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JP2009262509A - 熱転写媒体及び回折構造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、従来の回折構造物にはない、正面と斜めから見たときにユニークで顕著な光学変化を有する熱転写媒体及び回折構造体を提供することを課題とする。さらには、偽造防止効果を向上しつつ簡単に真贋判定を行えるようにすることを課題とする。
【解決手段】上記課題を解決すべく、支持体上に、熱溶融転写回折構造層を有する熱転写媒体であって、熱溶融転写回折構造層が剥離保護層、微細回折構造形成層、反射層、接着層を有することを特徴とする熱転写媒体とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、回折構造を持った熱転写媒体及びそれを用いた回折構造体に関するものである。特に偽造もしくは改竄を困難とするための偽造防止機能を有する熱転写媒体及びそれを用いた回折構造体に関するものである。
従来、文字パターンや画像パターンをプラスチックや紙からなる被転写基材上にオンデマンドに形成する方法として、昇華性染料を含むインキからなる昇華転写層を形成した熱転写リボンを用いてこの熱転写リボンの反対面からサーマルヘッドで押圧し、形成される画像の濃度に合わせてサーマルヘッドを発熱させる昇華転写法が一般的に用いられている。
(特許文献1参照)
最近では、IDカードや各種の証明書などでオンデマンドに印字や画像形成が必要な用途にもこの昇華転写法が使用されており、この場合、偽造を防止する手段としては、昇華転写法によって文字や画像を形成した後に、後加工によりレリーフ型の回折構造物を部分的に転写したり、偽造防止効果が高いOVD効果を持ったインキによる印刷を行ったりしていた。
(特許文献2参照)
しかし、回折構造物は偽造品の発生量が増加するに従い、偽造防止策としての高微細化が進み、その結果、真偽判定が容易には行えず、OVD効果が不完全であっても一見しただけでは偽造とは分からない偽造品が増加しつつある。
また、OVD効果を持ったインキによる印刷を後加工で行うのは、製造コストの問題から実際には困難である事が多い。
そこで、昇華転写層と同じ熱転写リボンに並列もしくは別に独立した熱転写リボンとして反射層に光透過性を持つ回折構造転写層を設け、昇華転写と同じサーマルヘッドによって被転写基材の全面に熱転写する事により、最表面に貼付された回折構造物が光透過性を持つため回折構造物によって発生する回折光の画像と回折構造物の下層に位置する画像や文字とが同時に視認でき、且つ改竄や偽造を極めて困難にする方法である事から、パスポートやIDカードなどの偽造防止策として採用されている。
(特許文献3参照)
しかしながら、前記のような偽造防止策として光透過性を持った回折構造物を全面に貼付した偽造防止媒体であっても、一目で簡単に真偽判定をすることが出来ない回折構造物の偽造が発生しており、最近では、その偽造防止効果が薄れつつあるという問題がある。
特開昭63−22693号 特許第33263760号 特開平6−67592号
そこで本発明は、係る従来技術の問題点を解決するものであり、従来の回折構造物にはない、正面と斜めから見たときにユニークで顕著な光学変化を有する熱転写媒体及び回折構造体を提供することを課題とする。
さらには、偽造防止効果を向上しつつ簡単に真贋判定を行えるようにすることを課題とする。
請求項1の発明は、支持体上に、熱溶融転写回折構造層を有する熱転写媒体であって、熱溶融転写回折構造層が剥離保護層、微細回折構造形成層、反射層、接着層を有することを特徴とする熱転写媒体である。
請求項2の発明は、前記熱溶融転写回折構造層の反射層と接着層の間に印刷層を有することを特徴とする請求項1記載の熱転写媒体である。
請求項3の発明は、前記微細回折構造形成層が、凹凸形状からなり、該凹凸形状の凸部の高さが5nm〜1000nm、凸部の高さ/凸部の幅(アスペクト比)が1以上、凹凸形状のピッチが5nm〜1000nmであることを特徴とする請求項1または2記載の熱転写媒体である。
請求項4の発明は、支持体上に熱溶融転写インク層を有し、前記熱溶融転写回折構造層と熱溶融転写インク層がパターン状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱転写媒体である。
請求項5の発明は、前記熱溶融転写インク層がイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色から選ばれる1色以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱転写媒体である。
