JP2009082892A - 排ガス処理装置の温度制御方法及び該方法を用いた排ガス処理装置と排ガス処理システム - Google Patents
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Abstract
【課題】電熱ヒーターにかかる負荷の変動を低減させることができ、電熱ヒーターの劣化や断線を遅延させて長期間安定して運転が可能となる排ガス処理装置の温度制御方法を提供する。
【解決手段】電熱ヒーター18を備えた反応器16内で半導体製造装置から排出される排ガスEを炭化水素系の燃料ガス及び空気と共に加熱分解する排ガス処理装置10の温度制御方法であって、排ガスE中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置Mに供給される反応ガスRの流量信号の少なくとも一方に基づいて、反応器16内への燃料ガス及び空気の供給量を調節し、反応器16内が除害対象ガスの熱分解が可能な所定の温度となるように制御することを特徴とする。
【選択図】図4
【解決手段】電熱ヒーター18を備えた反応器16内で半導体製造装置から排出される排ガスEを炭化水素系の燃料ガス及び空気と共に加熱分解する排ガス処理装置10の温度制御方法であって、排ガスE中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置Mに供給される反応ガスRの流量信号の少なくとも一方に基づいて、反応器16内への燃料ガス及び空気の供給量を調節し、反応器16内が除害対象ガスの熱分解が可能な所定の温度となるように制御することを特徴とする。
【選択図】図4
Description
本発明は、半導体製造プロセス等から排出される人体に有害なガスやオゾン層破壊ガスなどを無害なものへと除害処理する排ガス処理装置の温度制御方法及び該方法を用いた排ガス処理装置と排ガス処理システムに関する。
電子デバイスや液晶パネル或いは太陽電池パネルといった半導体製品の製造プロセス(すなわち半導体製造プロセス)では、様々な反応ガスが使用されている。具体的には、デポジット用ガスとしてN2OやSiH4などが使用されており、エッチング用ガスとしてPFCs(パーフルオロコンパウンド)などが使用されている。これら反応ガスの多くは、人体や地球環境に対して悪影響を及ぼすことから、半導体製造装置からの排ガスに含まれる未反応の反応ガス(すなわち除害対象ガス)は、いずれかの手段によって分解或いは除去する必要があり、種々の排ガス処理(除害)方法が実用化されている。その代表例として、吸着式,湿式,電熱酸化分解式,火炎燃焼式などがあるが、各々長所と問題点とを有している。
このうち、電熱ヒーターを用いる電熱酸化分解式の排ガス処理方法は、半導体製造プロセスにおける排ガス処理方法として現在最も普及している分解処理方法であり、除害対象ガスの分解処理に際して処理工程を制御しやすく、除害対象ガスを安全に分解処理することができる。
また、この電熱酸化分解式の排ガス処理方法においては、排ガス処理の効率化を図るために様々な技術開発が進められている。かかる技術の一例として、電熱ヒーターで加熱された反応器内に排ガスと同時に炭化水素系燃料と空気とを導入し、熱源として電熱ヒーターの電熱と炭化水素系燃料の燃焼熱とを併用するハイブリッド方式がある。具体的には、電熱ヒーターを備えた反応器で排ガス中の処理対象ガスを加熱分解するに当たり、反応器で加熱分解する前段階で炭化水素系燃料及び空気を当該排ガスに混入し、電熱ヒーターの発する熱と炭化水素系燃料の燃焼によって生じる熱とで処理対象ガスを加熱分解する技術である(例えば、特許文献1参照。)。
かかる技術によれば、少ないエネルギーコストで、処理対象ガスの熱分解に必要な高温状態を達成することができ、処理対象ガスの除害処理を安全且つ安定して実施できるようになる。
また、反応器に導入された炭化水素系燃料の一部が高温の反応器内で熱分解し、ラジカル状態の水素が発生する。このため、かかる水素によって難分解性の除害対象ガスも確実に除害することができる。例えば、除害対象ガスが上記N2O(亜酸化窒素)であり、炭化水素系燃料としてプロパンガス(C3H8)を使用した場合、反応器内では炭化水素系燃料と同時に添加した空気中のO2も相俟って以下のような除害反応が進行する。
