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JP2009096922A - 塗料組成物 - Google Patents

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JP2009096922A
JP2009096922A JP2007271438A JP2007271438A JP2009096922A JP 2009096922 A JP2009096922 A JP 2009096922A JP 2007271438 A JP2007271438 A JP 2007271438A JP 2007271438 A JP2007271438 A JP 2007271438A JP 2009096922 A JP2009096922 A JP 2009096922A
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Abstract

【課題】下塗・上塗兼用塗料として塗装の省工程を可能にし、低温時の塗装作業性に優れ、密着性や防食性、耐候性等に優れた、VOCの放散が極めて少ない、環境に優しい塗料組成物を提供する。
【解決手段】成分として、(I)式(1)、R Si(OR4−n〔式中、Rは、炭素数1〜8の有機基であり、Rは、炭素数1〜5のアルキル基であり、nは、1又は2である。〕で示されるオルガノシランの液状部分加水分解縮合物、(93〜99)質量部と、(II)上記液状部分加水分解縮合物(I)に可溶で、かつ、式(1)、R Si(OR4−n〔式中、Rは、炭素数1〜8の有機基であり、Rは、炭素数1〜5のアルキル基であり、nは、1又は2である。〕で示されるオルガノシランの固形状オルガノシラン縮合物、(1〜7)質量部と、及び(IV)エポキシ樹脂、(50〜150)質量部を含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、下塗・上塗兼用塗料として塗装の省工程を可能にし、低温時の塗装作業性に優れ、密着性や防食性、耐候性等に優れた、VOCの放散が極めて少ない、環境に優しい塗料組成物に関する。
近年、VOCの低減など、地球環境保全に寄与する環境対応形塗料への期待が高まっている。また、構造物管理団体では、ライフサイクルコスト(LCC)低減への意識が高く、維持管理費用の削減に効果の高い省工程化材料、高耐久性材料への要望が多い。
ところで、近年、オルガノポリシロキサン系無機塗料は、耐候性や、耐汚染性に優れた塗膜を形成するものとして、無機建材分野を中心として広く使用されている。
しかしながら、該無機塗料の橋梁や、タンクなどの大型鋼構造物への展開は、鋼材への密着性や、防食性が劣る問題点があったため、上塗塗料としてのみ使用され、別途、下塗塗装として防食塗料を塗装することが必須であった。
上塗塗料としての該塗料構成としては通常、様々な環境で塗装する際の塗膜の割れを抑制するため、アクリル樹脂などをブレンド又はグラフトし、可撓性を付与している場合が殆どである。
これらの上塗塗料の低温時の塗装においては、塗料が、分離してしまい、色わかれ性が不良となり、また、塗料粘度が極端に高くなり、塗装困難になり、結果として目標とした塗膜が得られないなど、塗装作業性に問題があった。
即ち、従来、オルガノポリシロキサン系無機塗料を使用した鋼材などへの塗装系は、通常下塗塗料として鋼材への密着性及び防食性に優れるエポキシ樹脂塗料を塗装し、次いで、下塗塗膜及びオルガノポリシロキサン系無機塗膜の双方に密着性に優れる中塗塗料を塗装した後、上塗塗料として、オルガノポリシロキサン系無機塗料を塗装していた。従って、塗装工程が多くなり、特に冬場などの気温が低い日の塗装においては、低温塗装作業性に問題があった。従って、このような塗装系は、昨今のLCC低減への要望に十分応えられない問題がある。また、オルガノポリシロキサン系無機上塗塗料は、防食性を有しておらず、また、一般に湿気硬化機構を架橋に用いる都合上、厚膜化が困難とされているため、下塗としては適さず、専用の中塗を介して通常上塗として適用される。また、オルガノシロキサン系材料を下塗として適用した場合、第三成分を多く含むこととなり、付着性・防食性を発揮するために、本材料がもつ耐久性・耐候性を有効に活用することが困難となるなど問題となっていた。
このような背景において、高い耐久性・優れた耐候性を有するオルガノシロキサン系材料をLCC低減に向けた材料として適用出来ることが望まれている。
