JP2009192045A - 鉄道車両駆動ユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】トルク損失を低減すると共に、潤滑性能を向上させた鉄道車両駆動ユニットを提供する。
【解決手段】鉄道車両駆動ユニット12は、鉄道車両の車輪11を回転駆動する駆動ユニットである。具体的には、車輪11の内径面に保持されて、車輪11と一体回転する減速機ハウジング13と、駆動源に接続されている入力側回転部材14と、入力側回転部材14の回転を減速して減速機ハウジング13に伝達する減速機構15と、減速機ハウジング13の内部に配置され、車両本体に連結固定される固定部材23と、減速機ハウジング13を固定部材23に対して回転自在に支持する車軸軸受24,25と、減速機構と車軸軸受24,25との間で潤滑油を循環させる潤滑油循環機構32,33とを備える。
【選択図】図1
【解決手段】鉄道車両駆動ユニット12は、鉄道車両の車輪11を回転駆動する駆動ユニットである。具体的には、車輪11の内径面に保持されて、車輪11と一体回転する減速機ハウジング13と、駆動源に接続されている入力側回転部材14と、入力側回転部材14の回転を減速して減速機ハウジング13に伝達する減速機構15と、減速機ハウジング13の内部に配置され、車両本体に連結固定される固定部材23と、減速機ハウジング13を固定部材23に対して回転自在に支持する車軸軸受24,25と、減速機構と車軸軸受24,25との間で潤滑油を循環させる潤滑油循環機構32,33とを備える。
【選択図】図1
Description
この発明は、鉄道車両駆動ユニット、特に左右の車輪を独立して駆動可能な鉄道車両駆動ユニットに関するものである。
従来の鉄道車両駆動ユニットは、例えば、特開2007−230508号公報(特許文献1)に開示されている。同公報に開示されている鉄道車両駆動ユニットは、モータと、モータの回転を減速して車輪に伝達する減速機とを備える。
この鉄道車両駆動ユニットには、鉄道車両の運行に必要なトルクを発生させる共に、広い客室スペースを得るために、小型で高減速比が得られるサイクロイド減速機が採用されている。具体的には、モータと一体回転する入力軸と、入力軸に設けられた偏心部に回転自在に支持される曲線板と、曲線板の外周に係合して曲線板に自転運動を生じさせる外ピンと、曲線板の自転運動を回転運動に変換して車輪に伝達する内ピンとで構成される。
特開2007−230508号公報
上記構成の減速機は、各構成部品が相互に接触しながら回転するので、接触部分を潤滑する潤滑油が必要になる。しかし、減速機内部の潤滑油は、回転に伴う遠心力によって径方向外側に偏るので、入力軸周辺(径方向内側)で潤滑油が不足しがちになる。一方、入力軸周辺の潤滑油量を確保するために、減速機内部に封入する潤滑油量を増加すれば、攪拌抵抗によって発熱が増大すると共に、減速機のトルク損失が増大する。
そこで、この発明の目的は、発熱およびトルク損失を低減すると共に、潤滑性能を向上させた鉄道車両駆動ユニットを提供することである。
この発明に係る鉄道車両駆動ユニットは、鉄道車両の車輪を回転駆動する駆動ユニットである。具体的には、車輪の内径面に保持されて、車輪と一体回転する減速機ハウジングと、駆動源に接続されている入力側回転部材と、入力側回転部材の回転を減速して減速機ハウジングに伝達する減速機構と、減速機ハウジングの内部に配置され、車両本体に連結固定される固定部材と、減速機ハウジングを固定部材に対して回転自在に支持する車軸軸受と、減速機構と車軸軸受との間で潤滑油を循環させる潤滑油循環機構とを備える。
上記構成のように、減速機ハウジングの内部で潤滑油を循環させることにより、潤滑油の封入量を削減することができる。その結果、減速機構の発熱およびトルク損失を低減することができる。
好ましくは、潤滑油循環機構は、入力側回転部材の回転に伴って生じる遠心力を利用して潤滑油を循環させる。これにより、外部に循環装置を設ける場合と比較して装置をコンパクト化することができる。
一実施形態として、潤滑油循環機構は、固定部材の内部を径方向に貫通し、潤滑油を径方向外側から径方向内側に向かって還流する潤滑油路を含む。
