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JP2009083248A - プラスチックレンズの製造装置 - Google Patents

プラスチックレンズの製造装置 Download PDF

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JP2009083248A
JP2009083248A JP2007255140A JP2007255140A JP2009083248A JP 2009083248 A JP2009083248 A JP 2009083248A JP 2007255140 A JP2007255140 A JP 2007255140A JP 2007255140 A JP2007255140 A JP 2007255140A JP 2009083248 A JP2009083248 A JP 2009083248A
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Shinichiro Kadowaki
慎一郎 門脇
Yukiaki Sunagawa
由基明 砂川
Yoshimitsu Gomi
好光 五味
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Hoya Corp
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Abstract

【課題】モノマー組成物の重合時に、ガスケット材の粉末がキャビティ内に飛散したり、ガスケット本体の注入口内に存在する過剰のモノマー組成物がキャビティー内に引き込まれたり、重合により得られたプラスチックレンズの注入口付近の箇所に脈理が発生したりしないプラスチックレンズの製造装置を提供する。
【解決手段】鋳型2の注入口部10Bを超音波溶着装置20によって溶着する。超音波溶着装置20は、ホーン24とアンビル25と、押さえ具40とを備え、注入口部10Bの被溶着部Aをホーン24とアンビル25によって押圧挟持し、被溶着部Aよりキャビティ側の部分Bをアンビル25と押さえ具40によって押圧挟持する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、プラスチックレンズの製造装置に関するものである。
近年、プラスチック製のレンズは、無機ガラス製レンズに比べて軽量、安全性という特性を有するため広く普及されてきている。特に、眼鏡用レンズの材料としはジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂(以下、「CR−39樹脂」という)が主流であった。しかしながら、この樹脂は屈折率が1.50程度と低く、ガラスレンズと比較するとレンズが厚くなるという問題があり、プラスチックレンズの高屈折率化の提案が種々なされている(例えば、特許文献1、2参照)。
前記特許文献1に記載されているポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物とを反応させて得られるポリチオウレタン樹脂や、特許文献2に記載されているエピチオ基を有する化合物と、ポリチオール化合物とポリイソシアネート化合物とを重合させてなるプラスチックレンズは、屈折率が高くアッベ数も大きいことから広く利用されるようになってきている。
通常、これらのプラスチックレンズを製造する工程は、レンズ原料となる主モノマー、および必要な添加剤を秤量し、混合攪拌し、組成が均一な溶液(以下、モノマー組成物という)とする調合工程と、この溶液を、ガラス製または金属製のモールドと、プラスチック製ガスケットとからなるレンズ成型用鋳型に注入する注入工程と、レンズ成型用鋳型を加熱炉に投入して適当な温度プログラムでモノマー組成物を重合する重合工程と、重合により得られたレンズを鋳型から取り出す離型工程等からなる。
上記レンズ成型用鋳型が、モールドと、注入口を持たないガスケットとから構成された密閉型の鋳型である場合、上記注入工程では、この鋳型のシール部を強制的に開いて、その隙間にノズルを挿入し、このノズルによりモノマー組成物を鋳型のキャビティー内に注入する。このキャビティーをモノマー組成物で確実に満たしてキャビティー内部に気泡を残さないようにするためには、いったん過剰のモノマー組成物をキャビティー内に注入し、過剰分のモノマー組成物をキャビティー外に押し出しながら、上記シール部を密閉する方法が採用される。
この場合、押し出されてキャビティー外部に漏れ出したモノマー組成物は、鋳型の外側部分や製造工程で用いるラック等の製造設備を汚損するため、これらを洗浄するための設備が必要となるだけでなく、製品となるレンズの汚損につながるという不都合が生じる。このため、製造歩留まりの低下を招いたり、モノマー組成物の性質によっては、レンズをまったく製造することができない状態を招いたりする。
そこで、近年はガスケットにモノマー組成物専用の注入口を設け、この注入口から注入する方法が主流になりつつある。この方法は、一般に、鋳型のキャビティー内にモノマー組成物を注入して満たして行き、液面が注入口に達した時点で注入を停止し、注入口をシールする方法である。この方法ではモノマー組成物が鋳型の外にあふれることがなく、上記のような問題が起こることはない。注入口をシールする方法としては、例えば特許文献3に開示されているように、アルミニウム箔やプラスチック製のフィルムに熱可塑性エラストマーをラミネートしたフィルムを用いて熱溶着する方法が知られている。
特開平7−316250号公報 特開2001−330701号公報 特開平7−164550号公報
