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JP2009021501A - 分子素子、単分子光スイッチ素子、機能素子、分子ワイヤーおよび電子機器 - Google Patents

分子素子、単分子光スイッチ素子、機能素子、分子ワイヤーおよび電子機器 Download PDF

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JP2009021501A JP2007184477A JP2007184477A JP2009021501A JP 2009021501 A JP2009021501 A JP 2009021501A JP 2007184477 A JP2007184477 A JP 2007184477A JP 2007184477 A JP2007184477 A JP 2007184477A JP 2009021501 A JP2009021501 A JP 2009021501A
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zinc
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Yuichi Tokita
裕一 戸木田
Jusuke Shimura
重輔 志村
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Abstract

【課題】複雑な化学合成を用いることなく簡単に構成することができ、超高速動作が可能でかつ超高密度の集積化が可能な分子素子、単分子光スイッチ素子および機能素子を提供する。
【解決手段】分子素子は、少なくとも一分子の亜鉛チトクロムcを有し、この亜鉛チトクロムcの分子軌道間の電子の遷移を利用してこの亜鉛チトクロムc内で電子またはホールを移動させる。この分子軌道は、例えば、亜鉛チトクロムcの第1のアミノ酸残基に局在化する第1の分子軌道および亜鉛チトクロムcの第2のアミノ酸残基に局在化し、かつ第1の分子軌道に対して単位時間当たりの遷移確率が最大の第2の分子軌道である。この場合、第1のアミノ酸残基と第2のアミノ酸残基との間を電子またはホールが移動する。
【選択図】図30

Description

この発明は、分子素子、単分子光スイッチ素子、機能素子、分子ワイヤーおよび電子機器に関し、特に、亜鉛チトクロムcなどの電子伝達タンパク質を用いた分子素子、単分子光スイッチ素子および機能素子ならびに各種の素子の配線に用いて好適な分子ワイヤーならびにこの機能素子を用いた電子機器に関する。
情報通信分野、コンピュータ分野などにおける半導体を用いたエレクトロニクスデバイスの世界は、その性能向上のために微細化技術を発展させてきた。しかしながら、その物理的限界はすぐそこに迫ってきており、新たな技術革新によるブレークスルーが望まれている。その一つとして、分子を用いた電子回路、分子素子技術を挙げることができる。分子素子はオングストロームオーダーのサイズで機能し、半導体デバイスと比較して集積度で103 〜106 倍も向上させることができる(例えば、非特許文献1参照。)。
分子素子の駆動原理・モデルに関しては、いくつかの提案がなされている。
Batlogg らは、電界効果トランジスタ(FET)の技術を用いることにより、有機物結晶などにおいて、伝導性ないし超伝導の特性が発現するとの知見を得た(非特許文献2参照。)。この特性はフラーレンや金属錯体においても見出されており、電場によるキャリアドーピングで、種々の化合物分子にスイッチングの機能を付与し得るものとして注目されている。
また、和田らは、単分子素子の可能性として、フラーレンを量子ドットとして具備した分子単電子トランジスタのモデルを提案している(特許文献1参照。)。これは、量子ドットに電極をトンネル接合し、絶縁層を挟んでゲート電圧を印加することによって量子ドットのポテンシャルを変化させ、トランジスタとしての機能を発現させる技術である。
さらに、多様な構造的・機能的性質を示す超分子を用い、その分子認識機能をスイッチングに応用する試みもある。この超分子は、複数の分子が配位結合、水素結合、分子間力などの非共有結合的な相互作用を利用して組織化されることにより、単独の状態では不可能な多様な構造的・機能的性質を獲得したものである。Balzani らは、カテナン、ロタキサンなどの分子認識機能を有する超分子化合物を利用して、pHや光などの外場により挙動が変化する分子スイッチを提案している(非特許文献3参照。)。
一方、分子素子における配線技術に関し、導電性高分子の末端にチオールなどの官能基を導入し、金やITO電極などに対する化学吸着を利用して配線接続を行う試みが行われている。
以上のように、分子素子についてはこれまでに多くの研究がなされているものの、実用的な分子素子ないしそれを用いた回路を構築可能とする技術は、未だ提供されていないのが現状である。
分子素子ないしそれを用いた回路の設計ないし構築においては、個々の分子の配置・配列、個々の分子の認識、個々の分子へのアクセス、特定の分子素子間を緻密に繋ぎ回路を形成するための配線、アドレッシングなどをどのように行うのかが問題となる。例えば、上記の個々の分子の配置・配列については、SPM(走査プローブ顕微鏡)を用いて原子を一つずつ配列させる技術なども発達してきてはいるものの、ナノスケールのデバイスの設計ないし構築としては現実的ではない。また、上記の配線については、上記の分子素子を設計する場合には半導体素子と同様に固体中で電気信号により駆動させるのが現実的であると考えられるものの、分子レベルの素子に対してマクロスケールの導線を接続することは極めて困難である。
一方、上記の分子素子ないしそれを用いた回路の設計ないし構築においては、単一の鎖状高分子または一次元的に集積化された分子によって形成される分子ワイヤーが、導電パスとしてあるいはそれ自身がスイッチング機能を持った分子素子における重要な要素と考えられており、研究されてきている。しかしながら、現在研究されている分子ワイヤーの場合、その導電機構が十分に解明されているものはないのが現状である。また、一般に、単純な一次元物質は、パイエルス転移などの一次元系特有の性質によって導電性が損なわれてしまうため、分子ワイヤーの形成が容易でないという問題がある。
また、分子ワイヤーとして期待される金属錯体鎖、特に、梯子型金属錯体については、その性質に関する理論的研究がRiceらによって始められ、反強磁性的な金属鎖が偶数本並んだスピンラダーと呼ばれる梯子型構造の場合、キャリアドーピングにより超伝導を示すと予想されており(非特許文献4参照。)、素子として機能する可能性も考えられる。実験的な例としては、銅酸化物を用いた二本鎖の梯子型化合物が合成され、高圧下での超伝導現象が見出されている(非特許文献5参照。)。また、有機対アニオンで被覆したハロゲン架橋金属錯体を溶媒中に分散させることによる分子ワイヤーの形成が君塚らにより研究され(非特許文献6参照。)、p−EPYNNおよびNi(dmit)2 による金属錯体を用いた梯子型化合物も研究されている(非特許文献7参照。)。さらに、ナノワイヤーを直交させた交点でのスイッチングをこのナノワイヤーからの入力で制御する、いわゆるクロスバースイッチは、複雑な加工を要しないナノデバイスの候補として近年研究が盛んであり(例えば、非特許文献8参照。)、上記のナノワイヤーによるアレイを分子レベルでかつボトムアップ的に構築することができれば、極めて高密度なデバイスを比較的容易に実現できる点で期待される。
しかしながら、上述の分子ワイヤーやナノワイヤーはいずれも、予想や実験段階の見解に過ぎず、実用性や具体性には欠けるものである。これらを既存の技術で達成することは困難であり、分子レベルの配線などを分子レベルでボトムアップ的に実現可能とする新しい手法が望まれている。他方、金属錯体集積構造物の合成例も報告されている(非特許文献9参照。)。ところが、多くの場合、分子間力などの弱い相互作用によって分子を結果的に梯子状に配列させているのみであるため、パッキング制御が困難であるという問題がある。また、得られる金属錯体鎖における分子の配列が、分子形、置換基の効果、分子間の微妙な相互作用などに大きく依存してしまい、化学修飾を施したとしても梯子型構造などをとり得る確率が低いため、単独のワイヤーとしては十分に機能し得ないという問題がある。
なお、ナノポーラス酸化チタン(TiO2 )電極に亜鉛チトクロムc(Zn cytochrome c)をランダムに吸着させた試料において、亜鉛チトクロムcへの光照射によって励起された電子がTiO2 の伝導帯に注入されることで光電流が発生することが報告されている(非特許文献10参照。)。
また、金基板上に固定化された鉄チトクロムc(Fe cytochrome c)と緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein,GFP)との二層構造の単分子膜において、光照射によって光電流が発生することが報告されている(非特許文献11参照。)。
なお、金基板上に固定化されたペプチドの単分子膜において、光照射によって光電流が発生することが報告されている(非特許文献12参照。)。この非特許文献12では、互いに光応答性が異なる2種のペプチドを一つの金基板上に硫黄化合物であるジスルフィドの単分子膜を介して固定化することにより、光電流の極性を照射光の波長によって制御している。
また、亜鉛チトクロムcの合成方法が報告されている(非特許文献13参照。)。
また、鉄チトクロムcを単分子吸着させた金電極の作製方法が報告されている(非特許文献14参照。)。
