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JP2009164117A - 有機elデバイスおよびその製造方法 - Google Patents

有機elデバイスおよびその製造方法 Download PDF

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Koichi Hashimoto
孝一 橋本
Ryohei Makino
亮平 牧野
Yukinori Kawamura
幸則 河村
Goji Kawaguchi
剛司 川口
Yutaka Terao
豊 寺尾
Naoyuki Kanai
直之 金井
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Abstract

【課題】色変換層形成時に伴う種々の問題を解決することで、高歩留まり、高品質、低コストで製造可能なトップエミッション型の有機ELデバイスを製造する。
【解決手段】素子基板、第1電極、有機EL層、および第2電極を備える素子基板部を作製し、第1の色変換層を上記素子基板部側の一つの画素領域に形成し、封止基板を備える封止基板部を作製し、第2の色変換層を上記封止基板部側の他の画素領域に形成し、上記第1の色変換層を形成した素子基板部と上記第2の色変換層を形成した封止基板部を貼り合わせる。
【選択図】図2

Description

本発明はトップエミッション型の有機ELデバイスを製造する方法に関する。より詳しくは、本発明は、高歩留まり、高品質、低コストで製造可能なトップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法に関する。また、本発明は、トップエミッション型の有機ELデバイスに関する。
表示装置に適用される発光素子の一例として、有機化合物の薄膜積層構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子とも称する)が知られている。有機EL素子は、薄膜の自発光型素子であり、低駆動電圧、高解像度、高視野角といった優れた特徴を有することから、それらの実用化に向けて様々な検討がなされている。
有機EL素子の構造としては、陽極を形成したガラス基板の上に、ホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等が順次形成され、さらに、電子注入層上に陰極が形成された構造が代表的なものである。
多色表示の有機ELデバイスを実現する方法の一つとして、色変換方式が知られている。色変換方式は、一般に、有機EL素子から発せられた光を色変換層およびカラーフィルター層に順次通して、所望の波長を有する光を外部に放出するものである。ここで、色変換層は、有機EL素子(光源)から発せられた近紫外領域ないし可視領域の光を吸収して波長分布変換を行い、異なる波長の光を含む可視光を放射する機能を有する。また、カラーフィルター層は、色変換層を通った可視光の色純度の向上を、特定波長の遮断によって行なう機能を有する。
色変換層およびカラーフィルター層を備える有機ELデバイスに関し、多色発光を実現する例としては、以下の技術が開示されている。
例えば、特許文献1には、透明基板と、顔料および/または有機染料を蒸着して形成したカラーフィルター層と、所定の波長の光に変換する蛍光変換層(上記色変換層に相当)と、少なくとも一方が透明な2つの電極の間に、少なくとも一層の有機発光層を含む、独立して制御可能な複数の有機EL素子とを有する有機ELデバイスが開示されている。この技術において、蛍光変換層(色変換層)は、短波長の光を吸収して長波長の光に変換する、少なくとも1種の色変換物質を含む層である。また、蛍光変換層(色変換層)の形成方法として、樹脂に色変換物質を分散させた液を塗布する方法、および色変換物質を蒸着法もしくはスパッタ法等のドライプロセスにより堆積させる方法が開示されている(特許文献1〜3を参照)。
このような有機ELデバイスを用いて高精細な多色表示を実現するに際し、ディスプレイの構成要素である色変換層に着目した場合、光の吸光度を増加させ、高い変換光強度を得るには、一般に、色変換層中の色変換物質の濃度を高くすることが有利である。
しかしながら、色変換物質の濃度を高くすると、有機EL素子から発せられた光による吸収エネルギーが、色変換物質内の同一分子間において移動を繰り返し、発光を伴わずに色変換物質分子が失活する。この現象は濃度消光と呼ばれ、これを抑制するには何らかの媒体中に色変換物質を溶解または分散させてその濃度を低下させることが肝要である(特許文献3を参照)。
一方、色変換物質の濃度を低下させると、吸収すべき光の吸光度が減少し、十分な変換光強度が得られない。この問題に関して、色変換層の膜厚を厚くして吸光度を高め、色変換の効率を維持することが行われている。このように厚い色変換層(膜厚10μm程度)を用いた場合、段差部での電極パターン断線の発生、高精細化の困難さ、色変換層中への水分または溶媒の残留(有機EL素子と組み合わせた場合に、残留水分または溶媒により有機EL層が変質し、表示欠陥となる)などの問題点が存在する。加えて、視野角依存性を減少させるという観点からも、色変換層の膜厚を増大することは好ましくない。
この矛盾する要求に対して、特許文献1には、膜厚を増大させることなしに十分な変換光強度が得られる色変換層を提供する技術として、2000nm以下の膜厚を有するホスト−ゲスト系色変換層を蒸着法によって形成する技術が開示されている。
このような蒸着法により色変換層を形成する場合には、下地層の全面に色変換層を形成するため、3原色(赤色、緑色、および青色)の発光する領域の分離ができない。このため、何らかの手段によって、特定の原色に対応した微細パターンの形成が必要となる。蒸着法によりパターン状の薄膜を形成する方法として、例えば、メタルマスクによる塗分け法が開示されている。
また、色変換層を形成する方法としては、蒸着法とは異なるインクジェット法を用いる技術も開示されている(特許文献4〜7を参照)。
特開2002−75643号公報 特開2003−217859号公報 特開2000−230172号公報 特開2004−253179号公報 特開2006−73450号公報 特開2006−32010号公報 特開2003−229261号公報
ここで、図1に示すように、従来の有機ELデバイスの製造方法では、複数(2種類)の色変換層28R、28Gをともに、素子基板部側(または封止基板部側)に形成する。したがって、メタルマスクを用いる蒸着法によって色変換層を形成する場合には、メタルマスクで塗り分ける数が複数回(2回)必要となる。蒸着時にメタルマスクを基板に密着ないし近接させる際に基板にパーティクルが付着して品質および歩留まりの低下が起こるため、メタルマスクで塗り分ける回数が増えると品質および歩留まりが低下する傾向にある。また、複数の色変換層がともに、素子基板部側に設けられていると、色変換物質がメタルマスクの背後に回り込む可能性があり、塗り分けが十分でなくなる。その結果、高精細ないし大面積の有機ELデバイスを作製することが困難であった。
一方、インクジェット法で素子基板部側に2種類の色変換層を形成する場合にも、付着される液滴が所望されない領域まで広がる可能性があり、必ずしも塗り分けを十分に行うことはできない。また、3原色のうち、緑色の色変換層を形成する際に用いる緑色変換材料の多くは、溶剤可溶性と粘度に関して満足する物性が得られておらず、適当な材料を入手しにくいという問題もあった。
本発明は、上記の色変換層形成時に伴う種々の問題を解決することで、高歩留まり、高品質、低コストで製造可能なトップエミッション型の有機ELデバイスを製造することを目的とする。
本発明は、3種類以上の画素領域に区分されたトップエミッション型の有機ELデバイスを製造するにあたり、素子基板、第1電極、有機EL層、および第2電極を備える素子基板部を作製する工程(以下、「第1工程」と称する場合がある)と、第1の色変換層を上記素子基板部側の一つの画素領域に形成する工程(以下、「第2工程」と称する場合がある)と、封止基板を備える封止基板部を作製する工程(以下、「第3工程」と称する場合がある)と、第2の色変換層を上記封止基板部側の他の画素領域に形成する工程(以下、「第4工程」と称する場合がある)と、上記第1の色変換層を形成した素子基板部と上記第2の色変換層を形成した封止基板部を貼り合わせる工程(以下、「第5工程」と称する場合がある)とを含むトップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法に関する。本発明のトップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法は、各種有機ELデバイスを含む表示装置に適用することができる。
また、当該製造方法は、上記第1工程において、上記素子基板上に第1隔壁構造体をさらに形成するとともに、上記第3工程において、上記封止基板上に第2隔壁構造体をさらに形成し、上記第5工程において、上記第1隔壁構造体と上記第2隔壁構造体を、互い違いに配置させることもできる。
ここで、上記第3工程において、上記封止基板上に第1スペーサをさらに形成し、上記第5工程において、上記第1隔壁構造体と上記第1スペーサとを対向配置させることが望ましい。さらに、上記第1工程において、上記素子基板上に第2スペーサをさらに形成し、上記第5工程において、上記第2隔壁構造体と上記第2スペーサとを対向配置させることも望ましい。これに対して、上記第3工程において、上記第2隔壁構造体上にスペーサをさらに形成することも望ましい。
このような製造方法においては、上記第1および第2の色変換層を、それぞれ、蒸着法、レーザーアブレーション法、インクジェット法、オフセット印刷法、ナノインプリント法、スクリーン印刷法、フレキソグラフィー法、グラビア印刷法、またはスピンコート法で形成することができる。
また、上記第1および第2の色変換層の一方を、蒸着法またはレーザーアブレーション法で形成し、他方を、インクジェット法、オフセット印刷法、ナノインプリント法、スクリーン印刷法、フレキソグラフィー法、グラビア印刷法、またはスピンコート法で形成することもできる。特に、上記素子基板上および上記封止基板上に、第1隔壁構造体および第2隔壁構造体を形成する場合には、上記第1および第2の色変換層を、インクジェット法で形成することが望ましい。
かかる製造方法においては、上記第1および第2の色変換層の一方を赤色色変換層として、他方を緑色色変換層とすることができる。この場合、上記緑色色変換層を、蒸着法またはレーザーアブレーション法で形成することができる。
上記素子基板部において、第1の色変換層をパッシベーション層で封止することができる。これに対して、上記素子基板部において、第2電極をパッシベーション層で封止することもできる。
上記封止基板部において、上記封止基板上の表示領域にカラーフィルター層を形成することができる。
上記素子基板部と上記封止基板部との貼り合せ時に、両基板部の間に形成された空間に、不活性ガスまたは樹脂を充填することが望ましい。
上記素子基板部の素子基板上に、薄膜トランジスタ(TFT)を含むスイッチング素子を形成することができる。これに対して、上記素子基板部のストライプ状の第1電極とそれと直交するストライプ状の第2電極とを交差させることもできる。
次に、本発明は、上記の方法により製造された、トップエミッション型の有機ELデバイスを包含する。
さらに、本発明は、素子基板、第1電極、有機EL層、および第2電極が設けられている素子基板部と、封止基板を含む封止基板部とを備えるとともに、第1および第2の色変換層、並びにパッシベーション層を含み、3種類以上の画素領域に区分され、上記第1の色変換層が上記素子基板部側の一つの画素領域に形成されており、上記第2の色変換層が上記封止基板部側の他の画素領域に形成されており、上記パッシベーション層が上記第1の色変換層および素子基板部を覆うように、かつ、第2の色変換層に対向するように存在しているトップエミッション型の有機ELデバイスを包含する。
また、本発明は、素子基板、第1電極、第1隔壁構造体、有機EL層、第2電極、およびパッシベーション層が設けられている素子基板部と、封止基板および第2隔壁構造体を含む封止基板部とを備えるとともに、第1および第2の色変換層を含み、3種類以上の画素領域に区分され、上記第1の色変換層が上記素子基板部側の一つの画素領域に形成されており、上記第2の色変換層が上記封止基板部側の他の画素領域に形成されており、上記パッシベーション層が上記素子基板部を覆うように、かつ、第2の色変換層に対向するように存在しているトップエミッション型の有機ELデバイスを包含する。
本発明の方法を用いることによって、高歩留まり、高品質、低コストでトップエミッション型の有機ELデバイスを製造することが可能である。
本発明は、トップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法、および該製造方法により得られた有機ELデバイスに関する。
