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JP2009156618A - フォトマスクの欠陥検査装置、フォトマスクの欠陥検査方法及びフォトマスクの製造方法 - Google Patents

フォトマスクの欠陥検査装置、フォトマスクの欠陥検査方法及びフォトマスクの製造方法 Download PDF

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JP2009156618A JP2007332428A JP2007332428A JP2009156618A JP 2009156618 A JP2009156618 A JP 2009156618A JP 2007332428 A JP2007332428 A JP 2007332428A JP 2007332428 A JP2007332428 A JP 2007332428A JP 2009156618 A JP2009156618 A JP 2009156618A
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文明 東
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Abstract

【課題】映像デバイスの製造に用いるフォトマスクの欠陥検査装置において、正確にムラ欠陥を検出することを課題とする。
【解決手段】第1の照明装置12と第2の照射装置13を用いて、互いに別の方向からフォトマスク10表面の繰り返しパターンに光照射し、受光器14において第1の照明装置12及び第2の照射装置13による回折光を受光して受光データに光電変換し、解析装置15でムラ欠陥の有無を判定することにより、精度よくムラ欠陥検査をすることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、撮像デバイス及び表示デバイス等の映像デバイスの製造に用いるフォトマスクの欠陥検査装置、欠陥検査方法及び製造方法に関するものである。
撮像デバイス及び表示デバイス等の映像デバイスを製造するには、単位パターンが規則的に配列した繰り返しパターンを有するフォトマスクによるフォトリソグラフィ工程が必要である。フォトリソグラフィ技術においてフォトマスクは、印刷における原版と同じであり、フォトマスクのパターン形状が大量に転写コピーされる。よってフォトマスクのパターン形状に瑕疵があると、それを用いて製造された映像デバイスすべてに影響が及ぶことになるため、フォトマスクのパターン形状には高精度が要求される。
ところで、フォトリソグラフィ技術で使われる露光装置で加工することができる最小加工寸法は、下記(1)式で表わされるレイリー解像限界Rで表わされる。
R=0.61λ/NA (1)
ここで、λは露光に用いる光の波長である。NAは光学系の開口数であり、光学系の口径を示し、空気中では点状のレンズのNAはゼロで、無限大口径レンズのNAは1である。つまり、現実のレンズは0より大きく1より小さいNAを持つことになる。
通常、画素パターンのような繰り返しパターンを有するフォトマスクを製造する際には、パターン寸法によらず100nmオーダーの変動を許容変動範囲として管理している。このように管理されている場合、描画装置の「機械誤差」や環境要因による描画性能の変動、あるいは「現像工程」等での僅かなゆらぎに起因する許容変動範囲以下の微細(例えば10〜数100nmオーダー)な変動がフォトマスクに規則的又は局所的に生じることがある。このような規則的又は局所的にあるごく微細な変動は、露光装置の解像限界以下なので通常はその形状どおりには転写されず、また最終的な電子デバイスに誤動作を生じさせることも殆どない。しかしながら、未解像の状態であっても映像デバイス上に転写されることがあり、それらが規則的に配列している、又は複数の欠陥が密集して多発しているため、映像デバイスにした時に、人間の目には見えてしまい欠陥として認識されるものもある。
このような露光装置の解像限界以下のごく微細な変動には、単位パターンが部分的に細くなったり太くなるような形状異常や、単位パターンの位置がずれたり、単位パターン同士の間隔が部分的に異なるような配列異常があり、これらの異常は、規則的に発生する場合がある。更には、規則性はなくても特定の範囲に多発する場合がある。
