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JP2009177956A - 運転支援装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】減速エネルギの回収率の向上が期待でき、且つ、ドライバにとっての煩わしさが減少する運転支援装置を提供する。
【解決手段】過去の走行において回収率Krが目標回収率を示す閾値TKhよりも低かった学習区間を走行するときに、回収率Krを向上させるための減速操作を促す報知が行なわれる(S506)。その報知により、ドライバは、その学習区間で回収率Krが向上する減速操作を心がけることが期待できる。そのため、減速エネルギの回収率Krの向上および回収率Krの向上による燃費の向上が期待できる。
【選択図】図5

Description

本発明は、車両の運転を支援する運転支援装置に関し、特に、回生制動によって電力を生成して、その電力を蓄電することができる車両の運転を支援する運転支援装置に関する。
回生制動によって電力を生成する回生機構と、その回生機構によって生成された電力を蓄電する蓄電装置とを備えた車両が知られている。たとえば、エンジンとモータとを駆動力源とするハイブリッド車両(以下、単にハイブリッド車両という)においては、一般的に、モータを発電機として作動させて回生制動を行い、この回生制動によって得られる電気エネルギをバッテリへ蓄電できるようになっている。
その回生制動によって得られる電気エネルギをより多く蓄電できれば、蓄電した電力をモータによる電動走行に使用する時間が増加し、燃費が向上する。しかし、回生制動力には限界があり、ドライバのブレーキ操作が急すぎる場合、ドライバの要求する制動力を回生制動のみによって発生させることができず、発生させる制動力のうち摩擦制動の割合が多くなる。
また、バッテリの瞬時受け入れ電力量の制限、バッテリの最大充電容量などのハードウェアの制約がある場合にも、回生制動によって減速エネルギを十分に回収することができない。
そこで、要減速地点の地図情報を記憶しておき、その要減速地点の地図情報に基づいて減速エネルギを回生制動によって効率よく回収できるブレーキ操作を案内する技術が提案されている(たとえば、特許文献1)。詳しくは、この特許文献1の装置では、車両の走行中に、車両進行方向に位置する要減速地点の地図情報を抽出し、抽出した要減速地点の地図情報と現在車速とから、要減速地点まで回生ブレーキで減速する場合に必要な減速距離を算出している。そして、その算出した減速距離と要減速地点とに基づいて、ブレーキ操作の開始が必要なブレーキ開始点を案内している。
特開2007−221889号公報
しかし、特許文献1の装置では、要減速地点の地図情報を予め記憶しておかなければならず、要減速地点の地図情報が記憶されていない地点では、ブレーキ操作の案内を行うことができない。
また、ブレーキ開始点を案内しても、その案内をされたドライバが急なブレーキ操作をした場合にはドライバが要求する制動力を回生制動のみによって発生させることができず、減速エネルギを十分に回収できない恐れがあった。
さらに、特許文献1の装置では、要減速地点において必ず案内が行なわれることから、過去に何度も案内が行なわれており、案内が行なわれなくても要減速地点を十分に認識している場合にも案内が行なわれてしまい、ドライバが煩わしさを感じる恐れもある。
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、減速エネルギの回収率の向上が期待でき、且つ、ドライバにとっての煩わしさが減少する運転支援装置を提供することにある。
その目的を達成するための請求項1記載の発明は、回生制動によって電力を生成する回生機構と、その回生機構によって生成された電力を蓄電する蓄電装置とを備えた車両に用いられる運転支援装置であって、ドライバの加減速操作量に基づいて車両の減速パワー要求値を逐次算出する減速パワー要求値算出手段と、回生制動によって前記回生機構に生じる動力を示す回生パワー実効値を逐次算出する回生パワー実効値算出手段と、前記減速パワー要求値と前記回生パワー実効値とに基づいて、予め定められた学習区間別に減速エネルギの回収率を算出する回収率算出手段と、その算出された回収率が予め設定された目標回収率よりも低かった学習区間を走行する場合に、回収率を向上させるための減速操作を促す報知をドライバに対して行なう報知手段とを含むことを特徴とする。
