JP2009190564A - 車両の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両の駆動力が制限される際に発生し得るショックを低減し、ドライバビリティの悪化を軽減する。
【解決手段】ドライバの第1要求駆動力f(t)の予想値f(t+tsk)が駆動力の上限値H(t)の予想値H(t+tsk)より大きくなると、時間が経過するほど上限値H(t)および第2要求駆動力F(t)の差がより小さくなるように、第2要求駆動力F(t)が算出される。さらに、ハイブリッド車の実際の駆動力が、第2要求駆動力F(t)になるようにパワートレーンが制御される。
【選択図】図7
【解決手段】ドライバの第1要求駆動力f(t)の予想値f(t+tsk)が駆動力の上限値H(t)の予想値H(t+tsk)より大きくなると、時間が経過するほど上限値H(t)および第2要求駆動力F(t)の差がより小さくなるように、第2要求駆動力F(t)が算出される。さらに、ハイブリッド車の実際の駆動力が、第2要求駆動力F(t)になるようにパワートレーンが制御される。
【選択図】図7
Description
本発明は、車両の制御装置に関し、特に、車両の駆動力の上限値と車両に対して要求される要求駆動力との差を予め定められた態様で変化させる技術に関する。
従来より、エンジンに加えてもしくは代わりにモータの駆動力を用いて走行するハイブリッド車が知られている。ハイブリッド車においては、スロットル開度を有さないモータの駆動力を利用するため、エンジンのみが設けられた車両のようにアクセル開度からスロット開度を定めても、ドライバの要求に沿った駆動力を実現することができない。
そこで、ハイブリッド車においては、たとえばドライバが車両に対して要求する要求駆動力をアクセル開度などに基づいて決定し、車両の実際の駆動力が要求駆動力と一致するようにエンジンおよびモータが制御される。すなわち、ドライバの要求駆動力をエンジンからの駆動力とモータからの駆動力とで分担するように制御される。
特表2004−538197号公報(特許文献1)は、ドライバ入力と、制御アクチュエータと、制御プロセッサとを具備し、この制御プロセッサはドライバ入力を処理して実際のドライバの要求を導出し、ドライバの要求にしたがって制御アクチュエータを介してビークルの制御を行なうように構成されている制御システムを開示する。
特表2004−538197号公報
しかしながら、ドライバの要求駆動力を算出する場合、車両が実現可能な駆動力の上限値を超える場合があり得る。ドライバの要求駆動力が駆動力の上限値を超えると、ドライバの要求に沿った駆動力を実現することができない。そのため、車両の駆動力が急に制限され、ショックが発生し得る。その結果、ドライバビリティが悪化し得る。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであって、その目的はドライバビリティの悪化を軽減することができる車両の制御装置を提供することである。
第1の発明に係る車両の制御装置は、パワートレーンが設けられる車両の制御装置である。この制御装置は、車両の駆動力の上限値を算出するための手段と、ドライバが車両に対して要求する第1の要求駆動力を算出するための算出手段と、第1の要求駆動力が上限値を超えるか否かを判断するための判断手段と、第1の要求駆動力が上限値を超えると判断された場合、車両に対して要求される第2の要求駆動力を、上限値および第2の要求駆動力の差が予め定められた態様で変化するように算出するための算出手段と、第1の要求駆動力が上限値を超えると判断された場合、車両の実際の駆動力が、第2の要求駆動力になるようにパワートレーンを制御するための手段とを備える。
この構成によると、ドライバが車両に対して要求する第1の要求駆動力が車両の駆動力の上限値を超えると判断された場合、車両に対して要求される第2の要求駆動力が算出される。第2の駆動力は、上限値および第2の要求駆動力の差が予め定められた態様で変化するように算出される。たとえば、時間が経過するほど上限値および第2の要求駆動力の差がより小さくなるように第2の駆動力が算出される。車両の実際の駆動力が、第2の要求駆動力になるようにパワートレーンが制御される。これにより、車両の実際の駆動力を駆動力の上限値に徐々に近づけることができる。すなわち、車両の実際の駆動力を徐々に制限することができる。そのため、駆動力を制限する際に発生し得るショックを軽減することができる。その結果、ドライバビリティの悪化を軽減することができる車両の制御装置を提供することができる。
