JP2009035221A - 車両用走行制御装置及びその方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両用走行制御装置は、後右車輪車輪速センサが真値よりも小さい値を出力する失陥を生じたA点以降では、後輪平均車輪速よりも大きい前輪平均車輪速を、車速偏差相当駆動力指令値αΔVの算出用の実車速VΔVとして算出する((a)の実線の値)。また、前輪平均車輪速よりも小さい後輪平均車輪速から、走行抵抗相当駆動力指令値αSの算出用の実車速VSを算出する((b)の点線の値)。この結果、総駆動力指令値αは、真値から走行抵抗相当駆動力指令値αSの減少分だけ小さくなる((e)の一点鎖線の値)。
【選択図】図7
Description
本発明の課題は、車輪速等のセンサが故障した場合でも、最適な走行制御を実現することである。
以上より、実車速の算出用の値を検出する検出手段が故障した場合でも、最適な走行制御を実現することができる。
(第1の実施形態)
先ず第1の実施形態を説明する。
(構成)
第1の実施形態は、車両を走行制御する車両用走行制御装置である。
図1は、車両用走行制御装置の構成を示す。
図1に示すように、車両用走行制御装置は、車間距離センサ1、前右車輪車輪速センサ2、前左車輪車輪速センサ3、後右車輪車輪速センサ4、後左車輪車輪速センサ5、制御開始スイッチ6、制動力制御装置7、エンジン出力制御装置8及びコントローラ9を備える。
図2に示すように、先ずステップS1において、制御開始スイッチ6の操作状態(操作信号)を読込む。
続いてステップS2において、前記ステップS1で読み込んだ操作状態を基に、制御開始スイッチ6がON状態か否かを判定する。ここで、制御開始スイッチ6がON状態の場合、定速走行制御又は追従走行制御を行うものとして、ステップS3に進み、制御開始スイッチ6がOFF状態の場合、定速走行制御又は追従走行制御を行わないものとして、ステップS14に進む。
ステップS3では、各車輪速センサ2〜5から各輪の車輪速を読み込む。
続いてステップS4において、前記ステップS2で読み込んだ後右車輪車輪速と後左車輪車輪速との平均値(後輪平均車輪速)を基に、実車速(実車速算出値)Vを算出する。このステップS4で後輪平均車輪速を基に算出した実車速Vに基づいて、走行制御全般の制御を行う。すなわち例えば、車輪速センサ2〜5のいずれにも故障を検出できない場合には、後輪平均車輪速を基に算出した実車速Vを用いて走行制御を行う。
続いてステップS6において、車間距離センサ1が先行車両を検出しているか否かを判定する。ここで、車間距離センサ1が先行車両を検出している場合、ステップS7に進み、車間距離センサ1が先行車両を検出していない場合、ステップS13に進む。
ステップS7以降は、追従走行制御の目標車速を演算する処理ルーチンとなる。先ず、ステップS7では、車間距離センサ1で検出した先行車両との実車間距離Dを読み込む。
続いてステップS9において、追従目標車速VFOLLOWを算出する。追従目標車速VFOLLOWは、前記ステップS7で算出した実車間距離Dを、前記ステップS8で算出した目標車間距離Dtに一致させるための値である。
ステップS12では、目標車速VTを設定車速VSETに設定する。そして、図3に示すステップS15に進む。
ステップS11では、目標車速VTを追従目標車速VFOLLOWに設定する。そして、図3に示すステップS15に進む。
図3のステップS15では、実車速VΔVを設定する。ここで、設定する実車速VΔVは、目標車速VTに一致させる駆動力指令値の算出用の実車速である。
図4に示すように、先ずステップS41において、前記ステップS3で読み込んだ各輪の車輪速から、前右車輪車輪速と前左車輪車輪速との平均値(前輪平均車輪速)VF、及び後右車輪車輪速と後左車輪車輪速との平均値(後輪平均車輪速)VRを算出する。