このようにすれば、過去の走行において回収率が目標回収率よりも低かった学習区間を走行するときに、回収率を向上させるための減速操作を促す報知が行なわれることから、その報知により、ドライバは、その学習区間で回収率が向上する減速操作を心がけることが期待できる。そのため、減速エネルギの回収率の向上が期待できる。また、報知を行なうか否かは回収率に基づいて決定され、回収率は走行によって学習されていくことから、走行を重ねていくうちに、報知を行なうか否かを判断することができる区間が増加していく。すなわち、当初の地図情報にない回収率Krが記憶されていない区間であっても走行によって回収率を学習することにより報知を行なうか否かを判断できるようになる。この点でも回収率を向上させることができる。加えて、回収率が目標回収率以上の学習区間では報知が行なわれないことから、不必要な報知が行なわれることによる煩わしさが減少する。
なお、上記報知手段において、学習区間を走行する場合とは、その学習区間を現在走行している場合だけでなく、その学習区間をもうすぐ走行する場合も含む。
また、上記運転支援装置は、請求項2に示す構成を備えることにより、蓄電装置の蓄電量を調節する機能をさらに備えることが好ましい。
その請求項2は、請求項1の運転支援装置において、前記回生機構および蓄電装置に加えて、車両の駆動軸を駆動するための動力発生源として内燃機関と前記蓄電装置からの電力で回転する回転電機とを備えた車両に用いられ、
前記減速パワー要求値算出手段で算出された減速パワー要求値を学習区間毎に積算することによって、学習区間の減速パワー積算値を算出する減速パワー積算値算出手段と、
その減速パワー積算値に基づいて、学習区間において回収が見込める最大回収電力量を算出する回収見込み電力量算出手段と、前記蓄電装置の蓄電容量に基づいて、蓄電装置が受け入れ可能な最大受け入れ電力量を算出する受け入れ電力量算出手段とを備え、
前記回収見込み電力量算出手段で算出された最大回収電力量と、前記受け入れ電力量算出手段で算出された最大受け入れ電力量とを比較して、最大回収電力量の方が多い場合に、最大受け入れ電力量が最大回収電力量以上になるまで前記回転電機を用いて前記駆動軸を駆動させる走行を行なうことを特徴とする。
回収率が向上する減速操作をドライバが行なったとしても、回生によって生成された電力を蓄電装置が受け入れることができなければ回収率は向上しない。しかし、この請求項2では、前記回転電機を用いて前記駆動軸を駆動させる走行を行なうことで、学習区間において回収が見込める最大回収電力量を蓄電装置が受け入れることができるまで、蓄電装置の最大受け入れ可能電力量を増加させているので、回生によって生成された電力を蓄電装置が受け入れることができなくなる事態が減少する。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、ハイブリッド車両(以下、単に車両という)1の要部構成を示す図であり、本発明の実施形態となる運転支援装置はナビゲーション部30などによって構成される。
図1に示すように、車両1は、エンジン4と2つのモータジェネレータ(すなわち回転電機)MG1、MG2とを動力発生源として備えたシリーズパラレル式のハイブリッド車両である。
エンジン4は、燃料としてガソリンまたは軽油を用いる内燃機関である。このエンジン4の出力軸は、遊星歯車装置12のプラネタリギアに連結されている。遊星歯車装置12のサンギアには第1モータジェネレータMG1の出力軸が連結され、遊星歯車装置12のリングギアには減速機13の入力軸が連結されている。この構成により、遊星歯車装置12は動力分割機構として機能し、エンジン4からの動力と第1モータジェネレータMG1からの動力とを統合して減速機13の入力軸に入力することができるとともに、エンジン4からの動力を減速機13の入力軸と第1モータジェネレータMG1とに分割することもできる。
上記減速機13の入力軸には、第2モータジェネレータMG2の出力軸も連結されている。減速機13は一対の常時噛み合い歯車を有しており、減速機13の出力軸の回転がデファレンシャルギア14を介して車軸(すなわち駆動軸)15に伝達される。
第1モータジェネレータMG1および第2モータジェネレータMG2は、それぞれ、第1インバータ8および第2インバータ10に接続されており、それら第1、第2インバータ8、10は、電力授受ライン18によってバッテリ6と電気的に接続されている。第1、第2モータジェネレータMG1、MG2は、バッテリ6からの電力が供給されるとモータとして機能して動力を発生させる。一方、車輪あるいはエンジンの回転が伝達されることによって回転させられると発電機として機能して電力を発生させる。第1、第2モータジェネレータMG1、MG2が発電機として機能して発生させた電力はバッテリ6に蓄電される。
請求項の蓄電装置に相当するバッテリ6には、たとえば、ニッケル水素二次電池を用いる。このバッテリ6は、電力授受ライン18によってインバータ8、10と接続されていることに加えて、系内電力供給ライン19によって車両1に備えられている種々の電気負荷16とも接続されている。