第2の発明に係る車両の制御装置においては、第1の発明の構成に加え、予め定められた態様は、時間が経過するほど上限値および第2の要求駆動力の差がより小さくなる態様である。
この構成によると、車両の実際の駆動力を徐々に制限することができる。そのため、駆動力を制限する際に発生し得るショックを軽減することができる。
第3の発明に係る車両の制御装置においては、第1の発明の構成に加え、判断手段は、予め定められた時間後における上限値の予想値を予測するための手段と、予め定められた時間後における第1の要求駆動力の予想値を予想するための手段と、第1の要求駆動力の予想値が上限値の予想値より大きい場合、第1の要求駆動力が上限値を超えると判断するための手段とを含む。
この構成によると、ドライバの要求駆動力が駆動力の上限値を超える前から、車両の実際の駆動力を徐々に制限することができる。そのため、駆動力を制限する際に発生し得るショックをより軽減することができる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る制御装置を搭載したハイブリッド車について説明する。この車両は、エンジン100と、第1MG(Motor Generator)110と、第2MG120と、動力分割機構130と、減速機140と、バッテリ150とを備える。
この車両は、エンジン100および第2MG120のうちの少なくともいずれか一方からの駆動力により走行する。なお、ハイブリッド車の代わりに、その他、モータからの駆動力のみで走行する電気自動車もしくは燃料電池車を用いるようにしてもよい。また、エンジンのみを備える車両であってもよい。
エンジン100、第1MG110および第2MG120は、動力分割機構130を介して接続されている。エンジン100が発生する動力は、動力分割機構130により、2経路に分割される。一方は減速機140を介して前輪160を駆動する経路である。もう一方は、第1MG110を駆動させて発電する経路である。
第1MG110は、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルを備える、三相交流回転電機である。第1MG110は、動力分割機構130により分割されたエンジン100の動力により発電する。第1MG110により発電された電力は、車両の走行状態や、バッテリ150のSOC(State Of Charge)の状態に応じて使い分けられる。たとえば、通常走行時では、第1MG110により発電された電力はそのまま第2MG120を駆動させる電力となる。一方、バッテリ150のSOCが予め定められた値よりも低い場合、第1MG110により発電された電力は、後述するインバータにより交流から直流に変換される。その後、後述するコンバータにより電圧が調整されてバッテリ150に蓄えられる。
第1MG110が発電機として作用している場合、第1MG110は負のトルクを発生している。ここで、負のトルクとは、エンジン100の負荷となるようなトルクをいう。第1MG110が電力の供給を受けてモータとして作用している場合、第1MG110は正のトルクを発生する。ここで、正のトルクとは、エンジン100の負荷とならないようなトルク、すなわち、エンジン100の回転をアシストするようなトルクをいう。なお、第2MG120についても同様である。
第2MG120は、U相コイル、V相コイルおよびW相コイルを備える、三相交流回転電機である。第2MG120は、バッテリ150に蓄えられた電力および第1MG110により発電された電力のうちの少なくともいずれかの電力により駆動する。
第2MG120の駆動力は、減速機140を介して前輪160に伝えられる。これにより、第2MG120はエンジン100をアシストしたり、第2MG120からの駆動力により車両を走行させたりする。なお、前輪160の代わりにもしくは加えて後輪を駆動するようにしてもよい。
ハイブリッド車の回生制動時には、減速機140を介して前輪160により第2MG120が駆動され、第2MG120が発電機として作動する。これにより第2MG120は、制動エネルギを電力に変換する回生ブレーキとして作動する。第2MG120により発電された電力は、バッテリ150に蓄えられる。
