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JP2009106548A - 超音波診断装置及び画像データ生成装置 - Google Patents

超音波診断装置及び画像データ生成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】心臓の拡張能検査に有効なパラメータ画像データの生成。
【解決手段】変換計測部6は、複数の異なる運動負荷が順次与えられた被検体から得られる受信信号に基づいて超音波画像データ生成部4が生成した時系列的な超音波画像データをトラッキング処理して心筋組織の変位を2次元的に計測し、運動情報計測部7は、この変位の空間的勾配及び時間的変化に基づいて心筋組織における時系列的な「歪み」と「歪み速度」を計測する。一方、比較パラメータ演算部10は、拡張期間中の任意の期間における時系列的な「歪み」及び「歪み速度」の中から「最大歪み」及び「最大歪み速度」を抽出し、異なる2つの運動負荷に対して抽出された2次元的な「最大歪み」及び「最大歪み速度」を用いて比較パラメータを算出する。そして、パラメータ画像データ生成部11は、得られた比較パラメータに基づいてパラメータ画像データを生成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、超音波診断装置及び画像データ生成装置に係り、特に、ストレスエコー法が適用された被検体から得られる時系列的な超音波画像データに基づいて心機能検査に有効なパラメータ画像データの生成を行なう超音波診断装置及び画像データ生成装置に関する。
超音波診断装置は、超音波プローブに内蔵された振動素子から発生する超音波パルスを被検体内に放射し、被検体組織の音響インピーダンスの差異によって生ずる超音波反射波を前記振動素子によって受信してモニタ上に表示するものである。この診断方法は、超音波プローブを体表に接触させるだけの簡単な操作でリアルタイムの2次元画像が容易に観察できるため、生体臓器の形態診断や機能診断に広く用いられている。
生体内の組織あるいは血球からの反射波により生体情報を得る超音波診断法は、超音波パルス反射法と超音波ドプラ法の2つの大きな技術開発により急速な進歩を遂げ、これらの技術を用いて得られるBモード画像とカラードプラ画像は、今日の超音波画像診断において不可欠なものとなっている。
ところで、心臓の機能診断では、患者(以下、被検体と呼ぶ。)に対し運動負荷あるいは薬物負荷を与えた状態で収集した超音波画像データを用いて心筋の運動機能を評価する、所謂「ストレスエコー法」が広く行なわれている。ストレスエコー法では、予め設定されたストレスエコープロトコールに基づいて負荷の大きさを順次変更しながら、例えば、Bモード画像データやカラードプラ画像データを時系列的に収集し、異なる負荷状態にて得られたこれらの画像データを心拍同期させて表示する方法が一般的に行なわれている。
又、上述のカラードプラ法を応用して心筋組織の移動速度を2次元的に表示するTDI(Tissue Doppler Imaging)法やBモード画像データに対するパターンマッチングによって得られた心筋組織の移動速度情報や変位情報に基づいて計測された歪量をBモード画像データ等に重畳して2次元表示するストレインイメージング法が開発され、更に、負荷前の被検体から収集される2次元的な歪みデータと負荷中あるいは負荷後の前記被検体から収集される2次元的な歪みデータとの比較によって得られた比較パラメータを画像データ(以下では、パラメータ画像データと呼ぶ。)として表示することにより心筋の運動機能を評価する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2005−130877号公報 特開2006−26151号公報
従来の心機能診断では、心臓の収縮期における運動機能(収縮能)の評価が特に重要視され、この収縮能の評価を目的とした心筋組織の歪み量(「歪み」)計測が提案されてきた。これに対し、最近では、心臓の拡張期における運動機能(拡張能)を評価することにより心臓疾患の更なる早期診断が可能となることが判明し、心筋組織の局所的な「歪み」を時間方向に微分して得られる「歪み速度」の計測が拡張能の評価に有効とされている。
このような状況において、上述の特許文献2に記載された方法によれば、負荷前と負荷中あるいは負荷後における心筋組織の「歪み」変化を示す比較パラメータを2次元画像データとして表示することにより心臓の収縮能に対する定量的かつ高精度な評価が可能となる反面、更なる早期診断を目的とした拡張能の評価に対しては必ずしも十分ではないという問題点を有していた。
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ストレスエコー法が適用された被検体の心筋組織から得られる異なる負荷状態での「歪み速度」を比較することによって比較パラメータを算出し、この比較パラメータを用いて生成したパラメータ画像データから心臓の拡張能に対する定量的な評価を精度よく行なうことが可能な超音波診断装置及び画像データ生成装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明の超音波診断装置は、複数の異なる運動負荷あるいは薬物負荷が順次与えられる被検体に対し超音波の送受信を行なって得られた時系列的な超音波画像データに基づいて心筋組織の機能診断に有効なパラメータ画像データを生成する超音波診断装置において、時間方向に隣接する前記超音波画像データにおける心筋組織の変位を2次元的に計測する変位計測手段と、前記変位に基づいて前記心筋組織の「歪み」及び「歪み速度」を運動情報として計測する運動情報計測手段と、前記「歪み速度」あるいは前記「歪み」と前記「歪み速度」に基づいて比較パラメータを算出する比較パラメータ演算手段と、前記比較パラメータを用いてパラメータ画像データを生成するパラメータ画像データ生成手段とを備えたことを特徴としている。
一方、請求項11に係る本発明の画像データ生成装置は、複数の異なる運動負荷あるいは薬物負荷が順次与えられる被検体に対し超音波の送受信を行なって得られた時系列的な超音波画像データに基づいて心筋組織の機能診断に有効なパラメータ画像データを生成する画像データ生成装置において、前記時系列的な超音波画像データを心拍時相の情報及び負荷状態の情報と共に保管する超音波画像データ保管手段と、前記超音波画像データ保管手段から読み出した時間方向に隣接する前記超音波画像データにおける心筋組織の変位を2次元的に計測する変位計測手段と、前記変位に基づいて前記心筋組織の「歪み」及び「歪み速度」を運動情報として計測する運動情報計測手段と、前記「歪み速度」あるいは前記「歪み」と前記「歪み速度」に基づいて比較パラメータを算出する比較パラメータ演算手段と、前記比較パラメータを用いてパラメータ画像データを生成するパラメータ画像データ生成手段とを備えたことを特徴としている。
本発明によれば、ストレスエコー法が適用された被検体の心筋組織から得られる異なる負荷状態での「歪み速度」を比較することによって比較パラメータを算出し、この比較パラメータを用いて生成したパラメータ画像データから心臓の拡張能に対する定量的な評価を精度よく行なうことが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
以下に述べる第1の実施例では、複数の異なる運動負荷が順次与えられる被検体に対し超音波の送受信を行なって時系列的なBモード画像データを生成し、これらのBモード画像データに対しパターンマッチングによるトラッキング処理を行なって心筋組織の変位を2次元的に計測する。次いで、この変位の空間的勾配及び時間的変化に基づいて心筋組織における「歪み」と「歪み速度」を計測し、更に、拡張期間のBモード画像データに基づいて計測された時系列的な「歪み」及び「歪み速度」の中から「最大歪み」及び「最大歪み速度」を抽出する。そして、異なる2つの運動負荷に対して抽出された2次元的な「最大歪み」及び「最大歪み速度」を用いて比較パラメータを算出し、得られた比較パラメータに基づいて比較画像データを生成する。
尚、以下の実施例では、運動負荷が与えられた被検体に対してBモード画像データを超音波画像データとして収集し、このBモード画像データに基づいて所望のパラメータ画像データを生成する場合について述べるが、運動負荷の替わりに薬物負荷が与えられた被検体であってもよく、又、カラードプラ法を用いた組織ドプラ画像データやカラードプラ画像データを超音波画像データとして収集してもよい。
(装置の構成)