以下に、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の一例であって、当業者であれば、適宜設計変更が可能である。
<1.有機ELデバイス(タイプ1)の製造方法>
先ず、本発明の第1の実施形態であるトップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法(タイプ1)について説明する。
図2は、本発明のトップエミッション型の有機ELデバイス(タイプ1)の製造方法の説明図である。本例の有機ELデバイスの製造方法は、1)素子基板部を作製する工程(図2(a))と、2)第1の色変換層を素子基板部側の一つの画素領域に形成する工程(図2(b))と、3)封止基板部を作製する工程(図2(d))と、4)第2の色変換層を封止基板部側の他の画素領域に形成する工程(図2(e))と、5)第1の色変換層を形成した素子基板部と第2の色変換層を形成した封止基板部を貼り合わせる工程(図2(f))とを含む。
上記1)の工程は、図2(a)に示すように、素子基板21上にスイッチング素子としての薄膜トランジスタ22(以下、TFTとも称する)のアレイを所望の形状に形成し、配線電極24をパターニング成膜した後に、絶縁層23を形成し、次いで、第1電極25を成膜し、パターニングし、その後、有機EL層26、第2電極27等を積層し、有機EL素子(本例では、第1電極25、有機EL層26、および第2電極27を含む)を形成する工程である。なお、この工程中、TFT22、配線電極24、絶縁層23を順次形成せずに、素子基板21上にTFT22を形成し、その上に絶縁層23を形成し、この絶縁層23に開口部(コンタクトホール)を設け、配線電極24を形成してもよい。この場合には、第1電極25と配線電極24は、絶縁層23のコンタクトホールを介して接続されている。
上記2)の工程は、図2(b)に示すように、上記1)の工程で形成した第2電極の一つの画素領域上に、蒸着法、インクジェット法などの従来の方法により第1の色変換層28を形成する工程である。
なお、必要に応じて、パッシベーション層29を形成する工程を、上記2)の工程の後に設けても良い。この場合、パッシベーション層29は、図2(c)に示すように、第1の色変換層28を形成した素子基板部を覆うようにして形成される。
上記3)の工程は、図2(d)に示すように、封止基板31上に、必要に応じてカラーフィルター層33、ブラックマトリクス32をパターン形成する工程である。
上記4)の工程は、図2(e)に示すように、蒸着法、インクジェット法などの従来の方法により第2色変換層34を、封止基板31上の一つの画素領域に形成する工程である。ここで、第2の色変換層34が形成される画素領域は、第1の色変換層28を形成した画素領域と異なる。例えば、第1の色変換層28を、一つの画素領域(緑色の発光部)に形成した場合には、第2の色変換層34は、他の画素領域(赤色の発光部)に形成する。
上記5)の工程は、図2(f)に示すように、上記第1の色変換層28を形成した素子基板部と、上記第2の色変換層34を形成した封止基板部とを位置決めして貼り合わせて、所望の有機ELデバイスを作製する工程である。
本発明の有機ELデバイスの製造方法は、素子基板部側と封止基板部側のそれぞれに、色変換層を形成することに特徴を有する。これにより、蒸着法、インクジェット法を始めとする従来の色変換層形成プロセスを、基板ごとに適宜使い分けることができ、高歩留まり、高品質、低コストでトップエミッション型の有機ELデバイスを製造することが可能となる。
また、上記1)〜5)の工程は、適宜入れ替えることができる。すなわち、3)および4)の工程の後に、1)および2)の工程を実施してもよい。あるいは、1)および2)の工程と、3)および4)の工程を並行して実施してもよい。
なお、本明細書において「画素」とは、複数の発光部のうちの1つの発光部を意味する。例えば、複数の発光部がR(赤)G(緑)B(青)の3色の場合には、「画素」とは、R(赤)、G(緑)、B(青)のいずれかの発光部分を意味する。
以下に、図2を参照しながら、上記1)〜5)の各工程について詳細に説明する。
[1−1.素子基板部を作製する工程(図2(a))]
素子基板部を作製する工程は、素子基板21上への薄膜トランジスタ22、配線電極24および絶縁層23の形成工程、および有機EL素子(第1電極25、有機EL層26、および第2電極27)の形成工程を含む。以下に、図2(a)を参照してこれらの工程について説明する。
(1−1−1.素子基板上へのTFT、配線電極および絶縁層の形成工程)
素子基板21上に、TFT22をマトリックス状に形成し、このTFT22上に配線電極24をパターニング成膜して、絶縁層23を形成する。なお、この形成方法に代えて、素子基板21上にTFT22を形成し、その上に絶縁層23を形成し、この絶縁層23に開口部(コンタクトホール)を設け、配線電極24を形成してもよい。後者の場合には、第1電極25と配線電極24は、絶縁層23のコンタクトホールを介して接続されている。
各TFT22、配線電極24、および絶縁層23は、当該技術分野において知られている手法を用いて形成することができる。例えば、蒸着法、スピンコート法などの被覆方法、フォトリソグラフ法などによるパターニングを適宜組み合わせて形成することができる。
なお、TFT22のソース電極は、各画素に対応した第1電極(陽極)25に接続されるように形成する。
以下に本工程で用いる材料等を説明する。
素子基板21
素子基板21は、封止基板側から光を取り出すために、必ずしも透明でなくてもよい。例えば、Al等の金属材料や、ガラス、石英などの非晶質基板や樹脂等の透明ないし半透明材料、あるいはSi、GaAsなどの結晶性基板のように不透明な材料であってもよい。また、ガラス等のほか、アルミナ等のセラミックス、ステンレス等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したもの、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂などを用いてもよい。
TFT22
TFT22は、ゲート電極をゲート絶縁膜の下に設けたボトムゲートタイプで、能動層として多結晶シリコン膜を用いた構造であり、従来の多結晶シリコンTFTを用いることができる。
なお、TFT22は、有機EL構造体の各画素の端部に設けられ、その大きさは10〜30μm程度であることが好ましい。なお、画素の大きさは20μm×20μmないし300μm×300μm程度であることが好ましい。
配線電極24
素子基板21上には、TFT22の配線電極24が設けられる。配線電極は抵抗が低いことが好ましい。配線電極は、Al、Alおよび遷移金属(ただしTiを除く)、Tiまたは窒化チタン(TiN)のいずれか1種または2種以上を含有し、これらを単独で用いた場合、それぞれ配線電極中に少なくとも、Alは90〜100at%、Tiは90〜100at%、TiNは90〜100mol%程度含有されていることが好ましい。また、2種以上用いるときの混合比は任意であるが、AlとTiの混合では、Tiの含有量は10at%以下が好ましい。また、これらを単独で含有する層を積層してもよい。
配線電極24としては、Al、Alおよび遷移金属が、特に好ましい。TiNは、その化学量論組成から10%程度偏倚していてもよい。さらに、Alおよび遷移金属の合金は、遷移金属、特にSc、Nb、Zr、Hf、Nd、Ta、Cu、Si、Cr、Mo、Mn、Ni、Pd、PtおよびW等を、好ましくはこれらの総計が10at%以下、さらに好ましくは5at%以下、特に好ましくは2at%以下含有していてもよい。遷移金属の含有量が少ないほど、配線材として機能させた場合の薄膜抵抗は下げられる。
配線電極の厚さは、50nm以上、好ましくは100nm以上、特に100〜500nmが好ましい。有機EL素子の第1電極(陽極)とTFTの配線電極とを併せた全体の厚さは、特に制限しないが、通常100〜1000nm程度である。
絶縁層23
絶縁層23は、酸化ケイ素、窒化ケイ素などの無機系材料をスパッタや真空蒸着で成膜したもの、SOG(スピン・オン・グラス)で形成した酸化ケイ素層、フォトレジスト、ポリイミド、アクリル樹脂などの樹脂系材料の塗膜など、絶縁性を有するものであればいずれであってもよい。絶縁層の下側には配線電極等が存在するので、絶縁層をパターニングする際にこれらにダメージを与えないようなパターニングが可能な材料を用いることが好ましい。また、絶縁層23は、配線電極24を水分や腐食から守る耐食・耐水膜の役割も果たすため、これらの諸要求を満たす材料として、ポリイミドが好ましい。
絶縁層23の厚さは特に限定されず、必要な絶縁性が得られるように材料に応じて適宜決定すればよいが、無機系材料を用いる場合には製造コストの面から薄いほうが好ましい。
(1−1−2.有機EL素子の形成工程)
有機EL素子には、第1電極25、有機EL層26、第2電極27が含まれる。以下に、これらの形成について説明する。
第1電極25(陽極)
第1電極(陽極)25は、例えば、メタル電極を配線電極24上に形成し、次いで、その上部表面に透明酸化物を形成することで得られる。
メタル電極および透明酸化物の成膜方法は、蒸着法、スパッタリング法などの成膜方法、およびフォトリソグラフ法などによるパターニングを適宜組み合わせて形成してもよい。
なお、第1電極25は、TFT22上に形成された絶縁層23を通して設けられた配線電極24に接続される。通常、第1電極(陽極)25は有機EL層26に正孔を注入するための電極である。
以下に第1電極を構成する材料等について説明する。
第1電極25の構成要素である透明酸化物には、透明で仕事関数が高い酸化物が用いられる。特に制限されないが、ITO(錫ドープ酸化インジウム)、IZO(亜鉛ドープ酸化インジウム)、ZnO、SnO2、In23等が好ましい。特に好ましくは、ITOおよびIZOである。この透明酸化物の層は、有機EL層に対する正孔注入効率を向上させる役割も担う。また、メタル電極表面の凹凸によってもたらされる、有機EL層の下地のモフォロジーの荒れを緩和する平坦化の役割も果たし得る。
第1電極25は、上記の透明酸化物の下地に反射率の高いメタル電極を形成しておき、高い光反射性を有する電極としておくことが好ましい。また、メタル電極に電気抵抗低減の役割を持たせてもよい。このメタル電極は、高反射率の金属、アモルファス合金、微結晶性合金を用いて形成されることが好ましい。高反射率の金属は、Al、Ag、Mo、W、Ni、Crなどを含む。高反射率のアモルファス合金は、NiP、NiB、CrPおよびCrBなどを含む。高反射率の微結晶性合金は、NiAlなどを含む。
有機EL層26
有機EL層26を構成する各層は、蒸着法(抵抗加熱または電子ビーム)などの当技術分野において公知の任意の手法を用いて形成することができる。
有機EL層26の各層形成の真空蒸着の条件は特に限定されないが、10-4Pa以下の真空度とすることが好ましい。また、分解・重合等の材料の変質・劣化を防ぐため、蒸着速度は0.1〜10Å/sec程度とすることが好ましい。また、真空中で連続して各層を形成することが好ましい。真空中で連続して形成すれば、各層の界面に不純物が吸着することを防げるため、高特性が得られる。また、素子の駆動電圧を低くしたり、ダークスポットの成長・発生を抑えたりすることもできる。
これら各層の形成に真空蒸着法を用いる際、1層に複数の化合物を含有させる場合には、化合物を入れた各蒸発源を個別に温度制御して共蒸着することが好ましい。
以下に有機EL層26を構成する各層について説明する。
有機EL層26は、第1電極(陽極)25と第2電極(陰極)27に挟持され、少なくとも有機EL発光層を含み、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層等を含む。例えば、下記のような層構成からなるものが採用される。ただし、必ずしも層構成はこれに限定されるものではない。
(1)有機EL発光層
(2)正孔注入層/有機EL発光層
(3)有機EL発光層/電子注入層
(4)正孔注入層/有機EL発光層/電子注入層
(5)正孔注入層/正孔輸送層/有機EL発光層/電子注入層
(上記の構成において、陽極として機能する電極が左側に接続され、陰極として機能する電極が右側に接続される)
以下に有機EL層26を構成する各層の材料について説明する。
有機EL発光層の材料としては、所望の色調に応じて選択することが可能であり、例えば、青色から青緑色の発光を得るためには、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系等の蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などが好ましい。あるいは、また、前述の材料をホスト材料として用い、これにドーパントを添加することによって有機発光層を形成してもよい。ドーパントとして用いることができる材料としては、たとえばレーザ色素としての使用が知られているペリレン(青色)などを用いることができる。