動力分割機構130は、サンギヤと、ピニオンギヤと、キャリアと、リングギヤとを含む遊星歯車から構成される。ピニオンギヤは、サンギヤおよびリングギヤと係合する。キャリアは、ピニオンギヤが自転可能であるように支持する。サンギヤは第1MG110の回転軸に連結される。キャリアはエンジン100のクランクシャフトに連結される。リングギヤは第2MG120の回転軸および減速機140に連結される。
エンジン100、第1MG110および第2MG120が、遊星歯車からなる動力分割機構130を介して連結されることで、エンジン100、第1MG110および第2MG120の回転数は、図2に示すように、共線図において直線で結ばれる関係になる。
図1に戻って、バッテリ150は、複数のバッテリセルを一体化したバッテリモジュールを、さらに複数直列に接続して構成された組電池である。バッテリ150の電圧は、たとえば200V程度である。バッテリ150には、第1MG110および第2MG120から供給される電力が充電される。
ハイブリッド車のパワートレーンの一部を構成するエンジン100、第1MG110、第2MG120は、ECU(Electronic Control Unit)170により制御される。なお、ECU170は複数のECUに分割するようにしてもよい。
図3に示すように、ECU170には、アクセル開度センサ172からアクセル開度を表わす信号が、車速センサ174から車速を表わす信号が入力される。ECU170は、車速およびアクセル開度などに基づいて、エンジン100、第1MG110、第2MG120を制御する。
ハイブリッド車には、さらに、コンバータ200と、第1インバータ210と、第2インバータ220と、DC/DCコンバータ230と、補機バッテリ240と、SMR(System Main Relay)250とが設けられる。
コンバータ200は、リアクトルと、二つのnpn型トランジスタと、二つダイオードとを含む。リアクトルは、バッテリ150の正極側に一端が接続され、2つのnpn型トランジスタの接続点に他端が接続される。
2つのnpn型トランジスタは、直列に接続される。npn型トランジスタは、ECU170により制御される。各npn型トランジスタのコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すようにダイオードがそれぞれ接続される。
なお、npn型トランジスタとして、たとえば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることができる。npn型トランジスタに代えて、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)等の電力スイッチング素子を用いることができる。
バッテリ150から放電された電力を第1MG110もしくは第2MG120に供給する際、電圧がコンバータ200により昇圧される。逆に、第1MG110もしくは第2MG120により発電された電力をバッテリ150に充電する際、電圧がコンバータ200により降圧される。
本実施の形態においては、エコスイッチ176がオンにされると、コンバータ200の昇圧を禁止するエコノミーモードが選択される。エコノミーモードは、燃費を重視した走行モードである。エコノミーモードによりコンバータ200の昇圧が禁止されると、消費電力が制限される。その結果、ハイブリッド車の駆動力の上限値が低減される。なお、本実施の形態においては、エコノミーモードを自動的に終了することも可能である。
コンバータ200と、第1インバータ210および第2インバータ220との間のシステム電圧VHは、電圧計180により検出される。電圧計180の検出結果は、ECU170に送信される。
第1インバータ210は、U相アーム、V相アームおよびW相アームを含む。U相アーム、V相アームおよびW相アームは並列に接続される。U相アーム、V相アームおよびW相アームは、それぞれ、直列に接続された2つのnpn型トランジスタを有する。各npn型トランジスタのコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードがそれぞれ接続される。そして、各アームにおける各npn型トランジスタの接続点は、第1MG110の各コイルの中性点112とは異なる端部にそれぞれ接続される。