松重和美、田中一義「分子ナノテクノロジー:分子の能力をデバイス開発に活かす」化学同人 J.H.Schon, Ch.Kolc,B.Batlogg, Nature, 406, 702(2000) V.Balzani, A.Credi, and M. Venturi, Coord. Chem. Rev., 171,3(1998) T. M. Rice,S. Gopalan and M. Sigrist, Europhys. Lett.,23,445(1993) M. Uehara, T. Nagata, J. Akimitsu, H. Takahashi, H. Mori and K. Kinoshita, J. Phys. Soc. Jpn., 65, 2764(1996) N. Kimizuka, N. Oda, T. Kunitake, Inorg. Chem. 39, 2684(2000) H. Imai, T. Inabe, T. Otsuka, T. Okuno, and K. Agawa, Phys.Rev. B 54, R6838(1996) James R. Heath, Philip J. Kuekes, Gregory S. Snider, R. Stanley Williams, Science Vol. 280(1998) W. Huang, S. Gou, D. Hu, S. Chantrapromma, H. Fun, and Q. Meng, Inorg. Chem., 40, 1712(2001) Emmanuel Topoglidis, Colin J. Campbell, Emilio Palomares,and James R. Durrant, Chem. Commun. 2002, 1518-1519 Jeong-Woo Choi and Masamichi Fujihira, Appl. Phys. Lett. 84, 2187-2189 (2004) Shiro Yasutomi, Tomoyuki Morita, Yukio Imanishi, ShunsakuKimura, Science 304, 1944-1947 (2004) Martin Braun, Stefan Atalick, Dirk M. Guldi, Harald Lanig, Michael Brettreich, Stephan Burghardt, Maria Hatzimarinaki, Elena Ravanelli, Maurizio Prato, Rudi van Eldik, and Andreas Hirsch, Chem. Eur. J. 9 , 3867-3875 (2003) Ryutaro Tanimura, Michael G. Hill, Emanuel Margoliash, Katsumi Niki, Hiroyuki Ohno, and Harry Gray, Electrochem. Solid-State Lett. 5, E67-E70 (2002) 特開平11−266007号公報
この発明が解決しようとする課題は、複雑な化学合成を用いることなく簡単に構成することができ、超高速動作が可能でかつ超高密度の集積化が可能な分子素子、単分子光スイッチ素子および機能素子を提供することである。
この発明が解決しようとする他の課題は、上記の分子素子、単分子光スイッチ素子および機能素子を始めとした各種の素子の配線に用いて好適な分子ワイヤーを提供することである。
この発明が解決しようとするさらに他の課題は、上記の機能素子を用いた各種の電子機器を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った。その概要について説明すると次の通りである。
分子素子の構成には一般に有機分子が用いられ、その合成テクニックと自己組織化のようなボトムアップ的な手法とによる素子形成法が用いられる。しかしながら、分子素子の機能を発現させるためには、分子設計を行い、多段階の複雑な合成技術を駆使することでようやく一つ素子ができるという具合で、現実的に実用化することは難しい。また、単分子素子形成のためには、原子間力顕微鏡や光ピンセット技術のようなSPM技術を駆使して1分子をマニピュレートすることも必要になってくるが、その場合、通常の有機分子ではサイズが小さすぎて技術的に難しくなる。この問題を解決するナノメートルスケールの分子としてC60に代表されるフラーレン類がある。しかしながら、フラーレンの機能は限定的であり、分子トランジスタをC60で作ろうとすると、結局複雑な有機合成を行う必要が出てくる。
また、電子を通すワイヤーとしての分子素子としてカーボンナノチューブなどが提案されているが、調整にあたりその長さをそろえたり、方向性を持った形でマニピュレートすることの困難性など課題は山積している。このように、通常の有機分子やフラーレンを用いた分子素子の作製は、多くの困難があり非現実的である。
一方、タンパク質を見てみると、上記の課題の多くが始めから既に解決済みであることが分かる。タンパク質はアミノ酸ポリマーであり、その中に機能分子を取り込んだものもある(例えば、金属イオン、金属錯体、補酵素など)。その構造は極めて複雑であり、それぞれのタンパク質がそれぞれの機能を発現するために最適化された構造が作り込まれている。機能性タンパク質の中には電子伝達タンパク質と呼ばれる、電子の受け渡しを行うタンパク質群が存在する。この電子伝達タンパク質は、タンパク質という絶縁物質であるにもかかわらず、その巧みな構造から非常に効率良く電子をナノメートルスケールで受け渡す能力を持つ。これは、なかなか実現困難である分子ワイヤーの理想的な性質を既に持っていることを意味している。以前はタンパク質の機能と構造との相関関係を物理的に解釈することは難しく、例えば電子伝達タンパク質の電子伝達機構についてはほとんど何も分かっていないという状況であった。しかしながら、近年の分子生物学やタンパク質工学の劇的な進展と、量子化学を始めとする物理化学の進展によりその電子伝達機構が明らかになるとともに、タンパク質の機能改変を容易に行うことができるようになってきた。つまり、既にタンパク質そのものが持っている機能を分子素子として利用することは十分可能な段階になってきているのである。例えば、タンパク質のある決まったアミノ酸残基を変えたり、ある決まった場所に挿入したり削除したりすることも可能であり、またαヘリックスやβシートなどの部分構造を入れ替えてしまうというようなことも比較的簡単にできるようになってきている。つまり、現在は、ナノメートルサイズの単分子を思うがままに改変させ、望みの機能を持たせることは、有機分子から組み上げるよりもずっと容易であり、現実的である。そもそも、タンパク質のような複雑で高機能であるとともに、均一な分子量を有するポリマー分子を合成的な手法で作り上げることは現在のところ不可能である。
タンパク質を使用した分子素子を作る上での問題点として、その不安定性が指摘されることがあるが、これに関しても、蛋白質工学の進展や好熱菌由来タンパク質はそもそも非常に安定であるという事実からしても、十分解決することができる課題であり、タンパク質の持つ非常に高い機能を利用できるようにタンパク質そのものを改変してゆくという方が、分子素子実現には近回りである。
そこで、本発明者らは、タンパク質を用いた分子素子の実現により従来技術が有する上記の問題を一挙に解決すべく鋭意検討を行った結果、後に詳述するように電子伝達タンパク質の一種である亜鉛チトクロムcにおいて光励起に伴う双方向光電流の観測に初めて成功し、そのメカニズムもほぼ解明し、この知見に基づいてさらに検討を行った結果、この発明を案出するに至ったものである。
すなわち、上記課題を解決するために、第1の発明は、
少なくとも一分子の亜鉛チトクロムcを有し、この亜鉛チトクロムcの分子軌道間の電子の遷移を利用してこの亜鉛チトクロムc内で電子またはホールを移動させることを特徴とする分子素子である。
ここで、電子の遷移に関与する分子軌道は、遷移の結果、亜鉛チトクロムc内のある位置から、この位置から離れた他の位置に電子またはホールが移動するものである限り、基本的にはどのような分子軌道であってもよい。この分子軌道は、具体的には、例えば、亜鉛チトクロムcの第1のアミノ酸残基に局在化する第1の分子軌道および亜鉛チトクロムcの第2のアミノ酸残基に局在化し、かつ第1の分子軌道に対して単位時間当たりの遷移確率が最大の第2の分子軌道であり、この場合、第1のアミノ酸残基と第2のアミノ酸残基との間を電子またはホールが移動する。このとき、第1のアミノ酸残基および第2のアミノ酸残基が電子またはホールの移動の始点および終点を構成する。典型的には、第1の分子軌道および第2の分子軌道の一方に光励起により電子またはホールを発生させるが、他の手法、例えば電場を印加することによって電子またはホールを発生させるようにしてもよい。また、この分子軌道は、例えば、亜鉛チトクロムcのあるアミノ酸残基および亜鉛ポルフィリンに局在化する分子軌道および他のアミノ酸残基に局在化し、かつ前者の分子軌道に対して単位時間当たりの遷移確率が最大の分子軌道であり、この場合、前者のアミノ酸残基と後者のアミノ酸残基との間を電子またはホールが移動する。さらに、この分子軌道は、例えば、亜鉛チトクロムcの亜鉛ポルフィリンに局在化する分子軌道および他のアミノ酸残基に局在化し、かつ前者の分子軌道に対して単位時間当たりの遷移確率が最大の分子軌道であってもよく、この場合、前者の亜鉛ポルフィリンと後者のアミノ酸残基との間を電子またはホールが移動する。
ある分子軌道から他の分子軌道への電子の遷移に伴う電子移動の速度は以下のフェルミの黄金則(Fermi's golden rule )で記述される(Dirac, P.A.M. (1927) Proc. Roy. Soc. (London) A 114: 243-265および Fermi, E. (1950) Nuclear Physics. University of Chicago Press. )。
Figure 2009021501
ただし、(1)式において、|〈f|H’|i〉|は相互作用H’により始状態|i〉(分子軌道i)から終状態|f〉(分子軌道f)に電子が遷移する遷移積分(Transfer Integral)の大きさ、ρ(Efi)は分子軌道fに電子が遷移した際の状態密度、Efiは分子軌道fと分子軌道iとの間のエネルギー差である。|〈f|H’|i〉|をさらに書き下し、ρ(Efi)を近似式で置き直すと、
Figure 2009021501
となる。(2)式の第1項はフランク−コンドン(Franck-Condon)項(振動部分の効果)、第2項は遷移積分(電子部分の効果)、第3項目が状態密度の近似式でディラック(Dirac)のデルタ関数で表される。