電子注入層の材料としては、Alq3のようなアルミニウム錯体、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属をドープしたアルミニウム錯体、あるいはアルカリ金属ないしアルカリ土類金属を添加したバソフェナントロリンなどを用いることができる。
正孔注入層の材料としては、フタロシアニン(Pc)類(銅フタロシアニン(CuPc)などを含む)またはインダンスレン系化合物などを用いることができる。
正孔輸送層の材料としては、トリアリールアミン部分構造、カルバゾール部分構造、オキサジアゾール部分構造を有する材料(たとえばTPD、α−NPD、PBD、m−MTDATAなど)を用いることができる。
第2電極27(陰極)
有機EL層26上に形成する第2電極27は、例えば、蒸着法、スパッタリング法などの成膜方法を用いて、バッファ層を成膜し、その上に金属酸化物を成膜することにより形成してもよい。
以下に第2電極を構成する材料等について説明する。
バッファ層は、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属、またはこれらのフッ化物等からなる電子注入性の金属やその他の金属との合金や化合物から構成されることが好ましい。電子注入性の向上のためには、上記のような仕事関数が小さい材料が好ましい。バッファ層の膜厚は、駆動電圧および透明性等を考慮して適宜選択することができるが、10nm以下であることが好ましい。
バッファ層は陰極から有機EL層への電子注入効率を向上させる目的のほか、ITOやIZOなどの透明導電膜をスパッタ法で形成する際にもたらされる種々のダメージから有機EL層を保護する。
金属酸化物は、ITOまたはIZO等の透明導電膜を形成するのに従来用いられているものが好ましい。
本発明の実施形態であるトップエミッション型の色変換構造では、上記の層構成において、第2電極(陰極)27は、有機EL発光層の発する光の波長域において透明(透過率は好ましくは50%以上)であることが必要であり、この第2電極27を介して発光する光を外部へ取り出す。
以上の説明において、第1電極25を陽極、第2電極27を陰極としたが、用いるTFTの極性に応じて、第1電極25を陰極、第2電極27を陽極として、陽極から光を取り出すこともできる。
また有機EL素子は、好ましくは、発光色が青色ないし青緑色で、発光の極大波長は400〜550nm程度の範囲内である。なお、発光ピークは2つ以上であってもよい。
なお、本発明の有機EL素子は、通常、直流駆動型のEL素子として用いられるが、交流駆動またはパルス駆動とすることもできる。印加電圧は、通常、5〜20V程度である。
本発明の有機ELデバイスは、制限するわけではないが、青色、緑色、および赤色の3色の発光部を有することが好ましい。青色発光部は、例えば、青色ないし青緑色発光の有機EL素子と、青色透過層との組み合わせにより得られる。緑色発光部は、青色ないし青緑色発光の有機EL素子と、この有機EL素子の青色ないし青緑色発光を緑色に近い波長に変換する緑色色変換層により得ることができる。赤色発光部は、青色ないし青緑色発光の有機EL素子と、この有機EL素子の青色ないし青緑色発光を赤色に近い波長に変換する赤色色変換層により得ることができる。つまり、有機EL素子の発する青色ないし青緑色発光で不足する緑色領域および赤色領域の波長の光を緑色色変換層および赤色色変換層で補うことにより、単一発光色の有機EL素子のみで、カラーディスプレイパネルを得ることができる。
[1−2.第1の色変換層の素子基板部側の一つの画素領域への形成工程(図2(b)]
次に、図2(b)に示す通り、第1の色変換層28を、上記1)の工程で作製した素子基板部の一つの画素領域に形成する。
第1の色変換層を各画素領域に形成した状態をより詳細に示したものが図3である。
図3は、青色ないし青緑色領域の光を発する有機EL素子を発光源として用いる場合を例にとり、第1の色変換層28を緑色の画素領域に形成した場合(図3(a))、または赤色の画素領域に形成した場合(図3(b))を示している。ここで、緑色の画素領域に形成される緑色色変換層は、有機EL素子からの青色ないし青緑色領域の光を吸収して、波長変換により緑色光を放出する。一方、赤色色変換層は、有機EL素子からの青色ないし青緑色領域の光を吸収して、波長変換により赤色光を放出する。
図3では、第1の色変換層が緑色または赤色の場合を示しているが、本発明はこれに限定されるわけではない。赤色または緑色以外の色変換層を形成する場合には、所望の色の発光を得るために必要な色変換層の材料を適宜選択して、下記に説明する色変換層の形成方法に適用すればよい。
第1の色変換層28の形成は、当技術分野において用いられている方法、例えば、蒸着法、レーザーアブレーション法、インクジェット法、オフセット印刷法、ナノインプリント法、スクリーン印刷法、フレキソグラフィー法、グラビア印刷法、スピンコート法を用いることができる。
これらの方法の中で、蒸着法およびインクジェット法を用いて赤色または緑色の第1の色変換層28を形成する場合について以下に説明する。なお、その他のレーザーアブレーション法、オフセット印刷法、ナノインプリント法、スクリーン印刷法、フレキソグラフィー法、グラビア印刷法、スピンコート法を用いて第1の色変換層28を形成する場合は、各方法に関して当技術分野で通常適用されている手法を適宜参照することができる。
(1−2−1.蒸着法)
緑色色変換層を形成する場合には、有機EL素子、第2電極27等が積層された素子基板21を、真空容器内に搬送し、保持する。次いで、緑色色変換層の材料を蒸着装置内の坩堝に入れて加熱し、メタルマスクによるパターニングにより、緑色色変換層を第2電極27上の緑色の画素領域に形成する。パターニングのために用いるメタルマスクは、蒸着膜が緑色の画素に対応する領域にのみ形成されるような開口部パターンを有する形状のものを用いる(図3(a))。
これに対し、赤色色変換層を形成する場合には、有機EL素子、第2電極27等が形成された素子基板21を、真空容器内に搬送し、保持する。次いで、赤色色変換層の材料を蒸着装置内の坩堝に入れて加熱し、メタルマスクによるパターニングにより、赤色色変換層を第2電極27上の赤色の画素領域に形成する。パターニングのために用いるメタルマスクは、蒸着膜が赤色の画素に対応する領域にのみ形成されるような開口部パターンを有する形状のものを用いる(図3(b))。
以下に、蒸着法を採用する場合の、色変換層の製造条件等を説明する。
蒸着原料である色変換色素を蒸着させる際には、蒸着原料を坩堝に入れて真空中で加熱、蒸発させる。坩堝材質としては、例えば、モリブデン、タングステン、チタン、クロム、鉄、ニッケル、銅などの金属類およびそれらを含む合金類、あるいは石英ガラス、窒化硼素、アルミナ、チタニアなどのセラミックや金属酸化物、金属窒化物などを利用できる。
蒸発させるための加熱方法としては、電熱線による抵抗加熱方式や電子ビーム加熱方式などを利用できる。蒸着原料の加熱温度は、120℃以上、450℃以下が好ましい。蒸着に適する温度は、蒸着原料の種類により異なるため、実用的な時間内で蒸着が可能な蒸発レートが得られ、かつ、熱分解が生じることのない範囲の温度になるように、蒸着原料ごとに温度、蒸発レートを設定することが望ましい。多くの有機材料系原料では、蒸着温度を120℃未満とした場合には蒸発に時間が掛かり過ぎ、実用的でない。一方、450℃を越える場合には、多くの有機材料系原料で熱分解が生じるおそれが大きい。なお、これよりも低い温度で熱分解が生じる材料も多く存在するため、熱分解が生じることのない温度の範囲を別途調べておくことが望ましい。
色変換色素蒸着時の真空蒸着装置内の圧力は、5×10-4Pa以下、好ましくは1×10-5Pa以下に制御される。
第1の色変換層28の蒸着時の素子基板の温度は、本発明の有機ELデバイスに使用される材料によって適宜決定されるが、材料の性質と製造工程の制約上、ベース基板を冷却することによって50℃以下に保つのが好適である。
蒸着させる色変換色素は1種であっても、複数種であってもよい。複数種の場合には、複数種の蒸着材料を所定の比率で混合した予備混合物を予め形成し、その予備混合物を用いて共蒸着を行ってもよい。あるいはまた、複数種の蒸着材料を別個の加熱部位に配置し、それぞれを別個に加熱して共蒸着を行ってもよい。特に、複数種の蒸着材料の間に特性(蒸着速度、蒸気圧など)の大きな差が存在する場合、後者の方法が有効である。また、後者のように材料毎に坩堝に入れ、各蒸発源の温度制御を行うことにより、蒸着材料薄膜の組成比率を高精度に調合できる。
第1の色変換層28の膜厚は、含有させる色変換色素の種類と量によって変動するため、一義的に設定できないが、例えば、50nm〜2μm、より好ましくは150〜600nmの範囲内とすることができる。
以下に色変換層の材料等を説明する。
本明細書において、第1の色変換色素は、光源(例えば、青色ないし青緑色)の光を吸収し、所望の波長域の光(例えば、緑色または赤色)を放射する色素であれば特に限定されない。
赤色領域の光を放射する色素としては、例えば、DCM−1(I)、DCM−2(II)、DCJTB(III)、4,4−ジフルオロ−1,3,5,7−テトラフェニル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(IV)、ナイルレッド(V)、プロパンジニトリルなどの赤色発光材料用の色素、赤色光を放射するローダミン系色素、シアニン系色素、ピリジン系色素、オキサジン系色素などが挙げられる。
Figure 2009164117
緑色領域の光を放射する色素としては、例えば、緑色光を放射するクマリン系色素、ナフタルイミド系色素などが挙げられる。
また、蒸着した色変換色素の発光特性などの第1の色変換層の特性を向上させるために、色変換色素と共に他の材料を共蒸着してもよい。色変換色素と共に共蒸着できる材料としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)またはトリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(Almq3)のようなアルミニウム錯体、4,4´−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)、2,5−ビス(5−tert−ブチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェンなどの材料を挙げることができる。
第1の色変換層28の膜厚は、後述の色変換色素の濃度消光の影響を抑えうる濃度で、十分にEL光を吸収できる量の色素を色変換膜に含有させられるように決定されるため、色変換色素として用いる色素の濃度消光の起こし易さとモル吸光係数によって、設定すべき膜厚は異なってくる。
すなわち、色変換層中の色変換色素の濃度が高くなると、吸収したエネルギーが同一分子間の移動を繰り返すうちに発光を伴わずに失活する、濃度消光と呼ばれる現象が発生する。この現象を抑制するために、色変換色素を何らかの媒体中に溶解または分散させて濃度を低下させることが必要である。
しかしながら、色変換色素の濃度を低下させると、吸収すべき光の吸光度が減少し、十分な変換光強度が得られない。この問題に関して、色変換層を厚くして吸光度を高め、色変換の効率を維持することが行われている。このように厚い色変換層(膜厚10μm程度)を用いた場合、段差部での電極パターン断線の発生、高精細化の困難さ、膜中への水分または溶媒の残留などの問題点が存在する。より具体的には、有機EL素子と組み合わせた場合に、残留水分または溶媒により有機EL層26が変質し、表示欠陥となる。
一方、視野角依存性を減少させるという観点からは、色変換層を薄くする方がよいという相反する要求が存在する。そこで、膜厚を増大させることなしに十分な変換光強度を維持することが可能な色変換層を提供するために、2μm以下の膜厚を有するホスト−ゲスト系の色変換層を蒸着法によって形成することが好ましい。ここで、ホスト−ゲスト系の色変換層は、第1色素および第2色素を含む、2μm以下の膜厚を有する色変換層であって、第1色素は色変換層への入射光を吸収して、そのエネルギーを第2色素へと移動させる色素であり、第2色素は第1色素から該エネルギーを受容して光を放射する色素である。第1色素は入射光を十分に吸収できる量で色変換層中に存在し、第2色素は色変換層の総構成分子数を基準として10モル%以下、好ましくは0.1〜5モル%の量で存在することが好ましい。ここで、上記濃度は、第2色素の平均分子量から算出された平均モル数を用いて規定された濃度である。第1色素は、色変換層の総構成分子数を基準として50〜99.99モル%の量で存在することが好ましい。また、ホスト−ゲスト系の色変換層は、蒸着法によって形成されることが好ましい。以上のようなホスト−ゲスト系の構成を採って、入射光吸収および波長分布変換を機能分離し、それぞれの機能を第1色素および第2色素に分担させることによって、膜厚を増大させることなしに、高い色変換効率を維持し、色変換層を提供することができる。