ところで、無溶剤塗料として、オルガノシランの液状部分加水分解縮合物60〜90質量部と、これに可溶性の固形状オルガノシラン加水分解縮合物10〜40質量部とからなる塗料組成物が開示されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、この塗料組成物では、耐クラック性が必ずしも十分満足のゆくものではなかった。
特開2002−322419号公報
本発明は、このような課題を背景になされたもので、耐クラック性に優れるとともに、鋼材への塗装作業性を改良し、下塗塗料や、中塗塗料の塗装を省略することが可能であり、低温時の塗装作業性に優れ、密着性や、防食性、耐候性などに優れた塗膜を形成することのできる塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成するため、鋭意検討した結果、以下の構成により、上記課題を達成できることを見出し、本発明に到達したものである。
即ち、本発明の塗料組成物は、
(I)式(1)、
1 nSi(OR24-n
〔式中、R1は、炭素数1〜8の有機基であり、R2は、炭素数1〜5のアルキル基であり、nは、1又は2である。〕
で示されるオルガノシランの液状部分加水分解縮合物、(93〜99)質量部と、
(II)上記液状部分加水分解縮合物(I)に可溶で、かつ、式(1)、
1 nSi(OR24-n
〔式中、R1は、炭素数1〜8の有機基であり、R2は、炭素数1〜5のアルキル基であり、nは、1又は2である。〕
で示されるオルガノシランの固形状オルガノシラン縮合物、(1〜7)質量部と、
(III)式(1)
1 nSi(OR24-n
〔式中、R1は、炭素数1〜8の有機基であり、R2は、炭素数1〜5のアルキル基であり、nは、1又は2である。〕
で示されるオルガノシラン化合物0〜20質量部、
及び
(IV)エポキシ樹脂、(50〜150)質量部、
を含有するものである。
本発明の塗料組成物を用いることにより、下塗・上塗兼用塗料として塗装の省工程を可能にし、低温時の塗装作業性に優れ、VOCの放散が極めて少なく、しかも、耐クラック性に優れ、かつ密着性や防食性、耐候性などに優れた塗膜が得られる。
以下、本発明について詳細に説明する。
(I)成分について
(I)成分は、式(1)、
1 nSi(OR24-n
〔式中、R1は、炭素数1〜8の有機基であり、R2は、炭素数1〜5のアルキル基であり、nは1又は2である。〕で示されるオルガノシランの液状部分加水分解縮合物である。 上記式において、R1としての有機基としては、例えば、アルキル基や、シクロアルキル基、アリール基、ビニル基等が挙げられる。ここで、アルキル基は、直鎖でも分岐したものでもよい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基や、エチル基、n−プロピル基、i-プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基が挙げられる。好ましいアルキル基は、炭素数が、1〜4個のものである。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシル基や、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が好適に挙げられる。アリール基としては、例えば、フェニル基等が挙げられる。上記各官能基は、任意に置換基を有してもよい。このような置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素原子や、臭素原子、フッ素原子等)や、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、脂環式基等が挙げられる。R2としてのアルキル基は、直鎖でも分岐したものでもよい。このようなアルキル基としては、例えば、メチル基や、エチル基、n−プロピル基、i-プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基等が挙げられ、好ましいアルキル基は、炭素数が、1〜2個のものである。
上記式(1)で示されるオルガノシランの具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシランや、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジメチルジプロポキシシランなどが挙げられるが、好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランである。
(I)成分は、これらのオルガノシランの1種単独か、又は2種以上の部分加水分解縮合物である。該縮合物は、ポリスチレン換算質量平均分子量が、例えば、300〜5000、好ましくは、500〜4200のものが適当である。このような縮合物を使用することにより、貯蔵安定性がよく、密着性のよい塗膜が得られる。
