静電記録方式などによって画像形成を行う複写機・プリンタ・ファックス等の画像形成装置に搭載される定着装置として用いて好適な、ベルト方式の画像加熱装置、及びこれを備えた画像形成装置に関する。
画像加熱装置としては、記録材に形成担持させた未定着トナー画像を加熱定着させる定着装置や、記録材に定着された画像を加熱することにより画像の光沢度を増大させる光沢度増大装置等を挙げることができる。
未定着トナー画像を加熱溶融定着する定着装置としては、内部にヒータを有する定着ローラに加圧ローラを圧接してニップを形成し、そのニップで未定着トナー画像を担持させた記録材を挟持搬送して定着を行うローラ定着方式が一般的である。
近年は、ベルトを介して記録材上の未定着トナー画像を定着するベルト定着方式が用いられるようになっている。
ベルト定着方式は、ローラ定着方式に比べ、装置を大型化することなく広いニップを形成することができるので、ウエイトタイム短縮、装置の小型化、高速化対応が可能である。
しかしながら、ベルト定着方式においては、ベルトの回転方向と直交するベルト幅方向の一端側又は他端側への寄り力によりベルトが移動し、ベルト端部が側板もしくは規制部材面と摺擦を繰り返すことで、ベルト端部が割れたり、削れるという問題があった。
そこで、特許文献1のように、ベルトの幅方向への移動を検知するセンサを設け、該センサの検知信号に応じてベルトを張架するローラの角度を変化させことで、ベルトを寄り方向とは逆方向に移動させる寄り制御機構を備えるものがある。この機構によりベルトの端部割れを防止することができる。
また、特許文献2では、ベルトの端部を突き当てて受けとめ、ベルトの移動に従動して回転自在である規制部材を配設する寄り規制手段が提案されている。
特開平3−209285号公報
特開2002−323821号公報
特許文献2の方式においては、ベルト端部と規制部材面との摺擦による削れは低減できる。しかし、ベルトの幅方向への寄り力によるベルト端部へのダメージの一層の低減が望まれている。特に、朝一等の定着装置が冷えている状態から定着装置を立ち上げるウォームアップ時では、ベルト内面との摺擦部に塗布された潤滑剤の粘度が高い等により、大きな寄り力が発生する。そのため、ベルト端部の割れや座屈等の破損が生じるようなことが考えられ、この点の更なる改善が望まれている。
そこで、本発明はその改善を目的とするもので、装置の複雑化・大型化・コストアップを抑えながら、ベルト破損の発生を抑えた、ベルト方式の画像加熱装置、及びこれを備えた画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するための本発明に係る画像加熱装置は、記録材に形成された画像を加熱する画像加熱装置であって、前記記録材をニップ部にて挟持搬送して加熱する無端ベルトと、前記無端ベルトを回転させるための駆動装置であって、前記無端ベルトの回転を記録材搬送方向とそれとは逆方向とに変更可能な駆動装置と、前記無端ベルトの回転に伴うベルト幅方向への寄り移動をベルト端部を受け止めて規制する規制部材と、前記無端ベルトの前記記録材搬送方向への回転の終了後、前記無端ベルトを前記逆方向に所定時間だけ回転させる第1ステップと、前記第1ステップの後、前記無端ベルトの回転を停止させる第2ステップと、を有する駆動装置制御シーケンスを実行する制御部と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、簡易な構成にもかかわらず、立ち上げ時のベルト端部へのダメージが低減でき、装置の複雑化・大型化・コストアップを抑えながら、ベルト破損の発生を抑えられ、ベルトの長寿命化が図れる。
以下に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、これら実施例は、本発明を適用できる実施形態の一例ではあるものの、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではなく本発明の思想の範囲内において種々の変形が可能である。
[第1の実施例]
(1)画像形成部
図1は画像形成装置の一例の概略構成図である。本例の画像形成装置は転写式電子写真プロセス利用のレーザビームプリンタである。
(1)画像形成部
図1は画像形成装置の一例の概略構成図である。本例の画像形成装置は転写式電子写真プロセス利用のレーザビームプリンタである。
1は像担持体としての感光ドラムである。OPC、アモルファスSe、アモルファスSi等の感光材料の層がアルミニウムやニッケルなどのシリンダ状の導電性の基盤上に形成されている。
感光ドラム1は矢印の時計方向に所定の周速度(プリント速度、プロセススピード)をもって回転駆動され、まず、その表面は帯電装置としての帯電ローラ2によって所定の極性・電位に一様帯電される。
次に、その一様帯電処理面に対して、レーザスキャナ3により、画像情報に応じてON/OFF制御されたレーザビームによる走査露光3aが施され、静電潜像が形成される。
この静電潜像は、現像装置4でトナー像として現像、可視化される。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法、FEED現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像とを組み合わせて用いられることが多い。
可視化されたトナー像は、転写装置としての転写ローラ5により、所定のタイミングで搬送された記録材P上に感光ドラム1上より転写される。
以上が記録材Pに未定着画像(未定着トナー像)を形成する画像形成手段である。