この分子素子を構成する亜鉛チトクロムcは、例えば、導電材料からなる電極上に、少なくとも一分子あるいは単分子膜または多分子膜として固定することができ、例えば静電的結合や化学結合などにより固定することができる。基板上に第1の電極を互いに分離して複数設け、これらのそれぞれに一つまたは複数の亜鉛チトクロムcを固定するようにしてもよい。この亜鉛チトクロムcの電極上への固定は直接的に行ってもよいし、例えば硫黄原子などのヘテロ原子を有する有機化合物などからなる中間層を介して間接的に行ってもよい。この中間層としては、亜鉛チトクロムcの光励起により発生した電子が電極に移動した後、この電子が再び亜鉛チトクロムcに戻る現象、すなわち逆電子移動を防止することができるもの、言い換えると整流性を有するものを用いるのが好ましい。このような中間層としては、例えば、硫黄化合物であるジスルフィドの単分子膜が挙げられる(非特許文献12参照。)。電極に用いる導電材料は、この電極上に亜鉛チトクロムcを直接固定する場合にはこの固定化能に優れたものであることが望ましく、中間層を介して固定する場合にはこの中間層の固定化能に優れたものであることが望ましい。具体的には、この導電材料としては、例えば、例えば、金、白金、銀などの金属、ITO(インジウム−スズ複合酸化物)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、ネサガラス(SnO2 ガラス)などの金属酸化物あるいはガラスなどに代表される無機材料のほか、導電性高分子(ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリパラフェニレンスルフィドなど)、テトラチアフルバレン誘導体(TTF、TMTSF、BEDT−TTFなど)を含む電荷移動錯体(例えば、TTF−TCNQなど)などを用いることができる。この電極の表面形状は、例えば凹面、凸面、凹凸面などの任意の形状であってよく、いずれの形状の面にも容易に亜鉛チトクロムcを固定することが可能である。この電極と他の電極との間に亜鉛チトクロムcを挟んで用いてもよい。この他の電極の導電材料としても、上記の電極に用いる導電材料と同様なものを用いることができる。これらの電極の少なくとも一方を通して光を入射させる場合、これらの電極の少なくとも一方は可視光に対して透明に構成される。これらの電極の間に亜鉛チトクロムcを挟んだ構造は、例えば光電変換素子として使用することができる。
この光電変換素子は、亜鉛チトクロムcの光電変換機能および電子伝達機能を損なわない限り、溶液(電解質溶液)中、ドライな環境中のいずれでも動作させることが可能である。例えば、電解質溶液中で動作させる場合には、典型的には、電極上に固定された亜鉛チトクロムcに対して間隔を空けて対向するように他の電極が設けられ、これらの電極が電解質溶液中に浸漬される。この電解質溶液の電解質(あるいは、レドックス種)としては、一方の電極で酸化反応が起こり、他方の電極で還元反応が起こるものが用いられる。具体的には、電解質(あるいは、レドックス種)としては、例えば、K4 [Fe(CN)6 ]や[Co(NH3 6 ]Cl3 などが用いられる。ドライな環境中で動作させる場合には、典型的には、例えば、亜鉛チトクロムcを吸着しない固体電解質、具体的には例えば寒天やポリアクリルアミドゲルなどの湿潤な固体電解質が、一方の電極上に固定された亜鉛チトクロムcと他方の電極との間に挟み込まれ、好適にはこの固体電解質の周囲にこの固体電解質の乾燥を防ぐための封止壁が設けられる。これらの場合においては、これらの電極間の自然電極電位の差に基づいた極性で、亜鉛チトクロムcからなる受光部で光を受光したときに光電流を得ることができる。
この光電変換素子においては、これらの電極間の電位差、亜鉛チトクロムcに照射する光の強度および亜鉛チトクロムcに照射する光の波長のうちの少なくとも一つを調節することにより、素子内部を流れる光電流の大きさおよび/または極性を変化させることができる。ここで、これらの電極間の電位差とは、電圧印加によって人為的に作り出すバイアス電圧と、第1の電極と第2の電極との自然電極電位の差との両方の意味を含む。
この光電変換素子は、例えば光検出器(光センサー)に用いることができ、必要に応じて光電流の増幅回路などを併せて用いることができる。光検出器は光信号の検出などの各種の用途に用いることができ、人工網膜などに応用することも可能である。この光電変換素子は、太陽電池として用いることも可能である。
この光電変換素子は、光電変換を利用する各種の装置や機器などに用いることができ、具体的には、例えば、受光部を有する電子機器などに用いることができる。
この光電変換素子を半導体装置に用いてもよい。この半導体装置において、光電変換素子は半導体基板上に固定される。この半導体基板上には、典型的には、光電変換素子から取り出される光電流を増幅したりする半導体素子や電子回路などが従来公知の半導体テクノロジーにより形成される。半導体基板は、Siなどの元素半導体からなる半導体基板であっても、GaAsなどの化合物半導体からなる半導体基板であってもよい。この半導体装置は、例えば光電子集積回路装置として構成することができる。この光電子集積回路装置においては、例えば、半導体基板上に光電変換素子に加えて、半導体レーザや発光ダイオードなどの発光素子や電子回路などが形成される。この場合、発光素子からの光を光電変換素子に入射させるようにしてもよい。この半導体装置の機能や用途は問わないが、具体的には、光検出器、光信号処理装置、撮像素子(MOSイメージセンサー、電荷転送素子(CCD)など)などである。
第2の発明は、
一分子の亜鉛チトクロムcを有し、この亜鉛チトクロムcの分子軌道間の電子の遷移を利用してこの亜鉛チトクロムc内で電子またはホールを移動させることを利用した単分子光スイッチ素子であって、
上記亜鉛チトクロムcの互いに異なる複数のアミノ酸残基にそれぞれ配線が接続されており、
上記複数のアミノ酸残基から任意に選ばれた第1のアミノ酸残基および第2のアミノ酸残基にそれぞれ第1の分子軌道および第2の分子軌道が局在化し、上記第2の分子軌道は上記第1の分子軌道に対して単位時間当たりの遷移確率が最大である
ことを特徴とするものである。
ここで、アミノ酸残基に接続する配線は、従来公知の分子ワイヤーや後述の亜鉛チトクロムcを用いた分子ワイヤーやDNAなどの他の導電性分子などを、必要に応じて適当なリンカーを用いて接続する。
第2の発明においては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
第3の発明は、
少なくとも一分子の亜鉛チトクロムcを有し、この亜鉛チトクロムcの分子軌道間の電子の遷移を利用してこの亜鉛チトクロムc内で電子またはホールを移動させることを特徴とする機能素子である。
ここで、機能素子は、分子軌道間の電子の遷移に伴って発生する亜鉛チトクロムcの導電性を利用して何らかの機能を果たすものである限り、基本的にはどのようなものであってよい。この機能素子は、光の照射により切替を行う単分子光スイッチを始めとしたスイッチ素子や、亜鉛チトクロムcを基板上に敷き詰めて回路素子を構成した集積回路素子、マトリクス回路、分子機能デバイス、論理回路などの構築に好適であり、情報通信分野における演算装置、ディスプレー、メモリなどの各種の素子・機器の微細化・精密化に応用可能である。
第3の発明においては、その性質に反しない限り、第1および第2の発明に関連して説明したことが成立する。
第4の発明は、
少なくとも一分子の亜鉛チトクロムcを有し、この亜鉛チトクロムcの分子軌道間の電子の遷移を利用してこの亜鉛チトクロムc内で電子またはホールを移動させることを特徴とする分子ワイヤーである。
ここで、分子ワイヤーは、典型的には、配線距離に応じた長さおよび配線の引き回し形状になるように複数分子の亜鉛チトクロムcを直列に結合したものであるが、亜鉛チトクロムc以外の導電性物質、例えば鉄チトクロムcなどの他の電子伝達タンパク質を含んでいてもよい。こうすることで、例えば、分子ワイヤーの一つの末端の亜鉛チトクロムcにおいて光励起により発生した電子をこれらの電子伝達タンパク質間を順次移動させて他の末端まで移動させることが可能である。分子ワイヤーの途中にDNA配線を設けるようにしてもよい。
第4の発明においては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
第5の発明は、
一つまたは複数の機能素子を有する電子機器において、
少なくとも一つの上記機能素子として、少なくとも一分子の亜鉛チトクロムcを有し、この亜鉛チトクロムcの分子軌道間の電子の遷移を利用してこの亜鉛チトクロムc内で電子またはホールを移動させる機能素子を用いる
ことを特徴とするものである。
この電子機器の機能および用途は特に問わず、各種の電子機器であってよく、携帯型のものと据え置き型のものとの双方を含むが、具体例を挙げると、デジタルカメラ、カメラ一体型VTR(ビデオテープレコーダ)などである。
第5の発明においては、その性質に反しない限り、第1および第4の発明に関連して説明したことが成立する。
第6の発明は、
少なくとも一分子の電子伝達タンパク質を有し、この電子伝達タンパク質の分子軌道間の電子の遷移を利用してこの電子伝達タンパク質内で電子またはホールを移動させることを特徴とする分子素子である。
第7の発明は、
一分子の電子伝達タンパク質を有し、この電子伝達タンパク質の分子軌道間の電子の遷移を利用してこの電子伝達タンパク質内で電子またはホールを移動させることを利用した単分子光スイッチ素子であって、
上記電子伝達タンパク質の互いに異なる複数のアミノ酸残基にそれぞれ配線が接続されており、
上記複数のアミノ酸残基から任意に選ばれた第1のアミノ酸残基および第2のアミノ酸残基にそれぞれ第1の分子軌道および第2の分子軌道が局在化し、上記第2の分子軌道は上記第1の分子軌道に対して単位時間当たりの遷移確率が最大である
ことを特徴とするものである。
第8の発明は、
少なくとも一分子の電子伝達タンパク質を有し、この電子伝達タンパク質の分子軌道間の電子の遷移を利用してこの電子伝達タンパク質内で電子またはホールを移動させることを特徴とする機能素子である。
第9の発明は、
少なくとも一分子の電子伝達タンパク質を有し、この電子伝達タンパク質の分子軌道間の電子の遷移を利用してこの電子伝達タンパク質内で電子またはホールを移動させることを特徴とする分子ワイヤーである。
第10の発明は、
一つまたは複数の機能素子を有する電子機器において、
