JP2009162203A - 内燃機関の蒸発燃料処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数の気筒群で共用されるキャニスタに吸着された蒸発燃料を速やかに処理することができる蒸発燃料処理装置を提供する。
【解決手段】キャニスタ21から各バンク3R、3Lにパージガスを導くように設けられたパージ通路22と、パージ通路22の分岐部22R、22Lのそれぞれに設けられたパージ弁23R、23Lと、各パージ弁を制御するECU14R、14Lとを備えた蒸発燃料処置装置20において、これらのECU14R、14Lが通信回線15を介して接続され、これらのECU14R、14L間でパージガスの濃度情報を共有する。
【選択図】図1
【解決手段】キャニスタ21から各バンク3R、3Lにパージガスを導くように設けられたパージ通路22と、パージ通路22の分岐部22R、22Lのそれぞれに設けられたパージ弁23R、23Lと、各パージ弁を制御するECU14R、14Lとを備えた蒸発燃料処置装置20において、これらのECU14R、14Lが通信回線15を介して接続され、これらのECU14R、14L間でパージガスの濃度情報を共有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の燃料タンクから生じた蒸発燃料を処理する蒸発燃料処理装置に関する。
燃料タンクで生じた蒸発燃料を吸着するキャニスタは、V型機関のように複数の気筒群を備えた内燃機関であってもバンク毎に設けられることはなく一つの機関に対して一つ設けられることが殆どである。従って、単一のキャニスタに吸着された蒸発燃料を処理するためにはキャニスタに接続するパージ通路を分岐して蒸発燃料を含んだパージガスを気筒群毎に導入する必要がある。パージガスは燃料成分を含んでいるため、気筒群毎にばらつきがあると燃焼悪化を招く。そこで、複数の気筒群間で共用されるキャニスタから吸気系へパージガスを導くためのパージ通路が気筒群毎に分岐され、その分岐された分岐部のそれぞれにパージガスの流量を調整するためのパージ弁が設けられた蒸発燃料処理装置が提案されている。
ところで、複数の気筒群を備えた内燃機関の制御装置の演算負荷を緩和するため、気筒群毎に制御装置を設け、気筒群毎の制御装置間を通信回線で結んでアイドリング回転数を気筒群毎に制御する技術が知られている(特許文献1)。また、同様に、気筒群毎に設けられた制御装置間を通信回線で結んで冷却水温を気筒群毎に制御する技術も知られている(特許文献2)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献3〜5が存在する。
上述した構成の蒸発燃料処理装置の場合、各気筒群に導入するパージガスの流量を決めるにはパージガスの濃度を特定し、その濃度に応じて各バージ弁を操作する必要がある。ところが、上述した先行技術のように、気筒群毎に設けられた制御装置で分岐部毎のパージ弁を別々に制御した場合、パージガスの濃度が気筒群毎の制御装置間で共用されていないと、その濃度が一方の気筒群では既知であるにも拘わらず、他方の気筒群では未知のものとして扱われる状況が起こり得る。このような状況になると、パージガスの流量を効率的に高めることができずキャニスタに吸着された蒸発燃料の速やかな処理が妨げられる。
そこで、本発明は、複数の気筒群で共用されるキャニスタに吸着された蒸発燃料を速やかに処理することができる蒸発燃料処理装置を提供することを目的とする。
本発明の蒸発燃料処理装置は、単一のキャニスタから第1気筒群及び第2気筒群のそれぞれにパージガスを導くように設けられ、前記第1気筒群及び第2気筒群で共用される共用部と前記共用部から気筒群毎に分岐された第1分岐部及び第2分岐部とを有するパージ通路と、前記パージ通路の前記第1分岐部に設けられてパージガスの流量を調整する第1パージ弁と、前記パージ通路の前記第2分岐部に設けられてパージガスの流量を調整する第2パージ弁と、前記第1気筒群に対するパージガスの導入に伴う空燃比の変化に基づいてパージガスの第1濃度を特定することにより完了する第1濃度学習制御を実行する第1制御手段と、前記第2気筒群に対するパージガスの導入に伴う空燃比の変化に基づいてパージガスの第2濃度を特定することにより完了する第2濃度学習制御を実行する第2制御手段と、前記第1濃度及び前記第2濃度を前記第1制御手段と前記第2制御手段との間で相互に取得できるように前記第1制御手段と前記第2制御手段とを接続する通信手段と、を備え、前記第1制御手段は、前記第1濃度を特定した後には、前記第1濃度に応じたパージガスの流量が得られるように、前記第1パージ弁を操作する一方、前記第1濃度を特定する前には、前記通信手段を介して取得した前記第2濃度に応じたパージガスの流量が得られるように、前記第1パージ弁を操作し、前記第2制御手段は、前記第2濃度を特定した後には、前記第2濃度に応じたパージガスの流量が得られるように、前記第2パージ弁を操作する一方、前記第2濃度を特定する前には、前記通信手段を介して取得した前記第1濃度に応じたパージガスの流量が得られるように、前記第2パージ弁を操作する、ことにより上述した課題を解決する(請求項1)。
