JP2009241559A - 積層パネルとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】作業者がVOCガスを吸入したり樹脂に接触したりせず、更に、手作業によりコア材のスリットにパテを塗り込んだり、コア材を予め曲面に合わせて変形させたりすることなく、短時間かつ容易に、即ち一発成型により曲面を有するコア材と強化繊維とを積層した積層パネルを製造する方法を提供する。
【解決手段】コア材を合成樹脂製の平板状体の片面に複数の膨出部が小間隙を開けて一体的に形成し、前記小間隙は前記積層体を前記型材表面に形成された曲面に沿わせて撓ませたときに、この積層体の曲がりを阻止することがなく、且つ、液状の樹脂を全体的に供給することができる樹脂の小流路を形成し、更にこの樹脂が硬化して膨出部同士が一体化するように配置した。
【選択図】図1
【解決手段】コア材を合成樹脂製の平板状体の片面に複数の膨出部が小間隙を開けて一体的に形成し、前記小間隙は前記積層体を前記型材表面に形成された曲面に沿わせて撓ませたときに、この積層体の曲がりを阻止することがなく、且つ、液状の樹脂を全体的に供給することができる樹脂の小流路を形成し、更にこの樹脂が硬化して膨出部同士が一体化するように配置した。
【選択図】図1
Description
本発明は、板状のコア材の両面を強化繊維シートでサンドイッチした積層パネルとその製造方法に関し、より詳しくは、コア材の両面に繊維シートを積層した積層体を凹凸の形状が形成された型材に押し付けながら真空状態でマトリックス樹脂を含浸させて前記凹凸の形状に成型した積層パネルとその製造方法に関する。
(FRP板)
近時、耐候性や耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性に優れ、さらに軽量であるといった構造材としてカーボンやグラスファイバー等の繊維を合成樹脂の中に入れた繊維強化樹脂(以下、FRP)が知られ、建築資材(採光屋根、温室等)や住設機材(浴槽、浄化槽)、船艇・船舶、海洋調査艇や灯台の塔体、CNGタンク、航空機、レーダードーム等、様々な構造物に利用されている。
近時、耐候性や耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性に優れ、さらに軽量であるといった構造材としてカーボンやグラスファイバー等の繊維を合成樹脂の中に入れた繊維強化樹脂(以下、FRP)が知られ、建築資材(採光屋根、温室等)や住設機材(浴槽、浄化槽)、船艇・船舶、海洋調査艇や灯台の塔体、CNGタンク、航空機、レーダードーム等、様々な構造物に利用されている。
FRPを成型する方法として、例えば、真空含浸法(一般的にVaRTM法と呼ばれている:Vacuum assisted Resin Transfer Molding)が知られ、具体的には図11に示すような成形装置が用いられている(例えば、特許文献1)。
この成形装置は、成形型111の上にガラスクロス等の繊維101,102,103が積み重ねられ、前記繊維101,102,103にバッグ108が被され、このバッグ108の周縁が気密シール109によりシールされ、更に、前記成形型111の成形面に連通する合成樹脂Rの導入管113が設けられると共に、前記バッグ108には該バッグ108内のガスを吸引する真空ポンプ116を有する吸引管114が設けられている。
このような成形装置におけるFRP板の成型方法は、成形型111の成形面に繊維材料101,102,103を積層し、バッグ108でこれらを覆う。次に、前記バッグ108内のガスが吸引管114より排気されて減圧状態となり、導入管113より不飽和ポリエステルやエポキシ樹脂等の合成樹脂Rがバッグ108内に導入される。そして、バッグ108は大気圧と前記減圧状態の圧力との差により繊維材料101,102,103を成形型111側に強圧し、前記繊維材料が圧縮されると共に注入された合成樹脂Rが繊維材料に含浸する。所定の時間(樹脂の硬化するまでの時間)バッグ108内が前記真空状態に保持され、その後、バッグ108内を真空状態から大気圧状態に戻し、圧縮成型されたFRP板を成形型より離型して繊維強化樹脂パネルが製作される。