しかしながら、熱溶着による急激な過熱がモノマー組成物に及ぶと、異常反応を起こしやすく、均一なプラスチックレンズを得ることができなくなる。そこで、熱の影響を排除するために、シール部はモノマー組成物から一定の距離はなれた位置にする必要がある。また、重合工程での重合収縮により、注入口部のモノマー組成物がキャビティー方向に引き込まれてしまうため、注入口部には、少なくとも引き込み分以上の液量のモノマー組成物が存在することが必要となる。さらに、注入時に注入口を満たす液量に高い精度が得られない場合、注入口内の液量をさらに多くして公差を吸収することが必要となる。ただし、注入口部からキャビティー内に引き込まれるモノマー組成物の液量が一定量を超えると、重合時にそのモノマー組成物の影響も無視できなくなり、この部分の重合状態が不均一となる。そのため、しばしばプラスチックレンズの注入口付近の箇所に特有な脈理が発生することになり、このような問題を解決する方法が求められていた。
そこで、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、プラスチックレンズ成型用鋳型のキャビティー内に、プラスチック製ガスケットの注入口からモノマー組成物を注入し、この注入口を封止した後、重合を行うプラスチックレンズの製造方法において、上記プラスチック製ガスケットの注入口の封止を超音波溶着によって行うと、熱的影響が小さく、上記問題を解消し得ることを見出した。すなわち、超音波溶着は、超音波振動を被溶着体に伝えるホーンと呼ばれる振動共鳴体の先端と、アンビルと呼ばれる受け具で被溶着体を押圧挟持し、この状態で超音波を発振することにより行われる。ホーンから伝わった超音波振動は、被溶着体における溶着面を振動させて摩擦熱を発生させ、このとき溶着面が局部的に溶融一体化することにより、溶着が完了する。溶融部分は極めて局部的で、発振時間も通常1秒以内と短いため、周囲に与える熱的な影響もヒートシールと比較してはるかに小さい。そのため、注入口部にモノマー組成物が存在したまま押圧挟持して溶着処理を行うことができる。また、加熱重合工程での重合収縮による脈理の発生が少ない。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
本発明は、上記した従来の問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、モノマー組成物の重合時に、ガスケット本体に設けられた注入口内に存在する過剰のモノマー組成物が鋳型のキャビティー内に引き込まれたり、上記重合により得られたプラスチックレンズの上記注入口付近の箇所に脈理が発生したりせず、また、急激な過熱がモノマー組成物に及ぶことがなく、組成の均一なプラスチックレンズを得ることができるプラスチックレンズの製造装置を提供することを目的とするものである。
さらに、本発明は、プラスチック製ガスケットの注入口の封止を超音波溶着により行う際に、溶着シール部から発生するガスケット材の粉末の飛散によるキャビティー内の汚染を防止し、異物や曇りのない透明性に優れたプラスチックレンズを得ることができるプラスチックレンズの製造装置を提供することを目的とするものである。
本発明は上記目的を達成するために、突出した注入口部を有する円筒状のガスケットと、このガスケット内に対向して配設されガスケットとともにキャビティーを形成する一対のモールドとで構成された鋳型と、この鋳型の前記キャビティー内に前記注入口部からモノマー組成物を注入した後、前記注入口部を封止する封止手段とを備えたプラスチックレンズの製造装置において、前記ガスケットの注入口部を封止する封止手段が超音波溶着装置となっているものである。
また、本発明は、前記超音波溶着装置が、互いに対向して配設されたホーンとアンビルによって前記注入口部の超音波溶着される部分を押圧挟持し、この被溶着部分よりガスケット本体側に位置する部分の内面どうしを互いに密接させた状態で前記被溶着部分を超音波溶着するものである。
また、本発明は、前記超音波溶着装置が、互いに対向して配設され前記注入口部の超音波溶着される部分を押圧挟持するホーンおよびアンビルと、前記ホーンとアンビルのいずれか一方に対向して配設され前記被溶着部分よりガスケット本体側に位置する部分を前記一方に押し付けて内面どうしを密接させる押圧部材とを備えたものである。
また、本発明は、前記超音波溶着装置が、ホーンおよびアンビルを備え、前記ホーンとアンビルの互いに対向する面の少なくともいずれか一方の面に前記注入口部を押圧挟持したときの両者間の距離が前記注入口部の前記被溶着部分よりガスケット本体側に位置する部分の方が前記被溶着部分よりも広くなるような段差を設けたものである。
さらに、本発明は、前記注入口部の超音波溶着される部分の押圧挟持と、この押圧挟持される部分よりガスケット本体側に位置する部分の内面どうしの密接を同時または密接を先行させて行なうものである。
本発明による製造装置によれば、注入口部を超音波溶着しているので、溶融部分が極めて局部的で、発振時間も短時間であるため、周囲に与える熱的影響が小さく、組成の均一なレンズを得ることができる。
また、熱的影響が小さいために、被溶着部分をガスケットに近づけて設けることができるので、モノマー組成物の使用量を少なくすることができる。また、重合時にキャビティー内に引き込まれるモノマー組成物の量も少なく、注入口付近の箇所に脈理が発生するのを防止することができる。
さらに、注入口部の超音波溶着される部分よりガスケット本体側に位置する部分の内面どうしを密接させて超音波溶着を行なっているので、超音波溶着される部分から発生するガスケット材の粉末の飛散によるキャビティー内の汚染のおそれが回避され、異物や曇りのない透明性に優れたプラスチックレンズを得ることができる。