続いてステップS42において、下記(1)式により実車速(実車速算出値、以下、第1実車速ともいう。)VΔVを設定する。
VΔV=max(VF,VR) ・・・(1)
この(1)式により、前輪平均車輪速VF及び後輪平均車輪速VRのうち、大きい方の値を第1実車速VΔVとしている。
続いてステップS17において、前記ステップS16で算出した車速偏差ΔV及び前記ステップS11、ステップS12及びステップS13の何れかで設定した目標車速VTを用いて、下記(2)式により、エンジン出力制御装置8への駆動力指令値(駆動指令信号)αΔVを算出する。
αΔV=Kpeng ΔV+Kieng∫ΔVdt+feng (VΔV,VT) ・・・(2)
ここで、(2)式の右辺第1項及び右辺第2項は、PI制御におけるフィードバック項であり、Kpengは比例ゲインであり、Kiengは積分ゲインである。また、(2)式の右辺第3項は、自車速Vを目標車速VTに一致させるために与えられたフィードフォワード項である。
先ず、第1実車速VΔVを目標車速VTに一致させるために必要な車両の前後加速度Gを、下記(3)式により算出する。
G=(VT−VΔV )/ΔT ・・・(3)
ここで、ΔTはサンプリング時間である。
そして、この前後加速度Gを実現するためには、車両重量、エンジン特性等に対応した指令値が必要である。このようなことから、図5に例示するマップ(図示しないメモリ上に記憶されている)から前後加速度Gに対応する駆動力指令値αΔVを得る。この駆動力指令値αΔVは、前後加速度Gが大きくなるほど大きくなる。
ここで、第1実車速VΔVと車速偏差相当駆動力指令値αΔVとの関係は、車速偏差相当駆動力指令値αΔVが第1実車速VΔVと目標車速VTとの偏差に応じた値になることから、第1実車速VΔVが大きくなるほど(目標車速VTとの偏差が小さくなるほど)、車速偏差相当駆動力指令値αΔVは小さくなる。
一方、所定の速度で走行するためには、その所定速度での走行抵抗等の抗力に対応する指令値が必要であり、続くステップS18〜ステップS19において、その指令値を算出する。
具体的には、前記ステップS41で算出した前輪平均車輪速VF及び後輪平均車輪速VRを用いて、下記(4)式により第2実車速VSに設定する。
VS=min(VF,VR) ・・・(4)
この(4)式により、前輪平均車輪速VF及び後輪平均車輪速VRのうち、小さい方の値を第2実車速VSとしている。
具体的には、図6に例示するマップ(図示しないメモリ上に記憶されている)から第2実車速VSに対応する走行抵抗相当指令値αSを得る。図6に示すように、第2実車速VSが大きくなるほど走行抵抗相当指令値αSは大きくなる。
続いてステップS21において、前記ステップS20で算出した総駆動力指令値αが0よりも大きい(正値)か否かを判定する。ここで、総駆動力指令値αが0よりも大きい(α>0)場合、加速要求であるとして、ステップS22に進み、総駆動力指令値αが0以下の場合(α≦0)、減速要求であるとして、ステップS24に進む。
同図(a)は車速偏差相当駆動力指令値αΔVの算出用の実車速算出値VΔVを示し、同図(b)は走行抵抗相当駆動力指令値αSの算出用の実車速算出値VSを示し、同図(c)は車速偏差相当駆動力指令値αΔVを示し、同図(d)は走行抵抗相当駆動力指令値αSを示し、同図(e)は、車速偏差相当駆動力指令値αΔVと走行抵抗相当駆動力指令値αSとの加算値である総駆動力指令値αを示す。これらの値について、目標車速に一致するように加速している途中のA点で、各車輪に取り付けられている車輪速センサのうちの一の後右車輪車輪速センサに失陥が生じた場合の変化を示す。この例では、その失陥により、後右車輪車輪速センサが真値よりも小さい値を出力する。そして、本発明の処理で得られる値と従来技術による処理により得られる値とを比較している。なお、従来技術では、後左右輪の車輪速の平均値(後輪平均車輪速)を実車速として算出し、その算出した実車速を基に、車速偏差相当駆動力指令値αΔV及び走行抵抗相当駆動力指令値αSを算出するものとする。