従来、上記のような、単位パターンが規則的に配列した繰り返しパターンを表面に有するフォトマスクにおける、単位パターンの規則とは異なる規則性をもって複数の単位パターンに生じた形状異常又は配列異常や、規則性がなく隣接する複数の単位パターンに多発した形状異常又は配列異常であって、異常の寸法が、フォトマスクを映像デバイスの製造に用いる際の露光光学系の解像限界以下である形状異常又は配列異常(以下、ムラ欠陥という)を検査するには、目視による斜光検査等の外観検査によって主に実施されていた。
しかし、この目視検査は主観的に検査であるため、作業者によって検査結果にばらつきが発生するという問題があった。そこで、例えば特許文献1のような、半導体ウエハ表面に光を照射し、半導体ウエハ上の繰り返しパターンによる回折光を利用したムラ欠陥検査方法が提案されている。
特許文献1には、被検査体である半導体ウエハに光を照射して、半導体ウエハ表面の繰り返しパターンによる回折光を受光して、その回折光を解析することにより繰り返しパターンのムラ欠陥を検査する装置であって、欠陥検出において最大のS/N比を得る方向を選ぶために、特定の方向で検査した後に、半導体ウエハを90°回転して再度検査するものが記載されている。
特開平9−329555号公報
上記のように被検体を90°回転して再検査することはある程度有効である。これは、検査領域に発生した上記欠陥が、検査光の照射方向に依存して、受光データから識別しやすい場合としにくい場合があるからである。例えば、ある照射方向から照射光を検査領域に照射し、その散乱光に含まれる回折光を受光したとき、正常パターン(上記繰り返しパターン)に起因する回折光の信号中に、上記欠陥に起因する特異的な信号が検出されたとき、その検査領域には上記欠陥が存在することが判断できる。一方、そのような特異的な信号が検出されなかったとき、その被検査体には上記欠陥が存在しないと判断することにはリスクがある。そのときに適用した照射方向は、その検査領域に存在する欠陥を識別しにくいものであったかもしれないからである。
つまり、被検体と照射光の相対的な方向を変えて、再度検査することにより、第1の照射方向では検出できなかった上記欠陥が、第2の照射方向では検出できる場合があることを、発明者は確認した。従って、このように第1、第2の方向から、順次検査を行うことが、フォトマスク製品の製品保証上は有効である。
しかしながら、例えば液晶製造用フォトマスクに代表されるような大型フォトマスク(例えば一辺が100cm以上あるもの)においては、一度の検査視野でマスク全面を検査することは不可能であるから、検査視野を順次移動しつつ、更に照射方向を順次変更して検査することは、多くの時間を有する。但し、上記のように、欠陥の種類や形状に応じて、検出しやすい、検査光の照射方向に特異性があるのであればやむをえない。
本発明は、一方で上記特異性を勘案し、他方で検査の効率を高め、ムラ欠陥を精度よく検査できる欠陥検査装置または欠陥検査方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明者らは、複数の光源を用いて複数の方向から同時に光照射して、それら複数の光照射による回折光を解析することにより、作業効率を改善すると共に、ムラ欠陥を精度良く検査することを考えた。
一般に、繰り返しパターンに光照射した場合に発生する回折光のうち、n次(nは整数)の回折光の回折角θ(繰り返しパターンを含む平面の垂線と回折光のなす角)は、以下の式で表わされる。
sinθ=(nλ/d)・sinθ (2)
ここで、λは入射光の波長、dは回折光の発生に寄与する繰り返しパターンの周期、θは入射光の入射角(繰り返しパターンを含む平面の垂線と入射光のなす角)である。
繰り返しパターンの周期が完全に一様であれば、n次回折光は(2)式で表わされるθの方向で強め合うような干渉縞になるが、ある単位パターンにムラ欠陥があった場合、その部分だけ周期dが異なるため、回折光に特異成分が含まれることになる。よって、回折光を観察して特異成分による受光信号の有無からムラ欠陥の有無を判定することができる。
上記(2)式において、回折光の発生に寄与する繰り返しパターンの周期dとは、繰り返しパターンにおける横方向の周期、縦方向の周期又は斜め方向の周期のうち、回折光の発生に寄与する周期のことであり、それは入射光の入射方向と繰り返しパターンの向きとの相対関係に依存する。つまり、回折光の発生に寄与する繰り返しパターンの周期dとは、入射光の入射方向に沿った方向のパターン周期である。
よって、ムラ欠陥が存在する場合でも、その欠陥によるパターン周期のずれが、回折光の発生に寄与する周期の方向、つまり、入射光の入射方向でなければ、そのムラ欠陥は検出しにくい。したがって、一方向から光照射して検査しただけでは、十分なムラ欠陥検査はできず、精度の良いムラ欠陥検査をするには、複数の方向から光照射して検査をする必要がある。
