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JP2009143186A - 液体噴射ヘッドの製造方法 - Google Patents

液体噴射ヘッドの製造方法 Download PDF

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JP2009143186A JP2007325195A JP2007325195A JP2009143186A JP 2009143186 A JP2009143186 A JP 2009143186A JP 2007325195 A JP2007325195 A JP 2007325195A JP 2007325195 A JP2007325195 A JP 2007325195A JP 2009143186 A JP2009143186 A JP 2009143186A
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Abstract

【課題】溶液処理を行っても製品に負荷を与えることがなく、精度良く処理を行う。
【解決手段】ヘッド部材1の保護基板30の流路形成基板との接合面とは反対側の面同士を対向させ、Oリング2を介して保護基板30の流路形成基板との接合面とは反対側の面の間に密閉空間4形成して一対のヘッド部材1を互いに固定し、互いに固定された一対のヘッド部材1に対してアルカリ溶液(KOH)によるエッチングを施し、保護基板30の密閉空間4内にアルカリ溶液(KOH)が浸入しないようにし、溶出する不純物が存在しない状態で保護基板30の流路形成基板との接合面とは反対側の面を保護し、同一材料の保護基板30の固定によりアルカリ溶液(KOH)温度に拘わらず反りをなくす。
【選択図】図6

Description

本発明は、被噴射液を吐出する液体噴射ヘッドの製造方法に関し、特に、液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッドの製造方法に関する。
液体噴射ヘッドであるインクジェット式記録ヘッドとしては、例えば、ノズル開口に連通する圧力発生室を流路形成基板に形成し、流路形成基板の一方面側に圧力発生手段である圧電素子を形成し、流路形成基板の圧電素子側の面に圧電素子を覆う保護基板が接合されたものが従来から種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。インクジェット式記録ヘッドの保護基板には、圧力発生室の共通のインク室の一部を構成するリザーバ部が設けられている。
このようなインクジェット式記録ヘッドを製造する際には、流路形成基板の一方面側に圧電素子を形成すると共に流路形成基板に保護基板を接合し、保護基板を接合した後、流路形成基板の他方面側から異方性エッチングすることにより圧力発生室を形成する。そして、ノズル開口が設けられたノズルプレートを流路形成基板の圧力発生室が開口する面側に接着剤を介して接合する。
保護基板の流路形成基板との接合面とは反対側の面には配線部材が設けられているため、異方性エッチングを行う際には、フッ素系樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)シート等を挟んで保護フィルムを接着剤により貼り付けている。保護フィルムにより配線部材等を覆うことにより、エッチング液が保護基板の配線部材が設けられた面に付着することが防止される。
しかし、圧力発生室を形成するエッチングは、例えば、70℃〜80℃に加熱されたアルカリ溶液(KOH)により行なわれるため、熱収縮の少ない保護フィルムを用いたとしても保護基板に反りが発生する虞があり、製品に負荷が加わることが考えられる。また、接着剤や保護フィルムがアルカリ溶液に溶出する虞もあり、接着剤や保護フィルムが溶出するとエッチング精度が低下して圧力発生室等の寸法がばらつくことが考えられる。フィルムを貼り付けて鉄などの異物を除去する洗浄の際にも同様なことが考えられる。
特開2006−272913号公報(1〜5図、第4〜10頁)
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、溶液処理を行っても製品に負荷を与えることがなく、精度良く処理を行うことができる液体噴射ヘッドの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の液体噴射ヘッドの製造方法は、圧力発生室が設けられる流路形成基板と、ノズル開口から液滴を吐出させるために前記圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧力発生手段と、前記圧力発生手段を覆う状態で前記流路形成基板に接合される保護基板とでヘッド部材を構成し、前記ヘッド部材の前記保護基板の流路形成基板との接合面とは反対側の面同士を対向させ、前記保護基板の流路形成基板との接合面とは反対側の面の間に密閉空間を介在させて一対の前記ヘッド部材を互いに固定し、互いに固定された一対の前記ヘッド部材に対して溶液処理を施すことで一対の液体噴射ヘッドを製造することを特徴とする。
この本発明では、密閉空間を介して保護基板を互いに固定したことにより、保護基板の密閉空間内に処理液が浸入することがないので、溶出する不純物が存在しない状態で保護基板の流路形成基板との接合面とは反対側の面を保護することができ、しかも、同一材料の保護基板が固定されているため、処理液の温度に拘わらず反りをなくすことができる。このため、溶液処理を行っても製品に負荷を与えることがなく、精度良く処理を行うことが可能になる。また、レーザ等で保護フィルム及び接着剤を除去する工程をなくすことができる。
そして、本発明の液体噴射ヘッドの製造方法は、上記記載の液体噴射ヘッドの製造方法において、前記密閉空間は、一対の前記保護基板の流路形成基板との接合面とは反対側の面の間にOリングを介在させることで形成されることを特徴とする。
この本発明では、Oリングを介在させることで密閉空間を容易にしかも確実に形成することが可能になる。Oリングの材質は、溶液に耐製があるゴム製のものが好ましい。例えば、アルカリ溶液で処理する場合には、耐アルカリ溶液性に優れたフッ素系ゴムのOリングを適用することが好ましい。
また、本発明の液体噴射ヘッドの製造方法は、上記記載の液体噴射ヘッドの製造方法において、一対の前記保護基板の周囲同士が固定部材により固定されることを特徴とする。
この本発明では、固定部材により一対の保護基板の周囲同士が固定されるので、保護基板同士の固定を確実に行うことができる。