好ましくは、車軸軸受は、固定部材の外径面に固定される内輪と、減速機ハウジングの内径面に固定される外輪と、内輪および外輪の間に配置される複数の円錐ころとを含む円錐ころ軸受である。また、減速機ハウジングと固定部材との間には、円錐ころの大径側端部に対面する位置に減速機ハウジングの内部を密封する密封部材が配置されている。そして、潤滑油路の径方向外側の開口部は、円錐ころ軸受および密封部材の間に設けられている。円錐ころ軸受の内部の潤滑油は、遠心力によって大径側端部から排出される。そこで、潤滑油路の径方向外側の開口部は、車軸軸受の大径側端部に隣接する位置に設けるのが望ましい。
一実施形態として、密封部材は、固定部材の外径面に摺接するリップ部を有し、減速機ハウジングの内径面に固定されて、減速機ハウジングと一体回転する。
好ましくは、入力側回転部材は偏心部を有する。減速機構は、偏心部に相対回転自在に保持されて、入力側回転部材の回転軸心を中心とする公転運動を行う公転部材と、公転部材の公転運動を許容しつつ、自転運動を阻止する自転規制部材と、減速機ハウジングに固定され、公転部材の外周に係合して減速機ハウジングを入力側回転部材に対して減速回転させる外周係合部材とを含む。そして、潤滑油路の径方向内側の開口部は、偏心部に対面する位置に設けられている。入力側回転部材は高速回転するので、偏心部の周辺には多くの潤滑油が必要となる。そこで、潤滑油路の径方向内側の開口部は、偏心部に対面する位置に設けるのが望ましい。
この発明によれば、減速機ハウジングの内部で潤滑油を循環させるので、潤滑油量を削減することができる。その結果、発熱およびトルク損失を低減すると共に、潤滑性能を向上した鉄道車両駆動ユニットを得ることができる。
図1〜図3を参照して、この発明の一実施形態に係る鉄道車両駆動ユニット12および鉄道車両駆動ユニット12を含む鉄道車両用車輪駆動装置10を説明する。なお、図1は鉄道車両用車輪駆動装置10の概略断面図、図2は図1のII−IIにおける断面図、図3は偏心部16a,16b周辺の拡大図である。
まず、図1を参照して、鉄道車両用車輪駆動装置10は、鉄道車両用車輪11(以下「車輪11」という)と、車輪11の内径面に保持されて、駆動源(図示省略)の回転を減速して車輪11に伝達する駆動ユニット12(以下「鉄道車両駆動ユニット12」という)とで構成されており、鉄道車両本体(図示省略)の下部に配置されている。
鉄道車両駆動ユニット12は、減速機ハウジング13と、入力側回転部材14と、減速機構15と、固定部材としてのキャリア23と、第1および第2の車軸軸受24,25とを主に備える。
減速機ハウジング13は、車輪11の内径面に保持されると共に、内部に減速機構15を保持している。なお、減速機構15とは、偏心部材16、公転部材としての曲線板17,18、自転規制部材としての複数の内ピン19、外周係合部材としての複数の外ピン20、およびこれらに付随する部材によって構成されており、入力側回転部材14の回転を減速して減速機ハウジング13に伝達する。
また、減速機ハウジング13の内径面とキャリア23の外径面との間には第1および第2の車軸軸受24,25が配置されている。そして、減速機ハウジング13は、キャリア23に対して回転自在となっており、車輪11と一体回転する出力側回転部材(車軸)としても機能する。
第1の車軸軸受24は、キャリア23の外径面に固定される内輪24aと、減速機ハウジング13の内径面に固定される外輪24bと、内輪24aおよび外輪24bの間に配置される複数の円錐ころ24cと、隣接する円錐ころ24cの間隔を保持する保持器24dとを含む円錐ころ軸受である。第2の転がり軸受25も同様の構成であるので、説明は省略する。第1および第2の車軸軸受24,25として高負荷容量の円錐ころ軸受を採用することにより、車輪11に作用するラジアル荷重およびアキシアル荷重を適切に支持することができる。
また、第1の車軸軸受24は車輪11の嵌合位置(より具体的には「車輪11の嵌合幅中心」であって、図1中一点差線lで示す位置を指す)の軸方向一方側(図1中の右側)で、第2の車軸軸受25は車輪11の嵌合位置の軸方向他方側(図2中の左側)でそれぞれ減速機ハウジング13をキャリア23に対して回転自在に支持している。この実施形態においては、第1および第2の車軸軸受24,25それぞれの車輪11の嵌合幅中心からの距離(オフセット)は、等しく設定されている。