従来技術においては、後右車輪車輪速センサの出力値が真値より小さく(例えば0km/h)なると、後輪平均車輪速により算出される実車速算出値も小さくなる(同図(a)の点線の値)。これにより、目標車速と実車速算出値との偏差が大きくなり、車速偏差相当駆動力指令値αΔVが増加する(同図(c)の点線の値)。一方、実車速算出値が小さくなると(同図(b)の点線の値)、走行抵抗相当駆動力指令値αSも減少する(同図(d)の点線の値)。しかし、実車速算出値が小さくなった場合の、車速偏差相当駆動力指令値αΔVの増加分が、走行抵抗相当駆動力指令値αSの減少分よりも多いので、総駆動力指令値αは増加する(同図(e)の点線の値)。よって、後右車輪車輪速センサが失陥となった場合、従来技術においては、総駆動力指令値αが真値よりも大きくなり、それによる車両の加速が、運転者に違和感を与えてしまい、乗心地の悪化を招いてしまう。
本発明を適用した場合、車速偏差相当駆動力指令値αΔVの算出処理では、前輪平均車輪速VF及び後輪平均車輪速VRのうち、大きい方の値が実車速算出値VΔVとなる(前記ステップS15)。よって、後右車輪車輪速センサが失陥となるA点以降では、後輪平均車輪速よりも大きい前輪平均車輪速の値が実車速算出値VΔVとして算出される(同図(a)の実線の値)。これにより、車速偏差相当駆動力指令値αΔVの算出用の実車速算出値は、より大きい値として算出される。この結果、A点以降でも、後右車輪車輪速センサの失陥の影響を受けず、車速偏差相当駆動力指令値αΔVは、従来技術(点線の値)と異なり増加するようなことがない(同図(c)の実線の値)。
前記図7と同様に、図8(a)は車速偏差相当駆動力指令値αΔVの算出用の実車速算出値VΔVを示し、図8(b)は走行抵抗相当駆動力指令値αSの算出用の実車速算出値VSを示し、図8(c)は車速偏差相当駆動力指令値αΔVを示し、同図(d)は走行抵抗相当駆動力指令値αSを示し、図8(e)は、車速偏差相当駆動力指令値αΔVと走行抵抗相当駆動力指令値αSとの加算値である総駆動力指令値αを示す。これらの値について、目標車速に一致するように加速している途中のA点で、各車輪に取り付けられている車輪速センサのうちの後右車輪車輪速センサに失陥が生じた場合の変化を示す。この例では、前記図7の場合と異なり、その失陥により、後右車輪車輪速センサが真値よりも大きい値を出力する。そして、本発明の処理で得られる値と従来技術による処理により得られる値とを比較している。なお、従来技術では、後左右車輪速の平均値を実車速として算出し、その算出した実車速を基に、車速偏差相当駆動力指令値αΔV及び走行抵抗相当駆動力指令値αSを算出するものとする。
従来技術においては、後右車輪車輪速センサの出力値が真値より大きくになると、後輪平均車輪速により算出される実車速算出値も大きくなる(同図(a)の点線の値)。これにより、目標車速と実車速算出値との偏差が小さくなり、車速偏差相当駆動力指令値αΔVが減少するようになる(同図(c)の点線の値)。
本発明を適用した場合、車速偏差相当駆動力指令値αΔVの算出処理では、前輪平均車輪速VF及び後輪平均車輪速VRのうち、大きい方の値が実車速算出値VΔVとなる(前記ステップS15)。よって、後右車輪車輪速センサが失陥となるA点以降では、前輪平均車輪速よりも大きい後輪平均車輪速の値が実車速算出値VΔVとして算出される(同図(a)の点線の値)。これにより、車速偏差相当駆動力指令値αΔVの算出用の実車速算出値は、より大きい値として算出される。この結果、A点以降では、車速偏差相当駆動力指令値αΔVは、真値(同図(c)の実線の値)よりも小さくなる(同図(c)の点線の値)。
