JP2009280637A - ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加工時に発生するガスを低減させた高品質なポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】重合反応終了後のポリアリーレンスルフィド樹脂を含むスラリーを固液分離し、(I)分離されたポリアリーレンスルフィド樹脂に水を加えスラリー化し、スラリー温度150℃以上で熱水洗浄を行った後、固液分離し、(II)分離されたポリアリーレンスルフィド樹脂に、水ならびに無機酸および有機酸から選ばれる少なくとも1種の酸を加えスラリー化し、スラリー温度150℃以上で処理し、処理後のスラリーのpHを7未満とする酸洗浄工程に続き、(III)得られたスラリーに塩基を加え、スラリー温度90℃以下で処理し、処理後のスラリーのpHを6〜8とする塩基処理工程を含むポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】重合反応終了後のポリアリーレンスルフィド樹脂を含むスラリーを固液分離し、(I)分離されたポリアリーレンスルフィド樹脂に水を加えスラリー化し、スラリー温度150℃以上で熱水洗浄を行った後、固液分離し、(II)分離されたポリアリーレンスルフィド樹脂に、水ならびに無機酸および有機酸から選ばれる少なくとも1種の酸を加えスラリー化し、スラリー温度150℃以上で処理し、処理後のスラリーのpHを7未満とする酸洗浄工程に続き、(III)得られたスラリーに塩基を加え、スラリー温度90℃以下で処理し、処理後のスラリーのpHを6〜8とする塩基処理工程を含むポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂から加工時に発生するガスを低減させた高品質なポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法に関するものである。
熱可塑性樹脂の中でもポリフェニレンスルフィド樹脂に代表されるポリアリーレンスルフィド樹脂は、耐熱性、耐衝撃性、高剛性、成形加工性に優れ、かつ、難燃性、耐薬品性、寸法安定性、電気特性に優れた性能を有するため高機能、高性能のエンジニアリングプラスチックとして注目されている。
近年、これらの特性を活かして自動車部品、電気電子部品、精密機器部品さらには一般機器部品として幅広く使用され、その需要は急速に伸びている。
また、ポリフェニレンスルフィド樹脂は一般に射出成形時に発生するガスによって金型内に付着した物質によって金型メンテ回数が多いなどの問題やプロジェクター、プロジェクションTVなど高温で使用されている部品においては、高温使用時にポリフェニレンスルフィド樹脂から発生するガスによってレンズを曇らせてしまうという問題があった。
一方、近年の需要の高まりによって、経済性に優れ、大量生産可能でかつ流動性に優れた高品質なポリアリーレンスルフィド樹脂が求められている。
流動性の向上(溶融粘度の低下)を目的として、ポリアリーレンスルフィド樹脂の酸洗浄が行われるが、酸洗浄後のポリマーは、加熱した時に、発生ガスが増えるという問題点があり、洗浄性の改良が求められていた。
洗浄性の改良方法として、例えば特許文献1には重合反応終了後のポリマーをアセトンおよび水洗浄した後、酸洗浄し、弱塩基で洗浄する方法が開示されているが、アセトンおよび水洗浄の洗浄温度が低く、発生ガスを十分に低減することができない。
特許文献2には酸処理後、アルカリを添加し、処理温度を高温で行うことが開示されているが、アルカリを添加した後、高温で処理すると溶融粘度が上昇するため、好ましくない。
特許文献3には酸処理することが開示されているが、熱水洗浄や塩基処理することが記載されておらず、発生ガスを十分に減らすことができず、好ましくない。
特許文献4には酸処理後、塩基処理をすることが開示されているが、熱水洗浄することが記載されておらず、かつ塩基処理の温度が高く、溶融粘度が上昇するため、好ましくない。
特許文献5には重合反応終了後のポリマーに塩基性化合物を添加することが開示されているが、塩基処理のみの記載であり、溶融粘度が上昇し、大幅な発生ガス低減も見込めず、好ましくない。
特許文献6、7、8には酸処理を施すことが開示されているが、熱水洗浄や酸処理後の塩基を加えることは記載されておらず、発生ガスの低減は見込めないため、好ましくない。
特許文献9は高温水洗浄することが開示されているが、その後の酸処理や塩基処理については何ら記載されておらず、発生ガスの低減は見込めず、好ましくない。
特許文献10は高温水洗浄ならびに高温酸洗浄することが開示されているが、酸洗浄後のスラリーの塩基添加についてはなんら記載されておらず、発生ガスの低減は不十分である。
特開昭63−63721号公報(特許請求の範囲)
特開平08−198965号公報(特許請求の範囲)
特開平10−060113号公報(特許請求の範囲)
特開平10−45912号公報(特許請求の範囲)
特開平8−151443号公報(特許請求の範囲)
特開平10−245434号公報(特許請求の範囲)
特開平10−30388号公報(特許請求の範囲)
特開平8−193131号公報(特許請求の範囲)
特開昭59−49233号公報(特許請求の範囲)
特開2002−293934号公報(特許請求の範囲)
本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂から加工時に発生するガスを低減させた高品質なポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、以下のような手法にてポリアリーレンスルフィド樹脂を製造することで、上記課題が解決できる。すなわち、本発明は、
(1)ポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する際に、重合反応終了後のポリアリーレンスルフィド樹脂を含むスラリーを固液分離し、
(I)分離されたポリアリーレンスルフィド樹脂に水を加えスラリー化し、スラリー温度150℃以上で熱水洗浄を行った後、固液分離し、
(II)分離されたポリアリーレンスルフィド樹脂に水ならびに無機酸および有機酸から選ばれる少なくとも1種の酸を加えスラリー化し、スラリー温度150℃以上で処理し、処理後のスラリーのpHを7未満とする酸洗浄工程に続き、
(III)得られたスラリーに塩基を加え、スラリー温度90℃以下で処理し、処理後のスラリーのPHを6〜8とする塩基処理工程を含むポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法、
(2)重合反応終了後にフラッシュ法でポリアリーレンスルフィド樹脂を回収することを特徴とする(1)記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法、