前記繊維材料は、例えば、ガラスファイバーやカーボンファイバー等の繊維材料であり、不織布や平織りのシート状のものが使用されている。この繊維材料に含浸させる樹脂(マトリックス樹脂)は、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が用いられており、特に、ポリエステルやポリプロピレン等の耐衝撃性・高曲げ強度を有する樹脂が多用されている。
このようなFRP板は、繊維材料で構成されているので、厚みのあるFRP板を形成するには大量の繊維材料を積層することになるので手間とコストがかかる上に重量が重くなってしまうという問題があった。
(第1の積層パネル)
ところで、板状のコア材の両面に繊維材料を積層した積層パネルが知られている(例えば、特許文献2)。この積層パネルは、図12に示すように繊維121aとコア材122と繊維121bとをこの順序で積層したものであって、繊維材料(シート)にエポキシ樹脂等を刷毛やローラーなどで含浸させるハンドレイアップ法や、積層状態で圧縮成型するプレス法、プリプレグを積層して大形の窯(オートクレーブ)で加熱する加熱法などにより製造されている。
(第1の積層パネル)
ところで、板状のコア材の両面に繊維材料を積層した積層パネルが知られている(例えば、特許文献2)。この積層パネルは、図12に示すように繊維121aとコア材122と繊維121bとをこの順序で積層したものであって、繊維材料(シート)にエポキシ樹脂等を刷毛やローラーなどで含浸させるハンドレイアップ法や、積層状態で圧縮成型するプレス法、プリプレグを積層して大形の窯(オートクレーブ)で加熱する加熱法などにより製造されている。
そして、製造された積層パネル120は、コア材に高強度のものを使用することでFRPパネル以上の曲げ強度を発揮することができる。また、コア材の厚さを変えるだけで様々な厚みの積層パネルが容易に得られるので、前述のFRPパネルのように大量の繊維シートを積層する必要がなくなるので製造時間の短縮とコストの削減ができる。
ところが、このような積層パネル120に使用されているコア材は平板形状であり、大きい曲率を有する積層パネルを形成することができなかった。従って、大きい曲率を有する積層パネルを製造するには、予め曲面に沿って製造段階から形成するか又は機械加工等の切削加工されたコア材を使用したり、熱可塑性樹脂製のコア材であればこれを加熱しながら大型プレス機で強圧して変形させなければならず、手間とコストがかかっていた。
また、事前に製品毎に専用のコア材を製造していたのでは新製品への切り替えに時間がかかったり、製品毎のコア材の在庫が増えてしまったりという問題があった。
(第2の積層パネル)
ところで、前記平板状の第1の積層パネルに対して曲面を有する積層パネルを成型する方法が知られている(特許文献3)。この曲面を有する積層パネルの概略を図13に示す。この図に示すように曲面を有する成形型(不図示)上にガラス繊維218、コア材(ガラスクロス213、ポリ塩化ビニル製発泡材212)、パテ216、ガラス繊維216をこの順に積層して形成されている。前記コア材は、図14(A)に示すように発泡材212の一方の面に非貫通スリット214aを複数設け、次いで図(B)のように前記スリット14が開口している発泡材212の一方の面に多孔性シート(ガラスクロス213等)を接着剤で貼り付け、更に図(C)のように発泡材212の他方の面から前記スリット214aよりも幅広のスリット214bを設けて貫通スリットが形成されている。
ところで、前記平板状の第1の積層パネルに対して曲面を有する積層パネルを成型する方法が知られている(特許文献3)。この曲面を有する積層パネルの概略を図13に示す。この図に示すように曲面を有する成形型(不図示)上にガラス繊維218、コア材(ガラスクロス213、ポリ塩化ビニル製発泡材212)、パテ216、ガラス繊維216をこの順に積層して形成されている。前記コア材は、図14(A)に示すように発泡材212の一方の面に非貫通スリット214aを複数設け、次いで図(B)のように前記スリット14が開口している発泡材212の一方の面に多孔性シート(ガラスクロス213等)を接着剤で貼り付け、更に図(C)のように発泡材212の他方の面から前記スリット214aよりも幅広のスリット214bを設けて貫通スリットが形成されている。