この蒸発燃料処理装置によれば、第1制御手段又は第2制御手段のいずれか一方の制御手段にて濃度学習制御が完了済であれば、他方の制御手段は一方の制御手段の濃度学習制御の結果として得られたパージガスの濃度を通信手段を介して取得することができる。これにより、他方の制御手段は濃度学習制御を行うことなくパージガスの濃度を特定できるので、直ちにパージガスの濃度に応じた流量が得られるようにパージ弁を操作することができる。従って、パージガスの導入に伴う空燃比変化を抑えるために、パージガスの流量を僅かな流量から徐々に高めていく操作が不要になるので、キャニスタに吸着された蒸発燃料の速やかな処理が可能になる。
本発明の一態様においては、前記内燃機関には、前記第1気筒群に対して燃料を供給する第1燃料供給手段と、前記第2気筒群に対して燃料を供給する第2燃料供給手段とが設けられており、前記第1制御手段は、前記第1パージ弁の操作量に応じて前記第1気筒群に対する燃料供給量が補正されるように前記第1燃料供給手段を操作し、前記第2制御手段は、前記第2パージ弁の操作量に応じて前記第2気筒群に対する燃料供給量が補正されるように前記第2燃料供給手段を操作してもよい(請求項2)。この態様によれば、パージ弁の操作量に応じて燃料噴射量が補正されるので、エミッションの悪化や燃焼悪化を防止することができる。
本発明の一態様においては、前記第1制御手段は、前記第1濃度学習制御を開始する際の前記第1パージ弁に対する操作量を前記第2濃度に基づいて決定し、前記第2制御手段は、前記第2濃度学習制御を開始する際の前記第2パージ弁に対する操作量を前記第1濃度に基づいて決定してもよい(請求項3)。この態様によれば、一方の制御手段による濃度学習制御を開始するにあたり、他方の制御手段による濃度学習制御が完了している場合は、その学習制御にて特定されたパージガスの濃度に基づいてパージ弁の操作量が決定される。これにより、濃度学習制御を開始する際のパージ弁の開度量を必要以上に絞ることを防止できるから、速やかな蒸発燃料の処理が可能になる。
本発明の一態様においては、前記第1濃度学習制御は、その開始からの時間経過とともに前記第1気筒群の吸入ガス量に占めるパージガスの導入量の割合である第1パージ率が上昇するように前記第1パージ弁を操作するものであり、前記第2濃度学習制御は、その開始からの時間経過とともに前記第2気筒群の吸入ガス量に占めるパージガスの導入量の割合である第1パージ率が上昇するように前記第2パージ弁を操作するものであり、前記第1制御手段は、前記第1パージ率の上昇率を前記第1濃度又は前記第2濃度に応じて決定し、前記第2制御手段は、前記第2パージ率の上昇率を前記第1濃度又は前記第2濃度に応じて決定してもよい(請求項4)。この態様によれば、一定の上昇率で濃度学習制御を行う場合と比べてより速やかな蒸発燃料の処理が可能になる。
本発明の一態様においては、前記第1制御手段は、前記第1気筒群に導かれる吸入ガスの空燃比を目標空燃比に維持させるための第1空燃比学習制御を更に実行し、かつ前記第1濃度又は前記第2濃度が第1所定レベルを超えて高い場合に前記第1空燃比学習制御に優先して前記第1濃度学習制御を実行する一方、前記第1濃度又は前記第2濃度が前記第1所定レベル以下の場合に前記第1濃度学習制御に優先して前記第1空燃比学習制御を実行し、前記第2制御手段は、前記第2気筒群に導かれる吸入ガスの空燃比を目標空燃比に維持させるための第2空燃比学習制御を更に実行し、かつ前記第1濃度又は前記第2濃度が第2所定レベルを超えて高い場合に前記第2空燃比学習制御に優先して前記第2濃度学習制御を実行する一方、前記第1濃度又は前記第2濃度が前記第2所定レベル以下の場合に前記第2濃度学習制御に優先して前記第2空燃比学習制御を実行してもよい(請求項5)。この態様によれば、パージガスの濃度が所定レベルを超えた場合は空燃比学習制御に優先して濃度学習制御が行われ、所定レベル以下の場合は濃度学習制御に優先して空燃比学習制御が行われる。従って、パージガスの導入による空燃比学習制御への影響を低減することができ、空燃比学習制御の精度が向上する。
本発明の一態様においては、前記第1制御手段は、前記第1気筒群に導かれる吸入ガスの空燃比を目標空燃比に維持させるための第1空燃比学習制御を更に実行し、かつ前記第1濃度と前記第2濃度との差が許容範囲を超えて大きい場合に、前記第1濃度学習制御の実行を禁止して前記第1空燃比学習制御を実行し、前記第2制御手段は、前記第2気筒群に導かれる吸入ガスの空燃比を目標空燃比に維持させるための第2空燃比学習制御を更に実行し、かつ前記第1濃度と前記第2濃度との差が許容範囲を超えて大きい場合に、前記第2濃度学習制御の実行を禁止して前記第2空燃比学習制御を実行してもよい(請求項6)。この態様によれば、第1濃度と第2濃度との濃度差を監視することにより、気筒群毎の濃度学習制御の正しさを判定でき、その結果が不適切であれば空燃比学習制御を実行することができる。これにより、気筒群毎の濃度学習制御の正しさを一定のレベルに補償することができる。
本発明の一態様においては、前記第1制御手段は、前記第1気筒群に導かれる吸入ガスの空燃比を目標空燃比に維持させるための第1空燃比学習制御を更に実行するとともに、前記第1濃度と前記第2濃度との差が許容範囲を超えて大きく、かつ前記第1空燃比学習制御が実行済である場合に、パージガスの流量に影響する箇所に異常があるものと判断し、前記第2制御手段は、前記第2気筒群に導かれる吸入ガスの空燃比を目標空燃比に維持させるための第2空燃比学習制御を更に実行するとともに、前記第1濃度と前記第2濃度との差が許容範囲を超えて大きく、かつ前記第2空燃比学習制御が実行済である場合に、パージガスの流量に影響する箇所に異常があるものと判断してもよい(請求項7)。この態様によれば、パージガスの流量に影響する箇所に異常があるかどうかを判断することができる。従って、その異常に対する対応として、例えば運転者等に対して警告を表示させることができる。