さらに、第1および第2の車軸軸受24,25は、互いの小径側端部を向かい合わせて配置されている(背面組合せ)。これにより、車輪11に作用するモーメント荷重を適切に支持することができる。
また、減速機ハウジング13の軸方向両端部には、減速機ハウジング13の内部に潤滑油を封入するための密封部材26,27が設けられている。この密封部材26,27は、キャリア23の外径面に摺接するリップ部を有し、減速機ハウジング13の内径面に固定されて、減速機ハウジング13と一体回転する。
入力側回転部材14は、駆動源(例えば、モータ等)に接続されて、駆動源の回転に伴って回転する。また、曲線板17,18の両側で転がり軸受28a,28bによって両持ち支持されており、キャリア23に対して回転自在に保持されている。なお、この実施形態においては、転がり軸受28a,28bとして円筒ころ軸受を採用している。また、転がり軸受28aのさらに外側(図1中の右側)は、減速機ハウジング13の内部に潤滑油を封入する密封部材29が配置されている。
偏心部材16は、第1および第2の偏心部16a,16bを有し、入力側回転部材14に嵌合固定されている。第1および第2の偏心部16a,16bは、偏心運動による遠心力を互いに打ち消しあう位相、つまり180°位相を変えて配置されている。すなわち、第1および第2の偏心部16a,16bは、偏心運動によって生じる不均一な荷重を吸収するバランス調整機構としても機能する。
曲線板17は、転がり軸受30によって第1の偏心部16aに相対回転自在に保持されている。そして、入力側回転部材14の回転軸心を中心とする公転運動を行う。また、図2を参照して、曲線板17は、厚み方向に貫通する第1および第2の貫通孔17a,17bと、外周にエピトロコイド等のトロコイド系曲線で構成される複数の波形17cを有する。
第1の貫通孔17aは、曲線板17の中央部に形成されており、第1の偏心部16aおよび転がり軸受30を受け入れる。第2の貫通孔17bは、曲線板17の自転軸心を中心とする円周上に等間隔に複数個設けられており、キャリア23に保持される内ピン19を受入れる。波形17cは、減速機ハウジング13に保持される外ピン20に係合して、曲線板17の回転を減速機ハウジング13に伝達する。なお、曲線板18も同様の構成であって、転がり軸受31によって第2の偏心部16bに回転自在に保持されている。
転がり軸受30は、偏心部16aの外径面に嵌合し、その外径面に内側軌道面を有する内輪部材30aと、曲線板17の貫通孔17aの内径面に直接形成された外側軌道面と、内側軌道面および外側軌道面の間に配置される複数の円筒ころ30bと、隣接する円筒ころ30bの間隔を保持する保持器30cとを備える円筒ころ軸受である。転がり軸受31も同様の構成であるので、説明は省略する。
なお、2枚の曲線板17,18の中心点をGとすると、中心点Gは車輪11の重心位置と一致させているが、車輪11から鉄道車両駆動ユニット12に負荷されるモーメント荷重を極小化させるためには、中心点Gと車輪重心位置とをオフセットさせたほうがよい。これにより、構成部品(「曲線板17,18、内ピン19、および外ピン20等」を指す)が傾いて、接触部分に過大な負荷が生じるのを防止することができる。その結果、鉄道車両駆動ユニット12の回転がスムーズになると共に、耐久性が向上する。
また、2つ曲線板17,18の間には、複数の内ピン19に外接する外接リング34が配置されている。これにより、曲線板17,18の軸方向の動き量を規制している。なお、曲線板17,18と外接リング34とは滑り接触するので、互いに接触する壁面に研削加工を施す等するのが望ましい。また、この外接リング34の機能は、複数の内ピン19に内接する内接リング、または複数の外ピン20に内接する内接リングでも代替することができる。