しかしながら、上述のハイブリッド方式を用いた排ガス処理装置では、反応器内に炭化水素系燃料及び空気を導入すると、炭化水素系燃料の燃焼によって反応器内が除害対象ガスの熱分解温度を大幅に超えた極めて高い温度に曝されるようになる。このような場合、従来の排ガス処理装置では、温度センサーで計測した反応器内の温度データに基づいて電熱ヒーターに供給する電力量を頻繁に増減することで、反応器内が除害対象ガスの熱分解に好適な所定の温度範囲となるよう温度制御されている。このため、発熱体として金属線を用いた電熱ヒーターを使用した場合、当該ヒーターに供給される電力量の増減に伴って金属線の温度が急激に変化するようになる。つまり、電熱ヒーターにかかる負荷が短時間で大きく変動するようになる。すると、かかる負荷変動に起因して、発熱体を構成する金属線に金属疲労が起こり或いは金属線が劣化するようになり、その結果、当該金属線が短期間で断線するようになる。したがって、従来のハイブリッド方式の排ガス処理装置では、頻繁に排ガス処理装置の稼働を停止して電熱ヒーターを交換しなければならないと云う問題の生じるおそれがあった。なお、このような問題は発熱体としてSiCを用いた場合にも生じ得る。
それゆえに、本発明の主たる課題は、排ガス中の除害対象ガスの除害処理を安全且つ安定して実施できるのは勿論のこと、電熱ヒーターにかかる負荷の変動を低減させることができ、電熱ヒーターの劣化や断線を遅延させて長期間安定して運転が可能となる排ガス処理装置の温度制御方法と該方法を用いた排ガス処理装置並びに排ガス処理システムを提供することである。
請求項1に記載した発明は、「電熱ヒーター(18)を備えた反応器(16)内で半導体製造装置(M)から排出される排ガス(E)を炭化水素系の燃料ガス及び空気と共に加熱分解する排ガス処理装置(10)の温度制御方法であって、排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号の少なくとも一方に基づいて、反応器(16)内への燃料ガス及び空気の供給量を調節し、反応器(16)内が除害対象ガスの熱分解が可能な所定の温度となるように制御する」ことを特徴とする排ガス処理装置(10)の温度制御方法である。
この発明では、排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号の少なくとも一方に基づいて、反応器(16)内への燃料ガス及び空気の供給量を調節しているので、反応器(16)内には除害対象ガスの熱分解に必要十分な炭化水素系の燃料ガス及び空気を供給することができる。
また、反応器(16)内の温度制御を、主として反応器(16)内への燃料ガス及び空気の供給量を調節して行っているので、電熱ヒーターにかかる負荷が大幅且つ頻繁に変動するのを抑えることができる。
ここで、「排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号」とは、半導体製造装置(M)で消費されずに当該製造装置(M)から排出されるデポジット用ガスやエッチング用ガスなどの反応ガス(R)及び反応ガス(R)の反応によって副生した有害ガスの流量を表わす信号のことで、半導体製造装置(M)の排ガス出口に取り付けられた排ガスセンサー(43)などで検出される。
一方、「半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号」とは、半導体製造装置(M)に与えられ、将来的に除害対象ガスとなり得る反応ガス(R)の流量を表わす信号のことで、半導体製造装置(M)に反応ガス(R)を供給するラインに取り付けられたマスフローメーター(45)などで検出される。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の排ガス処理装置(10)の温度制御方法をより具体的に限定したもので、「電熱ヒーター(18)を備えた反応器(16)内で半導体製造装置(M)から排出される排ガス(E)を炭化水素系の燃料ガス及び空気と共に加熱分解する排ガス処理装置(10A)の温度制御方法であって、排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号の少なくとも一方をモニタリングし、流量信号が検出された際に、反応器(16)への燃料ガス及び空気の供給を開始すると共に電熱ヒーター(18)に供給する電力量を低減させ、流量信号検出後、所定の期間(t1)流量信号が検出されない場合にのみ、反応器(16)への燃料ガス及び空気の供給を停止すると共に電熱ヒーター(18)に供給する電力量を増加させる」ことを特徴とする排ガス処理装置(10A)の温度制御方法である。なお、請求項1に記載の排ガス処理装置(10)の温度制御方法をより具体的に限定した他の方法である請求項3に記載した発明については後述する。
