JP2009261040A - スイッチング電源 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電流連続モードによるスイッチング電源において、検出される直流出力電圧と設定値との誤差を増幅して出力する誤差アンプ26と、インダクタ4に流れる電流を検出する電流検出器28と、その検出された電流のピーク値を保持する保持回路24と、そのピーク値に応じてインダクタ4に流れる電流の最小値を制限するための乗算回路23と、スイッチング素子5のオン時間を決定する回路21,25等を設け、インダクタ4に流れる電流がその最小値よりも低くなったときにスイッチング素子5をターンオンし、その後、一定のオン時間が経過したときにスイッチング素子5をターンオフさせる。
【選択図】図1
Description
1)コイル電流が0になったときに、スイッチング素子をオンさせるように制御する臨界モード制御方式
2)コイル電流が0にならないように制御する電流連続モード制御方式
の2つの方式がある。
一方、後者の電流連続モード制御方式は、電流臨界モード制御方式に比べてスイッチングノイズは大きいが、電流リプルが小さくなるため、コイルやダイオードにかかるストレスが小さく、負荷が大きい用途にも適用可能である。
また、電流臨界モード制御方式のスイッチング電源には、
A)入力整流電圧を検出する方式
B)入力整流電圧を検出しない方式
の2つがある。
図9のスイッチング電源は入力整流電圧を昇圧し、入力整流電圧より高い電圧を出力する昇圧型コンバータの例である。ここで、入力整流電圧は、交流電圧をダイオードブリッジからなる整流回路2で全波整流した電圧である。また、出力電圧はコンデンサ7の両端の電圧であり、ダイオード6と出力コンデンサ7によって平滑化された直流電圧になる。
a)交流入力の力率の改善
b)直流出力電圧の安定化
であり、これを達成するためにインダクタ4に流れる電流の波形と振幅を下記のように制御する。
イ)出力電圧が低下したときには電流振幅を大きくしてコンデンサ7の充電量を増加し、
ロ)出力電圧が低下したときには逆に電流振幅を小さくして充電量を減らすというように制御され、これによって出力電圧を安定化させることができる。
1)出力電圧誤差アンプ(単に誤差アンプまたはアンプともいう)26は、出力電圧Voutと基準電圧Vrefとの誤差を増幅した信号Verrを、乗算回路23に出力する。
2)乗算回路23は、増幅された誤差電圧Verrと入力整流電圧検出値Vrecとを乗算し、しきい値信号Vthを生成する(このしきい値信号Vthは、入力整流電圧Vinと同位相の全波整流波形で、誤差電圧Verrに比例した振幅を持つ)。
3)インダクタ4を流れる電流は、電流検出用抵抗13で電流検出信号Viに変換される。
4)電流検出信号Viはコンパレータ22でしきい値信号Vthと比較され、電流検出信号Viがしきい値信号Vthを超えると、コンパレータ22の出力がハイレベルとなる。
5)このコンパレータ22の出力が、単安定マルチバイブレータ31のトリガ入力端子に入力される。
7)単安定マルチバイブレータ31の出力は、駆動回路12に入力される。
8)駆動回路12は、入力がハイレベルのときにスイッチング素子5をオンさせ、ローレベルのときにオフさせる。つまり、スイッチング素子5は一定期間オフした後、オンすることになる。
9)スイッチング素子5がオンの間、インダクタ4の電流が増加する。
以後は、4)に戻り、インダクタ電流の増加に伴い電流検出信号Viが上昇し、しきい値信号Vthを超えると単安定マルチバイブレータ31にトリガを掛けるという動作を繰り返す。
a)スイッチング素子5がオフ(単安定マルチバイブレータ31の出力がローレベル)のとき、インダクタ4の電流は徐々に減少する。
b)一定時間経過後スイッチング素子5がオンする(単安定マルチバイブレータ31の出力がハイレベルになる)。なお、スイッチオフ時間には、電流が0以下にならないように設定されている。
d)インダクタ電流の検出値がしきい値信号Vthに達すると、スイッチング素子5がオフする。