ここで、感光ドラム1上のトナー像の画像形成位置と記録材Pの先端の書き出し位置が合致するようにセンサ8にて記録材Pの先端を検知し、タイミングを合わせている。所定のタイミングで搬送された記録材Pは感光ドラム1と転写ローラ5間で挟持搬送されて、感光ドラム1上のトナー像が記録材Pの面に順次に転写される。トナー像が転写された記録材Pは感光ドラム1の面から分離されて画像加熱装置である定着装置6へと搬送され、固着画像として加熱定着される。
一方、記録材分離後の感光ドラム1の表面は、残存する転写残りの残留トナーがクリーニング装置7により除去されて清掃され、繰り返して作像に供される。
(2)定着装置6
本実施例において、画像加熱装置である定着装置6は、加熱部材として円筒状の金属ベルト(画像を担持した記録材をニップ部にて挟持搬送して加熱する無端ベルト)を用いた、ベルト(フィルム)加熱方式、加圧部材駆動方式のベルト定着装置である。
本実施例において、画像加熱装置である定着装置6は、加熱部材として円筒状の金属ベルト(画像を担持した記録材をニップ部にて挟持搬送して加熱する無端ベルト)を用いた、ベルト(フィルム)加熱方式、加圧部材駆動方式のベルト定着装置である。
以下の説明において、定着装置6又はこれを構成している部材の幅方向とは記録材搬送路面内において記録材搬送方向に直交する方向に並行な方向である。定着装置6に関し、正面とは記録材入口側から見た面、背面とはその反対側の面(記録材出口側)である。左右とは装置を正面から見て左(手前側)又は右(奥側)である。上流側と下流側とは記録材搬送方向に関して上流側と下流側である。
図2は定着装置6の途中部分省略の正面模型図、図3は同じく途中部分省略の縦断正面模型図、図4は図2の(4)−(4)線に沿う拡大横断面模型図である。図5は装置の分解斜視模型図、図6は加熱ユニットの分解斜視模型図である。
9は加熱ユニット(定着部材)である。20は加圧部材(加圧回転体)としての弾性加圧ローラである。この加熱ユニット9と加圧ローラ20とを装置筐体(板金フレーム)30の左右の側板31間に上下にほぼ並行に保持させて、両者の圧接により加熱ニップ部としての定着ニップ部Nを形成させている。加熱ユニット9は、下記a〜d等の組み立て体(アセンブリ)である。
a:耐熱性・剛性を有する横長の断熱ステイホルダー12
b:この断熱ステイホルダー12の下面に、該部材の長手(幅方向)に沿って設けた凹溝部12aに嵌め入れて固定支持させた、通電により発熱するヒータ(加熱体)11
c:ヒータ11を固定支持させた断熱ステイホルダー12にルーズに外嵌させた、加熱部材としての可撓性を有する無端ベルトである円筒状(エンドレス)の定着ベルト10
d:断熱ステイホルダー12の左右両端側の外方延長部12bにそれぞれ装着した、定着ベルト10の幅方向(母線方向)への寄り移動を規制する規制手段としてのフランジ部材15
加圧部材としての弾性加圧ローラ20は、芯金21と、芯金21の外側にシリコンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムあるいはシリコンゴムを発泡して形成された弾性層22からなる。弾性層22の上にPFA、PTFE、FEP等の離型性層23を形成してあってもよい。
b:この断熱ステイホルダー12の下面に、該部材の長手(幅方向)に沿って設けた凹溝部12aに嵌め入れて固定支持させた、通電により発熱するヒータ(加熱体)11
c:ヒータ11を固定支持させた断熱ステイホルダー12にルーズに外嵌させた、加熱部材としての可撓性を有する無端ベルトである円筒状(エンドレス)の定着ベルト10
d:断熱ステイホルダー12の左右両端側の外方延長部12bにそれぞれ装着した、定着ベルト10の幅方向(母線方向)への寄り移動を規制する規制手段としてのフランジ部材15
加圧部材としての弾性加圧ローラ20は、芯金21と、芯金21の外側にシリコンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムあるいはシリコンゴムを発泡して形成された弾性層22からなる。弾性層22の上にPFA、PTFE、FEP等の離型性層23を形成してあってもよい。
装置筐体30の左右の側板31にはそれぞれ上辺側を開放口部にした、幅Lbの、縦長の嵌合用溝31aを同形(左右対称)に形成してある。その各嵌合用溝31a内の底部に対して、PEEK・PPS・液晶ポリマー等の耐熱性樹脂よりなる軸受け部材32あるいはベアリングを、嵌合部32aを係合させて装着してある。そしてこの左右の軸受け部材32にそれぞれ加圧ローラ芯金21の左右端部を支持させることで、加圧ローラ20を左右の側板31間に回転自在に保持させてある。
加熱ユニット9は、その左右のフランジ部15の後述する固定フランジ15Bにそれぞれ具備させた縦方向嵌合部15cを上記の左右の側板31の嵌合用溝31aの縁部に係合させることで、加圧ローラ20の上側において左右の側板31間に配設してある。上記の縦方向嵌合部15cと嵌合用溝31aは加熱ユニット9を左右の側板31間において加圧ローラ20の方向にスライド案内するガイドの役割をしている。
そして、左右の固定フランジ15Bの加圧部15dとバネ受け部材40との間に加圧バネ17を縮設している。これにより、加熱ユニット9を所定の加圧力をもって加圧ローラ20の上面に対して定着ベルト10の弾性と加圧ローラ20の弾性に抗して押圧させて記録材搬送方向において所定幅の定着ニップ部Nを形成させている。
定着ニップ部Nにおいては、加熱ユニット9の加圧ローラ20に対する加圧により定着ベルト10がヒータ11を保持させた断熱ステイホルダー12の下面と弾性加圧ローラ20の上面との間に挟まれて、断熱ステイホルダー12の下面に倣って撓む。これにより、定着ベルト10の内面が断熱ステイホルダー12の下面及びヒータ11の下面の扁平面に密着した状態になる。