そして、この積層パネルは、熟練の職人が手作業でパテ216を塗り込みながら製作しており、前述のように複数の工程を経て製作されるものであるので、特許文献3記載の積層パネルは大量生産に適していないのである。従って、積層パネルが高価なものになってしまう。
また、パテは発泡材に吸収され易く、その吸収にはバラツキがあるので、積層パネルの強度がバラツキ易いという欠点があった。更に、パテの硬化を促進するために加熱すると、パテ内の空気が膨張してボイドを形成し、曲げ強度が著しく低下するという問題がある。
更に、パテと硬化剤とを念入りかつ均一に練り合わせる手間がかかり、配合比率によって硬化時間や硬化後の収縮率が異なってしまうので、これにより積層パネルの強度ムラが生ずるという問題もある。
更にまた、手作業によりパテをスリット内に塗り込まなければならないので、その作業自体が非常に手間のかかるものであり、塗り込みムラによる強度のバラツキを生ずるという問題もあった。また、均一にパテを塗り込むのには熟練の作業者を必要とするので、工期とコストがかかり、大量生産できないという問題がある。
また、薄いガラスクロスで連結された発泡材からなるコア材は、全くコシのないものとなっている。従って、成形型上の凹凸によりコア材が移動したりして安定しないので、作業性がよくないという問題もあった。また、コア材を製作する際にも安定感がよくないので、慎重に取り扱わなければならない。
また、発泡材に多数の切り込みを形成し、この切り込みが拡大あるいは縮小することで発泡材に柔軟性を与えたものがあるが、パテを切り込みに塗り込む作業は前述の問題がある。
そして、手作業により製作されているので、作業環境にパテ中の揮発性有機化合物(volatile organic compounds。以下、VOC)が放出され、これを作業者が吸入してしまうことがあるという問題があった。
特開2006−272911号公報
特開2005−313613号公報
特開平5−471号公報
本発明は、かかる従来技術の欠点に鑑み、作業者がVOCガスを吸入したりすることなく、更に、手作業によりコア材のスリットにパテを塗り込んだり、コア材を予め曲面に合わせて変形させたりすることなく、短時間かつ容易に曲面を有する高強度なFRPサンドイッチパネルを製造する方法を提供するものである。
本発明は前記したような従来の問題点を解決するためになされたものであって、本発明に係る積層パネルの製造方法は、
1)コア材の両面に強化繊維層を配設した積層体を、真空成型用型材の表面に配置し、液状の樹脂を前記積層体に供給して曲面を有する構造物用積層パネルを前記型材に押圧状態で成型する方法において、前記コア材は、平板状体の片面あるいは両面に複数の膨出部が小間隙を開けて一体的に形成されており、前記小間隙は、前記積層体を前記型材表面に形成された曲面に沿わせて撓ませたときに、この積層体の曲がりを阻止することがなく、且つ、液状の樹脂を全体的に供給することができる樹脂の小流路に形成し、更にこの樹脂が硬化して膨出部同士が一体化するように配置したことを特徴としている。
1)コア材の両面に強化繊維層を配設した積層体を、真空成型用型材の表面に配置し、液状の樹脂を前記積層体に供給して曲面を有する構造物用積層パネルを前記型材に押圧状態で成型する方法において、前記コア材は、平板状体の片面あるいは両面に複数の膨出部が小間隙を開けて一体的に形成されており、前記小間隙は、前記積層体を前記型材表面に形成された曲面に沿わせて撓ませたときに、この積層体の曲がりを阻止することがなく、且つ、液状の樹脂を全体的に供給することができる樹脂の小流路に形成し、更にこの樹脂が硬化して膨出部同士が一体化するように配置したことを特徴としている。
また、本発明に係る積層パネルは、