以上説明したように、本発明によれば、第1制御手段又は第2制御手段のいずれか一方の制御手段にて濃度学習制御が実行済であれば、他方の制御手段は一方の制御手段の濃度学習制御の結果として得られたパージガスの濃度を通信手段を介して取得することができる。これにより、他方の制御手段は濃度学習制御を行うことなくパージガスの濃度を特定できるので、直ちにパージガスの濃度に応じた流量が得られるようにパージ弁を操作することができる。従って、パージガスの導入に伴う空燃比変化を抑えるために、パージガスの流量を僅かな流量から徐々に高めていく操作が不要になるので、キャニスタに吸着された蒸発燃料の速やかな処理が可能になる。
(第1の形態)
図1は本発明の一形態に係る蒸発燃料処理装置が適用された内燃機関の概要を示している。内燃機関1は不図示の車両に対して走行用動力源として搭載される。内燃機関1は一方向に4つの気筒2が並べられた左右一対の第1バンク3R及び第2バンク3Lを備えたV型8気筒エンジンとして構成されている。第1バンク3Rの気筒2が第1気筒群を、第2バンク3Lの気筒2が第2気筒群をそれぞれ構成する。
図1は本発明の一形態に係る蒸発燃料処理装置が適用された内燃機関の概要を示している。内燃機関1は不図示の車両に対して走行用動力源として搭載される。内燃機関1は一方向に4つの気筒2が並べられた左右一対の第1バンク3R及び第2バンク3Lを備えたV型8気筒エンジンとして構成されている。第1バンク3Rの気筒2が第1気筒群を、第2バンク3Lの気筒2が第2気筒群をそれぞれ構成する。
内燃機関1に接続される吸気通路4は各バンク3R、3Lに対応して第1吸気通路4Rと第2吸気通路4Lとに分岐している。第1吸気通路4Rは第1バンク3Rの各気筒2で共用されるサージタンク部5Rと、気筒2毎に分岐される分岐部6Rとを有している。同様に、第2吸気通路4Lは第2バンク3Lの各気筒2で共用されるサージタンク部5Lと気筒2毎に分岐される分岐部6Lとを有している。
内燃機関1には、吸気を絞るためのスロットル弁7Rが各分岐部6Rに対して、スロットル弁7Lが各分岐部6Lに対して、それぞれ一つずつ設けられている。また、吸気通路4には、第1吸気通路4Rと第2吸気通路4Lとが分岐する分岐位置よりも上流側に吸気流量を計測するためのエアフローメータ8が設けられている。
また、各バンク3R、3Lに対して燃料を供給するため、燃料供給装置9がバンク毎に設けられている。バンク毎の燃料供給装置9は気筒2毎に設けられた燃料噴射弁10を有していて、各燃料噴射弁10はデリバリパイプ12に接続されている。デリバリパイプ9には燃料タンク13から汲み上げられた燃料が不図示の燃料通路を通じて供給される。
スロットル弁7R、7Lの開度、或いは燃料噴射弁10の燃料噴射動作等は、コンピュータユニットとして構成されたエンジンコントロールユニット(ECU)14L、14Rにより、バンク毎に個別に制御される。つまり、内燃機関1の運転状態は、バンク毎、言い換えれば気筒群毎にECU14R、14Lによって個別に制御される。但し、ECU14R、14Lは通信手段としての通信回線15にて接続され、その通信回線15を介して双方向に通信可能である。通信回線15を介して情報を交換することにより、ECU14R、14Lは、自己が担当するバンク(以下、自バンクと称することがある。)の運転制御のために、他方のバンク(以下、他バンクと称することがある。)の運転状態に関する情報を参照しかつ取得することができる。
また、内燃機関1には、アイドリング状態を制御するためのアイドル制御装置16R、16Lがバンク毎に設けられている。各アイドル制御装置16R、16Lはサージタンク部5R、5Lと後述するパージ通路22の分岐部22R、22Lとを結ぶ迂回通路17R、17Lと、各迂回通路17R、17Lに設けられたアイドル制御弁18R、18Lとを有している。各アイドル制御弁18R、18Lはその開度がECU14R、14Lにて制御されるようになっている。
内燃機関1には燃料タンク13で生じた蒸発燃料をパージガスとして各バンク3R、3Lに導く蒸発燃料処理装置(以下、処理装置と略す。)20が設けられている。処理装置20は、燃料タンク13で発生する蒸発燃料を吸着するキャニスタ21と、そのキャニスタ21から各気筒群の第1吸気通路4R及び第2吸気通路4Lにパージガスを導くためのパージ通路22と、パージ通路22を介して吸気通路4R、4Lに導かれるパージガスの流量を調整するためのパージ弁23R、23Lとを備えている。
パージ通路22は、気筒群間で共用される単一の共用部22Aと、その共用部22Aの終端からバンク毎に分岐された分岐部22R、22Lとを備えている。共用部22Aはキャニスタ21の内部通路も含む。分岐部22R、22Lはスロットル弁7R、7Lの下流において吸気通路4R、4Lに接続されている。より正確には、図1の破線で示すように、分岐部22Rは第1吸気通路4Rの各分岐部6Rに対してスロットル弁7Rの下流側の位置に接続され、分岐部22Lは第2吸気通路4Lの各分岐部6Lに対してスロットル弁7Lの下流側の位置に接続されている。パージ弁23R、23Lは分岐部22R、22Lにそれぞれ設けられている。分岐部22R、22Lは互いに同一構成であり、パージ弁23R、23Lも互いに同一構成である。