また、上記のバネ受け部材40を上下動させて加熱ユニット9の加圧ローラ20に対する加圧力、即ち、定着ニップ部Nの加圧力を変更可能な加圧力制御手段56を有する。この加圧力制御手段56は、制御部54により制御される、例えば、制御部54により制御される偏心カム機構や電磁ソレノイド機構などである。制御部54は所定の制御タイミングにて加圧力制御手段56を制御して、バネ受け部材40を加圧バネ17の弾性に抗して所定に押し下げた第1状態と、押し下げを解除した第2状態とに切り換え制御する。第1状態においては、加熱ユニット9が所定の加圧力をもって加圧ローラ20の上面に対して押圧されて記録材搬送方向において所定幅の定着ニップ部Nが形成される。即ち、定着ニップ部Nの加圧力が、記録材を挟持搬送して定着するために必要な圧印加状態に維持される。また、第2状態においては、定着ニップ部Nの加圧力が、第1状態である記録材の挟持搬送時よりも低減された状態或いは加圧解除された状態になる。
Gは加圧ローラ20の芯金21の一端部に固着して配設した駆動ギアである。この駆動ギアGに駆動装置(駆動モータ)Mから回転力が伝達されて、加圧ローラ20が図4において矢印の反時計方向(記録材搬送方向)に所定の回転速度(プリント速度、プロセススピード)にて回転駆動される。この加圧ローラ20の回転駆動に伴って定着ニップ部Nにおける該加圧ローラ20と加熱ユニット9側の定着ベルト10との摩擦力で定着ベルト10に回転力が作用する。これにより、該定着ベルト10がその内面がヒータ11の下面に密着して摺動しながら断熱ステイホルダー12の外回りを図4において時計方向(記録材搬送方向)に加圧ローラ20の回転に従動して回転状態になる(加圧ローラ駆動式)。
駆動装置Mは、無端ベルトである定着ベルト10を回転させるための駆動装置であって、定着ベルト10の回転を記録材搬送方向とそれとは逆方向とに変更可能な装置である。即ち、定着ベルト10の回転を正逆変更可能であり、制御部(CPU)54により制御される。制御部54は、定着装置6を含めて画像形成装置の全体的な画像形成動作を所定の制御プログラムや参照テーブルに従って統括的にシーケンス制御する。
定着ベルト10は内部のヒータ11及び断熱ステイホルダー12に摺擦しながら回転するため、ヒータ11及び断熱ステイホルダー12と定着ベルト10の間の摩擦抵抗を小さく抑える必要がある。このためヒータ11及び断熱ステイホルダー12の表面に耐熱性グリース等の潤滑剤を少量介在させてある。これにより定着ベルト10はスムーズに回転することが可能となる。
ヒータ11は、記録材P上のトナー像Tを溶融、定着させる定着ニップ部Nの加熱を行う。
定着装置6は、プリント開始信号に基いて制御部54により所定の制御タイミングにて加圧ローラ20の回転による定着ベルト10の回転がなされ、またヒータ11に対する通電がなされて該ヒータ11の温度が所定の温度に立ち上がって温調される。
この状態において、未定着トナー像Tを担持した記録材Pが耐熱性の定着入口ガイド24に沿って定着ニップ部Nの定着ベルト10と加圧ローラ20との間に搬送される。そしてその記録材Pが定着ニップ部Nを挟持搬送されることで、未定着トナー像Tが定着ベルト10を介してヒータ11の熱で加熱されて定着される。定着ニップ部Nを通過した記録材Pは定着ベルト10の外面から分離して不図示の耐熱性の定着排紙ガイドに案内されて不図示の排出トレイ上に排出される。
a)定着ベルト10
無端ベルトとしての定着ベルト10は、熱容量の小さな、可撓性のあるスリーブである。より具体的には、クイックスタートを可能にするために総厚500μm以下の厚みで耐熱性、高熱伝導性を有するステンレス、Al、Ni、Cu、Zn等の金属部材を単独あるいは合金部材を基層としたスリーブである。また、長寿命の定着装置を構成するために充分な強度を持ち、耐久性に優れた金属製スリーブとして、総厚30μm以上の厚みが必要である。よって定着ベルト10の総厚みとしては30μm以上500μm以下が最適である。
無端ベルトとしての定着ベルト10は、熱容量の小さな、可撓性のあるスリーブである。より具体的には、クイックスタートを可能にするために総厚500μm以下の厚みで耐熱性、高熱伝導性を有するステンレス、Al、Ni、Cu、Zn等の金属部材を単独あるいは合金部材を基層としたスリーブである。また、長寿命の定着装置を構成するために充分な強度を持ち、耐久性に優れた金属製スリーブとして、総厚30μm以上の厚みが必要である。よって定着ベルト10の総厚みとしては30μm以上500μm以下が最適である。
さらに、オフセット防止や記録材の分離性を確保するために表面は離型性層で被覆されている。離型性層は、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の離型性の良好な耐熱樹脂の混合物ないし単独物である。フッ素樹脂は、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、FEP(テトラフルオロエチレンヘキサフルオロプロピレン共重合体)である。また、ETFE(エチレンテトラフルオロエチレン共重合体)、CTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、PVDF(ポリビニリデンフルオライド)等である。
被覆の方法としては、金属製スリーブ基材の外面をエッチング処理した後に上記離型性層をディッピング、粉体スプレー等の塗布によるものや、あるいはチューブ状に形成されたものを金属製スリーブの表面に被せる方式のものであっても良い。又は、金属製スリーブ基材の外面をブラスト処理した後に、接着剤であるプライマ層を塗布し、上記離型性層を被覆する方法であっても良い。
また、ヒータ11と接触する金属製スリーブ内面に潤滑性の高いフッ素樹脂層、ポリイミド層、ポリアミドイミド層等を形成してあっても良い。
b)ヒータ11