請求項6の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の熱転写媒体を被転写基材に転写してなることを特徴とする回折構造体である。
本発明によれば、微細回折構造形成層を有するため、正面から方向から見たときは入射した光が微細な凹凸形状をした微細回折構造形成層に吸収されて反射光、回折光の発生のほとんどなく、ある一定の角度から見たときには微細回折構造形成層による回折光が観察される偽造防止画像形成層を有する熱転写媒体とすることができる。
従来のレリーフ型回折構造物より更に微細な凹凸を形成する事で、偽造や変造が極めて困難でありながら、熱転写後の転写層の光学的変化が特異な事により真贋判定が容易な熱転写媒体とすることができる。
さらに、従来のイエロー、マゼンダ、シアン、ブラック等の熱溶融転写インク層と熱溶融転写回折構造層をパターン状に設けることで従来のサーマルヘッドを持つ文字・画像形成装置を変更することなく、カラー画像に偽造防止効果を持たせることができる。
また、本発明の熱転写媒体を用いて被転写基材に転写すれば、観察する角度を正面方向と斜めの水平に近い低い角度まで移動させながら目視で確認すると、灰色もしくは黒色から回折光による色彩への色変化が顕著であることから、簡単に真贋判定ができる偽造防止媒体の製造が可能となる。
以下本発明の熱転写媒体や偽造防止体の構造等について、その最良の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一例を示す断面図で、支持体1上に熱溶融転写回折構造層2が積層されている。この熱溶融転写回折構造層2は、熱転写時に支持体1から剥離して剥離後には少なくともその一部が残存することによって微細回折構造形成層12を保護する剥離保護層11と、入射光によって回折光を発生させる微細回折構造形成層12と回折光を反射するための反射層13、そして被転写基材に接着するための接着層14とを有しており、本発明の基本的な層構成である。そして、微細回折構造形成層12には、微細な回折構造である凹凸加工面21を有する。
また、図2は本発明の一例を示す断面図で、図1の構成における反射層13と接着層14との間に、回折光が発生しない角度で観察した場合に一層暗く見えるようにするための印刷層15を設けたものであり、これにより回折光を観察できる時とできない時の明暗のコントラストを更に向上させることが可能となる。
一方、図3は、図1や図2における微細回折構造形成層12、反射層13、凹凸形状の凹凸加工面21の構造を示す拡大図で、Hは凸部の高さ、Wは凸部の幅、Dは反射層21の膜厚を表しており、図3で示した回折構造のアスペクト比はH/Wとなる。また、図4は図3におけるA−A断面図で、Lは凹凸形状のピッチを表している。
この凸部の高さHは5nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。またアスペクト比H/Wは1以上であることが好ましい。さらに、凹凸形状のピッチLは5nm〜1000nmの範囲内であることが好ましい。
例えばこの範囲であると正面から見たときには光を閉じ込める効果があるため黒〜灰色に見えるが、一定角度以上傾けると回折光が見える。
なお、図3では凹凸の凸部形状を角型の断面とし、その形状が縦長の形状にて示されているが、本発明に用いられる微細回折構造の形状は特にこれに限定されるものではなく、凹凸形状がsinカーブなどの円形であったり、凹部が角形で凸部のみ円形であってもよい。また、図4で示される形状も縦長形状だけでなく縦横のクロス形状など、様々な形状でも良い。
次に図5及び図6は、本発明の一例を示すもので、支持体1上に熱溶融転写インク層と熱溶融転写回折構造層をパターン状に形成したものである。ここで、熱溶融転写インク層と熱溶融転写回折構造層は並べて形成しておくことができる。
溶融転写インク層としては、例えば4色(Y,M,C,K)から選ばれる1色以上を用いることができる。例えば、図5及び図6に示すように4色(Y,M,C,K)、又は3色(Y,M,C)と熱溶融転写回折構造層2,3を長手方向に沿って適宜順序に並べ、繰り返し設けた構成である。
溶融転写インク層に用いる色は上記に限られるものではない。
ここで、3色(Y,M,C)と熱溶融転写回折構造層を用いる場合、熱溶融転写回折構造層を黒インキ層の代わりに用いることができる。この場合、熱溶融転写回折構造層を正面から見ると黒っぽく見えるが水平に近い状態から見ると回折光が見えるものとなる。
次に、図7は本発明の一例を示す平面図で、図5または図6の熱転写媒体を被転写基材上に熱転写して作製した偽造防止体である。図7では顔写真を昇華転写にてフルカラーで印刷した後、“IDカード”の文字と顔画像における髪の毛の黒色部分に、熱溶融転写回折構造層2または3を転写して黒色部の文字や画像を形成している。また、図8は図7のB−B断面図である。
図9は本発明の効果を示した模式図で、観察者の視点位置の変化によって観察される光が急激に変化する様子を示している。