パージ弁23R、23Lは、一例として、不図示のソレノイド部への通電状態のオン(通電)及びオフ(通電停止)を切り換えてスロットル弁7R、7Lよりも下流の吸気通路4R、4Lに発生する負圧の導入及び導入停止を制御することにより開閉駆動されるバキュームスイッチングバルブとして構成されている。パージ弁23R、23Lの開度は、それぞれのソレノイド部に与える励磁電流のデューティー比の制御によって調整される。そして、パージ弁23R、23Lに与える励磁電流のデューティー比は、ECU14R、14Lによってバンク毎にそれぞれ独立して制御される。つまり、一方のバンク3Rに対応するパージ弁23Rのデューティー比はECU14Rによって制御され、他方のバンク3Lに対応するパージ弁23Rのデューティー比はECU14Lによって制御される。なお、ここでいうデューティ比は、制御の一周期に占めるオン時間の割合、つまりオンデューティ比を意味する。
次に、各ECU14R、14Lが行う制御について説明する。なお、各ECU14R、14Lが本発明に関連して実施する制御は略同一である。以下、重複した説明を避けるため、第1バンク3Rを担当するECU14Rの制御について説明し、反対側のECU14Lの制御については特に言及する必要がある場合を除いて説明を省略する。
ECU14Rは内燃機関1の運転中に、キャニスタ21に吸着した蒸発燃料をパージするためのパージ制御を行う。パージ制御の実行中は、パージ弁23Rが適当なデューティ比で開閉駆動される。パージ弁23Rが開弁すると、吸気負圧がキャニスタ21に導かれる。その結果、不図示の大気導入口から空気が吸入され、その空気によってキャニスタ21から蒸発燃料がパージされる。それにより、蒸発燃料を含むパージガスはパージ通路22の分岐部22Rを経由して第1吸気通路4Rの各分岐部6Rに導入される。
内燃機関1の通常運転時には、ECU14Rは燃焼室に導かれる混合気の空燃比を目標空燃比にするための空燃比フィードバック制御を実行している。パージガスが目標空燃比よりリッチであれば空燃比はリッチ側に偏ったものとなる。一方、パージガスがリーンであれば、空燃比もリーンに偏った値となる。このため、パージガスの導入に伴う空燃比の変化に基づいてパージガスの濃度(パージガスに占めるHC成分の割合)を推定することができ、その推定によってパージガスの濃度を特定することができる。
ECU14Rは、通常運転の実行中に、空燃比フィードバック制御を実行しつつ、パージガスの導入に伴う空燃比の変化に基づいてパージガスの濃度を特定する濃度学習制御を実行している。その濃度学習制御の実行によりパージガスの濃度が特定された場合には、そのパージガスの流量に基づいてパージ制御に伴う内燃機関1に供給される燃料量を推定できる。従って、パージガスの影響が相殺されるように燃料噴射量に増減補正を施すことで、エミッションを悪化させることなく、キャニスタ21に吸着された蒸発燃料を処理することが可能である。
パージ制御においては、パージガスの濃度が正しく学習できるまでは、空燃比がある程度バラつくこととなる。このため、エミッションの悪化を出来るだけ防止するために、濃度学習制御においてはパージガスの流量を十分に絞った状態で開始し、徐々にその流量を増加させるようにしている。なお、以上述べた制御は本発明の主要部ではなく、かつ公知の手法と同様であるので、これ以上の詳しい説明は省略する。
本形態の制御の特徴は、自バンクと他バンクとの間でパージガスの濃度の特定結果を共有し、他バンクの濃度学習制御の結果として得られたパージガスの濃度を利用して自バンクに対するパージ制御を行うことにある。
図2は、ECU14Rが行う制御ルーチンの一例を示したフローチャートである。このルーチンのプログラムはECU14Rが持っているROM等の記憶装置に保持されており、適時に読み出されて繰り返し実行される。まず、ステップS1において、ECU14Rは自バンクに対するパージ制御の実行条件が成立しているか否かを判定する。実行条件は適宜に定めてよい。実行条件が成立している場合はステップS2に進み、そうでない場合は以後の処理をスキップして今回のルーチンを終了する。
ステップS2では、自バンクに対する濃度学習制御が完了したか否かを判定する。つまり、パージガスの濃度を特定したか否かを判定する。濃度学習制御が完了している場合は、ステップS3に進み、完了していない場合はステップS4に進む。
ステップS3では、ECU14Rが記憶しているパージガス濃度(自バンク濃度)をパージ制御に使用することとして、ステップS6に処理を進める。なお、ここでいう自バンク濃度は、濃度学習制御が完了している場合には特定されたパージガスの濃度のことであり、濃度学習制御が完了前の場合には濃度学習制御の途中で記憶される又は所定の初期値として与えられるパージガスの濃度のことである。
ステップS4では、ECU14Rは通信回線15を介してECU14Lの情報を参照し、他バンクに対してECU14Lが行う濃度学習制御が完了しているか否かを判定する。濃度学習制御が完了している場合はステップS5に進み、そうでない場合はステップS3に進む。
ステップS5では、ECU14RはECU14Lが記憶しているパージガスの濃度(他バンク濃度)を自バンクに対するパージ制御のために使用することとして、ステップS6に処理を進める。
ステップS6では、ステップS3、ステップS5で使用することに決定したパージガスの濃度に応じたパージガスの流量が得られるようにパージ弁23Rを操作する。パージ弁23の開度即ち操作量は、そのROM内に保持されたパージ流量マップ(不図示)を参照して、現在の吸気管圧力と目標流量とに対応するパージ弁23Rの目標デューティー比を演算することにより決定する。パージ流量マップは、他バンクのパージ弁23Lを完全に閉じた状態で、自バンクのパージ弁23Rのデューティ比を全閉状態から全開状態に変化化させたときのデューティ比と流量との関係を吸気管圧力毎に記述したデータである。吸気管圧力は吸気圧センサによる検出値でもよいし、吸入空気量、スロットル弁開度、機関回転数といった運転制御パラメータから演算された推定値でもよい。