内ピン19は、入力側回転部材14の回転軸心を中心とする円周軌道上に等間隔に複数個設けられている。複数の内ピン19のうちの一部は、中央に大径部と、両端に大径部より相対的に直径の小さい小径部とを有する略円柱形状である。そして、小径部がキャリア23に保持されると共に、大径部が曲線板17,18の第2の貫通孔17b,18bの内部に位置している。また、大径部の端面は、キャリア23の壁面に当接して内ピン19を位置決めする基準面として機能する。なお、他の内ピン19は、長手方向全域で直径が同一の単純円柱形状である。
さらに、曲線板17,18の第2の貫通孔17b,18bの内壁面に当接する位置(大径部)には、内ピンカラー19aが取り付けられている。これにより、曲線板17,18と内ピン19との摩擦抵抗を低減することができる。なお、この実施形態に係る内ピンカラー19aは、滑り軸受である。
なお、第2の貫通孔17b,18bの直径は、内ピン19の直径(「内ピンカラー19aを含む最大外径」を指す)と比較して所定分だけ大きく設定されている。その結果、内ピン19は、曲線板17,18が入力側回転部材14の回転に伴って回転しようとする際に、曲線板の公転運動を許容しつつ、自転運動を阻止する自転規制部材として機能する。
外ピン20は、入力側回転部材14の回転軸心を中心とする円周軌道上に等間隔に複数個設けられている。この外ピン20は、その中央部が減速機ハウジングに保持されると共に、両端部が車軸軸受24,25に当接して固定されている。そして、外ピン20は、曲線板17,18の波形17c,18cに係合して、減速機ハウジング13を入力側回転部材14に対して減速回転させる。
さらに、曲線板17,18の波形17c,18cに当接する位置には、外ピンカラー20aが取り付けられている。これにより、曲線板17,18と外ピン20との摩擦抵抗を低減することができる。なお、この実施形態に係る外ピンカラー20aは、滑り軸受である。
カウンタウェイト21は、重心と異なる位置に入力側回転部材14を受け入れる貫通孔を有し、偏心部16aの偏心運動による不釣合い慣性偶力を打消す位相、つまり偏心部16aと180°位相を変えて入力側回転部材14に嵌合固定されている。つまり、カウンタウェイト21は、偏心部16aの偏心運動によって生じる不均一な荷重を吸収するバランス調整機構として機能する。なお、カウンタウェイト22も同様の構成であって、偏心部16bの偏心運動による不釣合い慣性偶力を打ち消す位相で入力側回転部材14に嵌合固定されている。
図3を参照して、2枚の曲線板17,18の中心点Gの右側について、中心点Gと曲線板17の中心との距離をL1、曲線板17、転がり軸受30、および偏心部16aの質量の和をm1、曲線板17の重心の回転軸心からの偏心量をε1とし、中心点Gとカウンタウェイト21との距離をL2、カウンタウェイト21の質量をm2、カウンタウェイト21の重心の回転軸心からの偏心量をε2とすると、L1×m1×ε1=L2×m2×ε2を満たす関係となっている。また、図3の中心点Gの左側の曲線板18とカウンタウェイト22との間にも同様の関係が成立する。
キャリア23は、鉄道車両本体に連結固定されており、曲線板17,18に対面する壁面に内ピン19を保持すると共に、外径面に嵌合固定された第1および第2の車軸軸受24,25によって減速機ハウジング13を、内径面に嵌合固定された転がり軸受28a,28bによって入力側回転部材14をそれぞれ回転自在に支持している。
また、キャリア23には、減速機構15と車軸軸受24,25との間で潤滑油を循環させる潤滑油循環機構を備える。この潤滑油循環機構は、入力側回転部材14の回転に伴って生じる遠心力を利用して潤滑油を循環させる。具体的には、キャリア23の内部を径方向に貫通し、潤滑油を径方向外側から径方向内側に向かって還流する複数の潤滑油路32,33が形成されている。
潤滑油路32の径方向外側の開口部は、第1の車軸軸受24の大径側端部と密封部材26との間に設けられている。同様に、潤滑油路33の径方向外側の開口部は、第2の車軸軸受25の大径側端部と密封部材27との間に設けられている。円錐ころ軸受24,25の内部の潤滑油は、遠心力によって大径側端部から排出される。そこで、潤滑油路32,33の径方向外側の開口部は、第1および第2の車軸軸受24,25の大径側端部に隣接する位置に設けるのが望ましい。