2)コア材の両面に強化繊維層を配設した積層体を、真空成型用型材の表面に配置し、液状の樹脂を前記積層体に供給し、前記型材に押圧状態で成型された曲面を有する構造物用積層パネルであって、前記コア材は、平板状体の片面あるいは両面に複数の膨出部が小間隙を開けて一体的に形成されており、前記小間隔は、前記積層体を前記型材表面に形成された曲面に沿わせて撓ませたときに、この積層体の曲がりを阻止することがなく、且つ、液状の樹脂を全体的に供給することができる樹脂の小流路に形成し、更にこの樹脂が硬化して膨出部同士が一体化するように配置したことを特徴としている。
2)コア材の両面に強化繊維層を配設した積層体を、真空成型用型材の表面に配置し、液状の樹脂を前記積層体に供給し、前記型材に押圧状態で成型された曲面を有する構造物用積層パネルであって、前記コア材は、平板状体の片面あるいは両面に複数の膨出部が小間隙を開けて一体的に形成されており、前記小間隔は、前記積層体を前記型材表面に形成された曲面に沿わせて撓ませたときに、この積層体の曲がりを阻止することがなく、且つ、液状の樹脂を全体的に供給することができる樹脂の小流路に形成し、更にこの樹脂が硬化して膨出部同士が一体化するように配置したことを特徴としている。
マトリックス樹脂が硬化すると、このマトリックス樹脂硬化体とコア材の膨出部とが一体となり、これが恰も一枚の板のようになるので、積層パネルの強度を向上させることができる。
手作業によりパテを塗り込む作業が不要となり、短期間で積層パネルが製造され、結果、量産により安価に提供することができる。
従来の真空成型ではコア材と強化繊維とを積層した積層パネルは平板状のものに限られていたが、コア材を平板状体の片面に膨出部を小間隙を有して複数形成したことにより、曲面を有する積層パネルを真空成型により容易に製造することができる。
真空成型により、コア材の膨出部と膨出部との間隙にマトリックス樹脂が充填させ、また、前記コア材をサンドイッチする強化繊維層に前記樹脂が含浸させるだけで、曲面を有する積層パネルが一発成型される。結果、製造期間を著しく短縮することができる。
また、コア材を平板状体の片面に膨出部を小間隙を有して複数形成したことにより、この小間隙が凹面や凸面に沿って拡大したり縮小したりするので、凹面と凸面とを同時に有する積層パネルを製造することができる。
パテが発泡材製のコア材に吸収されてしまうこと、又は作業の不均一性によりスリット内に空隙を生じ、パネル強度のバラツキが発生することが防止される。
パテの塗込みに比べ、液状の樹脂を真空引きで充填することにより隅々まで樹脂を行き渡らせることでボイドを減じるだけでなく、コア材との接合強度を向上させることができる。
発泡材にガラス繊維シートを貼り付けたり、貫通スリットを形成したりする工程が省略されてこれにかかる費用と期間が削減される。発泡材の小片の集まりで多面体を形成し、強化繊維とコア材の隙間に同時に樹脂が充填されるので、型面に無理なく沿い、意図された理想の曲面に近付く。
また、強化繊維を大量に積層したりすることなく、所定の厚みを有するコア材を使用するだけで、所望の厚みの積層パネルを簡単に得ることができる。また、強化繊維と比較してコア材は非常に安価であるので、生産される積層パネルも安価となる。
熟練の職人の手作業により積層パネルを組み上げる必要がなくなるので、手作業におけるバラツキもなくなり、工業生産に適している。よって、安定した品質のものを安定した供給量で提供することができる。
真空引きの状態で樹脂がゲル化したときに吸引を止め、乾燥炉ないしオートクレーブ内で加熱することでより強度を向上させることができ、必要に応じて加圧、加熱してより高性能な性質を得ることが可能である。
更に、パテやマトリックス樹脂、プリプレグ等を作業者が手作業で直接取り扱う機会を大幅に削減するので、作業者の健康被害の発生を防止できる。
以下、本発明にかかる積層パネルの製造方法について図示して説明する。
(実施例1)
図1は、本発明における製造方法によって積層パネルを製造する装置の概略図である。積層パネルの真空成型機Aは、成形型5(型材)と、これを覆うシート状のバッグ6と、前記成形型5とバッグ6との間を気密に保持するためのパッキン7とを有している。更に、前記成形型5の成形面5aに連通するマトリックス樹脂Rの供給路L1と、前記バッグ6内に連通してガスを排気する真空ポンプを備えた排気路L2とが設けられている。前記成形型5の成形面5aは、製作される積層パネルの形状に沿って曲面に形成されている。