ここで、上記の認識、及び先に挙げた先行技術などの記載を考慮すると、上記欠陥の検査にあたっては、欠陥の種類や形状に応じて、もっとも検出感度の高い一方向から照射光を照射するのが良いと考えることが自然であり、同時に複数の照明を受けることは、照射方向と欠陥の種類や形状の相互関係に依存した特異性を阻害するために、検出感度が得られないと考えられていたため、本発明の効果は、予測を超えたものであった。
本発明者らは、複数の光源を用いて複数の方向から同時に光照射して、それら複数の光照射による回折光を利用してムラ欠陥検査した場合に、複数の入射光が互いに悪影響は及ぼさず、精度のよいムラ欠陥検査ができることが見出された。このような検査が可能であることは、入射光の入射方向を順次変えてムラ欠陥検査する場合よりも、短時間に検査できるので、作業効率も向上する。
つまり、本発明に係るフォトマスクの欠陥検査装置は、単位パターンが規則的に配列している繰り返しパターンを表面に有するフォトマスクにおける、単位パターン配列の規則とは異なる規則性をもって複数の単位パターンに生じる形状異常もしくは配列異常、又は隣接する複数の単位パターンに生じる形状異常もしくは配列異常であって、異常の寸法が、フォトマスクが用いられる露光光学系の解像限界以下である形状異常又は配列異常を含む欠陥を検査する欠陥検査装置であって、フォトマスクを支持するステージと、ステージに支持されたフォトマスクの表面の繰り返しパターンを含む検査領域に、所定の入射角で所定の波長の光を照射する第1の光源手段と、当該検査領域に所定の入射角で所定の波長の光を第1の光源手段と同時に照射する第2の光源手段と、検査領域からの前記繰り返しパターンによる回折光を受光して受光データに光電変換する受光手段と、受光データから欠陥の有無を判定する解析手段とを有し、第1の光源手段と第2の光源手段は、フォトマスク表面に平行な面内において互いに異なる角度から光照射することを特徴とする。この構成によれば、同じ検査領域を複数回検査することなしに、ムラ欠陥を精度よく検査することができる。
上記本発明に係るフォトマスクの欠陥検査装置においては、第1の光源手段と前記第2の光源手段が、前記フォトマスク表面に平行な面内において互いに90°異なる角度から光照射しても良い。又は、解析手段が、受光データに含まれる光強度分布において、所定の閾値を超えたデータを検出した場合に欠陥と判定するものであっても良い。
上記本発明に係るフォトマスクの欠陥検査装置においては、第1の光源手段及び第2の光源手段が、不連続な複数の波長における強度ピークを有する光源であっても良い。
また、本発明に係るフォトマスクの欠陥検査方法は、単位パターンが規則的に配列している繰り返しパターンを表面に有するフォトマスクにおける、単位パターン配列の規則とは異なる規則性をもって複数の単位パターンに生じる形状異常もしくは配列異常、又は隣接する複数の単位パターンに生じる形状異常もしくは配列異常であって、異常の寸法が、フォトマスクが用いられる露光光学系の解像限界以下である形状異常又は配列異常を含む欠陥を検査する欠陥検査方法であって、ステージに支持された前記フォトマスクの表面の前記繰り返しパターンを含む検査領域に、所定の入射角で所定の波長の光を第1の光源手段及び第2の光源手段からそれぞれ同時に照射する光照射工程と、光照射を受けた検査領域からの繰り返しパターンによる回折光を受光して受光データに光電変換する受光工程と、受光データから欠陥の有無を判定する解析工程とを有し、記第1の光源手段と第2の光源手段は、フォトマスク表面に平行な面内において互いに異なる角度から光照射することを特徴とする。この方法によれば、同じ検査領域を複数回検査することなしに、ムラ欠陥を精度よく検査することができる。
上記本発明に係るフォトマスクの欠陥検査方法においては、第1の光源手段と前記第2の光源手段が、前記フォトマスク表面に平行な面内において互いに90°異なる角度から光照射しても良い。又は、解析工程が、受光データに含まれる光強度分布において、所定の閾値を超えたデータを検出した場合に欠陥と判定するものであっても良い。
上記本発明に係るフォトマスクの欠陥検査方法においては、第1の光源手段及び第2の光源手段が、不連続な複数の波長における強度ピークを有するものであっても良い。
また、本発明に係るフォトマスクの製造方法は、上記本発明に係るフォトマスクの欠陥検査方法によりフォトマスク表面の欠陥検査を行う工程を具備することを特徴とする。この方法によれば、ムラ欠陥を精度よく検査できるので、ムラ欠陥の少ないフォトマスクを製造することができる。