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係るプラスチックレンズの製造装置の一実施の形態を示す注入口封止部の正面図、図2はホーン、アンビルおよび押圧部材の要部の斜視図、図3はプラスチックレンズ成形用鋳型の斜視図、図4(a)はキャビティー内にモノマー組成物を注入している様子を示す断面図、(b)はモノマー組成物を注入し終わった状態を示す断面図、図5(a)〜(d)は注入口の封止工程を説明するための図である。
図1〜図4において、全体を符号1で示すプラスチックレンズの製造装置は、注型重合法によってプラスチックレンズを成形するための装置であり、さらに詳しくはプラスチックレンズを成形するためにレンズ原料液であるモノマー組成物4が注入されたプラスチックレンズ成形用鋳型2(以下、単に鋳型ともいう)の注入口部5を封止する装置である。鋳型2のキャビティー3内に、モノマー組成物4が注入、封止された後、この鋳型2は次工程に送られて空気炉等(図示せず)で所定の温度プログラムに沿って加熱され、これにより重合硬化してプラスチックレンズが成形される。
図2および図3において、前記プラスチックレンズ成形用鋳型2は、円筒体からなるガスケット10と、このガスケット10に所定の間隔を保ってはめ込まれる一対のモールド11、12とで構成されている。
前記ガスケット10は、両端が開放した円筒状に形成されたガスケット本体10Aと、このガスケット本体10Aの外周面の高さ方向の中間部に一体に突設された注入口部10Bとで構成されている。また、ガスケット本体10Aの内周面の高さ方向の中間部には、鋳型2の組み付け時にモールド11、12の位置精度を向上させる等の目的で任意の突起体を設けてもよい。図4の例では弾性変形可能な環状の突起帯13が、嵌め込まれたモールド11に接するように全周にわたって一体に突設されている。
前記注入口部10Bは、モノマー組成物4をガスケット本体10Aと一対のモールド11、12とによって形成されるキャビティー3内に注入するための部分で、中空状に形成されることにより内部が注入口5を形成しており、ガスケット本体10Aの内外を連通させている。注入口5と注入口部10Bの形状は任意ではあるが、モノマー組成物4の注入が容易で、後述する超音波溶着が円滑に行える断面形状であればよく、例えば円形、楕円形、扁平円形、漏斗状等に形成されている。また、注入口部10Bの数は1個でも2個以上であってもよい。
このようなガスケット10は、熱可塑性樹脂の射出成形によって形成することができる。熱可塑性樹脂としては、成形性、柔軟性、耐熱性、耐モノマー安定性および価格等の観点から、オレフィン系エラストマーを用いるのが特に好ましい。オレフィン系エラストマーの具体例としては、低密度ポリエチレンからなるポリエチレン系エラストマー、ポリプロピレンホモポリマーにゴム成分を微分散させたポリプロピレン系エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体およびエチレン−アルキルアクリレート共重合体などが挙げられる。
前記一対のモールド11,12(以下、第1、第2のモールドともいう)は、いずれもガラス製であることが一般的である。第1のモールド11は、プラスチックレンズの凸面を形成するためのもので、緩やかに湾曲する凸面11aと同じく緩やかに湾曲する凹面11bとを有し、この凹面11bを内側にして前記ガスケット10に圧入され、例えば図4(a)に示したように、前記突起帯13に係止される。モールド11を圧入する際、圧入される位置が明確である場合、突起帯13は不要である。凸面11aは、レンズ成形面として使用されない面であり、任意の仕上げ面に形成されている。一方、凹面11bは成形しようとするプラスチックレンズの凸面側の転写面(レンズ成形面)を形成している。このため、凹面11bは所定の曲面形状に鏡面仕上げされている。
第2のモールド12は、レンズの凹面を形成するためのもので、凸面12aと凹面12bを有し、凸面12aが第1のモールド11の凹面11bと対向するように前記ガスケット10に圧入される。この際図示していない突起帯13と同様のものを別途用意して、モールド12を係止してもよい。凸面12aは、成形しようとするプラスチックレンズの凹面側の転写面(レンズ成形面)を形成しているため、所定の曲面形状を有する面に鏡面仕上げされている。一方、凹面12bはレンズ成形面として使用されない面であり、任意の仕上げ面に形成されている。
このような第1、第2のモールド11、12を図4(a)に示すようにガスケット10の内部に所定量押し込んで組み付けることにより、プラスチックレンズ成形用鋳型2の組付けが完了する。この場合、第1のモールド11は、例えば前記突起帯13によって位置決めされるため、ガスケット10への押込み量は成形しようとするレンズの種類にかかわらず略一定である。これに対して、第2のモールド12は成形しようとするレンズの種類(度数)に応じた押込み量で押し込まれることにより、第1のモールド11と所定の間隔を保って対向する。また、突起帯をモールド12側にも設けて押し込み量の位置決めをしてもよい。これにより、ガスケット10と2つのモールド11、12とによって囲まれた空間がプラスチックレンズ形成用のキャビティー3を形成する。そして、鋳型2を組立てた後、モノマー組成物4がノズル14によってキャビティー3に注入される。なお、ノズル14は、不図示のモノマー注入装置に接続されており、この注入装置は、モノマー組成物4が満たされた不図示のタンクに接続されている。モノマー組成物4の注入は、空気や窒素による加圧またはポンプを用いて行うのが一般的であり、これらを組み合わせた方法を採用してもよい。
モノマー組成物4の注入は、図4(b)に示すように、モノマー組成物4がキャビティー3内を満たし、注入口部10Bの上部に達するまで行う。次いで、モノマー組成物4が注入された鋳型2は、図1に示す注入口封止部6に搬送され、ガスケット10の注入口5が封止される。
前記注入口封止部6は、注入口5を封止する封止装置としての超音波溶着装置20と、鋳型2を搬送する搬送手段としての搬送コンベア21とを備えている。