図1は、本発明における製造方法によって積層パネルを製造する装置の概略図である。積層パネルの真空成型機Aは、成形型5(型材)と、これを覆うシート状のバッグ6と、前記成形型5とバッグ6との間を気密に保持するためのパッキン7とを有している。更に、前記成形型5の成形面5aに連通するマトリックス樹脂Rの供給路L1と、前記バッグ6内に連通してガスを排気する真空ポンプを備えた排気路L2とが設けられている。前記成形型5の成形面5aは、製作される積層パネルの形状に沿って曲面に形成されている。
前記コア材1は、例えば塩化ビニル等の合成樹脂が使用され、これを型枠に流し込んで発泡させ、図2〜図4に示すように平板状体1f上に複数の膨出部1a(突条)が形成されている。前記の膨出部1a同士の間隙はマトリックス樹脂Rの流路1eとなっており、この流路1e部分はコア材1の厚さ膨出部1aよりも薄肉に形成されている。なお、流路1eに位置する平板状体1fの厚さは可撓性を有する程度の厚みに形成され、コア材1を曲げ加工しやすいようになっている。
マトリックス樹脂には短く切断した強化繊維を予め混練しておくことによって従来のパテより強度の高い部材を得ることができる。
具体的には、膨出部1aは10〜100mm、流路1eは前記厚みの50〜95%程度となっている。この厚みは、前述のようにコア材1が変形し易い程度のものであり、かつ、取り扱い性・作業性のよいコシが得られる程度となる範囲で変更することができる。よって、コア材として使用する合成樹脂によって前述の厚みは適宜調整される。また、図5に示すように膨出部1aの巾は、製造される積層パネルPの曲面に沿って変形できるように曲がり角度θを確保できる間隙となっている。
前記繊維材料は、ガラス繊維、炭素繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、金属繊維等が使用されており、また、ロービングを平織りにしたクロス(ロービングクロス)や、チョップドストランドマット等のクロスが使用されている。施工の容易性から、前記繊維材料の厚さは0.5mm〜10mmのものが使用される。
マトリックス樹脂は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ナイロン樹脂、ポリイミド樹脂などが使用され、積層パネルの用途や強度等に合わせて最適なものが使用される。よって、前述の樹脂に限定されるものではない。
次に、真空成型機Aを使用して本発明に係る積層パネルを製造する操作について説明する。
成形型5の成形面5aに図示しない離型シートを敷設し、これの上にガラスファイバー等の強化繊維シート2bを所定の枚数積層し、この上にコア材1を載置し、更にその上に強化繊維シート2aを所定の枚数積層して積層体Tを形成する。次いで、気密パッキン7を前記成形面5a上に載置された積層体Tの周囲に配置し、前記成形面5aと積層体とを真空バッグ6により覆う。
排気ラインL2よりバッグ6内のガスを排気し、このバッグ6内を真空状態とする。供給ラインL1のバルブを開くと樹脂Rが図示しないタンクより該供給ラインL1を介して成形面5aに導入される。導入された樹脂Rは強化繊維シート2bの繊維間の隙間を通じて前記成形面5a全体に供給されると共に、この強化繊維シート2bに含浸する。
さらに、樹脂Rはコア材1の流路1e内を流通しながら拡がると共にこの流路1e内に充填され、コア材1と上側の強化繊維シート2aとに樹脂Rが含浸する。
また、バッグ6内は大気圧よりも低圧に保持されており、大気圧と前記低圧との差圧によって前記バッグ6が積層体Tを成形面5aに押し付け、この積層体Tに圧縮力が作用している。この低圧状態は、樹脂Rが硬化するまで保持されている。
なお、前記真空成型機に、図示しない電熱器や冷却器等を備えた温度制御手段を設け、樹脂Rの最適な硬化温度に保持するようにしてもよい。