本発明に係るフォトマスクの欠陥検査装置又はフォトマスクの欠陥検査方法では、複数の光源を用いて同時に複数の方向から光照射して、それら複数の光照射による回折光を受光した受光データを解析してムラ欠陥検査する。この際、照射方向に特異性のある欠陥に、それ以外の照射光が照射されることが、検出の妨げにはならず、むしろ、欠陥の検出確率が上がることから、精度のよいムラ欠陥検査ができる共に、作業効率も向上することができる。また、本発明に係るフォトマスクの製造方法においては、複数の光源を用いて複数の方向から同時に光照射して、それら複数の光照射による回折光を受光データとし、解析してムラ欠陥検査する工程を含むので、精度のよいムラ欠陥検査を短時間ででき、ムラ欠陥の少ないフォトマスクを製造することができると共に、作業効率を向上できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。図1は、本発明に係る欠陥検査装置の概略構成を示す斜視図である。図1に示すとおり、欠陥検査装置は、被検査体としてのフォトマスク10を保持するためのステージ11と、フォトマスク10の表面の一部である検査領域に斜め上方から光照射する第1の照明装置12と、第1の照明装置12とは別の方向から同時に、当該検査領域に斜め上方から光照射する第2の照明装置13と、フォトマスク10表面からの回折光を受光する受光器14と、受光器14からの受光データからムラ欠陥の有無を判定する解析装置15を具備する。
第1の照明装置12及び第2の照明装置13は、それぞれ、不図示の光源と光学系とからなり、光源は蛍光灯、ハロゲンランプ、超高圧水銀ランプ又はキセノンランプなどを用いることができる。光学系はレンズやミラー等からなり、フォトマスク10表面上の所望の位置に所望の大きさで光照射するように調整する。例えば、一度に検査する検査領域をフォトマスク10の中心部で25mm×25mmの広さとする場合は、フォトマスク10の表面において25mm×25mmの広さをカバーして、フォトマスク10の中心部に光照射するよう、光学系を調整する。なお、検査領域は、後述するフォトマスク10表面の繰り返しパターンを含む必要がある。
受光器14は、CCDラインセンサまたはCCDエリアセンサ等の撮像センサが用いられ、後述するフォトマスク10表面にある繰り返しパターンによる回折光を受光する。受光された回折光は撮像センサにより受光データに光電変換される。
図1においては、第1の照明装置12は、図面の左側の斜め上方から所定の入射角でフォトマスク10表面の検査領域に光照射し、第2の照明装置13は、これと同時に図面の奥側の斜め上方から所定の入射角でフォトマスク10表面の検査領域に光照射し、受光器14は検査領域の真上(フォトマスク10表面の垂線上)で回折光を受光するように配置されている。しかし、それぞれの位置はこれに限定されるものではなく、受光器14は、第1の照明装置12及び第2の照明装置13からの入射光のフォトマスク10による透過光または反射光から、所望次数の回折光を受光する位置であれば良く、第1の照明装置12と第2の照明装置13は、フォトマスク10表面と平行な平面において、互いに異なる方向から光照射するように配置されていればよく、裏面から照射しても良い。
解析装置15においては、後述する原理により、受光器14からの受光データから、フォトマスク10の表面に設けられた繰り返しパターンのごく微細なムラ欠陥の有無を判定する。
次に被検査体であるフォトマスク10について説明する。本発明に係る欠陥検査装置における被検査体であるフォトマスク10は、撮像デバイスや表示デバイス等の映像デバイスの製造に用いられるものである。ここで、撮像デバイスとは、CCD、CMOS、VMIS等の固体撮像装置が代表的なものであり、表示デバイスとは、液晶表示装置、プラズマ表示装置、EL表示装置、LED表示装置、DMD表示装置等が代表的なものである。フォトマスク10は、これらの映像デバイスのいずれかを製造するためのものである。例えば、本実施の形態におけるフォトマスク10は、CCDの受光部の製造に用いられる露光マスクとする。
フォトマスク10は、図1に示すとおり、ガラス基板等の透明基板16上にCCDの受光部の形成に用いられるチップパターン17が規則的に並んでいるものである。図2にチップパターン17の拡大図を示す。図2に示すとおり、チップパターン17は、クロム膜等の遮光膜からなる所望の形状の単位パターン21が、規則的に配列した繰り返しパターンとして、透明基板16上に形成されたものである。