また、ホスト−ゲスト系の色変換層において、光を発する色素は第2色素であるので、第2色素が濃度消光を起こさないことが重要である。第2色素が濃度消光を起こすと、色変換の効率が低下するからである。ホスト−ゲスト系の色変換層における第2色素の濃度の上限は、濃度消光を起こさないことを条件として、第1および第2色素の種類に依存して変化し得る。また、第2色素の濃度の下限は、十分な変換光強度が得られることを条件として、第1および第2色素の種類、あるいは目的とする用途に依存して変化し得る。一般的には、ホスト−ゲスト系の色変換層における第2色素の好ましい濃度は、該色変換層の総構成分子数を基準として、10モル%以下、好ましくは0.01〜10モル%、より好ましくは0.1〜5モル%の範囲内である。このような範囲内の濃度で第2色素を用いることによって、濃度消光を防止すると同時に、十分な変換光強度を得ることが可能となる。
以下にホスト−ゲスト系の色変換層に用いられる第1色素と第2色素について説明する。
第1色素
第1色素としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)またはトリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(Almq3)のようなアルミニウム錯体、4,4´−ビス(2,2−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)、2,5−ビス(5−tert−ブチル−2−ベンゾオキサゾリル)チオフェンなどの材料を挙げることができる。
第2色素
第2色素としては、赤色領域の光を放射する色素は、例えば、DCM−1(I)、DCM−2(II)、DCJTB(III)、4,4−ジフルオロ−1,3,5,7−テトラフェニル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(IV)、ナイルレッド(V)、プロパンジニトリルなどの赤色発光材料用の色素、赤色光を放射するローダミン系色素、シアニン系色素、ピリジン系色素、オキサジン系色素などが挙げられる。緑色領域の光を放射する色素は、例えば、緑色光を放射するクマリン系色素、ナフタルイミド系色素などが挙げられる。
(1−2−2.インクジェット法)
インクジェット法を用いる第1の色変換層28の形成方法を以下に示す。
緑色色変換層を形成する場合には、少なくとも1種類の所定の色変換色素を溶媒中に混合してインクを調製し、窒素雰囲気下、任意のインクジェット装置を用いて、第2電極27上の緑色の画素領域に塗布し、窒素雰囲気下、真空乾燥炉などを用いて乾燥を行い、緑色色変換層を形成する(図3(a))。
赤色色変換層を形成する場合には、少なくとも1種類の所定の色変換色素を溶媒中に混合してインクを調製し、窒素雰囲気下、任意のインクジェット装置を用いて、第2電極27上の赤色の画素領域に塗布し、窒素雰囲気下、真空乾燥炉などを用いて乾燥を行い、赤色色変換層を形成する(図3(b))。
以下に色変換層の製造条件等を説明する。
インクジェット装置は、所望される解像度での塗布が可能であることを条件として、任意のインクジェット装置(例えば、ライトレックス製Litrex 120L)を用いることができる。
インクを調製する環境は、水分および酸素の影響を排除するため、不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴンなどの希ガス)雰囲気下であることが好ましい。インクを調製する前に、溶媒中の水分および酸素を除去するために、脱気処理、水分吸収剤による処理、酸素吸収剤による処理、蒸留などの当該技術において知られている任意の手段を用いて溶媒を前処理してもよい。
インクの乾燥条件は、溶媒が蒸発する温度で乾燥すればよく、不活性ガス中もしくは真空中で乾燥することが好ましい。
第1の色変換層28の膜厚は、含有させる色変換色素の種類と量によって変動するため、一義的に設定できないが、例えば、50nm〜2μm、より好ましくは150〜600nmの範囲内とすることができる。
以下に色変換層の形成時に使用するインクの材料を説明する。なお、インクは、色変換色素および溶媒の構成とすることが好ましい。
色変換色素
インクを調製するための色変換色素は、例えば、第1色素および第2色素を含む2種類の色変換色素の混合物を用いることが好ましい。
第1色素は、第1の色変換層28への入射光、好ましくは有機EL素子の発する青色ないし青緑色の光を吸収し、吸収したエネルギーを第2色素に移動させる色素である。したがって、第1色素の吸収スペクトルが有機EL素子の発光スペクトルと重なっていることが望ましく、第1色素の吸収極大と有機EL素子の発光スペクトルの極大とが重なっている(一致している)ことがより望ましい。また、第1色素の発光スペクトルが第2色素の吸収スペクトルと重なっていることが望ましく、第1色素の発光スペクトルの極大と第2色素の吸収極大とが重なっている(一致している)ことがより望ましい。
本発明において第1色素として好適に用いることができる色素は、Alq3(トリス8−キノリノラトアルミニウム錯体)などのアルミキレート系色素、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、クマリン135などのクマリン系色素を含む。あるいはまた、ソルベントイエロー43、ソルベントイエロー44のようなナフタルイミド系色素を、第1色素として用いてもよい。また、各種低分子発光材料、各種高分子発光材料も適用できる。第1色素は、色変換膜の総構成分子数を基準として50〜99.99モル%の量で存在することが望ましい。このような濃度範囲で存在することによって、色変換膜の入射光を十分に吸収して、吸収した光エネルギーを第2色素へとエネルギー移動することが可能となる。
第2色素は、第1色素から移動されるエネルギーを受容し、光を放射させる色素である。ここで、前述のように、第1色素の発光スペクトルが第2色素の吸収スペクトルと重なっていることが望ましく、第1色素の発光スペクトルの極大と第2色素の吸収極大とが重なっている(一致している)ことがより望ましい。したがって、第2色素が放射する光は、第1色素が吸収する光よりも長波長で、緑もしくは赤色である。本発明において第2色素として好適に用いることができる色素は、ジエチルキナクリドン(DEQ)などのキナクリドン誘導第;4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM−1、(I))、DCM−2(II)、およびDCJTB(III)などのシアニン色素;4,4−ジフルオロ−1,3,5,7−テトラフェニル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(IV)、ルモゲンFレッド、ナイルレッド(V)などを含む。あるいはまた、ローダミンB、ローダミン6Gなどのキサンテン系色素、またはピリジン1などのピリジン系色素を用いてもよい。また、各種低分子発光材料、各種高分子EL発光材料も適用できる。
本発明の第1の色変換層28において、光を発する色素は第2色素であるので、第2色素が濃度消光を起こさないことが重要である。第2色素が濃度消光を起こすと、色変換の効率が低下するからである。本発明の第1の色変換層28における第2色素の濃度の上限は、濃度消光を起こさないことを条件として、第1および第2色素の種類に依存して変化し得る。また、第2色素の濃度の下限は、十分な変換光強度が得られることを条件として、第1および第2色素の種類、あるいは目的とする用途に依存して変化し得る。一般的には、本発明の第1の色変換層28における第2色素の好ましい濃度は、該色変換層の総構成分子数を基準として、10モル%以下、好ましくは0.01〜10モル%、より好ましくは0.1〜5モル%の範囲内である。このような範囲内の濃度で第2色素を用いることによって、濃度消光を防止すると同時に、十分な変換光強度を得ることが可能となる。
前述のように、入射光の吸収と色変換とを別種の色素によって実現する構成を採ることによって、第1色素による入射光の吸収ピーク波長と、第2色素による色変換の発光ピーク波長との差を大きくすることができる。さらに、機能が分離されたことによって、第1色素および第2色素として用いる材料の選択肢を広げることが可能となる。
また、第1色素のみで、濃度消光をすることなく十分な変換光強度を得ることが可能で青〜青緑色の光を吸収し、所望の緑ないし赤色の発光を得られるのであれば、第2色素はなくてもよい。
溶剤
インクに使用可能な溶媒は、上記の色変換色素が溶解すればよく、例えば、例えばトルエン等の非極性有機溶媒、クロロホルム、アルコール、ケトン系などの極性有機溶媒等が挙げられる。粘度や蒸気圧、溶解性調整を目的として、複数の溶媒を混合して使用することもできる。
以上、素子基板部側の一つの画素領域に第1の色変換層を形成する工程を説明したが、この工程の後に、図2(c)で示すとおり、第1の色変換層28および有機EL素子をパッシベーション層29で封止する工程を含んでもよい。以下にパッシベーション層29の形成工程を説明する。
パッシベーション層29を形成する方法は、有機EL素子および第1の色変換層28に悪影響を与えなければ特に制約はなく、ドライプロセスであるスパッタ法、CVD法、真空蒸着法等を用いることができる。スパッタ法は、高周波スパッタ法であっても、マグネトロンスパッタ法であってもよい。CVD法は、プラズマCVD法であることが好ましい。
本工程におけるプラズマの発生手段としては、高周波電力(容量結合型または誘導結合型のいずれであってもよい)、ECR、へリコン波などの当該技術で知られている任意の手段を用いてもよい。また、高周波電力として、工業用周波数(13.56MHz)の電力に加えて、UHFまたはVHF領域の周波数の電力を用いることも可能である。
パッシベーション層29は、封止基板31と素子基板21とを貼り合せて封止した際、両基板間の空間に放出されるカラーフィルター層33や第2の色変換層34からの水分やアウトガスが、有機EL素子側に侵入するのを防止する。したがって、パッシベーション層29は、水分、酸素および低分子成分に対するバリア性を有する材料で形成される。さらに、パッシベーション層29は、有機EL素子および第1の色変換層の発光を効率よく透過させるために、その発光波長域において透明であることが好ましい。具体的には、400〜800nmの範囲で50%以上の高い透過率を有することが好ましい。また、有機EL素子を覆うように形成されることから、電気絶縁性を有していることが必要である。
以下にパッシベーション層29の材料等を説明する。
無機組成物
パッシベーション層29の材料となり得る無機組成物は、例えば、SiOx、SiNx、SiNxOy、AlOx、TiOx、TaOx、ZnOx等の無機酸化物、無機窒化物等が好ましい。Si源としては、SiH4、SiH2Cl2、SiCl4、Si(OC254、Al源としては、AlCl3、Al(O−i−C373などを用いることが好ましい。また、本発明におけるN源としては、NH3を用いることが好ましい。
パッシベーション層29は単層でも良いが、複数の層が積層されたものでは水分のバリア等、その効果がより大きくなる。積層されたパッシベーション層の厚さは0.1〜5μmが好ましい。
以上、第1の色変換層28および有機EL素子をパッシベーション層29で封止する工程を説明したが、必要に応じて、パッシベーション層29を、下記に説明する封止基板部側に形成した第2の色変換層を覆うように形成してもよい。この場合、第1の色変換層28および有機EL素子をパッシベーション層29で封止するのと同様の方法および材料を用いることができる。
[1−3.封止基板部を作製する工程(図2(d)]
封止基板部は、図2(d)に示すように、封止基板31上に、必要に応じてカラーフィルター層33、ブラックマトリクス32をパターン形成して作製することができる。
例えば、素子基板部は、例えば、以下の工程(A)〜(C)を含む。
(1−3−1.封止基板の準備工程)
封止基板31は、洗浄することが好ましく、例えば、純水中、超音波で洗浄し、乾燥させた後に、さらにUVオゾン洗浄してもよい。
以下に封止基板31の材料を説明する。
封止基板側は光取り出し側になるため、封止基板31は、可視光透過率に優れ、発光の透過率が80%以上であるものが好ましい。好ましい封止基板31としては、ガラス基板、およびポリオレフィン、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレートを含む)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレートを含む)、ポリカーボネート樹脂、またはポリイミド樹脂などの樹脂で形成された剛直性の樹脂基板を含む。あるいはまた、ポリオレフィン、アクリル樹脂(ポリメチルメタクリレートを含む)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレートを含む)、ポリカーボネート樹脂、またはポリイミド樹脂などから形成される可撓性フィルムを基板として用いてもよい。ホウケイ酸ガラスまたは青板ガラス等が特に好ましい。