そして、マトリックス樹脂Rの硬化が完了すると排気ラインL2による排気を停止してバッグ6内が大気圧に戻され、このバッグ6は取り外される。次いで、前記成形型5よりこの積層パネルPが取り出され、曲面が形成された積層パネルPが完成する(図6)。以上のような操作を繰り返すことで積層パネルPが製造される。
本実施例により、曲面および厚みを有し、かつ高強度な積層パネルが容易に製造できるようになり、更に、コア材に作業者がパテを手作業で埋め込むことなく自動含浸されるので、積層パネルの製作の手間と時間が短縮され、その製作コストも抑えることができる。
前記コア材1の流路1e内の樹脂Rが硬化して膨出部1a同士が連結されて一体となる。従って、恰も1枚の板のようになって強度が向上する。
なお、本実施例においては、膨出部が一方向に形成されたコア材について説明をしたが、これに限定されるものではない。例えば、図7,8に示すように交差する突条1a,1dが複数形成されたものを使用することができる。この図7,8に示すようなコア材1は、例えば擂り鉢状やドーム状に変形しやすくなっている。また、膨出部が薄板部の両面に形成され、即ち、樹脂Rの流路が両面に形成されたコア材を使用することもでき、このコア材は両側に形成された流路により樹脂が均一かつ迅速に充填されるようになる。
本発明に係る積層パネルは、コア材やガラスクロス等に真空含浸させて成形しているので、真空成型機の樹脂注入口或いは排気ラインの位置を変えることができ、例えば図9のように、供給口と排気口とを上方に設けることができる。供給口と排気口とを上方に設けることで、積層体により開口部を塞がれることが防止される。また、樹脂の硬化時間により供給口/排気口のペアをかえて、大面積作業を可能にすることもできる。
(実施例2)
本実施例は、船舶の船体を成型するものであって、これに用いられる成形型の概略を図10に示す。この成形型15の成形面15aは船体の外形に沿った形状に形成されており、この成形型15の一方よりエポキシ樹脂等のマトリックス樹脂が供給される供給配管L1が接続され、他方に吸引ポンプが接続された吸引配管L2が接続されている。また、この成形型15全体を覆うバッグ6と、バッグ6内を真空にしたときの気密を保つための図示しないシールが設けられている。積層パネルの製造方法は、前記実施例1と同様であるので説明を省略する。
本実施例は、船舶の船体を成型するものであって、これに用いられる成形型の概略を図10に示す。この成形型15の成形面15aは船体の外形に沿った形状に形成されており、この成形型15の一方よりエポキシ樹脂等のマトリックス樹脂が供給される供給配管L1が接続され、他方に吸引ポンプが接続された吸引配管L2が接続されている。また、この成形型15全体を覆うバッグ6と、バッグ6内を真空にしたときの気密を保つための図示しないシールが設けられている。積層パネルの製造方法は、前記実施例1と同様であるので説明を省略する。
本実施例により、従来はコア材のないFRPのみから船体が形成されることが多かったが、コア材を有する船体を容易且つ正確に形成することができるようになり、その強度は著しく向上し、更に軽量・高強度な船体を得ることができる。船体のような大形構造物を一体で一度の樹脂充填工程で成型することができ、低コスト化に大きな効果がある。また、外側のFRPに亀裂が生じても、コア材と樹脂とが一体となった構造材が水密を保つので漏水することもなく、また、船体が前記構造材により強固に支持されているので、安全性が向上する。従って、船舶同士の接触や船舶の岸壁への接触等の事故が発生しても船体の損傷がFRP船よりも小さくなる。
(実施例3)
本実施例は、透過性を有するコア材を、太陽光を透過する程度の厚みとし、前述の本発明の製造方法によりドーム型等の屋根を形成するものである。
本実施例は、透過性を有するコア材を、太陽光を透過する程度の厚みとし、前述の本発明の製造方法によりドーム型等の屋根を形成するものである。
本実施例によると、強化繊維にガラスファイバーを使用し、コア材に透光性を有する合成樹脂(例えば、塩化ビニル樹脂)を使用したことにより軽量且つ高強度の光透過性を有する屋根を得ることができる。また、従来のようにガラス板を用いることなく太陽光を採り入れることのできる屋根を形成することができる。また、ガラスのように割れて破片が飛び散ったり、重量が重くなったりしない。