次に、フォトマスク10に形成されるムラ欠陥について説明する。ムラ欠陥は、上述のとおり、フォトマスクの製造工程において形成されるごく微細な形状異常又は配列異常である。フォトマスク10の製造方法の概略を説明すると以下の通りである。まず、透明基板16上に遮光膜を形成し、この遮光膜上にレジスト膜を形成する。次に描画装置により、このレジスト膜に電子線またはレーザビームを所望のパターン形状で照射して描画を施す。その結果、所望のパターン部分のレジスト膜だけが露光される。例えば、ネガ型のレジストを用いる場合は、フォトマスク10において透明基板16上に形成される遮光膜のパターンと同じ形状、つまり、単位パターン21と同じ形状が規則的に配列した繰り返しパターンの形状で、描画すればよい。次に、レジスト膜を現像することにより、単位パターン21と同じ形状のレジストが規則的に配列した繰り返しパターンのレジストパターンを形成する。その後、レジストパターンをマスクとして遮光膜をエッチングすることにより、単位パターン21が規則的に配列した繰り返しパターンの遮光膜を形成する。最後に、残存レジストを除去する。
上述の製造工程では、電子線またはレーザビームの走査により、レジスト膜に直接描画を施す際に、ビームの径やスキャン幅に依存して描画に繋ぎ目が生じ、この繋ぎ目に、描画不良によるエラーが描画単位ごとに周期的に発生することがあり、これがムラ欠陥発生の一因となっている。
このムラ欠陥の一例を図3に示す。図3(a)〜(d)は、チップパターン17に含まれる単位パターン21が規則的に配列した繰り返しパターンの一部であり、ムラ欠陥領域31(破線部分)において、ムラ欠陥が発生した例を示す。図3(a)は、ビームによる描画の繋ぎ目に位置ずれが発生することによって、繰り返しパターンにおける単位パターン21の間隔が部分的に異なってしまうことによるムラ欠陥を示す。図3(b)は、同じく、ビームによる描画の繋ぎ目に位置ずれが発生することによって、繰り返しパターンにおける単位パターン21の位置が、他の単位パターンに対してずれてしまうことによるムラ欠陥を示す。これら図3(a)及び図3(b)に示すようなパターンの配列異常によるムラ欠陥を座標位置変動系のムラ欠陥と称する。また、図3(c)は、描画装置のビーム強度のばらつき等によって、繰り返しパターンの単位パターン21が部分的に細くなるムラ欠陥を示し、図3(d)は同様の理由で単位パターン21が部分的に太くなるムラ欠陥である。これらパターンの形状異常によるムラ欠陥を寸法変動系のムラ欠陥と称する。これらのムラ欠陥のずれ量はnm〜数100nmオーダーである。これらのムラ欠陥は、規則性をもって発生する場合と不規則に隣接した複数の単位パターンに発生する場合がある。上記以外にも、所定領域に存在する複数の単位パターンに、所定寸法より大きな単位パターン(又は小さな単位パターン)が多発するムラ欠陥が生じる場合などもある。
次に、図1の欠陥検査装置の動作を説明する。波長λの入射光を入射角θで、周期dの繰り返しパターンに入射した場合のn次回折光の回折角θは、上述したとおり(2)式で表わされる。よって、図1の欠陥検査装置において、第1の照射装置12から所定の入射角θで波長λの光をフォトマスク10表面の検査領域に照射した場合、所定の位置に設置されている受光器14で受光される回折光は、(2)式で求められる回折光のうち、回折角θが受光器14の方向となるn次の回折光である。図1においては、受光器14は検査領域の真上(フォトマスク10表面の垂線上)に下向きに設置してあるので、回折角θが0°の回折光のみが受光器14で受光される。第2の照明装置13からの入射光に対しても同様である。
ここで、回折光の発生に寄与する繰り返しパターンの周期dは、入射光の方向に対するフォトマスク表面の繰り返しパターンの向きによって変化する。図4にその一例を説明する。図4は、フォトマスク10表面上のチップパターン17に含まれる単位パターン21が規則的に配列した繰り返しパターンの一部を上から見た図である。繰り返しパターンのうち、斜線を付した列に横方向の位置ずれのムラ欠陥がある例を示す。第1の照明装置12からの入射光が図面の左側から入射された場合に、回折光の発生に寄与する繰り返しパターンのエッジ部分の一例に丸を付した。白丸は正常なパターンのエッジで、黒丸がムラ欠陥により回折光における誤差成分の要因となるエッジである。また、第2の照明装置13からの入射光が図面の上側から入射された場合に、回折光の発生に寄与する繰り返しパターンのエッジ部分の一例に三角マークを付した。隣り合う白丸同士の距離又は三角同士の距離が、回折光の発生に寄与する繰り返しパターンの周期dとなる。
同図からわかる通り、回折光の発生に寄与する繰り返しパターンの周期dは、同じ繰り返しパターンでありながら、入射光の入射方向に対する繰り返しパターンの向きによって異なる値となる。すなわち、第1の照明装置12からの入射光である図面左側からの入射光に対しては、周期dは繰り返しパターンの横方向のパターン周期dと同じ値であり、第2の照明装置13からの入射光である図面上側からの入射光に対しては、周期dは繰り返しパターンの縦方向のパターン周期dと同じ値である。