(1)実車速の算出用の車輪速を検出する車輪速センサ2〜5が検出した複数の車輪速を用いて、車速偏差相当駆動力指令値αΔVの算出用の第1実車速VΔVを、より大きい値として算出するとともに、走行抵抗相当駆動力指令値αSの算出用の第2実車速VSを、より小さい値として算出している。これにより、車速偏差相当駆動力指令値αΔV及び走行抵抗相当駆動力指令値αSが真値よりも過大となることを防止でき、車速偏差相当駆動力指令値αΔV及び走行抵抗相当駆動力指令値αSの加算値となる最終的な駆動力制御値αが過大となることを防止できる。また、車輪速センサ2〜5が故障した場合でも、該車輪速センサ2〜5が検出した車輪速をも参照して、車速偏差相当駆動力指令値αΔVの算出用の実車速VΔV及び走行抵抗相当駆動力指令値αSの算出用の実車速VSを算出することで、車速偏差相当駆動力指令値αΔV及び走行抵抗相当駆動力指令値αSを、真値から大きく隔たることのない値として算出できる。これにより、車輪速センサ2〜5が故障した場合でも、最適な走行制御を実現することができる。
次に第2の実施形態を説明する。
(構成)
第2の実施形態は、車両を走行制御する車両用走行制御装置である。
第2の実施形態では、前記第1の実施形態のステップS15及びステップS18の実車速VΔV,VSの設定処理の内容を異ならせている。
すなわち、第2の実施形態では、前記ステップS3で読み込んだ各輪の車輪速から、前右車輪車輪速VFR、前左車輪車輪速VFL、後右車輪車輪速VRR及び後左車輪車輪速VRLのうち、最も大きい値により車速偏差相当駆動力指令値αΔVの算出用の第1実車速VΔVを設定する。また、前記ステップS3で読み込んだ各輪の車輪速から、前右車輪車輪速VFR、前左車輪車輪速VFL、後右車輪車輪速VRR及び後左車輪車輪速VRLのうち、最も小さい値により走行抵抗相当駆動力指令値αSの算出用の第2実車速VSを設定する。
車速偏差相当駆動力指令値αΔVの算出処理(設定処理)では、後右車輪車輪速センサに失陥が生じた場合、後右車輪車輪速VRR以外の前右車輪車輪速VFR、前左車輪車輪速VFL及び後左車輪車輪速VRLのうちの何れかの値が実車速算出値(第1実車速)VΔVとなる。この結果、前記第1の実施形態と同様に、後右車輪車輪速センサの失陥の影響を受けず、駆動力指令値αΔVは、従来技術と異なり増加するようなことはない。さらに、走行抵抗相当駆動力指令値αSの算出処理(設定処理)では、後右車輪車輪速センサに失陥が生じた場合、後右車輪車輪速VRRの値が実車速算出値(第2実車速)VSとなる。この結果、第1の実施形態と同様に、走行抵抗相当駆動力指令値αSは真値より小さくなる。
車速偏差相当駆動力指令値αΔVの算出処理(設定処理)では、後右車輪車輪速センサに失陥が生じた場合、後右車輪車輪速VRRの値が実車速算出値(第1実車速)VΔVとなる。この結果、前記第1の実施形態と同様に、駆動力指令値αΔVは真値よりも小さくなる。
(1)各車輪速のうち、最大値の車輪速から速偏差相当駆動力指令値αΔVの算出用の実車速VΔVを算出し、各車輪速のうち、最小値の車輪速から走行抵抗相当駆動力指令値αSの算出用の第1実車速VSを算出している。これにより、車速偏差相当駆動力指令値αΔVの算出用の第2実車速VΔVを、より大きい値として算出するとともに、走行抵抗相当駆動力指令値αSの算出用の実車速VSを、より小さい値として算出することができる。
次に第3の実施形態を説明する。
(構成)
第3の実施形態では、前記第1の実施形態のステップS15以降の処理内容を異ならせている。
図9は、前記第1の実施形態におけるステップS15以降の処理内容を変更した第3の実施形態における処理内容を示す。