本実施形態では、バッテリ6と電気負荷16とを総称して電源系という。なお、図1には示していないが、MGECU20、バッテリECU22、ハイブリッド制御ECU24、エンジンECU26も系内電力供給ライン19によってバッテリ6からの電力供給を受けており、これらのECU20〜26も電気負荷16に含まれる。
電力検出部28は、電源系内において消費される電力を検出するために、系内電力供給ライン19の電流および電圧を検出する。また、バッテリECU22はバッテリ6の蓄電状態(以下、SOCという)を表す信号をハイブリッド制御ECU24へ逐次供給する。
ハイブリッド制御ECU24には、車速を表す車速信号SSp、アクセル開度を表すアクセル開度信号Acc、ブレーキ踏力を示すブレーキ信号Sb、シフト位置を表すシフト位置信号Psが供給される。また、MGECU20、バッテリECU22、エンジンECU26、ナビゲーション部30との間で相互に信号の送受信を行う。そして、供給される種々の信号に基づいて所定の演算処理を実行する。
上記演算処理には、たとえば、減速パワー要求値Bpおよび回生パワー実効値Kpの算出や、エンジン4の動作点およびモータジェネレータMG1、MG2の動作点の決定がある。動作点を決定すると、ハイブリッド制御ECU24は、その決定した動作点を指示する信号をエンジンECU26およびMGECU20へ出力する。MGECU20およびエンジンECU26は、ハイブリッド制御ECU24から供給される信号に基づいてエンジン4、モータジェネレータMG1、MG2をそれぞれ駆動させる。なお、上記ECU20、22、24、26における処理は、図2を用いて後に詳述する。
ナビゲーション部30は、上述のようにハイブリッド制御ECU24と接続されていることに加えて、案内部40および位置検出部42とも接続されている。このナビゲーション部30は、走行測定部32、演算部34、地図記憶部36を備えている。
地図記憶部36は、地図データベースを所定の記憶媒体に記憶している。この地図データベースは、道路や交差点などの道路地図情報を備えている。この道路地図情報には学習区間情報も含まれている。学習区間情報とは、後述する回収率Krを学習する単位となる学習区間の位置情報およびその学習区間において学習された回収率Krを含むものであり、学習区間は予め設定されている。学習区間はたとえば交差点間に設定されるが、地形の変化や混雑状況の変化が生じることによって走行速度に変化が生じる点が学習区間の端点に設定されてもよい。なお、学習区間は全ての道路の全区間に対して設定されることが望ましいが、一部の道路区間が学習区間とされていなくてもよいし、また、回収率Krの低下が生じやすい区間に限定して設定されてもよい。
走行測定部32は、ハイブリッド制御ECU24から減速パワー要求値Bp、回生パワー実効値Kpを逐次取得してそれらの値と位置情報との対応付けを行う。演算部34は、走行測定部32で対応付けられた位置情報および減速パワー要求値Bp、回生パワー実効値Kpを地図記憶部36の記憶媒体に記憶させる。また、演算部34は、その記憶媒体に記憶されている種々の情報を読み出して所定の演算を行なった後、演算によって作成した情報を案内部40やハイブリッド制御ECU24へ送信する。
案内部40はドライバに対して種々の案内を行なう部分であり、具体的には、表示装置や音声出力装置である。表示装置は、たとえば、メータディスプレイ、フロントコンソールディスプレイ、ヘッドアップディスプレイなどであり、音声出力装置は、たとえば、スピーカやイヤホンである。演算部34から案内部40に送信されてくる情報には、適切なブレーキ操作を促す情報がある。
位置検出部42は、GPS受信機等、車両の位置検出に一般的に利用される機器を少なくとも一つ備え、その機器を用いて車両1の現在位置を逐次検出する。そして、検出した現在位置をナビゲーション部30に送信する。
図2は、ECU20、22、24、26の機能をブロック図にて示す図である。まず、ハイブリッド制御ECU24の機能を説明する。ハイブリッド制御ECU24は、駆動・減速パワー要求値算出手段240と、目標エンジン動力算出手段242と、エンジン指令トルク算出手段244と、MG指令トルク算出手段246とを備えている。
駆動・減速パワー要求値算出手段240は、車両1が要求する駆動パワー要求値Dpまたは減速パワー要求値Bpを逐次算出する。いずれのパワー要求値Dp、Bpを算出するかは、アクセル開度およびブレーキ踏力によって定まり、それらアクセル開度およびブレーキ踏力からドライバが減速を要求していると判断できるときは減速パワー要求値Bpを算出し、ドライバが加速または速度維持を要求していると判断できるときは駆動パワー要求値Dpを算出する。
駆動パワー要求値Dpを算出する場合、まず、アクセル開度信号Accが示すアクセル開度とシフト位置信号Psが示すシフト位置とから、予め記憶されている要求駆動トルク決定マップを用いて要求駆動トルクを設定する。次いで、車速信号SSpが示す車速に基づいて車軸15の回転速度を算出し、その回転速度に上記要求駆動トルクを乗じることにより駆動パワー要求値Dpを算出する。