以上の制御により、インダクタ電流のピーク値が、入力整流電圧Vinと同位相の全波整流波形であるしきい値信号Vthと一致するように制御される。その結果、入力の力率が改善される。
1)抵抗分圧回路11は出力電圧Voutを分圧し、誤差アンプ26に出力する。
2)誤差アンプ26は分圧電圧と基準電圧Vrefとの誤差を増幅し、誤差信号Verrを出力する。なお、誤差アンプ26は商用周期以上の長い周期にのみ応答する。
3)スイッチング素子5がオンのとき、インダクタ4に流れる電流は一定の比率で増加する。これに伴い、インダクタ補助巻線の電圧Vauxが正になる。
4)CR直列回路33は、インダクタの補助巻線電圧Vauxから駆動電圧Vrsを発生する。駆動電圧Vrsは、ハイレベルとローレベルを有する。
6)コンパレータ22の正端子にはランプ電圧Vrmpが、負端子には誤差電圧Verrが入力される。ランプ電圧Vrmpが誤差電圧Verrより大きくなったとき、リセット電圧Vresetを出力する。ここで、誤差電圧Verrは商用周期と比較して十分長い時間変動している。そのため、商用周期のレベルで見たとき、誤差電圧は一定とみなすことができる。その結果、駆動電圧Vrsがハイレベルになり、ランプ電圧が上昇し始めてからコンパレータ22がリセット電圧を出力するまでの時間(商用周期のレベルで見たとき)は、一定とみなすことができる。
8)スイッチング素子5がオフのとき、インダクタ4に流れる電流は一定の比率で減少する。これに伴い、インダクタ補助巻線の電圧Vauxが負になる。
9)インダクタ電流が0になると、補助巻線電圧Vauxは押し上げられる。
10)これにより駆動電圧Vrsは正になり、スイッチング素子5がターンオンする。
以下、3)に戻って以上の動作を繰り返す。
a)スイッチング素子5がオフのとき、インダクタ4の電流は徐々に減少する。
b)インダクタ電流が0になると、スイッチング素子5がターンオフする。
c)スイッチング素子5がオンのとき、インダクタ4の電流は徐々に増加する。
d)オンの時間(商用周期のレベルで見たとき)は一定であるため、一定の時間が経過するとスイッチング素子5はターンオフする。
ΔIL=Ton・Vin/L…(1)
従って、オン時間が一定であれば、インダクタ電流の増分ΔILは入力整流電圧Vinに比例する。その結果、インダクタに流れる電流は入力整流電圧と同位相で相似形の全波整流波形になる。
一方、特許文献2に記載のものでは、入力整流電圧Vinを検出していないため、上記の問題は発生しない。しかし、この方法はインダクタに流れる電流が0になってからスイッチング素子をターンオンする電流臨界方式であるため、リプル(スイッチング素子のオンオフによって増減する電流成分)が大きくなる。その結果、インダクタンスを大きくしなければならず、装置が大型化するという問題がある。
この発明は、上記課題を解決すために、電流連続モードで動作するとともに、入力整流電圧Vinの検出が不要な制御方法を採るものである。より具体的には、スイッチングの機能と主な構成は同じとし、インダクタに流れる電流の波形と振幅を以下のように制御する。
1)スイッチング素子をターンオンする。
2)スイッチング素子のオン時間は、例えば図6に示すように一定とする(または、商用周期のレベルで見たときに、一定とみなせるように長い周期で変動させる)。このオン時間中、インダクタ電流は単調増加する。
3)一定時間が経過した後、スイッチング素子をターンオフする。このターンオフ時の電流Imaxを検出する。
4)スイッチング素子がオフしている間、インダクタ電流は単調減少する。
5)上記Imaxに係数K(0より大きく1より小)を掛けた値を、インダクタ電流の下限値Iminとする。インダクタ電流が下限値まで減少したとき、スイッチング素子を再びターンオンする。
Imin=K・Imax…(2)
Imax=Imin+ΔIL…(3)
ここに、ΔILは先の(1)式のように表わされるから、
Imax=Imin/K={1/(1−K)}(Ton・Vin/L)となり、
Imin=K(Imin+ΔIL)={K/(1−K)}ΔIL
={K/(1−K)}(Ton・Vin/L)…(4)
と表わされる。