前記実施例1〜3において、コア材に発泡材を用いたが、バルサやハニカムを用いることができる。また、コア材自体を積層したり、用途に合わせて高さの異なるコア材を使用することもできる。
また、コア材の一方の面に流路を形成したが、両面に流路を対抗するように形成し、恰もコア材の略中央部に薄板状の連結体が形成されているようなものとすることもできる。両面に流路が形成されるので、マトリックス樹脂の拡散により適したものとなる。
また、本発明の製造方法は、前記実施例に限定されるものではなく、曲面を有する構造物(例えば、自動車の車体・ボンネット、高速鉄道車両の前頭部等)についても好適に使用することができる。
更に、コア材の両面に設けられた強化繊維層を、パネルの用途に合わせて耐紫外線性、耐候性、耐衝撃性などに適した繊維材料やマトリックス樹脂を用いることができ、コア材を変更するだけで種々の用途に合わせて積層パネルの特性を変更したものを製造することができる。
更にまた、コア材にもマトリックス樹脂が十分に含浸されるので、この樹脂が固化した際には恰も一枚の板のような高強度を発現し、製造されるFRP積層パネルの強度も向上する。
なお、コア材を略ブロック形状とし、このコア材同士の中間部に形成した連結部により連結させることができる。すなわち、
1 コア材
1a 膨出部
1d,1e 流路
1f 平板状体
2,2a,2b 強化繊維シート
5 成形型(型材)
5a 成形面
6 バッグ
7 パッキン
L1 供給ライン
L2 排気ライン
G ガス
R マトリックス樹脂
1a 膨出部
1d,1e 流路
1f 平板状体
2,2a,2b 強化繊維シート
5 成形型(型材)
5a 成形面
6 バッグ
7 パッキン
L1 供給ライン
L2 排気ライン
G ガス
R マトリックス樹脂
Claims (2)
- コア材の両面に強化繊維層を配設した積層体を、真空成型用型材の表面に配置し、液状の樹脂を前記積層体に供給して曲面を有する構造物用積層パネルを前記型材に押圧状態で成型する方法において、
前記コア材は、平板状体の片面あるいは両面に複数の膨出部が小間隙を開けて一体的に形成されており、前記小間隙は、前記積層体を前記型材表面に形成された曲面に沿わせて撓ませたときに、この積層体の曲がりを阻止することがなく、且つ、液状の樹脂を全体的に供給することができる樹脂の小流路に形成し、更にこの樹脂が硬化して膨出部同士が一体化するように配置したことを特徴とする積層パネルの製造方法。 - コア材の両面に強化繊維層を配設した積層体を、真空成型用型材の表面に配置し、液状の樹脂を前記積層体に供給し、前記型材に押圧状態で成型された曲面を有する構造物用積層パネルであって、
前記コア材は、平板状体の片面あるいは両面に複数の膨出部が小間隙を開けて一体的に形成されており、前記小間隔は、前記積層体を前記型材表面に形成された曲面に沿わせて撓ませたときに、この積層体の曲がりを阻止することがなく、且つ、液状の樹脂を全体的に供給することができる樹脂の小流路に形成し、更にこの樹脂が硬化して膨出部同士が一体化するように配置したことを特徴とする積層パネル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008094258A JP2009241559A (ja) | 2008-03-31 | 2008-03-31 | 積層パネルとその製造方法 |
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JPWO2013172345A1 (ja) * | 2012-05-14 | 2016-01-12 | 三菱電機株式会社 | 車両用空調装置のカバーの製造方法 |
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-
2008
- 2008-03-31 JP JP2008094258A patent/JP2009241559A/ja active Pending
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