(I)成分の製造方法としては、式(1)に示されるオルガノシランを水及び触媒の存在下で加水分解及び縮合反応させる。水の量は、オルガノシランに初期に存在していた加水分解性基の30〜90%、好ましくは、50〜80%が加水分解及び縮合反応できる量として適当である。
また、触媒としては、硝酸、塩酸等の無機酸や、酢酸、蟻酸、プロピオン酸等の有機酸を挙げることができる。触媒の添加量は、前記水を添加したオルガノシランのpHが、例えば、3〜6になる量が適当である。加水分解縮合反応は、例えば、水及び触媒の存在下で、40〜80℃、好ましくは、45〜70℃の温度下で、2〜10時間撹拌しながら反応させることができるが、この方法に限定されるものではない。次いで、反応で発生したアルコール成分を加熱及び/又は減圧等の手段により除去し、(I)成分を製造する。なお、(I)成分は、上記式(1)のnの値が1のオルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物(I−1)と、nの値が2のオルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物(I−2)との質量比が50:50〜100:0、好ましくは、60:40〜95:5の混合物から得られる部分加水分解縮合物が、反応させる際、安定に反応し、また耐クラック性のよい塗膜が得られるので望ましい。
このような縮合物の具体例としては、市販品として東レ・ダウコーニング社製のSR2402や、DC3037、DC3074;信越化学工業社製のKR−211や、KR−212、KR−213、KR−214、KR−216、KR−218;東芝シリコーン社製のTSR−145や、TSR−160、TSR−165、YR−3187等が挙げられる。
(II)成分について
(II)成分は、前記(I)成分のオルガノシランの液状部分加水分解縮合物に溶解可能な、式(1)、
1 nSi(OR24-n
〔式中、R1は、炭素数1〜8の有機基であり、R2は、炭素数1〜5のアルキル基であり、nは1又は2である。〕で示されるオルガノシランの固形状加水分解縮合物である。R1、R2及びnは、(I)成分の場合と同様である。
(II)成分は、式(1)で示されるオルガノシランの1種単独か、又は2種以上の加水分解縮合物である。該縮合物は、ポリスチレン換算質量平均分子量が、例えば、500〜7000、好ましくは、800〜5000のものが適当である。このような縮合物を使用することにより、塗膜の乾燥性が速くなり、また塗料粘度を上げることができることから、厚膜化が可能になるなどの利点を有している。
(II)成分の製造方法としては、式(1)に示されるオルガノシランを水及び触媒の存在下で加水分解及び縮合反応させる。水の量は、オルガノシランに初期に存在していた加水分解性基の100%が加水分解及び縮合反応できる量が適当である。このように、完全に加水分解可能な水を用いることでSi−OH基を官能基とするオルガノシランの加水分解縮合物が得られ、室温下で固体となる縮合物を通常得ることができる。
また、触媒としては、硝酸、塩酸等の無機酸や、酢酸、蟻酸、プロピオン酸等の有機酸を挙げることができる。触媒の添加量は、前記水を添加したオルガノシランのpHが、例えば、1〜4になる量が適当である。加水分解縮合反応は、例えば、水及び触媒の存在下で、40〜80℃、好ましくは、45〜70℃の温度下で、例えば、2〜10時間撹拌しながら反応させることができるが、この方法に限定されるものではない。次いで、上記反応触媒、過剰の水及び反応で発生したアルコール成分を加熱及び/又は減圧等の手段により除去し、(II)成分を製造する。なお、(II)成分は、上記式(1)のnの値が1のオルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物(I−1)と、nの値が2のオルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物(I−2)との質量比が40:60〜100:0、好ましくは、50:50〜95:5の混合物から得られる部分加水分解縮合物が、反応させる際、安定に反応し、また耐クラック性のよい塗膜が得られるので望ましい。
このような縮合物の具体例としては、市販品として東レ・ダウコーニング社製のZ−6018、217FLAKE、220FLAKE、233FLAKE、249FLAKE等が挙げられる。
(I)成分のオルガノシランの液状部分加水分解縮合物と、(II)成分のオルガノシランの固形状オルガノシラン縮合物とは、それぞれ93〜99質量部と、1〜7質量部、より好ましくは、94〜97質量部と、3〜6質量部の割合で混合して用いるのが好ましい。