IL=(Imax+Imin)/2
=[(1+K)/{2・(1−K)}](Ton・Vin/L)…(5)
のように、インダクタ電流はVinに比例する。すなわち、入力整流電圧Vinと同位相で相似形の全波整流波形になる。ここに、スイッチング素子のオン時間Tonは一定としている。
インダクタの電流振幅は、
・出力電圧が低下したときには、電流振幅を大きくしてコンデンサ7の充電量を増加し、
・出力電圧が上昇したときは逆に、電流振幅を小さくして充電量を減らす、
というように制御される。これによって出力電圧を安定化させることができる。
1)出力の電圧に応じて、上記(5)式のKを調整する。ただし、商用周期においてKが一定にみなせるように、係数Kの応答時定数は十分長いものとする。
2)出力の電圧に応じて、スイッチング素子のオン時間Tonを調整する。ただし、商用周期においてTonが一定にみなせるように、Tonの応答時定数は十分長いものとする。
検出される直流出力電圧と設定値との誤差を増幅して出力する誤差増幅手段と、前記インダクタに流れる電流を検出する電流検出手段と、その検出された電流のピーク値を保持する保持手段と、そのピーク値に応じて前記インダクタに流れる電流の下限値を設定する電流制限手段と、前記スイッチング素子のオン時間を決定するオン時間決定手段とを設け、
インダクタに流れる電流が前記電流制限手段に設定された電流下限値よりも低くなったときにスイッチング素子をターンオンし、その後、前記オン時間が経過したときにスイッチング素子をターンオフすることを特徴とする。
図2は図1の動作説明図で、インダクタ電流、ピークホールド回路出力、乗算回路出力、コンパレータ出力、タイマー回路出力、スイッチング素子への駆動信号、タイマーリセット信号およびタイマー回路内部信号などを示している。
a)交流電圧は、ダイオードブリッジからなる整流回路2で全波整流される。
b)インダクタ4とダイオード6を介して、出力端子に接続されたコンデンサ7に電流が供給される。
c)平滑化された直流電圧Voutが出力される。
d)MOSFETなどのスイッチング素子5は、インダクタ4とダイオード6との間に接続されている。
e)スイッチング素子5をオンオフすることにより、インダクタ4に流れる電流を制御している。
1)出力電圧Voutを、抵抗分圧回路11により後述する誤差アンプ26への入力信号として適切な電圧に分圧する。
2)誤差アンプ26は、上記分圧された電圧と基準電圧Vrefとの誤差を増幅した信号Verrを出力する。
3)インダクタ4に流れる電流を電流検出抵抗13により電圧信号に変換し、電流検出回路28に入力する。
4)電流検出回路28はその電圧信号を増幅した電流検出信号Videtを、コンパレータ22およびピークホールド回路24に入力する。
6)ピークホールド回路24の出力Vimaxは、乗算回路23に入力される。
7)乗算回路23は、誤差アンプ26の出力Verrとピークホールド回路24の出力Vimaxとを乗算し、その結果Viminをコンパレータ22の非反転端子に入力する。ここで、乗算回路23の出力Viminは、インダクタ電流の下限値Iminを規定する信号として作用する。
9)コンパレータ22の出力は、RS(リセットセット)フリップフロップ回路21のセット入力端子に入力される。
10)RSフリップフロップ回路21の(非反転)出力Vgate0は、駆動回路12を介してスイッチング素子5のゲートに入力される。Vgate0がハイレベルのとき、スイッチング素子5はオン状態になる。
12)タイマー回路25は、リセット解除後一定時間が経過したときにトリガ電圧を出力する。
13)このタイマー出力は、RSフリップフロップ回路21のリセット端子に入力されている。タイマー回路25がトリガ信号を出力すると、RSフリップフロップ回路21の出力がローレベルとなり、スイッチング素子5がオフになる。
a)スイッチング素子5がオフのとき、インダクタ電流は徐々に減少する。
b)インダクタ電流がインダクタ電流のピーク値に基づいて設定された電流下限値Iminになると、スイッチング素子5がターンオンする。
c)スイッチング素子5がオンのとき、インダクタ電流は徐々に増加する。