少なくとも一つの上記機能素子として、少なくとも一分子の電子伝達タンパク質を有し、この電子伝達タンパク質の分子軌道間の電子の遷移を利用してこの電子伝達タンパク質内で電子またはホールを移動させる機能素子を用いる
ことを特徴とするものである。
第6〜第10の発明においては、電子伝達タンパク質は、一般的には金属を含む電子伝達タンパク質である。この金属は、好適には、d軌道以上の高エネルギーの軌道に電子を有する遷移金属(例えば、亜鉛や鉄など)である。この電子伝達タンパク質は、鉄−硫黄タンパク質類(例えば、ルブレドキシン、二鉄フェレドキシン、三鉄フェレドキシン、四鉄フェレドキシンなど)、ブルー銅タンパク質類(例えば、プラストシアニン、アズリン、シュードアズリン、プランタシアニン、ステラシアニン、アミシアニンなど)、チトクロム類(例えば、チトクロムc(亜鉛チトクロムcなど)、チトクロムb、チトクロムb5、チトクロムc1、チトクロムa、チトクロムa3、チトクロムf、チトクロムb6など)であるが、これらに限定されるものではない。例えば、これらの電子伝達タンパク質の誘導体(骨格のアミノ酸残基が化学修飾されたもの)またはその変異体(骨格のアミノ酸残基の一部が他のアミノ酸残基に置換されたもの)である。
上述のように構成されたこの発明においては、タンパク質である亜鉛チトクロムcや電子伝達タンパク質はナノメートルサイズであるため、超高密度の集積化が可能である。また、これらのタンパク質はナノメートルサイズの均一な機能性ポリマーであり、天然由来のタンパク質を原料として用いることにより、必要な合成反応を最小限に抑えることができ、有機半導体のような複雑な化学合成を用いることなく簡単に得ることができるだけでなく、単分子のマニピュレーションもSPM技術を利用して、オングストロームサイズの有機分子より容易に扱うことができる。また、これらのタンパク質は、光励起により高速の光電流応答特性を得ることができる。また、これらのタンパク質においては、電子移動パスの周りが絶縁体であるアミノ酸残基で覆われているため、ノイズの混入が抑えられる。さらに、電子またはホールの移動の始点と終点とが決まっていることから、例えばその部分を他の機能性分子や機能性タンパク質あるいは金属などのバルク電極と繋ぎ合わせることで、集積回路を形成することができる。また、タンパク質は特異的な分子認識を得意にしており、タンパク質の分子認識能を利用した設計を施せば、ナノメートルサイズの機能性分子(タンパク質)を思い通りに自己集積化させることもでき、プロセス的にも簡潔になる。
この発明によれば、複雑な化学合成を用いることなく簡単に構成することができ、超高速動作が可能でかつ超高密度の集積化が可能な分子素子、単分子光スイッチ素子および機能素子を実現することができる。また、分子素子、単分子光スイッチ素子および機能素子を始めとした各種の素子の配線に用いて好適な分子ワイヤーを実現することができる。また、この機能素子を用いた高性能の電子機器を実現することができる。
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
まず、電子伝達タンパク質の一例として亜鉛チトクロムcを用いて行った実験の結果について説明する。
図1AおよびBに亜鉛チトクロムcのリボンモデル図を示す。図1Aはアミノ酸側鎖も示したもの、図1Bはアミノ酸側鎖を省略したものである。亜鉛チトクロムcのアミノ酸残基数は104である。この亜鉛チトクロムcの中心にあるポルフィリンには中心金属として亜鉛が配位しており、光吸収や光誘起電子移動反応の中心となるものである。この亜鉛チトクロムcのうちのポルフィリンを取り巻くタンパク質部分は絶縁体である。亜鉛チトクロムcは可視光領域にソーレー帯(Soret band)およびQ帯と呼ばれる特徴的な吸収ピークを有し、可視光により光励起することが可能である。
〈実験1〉
1.試料の作製
高純度の金線の一端をバーナーで融かして直径数mmのドロップ状の形状にしたものを電極に用いた。このドロップ状の金を10−カルボキシ−1−デカンチオール(HS(CH2 10COOH)のエタノール溶液に浸すことによって、HS(CH2 10COOHの自己組織化単分子膜(self-assembled monolayer,SAM)を中間層としてドロップ状の金表面上に形成した。こうして得られたSAM電極を亜鉛チトクロムcの10mM Tris−HClバッファー溶液(pH8.0)に浸すことによって、ドロップ状の金表面上にHS(CH2 10COOHと亜鉛チトクロムcとが吸着した二層構造のSAM電極を作製した。以下において、この二層構造のSAM電極を亜鉛チトクロムc電極と呼ぶ。この亜鉛チトクロムc電極を図2に示す。なお、亜鉛チトクロムcの合成は非特許文献4に従った。また、亜鉛チトクロムc電極の作製は非特許文献2における鉄チトクロムc電極の作製方法に倣った。
2.測定準備
亜鉛チトクロムc電極の表面に満遍なく単色光を照射することができ、さらに光照射のタイミングをシャッターの開閉によって制御できるような光学実験系を整えた。そして、亜鉛チトクロムc電極を作用極、銀線を参照極、白金線を対極としてポテンショスタットに接続し、これらの電極を2.5mM K4 [Fe(CN)6 ]を含む10mMリン酸バッファー水溶液(pH7.0)に浸した。この実験系を図3に示す。図3において、符号21は光源としてのXeランプ(150W)、22はXeランプ21の発光スペクトルのうちの可視光線を効率よく透過して熱線を反射するコールドフィルター(cold filter)、23は集光レンズ、24は光の透過/非透過を制御するシャッター(0.5Hz)、25は集光レンズ、26はシャッター24を通過した光を所望の波長に単色化するモノクロメーター、27は集光レンズ、28は容器、29はK4 [Fe(CN)6 ]を含むリン酸バッファー水溶液、30は作用極としての亜鉛チトクロムc電極、31は参照極としての銀線、32は対極としての白金線、33はモノクロメーター26で単色化された光を反射するAlミラー、34はポテンショスタットを示す。シャッター24の開閉およびモノクロメーター26により単色化される光の波長はコンピュータ35により制御することができるようになっている。集光レンズ27および容器28の全体は、モノクロメーター26で単色化された光の取り入れ口を除いて、外光を遮断するための金属製のシールド36により覆われている。このシールド36は接地されている。
3.光電流の観察
シャッター24を閉じながら亜鉛チトクロムc電極30に銀線31に対して+313mVのバイアス電圧を印加し、その状態のまま60秒間静置した。このとき、暗電流が徐々に減少した。次に、シャッター24を開いて波長380nmの光を1秒間照射し、再びシャッター24を閉じて1秒間休止した。その後、波長381nmの光を1秒間照射し、1秒間休止、波長382nmの光を1秒間照射し1秒間休止、という具合に光の照射と休止とを1秒毎に繰り返しながら光の波長を1nmずつ掃引した。このような間欠的な光照射の過程における電流値の時間変化を計測した結果、照射光のオン/オフに同期するパルス状の電流変化、すなわち光電流が観察された。その結果を図4に示す。
上記の測定によって得られた個々のパルスにおいて、その立ち上がり幅と立ち下がり幅との平均値を求め、これを光電流値とし、各波長における光電流値をプロットして光電流作用スペクトルを得た(図5)。得られた光電流作用スペクトルは亜鉛チトクロムcの吸収スペクトルの相似形であり、このことから、この光電流が亜鉛チトクロムcの光励起に伴うものであることが確認された。
図6は得られた光電流作用スペクトルを入射光の強度を一定として補正したもの、図7は得られた光電流作用スペクトルを入射フォトン数を一定として補正したものを示す。
4.光電流の方向および大きさの制御
図8に示すように、亜鉛チトクロムc電極30に印加するバイアス電圧を調節することによって、光電流の極性(流れる方向)と大きさとの両方を制御することが可能であった。
5.光照射による定常電流方向の反転
図9に示すように、亜鉛チトクロムc電極30に印加するバイアス電圧を、暗所にて極めて微弱な負の電流が得られるようなバイアス電圧(ここでは+23mVvs.Ag)に設定したとき、光照射によってこの電流の極性を反転させることが可能であった。
実験1により、亜鉛チトクロムc電極30において双方向の光電流が得られることが分かった。次に光電流のバイアス電圧依存性を測定した。その結果を図10に示す。波長420nmの光を照射しながら、バイアス電圧を変化させたところ、その光電流はバイアス電圧に対して線形応答を示すことが分かり、亜鉛チトクロムc電極30が光導電体として働くことが分かった。
〈亜鉛チトクロムcの密度汎関数法による全電子計算〉
上述のように、亜鉛チトクロムc電極30において、タンパク質由来の双方向光電流応答が得られることが確認され、この双方向光電流の発生メカニズムは色素増感型であることが判明した。しかしながら、絶縁体であるタンパク質が双方向に光電流を発生するためには何らかの特別な仕組みが亜鉛チトクロムcに備わっていることが予測される。また、亜鉛チトクロムc自身が光センサーとしての性能を発揮することが分かってきたが、これらを分子レベルで制御しながらデバイス設計をするためには、タンパク質自身の電子的な性質を知っておく必要がある。そのためには、タンパク質の電子状態計算を第一原理的に行う必要がある。半経験的分子軌道法によりタンパク質の電子状態を計算する方法もあるが、この方法では、1)亜鉛チトクロムcのように遷移金属の入った金属タンパク質では良い結果が得られない(そもそも計算ができない)、2)パラメータ法なので誤差が発生するが、低分子では許される誤差もタンパク質のような巨大分子の計算では許容範囲も超えてしまう、などの問題があり実際的には使えない。そこで密度汎関数法(DFT)による電子状態計算が必要になってくるが、この方法は非常に計算コストがかかると同時に、収束条件が厳しいために、初期の分子軌道をいかに素性の良いものにするかが非常に重要である。この辺りの工夫がなされたプログラムとしてproteinDFというプログラムパッケージがある(柏木浩 他「タンパク質量子化学計算−proteinDFの夢と実現」アドバンスソフト)。今回の計算は全てこのproteinDFを用いた計算である。
〈亜鉛チトクロムcの計算モデルの構築〉