また、(I)成分及び(II)成分は、ポリスチレン換算質量平均分子量として、(I)成分が、300〜5000、(II)成分が、500〜7000の分子量のものが好適に用いられるが、混合する場合においては、(I)成分の分子量が、(II)成分の分子量よりも低い値のものを用いるのが好ましい。
(III)成分について
(III)成分は、任意に使用されるものであり、主として塗料組成物の粘度を下げ、塗装作業性を向上させるために配合するものである。(III)成分は、式(1)、
1 nSi(OR24-n
〔式中、R1は、炭素数1〜8の有機基であり、R2は、炭素数1〜5のアルキル基であり、nは1又は2である。〕で示されるオルガノシラン化合物であり、R1、R2及びnは、(I)成分の場合と同様である。
(III)成分は、オルガノシランの1種単独か、又は2種以上混合して使用することもできる。(III)成分は、(I)成分が低粘度の場合、必ずしも配合する必要はないが、通常、配合量は、前述の(I)成分であるオルガノシランの液状部分加水分解縮合物と前述の(II)成分であるオルガノシランの固形状オルガノシラン縮合物との合計100質量部に対し、例えば、0〜20質量部、好ましくは、3〜20質量部が適当である。なお、(III)成分が前記範囲よりも多すぎると、塗料の貯蔵安定性が悪くなり、また、厚膜化が困難になるので好ましくない。
(IV)成分について
(IV)成分であるエポキシ樹脂は、1分子中に1個以上、好ましくは2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂であり、特に、エポキシ当量が100〜1500、好ましくは、180〜1000の範囲のものが、得られる塗膜の防食性、耐候性の点から望ましい。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂や、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルエーテル型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等各種のエポキシ樹脂を特に制限なく使用することができる。ここで、「水添」は、所定の樹脂に水素を付加したものであり、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂では、フェニル基が水添されて、フェニル基の芳香族性がなくなり、シクロアルキル環に変更している。このような水添は、当業者には、既に公知である。
(IV)成分は、50〜150質量部、好ましくは、 60 〜140質量部配合することが好ましい。エポキシ樹脂の量が、50質量部よりも少なすぎると、耐食性や密着性が低下し易く、一方、150質量部を超えると、耐候性が低下し易い。
なお、エポキシ樹脂としては、アルキル基を主体とした反応性希釈剤なども配合することができる。これら反応性希釈剤を、2種以上の混合物として使用することもできる。
(V)成分について
本発明の組成物には、必要に応じて、シランカップリング剤((V)成分)を併用してもよい。シランカップリング剤としては、エポキシ基を分子内に有するシランカップリング剤が好適である。このようなシランカップリング剤を使用することにより、耐水性と、基材への密着性を向上させることができる。
(V)成分としては、具体的には、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランや、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロぺニルオキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイミノオキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリイソプロぺニルオキシシランとグリシドールとの付加物などのエポキシ基含有アルコキシシラン等が代表的なものとして挙げられる。グリシジル基と、ケイ素原子に直接結合している加水分解性基とを有する有機ケイ素化合物を用いると、塗膜乾燥性、耐温水性が向上する。
シランカップリング剤は、一般に、0〜5質量%、好ましくは、0〜3質量%配合することが好ましい。
(VI)成分について
本発明の組成物には、必要に応じて、無公害防錆顔料((VI)成分)を併用してもよい。無公害防錆顔料としては、例えば、リン酸塩や、縮合リン酸塩などが好適である。また、無公害防錆顔料としては、国際公開番号:WO 2005/089071A2に記載のカルシウム成分とリン成分とからなり、かつその両成分中のカルシウムとリンとのモル比率(Ca/P=m)が0.50<m<1.00である混合物を180〜350℃で焼成してなる縮合リン酸カルシウムであって、重金属を含まない無公害防錆顔料を使用してもよい。