一方、減速パワー要求値Bpを算出する場合には、まず、ブレーキ信号Sbからブレーキ踏力を決定し、またはアクセル開度信号Accが示すアクセル開度からアクセル戻し量を決定する。そして、そのブレーキ踏力またはアクセル戻し量を加減速操作量として、加減速操作量とシフト位置信号Psが示すシフト位置とから、予め記憶されている要求減速トルク決定マップを用いて要求減速トルクを設定する。次いで、車速信号SSpが示す車速に基づいて車軸15の回転速度を算出し、その回転速度に上記要求減速トルクを乗じることにより減速パワー要求値Bpを算出する。
目標エンジン動力算出手段242は、上記駆動・減速パワー要求値算出手段240で算出された駆動パワー要求値Dpまたは減速パワー要求値Bp、および電源系との電力授受量EPwから、エンジン4の目標動力を算出する。
上記電力授受量EPwは、電力授受ライン18を流れる電力量であり、電源系が電力を必要とする場合には、モータジェネレータMGによって発電された電力が電源系に供給される一方、アシスト走行の場合には、電源系からモータジェネレータMG1,2へ電力が供給される。
駆動パワー要求値Dpを算出した場合であって電源系へ電力を供給する場合には、エンジン4の動力によって、車軸15に駆動パワー要求値Dpの駆動力を発生させつつ、電源系へ供給する電力を発電するために必要なトルクをモータジェネレータMGにて発生させることができる駆動パワーが、エンジン4の目標動力となる。駆動パワー要求値Dpを算出した場合であってアシスト走行を行なう場合には、機械損失を考慮しつつバッテリ6からの電力によってモータジェネレータMGにてアシストされる動力を駆動パワー要求値Dpから差し引いた値がエンジン4の目標動力となる。減速パワー要求値Bpを算出した場合には、エンジン4の目標動力はゼロとなる。
エンジン指令トルク算出手段244は、目標エンジン動力算出手段242で算出された目標動力をエンジン4が発生させるために必要なエンジン4のトルクを算出する。そして、その算出したトルクの出力を指示するエンジントルク指令信号をエンジンECU26へ送信する。
MG指令トルク算出手段246は、アシスト走行の場合には、駆動・減速パワー要求値算出手段240で算出した駆動パワー要求値Dpと目標エンジン動力算出手段242で算出したエンジン4の目標動力との差に基づいて、モータジェネレータMGで発生させる必要がある力行トルクを算出する。また、車両1が減速を行なう場合、すなわち、減速パワー要求値Bpが算出されている場合には、その減速パワー要求値Bp、ブレーキ踏力および図7に示す関係から、回生トルクを算出する。そして、その算出したトルクの出力を指示するMGトルク指令信号をMGECU20へ送信する。
次に、エンジンECU26の機能を説明する。エンジンECU26は、エンジン回転速度算出手段260と指令トルク実行手段262とを備えている。エンジン回転速度算出手段260は、図示しないエンジン回転速度センサからの信号に基づいて、エンジン4の回転速度を逐次算出する。
指令トルク実行手段262は、エンジン回転速度算出手段260で逐次算出されるエンジン4の回転速度、スロットル開度を取得して、公知の手法によりエンジン4の実際のトルクを推定しつつ、その推定したトルクが、ハイブリッド制御ECU24から送信されたエンジントルク指令信号が示すトルクとなるように、エンジン4を制御する。
次に、MGECU20の機能を説明する。MGECU20は、回転速度・トルク算出手段200と指令トルク実行手段202とを備えている。回転速度・トルク算出手段200は、レゾルバ等の公知の回転速度検出センサからの信号に基づいて、モータジェネレータMG1,2の回転速度を算出するとともに、モータジェネレータMG1,2に流れる電流からモータジェネレータMG1,2のトルクを逐次算出する。
指令トルク実行手段202は、回転速度・トルク算出手段200で逐次算出されるモータジェネレータMG1,2のトルクが、ハイブリッド制御ECU24から送信されたMGトルク指令信号が示すトルクとなるように、モータジェネレータMG1,2を制御する。
次に、バッテリECU22の機能を説明する。バッテリECU22は、蓄電状態算出手段220と充放電可能電力算出手段222とを備えている。蓄電状態算出手段220は、電力授受ライン18を流れる電気量(すなわち充放電量)を積算し、その積算した電気量とバッテリ6の定格容量とから、バッテリ6のSOCを逐次算出する。
充放電可能電力算出手段222は、蓄電状態算出手段220にて逐次算出されるバッテリ6のSOCとバッテリ6の定格容量とから、バッテリ6が充電可能な最大の電力量および放電可能な最大の電力量を逐次算出する。ここで算出した充電可能最大電力量および放電可能最大電力量はハイブリッド制御ECU24へ送信され、エンジン4の目標動力の算出の際等に利用される。