計算に用いた亜鉛チトクロムcの構造はタンパク質構造データバンク(Protein Data Bank,PDB)に収録されている1M60を採用した。この構造はNMRにより決定されたもので、X線結晶構造解析により求められるものと違って、水素原子の位置まで決まっている。手順を以下に記す。全ての前処理操作はDS Modeling 1.5を用いて行った。
1)PDBより亜鉛チトクロムcの構造を取得。
2)一般化ボルン(Generalized Born)法による溶媒近似で分子力学(MM)計算(RMS条件:0.00001)。力場はCHARMm。この際に、ヘテロ分子である亜鉛ポルフィリンの構造は固定。
3)中性化処理:リジン(Lys)、アルギニン(Arg)にCl- 、グルタミン酸(Glu)、アスパラギン酸(Asp)にNa+ を付ける。付けられないところは簡易中性化(プロトン有無で調整)。
4)TIP3水を配置。
5)タンパク質部分を固定し、その他の部分をMMで構造最適化。
(真空モデルでRMS条件0.00001)
6)TIP3を削除。
7)亜鉛ポルフィリンを削除し、亜鉛ポルフィリンと共有結合しているCys14およびCys17のSに水素を発生させ、その二つの水素のみをクリーニング。
8)PDB型ファイルを作成:その際、Na+ を+1、Cl- を−1の点電荷にする。
この方法により亜鉛チトクロムcのアポ体を作っておく(図11)。この構造をもとに以下に示すシナリオに従い計算を進めてゆく。
〈計算シナリオ〉
1)1−104番までのアミノ酸残基を一残基ずつDFT計算
2)1)で計算した分子軌道(MO)をもとに1−104番までのアミノ酸残基を三残基ずつDFT計算:1−3、2−4、3−5、…、 101−103、102−104
3)各フラグメントの疑カノニカル局在化軌道(QCLO)を作成(図12参照)。
4)3)で求めたQCLOを初期MOにして、次に示すアミノ酸残基のDFT計算をする。1−7、6−14、13−19、18−24、22−72まで9残基ずつ、71−80、80−86、85−95、94−104
5)各フラグメントのQCLOを作成。
6)ヘテロ分子の計算に入る。まずHis(ヒスチジン)18およびMet(メチオニン)80のモデル分子のDFT計算を各々行いQCLOを作成( 図13) 。
7)亜鉛とポルフィリン骨格部分とを最初に作った構造より取ってきて、そこに8個の水素を付けた構造でDFT計算(図14)。
8)QCLOを作成。その際、QCLOのフラグメント定義を亜鉛、ポルフィリン(Por)、H8に分割。H8部分は後から側鎖が結合する。
9)7)と6)とを組み合わせた構造でDFT計算。初期MOは6)8)で作成のQCLOを利用(図15)。
10)亜鉛とポルフィリン骨格部分とを最初に作った構造より取ってきて、そこに8個の水素を付けた構造にアミノ酸残基13−19および78−81を加えた構造について、以前に作った各QCLOを初期MOにしてDFT計算(図16)。
11)ポルフィリンの側鎖部分をパーツにしてDFT計算。その際に結合は全てメチル基(Me)でキャップした。QCLO計算の際は、キャップメチル基は分離した。Cys14およびCys17に相当する部分は、それぞれのアミノ酸の側鎖をこの段階で今回計算したパーツに置き換える処理を施す(図17)。
12)亜鉛とポルフィリン骨格、さらにポルフィリン側鎖を付けて、それにアミノ酸残基13−19および79−81を付けてDFT計算。このとき、Cys14およびCys17のS−H水素は外して計算する。初期MOは前段階までのQCLOを使用する(図18)。
13)亜鉛チトクロムcそのもののDFT計算。初期MOは前段階までのQCLOを使用する。
最終的に計算した亜鉛チトクロムcの全体構造を図19に示す。
〈計算条件〉
汎関数:VWN〜
基底関数:DFT型関数
H=”O−HYDROGEN(41)DZVP”
C=”O−CARBON(621/41)by FS”
N=”O−NITROGEN(621/41)by FS”
O=”O−OXYGEN(621/41)by FS”
S=”O−SULFUR(6321/521/1*)”
補助基底関数(クーロン):DFT型関数
H=”A−HYDROGEN(4,1;4,1)from deMon”
C=”A−CARBON(7/2;7/2)by FS”
N=”A−NITROGEN(7/2;7/2)by FS”
O=”A−OXYGEN(7/2;7/2)by FS”
S=”A−SULFUR(5,4;5,4)”
補助基底関数(交換相関):DFT型関数
H=”A−HYDROGEN(4,1;4,1)from deMon”
C=”A−CARBON(7/2;7/2)by FS”
N=”A−NITROGEN(7/2;7/2)by FS”
O=”A−OXYGEN(7/2;7/2)by FS”
S=”A−SULFUR(5,4;5,4)”
〈結果〉
亜鉛チトクロムcの分子軌道のエネルギー図を図20に示す。図20において、横軸はSCF(自己無撞着場)繰り返し計算の回数、縦軸は分子軌道のエネルギーであり、繋がっているラインがHOMOのエネルギー準位である。HOMO−LUMOギャップは0.6eV、バンドギャップは2〜3eV程度あることから、妥当なエネルギーMO図である。アポ体で見られたHOMO−LUMOギャップの狭小性はヘテロ分子を入れることにより解消された。図20をDOS(状態密度)に書き直した図を図21に示す。図21において、フェルミエネルギーEF の低エネルギー側の山の部分は固体物理で言う価電子帯、高エネルギー側の部分は同じく伝導帯に相当する。
〈励起状態に関与する分子軌道の探索〉
本来、励起状態に関与する軌道は励起状態計算を行って初めて明らかになるが、タンパク質の励起状態計算は現時点では全く夢物語である。そこで、モデル分子の励起状態計算を行い、そこから亜鉛チトクロムcの励起状態にからむ軌道を推察するほかない。幸いなことに、可視領域の励起状態は亜鉛ポルフィリン部分に由来していることはUV−Visスペクトルの形やその他の様々な研究から明らかである。そのため、我々の知りたい励起状態を調べるためには、亜鉛ポルフィリンのモデル分子で十分である。また、ポルフィリン類の励起状態に関しては過去に膨大な研究があり、その性質はほとんど既に分かっている。これらの理由から、ここでは、図22に示す構造で励起状態計算を行った。理論については、ProteinDFでVWN〜汎関数を用いた密度汎関数法を用いていることから、同じ汎関数で、同じ基底関数を用いた時間依存密度汎関数法により1重項励起状態の計算を行った。結果を表1に示す。計算はGaussian03を用いて行った。
Figure 2009021501
表1に示す結果より、励起状態3、4がQ帯、励起状態5、6がソーレー帯に相当することが明らかとなった。Gouterman の4軌道モデルで言うところの四つの分子軌道は144、145、147、148であることが表1より分かる。これらの分子軌道図を図23(上面図)に示す。また、図24に分子軌道144および145の側面図を示す。
以上より、4軌道の中で占有軌道は大きくメチオニンSのp軌道と亜鉛のd軌道とが混成した軌道を形成していることが分かった。これは大きな特徴であり、通常の錯体では軸配位子を持たない亜鉛ポルフィリンが軸配位子を持った際にポルフィリンπ軌道の性質を大きく変えることを示唆している。この結果はP450におけるFe−S(Cys)結合の混成状態と非常に類似しており興味深い(Miyahara, T. et al. J. Phys. Chem. B 2001, 105, 7341-7352)。また、 光励起の際に軸配位子が外れる現象が実験的に確認されているが、その現象もこれらの軌道から電子励起をするということであれば、容易に説明できる(Lampa-Pastirk, S. et al. J. Phys. Chem. B 2004, 108, 12602-12607) 。
〈亜鉛チトクロムcの電子状態〉
上述の亜鉛ポルフィリンモデル分子による励起状態計算より、光励起に関与する分子軌道の形状が明らかになった。そこで次に光励起に関与する軌道を、実際の亜鉛チトクロムcの分子軌道から抽出し、どのようなエネルギーでどのような他の分子軌道と相関があるのかを調べてみる。フェルミ準位近傍の分子軌道のエネルギーと光励起に関与すると考えられる分子軌道図を図25に、まとめた結果を表2に示す。
Figure 2009021501
この表2に示す結果を見ると、光励起に関与する占有軌道はフェルミ準位(HOMO)よりはかなり深い位置にあることが分かる。一方、空軌道側は比較的低い位置にあることが分かった。
〈亜鉛チトクロムc電極における双方向光電流現象の理論的考察〉
光増感電流が双方向に流れるということは、励起電子が電極側にもバルク側にも流れる経路が存在し、なおかつホールも電極側にもバルク側にも流れる経路が存在することを意味している。そのような経路が本当に存在するのかを検証するために、分子軌道の等値面図とエネルギーとを照らし合わせて考察を進めた。考察に用いた分子軌道の等値面図(−0.0005,0.0005)を図26〜図28に示す。
まず、亜鉛チトクロムcが金電極に吸着する際の向きについて考える必要がある。これについては最近の実験と理論の両方の立場から研究が進められ、吸着状態が明らかになっている(鉄チトクロムcでの研究)(Li, L. et al., Electroanalysis, 2004, 16, 81-87)。吸着状態を図29に示す。
図29を見ると亜鉛ポルフィリンが電極の方向に向いており、励起電子が電極へ入るというのはおそらく容易に起こることが想像できる。しかしながら、バルクへの電子の流出がどのように起こるのであろうか。バルク側に電子が流れるためにはバルク側にせり出た分子軌道とカップルするか、励起した分子軌道自身の大きな広がりによりバルク側まで経路を作っている必要がある。また、ホールに関しても同様である。図25を見ると、占有軌道側の光励起に関与する軌道は深い位置にあり、エネルギーの近い位置に多くのカップルし得る軌道が存在している。つまり、電極に近いヘムで励起したとしても、エネルギー的に近い軌道を介してバルクにホールを運ぶ経路はできてもおかしくない。実際に、分子軌道を見てみると、亜鉛ポルフィリンとカップリングした、バルクにせり出た軌道が存在することが分かる(MO3271:Asn54+Porπ。図30参照。)。