図4においては、ムラ欠陥が図面の横方向へのパターンずれによる配列異常であり、当該配列異常は、第1の照明装置12からの入射光である図面左側からの入射光に対しては、図中黒丸で示した通り、回折光の発生に寄与する繰り返しパターンの周期dにおける異常成分となるが、第2の照明装置13からの入射光である図面上側からの入射光に対しては、回折光の発生に寄与する繰り返しパターンの周期dにおける異常成分として検出されない。つまり、図4におけるムラ欠陥は、第1の照明装置12から光照射した場合には欠陥検出できるが、第2の照明装置13から光照射した場合には、欠陥検出できない。実際には、パターンの形状、又は欠陥の生じる方向性もしくは形状にはより複雑なものも存在するので、照明方向と検出感度の相関は、このように単純に説明できない場合もあるが、いずれにしても、第1の照明装置12による光照射は、第2の照明装置13による同時の光照射により欠陥検出を妨げられず、一度の受光データによって、上記欠陥を検出することができる。
解析装置15においては、受光器14で電気信号に変換された回折光の受光データからムラ欠陥の有無を判定する。正常な繰り返しパターンのみの場合は、回折光は一様な強度の光であるが、ムラ欠陥があると、当該欠陥部分に起因する回折光は正常パターンとは光強度が異なる。よって例えば、受光データの光強度が所定の閾値を超えた場合にムラ欠陥があると判定することができる。例えば所定部位の受光データの最大値と最小値の差(コントラスト)や、最大値と最小値の比等の値が所定の閾値を超えた場合にムラ欠陥があると判定することができる。
例えば、図4に示す繰り返しパターンを、本実施の形態における欠陥検査装置でムラ欠陥検査した際の受信データを、解析装置15においてディスプレイ上で可視化した例を図5(a)〜(c)に示す。図5(a)は、第1の照明装置12を図4の左側から光照射した場合の結果であり、ムラ欠陥の存在を示す縞模様が観察できる。図5(b)は、第2の照明装置13を図4の上側から光照射した場合の結果であり、ムラ欠陥の存在が見えない角度なので、縞模様が観察できない。図5(c)は、第1の照明装置12及び第2の照明装置13の両方を光照射した場合の結果であり、図5(a)と同様にムラ欠陥の存在を示す縞模様が観察できる。なお、図5においては、多数配列する単位パターンの中に、図4に示すような欠陥が、複数の配列中に出現し、これが複数の縞となって検出されたものを表す。
図5(a)〜(c)より、一方向のみからの光照射では、照射方向によっては、図5(b)に示すようにムラ欠陥が存在しているにも関わらず、検出できないことがあり、十分とはいえないことがわかる。このような欠陥の検査の際は、どの方向が、当該欠陥を検出しやすい特異的な方向であるかは未知であるため、少なくとも二方向から光照射することによって、この複数の光照射が互いに検出性を阻害することなく、検出確率を上げることができるのである。フォトマスクが大型の場合は、この作業時間の短縮は、大きな利点となる。本実施の形態のように、照明装置を複数用いて、異なる方向から照射することによって、検査効率を上げつつ、検出漏れを抑止することができる。
次に、別のムラ欠陥が発生した例について説明する。図6は、図4と同様に、フォトマスク10表面上のチップパターン17に含まれる単位パターン21が規則的に配列した繰り返しパターンの一部を上から見た図である。図6においては、繰り返しパターンのうち、右上がり斜線を付した列に横方向の位置ずれのムラ欠陥があり、左上がり斜線を付した行に縦方向の位置ずれのムラ欠陥がある例を示す。第1の照明装置12からの入射光が図面の左側から入射された場合に、回折光の発生に寄与する繰り返しパターンのエッジ部分の一例に丸を付した。白丸は正常なパターンのエッジで、黒丸がムラ欠陥により回折光における誤差成分の要因となるエッジである。また、第2の照明装置13からの入射光が図面の上側から入射された場合に、回折光の発生に寄与する繰り返しパターンのエッジ部分の一例に三角マークを付した。白三角は正常なパターンのエッジで、黒三角がムラ欠陥により回折光における誤差成分の要因となるエッジである。隣り合う白丸同士の距離又は白三角同士の距離が、回折光の発生に寄与する繰り返しパターンの周期dとなる。
図6においては、第1の照明装置12からの入射光である図面左側からの入射光に対しては、黒丸で示した通り、横方向の位置ずれは回折光の発生に寄与する繰り返しパターンの周期dにおける誤差成分となるが、縦方向の位置ずれは誤差成分とはならない。それに対して、第2の照明装置13からの入射光である図面上側からの入射光に対しては、黒三角で示した通り、縦方向の位置ずれは回折光の発生に寄与する繰り返しパターンの周期dにおける誤差成分となるが、横方向の位置ずれは誤差成分とはならない。