次に、ナビゲーション部30の演算部34が実行する処理を説明する。図3は、その演算部34が実行する処理のメインルーチンを示す図である。なお、この図3に示す処理は所定周期で繰り返し実行する。
まず、ステップS300では、位置検出部42から車両1の現在位置を取得する。続くステップS302では、ステップS300で取得した現在位置よりも車両1の進行方向に位置する学習区間のうち現在位置から最も近い学習区間の学習区間情報を地図記憶部36から抽出する。なお、目的地までの案内経路が設定された状態である場合には、その案内経路上において現在位置よりも目的地側を車両1の進行方向とし、案内経路が設定されていない場合には直進方向を進行方向とする。
続くステップS304では、上記ステップS302で学習区間情報に回収率Krが含まれているか否かを判断することで、回収率Krを学習済みの区間か否かを判断する。この判断が否定判断となる場合にはステップS306へ進み、回収率Krの学習ルーチン(図4)を実行する。ステップS306の実行後は、所定周期の後にこの図3に示すメインルーチンを再度開始する。
前述のステップ304が肯定判断となる場合にはステップS308へ進む。ステップS308では、回生制御方法として、通常の回生制御を行なうか、過去の走行よりも回収率Krを向上させる回生制御を行うかの選択を行なう。この処理は図5を用いて後に詳述する。ステップS308を実行後はステップS310に進む。ステップS310では、ステップS308で選択した側の回生制御を実行する。このステップS310の処理は図6を用いて後に詳述する。ステップS310を実行後は、所定周期の後にこの図3に示すメインルーチンを再度開始する。
次に、図4を用いて、回収率Krの学習ルーチンを説明する。なお、この図4の処理は、車両1が前述のステップS302で学習区間情報を抽出した学習区間に入ったと判断した場合に開始する。
まず、ステップS400では、減速パワー積算値WBpおよび回生パワー積算値WKpの初期化を行なう。この減速パワー積算値WBpとは、減速パワー要求値Bpを学習区間毎に積算したものである。また、回生パワー積算値WKpとは、回生パワー実行値Kpを学習区間毎に積算したものである。
続くステップS402では、車両1の現在位置が学習区間内か否かを判断する。前述のように、図4の処理は車両1が学習区間に入った後に開始するので、このステップS402の判断が否定判断となるのは、車両1が学習区間を全て走行した場合である。ステップS402が否定判断となった場合には、後述するステップS414を実行する。
一方、ステップS402が肯定判断となった場合にはステップS404へ進む。ステップS404では、ハイブリッド制御ECU24の駆動・減速パワー要求値算出手段240において減速パワー要求値Bpが算出されているか否かを判断することにより、車両1が減速している状態にあるか否かを判断する。減速パワー要求値Bpが算出されている場合にはステップS404は肯定判断となり、減速パワー要求値Bpが算出されていない場合にはステップS404は否定判断となる。
ステップS404が否定判断となった場合には前述のステップS402の判断へ戻る。一方、ステップS404が肯定判断となった場合にはステップS406へ進み、ハイブリッド制御ECU24から減速パワー要求値Bpを取得する。また、減速パワー要求値Bpが算出されている場合には、その減速パワー要求値Bpに基づいて車両1の減速が行なわれている状態である。そこで、ステップS408を実行して回生パワー実効値Kpを算出する。この回生パワー実効値Kpの算出に際しては、MGECU20からモータジェネレータMG1,MG2の回転速度およびトルクを取得する。そして、取得した回転速度とトルクとの積に所定の係数をさらに乗じることにより回生パワー実効値Kpを算出する。
続くステップS410では、車両1が走行中の学習区間に対する減速パワー積算値WBpに直前の上記ステップS406で取得した減速パワー要求値Bpを加算することにより、新たな減速パワー積算値WBpを算出する。また、ステップS412では、車両1が走行中の学習区間に対する回生パワー積算値WKpに直前の上記ステップS408で算出した回生パワー実効値Kpを加算することにより、新たな回生パワー積算値WKpを算出する。
上記ステップS412を実行後はステップS402へ戻る。従って、同じ学習区間を走行中は、減速パワー要求値Bpおよび回生パワー実効値Kpが積算されていくことになる。そして、その学習区間を全部走行するとステップS402が否定判断となり、ステップS414へ進むので、減速パワー要求値Bpおよび回生パワー実効値Kpの積算が終了する。