記録材P上のトナー像Tを溶融、定着させる定着ニップ部Nの加熱を行うヒータ11は、例えば、アルミナ、AlN(チッ化アルミ)等の高絶縁性のセラミックス基板やポリイミド、PPS、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂基板を有する。そして、その基板の表面に長手方向に沿って、例えばAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の通電発熱抵抗層をスクリーン印刷等により、厚み10μm程度、幅1〜5mm程度の線状もしくは細帯状に塗工して形成した通電加熱用部材である。
記録材P上のトナー像Tを溶融、定着させる定着ニップ部Nの加熱を行うヒータ11は、例えば、アルミナ、AlN(チッ化アルミ)等の高絶縁性のセラミックス基板やポリイミド、PPS、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂基板を有する。そして、その基板の表面に長手方向に沿って、例えばAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の通電発熱抵抗層をスクリーン印刷等により、厚み10μm程度、幅1〜5mm程度の線状もしくは細帯状に塗工して形成した通電加熱用部材である。
図7はそのようなヒータ(セラミックヒータ)11の一例の概略構成図であり、下記a〜e等からなる。
a:横長のアルミナ・窒化アルミニウム(AlN)・炭化ケイ素等の高絶縁性のセラミックスでできたセラミック基板(ヒータ基板)11a
b:セラミック基板11aの表面側に長手(幅方向)に沿ってスクリーン印刷等により、厚み10μm程度、幅1〜5mm程度の線状もしくは細帯状に塗工し焼成して形成した、例えばAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の通電発熱抵抗層11b
c:通電発熱抵抗層11bの長手(幅方向)両端部に電気的に導通させて設けた、Ag/Pt(銀・白金)で形成された電極部11c
d:通電発熱抵抗層11bの表面に設けた、電気的に絶縁し、金属製定着ベルト10との摺擦に耐えることが可能な薄層のガラスコートやフッ素樹脂コート等の絶縁保護層11d
e:セラミック基板11aの裏面(背面)側に設けたサーミスタ等の温度検知素子14
上記のヒータ11は絶縁保護層11dを設けた側が表面側であり、絶縁保護層11dの面に定着ベルト10が摺動する。このヒータ11を、断熱ステイホルダー12の下面に、該部材の長手に沿って設けた凹溝部12a(図4)に嵌め入れて耐熱性接着剤で接着して保持させてある。
b:セラミック基板11aの表面側に長手(幅方向)に沿ってスクリーン印刷等により、厚み10μm程度、幅1〜5mm程度の線状もしくは細帯状に塗工し焼成して形成した、例えばAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の通電発熱抵抗層11b
c:通電発熱抵抗層11bの長手(幅方向)両端部に電気的に導通させて設けた、Ag/Pt(銀・白金)で形成された電極部11c
d:通電発熱抵抗層11bの表面に設けた、電気的に絶縁し、金属製定着ベルト10との摺擦に耐えることが可能な薄層のガラスコートやフッ素樹脂コート等の絶縁保護層11d
e:セラミック基板11aの裏面(背面)側に設けたサーミスタ等の温度検知素子14
上記のヒータ11は絶縁保護層11dを設けた側が表面側であり、絶縁保護層11dの面に定着ベルト10が摺動する。このヒータ11を、断熱ステイホルダー12の下面に、該部材の長手に沿って設けた凹溝部12a(図4)に嵌め入れて耐熱性接着剤で接着して保持させてある。
51は給電用コネクタであり、断熱ステイホルダー12に固定支持させたヒータ11の電極部11c部分に嵌着され、電極部11cにそれぞれ給電用コネクタ側の電気接点が接触状態になる。52は商用電源(AC)、53はトライアックである。ヒータ11は、商用電源52から、トライアック53を介して電極部11c間に給電されることで通電発熱抵抗層11bの発熱で迅速急峻に昇温する。そのヒータ11の昇温が温度検知体である温度検知素子14により検知され、その検知温度の電気的アナログ情報がアナログデジタル変換回路(A/D変換回)55に入力し、デジタル化されて電力制御手段としての制御部54に入力する。温度検知素子14から制御部54へのDC通電は不図示のDC通電部及びDC電極部を介して不図示のコネクタによりなされる。
制御部54は、温度検知素子14からの信号に応じて、ヒータ11の電極部11cから通電発熱抵抗層11bに印加される電圧のデューティー比や波数等を適切に制御する。これによって、定着ニップ部N内での温調温度を略一定に保ち、記録材P上のトナー像Tを定着するのに必要な加熱を行う。すなわち、温度検知素子14の検知温度に応じたデジタル情報が入力される制御部54は、温度検知素子14の検知温度が目標温度から所定幅内の値になるよう商用電源52から通電発熱抵抗層11bへの通電を制御するようになっている。
制御部54による商用電源52から通電発熱抵抗層11bへの通電の制御としては、位相制御、或いは、波数制御等が採用されている。位相制御は、商用電源52から出力される交流電源の半波周期毎に商用電源52から通電発熱抵抗層11bへの通電に供される位相範囲を温度検知素子14の検知温度に応じて変更する制御である。波数制御は、前記半波周期毎に温度検知素子14の検知温度に応じて商用電源52から通電発熱抵抗層11bへの通電を導通又は遮断のいずれか一方に切り換える制御である。
ヒータ基板11aとして耐摩耗性に優れ、熱伝導性の良好なAlN等を用いた場合には通電発熱抵抗層11bを上記基板に対して定着ニップ部Nと反対側に形成してあっても良い。
図7において、W11bは通電発熱抵抗層11bの幅寸法であり、ヒータ11の有効発熱領域幅である。図2において、W10は定着ベルト10の幅寸法、WPは最大通紙領域幅である。W11b>W10>WPの関係構成にしてある。
c)断熱ステイホルダー12