前記超音波溶着装置20は、上述したように、電気エネルギーを機械的振動エネルギーに変換し、また同時に圧力をかけて2つの熱可塑性樹脂の接合面に強力な摩擦熱を発生させることにより、熱可塑性樹脂を溶融し結合させる装置であって、溶着位置22を挟んで対向し、互いに接近離間する方向に移動自在に配設されたホーン24とアンビル25とを備えている。ホーン24は、板状に形成されてスライダー26の下面にブラケット27を介して固定されている。ホーン24の先端面bは長さ50mm、厚さ4mm程度の大きさで、ホーン24の後端には超音波発振器28が取付けられている。超音波発振器28は、電気的エネルギーを機械的振動エネルギーに変換する振動子(ピエゾ圧電素子)を備えている。
前記スライダー26は、基台30の下面に固定された直動ガイド31に進退移動自在に取付けられて通常は後方に待機しており、注入口5の封止時にエアシリンダ32によって所定の距離だけ前進移動されるように構成されている。エアシリンダ32は、前記基台30上に固定されており、そのシリンダロッド32Aの外端が連結板33を介して前記スライダー26に連結されている。連結板33には可動側ストッパ34が取付けられており、これに対応して基台30の後端にはスライダー26の前進移動を制限する固定側ストッパ35が取付けられている。さらに、前記スライダー26の前端には、押さえ具40が支持部材41を介して取付けられている。支持部材41は、上端がスライダー26の前端面にねじ止め固定され、下端が前記ホーン24の前端部下方に延在し、前記押さえ具40を摺動自在に保持する貫通孔42(図5(b))を有している。
前記押さえ具40は、L字型(図2ではクランク型)に折り曲げ形成された押さえ具本体40Aと、この本体40Aの下端に取付けられた軸40Bとで構成されている。押さえ具本体40Aは、前記ホーン24の真下に位置し、前記軸40Bが前記支持部材41の貫通孔42にブッシュ43(図5(b))を介して摺動自在に挿通され、かつばね44によって前方に付勢されている。このため、押え具本体40Aの先端面aは、長さ50mm、厚さ2mmで、周縁がガスケット10を傷つけないように面取りされており、図5(a)に示すように通常ホーン24の先端面bより若干前方に突出している。また、ホーン24の先端面b、および、アンビル25の先端面cは注入口部10Bの被溶着部を押圧して内面を均一に溶融させるため、各々が概略平坦な形状面であることが好ましい。ただし、押さえ具40Aの先端面形状は、ガスケットの注入口5を押圧により密閉できる形状であれば特に指定は無く、必ずしも平坦面である必要はない。
前記アンビル25は、前記ホーン24より厚い板状に形成されてスライダー50の下面に固定されている。アンビル25の先端面cは、長さが50mm、厚さ10mm程度で全面にわたって平坦面に形成され、その上部がホーン24の先端面bに対向し、下部が押さえ具40の先端面aに対向し、周縁ガスケット10を傷つけないように面取りされている。スライダー50は、基台51の下面に固定された直動ガイド52に進退移動自在に取付けられて通常は後方に待機しており、注入口5の封止時にエアシリンダ53によって所定の距離だけ前進移動されるように構成されている。
エアシリンダ53は、前記基台51の下方に取付板54を介して取付けられており、そのシリンダロッド53Aの外端が連結板55を介してアンビル25に連結されている。直動ガイド52には、アンビル25の前進移動を制限し、所定位置に停止させるストッパ56が設けられ、これに対応してアンビル25に当接部材57が固定されている。
前記基台51の上面には、前記搬送コンベア21が設置されている。この搬送コンベア21は、フリーフローコンベアからなり、左右に対向して配置されたガイド壁61A、61Bに回転自在に取付けられた複数個のローラ62と、これらのローラ62にモータの回転を伝達する無端状ベルト63と、この無端状ベルト63にテンションを付与するテンションローラ64と、パレット停止用エアシリンダ65等を備え、前記ローラ62によって搬送パレット66を紙面と直交する方向に搬送するように構成されている。搬送パレット66の一側には、ガスケット用取付板67が垂下されている。ガスケット用取付板67は、ホーン24とアンビル25との間に位置してアンビル25が貫通可能な貫通孔68を有し、ガスケット10の注入口部10Bを懸吊する注入口支持板69が取付けられている。注入口支持板69は、ガスケット用取付板67のホーン24と対向する面に取付けられており、注入口部10Bを吊り下げる溝70(図5(a))が形成されている。ガスケット10は、注入口部10Bが前記溝70に吊り下げられることにより横向きに保持され、アンビル側開口部がガスケット用取付板67の表面に当接し安定した状態に保持される。
ガスケット10が溶着位置22に搬送されてくると、センサ(図示せず)がこれを検知し、その検知信号に基づきエアシリンダ65が駆動して搬送パレット66を停止させるように構成されている。
次に、超音波溶着装置20による注入口5の超音波溶着を図5に基づいて説明する。
超音波溶着装置20によるガスケット10の注入口5の溶着封止は、注入口部10Bの溶着される部分(以下、溶着部分または被溶着部ともいう)A(図5(a))をホーン24とアンビル25とによって押圧挟持することにより、当該部分Aの内面どうしを圧接し、この被溶着部分Aよりキャビティー側に位置する部分(以下、密接部分ともいう)Bの内面を互いに密接させた状態で行う。なお、注入口部10Bの被溶着部分Aは、ホーン24の先端面bとアンビル25の先端面cの上部が当たる部分であり、これより下の部分で押さえ具本体40Aの先端面aとアンビル25の先端面cの下部とが当たる部分が密接部分Bである。