そのステップS414では、直前のステップS412の実行によって算出された回生パワー積算値WKpを、直前のステップS410の実行によって算出された減速パワー積算値WBpで割ることにより回収率Krを算出する。
続くステップS416では、上記ステップS414で算出した回収率Krと最新の減速パワー積算値WBpとを、その回収率Krを算出した学習区間の学習区間情報に追加して記憶させる。
次に、図5を用いて、回生制御方法の選択(図3のS308)の処理内容を詳述する。まず、ステップS500では、地図記憶部36から、次に車両1が走行する学習区間の回収率Krおよび減速パワー積算値WBpを読み出す。そして、続くステップ502では、ステップS500で読み出した回収率Krが閾値TKhよりも低いか否かを判断する。この閾値TKhは下記式1によって得られる値である。
(式1) TKh = Ls×α
上記式1において、Lsは、減速パワー要求値Bpに対応して発生させる全制動力のうち、回生によって発生すべき制動力の配分比の目標値を示す目標配分比である。ここで、図7に示すように、ブレーキ踏力が低いうちは、回生制動力の配分比は高く、全制動力のほとんどを回生制動力によってまかなっている。しかし、ブレーキ踏力が予め設定された所定の踏力Pよりも大きい範囲では回生制動力は一定となり、その結果、ブレーキ踏力が踏力Pよりも大きい範囲では回生制動力の配分比は低くなっている。そこで、本実施形態では、上記目標配分比Lsを図7の踏力Pにおける配分比(=Kp/Tp)としている。なお、回生制動力に上限があるのは、バッテリ6が単位時間当たりに受け入れることができる電力量に上限があり、また、モータジェネレータMGで回生できる回生制動力にも上限があるからである。
また、上記式1においてαは補正係数である。この補正係数αは、道路状況などによって必ずしも理想どおりには減速エネルギを回生によって回収することができないことを考慮したものであり、0<α≦1の範囲で実験に基づいて予め設定される。なお、補正係数αは、学習区間別に異なる値に設定されてもよいし、学習区間によらず同一の値に設定されてもよい。本実施形態では、上記Ls×αによって得られる閾値TKhを回収率Krの目標値(目標回収率)としている。
上記ステップS502が否定判断であった場合にはステップS504に進み、回生制御の方法として通常回生制御を選択する。一方、ステップS502が肯定判断であった場合にはステップS506へ進み、回収率Krを向上させるための減速操作を促す報知を行なうとともに、過去の走行よりも回収率Krを向上させるための回生制御を選択する。
上記ステップS506における報知は案内部40を用いて行なう。前述のように、案内部40は表示装置や音声出力装置であり、いずれか一方または両方を用いて報知を行なう。表示装置で報知を行なう態様としては、たとえば、表示装置に表示されている地図において該当する学習区間を色づけする態様がある。この態様の場合、学習区間を走行する前から報知を行なってもよいし、また、学習区間に入ってから報知を行ってもよい。また、学習区間を走行中、逐次、ブレーキ踏力またはブレーキの踏み量を検出し、それらに応じて「踏み量大」、「踏み量適切」、「踏み量小」の表示を行ってもよい。音声出力装置で報知を行なう態様としては、たとえば、上記学習区間に入ったとき、または、その学習区間を走行中に、「この区間はやさしいブレーキングを心がけましょう」と音声出力する態様がある。
上記ステップS504またはS506の処理を実行後は、図3のステップS310へ進み、回生制御の実行処理を行なう。
次に、図6を用いて、回生制御の実行処理(図3のS310)の内容を詳述する。なお、この処理は、図5のステップS500にて回収率Krを読み出した学習区間に車両1が入った場合に開始する。
図6に示すように、まず、ステップS600では、図6のステップS506を実行して報知を選択したか、あるいは、ステップS604を実行して通常回生制御を選択したかを判断する。この判断が肯定判断であった場合にはステップS602へ進み、否定判断であった場合にはステップS604へ進む。
ステップS602では通常回生制御を実行する。ここでの通常回生制御とは、回生制動と回生制動との間に、バッテリ6のSOCを低下させる目的でのアシスト走行を行なうことなく、減速パワー要求値Bpを検出した場合には、その減速パワー要求値Bpに基づいて定まる配分比にて回生制動を実行する制御である。
上記ステップS602における通常回生制御は、回生制動を行なっていない時間が所定時間継続すると一旦終了し、ステップS606へ進む。ステップS606では、位置検出部42から車両1の現在位置を取得し、その取得した現在位置と地図情報記憶部36に記憶されている道路地図情報とから、車両1が図5のステップS500で回収率Krを読み出した学習区間を走行し終えたか否かを判断する。この判断が否定判断となる場合にはステップS602へ戻り、通常回生制御を実行する。一方、ステップS606が肯定判断となる場合には図6の処理を終了する。