また、請求項4に記載した発明は、請求項2に記載の温度制御方法を実行する排ガス処理装置(10A)であって、「内部に排ガス(E)中の除害対象ガスを熱分解するガス処理空間(A)が形成された反応器(16)と、ガス処理空間(A)を加熱する電熱ヒーター(18)と、ガス処理空間(A)に炭化水素系の燃料ガスを供給する燃料供給手段(26)と、ガス処理空間(A)に外部空気を供給する空気供給手段(28)と、半導体製造装置(M)から排出される排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号の少なくとも一方に基づいて電熱ヒーター(18),燃料供給手段(26)及び空気供給手段(28)の動作を制御する制御手段(20A)とを備え、制御手段(20A)が、前記流量信号が検出された際に、ガス処理空間(A)への燃料ガス及び空気の供給を開始すると共に電熱ヒーター(18)に供給する電力量を低減させ、前記流量信号検出後、所定の期間(t1)流量信号が検出されない場合にのみ、ガス処理空間(A)への燃料ガス及び空気の供給を停止すると共に電熱ヒーター(18)に供給する電力量を増加させる」ことを特徴とする排ガス処理装置(10A)である。
これらの発明では、半導体製造装置(M)から排出される排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号の少なくとも一方が検出された際に、反応器(16)への燃料ガス及び空気の供給を開始すると共に電熱ヒーター(18)に供給する電力量を低減させるので、反応器(16)内[具体的には、ガス処理空間(A)]で燃料ガスが燃焼しても、反応器(16)内の温度が除害対象ガスの熱分解可能温度を超えて不所望に上昇する心配はない。
また、前記流量信号の検出後、所定の期間(t1)流量信号が検出されない場合にのみ、反応器(16)への燃料ガス及び空気の供給を停止すると共に電熱ヒーター(18)に供給する電力量を増加させるので、例えば、排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号が5分間隔で規則的にオンとオフとを繰り返すような場合、前記「所定の期間(t1)」を5分より長い時間に設定しておけば、5分間隔と云った比較的短い周期でオンとオフとを繰り返す流量信号に追従して反応器(16)への燃料ガス及び空気の供給量や電熱ヒーター(18)に供給される電力量が変動するのを抑制することができる。
このように、本発明の排ガス処理装置(10A)の温度制御方法では、電熱ヒーター(18)にかかる負荷の変動を極小化しつつ、反応器(16)内が除害対象ガスの熱分解に好適な所定の温度範囲となるように温度制御することができる。
請求項3に記載した発明は、請求項1に記載の排ガス処理装置(10)の温度制御方法をより具体的に限定したもので、「電熱ヒーター(18)を備えた反応器(16)内で半導体製造装置(M)から排出される排ガス(E)を炭化水素系の燃料ガス及び空気と共に加熱分解する排ガス処理装置(10B)の温度制御方法であって、排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号の少なくとも一方をモニタリングし、検出された流量信号と同期するように、反応器(16)に燃料ガス及び空気を供給すると共に、さらに当該流量信号と同期するように、反応器(16)に冷却用の不活性ガスを供給する」ことを特徴とする排ガス処理装置(10B)の温度制御方法である。
また、請求項5に記載した発明は、請求項3に記載の温度制御方法を実行する排ガス処理装置(10B)であって、「内部に排ガス(E)中の除害対象ガスを熱分解するガス処理空間(A)が形成された反応器(16)と、ガス処理空間(A)を加熱する電熱ヒーター(18)と、ガス処理空間(A)に炭化水素系の燃料ガスを供給する燃料供給手段(26)と、ガス処理空間(A)に外部空気を供給する空気供給手段(28)と、ガス処理空間(A)に冷却用の不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段(30)と、半導体製造装置(M)から排出される排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号の少なくとも一方に基づいて燃料供給手段(26),空気供給手段(28)及び不活性ガス供給手段(30)の動作を制御する制御手段(20B)とを備え、制御手段(20B)が、前記流量信号と同期するように、ガス処理空間(A)に燃料ガス,空気及び不活性ガスを供給する」ことを特徴とする排ガス処理装置(10B)である。
これらの発明では、排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号の少なくとも一方と同期するように、反応器(16)内[具体的には、ガス処理空間(A)]へ燃料ガス及び空気を供給しているので、例えばN2Oと云った除害対象ガスの熱分解に必要な量のH2やO2を過不足なく反応器(16)内に供給することができる。