(1−3−2.封止基板上へのカラーフィルター層の形成工程)
封止基板31上に、所望の色の吸収を有する染料または顔料を含有したマトリックス樹脂を、封止基板31上にスピンコート法などを始めとするウェットプロセスを用いて塗布し、フォトリソグラフ法などによりパターニングを実施し、現像液により不要部分を除去することで、カラーフィルター層33を形成することができる。なお、上記工程を繰り返して複数のカラーフィルター層を形成することができる。
有機EL発光パネル完成品の安定性を向上させるためには、ウェットプロセスによりカラーフィルター層33を形成した後に、高温加熱して、カラーフィルター層33中に残存する水分を十分に除去することが好ましい。
以下にカラーフィルター層33の材料等について説明する。
カラーフィルター層33は、入射光を分光して、所望される波長域の光のみを透過させる層である。カラーフィルター層33は、必要に応じて、封止基板側の表示領域内の一部又は全部に形成してもよく、各画素に対応して設けられたR、G、Bの各色の組み合わせによって、カラー表示を可能にするものである。図2(d)では、赤、緑、青(R、G、B)の3種のカラーフィルター層33を用いているが、必要に応じて1種、2種、または4種以上のカラーフィルター層33を用いてもよい。また、カラーフィルター層33に誘電体多層膜のような光学薄膜を用いてもよい。
カラーフィルター層33は、所望の色の吸収を有する染料または顔料を高分子のマトリクス樹脂中に分散させたものであり、市販のフラットパネルディスプレイ用材料などの当該技術において知られている任意の材料、例えば、液晶用カラーフィルター材料(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製カラーモザイクなど)を用いて形成することができる。
カラーフィルター層33には、上記のように液晶ディスプレイ等で用いられているカラーフィルター材料を用いればよいが、有機EL素子の発光する光に合わせてカラーフィルターの特性を調整し、取り出し効率/色純度を最適化してもよい。このときカットする光は、緑の場合には480nm以下の波長の光および必要に応じ560nm以上の波長の光であり、青の場合には490nm以上の波長の光であり、赤の場合には580nm以下の波長の光である。
このようなカラーフィルター層33を用いて、NTSC標準、あるいは現行のCRTの色度座標に調整することが好ましい。このような色度座標は、一般的な色度座標測定器、例えばトプコン社製のBM−7、SR−1等を用いて測定できる。所望される波長域の光を高い色純度で得るために、カラーフィルター層33の厚さは0.5〜20μmとするのが好ましい。より好ましくは、カラーフィルター層33の厚さは1〜1.5μmが好ましい。
(1−3−3.封止基板上へのブラックマトリクスの形成工程)
ブラックマトリクス32は、封止基板31上にパターンニング形成された各カラーフィルター層33の間隙に、ブラックマトリクス32の材料をスピンコート法などのウェットプロセスの塗布手段により塗布し、加熱乾燥した後、フォトリソグラフィー法などによりパターニングを行うことにより形成することができる。
ブラックマトリクス32の材料は、アクリル型の樹脂などの感光性樹脂中に黒色化するための着色剤を混合したものなどを用いる。また、液晶表示装置に用いられるブラックマスクを適用してもよい。
なお、ブラックマトリクス32は必ずしも必要ではなく、必要に応じて設けることによって、隣接する画素からの光の回り込み、すなわち、隣接画素からの発光が、隣の画素に対応したカラーフィルター層に漏れることを、効果的に防止することができ、高いコントラストを実現することができる。また、ブラックマトリクス32は、カラーフィルター層33により形成される段差を低減させることにも有効である。
ブラックマトリクス32は、カラーフィルター層33を形成する前に形成してもよい。さらに、ブラックマトリクス32の一部とカラーフィルター層33の一部とを重畳(オーバーラップ)させて、有機EL素子からの光が必ずカラーフィルター層33を通過して出射するようにしてもよい。ブラックマトリクスを形成する場合には、前述の水分除去のため、高温加熱工程は全てのカラーフィルター層およびブラックマトリクスの形成後に行うことが好ましい。
なお、ブラックマトリクスの上面の高さがカラーフィルターの上面より高くなるように配設することにより、後述する第2の色変換層34をインクジェット法によって形成する際にインクを必要部位以外に広げることなく効果的に画素内に配設することが好ましい。このような好適な態様を実現する手段として、ブラックマトリクス32上に隔壁構造体を形成する態様が挙げられる。この態様については、後述する実施形態3において別途説明する。
[1−4.第2の色変換層の封止基板部側の他の画素領域への形成工程(図2(e))]
図2(e)に示すように、第2の色変換層34を、第1の色変換層28が存在する画素領域とは異なる封止基板部側の画素領域に形成する。例えば、図4(a)に示すように、第1の色変換層28を素子基板部側の緑色(G)の画素領域に形成した場合には、第2の色変換層34を、封止基板部側の赤色(R)の画素領域に形成する。一方、図4(b)に示すように、第1の色変換層28を素子基板部側の赤色(R)の画素領域に形成した場合には、第2の色変換層34を、封止基板側の緑色(G)の画素領域に形成する。
第2の色変換層34の形成方法には、第1の色変換層28の形成方法と同様に、蒸着法、レーザーアブレーション法、インクジェット法、オフセット印刷法、ナノインプリント法、スクリーン印刷法、フレキソグラフィー法、グラビア印刷法、またはスピンコート法を用いることができる。また、第2の色変換層34に用いる材料も第1の色変換層を形成する際に用いたものと同様なものを用いることができる。
本発明では、第1の色変換層28を、蒸着法またはレーザーアブレーション法(ドライプロセス)で形成して、第2の色変換層34を、インクジェット法、オフセット印刷法、ナノインプリント法、スクリーン印刷法、フレキソグラフィー法、グラビア印刷法、またはスピンコート法(ウェットプロセス)で形成するか、それとは反対に、第1の色変換層28をインクジェット法などのウェットプロセスで形成して、第2の色変換層34を蒸着法などのドライプロセスで形成することが好ましい。
例えば、第1および第2の色変換層の一方を緑色色変換層とする場合には、ドライプロセスである蒸着法またはレーザーアブレーション法で形成することが好ましい。これは、緑色色変換層を形成する際に用いる緑色変換材料の多くは、溶剤可溶性と粘度に関して満足する物性が得られておらず、ウェットプロセスに適当な材料を入手しにくいためである。一方、緑色以外の色変換層、例えば、赤色色変換層を形成する場合には、インクジェット法などのウェットプロセスを用いることが好ましい。この理由は、ドライプロセスよりもウェットプロセスの方が一般的に高精細なパターンで色変換層を形成し易いためである。さらに、ウェットプロセスで形成した色変換層の方が、素子基板部と封止基板部との貼り合せ時に充填する不活性ガス等に含まれる残留ガス成分に対する耐性が強く、形成した色変換層をさらにパッシベーション層29で保護する必要もないからである。このように本発明の製造方法では、2種類の第1および第2の色変換層の一方を素子基板部側、他方を封止基板部側に形成するため、色変換層に用いられる材料に合わせて、ドライプロセスおよびウェットプロセスを適宜選択することが可能となり、高歩留まり、高品質を達成できる。さらに2種類の色変換層を基板ごとに独立に形成できるため、製造工程の短縮化につながり、低コストも実現できる。
[1−5.素子基板部と封止基板部との貼り合わせ工程(図3(f)]
第1の色変換層28を形成した素子基板部と第2の色変換層34を形成した封止基板部との間に封止ガスを充填し、グローブボックス内で、乾燥不活性ガスの雰囲気下、UV硬化型接着剤を用いて封止して、図3(f)に示された本発明の有機ELデバイスを作製する。
封止ガスは、Ar、He、N2などが好ましい。不活性ガス中の水分含有量は、100ppm以下、より好ましくは10ppm以下、特に好ましくは1ppm以下である。この水分含有量に下限値はないが、通常0.1ppm程度である。なお、必要に応じて乾燥剤を表示領域外に配置してもよい。透明あるいは半透明の乾燥剤であれば、表示領域内に配置してもよい。また、酸素ガスも有機EL素子や色変換層の酸化を引き起こし、発光特性や電気的特性の劣化の原因と成り得るため、排除することが望ましい。
また、両基板の間に封止ガスの代わりに、光透過性の樹脂を充填したり、緩衝層を挟んだ構造にしたりしてもよい。
素子基板と封止基板とを貼り合わせる際に両基板の間隙を所望の距離に保つため、シール材35を設けてもよい。
なお、本発明においては、必要に応じて種々の変更が可能である。例えば、素子基板21上にTFT22を形成したアクティブマトリックス駆動型の有機EL素子について上記の通り説明したが、本発明は、パッシブマトリクス駆動型有機EL素子を用いることも可能である。パッシブマトリクス駆動型有機EL素子は、素子基板21上に、第1の方向に延びる複数のストライプ形状からなる第1電極25を形成し、その上に有機EL層26を形成し、さらに第2の方向に延びる複数のストライプ形状からなる第2電極27を形成することによって得ることができる。ここで、第1の方向と第2の方向とは互いに交差する方向であり、好ましくは直交する方向である。第1電極25、有機EL層26、第2電極27を形成する材料は、前述のものを用いることができる。
<2.有機ELデバイス(タイプ1)>
次に、本発明の第2の実施形態であるトップエミッション型の有機ELデバイス(タイプ1)について説明する。なお、第2の実施形態のデバイスは、上述した実施形態1の製法に基づき得られたデバイスである。
図5は、第2の実施形態のデバイスを示す断面概略図である。この実施形態は、青色ないし青緑色領域の光を発する有機EL素子を発光源として用いる場合を例にとり、第1の色変換層28が緑色色変換層であり、第2の色変換層34が赤色色変換層である場合を示しているが、本発明はこれに限定されるわけではなく、第1の色変換層28が赤色の画素領域、第2の色変換層34が緑色の画素領域に形成されてもよい。
本発明の有機ELデバイスは、素子基板部と封止基板部が対向するように配置されている。素子基板部は、素子基板21上に、薄膜トランジスタ22(TFT)、絶縁層23、配線電極24、第1電極25、有機EL層26、および第2電極27を設けることにより形成されている。一方、封止基板部は、封止基板31上に、カラーフィルター層33、ブラックマトリクス32を設けることができる。また、素子基板部および封止基板部には、第1の色変換層28および第2の色変換層34がそれぞれ形成されている。ここで、これらの色変換層は、互いに異なる画素領域、すなわち、第1の色変換層28は、第2電極27上の緑色の画素領域に形成されており、第2の色変換層34は、カラーフィルター層33上の赤色の画素領域に形成されている。また、パッシベーション層29は、上記の素子基板部と第1の色変換層を覆うように、かつ、上記の第2の色変換層と対向するように形成されている。
図5においては、素子基板21上に薄膜トランジスタ(TFT)22を形成したアクティブマトリックス駆動型の有機EL素子について示されているが、本発明は、パッシブマトリクス駆動型有機EL素子を用いることも可能である。また、封止基板部において、カラーフィルター層33およびブラックマトリクス32を必ずしも用いる必要はない。
なお、有機ELデバイスの各構成要素は、本発明の第1の実施形態であるトップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法において説明したものと同様なものを用いることができる。
<3.有機ELデバイス(タイプ2)の製造方法及び当該方法により得られたデバイス>
次に、本発明の第3の実施形態であるトップエミッション型の有機ELデバイス(タイプ2)の製造方法及び当該方法により得られたデバイスについて説明する。本実施形態は、実施形態1の変形例であって、実施形態1では任意の構成要素である隔壁構造体を必須構成要素とした実施形態である。
図6は、実施形態3の有機ELデバイスの製造方法をその工程順に示す断面図であり、(a)は素子基板部及び第1の色変換層の形成工程、(b)は封止基板部及び第2の色変換層の形成工程、そして(c)は素子基板部等と封止基板部等との貼り合わせ工程を示す。なお、以下の説明においては、実施形態1との差異点のみについて詳述する。
[3−1.素子基板部を含む積層体を形成する工程(図6(a))]