本発明の第1の実施例における超音波診断装置の構成と各ユニットの基本動作につき図1乃至図5を用いて説明する。尚、図1は、本実施例における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図であり、図3は、この超音波診断装置が備える送受信部及び超音波画像データ生成部の具体的な構成を示すブロック図である。
図1に示す本実施例の超音波診断装置200は、運動負荷の負荷状態(以下では、負荷フェイズと呼ぶ。)が順次更新される被検体に対して超音波パルス(送信超音波)を送信し前記被検体から得られた超音波反射波(受信超音波)を電気信号(受信信号)に変換する複数の振動素子を備えた超音波プローブ3と、被検体の所定方向に対して超音波パルスを送信するための駆動信号を超音波プローブ3の前記振動素子に供給しこれらの振動素子から得られる複数チャンネルの受信信号を整相加算する送受信部2と、整相加算後の受信信号を信号処理してBモード画像データを生成する超音波画像データ生成部4と、この超音波画像データ生成部4から出力される時系列的なBモード画像データに負荷フェイズの情報と後述の心拍時相検出部17から供給される拡張期間あるいは収縮期間の心拍時相情報を付加して保存する超音波画像データ記憶部5を備えている。
又、超音波診断装置200は、超音波画像データ記憶部5から供給される時系列的なBモードデータの各々における心筋組織の局所的な変位を計測する変位計測部6と、この変位の空間的勾配及び時間的変化に基づいて心筋組織の「歪み」及び「歪み速度」を運動情報として計測する運動情報計測部7と、時系列的なBモードデータの各々に対応して2次元的に収集される上述の運動情報に負荷フェイズ情報及び心拍時相情報を付加して保存する運動情報記憶部8と、運動情報記憶部8から読み出した第1の負荷フェイズ(負荷フェイズni)及び第2の負荷フェイズ(負荷フェイズnj)の拡張期間における所定部位の時系列的な「歪み」及び「歪み速度」の中から最大値あるいは最小値を呈する「最大歪み」及び「最大歪み速度」を抽出し、これらの「最大歪み」及び「最大歪み速度」に基づいて比較パラメータを算出する比較パラメータ演算部10を備えている。
更に、超音波診断装置200は、上述の比較パラメータ演算部10が算出した比較パラメータに基づいてパラメータ画像データを生成するパラメータ画像データ生成部11と、Bモード画像データにパラメータ画像データを重畳させて表示データを生成する表示データ生成部13と、得られた表示データを表示する表示部14と、被検体情報の入力、超音波画像データ生成条件/パラメータ画像データ生成条件/表示データ生成条件の設定、負荷フェイズni及び負荷フェイズnjの選択、拡張能評価の選択、更には、各種コマンド信号の入力等を行なう入力部15と、被検体の心電波形を計測する生体信号計測ユニット16と、心電波形のR波を基準として拡張期間及び収縮期間における心拍時相を検出する心拍時相検出部17と、上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部18を備えている。
ここで、ストレスエコー法が適用された通常の被検体に対して与えられる運動負荷及び薬物負荷の具体例を図2に示す。この場合の運動負荷のフェイズとして、例えば、負荷前の負荷フェイズ1、最大負荷が与えられる負荷中の負荷フェイズ2及び回復期である負荷後の負荷フェイズ3がストレスエコー法のプロトコルとして予め設定され、又、薬物負荷のフェイズとして、負荷前の負荷フェイズ1、10γ乃至40γの薬物(例えば、ドブタミン)が順次投与される負荷フェイズ2乃至負荷フェイズ5、更には、回復期である負荷後の負荷フェイズ6が設定される。
そして、運動負荷によるストレスエコー法では、負荷前の負荷フェイズ1において計測される運動情報と負荷フェイズ2において計測される運動情報との比較結果に基づいてパラメータ画像データを生成する方法が通常行なわれる。以下に述べる本実施例では、運動負荷における負荷フェイズ1を負荷フェイズni、又、負荷フェイズ2を負荷フェイズnjとする場合について述べるが、これに限定されない。
次に、本実施例の超音波診断装置200が備えた上述の各ユニットの詳細について説明する。
図1の超音波プローブ3は、2次元配列されたM個の図示しない振動素子をその先端部に有し、前記先端部を被検体の体表に接触させて超音波の送受信を行なう。振動素子は電気音響変換素子であり、送信時には電気パルス(駆動信号)を超音波パルス(送信超音波)に変換し、受信時には超音波反射波(受信超音波)を電気的な受信信号に変換する機能を有している。そして、これら振動素子の各々は、図示しないMチャンネルの多芯ケーブルを介して送受信部2に接続されている。尚、本実施例では、M個の振動素子が1次元配列されたセクタ走査用の超音波プローブ3を用いた場合について述べるが、リニア走査やコンベックス走査等に対応した超音波プローブを用いても構わない。
次に、図3に示す送受信部2は、超音波プローブ3の振動素子に対して駆動信号を供給する送信部21と、振動素子から得られた受信信号に対して整相加算を行なう受信部22を備えている。
送信部21は、レートパルス発生器211、送信遅延回路212及び駆動回路213を備え、レートパルス発生器211は、送信超音波の繰り返し周期を決定するレートパルスを生成して送信遅延回路212に供給する。送信遅延回路212は、送信に使用されるMt個の振動素子と同数の独立な遅延回路から構成され、送信超音波を所定の深さに集束するための集束用遅延時間と所定方向θpに送信するための偏向用遅延時間をレートパルスに与えて駆動回路213へ供給する。駆動回路213は、送信遅延回路212と同数の独立な駆動回路を有し、超音波プローブ3にて配列されたM個の振動素子の中から送信用として選択されたMt(Mt≦M)個の振動素子を前記レートパルスに基づいて生成した駆動信号で駆動して被検体の体内に送信超音波を放射する。
一方、受信部22は、超音波プローブ3に内蔵されたM個の振動素子の中から受信用として選択されたMr(Mr≦M)個の振動素子に対応するMrチャンネルのA/D変換器221及び受信遅延回路222と加算器223を備えており、受信用の振動素子から供給されるMrチャンネルの受信信号は、A/D変換器221にてデジタル信号に変換され、受信遅延回路222に送られる。
受信遅延回路222は、所定の深さからの受信超音波を集束するための集束用遅延時間と所定方向θpに対して受信指向性を設定するための偏向用遅延時間をA/D変換器221から出力されるMrチャンネルの受信信号の各々に与え、加算器223は、受信遅延回路222からの受信信号を加算する。即ち、受信遅延回路222と加算器223により、所定方向から得られた受信信号は整相加算される。
次に、超音波画像データ生成部4は、受信部22の加算器223から出力される整相加算後の受信信号を信号処理してBモード画像データを生成する機能を有し、前記受信信号を包絡線検波する包絡線検波器41と、包絡線検波後の受信信号を対数変換してBモードデータを生成する対数変換器42と、得られたBモードデータを超音波送受信方向に対応させて保存することにより2次元的なBモード画像データを超音波画像データとして生成する超音波データ記憶部43を備えている。但し、包絡線検波器41と対数変換器42は順序を入れ替えて構成してもよい。そして、超音波画像データ生成部4において生成された各負荷フェイズの時系列的なBモード画像データは、システム制御部18から供給される負荷フェイズ情報及び心拍時相検出部17から供給される拡張期間あるいは収縮期間の心拍時相情報を付帯情報として図1の超音波画像データ記憶部5に保存される。
一方、図1に示した変位計測部6は、超音波画像データ記憶部5に保存された時系列的なBモード画像データの中から時間方向に隣接する2つのBモード画像データ(即ち、基準時刻t0において収集されたBモード画像データA1と時刻t0+δTにおいて収集されたBモード画像データA2)に対しパターンマッチングによるトラッキング処理を行なってBモード画像データに示された心筋組織の時間δTにおける移動距離(変位)を計測する。
例えば、時間的に先行するBモード画像データA1の心筋組織領域に対して複数の関心点を所定間隔で設定し、更に、これら関心点の各々を中心とした2次元の相関領域を設定する。そして、相関領域における画像情報(テンプレート)をBモード画像データA1に後続するBモード画像データA2に対して相対的に移動させながら対応する画素間での相互相関演算を行ない、相関値が最大となる関心点の移動方向及び移動距離を検出することにより関心点によって示された局所的な心筋組織の変位を計測する。同様な計測を、Bモード画像データA1に設定された他の関心点に対して行ない、更に、Bモード画像データA2に後続する複数のBモード画像データの各々に対しても行なう。