熱溶融転写回折構造層が転写された偽造防止体を水平方向に対し45〜90°の範囲内のある角度(回折光不可視角度)の範囲で内では、熱溶融転写回折構造層が灰色もしくは黒色に見える。
そのまま更に水平方向に視点を移動させ、1〜45°における一定の範囲にくるとそれまで灰色もしくは黒色だった熱溶融転写回折構造層が回折光を発生し、観察者は回折光を見ることができる。
このため、本発明の熱転写媒体を文字や画像の灰色もしくは黒色部分に使用すると、回折光不可視角度内ではごく普通の文字や画像に見えるが、観察視点を水平方向に移動させて回折光不可視角度を超えると、回折光を観察する事ができ、この時の輝度や色彩の変化が大きい事から、誰でも容易に真偽判定を行うことが可能となる。
以下に、本発明の熱転写媒体を構成する各層の材質と形成方法等について解説する。
(支持体)
まず、支持体1としては樹脂フィルムが使用できる。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリエチレンナフタレート樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、耐熱塩化ビニルフィルム等が使用できる。これらの樹脂の中で、耐熱性が高く厚みが安定している事から、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムが好ましく使用できる。
本発明の熱転写媒体は、支持体として長尺状の樹脂フィルム上を用いることで熱転写リボンとして用いることができる。
また、これら樹脂フィルムには、帯電防止処理、マット加工、エンボス処理、文字や絵柄の印刷、レーザーマーキング等の加工を施したフィルムも使用する事ができる。
(剥離保護層)
剥離保護層11としては、樹脂に滑剤を添加したものが使用できる。樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、湿気硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等が使用できる。例えば、アクリル樹脂やポリエステル樹脂、ポリアミドイミド樹脂である。また、滑剤としてはポリエチレンパウダーや、カルナバロウ等のワックスを使用する事ができ、20重量部まで添加する事が可能である。これらは剥離保護層11として、支持体1上にグラビア印刷法やマイクログラビア法等、公知の塗布方法によって形成される。
(微細回折構造形成層)
微細回折構造形成層12は、レリーフ型回折格子からなる回折構造物であるが、従来の回折構造物とはその光学特性が異なり、ある一定の角度範囲の間では回折光が発生しないだけはなく、光の反射もほとんど発生しない特性を持った回折構造物が利用される。
前記レリーフ型回折格子の具体例としては、例えば、従来のレリーフ型回折格子ではアスペクト比が概ね1.0くらいであるが、この格子ピッチや凸部幅を変えずに、アスペクト比を1.5以上と大きくする事で、回折光が発生しない観察角度でも反射光が少ない特性を得ることができるが、よりハッキリとした光学変化特性を得るためには、凹凸パターンの凸部と凹部との高低差が50nm〜500nmで、且つ、凹凸の高さを幅で除した比(アスペクト比)が2以上であり、更に凹凸パターンのピッチが50nm〜500nmにて、各々できるだけ均一に形成されていることが望ましい。より好ましくは、凹凸パターンのピッチが50nm〜400nmの範囲内である。
そして、このように形成された凹凸パターンを有するレリーフ型のマスター版の表面に電気メッキ法で金属膜を形成する事によって、レリーフ型マスター版の凹凸パターンを複製し、これをプレス版とする。そして、支持体1上に積層される樹脂層にこのプレス版を熱圧着し、この樹脂層の表面に微細な凹凸パターンを転写することにより、微細回折構造形成層12とすることができる。
前記レリーフ型回折格子による微細回折構造形成層12に適用される樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線あるいは電子線硬化性樹脂等が使用できる。例えば、熱可塑性樹脂では、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、ビニル系樹脂等が挙げられる。また、反応性水酸基を有するアクリルポリオールやポリエステルポリオール等にポリイソシアネートを架橋剤として添加して架橋させたウレタン樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂等が使用できる。また、紫外線あるいは電子線硬化性樹脂としては、エポキシ(メタ)アクリル、ウレタン(メタ)アクリレート等が使用できる。また、微細でアスペクト比が大きい特殊な形状のため、微細回折構造形成層12がマスター版へ貼り付きによる形状崩壊を防止するために、剥離補助材としてシリコーン系オイルや樹脂、またはフッ素系の樹脂等を使用する事が好ましい。