今回の計算より、他にも分子軌道のひろがりに亜鉛ポルフィリンが混成するものとそうでないものとで大きく異なることが判明した(図26〜図28参照)。亜鉛ポルフィリンが混成した軌道では、亜鉛のd軌道の影響かどうかははっきりしないが、周辺のアミノ酸の軌道を取り込んだ形でかなりはなれたところまで軌道の影響が及ぶことがわかった。一方で、亜鉛ポルフィリンを絡まない軌道では、アミノ酸残基上に軌道は局在化しており、絶縁体的な本来のアミノ酸としての性質を持つことが分かった。これは、タンパク質に遷移金属を入れるとアミノ酸を巻き込んだ形で分子軌道がひろがりを見せるという特徴を持つということを意味する。これはミオグロビンなど、電子移動タンパク質でなくても亜鉛ポルフィリンを持つというだけで、人工的に電子移動を起こすことができるという事実と合致する(Willner, I. & Katz, E."Bioelectronics" Wiley-VCH(Weinheim), 2005 )。
以上で得られた知見をまとめると下記の通りである。
1)亜鉛チトクロムcの第一原理計算(全電子計算)を行い、基底状態の電子状態を決めることに成功した。
2)亜鉛ポルフィリンの励起状態計算より、光電流に関わる亜鉛チトクロムcにおける分子軌道の帰属に成功した。双方向に光電流が発生する理由は、光電流発生に関わる被占軌道と空軌道とがそれぞれバルクにせり出た軌道とカップリングしているためであることが示唆された。
以上の知見に基づいてさらに検討を行った。上述の亜鉛チトクロムcにおける分子軌道間のカップリングの知見から、例えば、亜鉛チトクロムcのあるアミノ酸残基から他のアミノ酸残基への電子の移動や、亜鉛チトクロムcの亜鉛ポルフィリンおよびアミノ酸残基から他のアミノ酸残基への電子の移動や、亜鉛チトクロムcの亜鉛ポルフィリンから他のアミノ酸残基への電子の移動が可能となることが分かる。例えば、あるアミノ酸残基に局在化している分子軌道の電子が励起され、他のアミノ酸残基に局在化している他の分子軌道に遷移した場合、電子は亜鉛チトクロムc内を上記のアミノ酸残基から他のアミノ酸残基に移動したことになる。また、亜鉛チトクロムcの亜鉛ポルフィリンおよびアミノ酸残基に局在化している分子軌道の電子が励起され、他のアミノ酸残基に局在化している他の分子軌道に遷移した場合、電子は亜鉛チトクロムc内を上記の亜鉛ポルフィリンおよびアミノ酸残基アミノ酸残基から他のアミノ酸残基に移動したことになる。
この場合、分子軌道間の遷移に伴う電子移動の速度は、既に述べた通り(1)式または(2)式で記述される。(2)式の第1項のフランク−コンドン項が最大値である1と仮定し、第2項および第3項を計算してkETを求めた。その結果を図32〜図35に示す。図32〜図35の横軸は分子軌道の番号、縦軸はkETを示す。図32より、分子軌道3272(ポルフィリンπ軌道およびZn−Sπ軌道)に対しては分子軌道3271(Asn54およびポルフィリンπ軌道)との間のカップリングでkETは最大となり、最大値は1.5×1011sec-1である。図33より、分子軌道3268(ポルフィリンπ軌道およびZn−Sπ軌道)に対しては分子軌道3270(Lys7に局在化)との間のカップリングでkETは最大となり、最大値は2.0×1010sec-1である。図34より、分子軌道3297(ポルフィリンπ*軌道)に対しては分子軌道3296(Glu62に局在化)との間のカップリングでkETは最大となり、最大値は5.5×108 sec-1である。なお、図34においては、kETが5.5×108 sec-1より大きい分子軌道も存在するが、これらの分子軌道のエネルギーは著しく大きく、実際上光励起に関与することは不可能である。図35より、分子軌道3299(ポルフィリンπ*軌道)に対しては分子軌道3296(Glu62に局在化)との間のカップリングでkETは最大となり、最大値は2.8×108 sec-1である。なお、図35においては、kETが2.8×108 sec-1より大きい分子軌道も存在するが、これらの分子軌道のエネルギーは著しく大きく、実際上光励起に関与することは不可能である。
図32〜図35より、ある分子軌道に対し、kETが最大の分子軌道との間での遷移に伴い亜鉛チトクロムc内で電子移動が起きることが分かる。すなわち、実際に電子の遷移が起こり得る分子軌道間のうち、kETが最大となる分子軌道間で電子の遷移が起きる。そして、このkETが最大の分子軌道間で遷移が起きることにより、亜鉛チトクロムc内でこれらの分子軌道が局在化する部位の間で電子またはホールの移動が起きることになる。
以上説明した光励起による分子軌道間の遷移に伴う亜鉛チトクロムc内の電子またはホールの移動を利用して様々なデバイスを実現することが可能である。
図36はこの発明の第1の実施形態による単分子光スイッチを示す。
図36に示すように、この単分子光スイッチにおいては、一分子の亜鉛チトクロムc42の四つのアミノ酸残基a1 〜a4 にそれぞれ配線w1 〜w4 が接続されている。この場合、これらのアミノ酸残基a1 〜a4 のうちのアミノ酸残基a1 、a4 間およびアミノ酸残基a2 、a3 間で、光励起による分子軌道間の遷移に伴う電子またはホールの移動が起きるようになっている。すなわち、アミノ酸残基a1 、a4 にそれぞれ分子軌道が局在化しており、その一方の分子軌道に対して他方の分子軌道がkETが最大の分子軌道となっており、同様に、アミノ酸残基a2 、a3 にそれぞれ分子軌道が局在化しており、その一方の分子軌道に対して他方の分子軌道がkETが最大の分子軌道となっている。
この単分子光スイッチの動作方法について説明する。
まず、例えば、アミノ酸残基a1 に局在化する分子軌道MO1 を選択的に光励起することができる波長λ1 の光を照射する。この結果、この分子軌道MO1 とアミノ酸残基a4 に局在化する分子軌道MO4 との間で電子の遷移が起き、これに伴いアミノ酸残基a1 とアミノ酸残基a4 との間で電子またはホールが移動し、配線w1 、w4 間が導通する。このとき、アミノ酸残基a2 、a3 間には電子またはホールが移動せず、配線w2 、w3 間は非導通となっている。次に、アミノ酸残基a2 に局在化する分子軌道MO2 を選択的に光励起することができる波長λ2 の光を照射する。この結果、この分子軌道MO2 とアミノ酸残基a3 に局在化する分子軌道MO3 との間で電子の遷移が起き、これに伴いアミノ酸残基a2 とアミノ酸残基a3 との間で電子またはホールが移動し、配線w2 、w3 間が導通する。このとき、アミノ酸残基a1 、a4 間には電子またはホールが移動せず、配線w1 、w4 間は非導通となっている。
以上のように、この第1の実施形態によれば、光の照射により、配線w1 、w4 間が導通している状態と配線w2 、w3 間が導通している状態とを瞬時に切り換えることができる。この単分子光スイッチは、複雑な化学合成の手法に頼らず、亜鉛チトクロムcを用いて極めて容易に作製することができるとともに、ナノメートルサイズであるため超高密度集積化が可能であり、かつ超高速スイッチングが可能である。
次に、この発明の第2の実施形態による分子ワイヤーについて説明する。
図37に示すように、この分子ワイヤーにおいては、複数分子の亜鉛チトクロムc42が同一の配向で直線状に結合している。この場合、各亜鉛チトクロムc42のアミノ酸残基a1 、a2 間で、光励起による分子軌道間の遷移に伴う電子またはホールの移動が起きるようになっている。すなわち、アミノ酸残基a1 、a2 にそれぞれ分子軌道が局在化しており、その一方の分子軌道に対して他方の分子軌道がkETが最大の分子軌道となっている。
この分子ワイヤーの動作方法について説明する。
まず、アミノ酸残基a1 に局在化する分子軌道MO1 を選択的に光励起することができる波長λ1 の光を照射する。この結果、この分子軌道MO1 とアミノ酸残基a2 に局在化する分子軌道MO2 との間で電子の遷移が起き、これに伴いアミノ酸残基a1 とアミノ酸残基a2 との間で電子またはホールが移動する。各亜鉛チトクロムc42でこのように電子またはホールが移動することにより、この分子ワイヤーの両末端間に電流が流れる。
この第2の実施形態によれば、光の照射により、分子ワイヤーの両末端間に瞬時に電流が流れるようにすることができる。この分子ワイヤーは、複雑な化学合成の手法に頼らず、亜鉛チトクロムcを用いて極めて容易に作製することができるとともに、ナノメートルサイズであるため超高密度配線が可能である。
次に、この発明の第3の実施形態による分子ワイヤーについて説明する。
図38に示すように、この分子ワイヤーにおいては、複数分子の亜鉛チトクロムc42がL字形状をなすように結合している。この場合、このL字の直線部の亜鉛チトクロムc42のアミノ酸残基a1 、a2 間で光励起による分子軌道間の遷移に伴う電子またはホールの移動が起きるようになっている。すなわち、アミノ酸残基a1 、a2 にそれぞれ分子軌道が局在化しており、その一方の分子軌道に対して他方の分子軌道がkETが最大の分子軌道となっている。一方、このL字の折れ曲がり部では、亜鉛チトクロムc42のアミノ酸残基a1 、a3 間で光励起による分子軌道間の遷移に伴う電子またはホールの移動が起きるようになっている。すなわち、アミノ酸残基a1 、a3 にそれぞれ分子軌道が局在化しており、その一方の分子軌道に対して他方の分子軌道がkETが最大の分子軌道となっている。
この分子ワイヤーの動作方法について説明する。
まず、アミノ酸残基a1 に局在化する分子軌道MO1 を選択的に光励起することができる波長λ1 の光を照射する。この結果、この分子軌道MO1 とアミノ酸残基a2 に局在化する分子軌道MO2 との間で電子の遷移が起き、これに伴いアミノ酸残基a1 とアミノ酸残基a2 との間で電子またはホールが移動する。L字の直線部の各亜鉛チトクロムc42でこのようにして電子またはホールが移動する。一方、L字の折れ曲がり部では、分子軌道MO1 とアミノ酸残基a3 に局在化する分子軌道MO3 との間で電子の遷移が起き、これに伴いアミノ酸残基a1 とアミノ酸残基a3 との間で電子またはホールが移動する。こうして、この分子ワイヤーの両末端間に電流が流れる。
この第3の実施形態によれば、第2の実施形態と同様な利点に加えて、曲がった形状の分子ワイヤーを得ることができるという利点も得ることができる。
次に、この発明の第4の実施形態による光電変換素子について説明する。図39にこの光電変換素子を示す。