相互相関演算による心筋組織のトラッキング処理につき図4を用いて更に詳しく説明する。図4(a)に示した関心点Cgは、Bモード画像データA1の心筋組織領域に対し所定間隔で設定された複数からなる関心点の1つであり、この関心点Cgを中心とする所定画素数No(No=PxQy)のテンプレートTgの画素値をf1(px、qy)、Bモード画像データA2の画素値をf2(px、qy)とすれば、相互相関係数γ12(k、s)を下式(1)によって算出することによりBモード画像データA1の関心点Cgに対応した心筋組織の時間δT後における変位を計測することができる。
但し、上記Px及びQyはテンプレートTgのpx方向及びqy方向における画素数であり、Bモード画像データA1に設定した関心点Cgは、通常、テンプレートTgの略中央に位置する。この相互相関演算の結果、k=k1(図4(b)参照)及びs=s1(図示せず)においてγ12(k、s)が最大値をもつ場合、Bモード画像データA1の関心点Cgで示された局所的な心筋組織は、Bモード画像データA2においてpx方向にk1画素、qy方向にs1画素だけ変位したことを示す。
このようなトラッキング処理をBモード画像データA1の心筋組織領域に設定された全ての関心点に対して行ない、これらの関心点によって示された局所的な心筋組織のBモード画像データA2における変位を夫々計測する。更に、Bモード画像データA2に後続する複数のBモード画像データの各々に対しても同様のトラッキング処理を行ない、これらのBモード画像データにおける心筋組織の変位を計測する。
図1へ戻って、運動情報計測部7は、変位計測部6において計測された複数の関心点における変位量の空間的勾配に基づいて局所的な「歪み」を計測し、更に、時系列的なBモード画像データの各々に対して計測された前記「歪み」の時間的変化(即ち、時間方向に対する微分値)に基づいて「歪み速度」を計測する。そして、心筋組織領域にて設定された複数からなる関心点の各々にて計測された時系列的な「歪み」及び「歪み速度」の運動情報は、Bモード画像データに付加されていた心拍時相情報及び負荷フェイズ情報を付帯情報として運動情報記憶部8に保存される。即ち、運動情報記憶部8には、複数の負荷フェイズにおいて時系列的に計測された2次元的な「歪み」及び「歪み速度」の運動情報が心拍時相情報及び負荷フェイズ情報と共に保存される。
一方、比較パラメータ演算部10は、図示しない最大値抽出部と演算部を備えている。前記最大値抽出部は、入力部15から供給される負荷フェイズni及び負荷フェイズnj(即ち、運動負荷における負荷フェイズ1と負荷フェイズ2)に対する選択情報と拡張能評価の選択情報に基づき、負荷フェイズniあるいは負荷フェイズnjの何れかと拡張期間中の任意の期間における心拍時相情報を付帯情報として備えた時系列的な「歪み速度」SR(i,t、x,y)及び「歪み速度」SR(j,t、x,y)と負荷フェイズnj及び拡張期間中の任意の期間における心拍時相情報を付帯情報として備えた時系列的な「歪み」S(j,t、x,y)を運動情報記憶部8に保存されている運動情報の中から抽出する。
そして、関心点Cg(x、y)にて計測された時系列的な「歪み速度」SR(i,t、x,y)及び「歪み速度」SR(j,t、x,y)と「歪み」S(j,t、x,y)の各々の中から時間方向に最大値あるいは最小値を呈する「最大歪み速度」SRmax(i、x,y)及び「最大歪み速度」SRmax(j、x,y)と「最大歪み」Smax(j,x,y)を抽出する。
一方、前記演算部は、下式(2)に上述の「最大歪み速度」SRmax(i、x,y)及び「最大歪み速度」SRmax(j、x,y)と「最大歪み」Smax(j,x,y)を代入することにより比較パラメータK1(x、y)乃至K3(x、y)を算出する。
パラメータ画像データ生成部11は、比較パラメータ演算部10が2次元的に算出した上述の比較パラメータK1(x,y)乃至K3(x,y)の何れかを用いてパラメータ画像データを生成する。
次いで、表示データ生成部13は、パラメータ画像データ生成部11から供給されるパラメータ画像データの画素値(比較パラメータ)を予め設定された画素値−カラー変換フォーマットに基づいてカラー変換し、更に、変換後の比較パラメータ画像データを超音波画像データ記憶部5から供給されるBモード画像データに重畳して表示データを生成する。この場合、表示データ生成部13は、比較パラメータ演算部10から供給される2次元的な「最大歪み」Smax(j,x,y)と入力部15から供給される所定の閾値とを比較し、この閾値より大きな「最大歪み」Smax(j,x,y)に対応したパラメータ画像データの画素値を所定の画素値−カラー変換フォーマットに基づいてカラー変換する。更に、前記閾値以下の「最大歪み」Smax(j,x,y)に対応したパラメータ画像データの画素値を異なる画素値−カラー変換フォーマットに基づいて変換する。
表示部14は、図示しないデータ変換部とモニタを備え、前記データ変換部は、表示データ生成部13から供給される上述の表示データに対しD/A変換と表示フォーマット変換を行なって前記モニタに表示する。表示データ生成部13及び表示部14により、例えば、所定の閾値より大きな「最大歪み」を有しその符号が正(+)の画素は赤色等の暖色系で、又、負(−)の符号を有する画素は青色等の寒色系で夫々表示され、画素値の絶対値は、輝度/明度/色相等によって識別される。一方、前記閾値以下の「最大歪み」を有しその符号が負(−)の画素は、例えば、紫色によって表示される。このような表示法の適用により、心筋組織における健常部位は暖色系、軽度あるいは中程度の虚血等に起因する拡張能低下部位は寒色系、重度の虚血や完全壊死等に起因する収縮能低下部位は紫色によって表示される。
入力部15は、表示パネルやキーボード、各種スイッチ、選択ボタン、マウス、トラックボール等の入力デバイスを備えたインターラクティブなインターフェースであり、複数の負荷フェイズの中から所望の負荷フェイズni及び負荷フェイズnjを選択する負荷フェイズ選択部151と心筋組織に対し所定間隔の関心点を設定する関心点設定部152を備えている。又、被検体情報の入力、超音波画像データ生成条件の設定、パラメータ画像データ生成条件の設定、表示データ生成条件の設定、拡張能評価の選択、「最大歪み」や心電波形に対する閾値の設定、更には、各種コマンド信号の入力等も入力部15に設けられた上述の入力デバイスや表示パネルを用いて行なわれる。
一方、生体信号計測ユニット16は、被検体の心電波形(ECG)を計測する機能を有し、被検体体表面に装着され心電波形を検出する計測用電極と、この計測用電極が検出した心電波形を所定の振幅に増幅する増幅回路と、増幅された心電波形をデジタル信号に変換するA/D変換器(何れも図示せず)を備えている。
そして、心拍時相検出部17は、図5において模式的に示すように生体信号計測ユニット16から供給されるA/D変換後の心電波形Ecに所定の閾値Th1及びTh2を設定してR波及びT波を検出し、更に、R波からT波までの収縮期間における心拍時相とT波からR波までの拡張期間における心拍時相を検出する。そして、これらの心拍時相情報は、システム制御部18から供給される負荷フェイズの情報と共に超音波画像データ生成部4において生成される時系列的なBモード画像データに付加されて超音波画像データ記憶部5に保存される。
次いで、システム制御部18は、図示しないCPUと記憶回路を備え、入力部15において行なわれた各種の設定/選択条件に関する情報は前記記憶回路に保存される。そして、前記CPUは、前記記憶回路に保存された上述の情報に基づいて超音波診断装置200の各ユニットを統括的に制御し、Bモード画像データ及びパラメータ画像データの生成やこれらの画像データに基づく表示データの生成とその表示を行なう。
(パラメータ画像データの表示手順)
次に、本実施例におけるパラメータ画像データの表示手順につき図6のフローチャートを用いて説明する。
パラメータ画像データの生成に先立ち、超音波診断装置200の操作者は、入力部15にて被検体情報の入力、超音波画像データとしてのBモード画像データの選択、超音波画像データ生成条件/パラメータ画像データ生成条件/表示データ生成条件の設定、拡張能評価の選択、「最大歪み」や心電波形に対する閾値の設定等を行なった後、生体信号計測ユニット16に備えられた計測用電極を安静状態(運動負荷の負荷フェイズ1)にある被検体の所定部位に装着する(図6のステップS1)。