断熱ステイホルダー12は、ヒータ11を支持する役目、定着ベルト10の回転案内部材の役目、加圧部材の役目、定着ニップ部Nと反対方向への放熱を防ぐための断熱部材の役目等をしている。このホルダー12は、剛性・耐熱性・断熱性の部材であり、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等により形成されている。
断熱ステイホルダー12は、ヒータ11を支持する役目、定着ベルト10の回転案内部材の役目、加圧部材の役目、定着ニップ部Nと反対方向への放熱を防ぐための断熱部材の役目等をしている。このホルダー12は、剛性・耐熱性・断熱性の部材であり、液晶ポリマー、フェノール樹脂、PPS、PEEK等により形成されている。
本実施例では、断熱ステイホルダー12の定着ニップ部Nの下流部を加圧ローラ20側に突出させて高さ1.0mmの凸形状部K(図4、定着ベルトの曲率を変えるためのアゴ部)とした。これは、この凸形状部Kにより定着ベルト10の回転形状を変え、記録材Pと定着ベルト10を曲率分離させるためのものである。
d)フランジ部材15
フランジ部材15は、断熱ステイホルダー12の左右両端部側にそれぞれ装着されて、記録材上の画像をニップ部にて加熱する定着ベルト10の回転に伴うベルト幅方向への寄り移動をベルト端部を受け止めて規制する部材である。
フランジ部材15は、断熱ステイホルダー12の左右両端部側にそれぞれ装着されて、記録材上の画像をニップ部にて加熱する定着ベルト10の回転に伴うベルト幅方向への寄り移動をベルト端部を受け止めて規制する部材である。
このフランジ部材15は、定着ベルト10と所定距離隔てて設けられ定着ベルト10の寄りに伴い定着ベルトの端部と突き当たることにより従動回転自在な平板上の回転体としての無端のリング形状又は円盤形状である第1の規制部材15Aを有する。この第1の規制部材15Aを以下、従動リングと記す。
また、フランジ部材15は、定着ベルト10による従動リング15Aの幅方向への移動を規制する実質的に回転不可に固定された固定体である第2の規制部材15Bである。この第2の規制部材15Bを以下、固定フランジと記す。
a:固定フランジ15B
第2の規制部材としての固定フランジ15Bは、PPS、液晶ポリマー、フェノール樹脂等の耐熱樹脂により形成されている。その形状はキャップ形状であり、第1の規制部材としての従動リング15Aが挿入可能な内径を有した挿入部15aを内面側に有している。また、この内径は、定着ベルト10の外周形状がニップを作ることによって変形した場合でも、図4のように、定着ベルト10の外周面が挿入部15aの内周面に接触しないように十分な大きさを有している。
第2の規制部材としての固定フランジ15Bは、PPS、液晶ポリマー、フェノール樹脂等の耐熱樹脂により形成されている。その形状はキャップ形状であり、第1の規制部材としての従動リング15Aが挿入可能な内径を有した挿入部15aを内面側に有している。また、この内径は、定着ベルト10の外周形状がニップを作ることによって変形した場合でも、図4のように、定着ベルト10の外周面が挿入部15aの内周面に接触しないように十分な大きさを有している。
従動リング15Aの規制部材としての固定フランジ15Bは、従動リング15Aを幅方向で規制すると共に、従動リング15Aの回転位置を規制している。
固定フランジ15Bは断熱ステイホルダー12の左右両端側の外方延長部12bにそれぞれ嵌着し、その固定フランジ15Bの縦方向嵌合部15cを装置筐体30の側板31の嵌合用溝31aに係合させて側板31に装着する。これにより、固定フランジ15Bで従動リング15Aの長手方向への移動を規制している。
また、挿入部15aの一部をヒータ11と干渉しないように15bのように切り欠いているが、その切り欠き部15bの幅は、従動リング15Aの外径よりも小さくなるようにしている。これにより挿入部15a内での従動リング15Aの回転位置を規制している。すなわち、挿入部15aの定着ニップ部側を切り欠くことにより、定着ニップ部長手方向において挿入部15aと定着ニップ領域をオーバーラップさせることができる。
b:従動リング15A
第1の規制部材としての従動リング15Aは、PPS、液晶ポリマー、フェノール樹脂等の耐熱樹脂より形成されている。
第1の規制部材としての従動リング15Aは、PPS、液晶ポリマー、フェノール樹脂等の耐熱樹脂より形成されている。
その形状は、リング型の円盤であり、外径は固定フランジ15の挿入部15aの内径よりも小さく、切り欠き部15bよりも大きい。また内径はヒータ11に干渉しないような大きさである。この内径内に断熱ステイホルダー12の外方延長部12bが貫通位置して従動リング15Aと断熱ステイホルダー12の外方延長部12bとは干渉しない。
この無端のリング形状又は円盤形状の第1の規制部材としての従動リング15Aは回転体である定着ベルト10の母線方向端部に対向する面が平面のみである。
従動リング15Aは定着ベルト10の幅方向の端部を規制すると共に、定着ベルト10が幅方向の力を受けて寄り、従動リング15Aに突き当たると同時に従動リング15Aは定着ベルト10から駆動力を受け、定着ベルト10と共に回転する。これにより、定着ベルト10の端部が摺擦することを防止する。
即ち、定着ベルト10は、その回転過程において、断熱ステイホルダー12の長手(幅方向)に沿ってベルトの回転方向と直交するベルト幅方向の一端側(図2・図3において、矢印Lの左方)又は他端側(矢印Rの左方)へ寄り移動する現象を生じる。
定着ベルト10が左方Lに寄り移動した場合には、定着ベルト10の左側のベルト端部がその側のフランジ部材15の従動リング15Aに突き当たると同時に従動リング15Aは定着ベルト10から駆動力を受け、定着ベルト10と共に回転する。従動リング15Aは固定フランジ15Bにより幅方向の移動が規制されると共に回転位置が規制される。図8の(a)は、上記のように、定着ベルト10が左方Lに寄り移動して、左側のベルト端部がその側のフランジ部材15の従動リング15Aに突き当たって左方への寄り移動が規制されている状態を示している。これにより、定着ベルト10の左側のベルト端部が摺擦することが防止される。