(反射層)
反射層21は、微細回折構造形成層12に直接接触して設けられる。この場合、反射層21によって反射した光が回折光となる。
反射層21としては、反射輝度が高い点で金属薄膜が好ましく利用できる。この金属としては、例えば、Al、Sn、Cr、Ni、Cu、Au、真鍮等が挙げられる。そして、真空製膜法を利用してこの金属薄膜を形成する事ができる。真空製膜法としては、真空蒸着法、スパッタリング法等が適用でき、厚みは10〜1200nm程度に制御できれば良い。10nm以下であると光の反射が困難となり、回折光が発生しにくくなる。
また、金属粉末を含むインキ等金属光沢を有するインキを印刷して薄膜層としても良い。この場合、粉末としては粒子径500nm以下のものが好ましい。薄膜層の厚みは0.1〜10μmが好ましく、印刷方式として、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法等、公知の印刷方法が利用できる。
(接着層)
接着層14としては、熱によって被転写基材に接着するものであれば良く、公知の感熱性接着材料を使用する事ができる。
(その他の層)
その他の層としては、各層間の密着性をより強固なものとするためにアンカー層を設ける事ができ、この場合周知の密着向上剤や接着剤を使用する事ができる。
また、回折光の有無によるコントラストをより一層高めるために微細回折構造形成層12と接着層14との間に印刷層15を追加する事ができ、好ましくは黒色もしくは塗布後に反射濃度で0.8以上の濃度を持つのが良い。
何れのインキも周知の印刷インキを使用する事ができる。
(回折構造層体)
本発明に係る熱転写媒体を被転写基材6に重ね、熱溶融により接着した後、支持体1を剥離除去することにより、熱溶融転写回折構造層2または3が転写されて回折構造体7を製造する事ができる。被転写基材6としては、カード基材の場合には、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂やポリエステル樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などの樹脂フィルム基材や樹脂カード基材、証書や商品券等であれば、例えば紙や合成紙等が挙げられる。
本発明の熱転写媒体及びそれを用いた回折構造体は、正面と斜めから見たときにユニークで顕著な光学変化を有するため、偽造防止用途に好適に用いることができる。また、装飾用途に用いることもできる。
次に、実施例によって本発明を説明する。
<実施例1>
支持体1として、厚さ25μmの透明なポリエチレンテレフタレート(通称PET)フィルムを使用した。
この支持体1の片面に、下記組成物からなるインキを塗布・乾燥し、膜厚1.5μmの剥離保護層11を形成した。
次に、下記組成物からなるインキを塗布・乾燥し、膜厚1.0μmの層を形成した後、ロールエンボス法により回折格子形成用のプレス版を熱圧してその表面に回折格子を発生させるためのエンボス21を形成し、微細回折構造形成層12とした。
この微細回折構造形成層の凹凸形状の凸部の高さは250μmであった。
また、凸部の高さ/凸部の幅は0.8であった。凹凸形状のピッチは300μmであった。
次に、この回折構造形成層12の全面に真空蒸着法にてアルミニウム蒸着膜を膜厚60nmにて均一に形成し、反射層13の薄膜を形成した。
最後に下記組成物からなるインキを塗布・乾燥させて厚さ3μmの接着層14を形成し、
熱転写媒体を製造した。
「剥離保護層インキ組成物」
アクリル樹脂 30.0重量部
ポリエチレンパウダー 1.0重量部
トルエン 40.0重量部
メチルエチルケトン 40.0重量部
メチルイソブチルケトン 20.0重量部
「回折構造形成層インキ組成物」
ウレタン樹脂 20.0重量部
シリコーンオイル 1.0重量部
メチルエチルケトン 50.0重量部
酢酸エチル 30.0重量部
「接着層インキ組成物」
塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂 15.0重量部
アクリル樹脂(Tg.20℃) 10.0重量部
シリカ 1.0重量部
メチルエチルケトン 44.0重量部
トルエン 30.0重量部
次に、この熱転写媒体を、サーマルヘッドを装備した転写装置にセットし、ポリ塩化ビニルからなるプラスチックカードを被転写基材として、文字パターンとして熱転写を行うことにより、回折構造体を作製した。
この回折構造体を正面から観察すると、灰色もしくは黒色単色による一般的な文字パターンとして観察されるが、視点を水平方向に移動させていくと、水平方向に対して0〜45°の範囲内において回折光によって急激に色彩が変化することを確認する事ができた。
<実施例2>
支持体1として、厚さ25μmの透明なポリエチレンテレフタレート(通称PET)フィルムを使用した。