である。
(1)ポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する際に、重合反応終了後のポリアリーレンスルフィド樹脂を含むスラリーを固液分離し、
(I)分離されたポリアリーレンスルフィド樹脂に水を加えスラリー化し、スラリー温度150℃以上で熱水洗浄を行った後、固液分離し、
(II)分離されたポリアリーレンスルフィド樹脂に水ならびに無機酸および有機酸から選ばれる少なくとも1種の酸を加えスラリー化し、スラリー温度150℃以上で処理し、処理後のスラリーのpHを7未満とする酸洗浄工程に続き、
(III)得られたスラリーに塩基を加え、スラリー温度90℃以下で処理し、処理後のスラリーのPHを6〜8とする塩基処理工程を含むポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法、
(2)重合反応終了後にフラッシュ法でポリアリーレンスルフィド樹脂を回収することを特徴とする(1)記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法、
である。
本発明によって、製造コストが安価で、大量生産可能であり、かつ繊維、フィルム、成形品等の加工時に発生するガスを低減させた高品質なポリアリーレンスルフィド樹脂を製造することが可能となった。
以下、本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法について説明する。
本発明におけるポリアリーレンスルフィド樹脂とは、下記式で表される繰り返し単位を主要構成単位とするホモポリマーまたは、
上記繰り返し単位と、上記繰り返し単位1モル当たり、1.0モル以下、好ましくは0.3モル以下の下記繰り返し単位とからなる共重合体である。
ポリアリーレンスルフィド樹脂は、ポリハロゲン化芳香族化合物およびスルフィド化剤を有機極性溶媒中で重合して得られる。スルフィド化剤としては、アルカリ金属硫化物などが使用できる。
[アルカリ金属硫化物]
本発明で用いるアルカリ金属硫化物の具体例としては、例えば硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化リチウム、硫化ルビジウムおよび硫化セシウムなどが挙げられ、なかでも硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
本発明で用いるアルカリ金属硫化物の具体例としては、例えば硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化リチウム、硫化ルビジウムおよび硫化セシウムなどが挙げられ、なかでも硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属硫化物は、水和物または水性混合物として、あるいは無水物の形で用いることができる。
アルカリ金属水硫化物の具体例としては、例えば水硫化ナトリウム、水硫化カリウム、水硫化リチウム、水硫化ルビジウムおよび水硫化セシウムなどが挙げられ、なかでも水硫化ナトリウムが好ましく用いられる。これらのアルカリ金属水硫化物は、水和物または水性混合物、水溶液として、あるいは無水物の形で用いることができる。
硫黄源の添加時期には特に制限は無く、後述する前工程、重合工程いずれの段階でも系内に導入可能であるが、重合工程の前までに導入するのが最も好ましい。
[ポリハロゲン化芳香族化合物]
本発明で用いられるジハロゲン化芳香族化合物の具体例としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、1,4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1,4−ジクロロナフタレン、1,5−ジクロロナフタレン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、4,4’−ジクロロビフェニル、3,5−ジクロロ安息香酸、4,4’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、および4,4’−ジクロロジフェニルケトンなどが挙げられ、これらのなかでもp−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、および4,4’−ジクロロジフェニルケトンなどが好ましく用いられ、特にp−ジクロロベンゼンが更に好ましく用いられる。なお、異なる2種類以上のジハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることももちろん可能であるが、p−ジハロゲン化芳香族化合物を主要成分とすることが好ましい。
本発明で用いられるジハロゲン化芳香族化合物の具体例としては、p−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、1,2,4,5−テトラクロロベンゼン、ヘキサクロロベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、1,4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1,4−ジクロロナフタレン、1,5−ジクロロナフタレン、1−メトキシ−2,5−ジクロロベンゼン、4,4’−ジクロロビフェニル、3,5−ジクロロ安息香酸、4,4’−ジクロロジフェニルエーテル、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、および4,4’−ジクロロジフェニルケトンなどが挙げられ、これらのなかでもp−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、および4,4’−ジクロロジフェニルケトンなどが好ましく用いられ、特にp−ジクロロベンゼンが更に好ましく用いられる。なお、異なる2種類以上のジハロゲン化芳香族化合物を組み合わせて共重合体とすることももちろん可能であるが、p−ジハロゲン化芳香族化合物を主要成分とすることが好ましい。
ジハロゲン化芳香族化合物の使用量は、加工に適した粘度のポリアリーレンスルフィド樹脂を得る点から、硫黄成分1モルに対して0.1から3モル、好ましくは0.5から2モル、更に好ましくは0.9から1.2モルの範囲である。
ジハロゲン化芳香族化合物の添加時期には特に制限はないが、重合工程の前までに系内に導入することが好ましい。
[有機極性溶媒]
本発明において用いられる有機極性溶媒の具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホンおよびテトラメチレンスルホキシドなどが挙げられ、なかでもN−メチル−2−ピロリドンが好ましく用いられる。