ステップS7では、ステップS6で操作したパージ弁23Rの操作量に応じて第1バンク3Rに対する燃料供給量が補正されるように、燃料供給装置9の各燃料噴射弁10を操作する。そして、今回のルーチンを終了する。
以上のルーチンによれば、自バンクに対するパージ制御を実行するに当たり、他バンクに対する濃度学習制御が完了している場合には、他バンクに対するその濃度学習制御の結果として得られた他バンク濃度を自バンクのパージ制御で利用することができる。これにより、自バンクに対する濃度学習制御を行うことなくパージガスの濃度を特定できるので、直ちにパージガスの濃度に応じた流量が得られるようにパージ弁23Rを操作できる。また、そのパージ弁23Rの操作量に応じて燃料噴射量が補正されるので、エミッションの悪化や燃焼悪化を防止することができる。
(第2の形態)
次に、本発明の第2の形態を図3を参照して説明する。第2の形態は制御内容の一部を除いて第1の形態と共通の構成を持っているので、以下、共通の構成の説明を省略することとする。内燃機関1の構成等については図1が適宜参照される。図3は第2の形態に係る制御ルーチンの一例を示したフローチャートである。このルーチンのプログラムはECU14Rが持っているROM等の記憶装置に保持されており、適時に読み出されて繰り返し実行される。なお、図2と共通する処理については同一の参照符号を付して説明を省略する。この形態では、ステップS3又はステップS5において自バンクに対するパージ制御で使用するパージガスの濃度が決定した後にはステップS21に処理を進める。
次に、本発明の第2の形態を図3を参照して説明する。第2の形態は制御内容の一部を除いて第1の形態と共通の構成を持っているので、以下、共通の構成の説明を省略することとする。内燃機関1の構成等については図1が適宜参照される。図3は第2の形態に係る制御ルーチンの一例を示したフローチャートである。このルーチンのプログラムはECU14Rが持っているROM等の記憶装置に保持されており、適時に読み出されて繰り返し実行される。なお、図2と共通する処理については同一の参照符号を付して説明を省略する。この形態では、ステップS3又はステップS5において自バンクに対するパージ制御で使用するパージガスの濃度が決定した後にはステップS21に処理を進める。
ステップS21ではパージ制御の開始時(濃度学習制御の開始時)におけるパージ率を、ステップS3又はステップS5で決定したパージガスの濃度に応じて算出する。パージ率は気筒群の吸入ガス量に占めるパージガスの導入量の割合を示したものである。このパージ率は、例えばパージガスの濃度が高いほど低いパージ率を与えるマップをECU14Rが参照することにより算出してもよい。続くステップS22では、パージ制御の開始時におけるパージ弁23Rの操作量をパージ率に基づいて決定し、その操作量が実現されるようにパージ弁23Rを操作する。
第2の形態によれば、自バンクの濃度学習制御を開始するにあたり、他バンクの濃度学習制御が完了している場合は、その学習制御にて特定された他バンクのパージガスの濃度に基づいてパージ弁23Rの操作量が決定される。これにより、濃度学習制御を開始する際のパージ弁23Rの開度量を必要以上に絞ることを防止できるから、速やかな蒸発燃料の処理が可能になる。
(第3の形態)
次に、本発明の第3の形態を図4を参照して説明する。第3の形態は制御内容の一部を除いて第1の形態と共通の構成を持っているので、以下、共通の構成の説明を省略することとする。内燃機関1の構成等については図1が適宜参照される。図4は第3の形態に係る制御ルーチンの一例を示したフローチャートである。このルーチンのプログラムはECU14Rが持っているROM等の記憶装置に保持されており、適時に読み出されて繰り返し実行される。なお、図2と共通する処理については同一の参照符号を付して説明を省略する。この形態では、ステップS3又はステップS5において自バンクに対するパージ制御で使用するパージガスの濃度が決定した後にはステップS31に処理を進める。
次に、本発明の第3の形態を図4を参照して説明する。第3の形態は制御内容の一部を除いて第1の形態と共通の構成を持っているので、以下、共通の構成の説明を省略することとする。内燃機関1の構成等については図1が適宜参照される。図4は第3の形態に係る制御ルーチンの一例を示したフローチャートである。このルーチンのプログラムはECU14Rが持っているROM等の記憶装置に保持されており、適時に読み出されて繰り返し実行される。なお、図2と共通する処理については同一の参照符号を付して説明を省略する。この形態では、ステップS3又はステップS5において自バンクに対するパージ制御で使用するパージガスの濃度が決定した後にはステップS31に処理を進める。
ステップS31では濃度学習制御におけるパージ率の上昇率をステップS3又はステップS5で決定したパージガスの濃度に応じて決定する。上述したように、濃度学習制御では、パージガスの流量を十分に絞った状態で開始し、徐々にその流量を増加させるように、換言すれば、その開始からの時間経過とともにパージ率が上昇するように、パージ弁23Rを操作するものある。つまり、パージ率の上昇率が大きいほど速やかに蒸発燃料が処理できることになる。そこで、この上昇率は、例えばパージガスの濃度が高いほど低い上昇率を与えるマップをECU14Rが参照することにより決定してもよい。続くステップS32では、ステップ31で決定した上昇率に従ってパージガスの流量が得られるようにパージ弁23Rを操作する。