また、反応器(16)内に燃料ガス及び空気が供給された場合、かかる供給に伴って反応器(16)内の温度が急上昇するようになるが、本発明では、流量信号と同期するように、反応器(16)に冷却用の不活性ガスを供給するようにしているので、反応器(16)内への燃料ガス及び空気の供給に伴う温度上昇を抑制することができると共に、電熱ヒーター(18)の負荷を変動させる必要がなく、常に一定の負荷で電熱ヒーター(18)を作動させることができる。
請求項6に記載した発明は、「請求項4又は5に記載の排ガス処理装置(10)と、排ガス処理装置(10)に導入する排ガス(E)を液洗する湿式の入口スクラバー(12)又は排ガス処理装置(10)で熱分解した後の処理済排ガス(G)を液洗する湿式の出口スクラバー(14)の少なくとも何れか一方とで構成された」ことを特徴とする排ガス処理システム(X)である。
この発明では、上述した各発明の排ガス処理装置(10)に、入口スクラバー(12)又は出口スクラバー(14)の少なくとも一方を加えて排ガス処理システム(X)を構成するようにしているので、例えば排ガス処理装置(10)に導入する排ガス(E)を予め液洗して粉塵や水溶性成分を除去する入口スクラバー(12)を加えた場合には、排ガス通流経路の目詰まり等を防止し、より安定して排ガス処理装置(10)を連続運転できる。
一方、排ガス処理装置(10)で熱分解した後の処理済排ガス(G)を液洗して粉塵や水溶性成分を除去する出口スクラバー(14)を加えた場合には、熱分解後の処理済排ガス(G)の清浄度を向上させることができる。
なお、入口スクラバー(12)及び出口スクラバー(14)の両方を加えた場合には、両スクラバー(12)(14)の設置効果が発揮されることになる。
本発明によれば、排ガス中の除害対象ガスの除害処理を安全且つ安定して実施できるのは勿論のこと、電熱ヒーターにかかる負荷の変動を低減させることができ、電熱ヒーターの劣化や断線を遅延させて長期間安定して運転が可能となる排ガス処理装置の温度制御方法と該方法を用いた排ガス処理装置並びに排ガス処理システムを提供することができる。
以下、本発明を図示実施例に従って詳述する。図1は、本発明の排ガス処理装置(10A)を用いた排ガス処理システム(X)の一実施例[第1実施例]を示す概略図である。この図が示すように、本実施例の排ガス処理システム(X)は、大略、排ガス処理装置(10A),入口スクラバー(12)および出口スクラバー(14)で構成されている。
排ガス処理装置(10A)は、半導体製造プロセスから排出される排ガス(E)中の有害な除害対象ガスを火炎燃焼式と電熱酸化分解式とを併用して熱分解する装置であり、反応器(16),電熱ヒーター(18)及び制御手段(20A)を備える。
反応器(16)は、少なくともその内面がキャスタブルなどの耐火性材料で構成され、内部にガス処理空間(A)が形成された密閉筒状の本体(16a)を有する(図1及び2参照)。この反応器(16)は、図1に示すように、使用に際し、本体(16a)の平面部分が天地を向くように立設される。
本体(16a)の底面には、反応器(16)内に排ガス(E)を導入するためのガス導入口(16b)が開設されており、さらに本体(16a)底面のガス導入口(16b)に近接する位置には、本体(16a)内(すなわち、ガス処理空間(A)内)で処理対象ガスを熱分解した結果生じる処理済排ガス(G)を排出するためのガス排出口(16c)が開設されている。
ここで、ガス導入口(16b)には、ガス処理空間(A)内に導入する排ガス(E)を熱交換させながらガス処理空間(A)の上部へと導く内筒部材(16d)が取り付けられており、この内筒部材(16d)の一端(図1及び2に示す例では下端)に排ガス(E)の排出源に連通するガス導入配管(22)の下流側端部が接続されている。又、ガス排出口(16b)には、反応器(16)内から排ガス(G)を排出するためのガス排出配管(24)が接続されている。そして、上記ガス導入配管(22)には、図2に示すように、燃料供給手段(26) 及び空気供給手段(28)が接続されている。
燃料供給手段(26)は、ガス処理空間(A)にメタンやプロパンなどの炭化水素系の燃料ガスを供給するためのものであり、燃料タンクなどの燃料ガス供給源(図示せず)とガス導入配管(22)とを連通する燃料ガス供給配管(26a)と、マスフローコントローラー等からなり、燃料ガス供給配管(26a)を介してガス導入配管(22)に導入する燃料ガスの量を調整する燃料ガス流量調整手段(26b)とで構成されている。