また、定着ベルト10が右方Rに寄り移動した場合には、定着ベルト10の右側のベルト端部がその側のフランジ部材15の従動リング15Aに突き当たると同時に従動リング15Aは定着ベルト10から駆動力を受けて定着ベルト10と共に回転する。従動リング15Aは固定フランジ15Bにより幅方向の移動が規制されると共に回転位置が規制される。これにより、定着ベルト10の右側のベルト端部が摺擦することが防止される。
(3)定着ベルト10の寄り戻し制御
本例のようなベルト定着装置においては、ベルト幅方向での温度や圧分布が大きく傾いた場合を除けば、定着ベルト10の記録材搬送方向の回転に伴う寄り移動方向はヒータ11と加圧ローラ20の平行度等の位置精度のずれにより一方向となる場合が殆どである。即ち、図2・図3において、矢印Lの左方への寄り移動又は矢印Rの左方への寄り移動の一方向への移動現象となる場合が殆どである。そして、寄り移動した側のフランジ部材15の従動リング15Aに突き当たって寄り移動が規制されている状態の定着ベルト10は、定着ベルト10を記録材搬送方向とは逆方向に回転させることで逆方向へ戻し移動することができる。
本例のようなベルト定着装置においては、ベルト幅方向での温度や圧分布が大きく傾いた場合を除けば、定着ベルト10の記録材搬送方向の回転に伴う寄り移動方向はヒータ11と加圧ローラ20の平行度等の位置精度のずれにより一方向となる場合が殆どである。即ち、図2・図3において、矢印Lの左方への寄り移動又は矢印Rの左方への寄り移動の一方向への移動現象となる場合が殆どである。そして、寄り移動した側のフランジ部材15の従動リング15Aに突き当たって寄り移動が規制されている状態の定着ベルト10は、定着ベルト10を記録材搬送方向とは逆方向に回転させることで逆方向へ戻し移動することができる。
そこで、本実施例においては、制御部54は、定着ベルト10の記録材搬送方向への回転の終了後(プリント終了後)は、次の第1ステップと第2ステップとを有する駆動装置制御シーケンスを実行する。
第1ステップ:定着ベルト10を記録材搬送方向とは逆方向に所定時間だけ回転させるステップ。
第2ステップ:この第1ステップの後、定着ベルト10の回転を停止させるステップ。
これにより、簡易な構成にもかかわらず、立ち上げ時のベルト端部へのダメージが低減でき、装置の複雑化・大型化・コストアップを抑えながら、ベルト破損の発生を抑えられ、ベルトの長寿命化が図れる。
図9は制御部54が実行する定着ベルト10の寄り戻し制御のフローチャートである。本実施例においては、定着ベルト10の記録材搬送方向の回転に伴う寄り移動方向は、便宜上、図2・図3において矢印Lの左方への寄り移動であるとする。ここで、加圧ローラ20・定着ベルト10の記録材搬送方向に回転させるための、駆動装置Mの駆動を正回転駆動、記録材搬送方向とは逆方向に回転させるための、駆動装置Mの駆動を逆回転駆動とする。
制御部54は、プリント信号の入力に基いて画像形成装置の画像形成動作を開始させる(S1:プリントスタート)。
定着装置6については、ヒータ11に対する電力の供給がなされて定着ニップ部Nの加熱が開始されると共に、駆動装置Mが正回転駆動される(S2)。そして、ヒータ11が所定の定着温度に立ち上がって温調され、加圧ローラ20・定着ベルト10が所定のプリント速度に対応した速度に立ち上がって安定回転している状態において、未定着トナー像Tを担持した記録材Pが定着ニップ部Nに導入される。記録材Pが定着ニップ部Nを挟持搬送されることで、未定着トナー像Tが定着ベルト10を介してヒータ11の熱で加熱されて熱定着される。定着ニップ部Nを通過した記録材Pは定着ベルト10の外面から分離されて排紙部に排紙され、その排紙が検知される(S3)。排紙検知は、排紙部に排紙される記録材の後端部の通過が排紙部に配設されている排紙センサ(不図示)により検知されることでなされる。ヒータ11の加熱・温調と駆動装置Mの正回転駆動はプリントジョブが終了(プリント終了)するまで行われる(S2〜S4)。即ち、記録材の後端が排紙センサを通過すると、次のプリント信号の有無を判断し、信号があればそのまま回転を継続する。
プリントジョブ中の駆動装置Mの正回転駆動による定着ベルト10の記録材搬送方向への回転に伴って、定着ベルト10は本実施例の場合は、図2・図3において矢印Lの左方への寄り移動する。そして、図8の(a)のように、定着ベルト10の左側のベルト端部が左側のフランジ部材15の従動リング15Aに突き当たると同時に従動リング15Aは定着ベルト10から駆動力を受け、定着ベルト10と共に回転する。従動リング15Aは固定フランジ15Bにより幅方向の移動が規制されると共に回転位置が規制される。これにより、定着ベルト10の左側のベルト端部が摺擦することが防止される。
プリントジョブの終了後(S4の「次のプリント信号−なし」)は、ヒータへの電力供給がオフにされ、また、駆動装置Mが逆回転駆動に変更される(S5)。本実施例においては、この駆動装置Mの逆回転駆動は正回転駆動時と同じ速度(プリント時と同じ速度)で、所定時間だけなされる(S5・S6)。即ち、定着ベルト10が記録材搬送方向とは逆方向に所定時間だけ回転される。本実施例においては、上記の所定時間を10秒に設定している。そして、所定時間経過後に駆動装置Mの逆回転駆動が停止されて(S7)、画像形成装置は次のプリントジョブのプリント信号が入力するまでスタンバイ状態に保持される(S8)。