無公害防錆顔料は、一般に、2〜10質量%、好ましくは、3〜8質量%配合することが好ましい。
本発明の塗料組成物は、以上説明した(I)成分、(II)成分及び、必要に応じて配合する(III)成分や、(IV)成分、(V)成分、(VI)成分からなり、更に、必要に応じて、充填剤や、硬化剤、溶媒、硬化促進剤、染料、紫外線吸収剤、光安定剤、増粘剤、顔料分散剤等の各種添加剤などを配合したものから構成される。
前記充填材としては、例えば、タルクや、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラ、リトポン等の各種塗料用体質顔料や、着色顔料等が使用可能である。充填材の配合量は、塗料組成物の固形分中、0〜70質量%、好ましくは、0〜50質量%が適当である。
硬化剤としては、脂肪族ポリアミン、芳香族ポリアミン、脂環式ポリアミン、ポリアミンエポキシ樹脂アダクト、アルキレンオキサイドアダクト、マンニッヒ化合物、ケチミン、ポリアミドアミン及びこれらの変性物等の公知のエポキシ樹脂硬化剤としてのアミン化合物;γ−アミノプロピルトリメトキシシランや、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−シクロへキシル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−シクロヘキシル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン等の分子内にアミノ基と、ケイ素原子に直接結合している加水分解性基とを有する有機ケイ素化合物;などが適当である。
これらは、単独もしくは2種類以上を混合して使用することもできる。これらのアミン化合物はエポキシ樹脂中のエポキシ基と反応する硬化剤であるが、空気中の水分がアルコキシシリル基の加水分解、縮合反応を起こす際の反応触媒としても作用するものである。
硬化剤の配合量は、塗料中1〜30質量%、好ましくは、2〜20質量%が適当である。
溶媒としては、通常の塗料に利用されている各種溶媒が特に制限なく使用可能である。例えば、メタノールや、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトンや、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、ダイアセトンアルコール、シクロヘキサン等のケトン類; 2−ブトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチルエーテル、ブチルジグリコール等のエーテルアルコール類; エチルアセテートや、プロピルアセテート、メトキシプロピルアセテート、n −ブチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート等のエステル類;n−ブタンや、n−ヘキサン、iso−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、iso−オクタン、イソノナン、n−デカン、n−ドデカン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタンなどがあり、市販品としては、例えば、ミネラルスピリット、vm&pナフサ、shellzole72(シェル化学社製)、ナフサno.3、ナフサno.5、ナフサno.6、ナフサno.7(エクソン化学社製)、ipソルベント1016、ipソルベント1620、ipソルベント2835( 出光石油化学社製)、ペンガゾールan−45、ペンガゾール3040(モービル石油社製)等の脂肪族、脂環族の炭化水素類;トルエン、キシレン、ソルベッソ100 や、ソルベッソ150(エクソン化学社製)、スワゾール1000や、スワゾール1500、スワゾール1800(丸善石油社製)、イプゾール100や、イプゾール150(出光興産社製)等の芳香族炭化水素類;及びこれらの混合物等が好適に挙げられるが、近年の地球環境問題の観点より、トルエン、キシレン以外の上記記載の溶媒を用いた方が好ましい。
溶媒の配合量は、塗料中0〜20質量%、好ましくは、0〜15質量%が適当である。
反応性希釈剤としては、例えば、EPICLON520、703、705、707、720、725、726(大日本インキ化学工業社製)、YED111N、YED111AN、YED122、YED205、YED216、YED219M(ジャパンエポキシレジン社製)、PG−202、PG−207、PP−101、ネオトートE、ネオトートS(東都化成社製)が好適に挙げられる。