上述の初期設定が終了したならば、操作者は、負荷フェイズ1(負荷前)にある被検体の体表位置に超音波プローブ3の先端部(超音波送受信面)を固定した状態で入力部15より運動情報の計測開始コマンドを入力する。そして、このコマンド信号がシステム制御部18に供給されることによりBモード画像データを用いた心筋組織の運動情報計測が開始される。
負荷フェイズ1におけるBモード画像データの収集に際し、図2に示した送信部21のレートパルス発生器211は、システム制御部18から供給される基準信号を分周してレートパルスを生成し送信遅延回路212に供給する。送信遅延回路212は、所定の深さに超音波を集束するための集束用遅延時間と、最初の送受信方向θ1に超音波を送信するための偏向用遅延時間を前記レートパルスに与え、このレートパルスをMtチャンネルの駆動回路213へ供給する。次いで、駆動回路213は、送信遅延回路212から供給されたレートパルスに基づいて駆動信号を生成し、この駆動信号を超音波プローブ3におけるMt個の送信用振動素子に供給して被検体内に送信超音波を放射する。
放射された送信超音波の一部は、音響インピーダンスの異なる被検体の臓器境界面や組織にて反射し、超音波プローブ3に設けられたMr個の受信用振動素子によって受信されMrチャンネルの電気的な受信信号に変換される。次いで、この受信信号は、受信部22のA/D変換器221においてデジタル信号に変換され、更に、Mrチャンネルの受信遅延回路222において所定の深さからの受信超音波を収束するための集束用遅延時間と送受信方向θ1からの受信超音波に対し強い受信指向性を設定するための偏向用遅延時間が与えられた後加算器223にて整相加算される。
そして、整相加算後の受信信号が供給された超音波画像データ生成部4の包絡線検波器41及び対数変換器42は、この受信信号に対して包絡線検波と対数変換を行なってBモードデータを生成し、得られたBモードデータは超音波データ記憶部43において送受信方向に対応させて保存される。
送受信方向θ1に対するBモードデータの生成と保存が終了したならば、システム制御部18は、送信部21の送信遅延回路212及び受信部22の受信遅延回路222における遅延時間を制御してθ方向にΔθずつ順次更新した送受信方向θp(θp=θ1+(p−1)Δθ(p=2〜P)の各々に対して同様の手順で超音波を送受信して2次元走査を行なう。そして、これらの送受信方向にて得られたBモードデータも超音波データ記憶部43において送受信方向に対応させて保存される。即ち、超音波データ記憶部43において最初のBモード画像データが生成され、更に、上述の2次元走査を繰り返すことによって生成された時系列的なBモード画像データは超音波画像データ記憶部5へ供給される。
一方、心拍時相検出部17は、生体信号計測ユニット16から供給されるA/D変換後の心電波形に所定の閾値を設定してR波及びT波を検出し、更に、R波からT波までの収縮期間における心拍時相とT波からR波までの拡張期間における心拍時相を検出する。そして、これらの心拍時相情報は超音波画像データ記憶部5へ供給される。
超音波画像データ記憶部5は、超音波画像データ生成部4から供給される時系列的なBモード画像データに心拍時相検出部17から供給される心拍時相の情報及びシステム制御部18から供給される負荷フェイズ1の情報を付加して保存する(図6のステップS2)。
一方、変位計測部6は、超音波画像データ記憶部5に保存された時系列的なBモード画像データの中から時間方向に隣接する2つのBモード画像データを順次抽出する。このとき、表示データ生成部13を介して表示部14に表示された最初のBモード画像データを観察した操作者は、入力部15の関心点設定部152を用いて前記Bモード画像データの心筋組織領域に複数の関心点Cgを設定し、この設定情報を受信した変位計測部6は、関心点Cgの各々を中心としたパターンマッチングによるトラッキング処理を行ない、前記Bモード画像データに示された心筋組織の移動距離(変位)を計測する(図6のステップS3)。
次いで、運動情報計測部7は、変位計測部6において計測された2次元的な変位の空間的勾配に基づいて局所的な「歪み」を計測し、更に、時系列的なBモード画像データの各々に対して計測された上記「歪み」の時間的変化に基づいて「歪み速度」を計測する。そして、心筋組織領域にて計測した時系列的な「歪み」及び「歪み速度」の運動情報に対し、Bモード画像データの付帯情報である心拍時相情報及び負荷フェイズ情報(負荷フェイズ1の情報)を付加して運動情報記憶部8に保存する(図6のステップS4)。
負荷フェイズ1におけるBモード画像データの生成及び保存と運動情報の計測及び保存が終了したならば、負荷フェイズ2及び負荷フェイズ3における当該被検体に対し同様の手順によってBモード画像データの生成及び保存と運動情報の計測及び保存を行なう(図6のステップS2乃至S4)。
運動負荷の負荷フェイズ1乃至負荷フェイズ3に対する運動情報の計測と保存が終了したならば、操作者は、入力部15の負荷フェイズ選択部151においてパラメータ画像データの生成に必要な負荷フェイズni及び負荷フェイズnj(例えば、負荷フェイズ1及び負荷フェイズ2)を選択し(図6のステップS5)、比較パラメータ演算部10は、システム18を介して供給された負荷フェイズの選択情報と拡張能評価の選択情報に基づき、負荷フェイズniあるいは負荷フェイズnjの何れかと拡張期間中の任意の期間における心拍時相情報を付帯情報として備えた時系列的な「歪み速度」SR(i,t、x,y)及び「歪み速度」SR(j,t、x,y)と負荷フェイズnj及び前記任意の期間における心拍時相情報を付帯情報として備えた時系列的な「歪み」S(j,t、x,y)を運動情報記憶部8に保存されている運動情報の中から抽出する(図6のステップS6)。
次いで、Bモード画像データにおける複数の関心点Cg(x、y)にて計測された時系列的な「歪み速度」SR(i,t、x,y)及び「歪み速度」SR(j,t、x,y)と「歪み」S(j,t、x,y)の各々の中から時間方向に最大値あるいは最小値を呈する「最大歪み速度」SRmax(i、x,y)及び「最大歪み速度」SRmax(j、x,y)と「最大歪み」Smax(j,x,y)を抽出し、これらの「最大歪み速度」及び「最大歪み」に基づいて比較パラメータK1(x、y)乃至K3(x、y)を算出する(図6のステップS7)。そして、パラメータ画像データ生成部11は、比較パラメータ演算部10が2次元的に算出した上述の比較パラメータK1(x,y)乃至K3(x,y)の何れかを用いてパラメータ画像データを生成する(図6のステップS8)。
一方、表示データ生成部13は、比較パラメータ演算部10から供給される2次元的な「最大歪み」Smax(j,x,y)と入力部15から供給される所定の閾値とを比較し、この閾値より大きな「最大歪み」Smax(j,x,y)に対応したパラメータ画像データの画素値(比較パラメータ)を所定の画素値−カラー変換フォーマットに基づいてカラー変換する。更に、前記閾値以下の「最大歪み」Smax(j,x,y)に対応したパラメータ画像データの画素値を異なる変換フォーマットに基づいて変換する。次いで、カラー変換後の比較パラメータ画像データを超音波画像データ記憶部5から供給されるBモード画像データに重畳して表示データを生成し表示部14のモニタに表示する(図6のステップS9)。
(変形例)
尚、上述の実施例における比較パラメータ演算部10は、負荷フェイズniにおける「最大歪み速度」SRmax(i、x,y)と負荷フェイズnjにおける「最大歪み速度」SRmax(j、x,y)及び「最大歪み」Smax(j,x,y)を用いて比較パラメータK1乃至K3を算出する場合について述べたが、負荷フェイズniにおける「最大歪み速度」SRmax(i、x,y)と負荷フェイズnjにおける「最大歪み速度」SRmax(j、x,y)を下式(3)へ代入することにより比較パラメータK1乃至K3を算出してもよい。
以上述べた第1の実施例によれば、ストレスエコー法が適用された当該被検体の負荷フェイズni及び負荷フェイズnjにて得られた心筋の局所的な歪み速度情報あるいは歪み速度情報と歪み情報に基づいてパラメータ画像データを生成することにより、心筋組織の拡張能に対する定量的な評価を精度よく行なうことが可能となる。
特に、上述の実施例では、時系列的な「歪み速度」及び「歪み」の中から抽出した「最大歪み速度」及び「最大歪み」を用いて比較パラメータを算出し、この比較パラメータに基づいて所望のパラメータ画像データを生成しているため安定したパラメータ画像データを得ることができる。
又、前記比較パラメータの符号に対応する寒色及び暖色を用いた画素値−カラー変換フォーマットに基づいてパラメータ画像データをカラー表示することにより正常な心筋組織と拡張能が低下した心筋組織を明確かつ容易に観察することができる。