図6(a)は、素子基板部(素子基板21、TFT22、絶縁層23、配線電極24、第1電極25、有機EL層26、第2電極27、パッシベーション層29、第1隔壁構造体42)上に、第1の色変換層(R(赤))28Rが形成された積層体を示す断面図である。なお、同図においては、配線電極24及び第1電極25を同一層40で現すとともに、有機EL層26及び第2電極27も同一層44で現している。
この積層体の形成における、素子基板21の形成材料及び準備条件、並びにTFT22、絶縁層23、配線電極24、第1電極25、有機EL層26、及び第2電極27の形成材料及び形成条件については、実施形態1と同様であるので記載を省略する。
(3−1−1.第1隔壁構造体42)
実施形態1と同様に、素子基板21上に、TFT22、絶縁層23、配線電極24、及び第1電極25を形成した後、本実施形態3では、絶縁層23上に第1隔壁構造体42を形成する。
第1隔壁構造体42は、第1の色変換層(R(赤))28Rをインクジェット法によって形成することが好ましく、その際に、インクを必要部位以外に広げることなく効果的に画素内に配設するために形成する構成要素である。
第1隔壁構造体42の材料としては、有機材料及び無機材料、並びにこれらの混合物のいずれをも使用することができる。より詳細には、レジストなどの光硬化性樹脂又は光熱併用型硬化性樹脂を用いることができる。第1隔壁構造体42はフォトプロセスを用いて形成することが好ましい。
第1隔壁構造体42には、後述する色変換層28の形成用インクに対して親液性を呈する材料を使用することがより好ましい。具体的には、色変換層28の形成用インクとの接触角が30°以下である材料を用いることが好ましく、20°以下の材料を用いることがより好ましい。例えば、第1隔壁構造体42には、その中に無機粒子を分散させることで上記親液性を付与することができる。
図6(a)に示す例において、第1隔壁構造体42の形成用材料としては、(1)アクリロイル基又はメタクリロイル基を複数有するアクリル系多官能モノマー及びオリゴマーと、光又は熱重合開始剤とからなる組成物、(2)ボリビニル桂皮酸エステルと増感剤とからなる組成物、(3)鎖状又は環状オレフィンとビスアジドとからなる組成物、並びに(4)エポキシ基を有するモノマーと酸発生剤とからなる組成物、(5)ポリイミド樹脂を含む組成物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
第1隔壁構造体42の高さは、インクが液下されたときに該インクがバンクの外に溢れ出ないような高さとする。具体的には、2〜5μmの高さとすることができる。
(3−1−2.有機EL層26、第2電極27、パッシベーション層29)
第1隔壁構造体42の形成後、本実施形態では、図6(a)に示すように、有機EL層26を、素子基板21、絶縁層23、第1電極25、及び第1隔壁構造体42を覆うように形成する。有機EL層26の形成用材料及び形成条件等は、実施形態1と同様である。
有機EL層26上には第2電極27を形成し、第2電極27上にはさらにパッシベーション層29を形成する。実施形態1ではパッシベーション層29は、第2電極27上に第1の色変換層28Gを形成した後に、有機EL層26、第2電極27、及び該色変換層28Gを覆うように形成した(図2(c))。これに対し、本実施形態では、パッシベーション層29は、第1の色変換層28Rを形成する前に、第2電極27を覆うように形成する(図6(a))。なお、第2電極27及びパッシベーション層29の形成用材料及び形成条件等は、実施形態1と同様である。
(3−1−3.第1の色変換層28R)
パッシベーション層29は、上記したとおり、第1隔壁構造体42上に、有機EL層26及び第2電極27の形成後にさらに形成される。このため、パッシベーション層42の形状は、第1隔壁構造体42の形状に依存する。また、パッシベーション層42は、色変換層が形成される予定の各画素領域に形成され、側方断面視で、図6(a)に示すような凹部形状となる。本実施形態では、この凹部に色変換層28Rを形成する。なお、第1の色変換層28Rの形成用材料及び形成方法等は、上述したとおり、実施形態1で述べた材料等のうちインクジェット法に係る形態とすることが好ましい。
以上のようにして、図6(a)に示す素子基板部を含む積層体が得られる。このような積層体においては、第1隔壁構造体42の存在により、第1の色変換層28Rの材料(インク)を必要部位以外に広げることなく効果的に画素内に配設することができる。
[3−2.封止基板部を含む積層体を形成する工程(図6(b))]
図6(b)は、封止基板部(封止基板31、ブラックマトリクス32、カラーフィルター層33R,33G,33B、第2隔壁構造体46、及びスペーサ48)上に、第2の色変換層(G(緑))34Gが形成された積層体を示す断面図である。
この積層体の形成における、封止基板31の形成材料及び準備条件、並びにブラックマトリクス32、及びカラーフィルター層33R,33G,33Bの形成材料及び形成条件については、実施形態1と同様であるので記載を省略する。だたし、ブラックマトリクス32に関し、その幅の寸法は、後述する第2隔壁構造体46とスペーサ46とを合わせた幅の寸法よりも大きいものとする。
(3−2−1.第2隔壁構造体46)
実施形態1と同様に、封止基板31上に、ブラックマトリクス32、及びカラーフィルター層33R,33G,33Bを形成した後、本実施形態3では、ブラックマトリクス32上に第2隔壁構造体46を形成する。ただし、第2隔壁構造体46は、素子基板部等と封止基板部等との貼り合わせの際に、第1隔壁構造体42と接触しないようなブラックマトリクス32上の位置に形成することが肝要である。
第2隔壁構造体46は、第1の隔壁構造体42と同様に、第2の色変換層(G(緑))28Gをインクジェット法によって形成することが好ましく、その際に、インクを必要部位以外に広げることなく効果的に画素内に配設するために形成する構成要素である。なお、第2隔壁構造体46の形成材料及び形成条件等は、上述した第1隔壁構造体42の形成材料及び形成条件等と同様である。
(3−2−2.スペーサ48)
実施形態3では、封止基板31上に、第2隔壁構造体46を形成する前後において、ブラックマトリクス32上に更にスペーサ48を形成する。スペーサ48は、素子基板部等と封止基板部等との貼り合わせの際に生じるギャップを調整するための構成要素である。このため、スペーサ48は、貼り合わせの際に素子基板部等の第1隔壁構造体42と対向する位置に形成することが肝要である。
スペーサ48の形成材料及び形成条件等は、上述した第2隔壁構造体46の形成材料及び形成条件等と同様であるが、特に、形成材料としてフォトレジスト材料を用いることが、パターニング精度を向上させる点で好ましい。
また、スペーサ48の形状は、その形成目的が上述のとおりであるため、貼り合わせの際を考慮して、素子基板部等の形状に依存する。図6(b)に示した例では、側方断面視で半円形としているが、上記の条件を満たせばこのような形状に限られるものではない。
(3−2−3.第2の色変換層34G)
上記のように各構成要素(31,32、33R,33G,33B,46,48)が形成された封止基板部には、カラーフィルター層33Gと第2隔壁構造体46とにより、色変換層が形成される予定の各画素領域に、側方断面視で、図6(b)に示すような凹部が画成される。本実施形態では、この凹部に色変換層34Gを形成する。なお、第2の色変換層34Gの形成用材料及び形成方法等は、上述したとおり、実施形態1で述べた材料等のうちインクジェット法に係る形態とすることが好ましい。
以上のようにして、図6(b)に示す封止基板部を含む積層体が得られる。このような積層体においては、第2隔壁構造体46の存在により、第2の色変換層34Gの材料(インク)を必要部位以外に広げることなく効果的に画素内に配設することができる。
[3−3.素子基板部等と封止基板部等との貼り合わせ工程(図6(c))]
図6(c)は、素子基板部(素子基板21、TFT22、絶縁層23、配線電極24、第1電極25、有機EL層26、第2電極27、パッシベーション層29、第1隔壁構造体42)及び第1の色変換層(R(赤))28Rと、封止基板部(封止基板31、ブラックマトリクス32、カラーフィルター層33R,33G,33B、第2隔壁構造体46、及びスペーサ48)及び第2の色変換層(G(緑))34Gとを貼り合せた状態を示す断面図である。
この貼り合わせの形成材料及び各種条件については、実施形態1の形成材料等と同様である。但し、本実施形態では、素子基板部に第1隔壁構造体42が形成されているとともに、封止基板部に第2隔壁構造体46及びスペーサ48が形成されている。このため、貼り合わせ時には、実施形態1で記載した条件等の他に、第1隔壁構造体42と第2隔壁構造体46とが互い違いに対向配置され、しかも、第1隔壁構造体42とスペーサ48とが平面視で同一位置に配置されることに留意することが肝要である。
なお、図6には示していないが、本実施形態には、素子基板部を含む積層体を形成する工程において、素子基板部のパッシベーション層29上に第2のスペーサをさらに形成し、素子基板部等と封止基板部等との貼り合わせ工程において、第2隔壁構造体48と第2スペーサとを対向配置させて得られる有機ELデバイスも含まれる。
また、本発明の第3の実施形態には、上記例(図6)の他に、図6に示す例とはスペーサの配設態様を異ならせた他の例(図7)も含まれる。
図7は、第2隔壁構造体46上にスペーサ48’を形成した封止基板部を含む積層体と、素子基板部を含む積層体とを貼り合わせて得る有機ELデバイスの製造方法をその工程順に示す断面図であり、(a)は素子基板部及び第1の色変換層の形成工程、(b)は封止基板部及び第2の色変換層の形成工程、そして(c)は素子基板部等と封止基板部等との貼り合わせ工程を示す。なお、以下の説明においては、図6に示す例との差異点のみについて詳述する。
[3−1’.素子基板部を含む積層体を形成する工程(図7(a))]
素子基板部を含む積層体を形成する工程については、図6に示す例と同様にして当該積層体を得る。
[3−2’.封止基板部を含む積層体を形成する工程(図7(b))]
封止基板部を含む積層体を形成する工程において、封止基板31に、ブラックマトリクス32、カラーフィルター層33R,33G,33B、及び第2隔壁構造体46を順次形成する段階までは、図6に示す例と同様にして上記各構成要素を積層する。
次に、本例では、第2隔壁構造体46の上面を平坦化し、さらに該上面にスペーサ48´を形成する。
第2隔壁構造体46の上面を平坦化する方法については、既知のあらゆる方法を用いることができる。
スペーサ48’の形成目的は、図6に示す例の欄で述べたとおり、素子基板部等と封止基板部等との貼り合わせの際に生じるギャップを調整することにある。図7(b)に示す例では、スペーサ48´の形状を、側方断面視で矩形としているが、上記の目的を満足する形状であれば、いかなる形状とすることもできる。なお、スペーサ48’の形成材料及び形成条件等は、上記例(図6)と同様である。
さらに、本例では、図7(b)に示すように、緑色カラーフィルタ33Gと第2隔壁構造体46とにより画成された領域に、第2の変換層34Gを形成する。なお、第2の色変換層34Gの形成用材料及び形成方法等は、上記例(図6)と同様である。
[3−3’.素子基板部等と封止基板部等との貼り合わせ工程(図7(c)]
素子基板部等と封止基板部等との貼り合わせ工程において、貼り合わせの形成材料及び各種条件については、基本的に、図6に示す例と同様にして行い、図7(c)に示す有機ELデバイスを得る。
なお、図6(c)に示す例は、貼り合わせの際に、封止基板部上のスペーサ48を素子基板部等の第1隔壁構造体42と平面視で同一位置に配置することに留意する必要があった。これに対して、本例では、第2隔壁構造体46上にスペーサ48’が予め形成されているため、貼り合わせ時には、各基板部を含む積層体間での位置決めをする必要性が軽減される。
以上のようにしてタイプ2の有機ELデバイス得られる。このデバイスは、図6(c)及び図7(c)に示す矢印の向きに光を放出する、トップエミッション型のデバイスである。このデバイスは、素子基板部及び封止基板部のいずれにも、第1及び第2隔壁構造体42,46を形成している。このため、これら隔壁構造体42,46の存在により、第1及び第2の色変換層28R,34Gのインクを必要部位以外に広げることなく効果的に画素内に配設することができる。従って、当該デバイスは、隣接する画素へのインクの回り込みを好適に防止することができることから、特に、高品質な有機ELデバイスを実現することができる。
以下に、本発明の有機ELデバイスを作製する方法を実施例により、本発明の効果を実証する。以下の実施例では、適宜、図面および符号を参照して説明する。
<有機ELデバイスの作製>
[実施例1]
実施例1の有機ELデバイス(タイプ1)は、図2に示すタイプのデバイスとした。
(素子基板・TFT)