空気供給手段(28)は、ガス処理空間(A)に上記燃料ガスの燃焼に必要な量の外部空気を供給するためのものであり、空気供給ポンプなどの空気供給源(図示せず)とガス導入配管(22)とを連通する空気供給配管(28a)と、マスフローコントローラー等からなり、空気供給配管(28a)を介してガス導入配管(22)に導入する空気の量を調整する空気流量調整手段(28b)とで構成されている。
以上のように構成された燃料供給手段(26)及び空気供給手段(28)のうち、燃料ガス流量調整手段(26b)及び空気流量調整手段(28b)のそれぞれは、配線(L1)及び(L2)を介して後述する制御手段(20A)に接続されている。
電熱ヒーター(18)は、ハステロイ(ヘインズ社登録商標)やステンレスなどの金属製或いはセラミック製の二重管の管壁間にニクロム線やカンタル(サンドビックAB社登録商標)線などの金属線を螺旋状に巻回した発熱抵抗体を配設すると共に、当該二重管の管壁間にセラミック粉末を充填した電熱式のヒーターで、反応器(16)内部のガス処理空間(A)を加熱する熱源であると同時に、後述する燃料ガス供給装置(20)より供給される燃料ガス(F)に着火させるための着火源である。
なお、この電熱ヒーター(18)を構成する発熱体としては、少なくともメタンやプロパンといった燃料の着火点(例えば、燃料がメタンの場合650℃前後)以上の温度を出力できるものであればよく、上述したものの他に、例えばSiCなどの発熱体を棒状に成形したものなどであってもよい。
また、この電熱ヒーター(18)は、反応器(16)の本体(16a)の天井面から垂設されると共に、リード線(32)を介して電源装置(34)が接続されている。
ここで、本実施例の排ガス処理装置(10A)では、ガス処理空間(A)の温度を測定する熱電対などで構成された温度センサー(36)が取り付けられると共に、この温度センサー(36)で測定した温度データが信号線(S1)を介して後述する制御手段(20A)へと与えられるようになっている。又、電熱ヒーター(18)に電力を供給する電源装置(34)は、配線(L4)を介して後述する制御手段(20A)に接続されている。
制御手段(20A)は、燃料ガス流量調整手段(26b),空気流量調整手段(28b)及び電源装置(34)が所定の動作を行なうよう、シーケンス制御するためのものであり、図3に示すように、大略、CPU[Central Processing Unit;中央処理装置](38),メモリ(40),入力装置(42)および表示装置(44)などで構成されている。
CPU(38)は、メモリ(40)に記憶されたプログラムを実行する装置である。このCPU(38)には、入力側に信号線(S1)を介して温度センサー(36)で測定した温度データが入力され、信号線(S2a)又は(S2b)を介して排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号の少なくとも一方が入力されるようになっている。
ここで、「排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号」とは、半導体製造装置(M)で消費されずに当該製造装置(M)から排出されるデポジット用ガスやエッチング用ガスなどの反応ガス(R)及び反応ガス(R)の反応によって副生した有害ガスの流量を表わす信号のことで、半導体製造装置(M)の排ガス出口に取り付けられた排ガスセンサー(43)などで検出され、信号線(S2a)を介してCPU(38)に与えられる(図1参照)。
一方、「半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号」とは、半導体製造装置(M)に与えられ、将来的に除害対象ガスとなり得る反応ガス(R)の流量を表わす信号のことで、半導体製造装置(M)に反応ガス(R)を供給するラインに取り付けられたマスフローメーター(45)などで検出され、信号線(S2b)を介してCPU(38)に与えられる(図1参照)。
なお、流量信号として「半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号」を用いた場合、排ガス処理装置(10A)で除害すべき除害対象ガスの存在を確実に検知でき、除害対象ガスの熱分解に必要な量の燃料ガス及び空気を確実にガス処理空間(A)へと供給することができると共に、反応ガス(R)の流量信号に基づいて排ガス(E)中の処理対象ガスの存在割合を算出すると云ったような演算処理が不要となり、制御手段(20A)を簡素化することができる。