ステップS600が肯定判断となった場合には、ステップS604にて、次の式2が成立するか否かを判断する。
(式2) WBp×η>TBh
この式2において、WBpは学習区間に対して地図記憶部36に記憶されている減速パワー積算値であり、ηは動力である減速パワーを電力へ変換する際の変換効率や弱いブレーキ踏力でも油圧制動に配分される配分比を考慮して予め設定されている係数である。従って、式2の左辺は、減速パワー積算値WBpを算出した時の走行において回収可能であった電力の最大量を示しており、この値を今回の走行で回収可能な電力の最大量(=最大回収電力量)と仮定する。
式2の右辺の閾値TBhは次の式3で表されるものである。
(式3) TBh=(Su−Sn)×Sa
式3において、Suはバッテリ6の上限SOCであり予め記憶されている値である。SnはステップS604を実行した時点でのバッテリ6のSOCであり、バッテリECU22から取得する。Saはバッテリ6の総容量であり、これも予め記憶されている値である。
従って、閾値TBhは、現時点でバッテリ6が受け入れ可能な最大受け入れ電力量を示していることになり、式2は、減速パワー積算値WBpが記憶されている学習区間を今回走行したときに回収が見込める最大回収電力量と、現時点でバッテリ6が受け入れ可能な最大受け入れ電力量とを比較していることになる。
式2の不等式が不成立である場合にはステップS604は否定判断となる。この場合には、通常どおり回生を行なってもバッテリ6のSOCが上限を超えることなく回生した電力を全てバッテリ6に蓄電することができると予想できるので、前述のステップS602へ進み、通常回生制御を実行する。
一方、式2の不等式が成立してステップS604が肯定判断となる場合には、回収が見込める最大回収電力量を全てバッテリ6に蓄電することができないので、アシスト走行を行なってバッテリ6のSOCを適切な値に低下させるために、ステップS608以降を実行する。
ステップS608では、現在のSOCがアシスト許可SOCよりも大きいか否かを判断する。ここで、アシスト許可SOCは下記式4で表される。
(式4) アシスト許可SOC=Su−β(WBp×η/Sa)
式4において、(WBp×η/Sa)は、通常回生制御を行いつつ学習区間を走行した場合に予測されるSOCの上昇分である。また、βは走行のばらつきを考慮して設定される係数であり、0<β≦1の範囲で予め設定される。従って、アシスト許可SOCは、通常回生制御を行いつつ学習区間を走行しても、回生によって得られる電力を全てバッテリ6に蓄電できると判断できるSOCであると言える。なお、式4のアシスト許可SOCの算出において、学習区間のうち既に走行した割合に応じてWBpを低下させてもよい。
そのため、現在のSOCがアシスト許可SOCよりも低く、ステップS608が否定判断となる場合には、ステップS612へ進み通常回生制御を実行する。このステップS612の内容はステップS602と同じである。
一方、上記ステップS608の判断が肯定判断となる場合にはアシスト走行制御を行なう。ステップS608におけるアシスト走行制御は、減速パワー要求値Bpを検出したときはその減速パワー要求値Bpに基づいて定まる配分比にて回生制動を実行し、減速パワー要求値Bpを検出していないときはアシスト走行を実行するという制御を予め設定された時間(あるいは距離)だけ行なう制御である。このステップS610を実行後はステップS614へ進む。
ステップS610またはステップS612を実行後は、ステップS614にて、ステップS606と同様にして、車両1が図5のステップS500で回収率Krを読み出した学習区間を走行し終えたか否かを判断する。この判断が否定判断となる場合には、ステップS608へ戻り、肯定判断となる場合には図6の処理を終了する。
以上、説明した本実施形態によれば、過去の走行において回収率Krが目標回収率を示す閾値TKhよりも低かった学習区間を走行するときに、回収率Krを向上させるための減速操作を促す報知が行なわれる(S506)。その報知により、ドライバは、その学習区間で回収率Krが向上する減速操作を心がけることが期待できる。そのため、減速エネルギの回収率Krの向上および回収率Krの向上による燃費の向上が期待できる。
また、報知を行なうか否かは回収率Krに基づいて決定され、回収率Krは走行によって学習されていくことから、走行を重ねていくうちに、報知を行なうか否かを判断できる区間が増加していく。すなわち、当初の地図情報にない区間であっても走行によって回収率Krを学習することにより報知を行なうか否かを判断できるようになる。この点でも回収率Krを向上させることができる。加えて、回収率Krが閾値TKh以上の学習区間では報知が行なわれないことから、不必要な報知が行なわれることによる煩わしさが減少する。