d)ターンオン後一定の時間が経過すると、スイッチング素子5はターンオフする。
イ)出力電圧Voutが所定の値より高いとき、電流下限値Iminは小さくなるように制御されている。これにより、インダクタの平均電流が減少し、出力電圧Voutを低下させるように機能する。
ロ)逆に、出力電圧Voutが所定の値より低いとき、電流下限値は大きくなるように制御されている。これにより、インダクタの平均電流が増加し、出力電圧Voutを上昇させるように機能する。
図1における電流振幅調整方法を図示すると、図7(a),(b)のようになる。同図(a)と(b)の相違は上記(2),(4)式に示すK値の相違による。
これも入力整流電圧を昇圧し、入力整流電圧より高い電圧を出力する昇圧型コンバータの例である。主回路部の構成は図1と同じであり、各部波形も図2と同じなので説明は省略し、スイッチング素子5のオンオフ制御について、図1とは異なるところだけを以下に列記する。
7’)乗算回路23は、ピークホールド回路24の出力Vimaxに電流下限設定用電圧を乗算し、その結果Viminをコンパレータ22の非反転端子に入力する。ここで、乗算回路23の出力Viminは、インダクタ電流の下限値Iminを規定する信号として作用する。
12’−1)タイマー回路25はリセット解除後、内部のランプ電圧が一定の比率で上昇する。
12’−2)ランプ電圧はコンパレータでVerrと比較され、ランプ電圧がVerrより大きくなったときに、トリガ電圧を出力する。
d’)ターンオン後、出力電圧の誤差に応じて決められる時間が経過すると、スイッチング素子5はターンオフする。
さらに、出力電圧Voutは、以下のように変更される。
イ’)出力電圧Voutが所定の値より高いとき、スイッチング素子のオン時間は小さくなるように制御されている。これにより、インダクタの平均電流が減少し、出力電圧Voutを低下させるように機能する。
ロ’)逆に、出力電圧Voutが所定の値より低いとき、スイッチング素子のオン時間は大きくなるように制御されている。これにより、インダクタの平均電流が増加し、出力電圧Voutを上昇させるように機能する。
図3の場合の電流振幅調整方法を図示すると、図8(a),(b)のようになる。
Claims (3)
- 交流電源を全波整流して脈流出力を得るダイオード整流回路と、このダイオード整流回路に接続されたインダクタと、このインダクタに流れる電流をオンオフするスイッチング素子と、前記インダクタから供給される電流を平滑して直流出力を得るコンデンサと、前記インダクタから前記コンデンサに流れる電流を整流するダイオードとからなり、交流入力電圧を昇圧して安定した直流を発生するとともに、交流入力の力率を改善する機能を備えたスイッチング電源において、
検出される直流出力電圧と設定値との誤差を増幅して出力する誤差増幅手段と、前記インダクタに流れる電流を検出する電流検出手段と、その検出された電流のピーク値を保持する保持手段と、そのピーク値に応じて前記インダクタに流れる電流の下限値を設定する電流制限手段と、前記スイッチング素子のオン時間を決定するオン時間決定手段とを設け、
インダクタに流れる電流が前記電流制限手段に設定された電流下限値よりも低くなったときにスイッチング素子をターンオンし、その後、前記オン時間が経過したときにスイッチング素子をターンオフすることを特徴とするスイッチング電源。 - 前記電流制限手段として前記誤差とピーク値とを乗算する乗算器を用いることにより、前記誤差に基づいて前記最小電流設定値(電流下限値の設定値)を調整することを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源。
- 前記オン時間決定手段として前記誤差に応じた時間を設定するタイマー回路を設け、前記誤差に基づいて前記オン時間を調整することを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチング電源。
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