図39に示すように、この光電変換素子においては、導電材料からなる電極43上に、亜鉛チトクロムc42の単分子膜または多分子膜が、直接的または中間層を介して間接的に固定されている。図39においては電極43は平坦な表面形状を有するように描かれているが、電極43の表面形状は任意であり、凹面、凸面、凹凸面などのいずれであってもよい。この場合、各亜鉛チトクロムc42は、この電極43側にアミノ酸残基a1 を、その反対側にアミノ酸残基a2 を有し、これらのアミノ酸残基a1 、a2 間で光励起による分子軌道間の遷移に伴う電子またはホールの移動が起きるようになっている。すなわち、アミノ酸残基a1 、a2 にそれぞれ分子軌道が局在化しており、その一方の分子軌道に対して他方の分子軌道がkETが最大の分子軌道となっている。電極43上に固定された亜鉛チトクロムc42の単分子膜または多分子膜に対して間隔を空けて対向するように導電材料からなる電極44が設けられている。これらの電極43、44は、容器45中に入れられた電解質溶液46中に浸漬されている。電解質溶液46は、亜鉛チトクロムc42の機能を損なわないものが用いられる。また、この電解質溶液46の電解質(あるいはレドックス種)は、電極43で酸化反応が起こり、電極44で還元反応が起こるもの、または、電極43で還元反応が起こり、電極44で酸化反応が起こるものが用いられる。
この光電変換素子により光電変換を行うには、電極43、44が持つ自然電極電位の差をバイアス電圧として用い、この状態で、電極43に固定された亜鉛チトクロムc42に光を照射する。この光は、亜鉛チトクロムc42の光励起が可能な波長を有し、通常は可視光である。この場合、電極43、44の材料の選択、照射する光の強度および照射する光の波長のうちの少なくとも一つを調節することによって、素子内部を流れる光電流の大きさおよび/または極性を変化させることができる。光電流は端子47a、47bより外部に取り出される。
電極43、44を構成する導電材料は、すでに挙げたものを用いることができ、必要に応じて適宜選ばれるが、具体的には、電極43上に固定された亜鉛チトクロムc42の全部またはほぼ全部に光が照射されるようにするために、好適には、これらの電極43、44の少なくとも一方は、亜鉛チトクロムc42の光励起に用いられる光(通常、可視光)に対して透明な導電性材料、例えばITO、FTO、ネサガラスなどにより構成される。
この第4の実施形態によれば、亜鉛チトクロムc42を光電変換材料に用いた新規な光電変換素子を実現することができる。この光電変換素子によれば、電極43、44の材料の選択、照射する光の強度および照射する光の波長のうちの少なくとも一つを調節することによって、素子内部を流れる光電流の大きさおよび/または極性を変化させることができるので、様々な応用が可能である。この亜鉛チトクロムc42は簡単に合成することができ、有機半導体のような複雑な化学合成が不要であるので、光電変換素子を製造する上で有利である。また、電極43の表面形状を任意に選ぶことができるので、光電変換素子の構造を設計する際の自由度が高い。
次に、この発明の第5の実施形態による光検出器について説明する。
図40はこの光検出器を示す回路図である。図40に示すように、この光検出器は、第4の実施形態による光電変換素子からなるフォトダイオード51と、このフォトダイオード51の出力を増幅するための単一電子トランジスタ52とにより構成されている。単一電子トランジスタ52はドレイン側の微小トンネル接合J1 とソース側の微小トンネル接合J2 とにより構成されている。これらの微小トンネル接合J1 、J2 の容量をそれぞれC1 、C2 とする。例えば、フォトダイオード51の電極44は負荷抵抗RL を介して接地されており、その電極43はフォトダイオード52をバイアスするための正電圧VPDを供給する正極電源に接続されている。一方、単一電子トランジスタ52のソースは接地されており、そのドレインは出力抵抗Rout を介して正電圧Vccを供給する正極電源に接続されている。そして、フォトダイオード51の電極44と単一電子トランジスタ52のゲートとが容量Cg を介して互いに接続されている。
上述のように構成されたこの光検出器においては、フォトダイオード51に光が照射されて光電流が流れたときに負荷抵抗RL の両端に発生する電圧により容量Cg が充電され、この容量Cg を介して単一電子トランジスタ52のゲートにゲート電圧Vg が印加される。そして、この容量Cg に蓄積された電荷量の変化ΔQ=Cg ΔVg を測定することによりゲート電圧Vg の変化ΔVg を測定する。ここで、フォトダイオード51の出力を増幅するために用いられている単一電子トランジスタ52は、従来のトランジスタの例えば100万倍もの感度で、容量Cg に蓄積された電荷量の変化ΔQ=Cg ΔVg を測定することができることができるものである。すなわち、単一電子トランジスタ52は微小なゲート電圧Vg の変化ΔVg を測定することができるため、負荷抵抗RL の値を小さくすることができる。これによって、光検出器の大幅な高感度化および高速化を図ることができる。また、単一電子トランジスタ52側では帯電効果により熱雑音が抑制されるので、増幅回路側で発生する雑音を抑制することができる。さらに、単一電子トランジスタ52はその基本動作において一個の電子のトンネル効果しか用いないので、極めて低消費電力である。
この光検出器においては、上述のようにフォトダイオード51と単一電子トランジスタ52とは容量結合されている。このときの電圧利得はCg /C1 で与えられるため、微小トンネル接合J1 の容量C1 を十分に小さくしておくことにより、この光検出器の次段に接続される素子を駆動するのに十分な大きさの出力電圧Vout を得ることができる。
次に、この光検出器の具体的な構造例について説明する。
この例では、単一電子トランジスタ52が金属/絶縁体接合により構成されたものであり、フォトダイオード51が第4の実施形態による光電変換素子により構成されたものである。
図41はこの光検出器の平面図である。また、図42はこの光検出器におけるフォトダイオード51の部分の断面図、図43はこの光検出器における単一電子トランジスタ52の部分の断面図である。
図41、図42および図43に示すように、この光検出器においては、例えば半導体基板のような基板61上に、例えばSiO2 膜、SiN膜、ポリイミド膜のような絶縁膜62が設けられている。フォトダイオード51の部分における絶縁膜62には開口62aが設けられている。そして、この開口62aの内部の基板61上に電極43が設けられ、この電極43上に亜鉛チトクロムc42の単分子層が直接的または間接的に固定され、その上に電極44が設けられている。この場合、光はこの電極44を透過して受光されるので、この電極44は亜鉛チトクロムc42の光励起に用いられる光に対して透明に構成されている
一方、単一電子トランジスタ52の部分においては、絶縁膜62上にソース電極63およびドレイン電極64が互いに対向して設けられている。そして、これらのソース電極63およびドレイン電極64のそれぞれの一端部と部分的に重なるようにゲート電極65が形成されている。ここで、少なくともこのゲート電極65が重なっている部分のソース電極63およびドレイン電極64の表面には例えば膜厚が0.数nm〜数nmの絶縁膜66が形成されており、したがってゲート電極65はこの絶縁膜66を介してソース電極65およびドレイン電極66のそれぞれの一端部と部分的に重なっている。この重なり部の大きさは、典型的には、数100nm×数100nm以下である。この場合、ゲート電極65とソース電極63とが絶縁膜66を介して重なった部分がそれぞれ図40および図41における微小トンネル接合J1 、J2 に対応する。これらのゲート電極65、ソース電極63およびドレイン電極64は、例えばAl、In、Nb、Au、Ptなどの金属からなる。
図示は省略するが、必要に応じて、フォトダイオード51および単一電子トランジスタ52を覆うように全面にパッシベーション膜が設けられる。
この場合、フォトダイオード51の電極44の一端部は、単一電子トランジスタ52のゲート電極65と近接している。そして、パッシベーション膜が設けられていない場合には、電極44の一端部とゲート電極65との間に空気層がはさまれた構造のキャパシタが形成され、それによってこの電極44とゲート電極65とが容量結合される。また、パッシベーション膜が設けられる場合には、電極44の一端部とゲート電極65との間にこのパッシベーション膜がはさまれた構造のキャパシタが形成され、それによってこの電極44とゲート電極65とが容量結合される。
以上のように、この第5の実施形態によれば、単一電子トランジスタ52によりフォトダイオード51の出力を増幅するように構成されているので、従来の通常のトランジスタによりフォトダイオードの出力を増幅する従来の一般的な光検出器に比べて、光検出の大幅な高速化、高感度化および低消費電力化を図ることができる。
次に、この発明の第6の実施形態によるCCDイメージセンサーを示す。このCCDイメージセンサーは、受光部、垂直レジスタおよび水平レジスタを有するインタライン転送方式のものである。
図44にこのCCDイメージセンサーの受光部およびこの受光部の近傍の垂直レジスタの断面構造を示す。図44に示すように、p型Si基板71(あるいはn型Si基板に形成されたpウエル層)上にゲート絶縁膜72が形成され、このゲート絶縁膜72上に読み出しゲート電極73が形成されている。この読み出しゲート電極73の両側の部分のp型Si基板71中にn型層74および垂直レジスタを構成するn型層75が形成されている。n型層74上の部分のゲート絶縁膜72には開口72aが形成されている。そして、この開口72aの内部のn型層74上に、例えば第3の実施形態による光電変換素子が受光部76として形成されている。このCCDイメージセンサーの上記以外の構成は、従来公知のインタライン転送方式のCCDイメージセンサーの構成と同様である。
このCCDイメージセンサーにおいては、光電変換素子の電極44に対して電極43を正の電圧にバイアスしておく。受光部76において亜鉛チトクロムc42に光が入射すると光励起により発生した電子がn型層74に流れ込む。次に、垂直レジスタを構成するn型層75にn型層74より高い電圧を印加した状態で読み出しゲート電極73に正電圧を印加することによりこの読み出しゲート電極73の直下のp型Si基板71にn型チャネルを形成し、このn型チャネルを通してn型層74の電子をn型層75に読み出す。この後、こうして読み出された電荷は垂直レジスタ内を転送され、さらに水平レジスタを転送され、出力端子から撮像された画像に対応する電気信号が取り出される。