図9に示すように、先ずステップS61において、車速偏差相当駆動力指令値αΔV及び走行抵抗相当駆動力指令値αSを算出する。
図10は、車速偏差相当駆動力指令値αΔV及び走行抵抗相当駆動力指令値αSを算出するための処理ルーチンを示す。
続いてステップS82において、前記ステップS81で算出した前輪平均車輪速VFを実車速とした場合の車速偏差ΔVF(=VT−VF)を算出する。
続いてステップS83において、前記ステップS81で算出した後輪平均車輪速VRを実車速とした場合の車速偏差ΔVR(=VT−VR)を算出する。
ステップS87では、車速偏差相当駆動力指令値αΔVの増加分(=αΔVR−αΔVF)が走行抵抗相当駆動力指令値αSの減少分(=αSF−αSR)よりも大きいか否かを判定する。ここで、車速偏差相当駆動力指令値αΔVの増加分の方が大きい場合(αΔVR−αΔVF>αSF−αSR)、ステップS88に進み、走行抵抗相当駆動力指令値αSの減少分の方が大きい場合(αΔVR−αΔVF≦αSF−αSR)、ステップS94に進む。
続いてステップS89において、後輪についての走行抵抗相当駆動力指令値αSRで最終的な走行抵抗相当駆動力指令値αSを設定する(αS=αSR)。
続いてステップS90において、後輪平均車輪速VRが前輪平均車輪速VFよりも大きいか否かを判定する。ここで、後輪平均車輪速VRが前輪平均車輪速VFよりも大きい場合(VR>VF)、ステップS91に進み、そうでない場合(VR≦VF)、ステップS94に進む。
続いてステップS93において、前輪についての走行抵抗相当駆動力指令値αSFで最終的な走行抵抗相当駆動力指令値αSを設定する(αS=αSF)。そして、該図10に示す処理を終了する。
続いてステップS95において、後輪についての走行抵抗相当駆動力指令値αSRで最終的な走行抵抗相当駆動力指令値αSを設定する(αS=αSR)。そして、該図10に示す処理を終了する。
ところで、前輪平均車輪速が真値よりも大きければ、前記第1の実施形態のように、前輪平均車輪速から得た実車速を基に、車速偏差相当駆動力指令値を算出するとともに、後輪平均車輪速から得た実車速を基に、走行抵抗相当駆動力指令値を算出することが好ましい。
以上のような関係から、前記ステップS86にて、前輪平均車輪速VFと後輪平均車輪速VRとの大小関係から、後車輪速センサの出力値が真値よりも小さくなっている可能性を判定している。ここで、前輪平均車輪速VFが後輪平均車輪速VRよりも大きい場合、後車輪速センサの出力値が真値より小さくなっている可能性が高いとして、前記ステップS87に進んでいる。
ところで、前輪車輪速が真値よりも小さいのであれば、前記第1の実施形態のように、後輪平均車輪速から得た実車速を基に、車速偏差相当駆動力指令値を算出するとともに、前輪平均車輪速から得た実車速を基に、走行抵抗相当駆動力指令値を算出することが好ましい。
以上のような関係から、前記ステップS90にて、前輪平均車輪速VFと後輪平均車輪速VRとの大小関係から、後車輪速センサの出力値が真値より大きくなっている可能性を判定している。ここで、後輪平均車輪速VRが前輪平均車輪速VFよりも大きい場合、後車輪速センサの出力値が真値より大きくなっている可能性が高いとして、前記ステップS91に進んでいる。
すなわち、前記第3の実施形態では、走行制御全般を後輪平均車輪速VRから得た実車速を用いて行う場合を説明した。これに対して、走行制御全般を前輪平均車輪速VFから得た実車速を用いて行うこともできる。この場合には、次のような制御になる。