本発明において用いられる有機極性溶媒の具体例としては、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ジメチルスルホンおよびテトラメチレンスルホキシドなどが挙げられ、なかでもN−メチル−2−ピロリドンが好ましく用いられる。
有機極性溶媒の使用量は、反応系の有機極性溶媒量が、硫黄成分1モルに対して0.8から10モル、好ましくは2から8モル、より好ましくは3から7モルの範囲である。有機極性溶媒量が上記の範囲未満では、好ましくない反応が起こりやすくなり、上記の範囲を越えると、重合度が上がりにくくなる。
有機極性溶媒の添加時期には特に制限はないが、重合工程の前までに系内に導入することが好ましい。
[重合安定剤]
本発明においては、重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制することができる。重合安定剤としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、及びアルカリ土類金属炭酸塩から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属塩を併用することも可能である。なかでも、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物が好ましい。
本発明においては、重合反応系を安定化し、副反応を防止するために、重合安定剤を用いることもできる。重合安定剤は、重合反応系の安定化に寄与し、望ましくない副反応を抑制することができる。重合安定剤としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、及びアルカリ土類金属炭酸塩から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属塩を併用することも可能である。なかでも、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物が好ましい。
アルカリ金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ルビジウムおよび水酸化セシウムなどが挙げられ、アルカリ土類金属水酸化物の具体例としては、例えば水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウムおよび水酸化マグネシウムなどが挙げられ、なかでも水酸化ナトリウムが好ましく用いられる。
重合安定剤の導入時期については特に制限はないが、重合工程の前までに系内に導入することが好ましい。
このアルカリ金属塩の使用量としては、硫黄成分1モルに対して1.00モルから2.00モル、好ましくは1.005モルから1.5モル、更に好ましくは1.01モルから1.20モルの範囲が好ましい。
[重合助剤]
本発明においては、必要に応じて重合助剤を用いることができる。ここで、重合助剤とは、得られるポリマー粘度を増大させる作用を有する物質を意味する。
本発明においては、必要に応じて重合助剤を用いることができる。ここで、重合助剤とは、得られるポリマー粘度を増大させる作用を有する物質を意味する。
このような重合助剤の具体例としては、例えば有機カルボン酸塩、水、有機スルホン酸塩、硫酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属リン酸塩およびアルカリ土類金属リン酸塩などが挙げられる。これらは単独または2種以上を同時に用いることができる。なかでも有機カルボン酸塩や水が好ましく用いられる。
有機カルボン酸塩の具体例としては、式R(COOM)(式中Rは炭素数1から20を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基またはアリールアルキル基であり、Mはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムから選ばれるアルカリ金属である。)により表される化合物が挙げられる。より具体には、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸ナトリウムおよびp−トルイル酸ナトリウムなどが挙げられる。有機カルボン酸塩は、有機極性溶媒中で有機カルボン酸とアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属重炭酸塩よりなる群から選ばれる1種以上の化合物とを、ほぼ等化学当量ずつ添加して、反応させることにより形成させてもよい。有機カルボン酸塩は1種または2種以上を同時に用いることができる。なかでも酢酸リチウムおよび/または酢酸ナトリウムが好ましく用いられ、安価で入手しやすいことから酢酸ナトリウムがより好ましく用いられる。
水は有機金属カルボン酸塩水和物または水溶液、アルカリ金属硫化物の水和物または水溶液、およびアルカリ金属水硫化物の水溶液として反応系内に存在するもの、あるいは反応系内に直接添加するもののいずれか一方でも両方でもよい。
重合助剤を系内に導入する時期については特に制限はなく、前工程、重合工程のいずれの段階であっても系内に導入することが可能である。
この重合助剤の使用量としては、好ましくは硫黄成分1モルに対して0.01モルから20モルであり、より好ましくは硫黄成分1モルに対して0.04モルから15モルであり、更に好ましくは硫黄成分1モルに対して0.07モルから15モルである。0.01モルよりも少ないとポリマー粘度を増大の効果を得ることができず、20モルよりも多いと重合速度が遅くなり、生産性が悪くなるため好ましくない。
[前工程]
重合工程の前に、完全混合型反応器に硫黄源、ジハロゲン化芳香族化合物および有機極性溶媒、必要に応じて重合安定剤および重合助剤を加え、好ましくは不活性ガス雰囲気下で、常温から220℃の範囲で脱水反応を行い、反応系内の水分量の調節を行ってもよい。ここでの完全混合型反応器とは、オートクレーブが挙げられる。
重合工程の前に、完全混合型反応器に硫黄源、ジハロゲン化芳香族化合物および有機極性溶媒、必要に応じて重合安定剤および重合助剤を加え、好ましくは不活性ガス雰囲気下で、常温から220℃の範囲で脱水反応を行い、反応系内の水分量の調節を行ってもよい。ここでの完全混合型反応器とは、オートクレーブが挙げられる。
ここでいう反応系の水分量とは、原料仕込み時に水溶液および水和物として反応系内に導入した水分量から、反応系外に除去された水分量を差し引いた量である。この量に特に制限はないが、特に仕込みの硫黄成分1モルに対して、好ましくは0から2.0モルの範囲であることが、重合速度、副生成物抑制の点から好ましい。
[重合工程]
重合温度は、特に規定はないが、好ましくは210℃〜300℃であり、より好ましくは220℃から290℃であり、更に好ましくは225℃から285℃である。210℃よりも重合温度が低いと重合が不十分となり、目的のポリアリーレンスルフィド樹脂を得ることができず、300℃よりも重合温度が高いと分解が発生し、好ましくない。