図2(a)に示すように、素子基板21にボトムゲート型のTFT22を形成し、その上に絶縁層23を設け、TFT22上の配線電極24が絶縁膜23に設ける開口部(コンタクトホール)を介して第1電極(陽極)25と接触することで、第1電極(陽極)25にTFTのソースが接続される構成とした。素子基板21にはコーニング社製7059ガラスを用いた。
(絶縁層)
絶縁性コーティング剤フォトニース(東レ株式会社製)を用いてポリイミド膜を形成し、フォトリソグラフ法を用いて、第1電極(陽極)25の各ストライプ状部分の上に幅10μm、長さ10μmの開口部が長さ方向のピッチ170μmで配置された絶縁層23を形成した。
(第1電極(陽極))
TFT22上の絶縁層23に形成されたコンタクトホールを介してソースに接続されているアルミニウムを下部に形成し、その上部表面にIZO(亜鉛ドープインジウム酸化物)を形成することで、第1電極(陽極)25を形成した。
第1電極(陽極)25下部のアルミニウムは、発光層からの発光を反射してトップから効率良く光を放出すること、および電気抵抗低減のために設ける。アルミニウム膜は真空蒸着法によって成膜し、厚さは300nmとした。第1電極(陽極)25上部のIZOは、DCスパッタ法を用いて膜厚200nm成膜した。ターゲットとして、In−Zn酸化物を用い、スパッタガスとしてO2およびArを用いた、次いで、シュウ酸水溶液をエッチング液として用いるフォトリソグラフ法によってパターニングを行い、第1電極(陽極)25を得た。
(層間分離膜)
引き続いて、層間分離膜(図示せず)の形成を行った。ネガ型フォトレジスト(ZPN1168(日本ゼオン製))をスピンコート法によって基板全面に塗布し、プリベークを実施し、フォトマスクを用いて第1電極(陽極)25上に幅50μm、長さ150μmの開口部(有機EL素子の発光部となる部分)が長さ方向のピッチ170μmで配置されたパターンを焼き付け、110℃のホットプレート上で60秒間にわたってポストエクスポージャベークを行い、現像を行い、最後に160℃のホットプレート上で15分間にわたって加熱を行い、層間分離膜を形成した。
(有機EL層)
有機EL素子は、次のような、第1電極(陽極)/正孔注入層/正孔輸送層/有機EL発光層/電子注入層/第2電極(陰極)の層構成で構成した(有機EL層26としては、この構成から両電極を除いた4層構成である)。第1電極(陽極)25を形成した素子基板21を、抵抗加熱蒸着装置内に装着し、正孔注入層、正孔輸送層、有機EL発光層、電子注入層を、真空を破らずに順次成膜した。成膜に際して真空槽内圧は1×10-4Paまで減圧した。正孔注入層は銅フタロシアニン(CuPc)を100nm積層した。正孔輸送層は4,4−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(α−NPD)を20nm積層した。有機EL発光層は、4,4−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を30nm積層した。電子注入層はアルミキレート(Alq3)を20nm積層した。それぞれの層は1Å/sの蒸着速度で堆積された。
(第2電極(陰極))
次いで、メタルマスクを用いて、第2電極(陰極)27を、真空を破らずに形成した。透明な第2電極27は、電子注入に必要な仕事関数の小さな金属Mg/Ag(10:1の重量比)を共蒸着法にて膜厚2nm成膜し、その上にIZO(亜鉛ドープインジウム酸化物)膜をスパッタリング法で膜厚200nm成膜することにより形成した。
ここで、IZO膜を成膜する際には、真空を破ることなしに、有機EL層26を成膜した基板を対向ターゲット式スパッタ装置へと移動させた。
(第1の色変換層(緑色色変換層))
図2(b)を参照して説明する。上記の有機EL素子が形成された素子基板21を、真空を破ることなしに真空容器内に搬送し、保持した。真空容器内の圧力は、1×10-3Pa以下とした。第1の色変換層28は、本実施例では色変換機能を有するホスト−ゲスト系色素とした。具体的には、Alq3およびクマリン6を用いた。Alq3およびクマリン6を蒸着装置内の別個の坩堝にて加熱する共蒸着によって、厚さ300nmの緑色色変換層を作製した。この際に、Alq3の蒸着速度を0.3nm/s、クマリン6の蒸着速度を0.005nm/sとなるように、それぞれの坩堝の加熱温度を制御した。本実施例の第1の色変換層28は、第1の色変換層28の総構成分子数(この場合には全色素のモル数)を基準として2モル%のクマリン6を含んだ構成とした(Alq3:クマリン6のモル比が49:1である)。また、蒸着にはMo製の坩堝を利用した。ここで、パターニングのために用いたメタルマスクは、幅50μmのストライプ状の蒸着膜が、緑色の画素に対応する部分にのみ形成されるような開口部パターンを有する形状のものを用いた。この蒸着工程によって、Alq3とクマリン6は、素子基板上の透明陰極27の上に蒸着され、膜厚300nmの第1の色変換層(緑色色変換層)が形成された。
(パッシベーション層)
さらに、図2(c)に示すように、その上に無機物からなるパッシベーション層29を、組成SiOxNy(モル比:x=2、y=0.3)とし、成膜速度300nm/minで300nmの厚さに、プラズマCVD(化学気相成長)法で形成した。この時のガス圧は100Paで、温度条件は200℃とした。また、プラズマ発生用電力として、13.56MHzのRF電力を0.6kW印加した。
(封止基板)
図2(d)を参照して説明する。封止基板31として厚さ0.7mmのガラス基板を用いた。純水中で超音波洗浄し、乾燥させた後に、さらにUVオゾン洗浄した。ここで、ガラス基板材質はコーニング社製7059ガラスである。
(ブラックマトリクス)
次いで、洗浄済みの封止基板31に対して、スピンコート法を用いてカラーモザイクCK−7800(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製)を塗布し、フォトリソグラフ法を用いてパターニングを行い、幅10μm、膜厚2μmの複数のストライプ状部分がピッチ60μmで配列されているブラックマトリクス32を形成した。
(カラーフィルター層)
封止基板31上に青色フィルタ材料(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製:カラーモザイクCB−7001)をスピンコート法にて塗布後、フォトリソグラフ法によりパターニングを実施し、幅50μm、膜厚1μmのストライプ状のカラーフィルター層33Bとした。赤、緑のカラーフィルター層(33R、33G)を、同様のカラーフィルター材料系(それぞれ、カラーモザイクCR−7001、CG−7001)で、上記封止基板31上にスピンコート法にて塗布後、フォトリソグラフ法によりパターニングを実施し、幅50μm、膜厚1μmのストライプ状のラインパターンとした。
(第2の色変換層(赤色色変換層))
図2(e)を参照して説明する。トルエン1000重量部、第1色素:クマリン6+第2色素:DCM50重量部(モル比はクマリン6:DCM=48:2)のインクを調製し、インクジェット装置(ライトレックス製Litrex 120L)を用い、窒素雰囲気中で、赤色画素に相当する部分にのみ、膜厚500nmの第2の色変換層(赤色色変換層)を作製した。インクの乾燥は、窒素雰囲気を破ることなく、真空乾燥炉を用い、真空度1.0×10−3Pa、温度100℃で行った。
(有機ELデバイス)
次に、図2(f)を参照して説明する。上記のようにして得られた、TFT22上に有機EL素子と第1の色変換層28とパッシベーション層29とを備えた素子基板21と、カラーフィルター層33と第2の色変換層34を備えた封止基板31とを、グローブボックス内乾燥窒素雰囲気(酸素および水分濃度ともに10ppm以下)下において、UV硬化型エポキシ樹脂で貼り合せて封止した。
上記のようにして、緑色の画素領域に、有機EL素子の発する青色ないし青緑色の光を吸収して緑色に発光する第1の色変換層28が形成され、赤色の画素領域に有機EL素子の発する青色ないし青緑色の光を吸収して赤色に発光する第2の色変換層34が形成され、多色表示が可能な有機ELデバイスを作製した。
[実施例2]
実施例2の有機ELデバイス(タイプ2)は、図6に示すタイプのデバイスとした。
(素子基板・TFT)
図6aに示すように、素子基板21上に、低温ポリシリコンTFT22を画素領域毎(47μm×152μm、ピッチ60μm)に形成した。素子基板21には、イーグル2000(コーニング社製)を用いた。
(配線電極および第1電極(陽極))
TFT22上に、配線電極24および第1電極25を順次形成した。
(絶縁層)
第1電極25間を覆うように素子基板21上に、絶縁層23をフォトリソグラフ法によって形成した。絶縁層23の材料として、ポリイミド樹脂のフォトニース(東レ株式会社製)を用いた。
(第1隔壁構造体)
第1隔壁構造体42の材料を、スピンコート法により、絶縁層23上に塗布し、積層体を形成し、加熱乾燥した。その後、当該積層体を、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行うことにより、第1隔壁構造体42を形成した。
第1隔壁構造体42の高さは4μmであり、幅は5μmであった。なお、第1隔壁構造体42を赤色発光画素長辺に沿って両側にストライプ状に2本配置した。第1隔壁構造体42の材料の材料として、絶縁層23の材料と同様のポリイミド樹脂であるフォトニース(東レ株式会社製)を用いた。
(有機EL層および第2電極)
素子基板21、絶縁層23、第1電極25、及び第1隔壁構造体42を覆うように、真空蒸着法により、有機EL層26の材料を成膜した後、第2電極27の材料を成膜した。有機EL層26を構成する有機EL発光層の材料として、青色発光するベンゾチアゾール系の蛍光増白剤を用いた。
(パッシベーション層)
第2電極27を覆うように、真空蒸着法により、パッシベーション層29を形成した。パッシベーション層29の厚さは、200nmであった。パッシベーション層29の材料として、窒化珪素を用いた。
(第1の色変換層(赤色色変換層))
第1の色変換層28Rの材料を溶媒に溶解してインクを調製し、窒素雰囲気下、インクジェット装置を用いて、パッシベーション層29上の赤色画素領域に塗布した。次に、インクを塗布した積層体を、窒素雰囲気を破ることなく、真空乾燥炉を用いて、真空度1.0×10−3Pa、温度100℃で乾燥した。これにより、第1の色変換層28Rをパッシベーション層29上の赤色画素領域に形成した。第1の色変換層28Rの膜厚は、500nmであった。
インクの材料には、第1の色変換層を構成する色変換色素としての、50重量部の第1色素のクマリン6および第2色素のDCM(クマリン6:DCM=48:2のモル比)を用い、これを1000重量部のトルエンに溶解し、インクを調製した。
(封止基板)
図6(b)に示すように、封止基板31として厚さ0.7mmのガラス基板を準備した。ガラス基板の材料はコーニング社製イーグル2000ガラスであった。
(ブラックマトリクス)
封止基板31上に、スピーンコート法により、カラーモザイクCK−7800(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製)を塗布し、積層体を形成した。次に、当該積層体を、フォトリソグラフ法により、パターンニングを行い、幅14μm、膜厚1μmの複数のストライプ状部分がピッチ60μmである、開口部46μm×150μmのブラックマトリクス32を形成した。
(カラーフィルター層)
封止基板31上の所定の画素領域に、青色フィルターの材料(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ株式会社製:カラーモザイクCB−7001)をスピンコート法にて塗布した後、フォトリソグラフ法によりパターニングを実施し、幅48μm、膜厚2μmのストライプ状のカラーフィルター層33B(ピッチ180μm)を形成した。赤、緑のカラーフィルター層(33R、33G)に関しても、カラーフィルターの材料(それぞれ、カラーモザイクCR−7001、CG−7001)を封止基板31上にスピンコート法にて塗布し、フォトリソグラフ法によりパターニングを実施し、幅48μm、膜厚2μmのストライプ状のカラーフィルター層33R、33G(それぞれピッチ180μm)を形成した。
(第2隔壁構造体)
第2隔壁構造体46の材料を、スピンコート法により、ブラックマトリクス32上に塗布し、フォトリソグラフィー法にてパターニングすることにより第2隔壁構造体48を形成した。第2隔壁構造体46を、高さ4μm、幅5μmとして、緑色カラーフィルター層33Gの画素領域の長辺方向に沿って両側にストライプ状に2本形成した。第2隔壁構造体46の材料には、NN−810(JSR社製)を用いた。
(スペーサ)
ブラックマトリックス32上に、スペーサ48の材料をスピンコート法にて塗布し、フォトリソグラフィー法にてパターニングすることにより、スペーサ48を形成した。なお、素子基板部と封止基板部とを貼り合わせる際に、封止基板部上に形成した第1隔壁構造体42に対向する位置にスペーサ48を形成した。スペーサ48を、厚さ1μm、直径3μmとして、ドット状に配置した。