(1)走行制御全般を後輪平均車輪速VRから得た実車速を用いて行っている。そのような前提で、後輪平均車輪速VRが前輪平均車輪速VFよりも小さく、かつ前輪平均車輪速VFに基づいて得た車速偏差相当駆動力指令値αΔVFと後輪平均車輪速VRに基づいて得た車速偏差相当駆動力指令値αΔVRとの差分が、前輪平均車輪速VFに基づいて得た走行抵抗相当駆動力指令値αSFと後輪平均車輪速VRに基づいて得た走行抵抗相当駆動力指令値αSRとの差分よりも大きい場合(αΔVR−αΔVF>αSF−αSR)、前記第1の実施形態と同様に、前輪平均車輪速VFを基に車速偏差相当駆動力指令値αΔVを算出するとともに、後輪平均車輪速VRを基に走行抵抗相当駆動力指令値αSを算出している。これにより、常に過大とならないような総駆動力指令値αを算出することができる。また、不必要に駆動力を抑制しないで済む。
なお、前記実施形態を次のような構成により実現することもできる。
すなわち、前記実施形態では、実車速の算出用の値を複数検出する検出手段が各車輪に取り付けた車輪速センサである場合を説明した。これに対して、車速偏差相当駆動力指令値及び走行抵抗相当駆動力指令値の算出用の実車速を得ることができるものであれば、他の検出手段にすることもできる。例えば、車輪速センサの他に、トランスミッション出力軸回転数を検出するセンサを備えることもできる。
Claims (6)
- 実車速の算出用の値を複数検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した値に基づいて、第1実車速を算出する第1実車速算出手段と、
前記検出手段が検出した値に基づいて、第2実車速を算出する第2実車速算出手段と、
前記第1実車速算出手段が算出した第1実車速に基づいて、車速偏差相当の駆動力指令値を算出するものであり、目標車速と第1実車速との偏差に応じた車速偏差相当の駆動力指令値を算出する第1駆動力指令値算出手段と、
前記第2実車速算出手段が算出した第2実車速に基づいて、走行抵抗相当の駆動力指令値を算出するものであり、第2実車速が大きくなるほど、走行抵抗相当の駆動力指令値を大きくする第2駆動力指令値算出手段と、
前記第1及び第2駆動力指令値算出手段が算出した前記車速偏差相当の駆動力指令値及び走行抵抗相当の駆動力指令値を加算する駆動力指令値加算手段と、
前記駆動力指令値加算手段が加算して得た駆動力指令値に基づいて、車両の制駆動力制御をする制駆動力制御手段と、
前記第1実車速算出手段は、前記検出手段が検出した複数の値の何れかを用いて、より大きい値の第1実車速を算出し、前記第2実車速算出手段は、前記検出手段が検出した複数の値の何れかを用いて、より小さい値の第2実車速を算出することを特徴とする車両用走行制御装置。 - 前記検出手段は、実車速の算出用の値として各車輪の車輪速を検出するものとして各車輪に備えられた車輪速検出手段であり、前記第1実車速算出手段は、前記検出手段が検出した左右後輪の車輪速の平均値と左右前輪の車輪速の平均値とのうち、大きい方の値から前記第1実車速を算出し、前記第2実車速算出手段は、前記検出手段が検出した左右後輪の車輪速の平均値と左右前輪の車輪速の平均値とのうち、小さい方の値から前記第2実車速を算出することを特徴とする請求項1記載の車両用走行制御装置。
- 前記検出手段は、実車速の算出用の値として各車輪の車輪速を検出するものとして各車輪に備えられた車輪速検出手段であり、前記第1実車速算出手段は、前記検出手段が検出した各輪の車輪速のうち、最大値の車輪速から前記第1実車速を算出し、前記第2実車速算出手段は、前記検出手段が検出した各輪の車輪速のうち、最小値の車輪速から前記第2実車速を算出することを特徴とする請求項1記載の車両用走行制御装置。
- 前記検出手段は、実車速の算出用の値として各車輪の車輪速を検出するものとして各車輪に備えられた車輪速検出手段であり、走行制御全般が、前記検出手段が検出した左右後輪の車輪速の平均値に基づいて得た実車速を用いて行われるものであり、