反応性希釈剤の配合量は、塗料中0〜10質量%、好ましくは、0〜7質量%が適当である。塗料の粘度を調整し、塗装作業性を向上させるため、必要に応じて、単独もしくは2種類以上を混合して使用することもできる。
硬化促進剤としては、例えば、トリスジメチルアミノメチルフェノール、トリエチルアミンなどの三級アミン化合物や、スズ系化合物、アルミニウム系化合物、チタン系化合物等が代表的なものとして挙げられる。
硬化促進剤の配合量は、塗料中0〜3質量%、好ましくは、0〜2質量%が適当である。
本発明の塗料組成物は、被塗物表面に刷毛や、ローラー、スプレーなどの塗装手段により塗装し、常温もしくは300℃以下の温度で焼付けることにより硬化塗膜を形成することが可能である。
なお、被塗物としては、鋼材、コンクリートの他にも、無機窯業基材や、ステンレス、アルミニウム等の各種金属基材、ガラス基材、プラスチック基材、紙基材などの各種被塗物に使用可能である。
以下、本発明を実施例により、更に詳細に説明する。尚、実施例中「部」、「%」は、特に断らない限り質量基準で示す。
(I)成分の合成
合成例1
環流冷却器及び攪拌機を備えた反応器に、メチルトリメトキシシランを75部と、ジメチルジメトキシシランを25部とを加え、混合した後、イオン交換水5部と、1規定の塩酸とを0.05部加え、70℃で5時間部分加水分解縮合反応させた。反応終了後、減圧(133×102Pa(100Torr))下、脱溶剤を行い、質量平均分子量2500、粘度2.0Ps/20℃の液状オルガノポリシロキサン(A)を得た。
合成例2
環流冷却器及び攪拌機を備えた反応器に、メチルトリメトキシシランを20部、フェニルトリメトキシシランを30部及びジメチルジメトキシシランを50部加え、混合した後、イオン交換水10部と、1規定の塩酸を0.1部加え、60℃で8時間部分加水分解縮合反応させた。反応終了後、減圧〔133×102Pa(100Torr)〕下、脱溶剤を行い、質量平均分子量3700、粘度5.0Ps/20℃の液状オルガノポリシロキサン(B)を得た。
(II)成分の合成
合成例3
環流冷却器及び攪拌機を備えた反応器に、ジメチルトリメトキシシランを20部、フェニルトリメトキシシランを80部加え、混合した後、イオン交換水20部と、1規定の塩酸を0.5部加え、35℃で7時間部分加水分解縮合反応させた。反応終了後、減圧〔133×102Pa(100Torr)〕下、脱溶剤を行い、質量平均分子量4500の固形オルガノポリシロキサン(C)を得た。
合成例4
環流冷却器及び攪拌機を備えた反応器に、イソプロピルアルコール50部と、メチルトリメトキシシランを30部と、フェニルトリメトキシシランを50部と、ジメチルジメトキシシランを20部加え、混合した後、イオン交換水40部と、1規定の塩酸を1部加え、65℃で7時間部分加水分解縮合反応させた。反応終了後、減圧〔133×102Pa(100Torr)〕下、脱溶剤を行い、質量平均分子量4000の固形オルガノポリシロキサン(D)を得た。
(VI)成分の合成
合成例5
炭酸カルシウム100gと、市販の85%リン酸173gと(Ca/Pのモル比率は、0.67)をフラスコに採り、撹拌しながら80℃で3時間反応させた。
この反応液を放熱後、温度を250℃に設定した乾燥機にて、30時間焼成し、縮合リン酸カルシウムAを合成した。この縮合リン酸カルシウムAは、CaH227やCa42(P310)等の混合物である。
実施例1〜5、比較例1〜4
以下の表1に記載の配合割合にて、(I)〜(III)成分を混合し、60℃で3時間加熱撹拌を行い、均一溶解したポリオルガノシロキサン溶液を調製した後、表1に記載の配合割合にて(IV)〜(VIII)成分を混合し、ボールミルにて1時間分散処理して、実施例1〜5、比較例1〜4を得た。尚、(IX)成分は、塗装直前に表1に記載の配合割合で添加、混合した。
試験片作製
厚み3.2×大きさ70×150mmのサンドブラスト鋼板に表1に記載の塗料組成物(製造例1〜9)を、乾燥膜厚が80μmとなるようにエアスプレー塗装した後、常温(20℃)で2週間乾燥させ、実施例1〜5又は比較例1〜4の試験塗板とした。
また、厚み3.2×大きさ70×150mmのサンドブラスト鋼板に、下塗塗料としてエポオール(大日本塗料(株)製)を乾燥膜厚50μmとなるようにエアスプレー塗装し1日養生後、上塗塗料としてVシリコン#100H(大日本塗料(株)製)を乾燥膜厚30μmとなるようにエアスプレー塗装した後、常温(20℃)で2週間乾燥させ、比較例5の試験塗板とした。
作製した試験塗板を下記に示す試験によって塗膜性能を評価した。評価結果を以下の表2に示す。
塩水噴霧試験