この第6の実施形態によれば、受光部76に亜鉛チトクロムc42を用いた新規なCCDイメージセンサーを実現することができる。
次に、この発明の第7の実施形態によるインバータ回路を示す。
このインバータ回路を図45に示す。図45に示すように、このインバータ回路においては、第4の実施形態による光電変換素子と同様な構成の光電変換素子81と負荷抵抗RL とが直列に接続されている。ここで、負荷抵抗RL は電極43と接続されている。負荷抵抗RL の一端に所定の正の電源電圧VDDが印加されるとともに、電極44が接地される。光電変換素子81の亜鉛チトクロムc42に信号光として例えば可視光を照射すると光電変換素子81がオンして光電流が流れることにより電極43からの出力電圧Vout はローレベルとなり、可視光の照射を止めると光電変換素子81がオフして光電流が流れなくなることにより電極43からの出力電圧Vout はハイレベルとなる。
このインバータ回路の構造例を図46に示す。図46に示すように、この構造例においては、p型Si基板91(あるいはn型Si基板に形成されたpウエル層)中に負荷抵抗RL として用いられるn型層92が形成されている。p型Si基板91の表面には例えばSiO2 膜のような絶縁膜93が形成されている。この絶縁膜93には、n型層92の一端部および他端部に開口93a、93bが形成されている。開口93aの内部のn型層92上に光電変換素子81が形成されている。開口93bを通じて電極94がn型層92とオーミックコンタクトしている。このp型Si基板91には、必要に応じて、上記のインバータ回路に加えて、出力電圧Vout により駆動される各種の電子回路(増幅回路など)を形成することができる。
この第7の実施形態によれば、亜鉛チトクロムc42を用いた光電変換素子81と負荷抵抗RL とによりインバータ回路を構成することができることにより、このインバータ回路を用いて論理回路などの各種の回路を構成することができる。
以上、この発明の実施形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態において挙げた数値、構造、構成、形状、材料などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、構成、形状、材料などを用いてもよい。
亜鉛チトクロムcの分子構造を示す略線図である。 亜鉛チトクロムc担持ドロップ状金電極を示す図面代用写真である。 三電極測定系を示す略線図である。 図3に示す三電極測定系による評価結果を示す略線図である。 図3に示す三電極測定系による評価結果を示す略線図である。 図3に示す三電極測定系による評価結果を示す略線図である。 図3に示す三電極測定系による評価結果を示す略線図である。 図3に示す三電極測定系による評価結果を示す略線図である。 図3に示す三電極測定系による評価結果を示す略線図である。 図3に示す三電極測定系による評価結果を示す略線図である。 アポ−亜鉛チトクロムcのステレオ図である。 proteinDFを用いて計算する場合のフレーム分割の概念図である。 His18およびMet80のモデル分子を示す略線図である。 亜鉛ポルフィリンモデルを示す略線図である。 亜鉛ポルフィリン拡張モデルを示す略線図である。 亜鉛ポルフィリン拡張モデル2を示す略線図である。 亜鉛ポルフィリンの側鎖モデル分子を示す略線図である。 亜鉛ポルフィリン拡張モデル3を示す略線図である。 最終的に計算した亜鉛チトクロムcの全体構造を示す略線図である。 亜鉛チトクロムcの分子軌道エネルギーを示す略線図である。 亜鉛チトクロムcの状態密度を示す略線図である。 励起状態計算に用いたモデル分子を示す略線図である。 亜鉛ポルフィリンモデル分子を示す上面図である。 亜鉛ポルフィリンモデル分子の144番目および145番目の分子軌道を示す側面図である。 亜鉛チトクロムcのフェルミ準位近傍の分子軌道エネルギーおよび光励起に関与する分子軌道の等値面を示す略線図である。 亜鉛チトクロムcの分子軌道を示す略線図である。 亜鉛チトクロムcの分子軌道を示す略線図である。 亜鉛チトクロムcの分子軌道を示す略線図である。 亜鉛チトクロムcの電極への吸着状態を示す略線図である。 電極上の亜鉛チトクロムcの光励起により生じるホールの移動経路を示す略線図である。 電極上の亜鉛チトクロムcの光励起により生じる電子の移動経路を示す略線図である。 亜鉛チトクロムcのMO3272と他の分子軌道との間の電子遷移の遷移確率を示す略線図である。 亜鉛チトクロムcのMO3268と他の分子軌道との間の電子遷移の遷移確率を示す略線図である。 亜鉛チトクロムcのMO3297と他の分子軌道との間の電子遷移の遷移確率を示す略線図である。 亜鉛チトクロムcのMO3299と他の分子軌道との間の電子遷移の遷移確率を示す略線図である。 この発明の第1の実施形態による単分子光スイッチを示す略線図である。 この発明の第2の実施形態による分子ワイヤーを示す略線図である。 この発明の第3の実施形態による分子ワイヤーを示す略線図である。 この発明の第4の実施形態による光電変換素子を示す略線図である。 この発明の第5の実施形態による光検出器を示す回路図である。 この発明の第5の実施形態による光検出器の構造例を示す平面図である。 この発明の第5の実施形態による光検出器の構造例を示す断面図である。 この発明の第5の実施形態による光検出器の構造例を示す断面図である。 この発明の第6の実施形態によるCCDイメージセンサーを示す断面図である。 この発明の第7の実施形態によるインバータ回路を示す回路図である。 この発明の第7の実施形態によるインバータ回路の構造例を示す回路図である。
符号の説明
42…亜鉛チトクロムc、43…電極、44…電極、45…容器、46…電解質溶液、51…フォトダイオード、52…単一電子トランジスタ、71…p型Si基板、73…読み出しゲート電極、74、75…n型層、76…受光部、81…光電変換素子、91…p型Si基板、92…n型層

Claims (13)

  1. 少なくとも一分子の亜鉛チトクロムcを有し、この亜鉛チトクロムcの分子軌道間の電子の遷移を利用してこの亜鉛チトクロムc内で電子またはホールを移動させることを特徴とする分子素子。
  2. 上記分子軌道は、上記亜鉛チトクロムcの第1のアミノ酸残基に局在化する第1の分子軌道および上記亜鉛チトクロムcの第2のアミノ酸残基に局在化し、かつ上記第1の分子軌道に対して単位時間当たりの遷移確率が最大の第2の分子軌道であり、上記第1のアミノ酸残基と上記第2のアミノ酸残基との間を上記電子またはホールが移動することを特徴とする請求項1記載の分子素子。
  3. 上記第1のアミノ酸残基および上記第2のアミノ酸残基がそれぞれ電子またはホールの移動の始点および終点を構成することを特徴とする請求項2記載の分子素子。
  4. 上記第1の分子軌道および上記第2の分子軌道の一方に光励起により電子またはホールを発生させることを特徴とする請求項2記載の分子素子。
  5. 一分子の亜鉛チトクロムcを有し、この亜鉛チトクロムcの分子軌道間の電子の遷移を利用してこの亜鉛チトクロムc内で電子またはホールを移動させることを利用した単分子光スイッチ素子であって、
    上記亜鉛チトクロムcの互いに異なる複数のアミノ酸残基にそれぞれ配線が接続されており、
    上記複数のアミノ酸残基から任意に選ばれた第1のアミノ酸残基および第2のアミノ酸残基にそれぞれ第1の分子軌道および第2の分子軌道が局在化し、上記第2の分子軌道は上記第1の分子軌道に対して単位時間当たりの遷移確率が最大である
    ことを特徴とする単分子光スイッチ素子。
  6. 少なくとも一分子の亜鉛チトクロムcを有し、この亜鉛チトクロムcの分子軌道間の電子の遷移を利用してこの亜鉛チトクロムc内で電子またはホールを移動させることを特徴とする機能素子。
  7. 少なくとも一分子の亜鉛チトクロムcを有し、この亜鉛チトクロムcの分子軌道間の電子の遷移を利用してこの亜鉛チトクロムc内で電子またはホールを移動させることを特徴とする分子ワイヤー。
  8. 一つまたは複数の機能素子を有する電子機器において、
    少なくとも一つの上記機能素子として、少なくとも一分子の亜鉛チトクロムcを有し、この亜鉛チトクロムcの分子軌道間の電子の遷移を利用してこの亜鉛チトクロムc内で電子またはホールを移動させる機能素子を用いる
    ことを特徴とする電子機器。
  9. 少なくとも一分子の電子伝達タンパク質を有し、この電子伝達タンパク質の分子軌道間の電子の遷移を利用してこの電子伝達タンパク質内で電子またはホールを移動させることを特徴とする分子素子。
  10. 一分子の電子伝達タンパク質を有し、この電子伝達タンパク質の分子軌道間の電子の遷移を利用してこの電子伝達タンパク質内で電子またはホールを移動させることを利用した単分子光スイッチ素子であって、
    上記電子伝達タンパク質の互いに異なる複数のアミノ酸残基にそれぞれ配線が接続されており、
    上記複数のアミノ酸残基から任意に選ばれた第1のアミノ酸残基および第2のアミノ酸残基にそれぞれ第1の分子軌道および第2の分子軌道が局在化し、上記第2の分子軌道は上記第1の分子軌道に対して単位時間当たりの遷移確率が最大である
    ことを特徴とする単分子光スイッチ素子。
  11. 少なくとも一分子の電子伝達タンパク質を有し、この電子伝達タンパク質の分子軌道間の電子の遷移を利用してこの電子伝達タンパク質内で電子またはホールを移動させることを特徴とする機能素子。
  12. 少なくとも一分子の電子伝達タンパク質を有し、この電子伝達タンパク質の分子軌道間の電子の遷移を利用してこの電子伝達タンパク質内で電子またはホールを移動させることを特徴とする分子ワイヤー。
  13. 一つまたは複数の機能素子を有する電子機器において、
    少なくとも一つの上記機能素子として、少なくとも一分子の電子伝達タンパク質を有し、この電子伝達タンパク質の分子軌道間の電子の遷移を利用してこの電子伝達タンパク質内で電子またはホールを移動させる機能素子を用いる
    ことを特徴とする電子機器。
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