第3の形態によれば、一定の上昇率で濃度学習制御を行う場合と比べてより速やかな蒸発燃料の処理が可能になる。
(第4の形態)
次に、本発明の第4の形態を図5を参照して説明する。第4の形態は制御内容の一部を除いて第1の形態と共通の構成を持っているので、以下、共通の構成の説明を省略することとする。内燃機関1の構成等については図1が適宜参照される。図5は第4の形態に係る制御ルーチンの一例を示したフローチャートである。このルーチンのプログラムはECU14Rが持っているROM等の記憶装置に保持されており、適時に読み出されて繰り返し実行される。なお、図2と共通する処理については同一の参照符号を付して説明を省略する。
次に、本発明の第4の形態を図5を参照して説明する。第4の形態は制御内容の一部を除いて第1の形態と共通の構成を持っているので、以下、共通の構成の説明を省略することとする。内燃機関1の構成等については図1が適宜参照される。図5は第4の形態に係る制御ルーチンの一例を示したフローチャートである。このルーチンのプログラムはECU14Rが持っているROM等の記憶装置に保持されており、適時に読み出されて繰り返し実行される。なお、図2と共通する処理については同一の参照符号を付して説明を省略する。
この形態では、ECU14Rが上述した空燃比フィードバック制御の他に、そのフィードバック補正係数を修正して第1バンク3Rに吸入される空燃比を目標空燃比に維持させるための空燃比学習制御を実行している。この空燃比学習制御は基本空燃比学習制御と呼ばれることがあり、経年劣化等により空燃比フィードバック制御のみでは対処が困難な定常的な空燃比のずれを解消するための周知の制御である。この形態の特徴は、この空燃比学習制御と濃度学習制御との優先順位をパージガスの濃度に応じて決めることにある。
図5に示すように、この形態では、ステップS3又はステップS5において自バンクに対するパージ制御で使用するパージガスの濃度が決定した後にはステップS41に処理を進める。ステップS41では、使用決定したパージガスの濃度(使用濃度)が所定レベルを超えて高いか否かを判定する。その判定の結果、所定レベルを超えている場合はステップS42に進み、所定レベル以下の場合はステップS43に進む
ステップS42では、上述した空燃比学習制御に優先して濃度学習制御(パージ制御)を実行し、ステップS43では、濃度学習制御に優先して空燃比学習制御を実行する。所定レベルは、パージガスの導入による空燃比学習制御への影響が許容範囲内に収まるようなレベルに設定される。なお、この所定レベルは各バンクで同一値にしてもよいし、各バンクの状態に応じて所定レベルを変更することもできる。
第4の形態によれば、使用濃度が所定レベルを超えた場合は空燃比学習制御に優先して濃度学習制御が行われ、所定レベル以下の場合は濃度学習制御に優先して空燃比学習制御が行われる。従って、パージガスの導入による空燃比学習制御への影響を低減することができ、空燃比学習制御の精度が向上する。
(第5の形態)
次に、本発明の第5の形態を図6を参照して説明する。この形態は、空燃比学習制御の実行の必要性を判断するためのものであり、第4の形態と組み合わせて実施できる。第5の形態は制御内容を除いて第1の形態と共通の構成を持っているので、以下、共通の構成の説明を省略することとする。内燃機関1の構成等については図1が適宜参照される。図6は第5の制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンのプログラムはECU14Rが持っているROM等の記憶装置に保持されており、適時に読み出されて繰り返し実行される。
次に、本発明の第5の形態を図6を参照して説明する。この形態は、空燃比学習制御の実行の必要性を判断するためのものであり、第4の形態と組み合わせて実施できる。第5の形態は制御内容を除いて第1の形態と共通の構成を持っているので、以下、共通の構成の説明を省略することとする。内燃機関1の構成等については図1が適宜参照される。図6は第5の制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンのプログラムはECU14Rが持っているROM等の記憶装置に保持されており、適時に読み出されて繰り返し実行される。
まず、ECU14RはステップS51において、自バンクに対するパージ制御の実行条件が成立しているか否かを判定する。実行条件は適宜に定めてよい。実行条件が成立している場合はステップS52に進み、そうでない場合は以後の処理をスキップして今回のルーチンを終了する。
ステップS52では、自バンクに対する濃度学習制御が完了したか否かを判定する。濃度学習制御が完了している場合は、ステップS53に進み、完了していない場合は以後の処理をスキップして今回のルーチンを終了する。
ステップS53では、ECU14Rは通信回線15を介してECU14Lの情報を参照し、他バンクに対してECU14Lが行う濃度学習制御が完了しているか否かを判定する。濃度学習制御が完了している場合はステップS54に進み、そうでない場合は以後の処理をスキップして今回のルーチンを終了する。