注入口5の封止を超音波による溶着によって行う場合、振動子の激しい振動でしばしば被溶着部分Aの付近にガスケット樹脂材料の粉末が飛散する現象が観察されるが、これらが鋳型2のキャビティー3内のモノマー組成物4に混入するとプラスチックレンズに異物、汚れ、曇り等の不都合が発生し、製品としての価値を大きく損なうことがある。このような場合には上記条件を満足させる、言い換えれば溶着部分Aよりキャビティー側に密接部分Bを設けることにより、ガスケット樹脂材料の粉末のキャビティー方向への飛散を防止できるため、モノマー組成物4が汚染されるおそれがなく、異物や曇りのない透明性に優れたプラスチックレンズを得ることができる。
この場合、本実施の形態は、上記した通り、ホーン24とアンビル25の先端面b、c全体をそれぞれ平坦面に形成し、押さえ具40の先端面aをホーン24の先端面bより前方に突出させているため、注入口部10Bの溶着される部分Aをホーン24とアンビル25によって押圧挟持する前に、当該部分Aよりガスケット10側の部分(密接部分)Bを押さえ具40とこれに対向する受け具としてのアンビル25とによって密接させるようにしている。すなわち、上記溶着方法は、超音波により溶着される被溶着部分Aの圧接を、ホーン24とアンビル25とによる押圧挟持により行い、かつ上記被溶着部分Aよりキャビティー側に位置する部分Bの密接を、押さえ具40とアンビル25とによる押圧挟持により行い、この押圧挟持を、前記被溶着部分Aの押圧挟持と同時にまたはこれより先行させて行う方法である。
溶着に際しては、まず、モノマー組成物4が注入口5まで注入された鋳型2を搬送コンベア21によって注入口封止部6に搬送し、溶着位置22に達するとエアシリンダ65が駆動してパレット66を停止させる。鋳型2が溶着位置22に停止すると、エアシリンダ53が駆動してスライダー50を直動ガイド52に沿って前進移動させ、アンビル25の先端面cを図5(a)に示すように注入口部10Bの被溶着部分Aに接触させる。アンビル25は、所定距離前進して先端面cが注入口部10Bの被溶着部分Aに接触すると、当接部材57(図1)がストッパ56に当接することによりその位置に停止する。
アンビル25が所定位置に停止すると、引き続きエアシリンダ32が駆動してスライダー26を前進させる。スライダー26が所定距離前進すると、押さえ具40の先端面aが注入口部10Bの密接部分Bを押圧しアンビル25とともに挟持する。図5(b)は、この状態を示す。
アンビル25と押さえ具40とによる密接部分Bの押圧挟持は、押さえ具40がばね44を介してスライダー26と繋がっているので、被溶着部Aにおける押圧力よりも弱く、注入口部10Bの内壁どうしの密接状態が維持される程度の押圧力を保つように調整されている。なお、このような密接部分Bは、押圧力が弱く、またホーン24から離れていることから超音波が伝達されない部分であるため超音波溶着されることはない。
さらに、スライダー26が小距離前進すると、ホーン24の先端面bが注入口部10Bの被溶着部分Aを押圧しアンビル25とともに押圧挟持する(図5(c))。
なお、図5では押さえ具40とアンビル25とにより密接部分Bを押圧挟持する例を示しているが、注入口5の密閉状態が維持できれば、押さえ具40に対向する受け具としてアンビル25以外のものを用いてもよい。また、図5では注入口5内におけるモノマー組成物4の液面は、押さえ具40の先端面aの高さ位置および注入口5における被溶着部分Aの高さ位置まで達していないが、これを超える高さであってもよい。
次いで、図5(c)に示す注入口部10Bの被溶着部分Aと密接部分Bとを押圧挟持した状態で、超音波発振器28の振動子を通電によって超音波振動させると、注入口部10Bのホーン24とアンビル25とによって押圧挟持されている被溶着部分Aに摩擦熱が発生し、溶融してさらに押圧されるため当該部分が超音波溶着されることにより溶着シール部A’となる(図5(d))。このとき、溶着シール部A’で発生したガスケット材の粉末は、非溶着部である密接部分Bによって遮られるため、これよりもキャビティー側に拡散することはない。加えて、注入口部10Bにおけるモノマー組成物4の液面が注入口5における押さえ具40の高さ位置および注入口部10Bにおける被溶着部分Aの高さ位置を越えている場合、注入口部10Bの被溶着シール部Aと非溶着の密接部分Bの間の空間に存在するモノマー組成物は、溶着時にホーン24の押圧により圧縮方向の力を受けるため、その反作用として該空間の外側に勢いよく排出される。そして、溶着時の超音波によって発生したガスケット材の粉末もこの流れに乗って注入口部10Bの被溶着シール部Aの外側に押し出されるため、キャビティー側に拡散することはない。
ホーン24とアンビル25で超音波発振しながら押圧挟持を続けるとホーン24はさらに前進し被溶着シール部Aは肉厚を薄くして、ついには溶断してしまう。このような状況を防ぐため、可動側ストッパ34(図1)がストッパ35に当たってスライダー26を停止させ、溶着シール部A’の最小肉厚を保つ構造となっている。
注入口部10Bの超音波溶着が終了すると、ホーン24と押さえ具40を後退させることにより、アンビル25とによる押圧挟持を解除する。押さえ具40を後退させて注入口部10Bに対する押圧挟持状態から解放してもガスケット材の粉末はそのままの位置に留まり、キャビティー3内に混入することはない。
注入口5の封止工程において、アンビル25と押さえ具40による注入口部10Bの内壁どうしの密接は、上述したように注入口5を封止する前から行われるが、注入口5の封止と同時に、すなわちホーン24とアンビル25による押圧挟持と同時に行っても同様の効果が得られる。
このような超音波溶着によれば、キャビティー3内の汚染のおそれが回避されるため、異物や曇りのない透明性に優れたプラスチックレンズを得ることができる。
次に、他の実施の形態を図6に基づいて説明する。