更に、上述の「最大歪み」と所定閾値を比較することにより前記閾値より大きな「最大歪み」に対応するパラメータ画像データの画素値を上述の画素値−カラー変換フォーマットに基づいてカラー表示し、前記閾値以下の「最大歪み」に対応するパラメータ画像データの画素値を他の変換フォーマットに基づいてカラー表示することにより、正常な心筋組織、軽度あるいは中程度の虚血等に起因して拡張能が低下した心筋組織及び重度の虚血や完全壊死等に起因して収縮能が大幅に低下した心筋組織を区別して観察することが可能となる。
次に、本発明の第2の実施例について説明する。この第2の実施例では、複数の異なる運動負荷が順次与えられる被検体に対し超音波の送受信を行なって時系列的なBモード画像データを生成し、これらのBモード画像データに対しパターンマッチングによるトラッキング処理を行なって心筋組織の変位を2次元的に計測する。次いで、この変位の空間的勾配及び時間的変化に基づいて心筋組織における「歪み」と「歪み速度」を計測し、更に、拡張期間中の任意の期間におけるBモード画像データに基づいて計測された時系列的な「歪み」及び「歪み速度」の中から「最大歪み」及び「最大歪み速度」を抽出する。そして、異なる2つの運動負荷に対して抽出された2次元的な「最大歪み」及び「最大歪み速度」に設定された複数のセグメントの各々において「最大歪み」及び「最大歪み速度」の代表値を設定し、これらの代表値に基づいて算出した比較パラメータを用いて比較画像データを生成する。
(装置の構成)
本発明の第2の実施例における超音波診断装置の構成と各ユニットの基本動作につき図7乃至図10を用いて説明する。尚、図7は、本実施例における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図であり、図8は、この超音波診断装置が備える比較パラメータ演算部の具体的な構成を示すブロック図である。尚、図1に示した第1の実施例における超音波診断装置200のユニットと同一の構成及び機能を有する図7のユニットは同一の符号を付加し詳細な説明は省略する。
図7に示す本実施例の超音波診断装置300は、運動負荷の負荷フェイズが順次更新される被検体に対して超音波パルス(送信超音波)を送信し前記被検体から得られた超音波反射波(受信超音波)を電気信号(受信信号)に変換する複数の振動素子を備えた超音波プローブ3と、被検体の所定方向に対して超音波パルスを送信するための駆動信号を超音波プローブ3の前記振動素子に供給しこれらの振動素子から得られる複数チャンネルの受信信号を整相加算する送受信部2と、整相加算後の受信信号を信号処理してBモード画像データを生成する超音波画像データ生成部4と、この超音波画像データ生成部4から出力される時系列的なBモード画像データに負荷フェイズの情報と心拍時相検出部17から供給される拡張期間あるいは収縮期間の心拍時相情報を付加して保存する超音波画像データ記憶部5を備えている。
又、超音波診断装置300は、超音波画像データ記憶部5から供給される時系列的なBモードデータの各々における心筋組織の局所的な変位を計測する変位計測部6と、この変位の空間的変化及び時間的変化に基づいて心筋組織の「歪み」及び「歪み速度」を運動情報として計測する運動情報計測部7と、時系列的なBモードデータの各々に対応して2次元的に収集される上述の運動情報に負荷フェイズ情報及び心拍時相情報を付加して保存する運動情報記憶部8と、運動情報記憶部8から読み出した第1の負荷フェイズni及び第2の負荷フェイズnjの拡張期間中の任意の期間における所定部位の時系列的な「歪み」及び「歪み速度」の中から最大値あるいは最小値を呈する「最大歪み」及び「最大歪み速度」を抽出し、2次元的な「最大歪み」及び「最大歪み速度」に対して設定された複数のセグメントの各々における「最大歪み」及び「最大歪み速度」の代表値に基づいて比較パラメータを算出する比較パラメータ演算部10aを備えている。
更に、超音波診断装置300は、上述の比較パラメータ演算部10aが算出した比較パラメータに基づいてパラメータ画像データを生成するパラメータ画像データ生成部11と、比較パラメータ演算部10aにおいて抽出された2次元的な「最大歪み」あるいは「最大歪み速度」を用いて運動情報画像データを生成する運動情報画像データ生成部12と、超音波画像データにパラメータ画像データを重畳させて表示データを生成する表示データ生成部13と、前記表示データや前記運動情報画像データの表示を行なう表示部14と、被検体情報の入力、超音波画像データ生成条件/パラメータ画像データ生成条件/表示データ生成条件の設定、負荷フェイズni及び負荷フェイズnjの選択、拡張能評価の選択、セグメント領域の設定、更には、各種コマンド信号の入力等を行なう入力部15aと、被検体の心電波形を計測する生体信号計測ユニット16と、心電波形のR波を基準として拡張期間及び収縮期間における心拍時相を検出する心拍時相検出部17と、上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部18を備えている。
次に、上述の比較パラメータ演算部10aの具体的な構成につき図8を用いて説明する。図8に示すように、比較パラメータ演算部10aは、最大値抽出部101と、代表値設定部102と、演算部103を備えている。
最大値抽出部101は、入力部15aの負荷フェイズ選択部151から供給される負荷フェイズni及び負荷フェイズnj(即ち、運動負荷における負荷フェイズ1及び負荷フェイズ2)に対する選択情報及び拡張能評価の選択情報に基づき、負荷フェイズniあるいは負荷フェイズnjの何れかと拡張期間中の任意の期間における心拍時相情報を付帯情報として備えた時系列的な「歪み速度」SR(i,t、x,y)及び「歪み速度」SR(j,t、x,y)と負荷フェイズnj及び前記任意の期間における心拍時相情報を付帯情報として備えた時系列的な「歪み」S(j,t、x,y)を運動情報記憶部8に保存されている運動情報の中から抽出する。
そして、関心点Cg(x、y)にて計測された時系列的な「歪み速度」SR(i,t、x,y)及び「歪み速度」SR(j,t、x,y)と「歪み」S(j,t、x,y)の各々の中から時間方向に最大値あるいは最小値を呈する「最大歪み速度」SRmax(i、x,y)及び「最大歪み速度」SRmax(j、x,y)と「最大歪み」Smax(j,x,y)を抽出する。
次に、代表値設定部102は、入力部15aのセグメント設定部153から供給されるセグメント領域の設定情報に基づいて、上述の2次元的な「最大歪み速度」SRmax(i、x,y)及び「最大歪み速度」SRmax(j、x,y)と「最大歪み」Smax(j,x,y)の各々に対し複数のセグメント領域を設定し、これらのセグメント領域の各々に含まれた複数からなる「最大歪み」及び「最大歪み速度」に対して代表値(即ち、「最大歪み速度」SRmax(i、x、y)の代表値SRmax(i)、「最大歪み速度」SRmax(j、x、y)の代表値SRmax(j)及び「最大歪み」Smax(j、x、y)の代表値Smax(j))を設定する。
具体的には、セグメント領域に含まれた2次元的な「最大歪み」及び「最大歪み速度」の平均値あるいは中央値(メディアン)を上述の代表値に設定する。そして、演算部103は、代表値設定部102によって設定された上述の代表値を以下に示す式(4)あるいは式(5)に代入することにより各セグメント領域において共通な比較パラメータK11乃至K13を算出する。
図8へ戻って、運動情報画像データ生成部12は、比較パラメータ演算部10aの最大値抽出部101において抽出された2次元的な「最大歪み」あるいは「最大歪み速度」を用い、上述の「最大歪み速度」SRmax(i、x,y)及び「最大歪み速度」SRmax(j、x,y)と「最大歪み」Smax(j,x,y)に対して複数のセグメント領域を設定する際に用いる運動情報画像データを生成する。そして、生成された運動情報画像データは、表示データ生成部13を介して表示部14のモニタに表示される。
入力部15aは、表示パネルやキーボード、各種スイッチ、選択ボタン、マウス、トラックボール等の入力デバイスを備えたインターラクティブなインターフェースであり、複数の負荷フェイズの中から所望の負荷フェイズni及び負荷フェイズnjを選択する負荷フェイズ選択部151と心筋組織に対し所定間隔の関心点を設定する関心点設定部152の他に、運動情報画像データ生成部12によって生成され表示部14に表示された運動情報画像データに対し複数のセグメント領域や関心領域を設定するセグメント設定部153を備えている。又、被検体情報の入力、超音波画像データ生成条件の設定、パラメータ画像データ生成条件の設定、表示データ生成条件の設定、拡張能評価の選択、心電波形に対する閾値の設定、代表値設定方法の選択、更には、各種コマンド信号の入力等も入力部15aに設けられた上述の入力デバイスや表示パネルを用いて行なわれる。