また、本発明の液体噴射ヘッドの製造方法は、上記記載の液体噴射ヘッドの製造方法において、前記保護基板の流路形成基板との接合面とは反対側の面には配線部材が形成され、前記溶液処理は、アルカリ溶液によるエッチングにより前記圧力発生室を形成する処理であることを特徴とする。
この本発明では、アルカリ溶液によるエッチングにより圧力発生室を形成する際に、保護基板の反りをなくした状態で配線部材を確実に保護することが可能になり、精度良く処理を行うことができる。
図1には本発明の一実施形態例に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略を表す分解斜視、図2にはインクジェット式記録ヘッドの概略平面視、図3には図2中のIII―III線矢視、図4には保護基板を接着した状態の断面、図5には圧力発生室を形成した状態の断面、図6には流路形成基板をエッチングしている状態の概念を示してある。
図1〜図3に基づいて本発明方法で製造したインクジェット式記録ヘッドの構成を説明する。
図に示すように、流路形成基板10は、面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化することにより形成した酸化シリコン(SiO2)からなる弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には複数の圧力発生室12が幅方向に並設され、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成されている。連通部13と各圧力発生室12は圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14及び連通路15を介して連通されている。
連通部13は後述する保護基板のリザーバ部31と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバの一部を構成している。インク供給路14は圧力発生室12よりも狭い幅で形成され、インク供給路14により連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗が一定に保持されている。
尚、図示例では、流路の幅を片側から絞ることでインク供給路14を形成したが、流路の幅を両側から絞ることでインク供給路を形成してもよい。また、流路の幅を絞るのではなく、厚さ方向から絞ることでインク供給路を形成してもよい。
連通路15は圧力発生室12の幅方向両側の隔壁11を連通部13側に延設してインク供給路14と連通部13との間の空間を区画することで形成されている。即ち、流路形成基板10には、圧力発生室12の幅方向の断面積より小さい断面積を有するインク供給路14と、インク供給路14に連通すると共にインク供給路14の幅方向の断面積よりも大きい断面積を有する連通路15とが複数の隔壁11により区画されて設けられている。
そして、流路形成基板10には、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路が形成されている。また、流路形成基板10の液体流路の内面には、耐インク性を有する材料からなる保護膜16が設けられている。
尚、耐インク性とは、インクに対する耐エッチング性のことである。流路形成基板10の開口面側にはノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等によって固着され、ノズルプレート20には各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されている。流路形成基板10のノズルプレート20が接合される面には親水処理により第1の親水処理層17が設けられ、ノズルプレート20の流路形成基板10に接合される面には親水処理により第2の親水処理層22が設けられ、第1の親水処理層17及び第2の親水処理層22同士は接着剤23を介して接着されている。
一方、流路形成基板10の開口面とは反対側には弾性膜50が形成され、弾性膜50上には絶縁体膜55が形成されている。絶縁体膜55上には、下電極膜60、圧電体層70、上電極膜80が積層形成され、圧力発生手段としての圧電素子300を構成している。即ち、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分で圧力発生手段を構成している。
一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を圧力発生室12毎にパターニングして構成する。本実施形態例では、下電極膜60を圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。
尚、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用するが、これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、下電極膜60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電素子300自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
圧電体層70は下電極膜60上に形成される電気機械変換作用を示す圧電材料からなり、ペロブスカイト構造の結晶膜を用いるのが好ましく、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電体材料や、これに酸化ニオブ、酸化ニッケル又は酸化マグネシウム等の金属酸化物を添加したもの等が好適である。具体的には、チタン酸鉛(PbTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)、ジルコニウム酸鉛(PbZrO3)、チタン酸鉛ランタン((Pb,La),TiO3)ジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,La)(Zr,Ti)O3)又は、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)(Mg,Nb)O3)等を用いることができる。圧電体層70の厚さについては、製造工程でクラックが発生しない程度に厚さを抑え、且つ十分な変位特性を呈する程度に厚く形成する。
圧電素子300の個別電極である上電極膜80には、例えば、金(Au)等からなるリード電極90がそれぞれ接続され、リード電極90はインク供給路14側の端部近傍から引き出されて絶縁体膜55上まで延設されている。