一方、潤滑油路32の径方向内側の開口部は、偏心部16aに対面する位置に設けられている。同様に、潤滑油路32の径方向内側の開口部は、偏心部16bに対面する位置に設けられている。入力側回転部材14は高速回転するので、偏心部16a,16bの周辺、より具体的には転がり軸受30,31には多くの潤滑油が必要となる。そこで、潤滑油路32,33の径方向内側の開口部は、偏心部16a,16bに対面する位置に設けるのが望ましい。
上記構成の鉄道車両駆動ユニット12の作動原理を詳しく説明する。
まず、駆動源の回転に伴って入力側回転部材14および偏心部材16が一体回転する。このとき、曲線板17,18も回転しようとするが、第2の貫通孔17b,18bに挿通する内ピン19に自転運動を阻止され、公転運動のみを行うことになる。つまり、曲線板17,18は、入力側回転部材14の回転軸心を中心とする円周軌道上を平行移動する。
曲線板17,18が公転運動すると、波形17c,18cと外ピン20とが係合し、減速機ハウジング13および車輪11が入力側回転部材14と同一方向に一体回転する。このとき、曲線板17,18から減速機ハウジング13に伝達される回転は減速され、高トルクになっている。
具体的には、外ピン20の数をZA、曲線板17,18の波形の数をZBとすると、鉄道車両駆動ユニット12の減速比はZB/(ZA−ZB)で算出され、さらに減速比をnとすると、図1の実施形態における速度比は1/(n+1)で算出される。図2に示す実施形態では、ZA=24、ZB=22であるので、減速比は11となり、速度比は1/12となる。したがって、低トルク、高回転型の駆動源を採用した場合でも、車輪11に必要なトルクを伝達することが可能となる。
このように、多段構成とすることなく大きな減速比を得ることができる減速機構15を採用することにより、コンパクトで高減速比の鉄道車両駆動ユニット12を得ることができる。また、内ピン19および外ピン20の曲線板17,18に当接する位置にカラー19a,20aを設けたことにより、接触部分の摩擦抵抗が低減される。その結果、鉄道車両駆動ユニット12の伝達効率が向上する。
次に、上記構成の鉄道車両駆動ユニット12の潤滑油の流れを詳しく説明する。
まず、減速機ハウジング13の内部には、予め潤滑油が封入されている。この潤滑油は、入力側回転部材14が回転に伴う遠心力によって径方向外側に運ばれる。このとき、転がり軸受28a,28b,30,31、曲線板17,18と転がり軸受30,31との間、曲線板17,18と内ピン19との間、内ピン19と内ピンカラー19aとの間、曲線板17,18と外接リング34との間、曲線板17,18と外ピン20との間、および外ピン20と外ピンカラー20aとの間にそれぞれ供給される。
さらに、潤滑油は、第1および第2の車軸軸受24,25の小径側端部から軸受内部を通って、大径側端部側に排出される。そして、第1および第2の車軸軸受24,25と密封部材26,27とで囲まれた空間に到達した潤滑油は、潤滑油路32,33を通って入力側回転部材14の周辺に還流する。
このように、鉄道車両駆動ユニット12の内部で潤滑油を循環させることにより、潤滑油の封入量を削減することができる。その結果、鉄道車両駆動ユニット12の発熱およびトルク損失を低減することができると共に、高速回転部(「偏心部材16の周辺」を指す)の潤滑を確保することができる。また、入力側回転部材14の回転に伴う遠心力を利用して潤滑油を循環させることにより、外部に循環装置を設ける場合と比較して装置をコンパクト化することができる。
なお、上記の実施形態においては、減速部Bの曲線板17,18を180°位相を変えて2枚設けたが、この曲線板の枚数は任意に設定することができ、例えば、曲線板を3枚設ける場合は、120°位相を変えて設けるとよい。
また、上記の実施形態において、偏心部16a,16bを有する偏心部材16を入力側回転部材14に嵌合固定した例を示したが、これに限ることなく、入力側回転部材14の外径面に直接偏心部16a,16bを形成してもよい。