この実施の形態は、ホーン24とアンビル25の先端面b、cを同一の大きさで同一形状に形成するとともに、これらの先端面b、cの注入口部10Bの被溶着部分Aに対応する上側部分をそれぞれ溶着部70、71とし、これより下側部分を注入口部10Bの密接部分Bに対応させるとともに段差74a、74bをそれぞれ設けて密接部72、73とすることにより、被溶着部分Aと密接部分Bの押圧挟持を同時に行なうようにしたものである。
図6(a)に示すように、まず、モノマー組成物4が不図示のキャビティー内および注入口5を満たしている状態で、ホーン24とアンビル25とで注入口部10Bを押圧挟持する。注入口部10Bのホーン24とアンビル25の溶着部70、71によって挟持される部分は被溶着部分Aを形成し、強い押圧力で挟持される。一方、密接部72、73によって挟持される部分は密接部分Bを形成し、段差74a、74bの分だけ被溶着部分Aより弱い押圧力で押圧挟持される。
次いで、この押圧挟持状態で、通電による振動子の機械的振動エネルギーをホーン24を介して被溶着部分Aに伝達することにより、被溶着部分Aが超音波溶着されて溶着シール部A’となる。一方、密接部分Bは、段差74a、74bにより密接部72、73の挟持力が弱いため振動子の機械的振動エネルギーが注入口部10Bの内壁まで十分に伝達されず、超音波溶着されない。その結果、溶着シール部A’と非溶着の密接部B’が同時に形成される(図6(b))。
超音波発振時に溶着シール部A’から発生したガスケット材の粉末は非溶着・密接部B’に遮られてキャビティー側に飛散することはない。超音波溶着が終了した後、図6(c)に示すように、ホーン24とアンビル25を後退させて注入口部10Bの押圧挟持状態を解除する。ホーン24とアンビル25を押圧挟持状態から解放してもガスケット材の粉末はそのまま注入口部10Bの非溶着・密接部B’相当部分の内壁に密着して留まり、キャビティ側に飛散することはない。なお、図6では、注入口部10Bにおけるモノマー組成物4の液面は、注入口部10Bにおける被溶着部分Aの位置を越えているが、これに達してない場合も同様である。
図6に示す実施の形態においては、ホーン24とアンビル25の先端面にそれぞれ段差74a、74bを設けた例を示したが、どちらか一方だけに設けてもよい。また、段差74a、74bは、実質的に被溶着部分Aよりキャビティー側に設けられ、溶着時に注入口部10Bを押し潰して内部の隙間を埋めると同時に、ホーン24を通じて伝達された超音波振動が注入口部10Bの内側まで伝わりにくいように設定する。この段差74a、74bは、溶着シール部A’で発生したガスケット材の粉末の拡散を抑え、新たなガスケット材の粉末の発生を抑制する観点から、押圧して溶着シール部A’を形成させたときに非溶着の密接部B’の内壁に隙間ができないような範囲でなるべく大きく設定することが好ましい。
注入口部10Bの超音波溶着が終了すると、鋳型2を搬送用搬送コンベア21によって加熱重合部に搬送し、加熱炉に入れて所定時間加熱し、モノマー組成物4を重合することにより、プラスチックレンズが成形される。
図6に示す実施の形態においても、図5に示した実施の形態と同様に注入口部10Bに被溶着部分Aと密接部Bとを設けた状態で超音波振動を伝達するようにしているので、溶着シール部A’で発生したガスケット材の粉末が未溶着・密接部B’によって遮られてキャビティー内に混入することはない。すなわち、このような非溶着の密接部B’を設けるために、ホーン24とアンビル25の少なくても一方に段差を設けることにより、溶着シール部A’で発生したガスケット材の粉末は、非溶着・密接部B’の内壁に付着する。このため、ガスケット材の粉末がキャビティー3内に混入することはない。このようにキャビティー3内の汚染のおそれが回避されるため、異物や曇りのない透明性に優れたプラスチックレンズを得ることができる。
本発明で用いるモノマー組成物4は特に限定されないが、特に本発明の製造装置に使用して好適なモノマー組成物として、CR−39樹脂に代表されるアリル系樹脂を形成するアリル系モノマー組成物、(メタ)アクリル系樹脂を形成する(メタ)アクリル系モノマー組成物、ポリチオウレタン樹脂を形成するポリチオウレタン系モノマー組成物等が挙げられる。ポリチオウレタン系モノマー組成物としては、ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物との組み合わせ、あるいはビス(β−エピチオプロピル)スルフィドおよびビス(β−エピチオプロピル)ジスルフィドなどのエピチオ基含有化合物などが挙げられる。上記ポリイソシアネート化合物としては、1,3−ジイソシアナトメチル−シクロヘキサンおよびキシレンジイソシアネートなどが挙げられる。上記ポリチオール化合物としては、ペンタエリスリトールテトラキス−(2−メルカプトアセテート)、2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン、メルカプトメチル−ジチア−オクタンジチオールおよびビス(メルカプトメチル)−トリチアウンデカン−ジチオールなどが挙げられる。
本発明で用いるモノマー組成物4には、通常プラスチックレンズの製造に用いる公知の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
添加剤としては、例えば、吸光特性を改良するための、紫外線吸収剤、色素および顔料等、耐候性を改良するための、酸化防止剤および着色防止剤等、成形加工性を改良するための離型剤等を挙げることができる。
ここで、紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系およびサリチル酸系等が、色素や顔料としては、例えばアントラキノン系およびアゾ系等が挙げられる。酸化防止剤や着色防止剤としては、例えばモノフェノール系、ビスフェノール系、高分子型フェノール系、硫黄系およびリン系等が、離型剤としては、例えばフッ素界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、酸性リン酸エステルおよび高級脂肪酸等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[実施例1]