ステップS5における駆動装置Mの逆回転駆動により、定着ベルト10は記録材搬送方向とは逆方向に回転されることで逆方向への戻し移動がなされる。即ち、それまで、ヒータ11と加圧ローラ20の平行度等の位置精度のずれ等による影響で一方に寄り移動して、その寄り移動側のフランジ部材15の従動リング15Aに突き当たった状態となっている定着ベルト10が逆方向へ戻し移動される。この戻し移動により、ベルト端部が従動リング15Aから離れる。本実施例においては、プリントジョブの実行により、図8の(a)のように、矢印Lの左方への寄り移動してその側のベルト端部が左側のフランジ部材15の従動リング15Aに突き当たった状態となっている定着ベルト10の逆方向Rへの戻し移動が開始される。この戻し移動により、ベルト端部が従動リング15Aから離れていく。本実施例では、定着ベルト10の逆回転時間を10秒とすることで、プリント時には図8の(a)のように片側のフランジに突き当たっていたベルト端部が、逆回転停止時には図8の(b)のようにフランジと非接触の状態にすることができる。
ここで、逆回転時に定着ベルト10が戻りすぎて、逆側のベルト端部がその側のフランジに突き当たったとしても、ヒータ温調の有無にかかわらず定着ベルト温度はある程度の高温を維持したままである。そのため、大きな寄り力は発生せず、ベルト端部の割れや座屈等の破損が生じ得るおそれはなく、問題はない。
この後、定着装置がしばらく使用されず、定着装置が冷えた状態から、ウォームアップ動作に入った場合は、潤滑剤であるグリースの粘度が高い等により、寄り力が最も大きくなる。しかし、定着ベルト10が寄っていく側のベルト端部はフランジに対して非接触であるので(図8の(b))、ベルト端部に付与される力はなく、ベルト端部が割れたり、座屈したりすることが防止される。
このように、プリント終了時に定着ベルト10を逆回転させ、ベルト端部を寄り規制部材と接触しない位置まで戻して終了することで、立ち上げ時の寄り力が大きいときには、ベルト端部が寄り規制部材と接触しない状態であるので、ベルト端部へのダメージが低減でき、ベルトの長寿命化が図れる。
また、駆動装置Mはその回転数(単位時間当たりの回転数)を変更可能に構成して、逆回転駆動時の回転速度を正回転駆動時(プリント時)の回転速度よりも高速にするように制御することで、プリント終了後の回転時間を短縮することが可能となる。
また、駆動装置Mの逆回転駆動時には加圧力制御手段56を第2状態に切り換え状態にする。即ち、定着ニップ部Nの加圧力を記録材の挟持搬送時(定着時)よりも低減する或いは加圧解除して定着ベルト11と加圧ローラ20の圧解除を行い軽圧状態で逆回転させることによって、定着ベルト内面と摺擦部材との磨耗等を抑えることができる。これにより、回転数増加による定着ベルトの短寿命化につながることがない。
[第2の実施例]
本実施例の装置構成は、第1の実施例の装置とほぼ同様であるので、主な相違点のみ説明する。
本実施例の装置構成は、第1の実施例の装置とほぼ同様であるので、主な相違点のみ説明する。
本実施例では、図10の(a)のように、定着ベルト11の回転に伴うベルト幅方向への寄り移動位置を検知する位置検知手段58を具備させている。そして、制御部54は、定着ベルト10の記録材搬送方向への回転の終了後(プリント終了後)は、次の第1ステップと第2ステップとを有する駆動装置制御シーケンスを実行する。
第1ステップ:定着ベルト10を記録材搬送方向とは逆方向に回転させるステップ。
第2ステップ:この第1ステップ回転により寄り移動した定着ベルトが所定の位置に移動したことが位置検知手段58で検知されたら定着ベルト11の回転を停止させるステップ。
本実施例においても、定着ベルト10の記録材搬送方向の回転に伴う寄り移動方向は、第1の実施例の場合と同様に、便宜上、図2・図3において矢印Lの左方への寄り移動であるとする。定着ベルト11の寄り移動位置の検知を行なう位置検知手段58は発光部58aと受光部58bを有するフォトセンサー(フォトインタラプタ)であり、図10のように、定着装置の左側に配設されている。
図11は制御部54が実行する定着ベルト10の寄り戻し制御のフローチャートである。制御部54は、プリント信号の入力に基いて画像形成装置の画像形成動作を開始させる(S1:プリントスタート)。以後、ステップS5までは、第1の実施例における図9のフローチャートのステップS5までと同じである。
そして、本実施例においても、プリントジョブの実行により、図10の(a)のように、定着ベルト10が矢印Lの左方への寄り移動して左側のベルト端部がその側のフランジ部材15の従動リング15Aに突き当たって規制された状態となる。従動リング15Aは固定フランジ15Bにより幅方向の移動が規制されると共に回転位置が規制される。これにより、定着ベルト10の左側のベルト端部が摺擦することが防止される。
この場合において、フォトセンサー58の発光部58aと受光部58bとの間の光路は左方Lへ寄り移動した定着ベルトのその側のベルト端部により遮られた状態になり、フォトセンサー58はオフの状態になる。制御部54はフォトセンサー58−オフであることにより、定着ベルト10が左方への寄り移動していると判断する。また、発光部58aと受光部58bとの間の光路が開放されていることでフォトセンサー58−オンである場合には、制御部54は定着ベルト10の左側のベルト端部が、図8の(b)のように、従動リング15Aから所定に離間している状態にあると判断する。
プリントジョブの終了後(S4の「次のプリント信号−なし」)は、ヒータへの電力供給がオフにされる(S5)。また、この時に、フォトセンサー58−オフの状態である場合には、駆動装置Mが逆回転駆動に変更される(S6・S7)。この駆動装置Mの逆回転駆動は、フォトセンサー58がオフの状態からオンの状態になるまで続行される(S7・S8)。そして、フォトセンサー58がオンの状態になったらその信号に基いて駆動装置Mの逆回転駆動が停止されて(S9)、画像形成装置は次のプリントジョブのプリント信号が入力するまでスタンバイ状態に保持される(S10)。