重合温度は、特に規定はないが、好ましくは210℃〜300℃であり、より好ましくは220℃から290℃であり、更に好ましくは225℃から285℃である。210℃よりも重合温度が低いと重合が不十分となり、目的のポリアリーレンスルフィド樹脂を得ることができず、300℃よりも重合温度が高いと分解が発生し、好ましくない。
重合時間は、他の反応条件によって広く変化するため特に規定はないが、一般には、0.01〜10時間、好ましくは0.2〜7時間、さらに好ましくは0.5〜5時間の範囲内である。重合時間が0.01よりも短いと重合度が上がらず、10時間よりも長いと生産性が悪くなり好ましくない。
そして、この重合は一般に、窒素のような不活性雰囲気下で行われるのが好ましい。
[回収方法]
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂の重合終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物から固形物を回収する。回収方法には大きく分けて、後述するフラッシュ法とクウェンチ法の2種類がある。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂の重合終了後に、重合体、溶媒などを含む重合反応物から固形物を回収する。回収方法には大きく分けて、後述するフラッシュ法とクウェンチ法の2種類がある。
フラッシュ法は、溶媒を蒸発させて溶媒回収し、同時に固形物を回収する方法であり、回収時間も比較的短くできることから、経済性に優れた回収方法である。
一方、クウェンチ法は、重合反応物を、除冷して粒子状のポリアリーレンスルフィド樹脂を回収する方法である。
一方、クウェンチ法は、重合反応物を、除冷して粒子状のポリアリーレンスルフィド樹脂を回収する方法である。
但し、本発明の回収法はどちらかに限定されるものではなく、本発明の要件を満たす方法であれば、どちらの回収方法でも良い。しかし、経済性、性能を鑑みた場合、フラッシュ法で回収されたものを用いることが工業的に有利である。
フラッシュ法で回収された固形物は、ポリマーと共に副生成物を大量に含むため、水でスラリー化した後、固液分離し、ポリマーを得ることができる。この時のポリマーと水の割合は、水が多い方が好ましいが、通常、浴比3以上が選択される。浴比は、ポリマーの重量に対する水の重量の比率のことである。この処理に続いて、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
[熱水洗浄]
本発明では、重合反応終了後のポリマーを含むスラリーを固液分離し、熱水洗浄を行うことが重要である。
本発明では、重合反応終了後のポリマーを含むスラリーを固液分離し、熱水洗浄を行うことが重要である。
上記で得られたポリマーに水を加え、加熱、加圧状態で攪拌処理を行う。この時のポリマーと水の割合は、水が多い方が好ましいが、通常、浴比3以上が選択される。本発明の熱水洗浄によるポリマー中の不純物除去効果を発現するため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。
熱水洗浄する時の処理温度(スラリー温度)は、150℃以上、より好ましくは160℃以上、さらに好ましくは170℃以上、特に好ましくは180℃以上とすることが好ましい。150℃未満ではポリマー中の不純物除去の効果が小さいため好ましくない。また、スラリー温度は、250℃以下が好ましく、220℃以下が更に好ましい。
処理温度到達後の攪拌時間は、特に制限はないが、0.1分以上攪拌すれば十分な効果が得られる。生産性の面から攪拌時間の上限は、1時間以下が好ましく、攪拌時間は1〜30分がさらに好ましい。
処理温度到達後の攪拌時間は、特に制限はないが、0.1分以上攪拌すれば十分な効果が得られる。生産性の面から攪拌時間の上限は、1時間以下が好ましく、攪拌時間は1〜30分がさらに好ましい。
熱水洗浄処理後のスラリーは、固液分離し、ポリマーを得ることができる。固液分離をする際は、100℃以下に冷却してから行うのが好ましい。この処理に続いて、水または温水で数回洗浄することが好ましい。また、処理の雰囲気は、末端基の分解や酸化は好ましくないので、これを回避するため不活性雰囲気下とすることが望ましい。
[酸洗浄]
本発明では、熱水洗浄のあと、酸洗浄工程を実施することが重要である。
上記で得られたポリマーに水と酸を加え、加熱、加圧状態で攪拌処理を行う。この時のポリマーと水の割合は、水が多い方が好ましいが、通常、浴比3以上が選択される。本発明の酸洗浄では酸処理を効率良く行うため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。
本発明では、熱水洗浄のあと、酸洗浄工程を実施することが重要である。
上記で得られたポリマーに水と酸を加え、加熱、加圧状態で攪拌処理を行う。この時のポリマーと水の割合は、水が多い方が好ましいが、通常、浴比3以上が選択される。本発明の酸洗浄では酸処理を効率良く行うため、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。
本発明の酸洗浄に用いる酸は、ポリマーを分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、無機酸および有機酸から選ばれる少なくとも1種の酸が使用される。具体的には、酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、珪酸、炭酸およびプロピル酸などが挙げられ、なかでも酢酸および塩酸がより好ましく用いられるが、硝酸のようなポリアリーレンスルフィド樹脂を分解、劣化させるものは好ましくない。
酸洗浄する時の処理温度は150℃以上、好ましくは160℃以上、より好ましくは170℃以上、特に好ましくは180℃以上とすることが好ましい。処理温度の上限は、250℃以下が好ましく、220℃以下がさらに好ましい。処理温度到達後の攪拌時間は、特に制限はないが、0.1分以上攪拌すれば十分な効果が得られる。生産性の面から攪拌時間の上限は、1時間以下が好ましく、攪拌時間は1〜30分がさらに好ましい。
この時、酸洗浄処理後のスラリーのpHが7未満となるような条件で酸洗浄を行うことが重要であり、無機酸および有機酸から選ばれる酸の種類、添加量で制御することができる。また、酸洗浄処理の雰囲気は、末端基の分解や酸化は好ましくないので、これを回避するため不活性雰囲気下とすることが望ましい。
この時、酸洗浄処理後のスラリーのpHが7未満となるような条件で酸洗浄を行うことが重要であり、無機酸および有機酸から選ばれる酸の種類、添加量で制御することができる。また、酸洗浄処理の雰囲気は、末端基の分解や酸化は好ましくないので、これを回避するため不活性雰囲気下とすることが望ましい。