オレフィン系熱可塑性樹脂であるポリエチレンエラストマー(住友化学社製、エクセレンFX)を用いて、図3に示す形状の注入口付き筒型ガスケット10を射出成形により製作した。ガスケット本体10Aの内径は約80mm、注入口部10Bの壁厚は1.0mmであった。純水洗浄によりガスケット10の表面に付着している異物を取り除いた後、十分に乾燥させ、図3に示すように、ガスケット本体10Aの両端開口部にガラス製の第1、第2のモールド11、12を嵌め込んで、プラスチックレンズ成型用鋳型2を形成した。
一方、攪拌装置とジャケットを備えた23リットルの密閉式タンクを用意し、ジャケットに5℃の冷水を通してタンクを冷却した。これとは別に5リットルのポリエチレン製容器に、5℃に冷却した1,3−ジイソシアナトメチル−シクロヘキサン4.000kgを計り取り、これに紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(シプロ化成社製、シーソーブ709)18.0g、離型剤としてブトキシエチルアシッドホスフェート(城北化学工業社製、JP−506H)29.0gおよび重合触媒としてジメチルチンジクロリド81.0gを加えて20分間攪拌した。この攪拌により各添加剤は1,3−ジイソシアナトメチル−シクロヘキサンに溶解し、均一な溶液となった。
次に、この溶液を前記タンクに移し、さらに1,3−ジイソシアナトメチル−シクロヘキサン4.557kgを追加した。ここにそれぞれ5℃に冷却したペンタエリスリトールテトラキス−(2−メルカプトアセテート)4.764kgおよび2,5−ジメルカプトメチル−1,4−ジチアン4.679kgを加え、タンクを密閉して10分間攪拌し、モノマー組成物を得た。
いったん攪拌を止め、タンクを真空ポンプに接続し、減圧脱泡を開始した。タンク内部のモノマー組成物の発泡状態を確認しながら攪拌を再開し、徐々に攪拌速度を上げたところ、減圧度は40Paで安定した。このまま30分間保って減圧脱泡を行ってから常圧に戻し、モノマー組成物の調合工程を終えた。
その後、直ちにタンクを注入装置に接続し、乾燥窒素30kPaで加圧しながらローラーポンプを使って、図4(b)に示すようにキャビティー3にモノマー組成物4を注入した。そしてモノマー組成物4がキャビティー3内を満たし、注入口5の上部まで達したところで注入を止めた。
ここで得られたモノマー組成物4が注入されたレンズ成型用鋳型2をさらに超音波チューブシール機を用いて周波数35kHz、溶着圧力0.5MPa、溶着デプス1.0mm、発振時間0.5秒で、図5(b)に示すように、注入口部10Bの被溶着部分Aをホーン4とアンビル25によって押圧挟持して、この挟持された面どうしが局部的に溶融一体化するように溶着シールした。
このレンズ成型用鋳型2を加熱重合して得られたプラスチックレンズは、無色透明で、屈折率(ne):1.60、アッベ数(νe):41、比重1.32の光学物性を有していた。また、得られたプラスチックレンズの注入口付近の箇所に脈理が見られず、眼鏡用レンズとして良好なものであった。
[比較例1]
図7に示すように、超音波溶着せずヒートシール80のみによって注入口部10Bを封止したレンズ成型用鋳型81を製作し、この鋳型81と超音波溶着した鋳型の双方を同時に熱風循環式重合炉に入れ、30℃から120℃まで24時間かけて昇温し、さらに120℃にて3時間加熱した。その後、これらの鋳型を重合炉から取り出し、その鋳型からプラスチックレンズを取り出した。
図7に示すように、注入口部を超音波溶着しない鋳型81を用いて得られたプラスチックレンズは、プラスチックレンズの注入口付近の箇所に脈理があり、眼鏡用レンズとして不都合があるものであった。
[実施例2]
実施例1によって得られたプラスチックレンズを詳しく観察すると、注入口部分にわずかな曇りの見られるものが見つかった。曇り部分を顕微鏡で観察すると5μm前後の透明な不定形異物の集合体であり、超音波溶着時に発生したガスケット樹脂の粉末と予想された。そこで、実施例1で用いたものと同様のプラスチックレンズ成形用鋳型に実施例1で用いたものと同様のモノマー組成物を注入し、これを実施例1で用いた超音波チューブシール機のものと同仕様の超音波振動子とホーンを組み込んだ図1に示される装置を用いて周波数35kHz、溶着圧力0.5MPa、発振時間0.5秒の条件で、図5に示す溶着封止工程により注入口部10Bの被溶着部分Aを超音波溶着した。まず、図5(b)に示すように、アンビル25と押さえ具40とで注入口部10Bの密接部分Bを押圧挟持することにより、注入口部10Bのこの部分の内壁を密接させた。
次に、図5(c)に示すように、アンビル25と押さえ具40とで押圧挟持された位置よりも上部(被溶着部分A)を、アンビル25とホーン24とで押圧挟持し、さらにホーン24を通して超音波振動を伝達しながら押圧し、被溶着部分Aの超音波溶着を行った。この超音波溶着に伴って溶着シール部A’からはガスケット材の粉末が発生していると推測されるが、アンビル25と押さえ具40とによる押圧挟持によって、溶着シール部A’とキャビティー3とが遮断されているので、ガスケット材の粉末はキャビティー3方向には飛散せず、その後、ホーン24、アンビル25および押さえ具40を解放しても粉末はそのまま注入口部10Bに留まっていると考えられる。