つまり、図6に示す繰り返しパターンにおいては、横方向の位置ずれによるムラ欠陥は第1の照明装置12から光照射した場合に欠陥検出できるが、縦方向の位置ずれによるムラ欠陥は、第2の照明装置13から光照射しないと欠陥検出できない。よって、第1の照明装置12及び第2の照明装置13の両方向からの光照射をしないと、正確なムラ欠陥検査をすることができない。
図6に示す繰り返しパターンを、本実施の形態における欠陥検査装置でムラ欠陥検査した際の受信データを、解析装置15においてディスプレイ上で可視化した例を図7(a)〜(c)に示す。図7(a)は、第1の照明装置12を図6の左側から光照射した場合の結果であり、横方向の位置ずれによるムラ欠陥の存在を示す縞模様(縦縞)が観察できる。図7(b)は、第2の照明装置13を図6の上側から光照射した場合の結果であり、縦方向の位置ずれによるムラ欠陥の存在を示す縞模様(横縞)が観察できる。図7(c)は、第1の照明装置12及び第2の照明装置13の両方を光照射した場合の結果であり、横方向の位置ずれによるムラ欠陥及び縦方向の位置ずれによるムラ欠陥の両方の存在を示す直交した縞模様が観察できる。なお、図7においては、多数配列する単位パターンの中に、図6に示すような欠陥が、複数の配列中に出現し、これが複数の縞となって検出されたものを表す。
図7(a)〜(c)より、一方向のみからの光照射では、照射方向とムラ欠陥のパターンずれの方向との相対関係によっては、ムラ欠陥が存在しているにも関わらず、検出できないことがあり、十分とはいえないことがわかる。よって、少なくとも二方向から光照射する必要があり、照明装置を一つのみ使用した場合は同じ検査領域について光の入射方向を変えて2回検査することになり、作業に時間がかかる。フォトマスクが大型の場合は、この作業時間の増加が重大な課題となる。本実施の形態のように、照明装置を複数用いて、異なる方向から照射した場合は、一度の検査でムラ欠陥を精度よく検出することができる。その場合、複数の光照射により検出されるムラ欠陥の解析結果は互いに独立しており、同時に検出できることが、図7(c)よりわかる。
以上、単位パターン21が四角形等の単純な形状である場合、又は描画時の走査方向であるX方向、Y方向に上記欠陥が生じやすいことを考慮し、図1におけるように、二つの照明装置を90°ずらした角度から光照射すると、図3に示したような、形状異常及び配列異常が横方向又は縦方向に発生した場合でもムラ欠陥を検出しやすい。しかしながら、本発明の効果を得るために、描画機の走査方向(主走査、副走査)と同じX,Y方向からの照射には限定されない。また、複数の照射方向は、互いに90°でなくても良い。
さらに、単位パターン21が複雑な形状である場合、又は単位パターン21が単純な形状でもムラ欠陥が複雑な形状異常の場合には、三つ以上の照明を用いて、様々な角度から光照射することで、ムラ欠陥を精度よく検出することができる。
また、ムラ欠陥の少ないフォトマスクを製造するには、上述したフォトマスクの通常の製造方法の一工程として本発明に係るフォトマスクの欠陥検査装置よるムラ欠陥検査工程を実施すると良い。
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、適宜変更して実施することができる。例えば、上記実施の形態において、第1の照明装置12及び第2の照明装置13の光源として、不連続な複数の波長における強度ピークを有する波長スペクトルを有するものを用いることが好ましい。上記欠陥に起因する回折光強度の異常値は、照射光波長や、パターンピッチに応じて、検出しやすい受光角が異なる。従って、位置を固定した受光器14に、このような異常値が捉えられる確率を上げるために、複数の不連続な波長を使うことは有効である。連続な波長であると、異常値としての信号を識別することが困難になる。
また、一般に、回折光は次数が高くなると光強度が減少するので、パターンのピッチに応じてその検出次数が高くなる場合(多くの場合は、パターンピッチが大きい場合には、高次数の回折光によって上記欠陥を検出しやすい)には、その都度受光器14の撮像時間を調節しても良い。つまり、次数が高く光強度が小さい回折光の場合は、撮像時間を長くすることにより、測定精度を上げることができる。第1の照明装置12または第2の照明装置13の位置に応じて、同様の調節を行うことも有用である。