左右後輪の車輪速の平均値が左右前輪の車輪速の平均値よりも小さく、かつ左右前輪の車輪速の平均値に基づいて得た車速偏差相当の駆動力指令値と左右後輪の車輪速の平均値に基づいて得た車速偏差相当の駆動力指令値との差分が、左右前輪の車輪速の平均値に基づいて得た走行抵抗相当の駆動力指令値と左右後輪の車輪速の平均値に基づいて得た走行抵抗相当の駆動力指令値との差分よりも大きい場合、前記第1実車速算出手段は、左右前輪の車輪速の平均値に基づいて、前記第1実車速を算出するとともに、前記第2実車速算出手段は、左右後輪の車輪速の平均値に基づいて、前記第2実車速を算出し、
左右前輪の車輪速の平均値が左右後輪の車輪速の平均値よりも小さく、かつ左右前輪の車輪速の平均値に基づいて得た車速偏差相当の駆動力指令値と左右後輪の車輪速の平均値に基づいて得た車速偏差相当の駆動力指令値との差分が、左右前輪の車輪速の平均値に基づいて得た走行抵抗相当の駆動力指令値と左右後輪の車輪速の平均値に基づいて得た走行抵抗相当の駆動力指令値との差分よりも小さい場合、前記第1実車速算出手段は、左右後輪の車輪速の平均値に基づいて、前記第1実車速を算出するとともに、前記第2実車速算出手段は、左右前輪の車輪速の平均値に基づいて、前記第2実車速を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用走行制御装置。 - 前記検出手段は、実車速の算出用の値として各車輪の車輪速を検出するものとして各車輪に備えられた車輪速検出手段であり、走行制御全般が、前記検出手段が検出した左右前輪の車輪速の平均値に基づいて得た実車速を用いて行われるものであり、
左右後輪の車輪速の平均値が左右前輪の車輪速の平均値よりも小さく、かつ左右前輪の車輪速の平均値に基づいて得た車速偏差相当の駆動力指令値と左右後輪の車輪速の平均値に基づいて得た車速偏差相当の駆動力指令値との差分が、左右前輪の車輪速の平均値に基づいて得た走行抵抗相当の駆動力指令値と左右後輪の車輪速の平均値に基づいて得た走行抵抗相当の駆動力指令値との差分よりも小さい場合、前記第1実車速算出手段は、左右前輪の車輪速の平均値に基づいて、前記第1実車速を算出するとともに、前記第2実車速算出手段は、左右後輪の車輪速の平均値に基づいて、前記第2実車速を算出し、
左右前輪の車輪速の平均値が左右後輪の車輪速の平均値よりも小さく、かつ左右前輪の車輪速の平均値に基づいて得た車速偏差相当の駆動力指令値と左右後輪の車輪速の平均値に基づいて得た車速偏差相当の駆動力指令値との差分が、左右前輪の車輪速の平均値に基づいて得た走行抵抗相当の駆動力指令値と左右後輪の車輪速の平均値に基づいて得た走行抵抗相当の駆動力指令値との差分よりも大きい場合、前記第1実車速算出手段は、左右後輪の車輪速の平均値に基づいて、前記第1実車速を算出するとともに、前記第2実車速算出手段は、左右前輪の車輪速の平均値に基づいて、前記第2実車速を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用走行制御装置。 - 目標車速と実車速との偏差に応じた車速偏差相当の駆動力指令値を算出するとともに、実車速が大きくなるほど、大きくなる走行抵抗相当の駆動力指令値を算出し、算出した車速偏差相当の駆動力指令値及び走行抵抗相当の駆動力指令値を加算し、加算して得た駆動力指令値に基づいて、車両の制駆動力制御をする車両用走行制御方法において、
実車速の算出用の値を複数検出する検出手段が検出した複数の値の何れかを用いて、前記車速偏差相当の駆動力指令値の算出用の実車速を、より大きい値として算出するとともに、前記検出手段が検出した複数の値の何れかを用いて、前記走行抵抗相当の駆動力指令値の算出用の実車速を、より小さい値として算出することを特徴とする車両用走行制御方法。
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