圧電素子300が形成された流路形成基板10上には、即ち、下電極膜60、弾性膜50及びリード電極90上には、リザーバ100の一部を構成するリザーバ部31を有する保護基板30が接着剤35で接合されている。リザーバ部31は保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成され、流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。
尚、流路形成基板10の連通部13を圧力発生室12毎に複数に分割し、リザーバ部31のみをリザーバとしてもよい。更に、例えば、流路形成基板10に圧力発生室12のみを設け、流路形成基板10と保護基板30との間に介在する部材(例えば、弾性膜50、絶縁体膜55等)にリザーバと各圧力発生室12とを連通するインク供給路14を設けるようにしてもよい。
また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、密封されていても、密封されていなくてもよい。
つまり、保護基板30には圧電素子300を覆う圧電素子保持部32が形成され、保護基板30は圧電素子300を覆う状態で弾性膜50及び絶縁体膜55を介して流路形成基板10に接合された状態になっている。そして、保護基板30が接合された流路形成基板10でヘッド部材1が構成されている。
保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、例えば、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成される。
また、保護基板30には厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられ、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は貫通孔33内に露出するように設けられている。保護基板30上(流路形成基板との接合面とは反対側の面)には、接続配線220が所定パターンで形成され、接続配線220上には圧電素子300を駆動するための駆動回路200が実装されている。駆動回路200としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、各圧電素子300から圧電素子保持部32の外側までリード電極90がそれぞれ引き出され、各リード電極90の先端部と駆動回路200が駆動配線210を介して電気的に接続されている。
保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は剛性が低く可撓性を有する材料からなり、封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は比較的硬質の材料で形成されている。固定板42のリザーバ100に対向する領域は厚さ方向に完全に除去された開口部43となっており、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
上記構成のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段に接続されたインク導入口からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たす。その後、駆動回路200からの記録信号にしたがって圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させる。これにより、各圧力発生室12内の圧力を高めてノズル開口21からインク滴を吐出させる。
図4〜図6に基づいて上述したインクジェット式記録ヘッドの製造方法を説明する。
流路形成基板10が複数一体的に形成されるシリコンウエハである流路形成基板用ウエハ110の表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン(SiO2)からなる二酸化シリコン膜51を形成する。弾性膜50(二酸化シリコン膜51)上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成し、絶縁体膜55上の全面に下電極膜60を形成すると共に、所定形状にパターニングする。下電極膜60の材料は、特に限定されないが、圧電体層70としてチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いる場合には、酸化鉛の拡散による導電性の変化が少ない材料であることが望ましい。このため、下電極膜60の材料としては白金、イリジウム等が好適に用いられる。
次に、下電極膜60上に圧電体層70及び上電極膜80を順次積層形成する。例えば、有機金属化合物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆる、ゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成する。
圧電体層70の製造方法は、ゾル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD(Metal-Organic Decomposition)法、スパッタリング法又はレーザーアブレーション法等のPVD(Physical Vapor Deposition)法等を用いてもよい。また、上電極膜80は、導電性の高い金属、例えば、イリジウム(Ir)等を用いることができる。
圧電体層70及び上電極膜80を同時にパターニングすることで圧電素子300を形成、その後、リード電極90を形成する。流路形成基板用ウエハ110の圧電素子300側に、シリコンウエハであり複数の保護基板30となる保護基板用ウエハ130を接着剤35で接合する。尚、保護基板用ウエハ130には、予めリザーバ部31、圧電素子保持部32、貫通孔33及び接続配線220が形成されたものを用いている。
次に、流路形成基板用ウエハ110にマスク膜52を新たに形成し、所定形状にパターニングする(図4の状態)。そして、マスク膜52を介して流路形成基板用ウエハ110をKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することにより、圧電素子300に対応する圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15等を形成する(図5の状態)。
図6に基づいてKOH等のアルカリ溶液を用いた流路形成基板用ウエハ110のエッチングを具体的に説明する。