この支持体1の片面に、下記組成物からなるY,M,Cインキによる熱溶融転写インク層4をフィルムの長手方向にそれぞれ交互になるよう塗布・乾燥させ、各熱溶融転写インク層4を1μmとして形成し熱溶融転写インク層を含む熱転写媒体を得た。
次に、この熱溶融転写インク層を含む熱転写媒体の熱溶融転写インク層4の各々のCとYの間に、実施例1で得られた回折構造を有する熱転写媒体を物理的な手段を用いてつなぎ合わせ、熱転写媒体を作製した。
「熱溶融転写インク層−Yインキ組成物」
イエロー染料 10.0重量部
ブチラール樹脂 10.0重量部
シリコン変性ポリエステル樹脂 0.1重量部
メチルエチルケトン 90.0重量部
トルエン 90.0重量部
「熱溶融転写インク層−Mインキ組成物」
レッド染料 10.0重量部
ブチラール樹脂 10.0重量部
シリコン変性ポリエステル樹脂 0.1重量部
メチルエチルケトン 90.0重量部
トルエン 90.0重量部
「熱溶融転写インク層−Cインキ組成物」
ブルー染料 10.0重量部
ブチラール樹脂 10.0重量部
シリコン変性ポリエステル樹脂 0.1重量部
メチルエチルケトン 90.0重量部
トルエン 90.0重量部
次に、この熱転写媒体を、サーマルヘッドを装備した転写装置にセットし、ポリ塩化ビニルからなるプラスチックカードを被転写基材として最初にY,M,Cの各熱溶融転写インク層を熱転写することによって画像パターンをフルカラーで形成し、次に熱溶融転写回折構造層を先に転写した文字や画像パターンの灰色もしくは黒色部を形成する部分に転写する事により、回折構造体を作製した。
得られた回折構造体を観察すると、正面からある一定の角度範囲では通常のフルカラー画像として認識でき、水平方向に視点を移動させると、水平方向に対して0〜45°の範囲内において、灰色もしくは黒色だった部分に回折光による急激な色彩の変化を観察する事ができた。
得られた回折構造体は、実施例1及び実施例2のどちらにおいても、観察する角度を水平方向に移動させるとそれまで灰色もしくは黒色だった部分の色彩が急激に変化して回折光を発生させる特異な光学特性を持つ回折構造を有している。
この回折構造は回折構造体を正面からある一定の角度範囲において観察した場合には、他の画像や文字パターンの視認性を低下させることがないため真贋の判定が容易であり、また、従来の回折構造物では発現出来ない光学特性であるため、偽造防止効果の高い回折構造体とすることができた。
本発明の熱転写媒体の一例を示す断面図 本発明の熱転写媒体の一例を示す断面図 本発明の熱転写媒体の一例を示す断面図 図3におけるA−A平面図 本発明の熱転写媒体の一例を示す断面図 本発明の熱転写媒体の一例を示す断面図 本発明の回折構造体の一例を示す断面図 図7のB−B断面図 本発明の光学的効果を示した模式図
符号の説明
1 ・・・・支持体
2 ・・・・熱溶融転写回折構造層(4層構成)
3 ・・・・熱溶融転写回折構造層(5層構成)
4 ・・・・Y,M,Cの3色の熱溶融転写インク層
5 ・・・・Y,M,C,Kの4色の熱溶融転写インク層
6 ・・・・被転写基材
7 ・・・・回折構造体
11 ・・・・剥離保護層
12 ・・・・微細回折構造形成層
13 ・・・・反射層
14 ・・・・接着層
15 ・・・・印刷層
21 ・・・・凹凸加工面

Claims (6)

  1. 支持体上に、熱溶融転写回折構造層を有する熱転写媒体であって、
    熱溶融転写回折構造層が剥離保護層、微細回折構造形成層、反射層、接着層を有することを特徴とする熱転写媒体。
  2. 前記熱溶融転写回折構造層の反射層と接着層の間に印刷層を有することを特徴とする請求項1記載の熱転写媒体。
  3. 前記微細回折構造形成層が、凹凸形状からなり、該凹凸形状の凸部の高さが5nm〜1000nm、凸部の高さ/凸部の幅(アスペクト比)が1以上、凹凸形状のピッチが5nm〜1000nmであることを特徴とする請求項1または2記載の熱転写媒体。
  4. 支持体上に熱溶融転写インク層を有し、前記熱溶融転写回折構造層と熱溶融転写インク層がパターン状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の熱転写媒体。
  5. 前記熱溶融転写インク層がイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの4色から選ばれる1色以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の熱転写媒体。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の熱転写媒体を被転写基材に転写してなることを特徴とする回折構造体。
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