図9は、心臓の短軸像における心筋組織に対して設定されたセグメント領域及び関心領域の具体例を示したものであり、図9(a)は、通常の超音波診断において公式に使用されているASE(American Society of Echocardiography)分割によって設定されたセグメント領域Sa1乃至Sa6であり、図9(b)は、このASE分割に准じて設定された関心領域Sb1乃至Sb6である。
一方、図10は、上述のASE分割によって設定されたセグメント領域S1乃至S6の代表値に基づくパラメータ画像データの具体例であり、セグメント領域S1乃至S6の各々は、このセグメント領域が有する画素値に対応したカラーによって表示され、更に、前記画素値が重畳して表示される。このような表示法を行なうことにより、例えば、被検体の呼吸性移動等に伴なって負荷フェイズniにおけるBモード画像データと負荷フェイズnjにおけるBモード画像データの間に位置ズレが発生するような場合においても、この位置ズレの影響をあまり受けることなく安定したパラメータ画像データの生成が可能となる。
(パラメータ画像データの表示手順)
次に、本実施例におけるパラメータ画像データの表示手順につき図11のフローチャートを用いて説明する。但し、図6に示した第1の実施例におけるパラメータ画像データの表示手順と同一の手順を示す図11の手順(ステップ)は同一の符号を付加し説明を省略する。
即ち、図6のステップS6と同様にして比較パラメータ演算部10aの最大値抽出部101は、先ず、システム18を介して供給された負荷フェイズの選択情報と拡張能評価の選択情報に基づき、負荷フェイズniあるいは負荷フェイズnjの何れかと拡張期間中の任意の期間における心拍時相情報を付帯情報として備えた時系列的な「歪み速度」SR(i,t、x,y)及び「歪み速度」SR(j,t、x,y)と負荷フェイズnj及び前記任意の期間における心拍時相情報を付帯情報として備えた時系列的な「歪み」S(j,t、x,y)を運動情報記憶部8に保存されている運動情報の中から抽出する(図11のステップS6)。
次いで、関心点Cg(x、y)にて計測された時系列的な「歪み速度」SR(i,t、x,y)及び「歪み速度」SR(j,t、x,y)と「歪み」S(j,t、x,y)の各々の中から時間方向に最大値あるいは最小値を呈する「最大歪み速度」SRmax(i、x,y)及び「最大歪み速度」SRmax(j、x,y)と「最大歪み」Smax(j,x,y)を抽出する(図11のステップS17)。
一方、運動情報画像データ生成部12は、比較パラメータ演算部10aの最大値抽出部101において抽出された2次元的な「最大歪み」あるいは「最大歪み速度」を用いて運動情報画像データを生成し、得られた運動情報画像データを、表示データ生成部13を介して表示部14のモニタに表示する(図11のステップS18)。
表示部14に表示された運動情報画像データを観察した操作者は、入力部15aのセグメント設定部153を用い前記運動情報画像データに対して複数のセグメント領域を設定し(図11のステップS19)、比較パラメータ演算部10aの代表値設定部102は、セグメント設定部153から供給されるセグメント領域の設定情報に基づいて、2次元的な「最大歪み速度」SRmax(i、x,y)及び「最大歪み速度」SRmax(j、x,y)と「最大歪み」Smax(j,x,y)の各々に対し複数のセグメント領域を設定する。そして、これらのセグメント領域の各々に含まれた複数からなる「最大歪み」及び「最大歪み速度」に対して代表値(即ち、「最大歪み速度」SRmax(i、x、y)の代表値SRmax(i)、「最大歪み速度」SRmax(j、x、y)の代表値SRmax(j)及び「最大歪み」Smax(j、x、y)の代表値Smax(j))」を設定する(図11のステップS20)。
次に、比較パラメータ演算部10aの演算部103は、代表値設定部102によって設定された上述の代表値を式(4)あるいは式(5)に代入することにより各セグメント領域において共通な比較パラメータK11乃至K13を算出し(図11のステップS21)、パラメータ画像データ生成部11は、比較パラメータ演算部10aが算出した上述の比較パラメータK11乃至K13の何れかを用いてパラメータ画像データを生成する(図11のステップS22)。
一方、表示データ生成部13は、パラメータ画像データ生成部11から供給された比較パラメータ画像データを超音波画像データ記憶部5から供給されたBモード画像データに重畳して表示データを生成し、得られた表示データを表示部14のモニタに表示する(図11のステップS23)。
以上述べた第2の実施例によれば、上述の第1の実施例と同様にして、ストレスエコー法が適用された当該被検体の負荷フェイズni及び負荷フェイズnjにて得られた心筋の局所的な歪み速度情報あるいは歪み速度情報と歪み情報に基づいてパラメータ画像データを生成することにより、心筋組織の拡張能に対する定量的な評価を精度よく行なうことが可能となる。
特に、上述の実施例では、時系列的な「歪み速度」及び「歪み」の中から抽出した「最大歪み」あるいは「最大歪み速度」と「最大歪み」を用いて比較パラメータを算出し、この比較パラメータに基づいて所望のパラメータ画像データを生成しているため安定したパラメータ画像データを得ることができる。
更に、異なる2つの運動負荷に対して抽出された2次元的な「最大歪み」及び「最大歪み速度」に設定した複数のセグメントの各々において「最大歪み」及び「最大歪み速度」の代表値を設定し、これらの代表値に基づいて算出した比較パラメータを用いて比較画像データを生成することにより、被検体の呼吸性移動等に伴なって負荷フェイズniにおけるBモード画像データと負荷フェイズnjにおけるBモード画像データの間に位置ズレが発生するような場合においても、この位置ズレの影響をあまり受けることなく安定したパラメータ画像データの生成が可能となる。
次に、本発明の第3の実施例について説明する。この第3の実施例における画像データ生成装置は、複数の異なる運動負荷が順次与えられた被検体に対して予め生成された超音波画像データを大容量の記憶媒体あるいはネットワークを介して収集し、これらの超音波画像データの中から選択された負荷フェイズni及び負荷フェイズnjの超音波画像データにおける心筋組織の変位を2次元的に計測する。次いで、この変位の空間的勾配及び時間的変化に基づいて心筋組織における「歪み」と「歪み速度」を計測し、更に、拡張期間中の任意の期間におけるBモード画像データに基づいて計測された時系列的な「歪み」及び「歪み速度」の中から「最大歪み」及び「最大歪み速度」を抽出する。そして、上述の「最大歪み」及び「最大歪み速度」あるいはこれらに設定された複数のセグメントの各々における代表値を用いて比較パラメータを算出し、この比較パラメータに基づいて比較画像データを生成する。
(装置の構成)
本発明の第3の実施例における画像データ生成装置の構成につき図12を用いて説明する。尚、図12は、本実施例における画像データ生成装置の全体構成を示すブロック図であり、図1に示した第1の実施例における超音波診断装置200あるいは図7に示した第2の実施例における超音波診断装置300のユニットと同一の構成及び機能を有する図12のユニットは同一の符号を付加し詳細な説明は省略する。
即ち、図12に示す本実施例の画像データ生成装置400は、運動負荷の負荷フェイズが順次更新された被検体に対して生成された時系列的な超音波画像データが負荷フェイズ及び心拍時相を付帯情報として予め保管されている超音波画像データ保管部19と、超音波画像データ保管部19から抽出された負荷フェイズni及び負荷フェイズnjの時系列的な超音波画像データの各々における心筋組織の局所的な変位を計測する変位計測部6と、この変位の空間的変化及び時間的変化に基づいて心筋組織の「歪み」及び「歪み速度」を運動情報として計測する運動情報計測部7と、運動情報計測部7から供給された負荷フェイズni及び負荷フェイズnjの拡張期間中の任意の期間における所定部位の時系列的な「歪み」及び「歪み速度」の中から最大値あるいは最小値を有する「最大歪み」及び「最大歪み速度」を抽出し、この2次元的な「最大歪み」及び「最大歪み速度」あるいはこれらに設定された複数のセグメントの各々における「最大歪み」及び「最大歪み速度」の代表値を用いて比較パラメータを算出する比較パラメータ演算部10(10a)を備えている。