[塩基処理]
本発明では、熱水洗浄、酸洗浄のあとに、塩基処理を行うことが重要である。
本発明では、熱水洗浄、酸洗浄のあとに、塩基処理を行うことが重要である。
上記で得られたスラリーに、加熱状態で攪拌処理後のスラリーのpHが6〜8となるように塩基を加える。本発明で製造されたスラリーの塩基処理に用いる塩基は、特に制限はなく、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属土類、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム等のアルカリ金属土類酸化物のような無機塩類、アンモニアのような無機化合物などが挙げられ、なかでもアルカリ金属水酸化物がより好ましく用いられる。
塩基処理する時のスラリー温度は、90℃以下であることが必要である。このときのスラリー温度は、通常室温以上90℃以下であればよいが、好ましくは40℃〜90℃であり、さらに好ましくは50℃〜80℃である。塩基処理後のスラリーを、固液分離し、ポリアリーレンスルフィド樹脂を得ることができる。この処理に続いて、水または温水で数回洗浄することが好ましい。
また、処理の雰囲気は、末端基の分解や酸化は好ましくないので、これを回避するため不活性雰囲気下とすることが望ましい。
[乾燥処理・熱処理]
本発明における処理を行った後に、揮発分除去を目的として乾燥処理および溶融粘度を上げるために熱処理を行うことも可能である。以下にその方法について記す。
本発明における処理を行った後に、揮発分除去を目的として乾燥処理および溶融粘度を上げるために熱処理を行うことも可能である。以下にその方法について記す。
乾燥処理の温度としては110〜250℃が好ましく、120〜220℃の範囲がより好ましい。また、この場合の酸素濃度は5体積%未満、更には2体積%未満とすることが望ましい。処理時間は、0.5〜50時間が好ましく、1〜20時間がより好ましく、1〜10時間がさらに好ましい。
乾燥処理の装置は通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置、流動層乾燥機、回転式乾燥機であってもよいが、効率よく、しかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
乾燥処理は塩基処理終了後に不活性ガスまたは活性ガスから少なくとも1つから選ばれるガス雰囲気下において行われる。
一方、熱処理温度としては、160〜270℃が好ましく、より好ましくは190〜260℃である。270℃を上回る温度で熱処理を行うと、熱処理が急激に進行もしくは、ポリマーが溶融し始めるため、その制御が困難となるため好ましくない。一方、160℃未満の温度では、熱処理の進行が著しく遅くなり生産性が低下するため好ましくない。
処理時間は、0.2〜50時間が挙げられ、0.4〜10時間がより好ましく、0.5〜5時間がさらに好ましい。処理時間が0.2時間未満であると十分な熱処理が行えないため好ましくなく、処理時間が50時間を超えると熱処理による架橋反応が進行して流動性が低下すると同時に、成形安定性が低下するため好ましくない。
熱処理のための加熱装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置、流動層乾燥機、回転式乾燥機であってもよいが、効率よく均一に処理するためには、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置、流動層乾燥機を用いるのがより好ましい。
熱処理の際の雰囲気における酸素濃度の上限には特に制限はないが、安全操業的に50体積%程度が限界であり、25体積%以下がより好ましい。
このような工程を経て得られたポリアリーレンスルフィド樹脂は、含有不純物量が少なく、繊維、フィルム、成形品等の加工時や製品使用時に高温となった時に発生するガスも少ないため、加工性に極めて優れている。
[発生ガス量]
上記の発生ガス量の測定には、以下に示す方法で算出した。
上記の発生ガス量の測定には、以下に示す方法で算出した。
ポリフェニレンスルフィド樹脂を130℃の真空オーブンにて3時間乾燥させ、ポリフェニレンスルフィド樹脂3gをガラスアンプル管に真空封入した。該ガラスアンプル管の片側(ポリフェニレンスルフィド樹脂のある方)を320℃に設定されたセラミックス電気管状炉:ARF−30K(アサヒ理化製作所製)に2時間放置し、その後、ガラスアンプル管の非加熱部(ポリフェニレンスルフィド樹脂のない方)を先端から約10cm程を切り落とす。切り落としたガラスアンプル管の初期重量とガラスアンプル管に凝集・付着した成分をクロロナフタレン5gで洗浄した後、3時間、60℃で乾燥させたガラス管の重量との差から真空状態で320℃、2時間後のポリフェニレンスルフィド樹脂からの発生物質量を算出した。最終的に、この得られた発生物質量を初期のポリフェニレンスルフィド樹脂量3gで割った値を発生ガス量として算出した。
[溶融粘度]
東洋精機社製キャピログラフ1Cを用い、孔長10.00mm、孔直径0.50mmのダイスを用い、316℃で溶融粘度の測定を行った。
東洋精機社製キャピログラフ1Cを用い、孔長10.00mm、孔直径0.50mmのダイスを用い、316℃で溶融粘度の測定を行った。
また、本発明の製造方法で得られるポリアリーレンスルフィド樹脂は、単独で用いてもよいし、所望に応じて、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石膏繊維、金属繊維などの無機繊維やチタン酸カリウムウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、ワラステナイト、セリサイト、カオリンなどのウィスカを添加することができ、マイカ、クレー、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケート、などのケイ酸塩、アルミナ、塩化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの金属化合物、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸バリウム、硫酸カリウムなどの硫酸塩、ガラスビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素及びシリカなどの無機充填剤、着色防止剤、可塑剤、防食剤、酸化防止剤、熱安定剤、渇剤、紫外線吸収剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤、離型剤、結晶核剤等の添加剤および着色剤などの添加剤を添加することもでき、さらには、ポリアミド、ポリスルホン、ポリフェニレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ基、カルボキシル基、カルボン酸エステル基、酸無水物基などの官能基を有するオレフィン系コポリマー、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエーテルエステルエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマー、ポリアミドイミドアセタールおよびポリイミドなどの樹脂を配合して用いることもできる。