第1インバータ210は、バッテリ150から供給される直流電流を交流電流に変換し、第1MG110に供給する。また、第1インバータ210は、第1MG110により発電された交流電流を直流電流に変換する。
第2インバータ220は、U相アーム、V相アームおよびW相アームを含む。U相アーム、V相アームおよびW相アームは並列に接続される。U相アーム、V相アームおよびW相アームは、それぞれ、直列に接続された2つのnpn型トランジスタを有する。各npn型トランジスタのコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードがそれぞれ接続される。そして、各アームにおける各npn型トランジスタの接続点は、第2MG120の各コイルの中性点122とは異なる端部にそれぞれ接続される。
第2インバータ220は、バッテリ150から供給される直流電流を交流電流に変換し、第2MG120に供給する。また、第2インバータ220は、第2MG120により発電された交流電流を直流電流に変換する。
DC/DCコンバータ230は、バッテリ150と、コンバータ200との間において、コンバータ200と並列に接続される。DC/DCコンバータ230は、直流電圧を降圧する。DC/DCコンバータ230から出力される電力は、補機バッテリ240に充電される。補機バッテリ240に充電された電力は、電動オイルポンプ等の補機242およびECU170に供給される。
SMR(System Main Relay)250は、バッテリ150とDC/DCコンバータ230との間に設けられる。SMR250は、バッテリ150と電気システムとを接続した状態および遮断した状態を切換えるリレーである。SMR250が開いた状態であると、バッテリ150が電気システムから遮断される。SMR250が閉じた状態であると、バッテリ150が電気システムに接続される。SMR250の状態は、ECU170により制御される。たとえば、ECU170が起動すると、SMR250が閉じられる。ECU170が休止する際、SMR250が開かれる。
図4を参照して、ECU170の機能ついて説明する。なお、以下に説明する機能はソフトウエアにより実現するようにしてもよく、ハードウェアにより実現するようにしてもよい。
ECU170は、上限値算出部700と、第1要求駆動力算出部710と、判断部720と、第2要求駆動力算出部730と、制御部740とを備える。
上限値算出部700は、ハイブリッド車の駆動力の上限値H(t)を算出する。なお、本実施の形態において、駆動力は「N(ニュートン)」で表わされる。「W(ワット)」で表わされるパワーおよび「N・m(ニュートン・メートル)」で表わされるトルクなどが駆動力に含まれると解釈してもよい。
駆動力の上限値H(t)は、たとえば車速、バッテリ150のSOC、バッテリ150の温度、エコノミーモードが選択されているか否かなどの種々のパラメータに基づき、予め定められたマップに従って算出される。駆動力の上限値H(t)の算出方法は、車両の仕様などに応じて適宜決定すればよい。
第1要求駆動力算出部710は、たとえば車速、アクセル開度などに基づき、予め定められたマップに従って、ドライバが車両に対して要求する第1要求駆動力f(t)を算出する。
判断部720は、ドライバの第1要求駆動力f(t)が駆動力の上限値H(t)を超えるか否かを判断する。判断部720は、予め定められたスキップ時間tsk後における第1要求駆動力f(t)の予想値f(t+tsk)および駆動力の上限値H(t)の予想値H(t+tsk)を予測し、第1要求駆動力f(t)の予想値f(t+tsk)が駆動力の上限値H(t)の予想値H(t+tsk)より大きい場合、第1要求駆動力f(t)が上限値H(t)を超えると判断する。
第1要求駆動力f(t)の予想値f(t+tsk)は、たとえば、車速およびアクセル開度の現在値の代わりに、加速度から予想される車速の予想値、アクセル開度の変化率から予想されるアクセル開度の予想値などを用いて算出される。同様に、駆動力の上限値H(t)の予想値H(t+tsk)は、車速の予想値、バッテリ150のSCOの予想値、バッテリ150の温度の予想値などを用いて算出される。