次いで、上記レンズ成型用鋳型2を熱風循環式重合炉に入れ、30℃から120℃まで24時間かけて昇温し、さらに120℃にて3時間加熱した。その後、鋳型を重合炉から取り出し、その鋳型からプラスチックレンズを取り出した。得られたプラスチックレンズは無色透明で、屈折率(ne):1.60、アッベ数(νe):41、比重:1.32の光学物性を有していた。また、プラスチックレンズの注入口付近の箇所に脈理はみられず、さらにこの部分に実施例1で見られたわずかな曇りのあるものも見つからなかった。このように本実施例で得られたレンズは実施例1からさらに改良が加えられ、眼鏡用レンズとして良好に使用できるものであった。
[実施例3]
実施例2と同様にモノマー組成物4が注入されたレンズ成型用鋳型2を、実施例1で用いた超音波チューブシール機のものと同仕様の超音波振動子とホーンを組み込んだ装置を用いて周波数35kHz、溶着圧力0.5MPa、発振時間0.5秒の条件で、図6に示す製造工程により注入口を超音波溶着した。図6に示すホーン24およびアンビル25の押圧挟持面のキャビティー側にはそれぞれ0.4mmの段差74a、74bを設けた。ホーン24とアンビル25とで押圧挟持して超音波伝達を行なったときに、図6(b)に示すように、溶着シール部A’とそのキャビティー側に位置する非溶着・密接部B’が同時に形成された。このとき超音波溶着に伴って溶着シール部A’からガスケット材の粉末が発生したと推測されるが、段差74a、74bによる押圧挟持によって、溶着シール部A’で発生したガスケット材の粉末のキャビティー方向への飛散は遮断されているので、ガスケット材の粉末はキャビティー方向には飛散しない。その後、図6(c)に示すようにホーン24とアンビル25を解放してもガスケット材の粉末はそのまま注入口部に留まっていると考えられる。
次いで、上記レンズ成型用鋳型を熱風循環式重合炉に入れ、30℃から120℃まで24時間かけて昇温し、さらに120℃にて3時間加熱した。その後、鋳型を重合炉から取り出し、その鋳型からプラスチックレンズを取り出した。得られたプラスチックレンズは無色透明で、屈折率(ne):1.60、アッベ数(νe):41、比重:1.32の光学物性を有していた。また、プラスチックレンズの注入口付近の箇所に脈理がみられず、さらにこの部分に実施例1で見られたわずかな曇りのあるものも見つからなかった。このように本実施例で得られたレンズは実施例1からさらに改良が加えられ、眼鏡用レンズとして良好に使用できるものであった。
以上述べたように本発明によるプラスチックレンズの製造装置によれば、製造工程作業を高速、かつ効率的に行うことができ、また、製造されたプラスチックレンズには脈理がなく、眼鏡用レンズなどに適用して好適である。
本発明に係るプラスチックレンズの製造装置の一実施の形態を示す注入口封止部の正面図である。 ホーン、アンビルおよび押さえ具の要部の斜視図である。 本発明で用いるプラスチックレンズ成形用鋳型の斜視図である。 (a)はキャビティ内にモノマー組成物を注入している様子を示す断面図、(b)はモノマー組成物を注入し終わった状態を示す断面図である。 (a)はアンビルを注入口部に接触させた状態を示す図、(b)は押さえ具により注入口部をアンビルに押し付けた状態を示す図、(c)はホーンにより注入口部をアンビルに押し付けた状態を示す図、(d)は注入口部を超音波溶着している状態を示す図である。 (a)〜(c)は、本発明の他の実施の形態を示す図である。 従来のヒートシールを用いて封止した鋳型の断面図である。
符号の説明
1…製造装置、2…プラスチックレンズ成形用鋳型、3…キャビティー、4…モノマー組成物、5…注入口、10…ガスケット、10A…ガスケット本体、10B…注入口部、11、12…モールド、20…超音波溶着装置、24…ホーン、25…アンビル、40…押さえ具、74a、74b…段差、A…被溶着部分、B…密接部分、A’…溶着シール部、B’…非溶着の密接部。

Claims (5)

  1. 突出した注入口部を有する円筒状のガスケットと、このガスケット内に対向して配設され、ガスケットとともにキャビティーを形成する一対のモールドとで構成された鋳型と、この鋳型の前記キャビティー内に前記注入口部からモノマー組成物を注入した後、前記注入口部を封止する封止手段とを備えたプラスチックレンズの製造装置において、
    前記ガスケットの注入口部を封止する封止手段は超音波溶着装置であることを特徴とするプラスチックレンズの製造装置。
  2. 請求項1記載のプラスチックレンズの製造装置において、
    前記超音波溶着装置は、互いに対向して配設されたホーンとアンビルによって前記注入口部の超音波溶着される部分を押圧挟持し、この被溶着部分よりガスケット本体側に位置する部分の内面どうしを互いに密接させた状態で前記被溶着部分を超音波溶着することを特徴とするプラスチックレンズの製造装置。
  3. 請求項2記載のプラスチックレンズの製造装置において、
    前記超音波溶着装置は、互いに対向して配設され前記注入口部の超音波溶着される部分を押圧挟持するホーンおよびアンビルと、前記ホーンとアンビルのいずれか一方に対向して配設され前記被溶着部分よりガスケット本体側に位置する部分を前記一方に押し付けて内面どうしを密接させる押圧部材とを備えたことを特徴とするプラスチックレンズの製造装置。
  4. 請求項2記載のプラスチックレンズの製造装置において、
    前記超音波溶着装置は、ホーンとアンビルの互いに対向する面の少なくともいずれか一方の面に前記注入口部を押圧挟持したときの両者間の距離が前記注入口部の前記被溶着部分よりガスケット本体側に位置する部分の方が前記被溶着部分よりも広くなるような段差を設けたことを特徴とするプラスチックレンズの製造装置。
  5. 請求項3記載のプラスチックレンズの製造装置において、
    前記注入口部の超音波溶着される部分の押圧挟持と、この押圧挟持される部分よりガスケット本体側に位置する部分の内面どうしの密接を同時または密接を先行させて行なうことを特徴とするプラスチックレンズの製造装置。
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