図に示すように、保護基板30及び流路形成基板10(流路形成基板用ウエハ110)からなるヘッド部材1の保護基板30(保護基板用ウエハ130)同士を対向させる(保護基板30の流路形成基板との接合面とは反対側の面同士を対向させる)。保護基板30の間にOリング2を介して縁部を固定部材としてのクリップ3で固定し、Oリング2の内周側に密閉空間4を形成する。即ち、保護基板30の流路形成基板との接合面とは反対側の面の間に密閉空間4を介在させて一対のヘッド部材1を互いに固定する。この時、密閉空間4には接続配線220(図4、図5参照)が外部から遮断された状態で配されている。Oリング2は、耐アルカリ性に優れたフッ素系ゴム製とされている。
尚、密閉空間4を負圧にして保護基板30同士の密着力を付与することでクリップ3の固定力を補助することも可能である。この場合、保護基板30の割れ等の対処ができれば、クリップ3を用いずに負圧力だけでヘッド部材1同士の固定力を確保することも可能である。
密閉空間4を介在させて互いに固定された一対のヘッド部材1が、例えば、70℃〜80℃に加熱されたアルカリ溶液(KOH)に浸けられてウェットエッチングされ、一対のヘッド部材1の流路形成基板10に圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15等がそれぞれ形成される。
上述した製造方法でヘッド部材1にウェットエッチングを施すことにより、密閉空間4を介して保護基板30が互いに固定され、保護基板30の密閉空間4内(接続配線220(図4、図5参照)等)にアルカリ溶液(KOH)が浸入することがなく、溶出する不純物が存在しない状態で保護基板30の流路形成基板との接合面とは反対側の面(接続配線220(図4、図5参照)等)を保護することができ、しかも、同一材料の保護基板30が固定されるため、アルカリ溶液(KOH)の温度に拘わらず反りをなくすことができる。
このため、流路形成基板10をアルカリ溶液(KOH)でエッチングしてもヘッド部材1に負荷を与えることがなく、異物による精度低下をなくして精度良く処理を行うことが可能になる。また、Oリング2を用いて密閉空間4を形成し、クリップ3により一対の保護基板30同士が固定されるので、密閉空間4を容易にしかも確実に形成することができ、保護基板30同士の固定を確実に行うことができる。また、保護フィルム等を用いていないので、保護フィルムや接着剤を除去する工程を省略することが可能になる。
尚、接続配線220が配される密閉空間4を介在させて一対のヘッド部材1を固定し、接続配線220等の保護を行なう保護フィルムなどを用いずにウェットエッチングする例を説明したが、保護フィルムを用いずに処理を行う工程は、鉄やニクロム等の異物を除去する洗浄の工程に適用することも可能である。
ヘッド部材1の流路形成基板10に圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15等をそれぞれ形成した後、流路形成基板用ウエハ110表面のマスク膜52を除去し、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15の内面に保護膜16を形成する。保護膜16は、例えば、酸化物又は窒化物等の耐液体性(耐インク性)を有する材料からなり、CVD法等によって形成される。そして、所定の洗浄処理を行うと共に親水処理等を行い、ノズルプレート20を接合する。
更に、保護基板用ウエハ130にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウエハ110、保護基板用ウエハ130等を図1に示したような一つの大きさのチップサイズに分割してインクジェット式記録ヘッドとする。
尚、上述した実施形態例では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも適用することができる。例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等に本発明を適用することが可能である。
一実施形態例に係るインクジェット式記録ヘッド分解斜視図である。 インクジェット式記録ヘッドの概略平面図である。 図2中のIII―III線矢視図である。 保護基板を接着した状態の断面図である。 圧力発生室を形成した状態の断面図である。 流路形成基板をエッチングしている状態の概念図である。
符号の説明
1 ヘッド部材、 2 Oリング、 3 クリップ、 4 密閉空間、 10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 リザーバ部、 32 圧電素子保持部、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 55 絶縁体膜、 60 下電極膜、 70 圧電体膜、 80 上電極膜、 100 リザーバ、 110 流路形成基板用ウエハ、 130 保護基板用ウエハ、 300 圧電素子

Claims (4)

  1. 圧力発生室が設けられる流路形成基板と、ノズル開口から液滴を吐出させるために前記圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧力発生手段と、前記圧力発生手段を覆う状態で前記流路形成基板に接合される保護基板とでヘッド部材を構成し、
    前記ヘッド部材の前記保護基板の流路形成基板との接合面とは反対側の面同士を対向させ、前記保護基板の流路形成基板との接合面とは反対側の面の間に密閉空間を介在させて一対の前記ヘッド部材を互いに固定し、互いに固定された一対の前記ヘッド部材に対して溶液処理を施すことで一対の液体噴射ヘッドを製造する
    ことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  2. 請求項1に記載の液体噴射ヘッドの製造方法において、
    前記密閉空間は、一対の前記保護基板の流路形成基板との接合面とは反対側の面の間にOリングを介在させることで形成されることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  3. 請求項2に記載の液体噴射ヘッドの製造方法において、
    一対の前記保護基板の周囲同士が固定部材により固定される
    ことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法において、
    前記保護基板の流路形成基板との接合面とは反対側の面には配線部材が形成され、
    前記溶液処理は、アルカリ溶液によるエッチングにより前記圧力発生室を形成する処理である
    ことを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
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