ステップS54では、自バンクに対して行われた濃度学習制御により特定されたパージガスの濃度と、他バンクに対して行われた濃度学習制御により特定されたパージガスの濃度との差を演算し、その濃度差が許容範囲を超えて大きいか否かを判定する。本来パージガスの濃度はバンク毎に等しくならねばならないため、その濃度差が許容範囲を超えて大きいということは濃度学習制御の結果が不適切であることが予想される。濃度学習制御の結果に影響する要因としては種々のものがあるが、ここでは空燃比学習制御をやり直すことを試みる。即ち、ステップS54で、濃度差が許容範囲を超えている場合はステップS55に進みパージ制御を禁止して、続くステップS56で空燃比学習制御を実行する。一方、ステップS54で、濃度差が許容範囲を超えていない場合は濃度学習制御の結果が正しいことが推認されるため以後の処理をスキップして今回のルーチンを終了する。
第5の形態によれば、濃度差を監視することにより、バンク毎の濃度学習制御の正しさを判定でき、その結果が不適切であれば空燃比学習制御を実行することができる。これにより、バンク毎の濃度学習制御の正しさを一定のレベルに補償することができる。なお、この形態に係る制御は、ECU14R、14Lのいずれか一方のみが行えばよく、両方のECU14R、14Lで行う必要はない。
(第6の形態)
次に、本発明の第6の形態を図7を参照して説明する。この形態は第5の形態と関連するものであり、第4の形態と組み合わせて実施できる。第6の形態は制御内容を除いて第1の形態と共通の構成を持っているので、以下、共通の構成の説明を省略することとする。内燃機関1の構成等については図1が適宜参照される。図7は形態に係る制御ルーチンの一例を示したフローチャートである。このルーチンのプログラムはECU14Rが持っているROM等の記憶装置に保持されており、適時に読み出されて繰り返し実行される。なお、図6と共通する処理については同一の参照符号を付して説明を省略する。図7の処理は、上述した空燃比学習制御が実行済みであることを条件に処理が開始される。
次に、本発明の第6の形態を図7を参照して説明する。この形態は第5の形態と関連するものであり、第4の形態と組み合わせて実施できる。第6の形態は制御内容を除いて第1の形態と共通の構成を持っているので、以下、共通の構成の説明を省略することとする。内燃機関1の構成等については図1が適宜参照される。図7は形態に係る制御ルーチンの一例を示したフローチャートである。このルーチンのプログラムはECU14Rが持っているROM等の記憶装置に保持されており、適時に読み出されて繰り返し実行される。なお、図6と共通する処理については同一の参照符号を付して説明を省略する。図7の処理は、上述した空燃比学習制御が実行済みであることを条件に処理が開始される。
ステップS54で濃度差が許容範囲を超えている場合はステップ61に進む。ステップS61では、パージガスの流量に影響する箇所に異常があるものと判断する。例えばパージ弁23R、23Lが固着した場合や、パージ通路22が詰まった場合などがこれに該当する。続くステップS62では、このような異常を運転者等に知らせるため、所定の警告を表示させる。
第6の形態によれば、パージガスの流量に影響する箇所に異常があるかどうかを判断することができ、そのような異常の存在を運転者等に知らせることができる。なお、この形態に係る制御は、ECU14R、14Lのいずれか一方のみが行えばよく、両方のECU14R、14Lで行う必要はない。
以上の各形態においては、ECU14Rの制御を説明したが、同様の制御をECU14Lも同時に行っている。従って、各ECU14R、14Lが図2〜図7の各ルーチンを実行することにより、ECU14Rは本発明の第1制御手段として、ECU14Lは本発明の第2制御手段としてそれぞれ機能する。但し、本発明は上記各形態に限定されず、種々の形態にて実施できる。上述した各形態は単独で実施されることが必須ではなく、矛盾を生じない範囲内でこれらの各形態を適宜組み合わせて実施することができる。また、本発明は2つの気筒群を有する内燃機関に限らず、3以上の気筒群を有する内燃機関にも適用可能である。また、本発明を適用し得る内燃機関はV型に限らず、他形式の内燃機関に適用することもできる。
1 内燃機関
3R 第1バンク(第1気筒群)
3L 第2バンク(第2気筒群)
9 燃料供給装置(燃料供給手段)
14R ECU(第1制御手段)
14L ECU(第2制御手段)
15 通信回線(通信手段)
20 蒸発燃料処理装置
21 キャニスタ
22 パージ通路
22A 共用部
22R 第1分岐部
22L 第2分岐部
23R 第1パージ弁
23L 第2パージ弁
3R 第1バンク(第1気筒群)
3L 第2バンク(第2気筒群)
9 燃料供給装置(燃料供給手段)
14R ECU(第1制御手段)
14L ECU(第2制御手段)
15 通信回線(通信手段)
20 蒸発燃料処理装置
21 キャニスタ
22 パージ通路
22A 共用部
22R 第1分岐部
22L 第2分岐部
23R 第1パージ弁
23L 第2パージ弁
Claims (7)
- 単一のキャニスタから第1気筒群及び第2気筒群のそれぞれにパージガスを導くように設けられ、前記第1気筒群及び第2気筒群で共用される共用部と前記共用部から気筒群毎に分岐された第1分岐部及び第2分岐部とを有するパージ通路と、前記パージ通路の前記第1分岐部に設けられてパージガスの流量を調整する第1パージ弁と、前記パージ通路の前記第2分岐部に設けられてパージガスの流量を調整する第2パージ弁と、前記第1気筒群に対するパージガスの導入に伴う空燃比の変化に基づいてパージガスの第1濃度を特定することにより完了する第1濃度学習制御を実行する第1制御手段と、前記第2気筒群に対するパージガスの導入に伴う空燃比の変化に基づいてパージガスの第2濃度を特定することにより完了する第2濃度学習制御を実行する第2制御手段と、前記第1濃度及び前記第2濃度を前記第1制御手段と前記第2制御手段との間で相互に取得できるように前記第1制御手段と前記第2制御手段とを接続する通信手段と、を備え、