また、ステップS6において、フォトセンサー58−オンの状態である場合には、駆動装置Mの正回転駆動が停止されて(S9)、画像形成装置は次のプリントジョブのプリント信号が入力するまでスタンバイ状態に保持される(S10)。
ステップS7における駆動装置Mの逆回転駆動により、定着ベルト10は記録材搬送方向とは逆方向に回転されることで逆方向への戻し移動がなされる。即ち、それまで、ヒータ11と加圧ローラ20の平行度等の位置精度のずれ等による影響で一方に寄り移動して、その寄り移動側のフランジ部材15の従動リング15Aに突き当たった状態となっている定着ベルト10が逆方向へ戻し移動される。この戻し移動により、ベルト端部が従動リング15Aから離れる。本実施例においては、図10の(a)のように、矢印Lの左方への寄り移動して左側のベルト端部が左側のフランジ部材15の従動リング15Aに突き当たった状態となっている定着ベルト10の逆方向Rへの戻し移動が開始される。この戻し移動により、ベルト端部が従動リング15Aから離れていく。本実施例では、フォトセンサー58がオフの状態からオンの状態になるまで駆動装置Mの逆回転駆動を実行させる。そして、オンの状態になったら駆動装置Mの逆回転駆動を停止させる。これにより、左方に寄り移動した定着ベルト11が、その側のベルト端部が従動リング15Aから所定に離間した状態に右方Rに戻し移動される。
即ち、プリントジョブの終了後はベルト寄り位置検知センサであるフォトセンサー58の検知結果により、定着ベルト端部が所定の位置まで戻った時点で加圧ローラの回転を停止させる。この位置は定着ベルトが立ち上げ時の寄り力が大きな時にベルトが寄って端部の規制部材に接触しない位置に設定されてある。
この状態で、長期間使用されず、定着装置が冷えた状態からウォームアップ動作に入った場合は、寄り力が最も大きくなる。しかし、ベルト端部はフランジに対して非接触であるので、ベルト端部に付与される力はなく、ベルト端部が割れたり、座屈したりすることが防止される。
このように、ベルト位置検知センサにより立ち上げ時にベルトが接触しない位置まで、確実にベルトを戻すことで、ベルト端部が寄り規制部材と接触しない状態であるので、ベルト端部へのダメージが低減でき、ベルトの長寿命化が図れる。
本発明の画像加熱装置は、実施例の定着装置に限られず、記録材に定着された画像を加熱することにより画像の光沢度を増大させる光沢度増大化装置、その他の画像加熱装置として有効である。
無端ベルトの駆動は加圧部材駆動方式に限られない。無端ベルトを、駆動ローラを含む複数の懸架部材間に懸回張設して駆動ローラにより回転駆動する方式であってもよい。
画像形成装置の記録材に未定着画像を形成する画像形成手段(画像形成方式)は、電子写真方式に限られない。静電記録方式、磁気記録方式などであってもよい。
6:ベルト式の定着装置(画像加熱装置)、10:定着ベルト(無端ベルト)、11:加熱用ヒータ、12:耐熱ステイホルダー、15:固定フランジ(規制部材)、20:加圧ローラ、M:駆動装置、N:定着ニップ部、P:記録材、T:トナー像、54:制御部、56:加圧力制御手段、58:位置検知手段
Claims (5)
- 記録材に形成された画像を加熱する画像加熱装置であって、
前記記録材をニップ部にて挟持搬送して加熱する無端ベルトと、
前記無端ベルトを回転させるための駆動装置であって、前記無端ベルトの回転を記録材搬送方向とそれとは逆方向とに変更可能な駆動装置と、
前記無端ベルトの回転に伴うベルト幅方向への寄り移動をベルト端部を受け止めて規制する規制部材と、
前記無端ベルトの前記記録材搬送方向への回転の終了後、前記無端ベルトを前記逆方向に所定時間だけ回転させる第1ステップと、前記第1ステップの後、前記無端ベルトの回転を停止させる第2ステップと、を有する駆動装置制御シーケンスを実行する制御部と、
を有することを特徴とする画像加熱装置。 - 記録材に形成された画像を加熱する画像加熱装置であって、
前記記録材をニップ部にて挟持搬送して加熱する無端ベルトと、
前記無端ベルトを回転させるための駆動装置であって、前記無端ベルトの回転を記録材搬送方向とそれとは逆方向とに変更可能な駆動装置と、
前記無端ベルトの回転に伴うベルト幅方向への寄り移動をベルト端部を受け止めて規制する規制部材と、
前記無端ベルトの回転に伴うベルト幅方向への寄り移動位置を検知する位置検知手段と、
前記無端ベルトの前記記録材搬送方向への回転の終了後、前記無端ベルトを前記逆方向に回転させる第1ステップと、前記第1ステップの回転により寄り移動した前記無端ベルトが所定の位置に移動したことが前記位置検知手段で検知されたら前記無端ベルトの回転を停止させる第2ステップと、を有する駆動装置制御シーケンスを実行する制御部と、
を有することを特徴とする画像加熱装置。 - 前記無端ベルトの前記逆方向への回転速度は前記記録材搬送方向への回転速度よりも高速であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像加熱装置。
- 前記第1ステップにおいてはニップ部の加圧力を前記記録材の挟持搬送時よりも低減する或いは加圧解除することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像加熱装置。
- 記録材に未定着画像を形成する画像形成手段と、前記記録材に形成された未定着画像を加熱定着する定着装置を有する画像形成装置であって、前記定着装置が請求項1から4のいずれかに記載の画像加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
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