更に、画像データ生成装置400は、上述の比較パラメータ演算部10(10a)が算出した比較パラメータに基づいてパラメータ画像データを生成するパラメータ画像データ生成部11と、比較パラメータ演算部10(10a)において抽出された2次元的な「最大歪み」あるいは「最大歪み速度」を用いて運動情報画像データを生成する運動情報画像データ生成部12と、超音波画像データにパラメータ画像データを重畳させて表示データを生成する表示データ生成部13と、前記表示データや前記運動情報画像データの表示を行なう表示部14と、被検体情報の入力、パラメータ画像データ生成条件及び表示データ生成条件の設定、負荷フェイズni及び負荷フェイズnjの選択、拡張能評価の選択、セグメント領域の設定、更には、各種コマンド信号の入力等を行なう入力部15(15a)と、上述の各ユニットを統括的に制御するシステム制御部18を備えている。
(パラメータ画像データの表示手順)
次に、本実施例におけるパラメータ画像データの表示手順を図13のフローチャートに沿って説明する。
パラメータ画像データの生成に先立ち、画像データ生成装置400の超音波画像データ保管部19には、運動負荷の負荷フェイズ(負荷フェイズ1乃至負荷フェイズ3)が順次更新された被検体に対し図示しない超音波診断装置が収集した時系列的な超音波画像データが負荷フェイズ及び心拍時相を付帯情報として予め保管される(図13のステップS31)。
そして、画像データ生成装置400の操作者は、入力部15(15a)にて患者情報を入力した後、パラメータ画像データ生成条件及び表示データ生成条件の設定、拡張能評価の選択、「最大歪み」に対する閾値の設定等の初期設定を行ない(図13のステップS32)、入力部15(15a)の負荷フェイズ選択部151において負荷フェイズni及び負荷フェイズnjを選択する(図13のステップS33)。
この選択情報がシステム制御部18を介して供給された変位計測部6は、超音波画像データ保管部19に保管された負荷フェイズni及び負荷フェイズnjにおける時系列的な超音波画像データの中から時間方向に隣接する2つの超音波画像データを順次抽出し、これらの画像データに対して設定された複数の関心点Cgの各々を中心とするトラッキング処理により前記超音波画像データに示された心筋組織の移動距離(変位)を計測する(図13のステップS34)。
次いで、運動情報計測部7は、変位計測部6において計測された変位の空間的な勾配に基づいて局所的な「歪み」を計測し、更に、時系列的なBモード画像データの各々に対して計測された上記「歪み」の時間的変化に基づいて「歪み速度」を計測する。そして、計測された負荷フェイズni及び負荷フェイズnjにおける時系列的な「歪み」及び「歪み速度」は、心拍時相及び負荷フェイズを付帯情報として運動情報記憶部8に保存される(図13のステップS35)。
運動負荷の負荷フェイズni及び負荷フェイズnjに対する運動情報の計測と保存が終了したならば、比較パラメータ演算部10(10a)は、システム18を介して供給された拡張能評価の選択情報に基づき、拡張期間中の任意の期間における心拍時相を付帯情報として備えた負荷フェイズni及び負荷フェイズnjにおける時系列的な「歪み速度」と負荷フェイズnjにおける時系列的な「歪み」を運動情報記憶部8に保存されている運動情報の中から抽出する(図13のステップS36)。
次いで、上述の時系列的な「歪み速度」及び「歪み」の各々の中から時間方向に最大値あるいは最小値を呈する負荷フェイズni及び負荷フェイズnjの「最大歪み速度」と負荷フェイズnjの「最大歪み」を抽出し、これらの2次元的な「最大歪み」及び「最大歪み速度」あるいはこれらに設定された複数のセグメントの各々における「最大歪み」及び「最大歪み速度」の代表値を用いて比較パラメータK1(x、y)乃至K3(x、y)あるいはK11乃至K13を算出する(図13のステップS37)。そして、パラメータ画像データ生成部11は、比較パラメータ演算部10(10a)が2次元的に算出した上述の比較パラメータの何れかを用いてパラメータ画像データを生成する(図13のステップS38)。
一方、表示データ生成部13は、比較パラメータ演算部10(10a)から供給される2次元的な「最大歪み」と入力部15(15a)から供給される所定の閾値とを比較し、この閾値より大きな「最大歪み」に対応したパラメータ画像データの画素値(比較パラメータ)を所定の画素値−カラー変換フォーマットに基づいてカラー変換する。更に、前記閾値以下の「最大歪み」に対応したパラメータ画像データの画素値を他の変換フォーマットに基づいて変換する。次いで、変換後の比較パラメータ画像データを超音波画像データ記憶部5から供給されるBモード画像データに重畳して表示データを生成し、得られた表示データを表示部14のモニタに表示する(図13のステップS39)。
以上述べた第3の実施例によれば、ストレスエコー法が適用された当該被検体の負荷フェイズni及び負荷フェイズnjにて得られた心筋の局所的な歪み速度情報あるいは歪み速度情報と歪み情報に基づいてパラメータ画像データを生成することにより、心筋組織の拡張能に対する定量的な評価を精度よく行なうことが可能となる。
特に、上述の実施例では、時系列的な「歪み速度」及び「歪み」の中から抽出した「最大歪み速度」及び「最大歪み」を用いて比較パラメータを算出し、この比較パラメータに基づいて所望のパラメータ画像データを生成しているため安定したパラメータ画像データを得ることができる。
又、前記比較パラメータの符号に対応する寒色及び暖色を用いた画素値−カラー変換フォーマットに基づいてパラメータ画像データをカラー表示することにより正常な心筋組織と拡張能が低下した心筋組織を明確かつ容易に観察することができる。
更に、上述の「最大歪み」と所定の閾値を比較し、この閾値より大きな「最大歪み」に対応するパラメータ画像データの画素値(比較パラメータ)を所定の画素値−カラー変換フォーマットに基づいてカラー表示し、前記閾値以下の「最大歪み」に対応するパラメータ画像データの画素値を他の変換フォーマットに基づいてカラー表示することにより、正常な心筋組織、軽度あるいは中程度の虚血等に起因して拡張能が低下した心筋組織及び重度の虚血や完全壊死等に起因して収縮能が大幅に低下した心筋組織を区別して観察することが可能となる。
又、異なる2つの運動負荷に対して抽出された2次元的な「最大歪み」及び「最大歪み速度」に設定した複数のセグメントの各々において「最大歪み」及び「最大歪み速度」の代表値を設定し、この代表値に基づいて算出された比較パラメータを用いて比較画像データを生成した場合には、被検体の呼吸性移動等に伴なって負荷フェイズniにおけるBモード画像データと負荷フェイズnjにおけるBモード画像データの間に位置ズレが発生するような場合においても、この位置ズレの影響をあまり受けることなく安定したパラメータ画像データの生成が可能となる。
更に、上述の実施例における画像データ生成装置は、別途設置された超音波診断装置からネットワーク等を介して供給された複数の負荷フェイズにおける時系列的な超音波画像データを用いて心機能検査に有効なパラメータ画像データを生成することができるため、操作者は、時間や場所の制約をあまり受けることなく当該被検体に対する診断を効率よく行なうことが可能となる。
以上、本発明の実施例について述べてきたが、本発明は上述の実施例に限定されるものでは無く、変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施例では、運動負荷が与えられた被検体に対してBモード画像データを超音波画像データとして収集し、このBモード画像データに基づいて所望のパラメータ画像データを生成する場合について述べたが、運動負荷の替わりに薬物負荷を用いてもよく、又、組織ドプラ画像データやカラードプラ画像データを超音波画像データとして収集してもよい。
又、上述の実施例における心拍時相検出部17は、生体信号計測ユニット16が計測した当該被検体の心電波形に基づいて拡張期間及び収縮期間の心拍時相を検出する場合について述べたが、Bモード画像データ等の超音波画像データにおいて表示された心腔内の面積変化を計測することにより上述の心拍時相を検出してもよい。
更に、変位計測部6は、時間方向に隣接したBモード画像データをトラッキング処理することにより心筋組織の変位を計測する場合について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、上述の組織ドプラ画像データに示された速度情報を時間積分することにより心筋組織の変位を検出しても構わない。
又、運動負荷の負荷フェイズ1及び負荷フェイズ2において生成された超音波画像データに基づいてパラメータ画像データを生成する場合について述べたが、他の負荷フェイズにおいて収集された超音波画像データに基づいてパラメータ画像データの生成を行なってもよい。