前記第1制御手段は、前記第1濃度を特定した後には、前記第1濃度に応じたパージガスの流量が得られるように、前記第1パージ弁を操作する一方、前記第1濃度を特定する前には、前記通信手段を介して取得した前記第2濃度に応じたパージガスの流量が得られるように、前記第1パージ弁を操作し、
前記第2制御手段は、前記第2濃度を特定した後には、前記第2濃度に応じたパージガスの流量が得られるように、前記第2パージ弁を操作する一方、前記第2濃度を特定する前には、前記通信手段を介して取得した前記第1濃度に応じたパージガスの流量が得られるように、前記第2パージ弁を操作する、ことを特徴とする内燃機関の蒸発燃料処理装置。 - 前記内燃機関には、前記第1気筒群に対して燃料を供給する第1燃料供給手段と、前記第2気筒群に対して燃料を供給する第2燃料供給手段とが設けられており、
前記第1制御手段は、前記第1パージ弁の操作量に応じて前記第1気筒群に対する燃料供給量が補正されるように前記第1燃料供給手段を操作し、
前記第2制御手段は、前記第2パージ弁の操作量に応じて前記第2気筒群に対する燃料供給量が補正されるように前記第2燃料供給手段を操作する、請求項1に記載の蒸発燃料処理装置。 - 前記第1制御手段は、前記第1濃度学習制御を開始する際の前記第1パージ弁に対する操作量を前記第2濃度に基づいて決定し、
前記第2制御手段は、前記第2濃度学習制御を開始する際の前記第2パージ弁に対する操作量を前記第1濃度に基づいて決定する、請求項1又は2に記載の蒸発燃料処理装置。 - 前記第1濃度学習制御は、その開始からの時間経過とともに前記第1気筒群の吸入ガス量に占めるパージガスの導入量の割合である第1パージ率が上昇するように前記第1パージ弁を操作するものであり、
前記第2濃度学習制御は、その開始からの時間経過とともに前記第2気筒群の吸入ガス量に占めるパージガスの導入量の割合である第1パージ率が上昇するように前記第2パージ弁を操作するものであり、
前記第1制御手段は、前記第1パージ率の上昇率を前記第1濃度又は前記第2濃度に応じて決定し、
前記第2制御手段は、前記第2パージ率の上昇率を前記第1濃度又は前記第2濃度に応じて決定する、請求項1又は2に記載の蒸発燃料処理装置。 - 前記第1制御手段は、前記第1気筒群に導かれる吸入ガスの空燃比を目標空燃比に維持させるための第1空燃比学習制御を更に実行し、かつ前記第1濃度又は前記第2濃度が第1所定レベルを超えて高い場合に前記第1空燃比学習制御に優先して前記第1濃度学習制御を実行する一方、前記第1濃度又は前記第2濃度が前記第1所定レベル以下の場合に前記第1濃度学習制御に優先して前記第1空燃比学習制御を実行し、
前記第2制御手段は、前記第2気筒群に導かれる吸入ガスの空燃比を目標空燃比に維持させるための第2空燃比学習制御を更に実行し、かつ前記第1濃度又は前記第2濃度が第2所定レベルを超えて高い場合に前記第2空燃比学習制御に優先して前記第2濃度学習制御を実行する一方、前記第1濃度又は前記第2濃度が前記第2所定レベル以下の場合に前記第2濃度学習制御に優先して前記第2空燃比学習制御を実行する、請求項1又は2に記載の蒸発燃料処理装置。 - 前記第1制御手段は、前記第1気筒群に導かれる吸入ガスの空燃比を目標空燃比に維持させるための第1空燃比学習制御を更に実行し、かつ前記第1濃度と前記第2濃度との差が許容範囲を超えて大きい場合に、前記第1濃度学習制御の実行を禁止して前記第1空燃比学習制御を実行し、
前記第2制御手段は、前記第2気筒群に導かれる吸入ガスの空燃比を目標空燃比に維持させるための第2空燃比学習制御を更に実行し、かつ前記第1濃度と前記第2濃度との差が許容範囲を超えて大きい場合に、前記第2濃度学習制御の実行を禁止して前記第2空燃比学習制御を実行する、請求項1又は2に記載の蒸発燃料処理装置。 - 前記第1制御手段は、前記第1気筒群に導かれる吸入ガスの空燃比を目標空燃比に維持させるための第1空燃比学習制御を更に実行するとともに、前記第1濃度と前記第2濃度との差が許容範囲を超えて大きく、かつ前記第1空燃比学習制御が実行済である場合に、パージガスの流量に影響する箇所に異常があるものと判断し、
前記第2制御手段は、前記第2気筒群に導かれる吸入ガスの空燃比を目標空燃比に維持させるための第2空燃比学習制御を更に実行するとともに、前記第1濃度と前記第2濃度との差が許容範囲を超えて大きく、かつ前記第2空燃比学習制御が実行済である場合に、パージガスの流量に影響する箇所に異常があるものと判断する、請求項1又は2に記載の蒸発燃料処理装置。
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JP7560987B2 (ja) | 2020-10-09 | 2024-10-03 | 株式会社Subaru | エンジン制御装置 |
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2008
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