本発明の製造方法で得られるポリアリーレンスルフィド樹脂は、耐熱性、耐薬品性、難燃性、電気的性質並びに機械的性質が優れ、特に含有不純物量が少ないため溶融時の発生ガスが少ないという優れた特徴を有するものであり、押出成形による繊維、シート、フィルムおよびパイプなどの押出成形用さらには射出用の成形品としても幅広く利用可能である。
これら成形品の具体的用途としては、例えばセンサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、プロジェクター部品、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク(登録商標)・コンパクトディスクなどの音声機器部品;照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品;顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;水道蛇口コマ、混合水栓、ポンプ部品、パイプジョイント、水量調節弁、逃がし弁、湯温センサー、水量センサー、水道メーターハウジングなどの水廻り部品;バルブオルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター,ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンシオメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキパッド摩耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビューター、スタータースイッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケース、車速センサー、ケーブルライナーなどの自動車・車両関連部品;その他各種用途が例示できる。
次に実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限を受けるものではない。
[発生ガス量]
ポリフェニレンスルフィド樹脂を130℃の真空オーブンにて3時間乾燥させ、ポリフェニレンスルフィド樹脂3gをガラスアンプル管に真空封入した。該ガラスアンプル管の片側(ポリフェニレンスルフィド樹脂のある方)を320℃に設定されたセラミックス電気管状炉:ARF−30K(アサヒ理化製作所製)に2時間放置し、その後、ガラスアンプル管の非加熱部(ポリフェニレンスルフィド樹脂のない方)を先端から約10cm程を切り落とす。切り落としたガラスアンプル管の初期重量とガラスアンプル管に凝集・付着した成分をクロロナフタレン5gで洗浄した後、3時間、60℃で乾燥させたガラス管の重量との差から真空状態で320℃、2時間後のポリフェニレンスルフィド樹脂からの発生物質量を算出した。最終的に、この得られた発生物質量を初期のポリフェニレンスルフィド樹脂量3gで割った値を発生ガス量として算出した。
ポリフェニレンスルフィド樹脂を130℃の真空オーブンにて3時間乾燥させ、ポリフェニレンスルフィド樹脂3gをガラスアンプル管に真空封入した。該ガラスアンプル管の片側(ポリフェニレンスルフィド樹脂のある方)を320℃に設定されたセラミックス電気管状炉:ARF−30K(アサヒ理化製作所製)に2時間放置し、その後、ガラスアンプル管の非加熱部(ポリフェニレンスルフィド樹脂のない方)を先端から約10cm程を切り落とす。切り落としたガラスアンプル管の初期重量とガラスアンプル管に凝集・付着した成分をクロロナフタレン5gで洗浄した後、3時間、60℃で乾燥させたガラス管の重量との差から真空状態で320℃、2時間後のポリフェニレンスルフィド樹脂からの発生物質量を算出した。最終的に、この得られた発生物質量を初期のポリフェニレンスルフィド樹脂量3gで割った値を発生ガス量として算出した。
[溶融粘度]
東洋精機社製キャピログラフ1Cを用い、孔長10.00mm、孔直径0.50mmのダイスを用い、316℃で溶融粘度の測定を行った。表1に示す溶融粘度は、せん断速度1000/秒の時の値を用いた。
東洋精機社製キャピログラフ1Cを用い、孔長10.00mm、孔直径0.50mmのダイスを用い、316℃で溶融粘度の測定を行った。表1に示す溶融粘度は、せん断速度1000/秒の時の値を用いた。
実施例1
攪拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム9水塩1モル、水酸化ナトリウム1.03モルおよびN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略す)2.01モル(NMP−1)の比率で仕込み、窒素を通じながら徐々に205℃まで昇温し、硫黄成分1モルに対して水8.0モルを留出した。
攪拌機付きオートクレーブに硫化ナトリウム9水塩1モル、水酸化ナトリウム1.03モルおよびN−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略す)2.01モル(NMP−1)の比率で仕込み、窒素を通じながら徐々に205℃まで昇温し、硫黄成分1モルに対して水8.0モルを留出した。
次に、硫黄成分1モルに対して1,4−ジクロロベンゼン1.03モルならびにNMP0.70モル(NMP−2)を加えて、窒素下に密閉し、重合反応を行った。この時の内壁温度は275℃、反応器における平均滞留時間は2時間、最大内圧は12kg/cm2Gであった。
その後、275℃反応液を冷却コンデンサーの付いた250℃に加熱保温された攪拌槽にフラッシュ(常圧に解放)させ、ポリフェニレンスルフィドと塩類の混合粉末を得た。これを浴比6の70℃のイオン交換水でスラリー化し、ポアサイズ10〜16μmのガラスフィルターで濾過した。次に、70℃に加熱した630gのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。
続いて得られたケークを熱水洗浄するため浴比6のイオン交換水を撹拌機付きのオートクレーブに仕込み、窒素ガス下に密閉し、160℃に加熱昇温し、160℃に到達後30分保持し攪拌し、70℃まで冷却した。得られたスラリーをポアサイズ10〜16μmのガラスフィルターで濾過した。次に、70℃に加熱した630gのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。