試験片下部に素地に到達するようにカットを施した後、JIS K 5400 9.1 耐塩水噴霧性の試験方法に準拠し、1000時間塩水噴霧した後の塗膜外観を、以下の基準で目視判定した。
(判定基準)
○:塗膜表面に、異常なし
△:クロスカット部周辺に、直径3mm以下のふくれが発生
×:クロスカット部周辺に、直径3mm以上のふくれが発生
耐候性試験
JIS K 5400 9.8.1に準じてサンシャインカーボンアーク灯式試験機を用いて500時間試験を行った。試験後の塗膜光沢感を促進耐候性試験未実施の初期塗面と比較し、以下の基準で目視判定した。
(判定基準)
○:変化がほとんどない
△:やや低下
×:著しく低下
冷熱サイクル試験
−20℃雰囲気 2時間→50℃雰囲気 2時間、各条件への移行時間を1時間とした1サイクル6時間の条件で500サイクル実施し、塗膜の状態を次の基準で目視判定した。
(判定基準)
○: 塗膜に異変が見られない
△:塗膜にクラックが見られる
×: 塗膜にワレ、ハガレが見られる
付着性試験
JIS K 5600付着性の試験方法に準拠し、脱イオン水浸漬500時間後カッターナイフを用いて2mmの碁盤目を100個作製し、セロハンテープ剥離試験後以下の基準で目視判定した。
(判定基準)
○:塗膜表面に、異常なし
△:残存塗膜が95/100以上
×:残存塗膜が94/100以下
表1
Figure 2009096922
エポキシ樹脂(a) : EPICLON850(大日本インキ化学工業(株)製)
エポキシ樹脂(b) : サントートST−3000(東都化成(株)製)
酸化チタン : TIPAQUE CR95(石原産業(株)製)
シランカップリング剤 : SH6040(東レ・ダウコーニング(株)製)
ポリアミン : EPICLON B−053(大日本インキ化学工業(株)製)
表1(続き)
Figure 2009096922
表1(続き)
Figure 2009096922
表1(続き)
Figure 2009096922
上記の通り、本発明に対応する実施例1〜5の塗料組成物を使用すると、1回の塗装により、耐食性、耐候性、耐クラック性及び密着性において優れた塗装物が得られた。これに対して、(II)成分を使用しない比較例1では、耐候性が大きく劣り、逆に(II)成分を多く使用する比較例2では、耐クラック性が大きく劣り、(IV)成分を少なく含む比較例3では、耐食性及び密着性が大きく劣り、逆に(IV)成分を多く使用する比較例4では、耐候性が大きく低下することになる。
なお、比較例5は、下塗塗料と、上塗塗料とを使用して2回に分けて塗装する従来の塗装方法に関するものである。本発明によれば、一回の塗装により、複数回に分けて塗装する場合と同様な優れた塗膜特性を有する塗装を形成することができる。

Claims (6)

  1. (I)式(1)、
    1 nSi(OR24-n
    〔式中、R1は、炭素数1〜8の有機基であり、R2は、炭素数1〜5のアルキル基であり、nは、1又は2である。〕
    で示されるオルガノシランの液状部分加水分解縮合物、(93〜99)質量部と、
    (II)上記液状部分加水分解縮合物(I)に可溶で、かつ、式(1)、
    1 nSi(OR24-n
    〔式中、R1は、炭素数1〜8の有機基であり、R2は、炭素数1〜5のアルキル基であり、nは、1又は2である。〕
    で示されるオルガノシランの固形状オルガノシラン縮合物、(1〜7)質量部と、
    (III)式(1)
    1 nSi(OR24-n
    〔式中、R1は、炭素数1〜8の有機基であり、R2は、炭素数1〜5のアルキル基であり、nは、1又は2である。〕
    で示されるオルガノシラン化合物0〜20質量部、
    及び
    (IV)エポキシ樹脂、(50〜150)質量部、
    を含有することを特徴とする塗料組成物。
  2. 更に、(V)シランカップリング剤を含有する請求項1に記載の塗料組成物。
  3. 前記(V)シランカップリング剤が、グリシジル基又はシクロエポキシ基と、ケイ素原子に直接結合している加水分解性基とを有する化合物である請求項1又は2のいずれかに記載の塗料組成物。
  4. 更に、(VI)無公害防錆顔料を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の塗料組成物。
  5. 前記(VI)無公害防錆顔料が、リン酸塩又は縮合リン酸塩である請求項1〜4のいずれかに記載の塗料組成物。
  6. 有効成分量(不揮発分量)が80〜100質量%である請求項1〜5のいずれかに記載の塗料組成物。
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