第2要求駆動力算出部730は、第1要求駆動力f(t)の予想値f(t+tsk)が駆動力の上限値H(t)の予想値H(t+tsk)より大きくなると、車両に対して要求される第2要求駆動力F(t)を算出する。第2要求駆動力F(t)は、時間が経過するほど上限値H(t)および第2要求駆動力F(t)の差がより小さくなるように算出される。
より具体的には、駆動力の上限値H(t)および第2要求駆動力F(t)の差d(t)が、図5に示す理想曲線D(t)に沿って変化するように、PID(Proportion, Integration, Differential)制御を用いたフィルタリングを実施して第2要求駆動力F(t)が算出される。
フィルタリングでは、下記の式1により第2要求駆動力F(t)が算出される。なお、式1中、F(t+1)は第2要求駆動力F(t)の次回値を示す。「Gp」、「Gi」および「Gd」はそれぞれ、比例項、積分項および微分項のゲインである。
F(t+1)=F(t)+Gp×(d(t)-D(t))+ Gi×∫(d(t)-D(t))dt+ Gd×d(d(t)-D(t))/dt…(1)
図5における時間Aにおいて第2要求駆動力F(t)の算出を開始すると、駆動力の上限値H(t)および第2要求駆動力F(t)の差d(t)が徐々に理想曲線D(t)に近づく。なお、P制御、I制御、D制御のうちのいずれかを用いずに第2要求駆動力F(t)を算出するようにしてもよい。
図5における時間Aにおいて第2要求駆動力F(t)の算出を開始すると、駆動力の上限値H(t)および第2要求駆動力F(t)の差d(t)が徐々に理想曲線D(t)に近づく。なお、P制御、I制御、D制御のうちのいずれかを用いずに第2要求駆動力F(t)を算出するようにしてもよい。
制御部740は、第1要求駆動力f(t)の予想値f(t+tsk)が駆動力の上限値H(t)の予想値H(t+tsk)より大きくなると、ハイブリッド車の実際の駆動力が、第2要求駆動力F(t)になるようにパワートレーン、すなわちエンジン100、第1MG110および第2MG120を制御する。
第1要求駆動力f(t)の予想値f(t+tsk)が駆動力の上限値H(t)の予想値H(t+tsk)以下である間は、ハイブリッド車の実際の駆動力が、第1要求駆動力f(t)になるようにパワートレーンが制御される。
図6を参照して、ECU170が実行するプログラムの制御構造について説明する。なお、ECU170により実行されるプログラムをCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記録して市場に流通させてもよい。
ステップ(以下、ステップをSと略す)100にて、ECU170は、ハイブリッド車の駆動力の上限値H(t)および上限値H(t)の予想値H(t+tsk)を算出する。
S102にて、ECU170は、ドライバが車両に対して要求する第1要求駆動力f(t)および第1要求駆動力f(t)の予想値f(t+tsk)を算出する。
S104にて、ECU170は、第1要求駆動力f(t)の予想値f(t+tsk)が駆動力の上限値H(t)の予想値H(t+tsk)より大きいか否かを判断する。第1要求駆動力f(t)の予想値f(t+tsk)が駆動力の上限値H(t)の予想値H(t+tsk)より大きい場合(S104にてYES)、処理はS106に移される。第1要求駆動力f(t)の予想値f(t+tsk)が駆動力の上限値H(t)の予想値H(t+tsk)以下であると(S104にてNO)、処理はS110に移される。
S106にて、ECU170は、車両に対して要求される第2要求駆動力F(t)の算出を開始する。
S108にて、ECU170は、ハイブリッド車の実際の駆動力が、第2要求駆動力F(t)になるようにパワートレーンを制御する。S110にて、ECU170は、ハイブリッド車の実際の駆動力が、第1要求駆動力f(t)になるようにパワートレーンを制御する。
以上のような構造およびフローチャートに基づく、本実施の形態に係る制御装置の動作について説明する。
ハイブリッド車の走行中、ハイブリッド車の駆動力の上限値H(t)および上限値H(t)の予想値H(t+tsk)が算出される(S100)。さらに、ドライバが車両に対して要求する第1要求駆動力f(t)および第1要求駆動力f(t)の予想値f(t+tsk)が算出される(S102)。