さらに、得られたケークを酸洗浄するため浴比6のイオン交換水とポリフェニレンスルフィドに対して0.5重量%の酢酸を加え、撹拌機付きのオートクレーブに仕込み、窒素ガス下に密閉し、180℃に加熱昇温し、180℃に到達後30分保持し攪拌し、70℃まで冷却した。得られたスラリーのpHは5.0であった。
次に得られた70℃のスラリーを塩基処理するため、スラリーのpHが7となるように0.15gの水酸化ナトリウムを加え5分攪拌した後、ポアサイズ10〜16μmのガラスフィルターで濾過した。さらに、70℃に加熱した630gのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。
その後、130℃で3時間減圧乾燥し、溶融粘度4.5Pa・sec、発生ガス量0.78%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
実施例2
熱水洗浄の処理温度を170℃にした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は4.5Pa・sec、発生ガス量0.73%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
熱水洗浄の処理温度を170℃にした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は4.5Pa・sec、発生ガス量0.73%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
実施例3
熱水洗浄の処理温度を180℃、酸洗浄の処理温度を160℃にした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は4.6Pa・sec、発生ガス量0.90%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
熱水洗浄の処理温度を180℃、酸洗浄の処理温度を160℃にした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は4.6Pa・sec、発生ガス量0.90%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
実施例4
熱水洗浄の処理温度を180℃、酸洗浄の処理温度を170℃にした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は4.6Pa・sec、発生ガス量0.75%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
熱水洗浄の処理温度を180℃、酸洗浄の処理温度を170℃にした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は4.6Pa・sec、発生ガス量0.75%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
実施例5
熱水洗浄の処理温度を190℃、酸洗浄の処理温度を190℃にした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は4.5Pa・sec、発生ガス量0.68%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
熱水洗浄の処理温度を190℃、酸洗浄の処理温度を190℃にした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は4.5Pa・sec、発生ガス量0.68%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
実施例6
熱水洗浄の処理温度を190℃、酸洗浄の処理温度を190℃、酸洗浄の処理時間を15分にした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は4.5Pa・sec、発生ガス量0.63%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
熱水洗浄の処理温度を190℃、酸洗浄の処理温度を190℃、酸洗浄の処理時間を15分にした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は4.5Pa・sec、発生ガス量0.63%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
比較例1
熱水洗浄の変わりに、アセトンで洗浄し、アセトン洗浄の処理温度70℃、酸洗浄の処理温度を190℃、酸洗浄の処理時間を15分にした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は4.5Pa・sec、発生ガス量1.10%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
熱水洗浄の変わりに、アセトンで洗浄し、アセトン洗浄の処理温度70℃、酸洗浄の処理温度を190℃、酸洗浄の処理時間を15分にした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は4.5Pa・sec、発生ガス量1.10%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
比較例2
熱水洗浄をしなかった他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は4.5Pa・sec、発生ガス量2.10%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
熱水洗浄をしなかった他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は4.5Pa・sec、発生ガス量2.10%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
比較例3
熱水洗浄の処理温度を70℃にした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は4.5Pa・sec、発生ガス量1.80%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
熱水洗浄の処理温度を70℃にした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は4.5Pa・sec、発生ガス量1.80%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