また、上記の実施形態における転がり軸受24,25,28a,28b,30,31は、図1の形態に限定されることなく、例えば、すべり軸受、円筒ころ軸受、円錐ころ軸受、針状ころ軸受、自動調心ころ軸受、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、3点接触球軸受、4点接触玉軸受等、すべり軸受であるか転がり軸受であるかを問わず、転動体がころであるか玉であるかを問わず、さらには複列か単列かを問わず、あらゆる軸受を適用することができる。
また、上記の実施形態におけるカラー19a,19bは、滑り軸受である例を示したが、これに限ることなく、転がり軸受を採用してもよい。この場合、厚み方向にコンパクト化する観点から針状ころ軸受を採用するのが望ましい。
さらに、鉄道車両用車輪駆動装置10には、上記構成の減速機構15に限ることなく、任意の構成の減速機構を採用することができる。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
この発明は、鉄道車両駆動ユニットに有利に利用される。
10 鉄道車両用車輪駆動装置、11 車輪11 鉄道車両駆動ユニット12 減速機ハウジング13 入力側回転部材14 減速機構、16 偏心部材、16a,16b 偏心部、17,18 曲線板、17a,17b,18a,18b 貫通孔、17c,18c 波形、19 内ピン、20 外ピン、19a,20a カラー、21,22 カウンタウェイト、23 キャリア、24,25 車軸軸受、24a,25a 内輪、24b,25b 外輪、24c,25c,30b,31b 円錐ころ、24d,25d,30c,31c 保持器、26,27,29 密封部材、28a,28b,30,31 転がり軸受、30a,31a 内輪部材、32,33 潤滑油路、34 外接リング。
Claims (6)
- 鉄道車両の車輪を回転駆動する駆動ユニットであって、
前記駆動ユニットは、
車輪の内径面に保持されて、車輪と一体回転する減速機ハウジングと、
駆動源に接続されている入力側回転部材と、
前記入力側回転部材の回転を減速して前記減速機ハウジングに伝達する減速機構と、
前記減速機ハウジングの内部に配置され、車両本体に連結固定される固定部材と、
前記減速機ハウジングを前記固定部材に対して回転自在に支持する車軸軸受と、
前記減速機構と前記車軸軸受との間で潤滑油を循環させる潤滑油循環機構とを備える、鉄道車両駆動ユニット。 - 前記潤滑油循環機構は、前記入力側回転部材の回転に伴って生じる遠心力を利用して潤滑油を循環させる、請求項1に記載の鉄道車両駆動ユニット。
- 前記潤滑油循環機構は、前記固定部材の内部を径方向に貫通し、潤滑油を径方向外側から径方向内側に向かって還流する潤滑油路を含む、請求項1または2に記載の鉄道車両駆動ユニット。
- 前記車軸軸受は、前記固定部材の外径面に固定される内輪と、前記減速機ハウジングの内径面に固定される外輪と、前記内輪および前記外輪の間に配置される複数の円錐ころとを含む円錐ころ軸受であって、
前記減速機ハウジングと前記固定部材との間には、前記円錐ころの大径側端部に対面する位置に前記減速機ハウジングの内部を密封する密封部材が配置されており、
前記潤滑油路の径方向外側の開口部は、前記円錐ころ軸受および前記密封部材の間に設けられている、請求項3に記載の鉄道車両駆動ユニット。 - 前記密封部材は、前記固定部材の外径面に摺接するリップ部を有し、前記減速機ハウジングの内径面に固定されて、前記減速機ハウジングと一体回転する、請求項4に記載の鉄道車両駆動ユニット。
- 前記入力側回転部材は、偏心部を有し、
前記減速機構は、
前記偏心部に相対回転自在に保持されて、前記入力側回転部材の回転軸心を中心とする公転運動を行う公転部材と、
前記公転部材の公転運動を許容しつつ、自転運動を阻止する自転規制部材と、
前記減速機ハウジングに固定され、前記公転部材の外周に係合して前記減速機ハウジングを前記入力側回転部材に対して減速回転させる外周係合部材とを含み、
前記潤滑油路の径方向内側の開口部は、前記偏心部に対面する位置に設けられている、請求項3〜5のいずれかに記載の鉄道車両駆動ユニット。
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