また、上記実施の形態における材料、サイズ、処理手順などは一例であり、本発明の効果を発揮する範囲内において種々変更して実施することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
本発明の実施の形態における欠陥検査装置の外観を示す図。 本発明の実施の形態におけるフォトマスクのチップパターンの拡大図。 本発明の実施の形態におけるムラ欠陥を説明するための図。 本発明の実施の形態における欠陥検査装置の検査原理を説明するための図。 本発明の実施の形態における欠陥検査装置の検査結果を説明するための図。 本発明の実施の形態における欠陥検査装置の検査原理を説明するための図。 本発明の実施の形態における欠陥検査装置の検査結果を説明するための図。
符号の説明
10 フォトマスク
11 ステージ
12 第1の照明装置
13 第2の照明装置
14 受光器
15 解析装置

Claims (9)

  1. 単位パターンが規則的に配列している繰り返しパターンを表面に有するフォトマスクにおける、前記単位パターン配列の規則とは異なる規則性をもって複数の前記単位パターンに生じる形状異常もしくは配列異常、又は隣接する複数の前記単位パターンに生じる形状異常もしくは配列異常であって、異常の寸法が、前記フォトマスクが用いられる露光光学系の解像限界以下である形状異常又は配列異常を含む欠陥を検査する欠陥検査装置であって、
    前記フォトマスクを支持するステージと、
    前記ステージに支持された前記フォトマスクの表面の前記繰り返しパターンを含む検査領域に、所定の入射角で所定の波長の光を照射する第1の光源手段と、
    前記検査領域に、所定の入射角で所定の波長の光を前記第1の光源手段と同時に照射する第2の光源手段と、
    前記検査領域からの前記繰り返しパターンによる回折光を受光して受光データに光電変換する受光手段と、
    前記受光データから前記欠陥の有無を判定する解析手段と、
    を有し、
    前記第1の光源手段と前記第2の光源手段は、前記フォトマスク表面に平行な面内において互いに異なる角度から光照射するフォトマスクの欠陥検査装置。
  2. 前記第1の光源手段と前記第2の光源手段が、前記フォトマスク表面に平行な面内において互いに90°異なる角度から光照射する請求項1記載のフォトマスクの欠陥検査装置。
  3. 前記解析手段が、前記受光データに含まれる光強度分布において、所定の閾値を超えたデータを検出した場合に欠陥と判定する請求項1又は2記載のフォトマスクの欠陥検査装置。
  4. 前記第1の光源手段及び前記第2の光源手段が、不連続な複数の波長における強度ピークを有する光源である請求項1乃至3のいずれか記載のフォトマスクの欠陥検査装置。
  5. 単位パターンが規則的に配列している繰り返しパターンを表面に有するフォトマスクにおける、前記単位パターン配列の規則とは異なる規則性をもって複数の前記単位パターンに生じる形状異常もしくは配列異常、又は隣接する複数の前記単位パターンに生じる形状異常もしくは配列異常であって、異常の寸法が、前記フォトマスクが用いられる露光光学系の解像限界以下である形状異常又は配列異常を含む欠陥を検査する欠陥検査方法であって、
    ステージに支持された前記フォトマスクの表面の前記繰り返しパターンを含む検査領域に、所定の入射角で所定の波長の光を第1の光源手段及び第2の光源手段からそれぞれ同時に照射する光照射工程と、
    前記光照射を受けた前記検査領域からの前記繰り返しパターンによる回折光を受光して受光データに光電変換する受光工程と、
    前記受光データから前記欠陥の有無を判定する解析工程と、
    を有し、
    前記第1の光源手段と前記第2の光源手段は、前記フォトマスク表面に平行な面内において互いに異なる角度から光照射するフォトマスクの欠陥検査方法。
  6. 前記第1の光源手段と前記第2の光源手段が、前記フォトマスク表面に平行な面内において互いに90°異なる角度から光照射する請求項5記載のフォトマスクの欠陥検査方法。
  7. 前記解析工程が、前記受光データに含まれる光強度分布において、所定の閾値を超えたデータを検出した場合に欠陥と判定する請求項5又は6記載のフォトマスクの欠陥検査方法。
  8. 前記第1の光源手段及び前記第2の光源手段が、不連続な複数の波長における強度ピークを有するスペクトルを有する光源である請求項5乃至7のいずれか記載のフォトマスクの欠陥検査方法。
  9. 請求項5乃至8のいずれか記載のフォトマスクの欠陥検査方法によりフォトマスク表面の欠陥検査を行う工程を具備するフォトマスクの製造方法。
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