第1要求駆動力f(t)の予想値f(t+tsk)が駆動力の上限値H(t)の予想値H(t+tsk)以下であると(S104にてNO)、ハイブリッド車の実際の駆動力が、第1要求駆動力f(t)になるようにパワートレーンが制御される(S110)。これにより、ドライバの要求を満たすことができる。
一方、図7に示すように、時間t0において、第1要求駆動力f(t)の予想値f(t+tsk)が駆動力の上限値H(t)の予想値H(t+tsk)より大きくなると(S104にてYES)、第2要求駆動力F(t)の算出が開始される(S106)。図7において一点鎖線で示すように、第2要求駆動力F(t)は、駆動力の上限値H(t)に徐々に近づくように算出される。
ハイブリッド車の実際の駆動力は、第2要求駆動力F(t)になるようにパワートレーンが制御される(S108)。これにより、車両の実際の駆動力を駆動力の上限値H(t)に徐々に近づけることができる。そのため、図7において二点鎖線で示すようにドライバの第1要求駆動力f(t)になるように制御されていた車両の駆動力が時間t1において上限値H(t)に制限される場合に比べて、車両の実際の駆動力を徐々に制限することができる。
なお、図7において、駆動力の上限値H(t)が増大しているのは、第1要求駆動力f(t)の予想値f(t+tsk)が駆動力の上限値H(t)の予想値H(t+tsk)より大きくなった結果、エコノミーモードが自動的に終了されたためである。
以上のように、本実施の形態に係る制御装置によれば、ドライバの第1要求駆動力f(t)の予想値f(t+tsk)が駆動力の上限値H(t)の予想値H(t+tsk)より大きくなると、時間が経過するほど上限値H(t)および第2要求駆動力F(t)の差がより小さくなるように、第2要求駆動力F(t)が算出される。さらに、ハイブリッド車の実際の駆動力が、第2要求駆動力F(t)になるようにパワートレーンが制御される。これにより、車両の実際の駆動力を駆動力の上限値H(t)に徐々に近づけることができる。すなわち、車両の実際の駆動力を徐々に制限することができる。そのため、駆動力が制限される際に発生し得るショックを軽減することができる。その結果、ドライバビリティの悪化を軽減することができる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
100 エンジン、110 第1MG、120 第2MG、130 動力分割機構、140 減速機、150 バッテリ、160 前輪、170 ECU、176 エコスイッチ、180 電圧計、200 コンバータ、210 第1インバータ、220 第2インバータ、230 DC/DCコンバータ、240 補機バッテリ、242 補機、700 上限値算出部、710 要求駆動力算出部、720 判断部、730 要求駆動力算出部、740 制御部。
Claims (3)
- パワートレーンが設けられる車両の制御装置であって、
車両の駆動力の上限値を算出するための手段と、
ドライバが前記車両に対して要求する第1の要求駆動力を算出するための算出手段と、
前記第1の要求駆動力が前記上限値を超えるか否かを判断するための判断手段と、
前記第1の要求駆動力が前記上限値を超えると判断された場合、前記車両に対して要求される第2の要求駆動力を、前記上限値および前記第2の要求駆動力の差が予め定められた態様で変化するように算出するための算出手段と、
前記第1の要求駆動力が前記上限値を超えると判断された場合、車両の実際の駆動力が、前記第2の要求駆動力になるように前記パワートレーンを制御するための手段とを備える、車両の制御装置。 - 前記予め定められた態様は、時間が経過するほど前記上限値および前記第2の要求駆動力の差がより小さくなる態様である、請求項1に記載の車両の制御装置。
- 前記判断手段は、
予め定められた時間後における前記上限値の予想値を予測するための手段と、
前記予め定められた時間後における前記第1の要求駆動力の予想値を予想するための手段と、
前記第1の要求駆動力の予想値が前記上限値の予想値より大きい場合、前記第1の要求駆動力が前記上限値を超えると判断するための手段とを含む、請求項1に記載の車両の制御装置。
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