比較例4
熱水洗浄温度を140℃にした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は4.5Pa・sec、発生ガス量1.70%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
熱水洗浄温度を140℃にした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は4.5Pa・sec、発生ガス量1.70%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
比較例5
熱水洗浄の処理温度を180℃、酸洗浄の処理温度を70℃にした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は6.5Pa・sec、発生ガス量1.30%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
熱水洗浄の処理温度を180℃、酸洗浄の処理温度を70℃にした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は6.5Pa・sec、発生ガス量1.30%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
比較例6
熱水洗浄の処理温度を180℃、酸洗浄の処理温度を140℃にした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は6.0Pa・sec、発生ガス量1.40%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
熱水洗浄の処理温度を180℃、酸洗浄の処理温度を140℃にした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は6.0Pa・sec、発生ガス量1.40%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
比較例7
熱水洗浄の処理温度を190℃、酸洗浄の処理温度を190℃、酸洗浄の処理時間を15分にし、水酸化ナトリウムで処理しなかった他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は4.5Pa・sec、発生ガス量1.20%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
熱水洗浄の処理温度を190℃、酸洗浄の処理温度を190℃、酸洗浄の処理時間を15分にし、水酸化ナトリウムで処理しなかった他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は4.5Pa・sec、発生ガス量1.20%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
比較例8
熱水洗浄の処理温度を180℃にし、水酸化ナトリウム処理の処理温度を190℃とした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は8.1Pa・sec、発生ガス量0.70%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
熱水洗浄の処理温度を180℃にし、水酸化ナトリウム処理の処理温度を190℃とした他は、実施例1と同様にして重合反応、後処理をおこなった。この時のポリマーの溶融粘度は8.1Pa・sec、発生ガス量0.70%のポリフェニレンスルフィド樹脂を得た。
これらの実施例および比較例の条件および分析結果を表1に示す。
実施例1〜6は本発明の酸洗浄後に塩基処理し、熱水洗浄,酸洗浄の処理温度および処理時間が違う場合である。
比較例1は、熱水洗浄の代わりにアセトン洗浄した場合であり、実施例6の比較例に相当し、溶媒洗浄しても発生ガスの低減効果が低い結果となった。
比較例2〜4は、熱水洗浄しない場合と熱水処理温度が低い場合であり、実施例1,2の比較例に相当し、熱水洗浄をしない、もしくは処理温度が低いと発生ガスが増える結果となった。
比較例5,6は、酸洗浄の処理温度が低い場合であり、実施例3〜5の比較例に相当し、酸洗浄の温度が低いと溶融粘度の上昇を招き、良流動性と発生ガスの低減を両立させることができない。
比較例7は、塩基処理をしない場合であり、実施例6の比較例に相当し、スラリーのpHを調整しないため、発生ガスを低減させることができない。
比較例8は、塩基処理の温度を高温で行った場合であり、実施例5の比較例に相当し、塩基処理でスラリーのpHを調整しても、高温で処理を行ってしまうと、発生ガスの低減効果はあるが、溶融粘度が上昇してしまい、良流動性を保つことができなくなってしまう。
一方、実施例1〜6では、良流動性と低ガス性の両方を満足するポリフェニレンスルフィド樹脂を得ることができる。
これらの実施例から本発明でポリフェニレンスルフィド樹脂を製造した場合、発生ガスが少なく、かつ流動性に優れるポリマーを得られることがわかる。
Claims (2)
- ポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する際に、重合反応終了後のポリアリーレンスルフィド樹脂を含むスラリーを固液分離し、
(I)分離されたポリアリーレンスルフィド樹脂に水を加えスラリー化し、スラリー温度150℃以上で熱水洗浄を行った後、固液分離し、
(II)分離されたポリアリーレンスルフィド樹脂に、水ならびに無機酸および有機酸から選ばれる少なくとも1種の酸を加えスラリー化し、スラリー温度150℃以上で処理し、処理後のスラリーのpHを7未満とする酸洗浄工程に続き、
(III)得られたスラリーに塩基を加え、スラリー温度90℃以下で処理し、処理後のスラリーのpHを6〜8とする塩基処理工程を含むポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。 - 重合反応終了後にフラッシュ法でポリアリーレンスルフィド樹脂を回収することを特徴とする請求項1記載のポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法。
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JP2010037518A (ja) * | 2008-08-08 | 2010-02-18 | Dic Corp | カルボキシルキ含有ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法 |
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