また、本実施形態では、学習区間において回収が見込める最大回収電力量(=TBh)をバッテリ6が受け入れることができるまで、アシスト走行を行なってバッテリ6のSOCを低下させているので、回生によって生成された電力をバッテリ6が受け入れることができなくなる事態が減少する。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
たとえば、回収率Krを学習していない学習区間を走行する場合に、他車両から該当する学習区間の回収率Krの取得を試み、回収率Krが取得できた場合には、他車両から取得した回収率Krを用いて回生制御方法の選択(S308)を行なってもよい。
また、同じ学習区間を複数回走行したときの回収率Krの平均値を用いて回生制御方法の選択(S308)を行なってもよい。また、同一の車両1でも、ドライバが異なるとブレーキの踏み方が異なることから、ドライバを識別して、ドライバ毎に回収率Krを算出してもよい。
また、回収率Krを、前述の実施形態とは逆に、減速パワー積算値WBpを回生パワー積算値WKpで割ることによって算出してもよい。この場合には、ステップS502における不等号を逆にする。
また、前述の実施形態の車両1は、シリーズパラレル式のハイブリッド車両であったが、その他の形式(シリーズ式、パラレル式)のハイブリッド車両にも本発明は適用できる。また、電気自動車にも本発明は適用できる。
また、図6の処理を学習区間に入る前に開始して、学習区間に入る前にアシスト走行を行って、SOCをアシスト許可SOCまで予め低下させておいてもよい。
ハイブリッド車両1の要部構成を示す図である。 ECU20、22、24、26の機能を示すブロック図である。 図2のナビゲーション部30の演算部34が実行する処理のメインルーチンを示す図である。 図3のステップS306(回収率Krの学習)の内容を詳しく示すフローチャートである。 図3のステップS308(回生制御方法の選択)の内容を詳しく示すフローチャートである。 図3のステップS310(回生制御の実行)の内容を詳しく示すフローチャートである。 ブレーキ踏力と制動力との関係、および、制動力に対する回生制動力と油圧制動力との配分比を概略的に示す図である。
符号の説明
1:ハイブリッド車両、 4:エンジン、 6:バッテリ(蓄電装置)、 8:第1インバータ、 10:第2インバータ、 12:遊星歯車装置、 13:減速機、 14:デファレンシャルギア、 15:車軸、 16:電気負荷、 18:電力授受ライン、 19:系内電力供給ライン、 20:MGECU、 22:バッテリECU、 24:ハイブリッド制御ECU、 26:エンジンECU、 28:電力検出部、 30:ナビゲーション部、 32:走行測定部、 34:演算部、 36:地図記憶部、 40:案内部、 42:位置検出部

Claims (2)

  1. 回生制動によって電力を生成する回生機構と、その回生機構によって生成された電力を蓄電する蓄電装置とを備えた車両に用いられる運転支援装置であって、
    ドライバの加減速操作量に基づいて車両の減速パワー要求値を逐次算出する減速パワー要求値算出手段と、
    回生制動によって前記回生機構に生じる動力を示す回生パワー実効値を逐次算出する回生パワー実効値算出手段と、
    前記減速パワー要求値と前記回生パワー実効値とに基づいて、予め定められた学習区間別に減速エネルギの回収率を算出する回収率算出手段と、
    その算出された回収率が予め設定された目標回収率よりも低かった学習区間を走行する場合に、回収率を向上させるための減速操作を促す報知をドライバに対して行なう報知手段と
    を含むことを特徴とする運転支援装置。
  2. 請求項1の運転支援装置において、
    前記回生機構および蓄電装置に加えて、車両の駆動軸を駆動するための動力発生源として内燃機関と前記蓄電装置からの電力で回転する回転電機とを備えた車両に用いられ、
    前記減速パワー要求値算出手段で算出された減速パワー要求値を学習区間毎に積算することによって、学習区間の減速パワー積算値を算出する減速パワー積算値算出手段と、
    その減速パワー積算値に基づいて、学習区間において回収が見込める最大回収電力量を算出する回収見込み電力量算出手段と、
    前記蓄電装置の蓄電容量に基づいて、蓄電装置が受け入れ可能な最大受け入れ電力量を算出する受け入れ電力量算出手段とを備え、
    前記回収見込み電力量算出手段で算出された最大回収電力量と、前記受け入れ電力量算出手段で算出された最大受け入れ電力量とを比較して、最大回収電力量の方が多い場合に、最大受け入れ電力量が最大回収電力量以上になるまで前記回転電機を用いて前記駆動軸を駆動させる走行を行なうことを特徴とする運転支援装置。
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