スペーサ48の材料には、NN−810(JSR社製)を用いた。
(第2の色変換層(緑色色変換層))
第2の色変換層34Gの材料を溶媒に溶解してインクを調製し、窒素雰囲気下、インクジェット装置を用いて、緑色カラーフィルター層33G上に塗布した。次に、インクを塗布した積層体を、窒素雰囲気を破ることなく、真空乾燥炉を用いて、真空度1.0×10−3Pa、温度100℃で乾燥した。これにより、第2の色変換層34Gを緑色カラーフィルター層33G上に形成した。第2の色変換層34Gの膜厚は、300nmであった。
インクの材料には、第2の色変換層を構成する色変換色素としての、10重量部のAlq3およびクマリン(Alq3:クマリン=49:1のモル比)を用い、これを1000重量部のトルエンに溶解し、インクを調製した。
(有機ELデバイス)
上記のようにして得られた素子基板部等と封止基板部等とを、グローブボックス内乾燥窒素雰囲気(酸素および水分濃度ともに10ppm以下)下において、UV硬化型エポキシ樹脂で貼り合せて封止し、図6(c)に示す有機ELデバイスを得た。
[実施例3]
実施例3の有機ELデバイス(タイプ2)は、図7に示すタイプのデバイスとした。
本実施例では、ブラックマトリクス32上にスペーサ48を形成せずに、第2隔壁構造体46の上面を平坦にして、第2隔壁構造体46上にスペーサ48’を形成したことを除き、実施例2と同様にして図7(c)に示す有機ELデバイスを得た。
[比較例1]
比較例1の有機ELデバイスは、図1に示すタイプのデバイスとした。第2の色変換層34(赤色色変換層)を、封止基板部側ではなく、素子基板部側に第1の色変換層28(緑色色変換層)と同様の蒸着法によって赤色の画素領域に形成したことを除いて、実施例1と同様の方法で有機ELデバイスを作製した。
<評価項目>
実施例1,2及び3、並びに比較例1の各有機ELデバイスについて、第1および第2の色変換層の歩留まりを、蛍光強度の測定により評価した。また、各有機ELデバイスについて、第1および第2の色変換層のパターンずれを、光学顕微鏡を用いることにより評価した。なお、パターンずれについては、顕微鏡観察によりパターンずれが確認できない場合を合格(○)とし、顕微鏡観察によりパターンずれが確認できる場合を不合格(×)とした。
これらの結果を表1に示す。
Figure 2009164117
表1によれば、本発明の範囲内である実施例1,2および3は、第1および第2の色変換層の歩留まりが90%以上と非常に高く、しかもパターンずれについて確認されていないことが判る。従って、各実施例においては、色変換層の優れた歩留まりと、得られた有機ELデバイスの品質がいずれも高いことの双方が実証された。これは、本発明の有機ELデバイスの特徴的な作製方法、即ち、複数種類の色変換層を別の基板に形成する方法により、各色変換層の材料(インク)が他の隣接画素へ回り込むことを抑制できることに起因するものであると考えられる。
これに対し、本発明の範囲外である比較例1においては、第1および第2の色変換層の歩留まりが75%と低く、しかもパターンずれが確認された。これは、本発明の有機ELデバイスの上記特徴的な作製方法を用いずに、複数種類の色変換層を同一の基板に形成してデバイスを作製したため、各色変換層の材料(インク)が他の隣接画素へ回り込むことを十分に抑制できなかったからであると考えられる。
比較例の有機ELデバイスを示す断面図である。 本発明の第1の実施形態である有機ELデバイスの製造工程を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態である有機ELデバイスの素子基板部に第1の色変換層を形成した断面図である。 本発明の第1の実施形態である有機ELデバイスの封止基板部に第2の色変換層を、素子基板部に第1の色変換層を形成した断面図である。 本発明の第2の実施形態である有機ELデバイスを示す断面図である。 第3の実施形態の一例である有機ELデバイスの製造方法をその工程順に示す断面図であり、(a)は素子基板部及び第1の色変換層の形成工程、(b)は封止基板部及び第2の色変換層の形成工程、そして(c)は素子基板部等と封止基板部等との貼り合わせ工程を示す。 第3の実施形態の他の例である有機ELデバイスの製造方法をその工程順に示す断面図であり、(a)は素子基板部及び第1の色変換層の形成工程、(b)は封止基板部及び第2の色変換層の形成工程、そして(c)は素子基板部等と封止基板部等との貼り合わせ工程を示す。
符号の説明
21 素子基板
22 TFT
23 絶縁層
24 配線電極
25 第1電極
26 有機EL層
27 第2電極
28 第1の色変換層(R(赤)、G(緑))
29 パッシベーション層
31 封止基板
32 ブラックマトリクス
33 カラーフィルター層(R(赤)、G(緑)、B(青))
34 第2の色変換層(R(赤)、G(緑))
35 封止材
42 第1隔壁構造体
46 第2隔壁構造体
48,48’ スペーサ

Claims (19)

  1. 3種類以上の画素領域に区分されたトップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法であって、
    素子基板、第1電極、有機EL層、および第2電極を備える素子基板部を作製する工程(第1工程)と、
    第1の色変換層を前記素子基板部側の一つの画素領域に形成する工程(第2工程)と、
    封止基板を備える封止基板部を作製する工程(第3工程)と、
    第2の色変換層を前記封止基板部側の他の画素領域に形成する工程(第4工程)と、
    前記第1の色変換層を形成した素子基板部と前記第2の色変換層を形成した封止基板部を貼り合わせる工程(第5工程)と、
    を含むことを特徴とする、トップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法。
  2. 前記第1工程において、前記素子基板上に第1隔壁構造体をさらに形成するとともに、前記第3工程において、前記封止基板上に第2隔壁構造体をさらに形成し、前記第5工程において、前記第1隔壁構造体と前記第2隔壁構造体を、互い違いに配置させることを特徴とする、請求項1に記載のトップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法。
  3. 前記第3工程において、前記封止基板上に第1スペーサをさらに形成し、前記第5工程において、前記第1隔壁構造体と前記第1スペーサとを対向配置させることを特徴とする、請求項2に記載のトップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法。
  4. 前記第1工程において、前記素子基板上に第2スペーサをさらに形成し、前記第5工程において、前記第2隔壁構造体と前記第2スペーサとを対向配置させることを特徴とする、請求項2または3に記載のトップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法。
  5. 前記第3工程において、前記第2隔壁構造体上にスペーサをさらに形成することを特徴とする、請求項2に記載のトップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法。
  6. 前記第1および第2の色変換層を、それぞれ、蒸着法、レーザーアブレーション法、インクジェット法、オフセット印刷法、ナノインプリント法、スクリーン印刷法、フレキソグラフィー法、グラビア印刷法、またはスピンコート法で形成することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のトップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法。
  7. 前記第1および第2の色変換層の一方を、蒸着法またはレーザーアブレーション法で形成し、他方を、インクジェット法、オフセット印刷法、ナノインプリント法、スクリーン印刷法、フレキソグラフィー法、グラビア印刷法、またはスピンコート法で形成することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のトップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法。
  8. 前記第1および第2の色変換層を、インクジェット法で形成することを特徴とする、請求項2〜5のいずれかに記載のトップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法。
  9. 前記第1および第2の色変換層の一方が赤色色変換層であり、他方が緑色色変換層であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のトップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法。
  10. 前記緑色色変換層を、蒸着法またはレーザーアブレーション法で形成することを特徴とする、請求項1〜7、9のいずれかに記載のトップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法。
  11. 前記素子基板部において、第1の色変換層をパッシベーション層で封止することを特徴とする、請求項1、6、7、9、10のいずれかに記載のトップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法。
  12. 前記素子基板部において、第2電極をパッシベーション層で封止することを特徴とする、請求項2〜5,8のいずれかに記載のトップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法。
  13. 前記封止基板部において、前記封止基板上の表示領域にカラーフィルター層を形成することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載のトップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法。
  14. 前記素子基板部と前記封止基板部との貼り合せ時に、両基板部の間に形成された空間に、不活性ガスまたは樹脂を充填することを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載のトップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法。
  15. 前記素子基板部の素子基板上に、薄膜トランジスタ(TFT)を含むスイッチング素子を形成することを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載のトップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法。
  16. 前記素子基板部のストライプ状の第1電極とそれと直交するストライプ状の第2電極とを交差させることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載のトップエミッション型の有機ELデバイスの製造方法。
  17. 請求項1〜16のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする、トップエミッション型の有機ELデバイス。
  18. 素子基板、第1電極、有機EL層、および第2電極が設けられている素子基板部と、封止基板を含む封止基板部とを備えるとともに、第1および第2の色変換層、並びにパッシベーション層を含む、3種類以上の画素領域に区分されたトップエミッション型の有機ELデバイスであって、
    前記第1の色変換層が前記素子基板部側の一つの画素領域に形成されており、前記第2の色変換層が前記封止基板部側の他の画素領域に形成されており、
    前記パッシベーション層が前記第1の色変換層および素子基板部を覆うように、かつ、第2の色変換層に対向するように存在していることを特徴とする、トップエミッション型の有機ELデバイス。
  19. 素子基板、第1電極、第1隔壁構造体、有機EL層、第2電極、およびパッシベーション層が設けられている素子基板部と、封止基板および第2隔壁構造体を含む封止基板部とを備えるとともに、第1および第2の色変換層を含む、3種類以上の画素領域に区分されたトップエミッション型の有機ELデバイスであって、
    前記第1の色変換層が前記素子基板部側の一つの画素領域に形成されており、前記第2の色変換層が前記封止基板部側の他の画素領域に形成されており、
    前記パッシベーション層が前記素子基板部を覆うように、かつ、第2の色変換層に対向するように存在していることを特徴とする、トップエミッション型の有機ELデバイス。
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