本発明の第1の実施例における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。 ストレスエコー法が適用された被検体に対して与えられる運動負荷及び薬物負荷の具体例を示す図。 本発明の第1の実施例における超音波診断装置が備える送受信部及び超音波画像データ生成部の具体的な構成を示すブロック図。 同実施例の相互相関演算による心筋組織のトラッキング処理を説明するための図。 同実施例の心電波形に基づいて設定される心臓の拡張期間を示す図。 同実施例におけるパラメータ画像データの表示手順を示すフローチャート。 本発明の第2の実施例における超音波診断装置の全体構成を示すブロック図。 同実施例の超音波診断装置が備える比較パラメータ演算部の具体的な構成を示すブロック図。 同実施例における心臓短軸像の心筋組織に対して設定されたセグメント領域及び関心領域の具体例を示す図。 同実施例における心臓短軸像の心筋組織に対してセグメント領域が設定された場合のパラメータ画像データを示す図。 同実施例におけるパラメータ画像データの表示手順を示すフローチャート。 本発明の第3の実施例における画像データ生成装置の全体構成を示すブロック図。 同実施例におけるパラメータ画像データの表示手順を示すフローチャート。
符号の説明
2…送受信部
21…送信部
22…受信部
3…超音波プローブ
4…超音波画像データ生成部
5…超音波画像データ記憶部
6…変位計測部
7…運動情報計測部
8…運動情報記憶部
10(10a)…比較パラメータ演算部
101…最大値抽出部
102…代表値設定部
103…演算部
11…パラメータ画像データ生成部
12…運動情報画像データ生成部
13…表示データ生成部
14…表示部
15(15a)…入力部
151…負荷フェイズ選択部
152…関心点設定部
153…セグメント設定部
16…生体信号計測ユニット
17…心拍時相検出部
18…システム制御部
19…超音波画像データ保管部
200、300…超音波診断装置
400…画像データ生成装置

Claims (11)

  1. 複数の異なる運動負荷あるいは薬物負荷が順次与えられる被検体に対し超音波の送受信を行なって得られた時系列的な超音波画像データに基づいて心筋組織の機能診断に有効なパラメータ画像データを生成する超音波診断装置において、
    時間方向に隣接する前記超音波画像データにおける心筋組織の変位を2次元的に計測する変位計測手段と、
    前記変位に基づいて前記心筋組織の「歪み」及び「歪み速度」を運動情報として計測する運動情報計測手段と、
    前記「歪み速度」あるいは前記「歪み」と前記「歪み速度」に基づいて比較パラメータを算出する比較パラメータ演算手段と、
    前記比較パラメータを用いてパラメータ画像データを生成するパラメータ画像データ生成手段とを
    備えたことを特徴とする超音波診断装置。
  2. 前記変位計測手段は、前記時間方向に隣接する超音波画像データに対して相互相関法を適用したパターンマッチングを行なうことにより前記心筋組織の変位を計測することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  3. 前記運動情報計測手段は、前記変位計測手段によって計測された2次元的かつ時系列的な前記変位の空間的な勾配に基づいて前記「歪み」を計測し、この「歪み」の時間的な変化に基づいて前記「歪み速度」を計測することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  4. 前記比較パラメータ演算手段は、前記運動情報計測手段によって計測された心臓の拡張期間中の任意の期間における時系列的な「歪み速度」の中から「最大歪み速度」を抽出する最大値抽出手段と、
    異なる運動負荷あるいは異なる薬物負荷における前記「最大歪み速度」に基づいて前記比較パラメータを算出する演算手段とを
    備えたことを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  5. 前記比較パラメータ演算手段は、前記運動情報計測手段によって計測された心臓の拡張期間中の任意の期間における時系列的な「歪み」及び「歪み速度」の中から「最大歪み」及び「最大歪み速度」を抽出する最大値抽出手段と、
    異なる運動負荷あるいは異なる薬物負荷における前記「最大歪み速度」及び「最大歪み」に基づいて前記比較パラメータを算出する演算手段とを
    備えたことを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  6. 前記比較パラメータ演算手段は、前記運動情報計測手段によって計測された心臓の拡張期間中の任意の期間における時系列的な「歪み速度」の中から「最大歪み速度」を抽出する最大値抽出手段と、
    前記最大値抽出手段によって抽出された2次元的な「最大歪み速度」に設定された複数のセグメント領域の各々において「最大歪み速度」の代表値を設定する代表値設定手段と、
    異なる運動負荷あるいは異なる薬物負荷における前記「最大歪み速度」の代表値に基づいて前記比較パラメータを算出する演算手段とを
    備えたことを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  7. 前記比較パラメータ演算手段は、前記運動情報計測手段によって計測された心臓の拡張期間中の任意の期間における時系列的な「歪み」及び「歪み速度」の中から「最大歪み」及び「最大歪み速度」を抽出する最大値抽出手段と、
    前記最大値抽出手段によって抽出された2次元的な「最大歪み」及び「最大歪み速度」に設定された複数のセグメント領域の各々において「最大歪み」及び「最大歪み速度」の代表値を設定する代表値設定手段と、
    異なる運動負荷あるいは異なる薬物負荷における前記「最大歪み」及び「最大歪み速度」の代表値に基づいて前記比較パラメータを算出する演算手段とを
    備えたことを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  8. 表示データを生成する表示データ生成手段とこの表示データを表示する表示手段を備え、前記表示データ生成手段は、前記パラメータ画像データ生成手段が生成したパラメータ画像データの画素値と所定の閾値とを比較し、この閾値より大きな画素値を有する画素と小さな画素値を有する画素を異なる変換フォーマットに基づいてカラー変換することにより前記表示データを生成することを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
  9. 前記表示データ生成手段は、カラー変換後のパラメータ画像データを前記超音波画像データに重畳して前記表示データを生成することを特徴とする請求項8記載の超音波診断装置。
  10. 運動情報画像データ生成手段とセグメント設定手段を備え、前記運動情報画像データ生成手段は、前記最大値抽出手段によって抽出された前記「最大歪み」あるいは前記「最大歪み速度」に基づいて運動情報画像データを生成し、前記セグメント設定手段は、前記運動情報画像データを用いて2次元的な前記「最大歪み」及び前記「最大歪み速度」に対し前記セグメント領域を設定することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載した超音波診断装置。
  11. 複数の異なる運動負荷あるいは薬物負荷が順次与えられる被検体に対し超音波の送受信を行なって得られた時系列的な超音波画像データに基づいて心筋組織の機能診断に有効なパラメータ画像データを生成する画像データ生成装置において、
    前記時系列的な超音波画像データを心拍時相の情報及び負荷状態の情報と共に保管する超音波画像データ保管手段と、
    前記超音波画像データ保管手段から読み出した時間方向に隣接する前記超音波画像データにおける心筋組織の変位を2次元的に計測する変位計測手段と、
    前記変位に基づいて前記心筋組織の「歪み」及び「歪み速度」を運動情報として計測する運動情報計測手段と、
    前記「歪み速度」あるいは前記「歪み」と前記「歪み速度」に基づいて比較パラメータを算出する比較パラメータ演算手段と、
    前記比較パラメータを用いてパラメータ画像データを生成するパラメータ画像データ生成手段とを
    備えたことを特徴とする画像データ生成装置。
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