また、CPU(38)の出力側には、配線(L1),(L2)及び(L4)を介して燃料ガス流量調整手段(26b),空気流量調整手段(28b)及び電源装置(34)が接続されている。
そして、このCPU(46)がガス処理空間(A)の温度データ,除害対象ガス或いは反応ガス(R)の流量信号及び入力装置(50)からの入力データを受け取り、演算・加工した上で、燃料ガス流量調整手段(26b),空気流量調整手段(28b)及び電源装置(34)に所定の制御信号を出力するようになっている。
なお、本実施例の制御手段(20)では、このCPU(38)に時刻装置(38a)が内蔵されており、CPU(38)に入力された各種データやCPU(38)より出力された各装置に対する制御信号のデータが時刻装置(38a)の時刻データと関連づけられてデータベースサーバ(46)に記憶されるようになっている。このため、制御手段(20A)による排ガス処理装置(10A)の制御状況を過去に遡って検証することができ、排ガス処理装置(10A)の管理に資することができる。
メモリ(40)は、主としてCPU(38)に実行させるプログラムが記憶された装置である。本実施例では、このメモリ(40)に主として以下のような2つのプログラムが記憶されている。すなわち、第1のプログラムは、半導体製造装置(M)から排出される排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号の少なくとも一方をモニタリングし、流量信号が検出された際に、ガス処理空間(A)への燃料ガス及び空気の供給を開始すると共に電熱ヒーター(18)に供給する電力量を低減させるプログラムである。また、第2のプログラムは、前記流量信号検出後、所定の期間(t1)流量信号が検出されない場合にのみ、反応器(16)への燃料ガス及び空気の供給を停止すると共に電熱ヒーター(18)に供給する電力量を増加させるプログラムである。本実施例の排ガス処理装置(10A)では、制御手段(20)がこれらのプログラムを同時に実行するように構成されている。
入力装置(42)は、CPU(38)に指示を与えたり、メモリ(40)に記憶されているプログラムを変更或いは修正等するための装置であり、具体的にはキーボードやタッチパネルなどがこの入力装置(42)に該当する。
表示装置(44)は、ガス処理空間(A)の温度データ,処理対象ガスの流量信号及びCPU(38)による各装置の制御信号などを表示するディスプレイ装置である。かかる表示装置(44)を設けることによって、排ガス処理装置(10A)の稼働状況をリアルタイムで確認することができ、又、データベースサーバ(46)に記憶されたデータを呼び出せば、過去の稼働状況についても確認することができる。
入口スクラバー(12)は、排ガス処理装置(10A)に導入する排ガス(E)に含まれる粉塵や水溶性成分などを予め除去(液洗)するためのものであり、図1に示すように、下流側にガス導入配管(22)が接続された直管型のスクラバー本体(12a)と、前記スクラバー本体(12a)内部の頂部近傍に設置され、水などの薬液(W)を噴霧状にして撒布するスプレーノズル(12b)とで構成されている。この入口スクラバー(12)は、排ガスダクト(48)を介して半導体製造装置(M)などの処理対象ガス発生源に連通している。
また、入口スクラバー(12)は、薬液タンク(50)上に立設されており(図1参照)或いは(図示しないが)薬液タンク(50)と別個に配設され両者が配管で接続され、排液が薬液タンク(50)に送り込まれるようになっている。そして、スプレーノズル(12b)と薬液タンク(50)との間には循環ポンプ(52)が設置されており、薬液タンク(50)内の貯留薬液をスプレーノズル(12b)に揚上するようになっている。なお、この循環ポンプ(52)で揚上された薬液(W)は、ガス排出配管(24)に取り付けられたスプレーノズル(54)にも供給されるようになっている。
出口スクラバー(14)は、排ガス(E)を排ガス処理装置(10A)で熱分解した際に副生する処理済排ガス(G)中の粉塵や水溶性成分を最終的に除去(液洗)すると共に、当該処理済排ガス(G)を冷却するためのものであり、直管型のスクラバー本体(14a)と、処理済排ガス(G)の通流方向に対向するように上方から水などの薬液(W)を噴霧する下向きのスプレーノズル(14b)とで構成されている。
この出口スクラバー(14)は、水などの薬液(W)を貯留する薬液タンク(50)上に立設されており(図1参照)或いは(図示しないが)薬液タンク(50)と別個に配設され両者が配管で接続され、スプレーノズル(14c)から噴霧された薬液(W)が薬液タンク(50)に送り込まれるようになっている。なお、スプレーノズル(14b)には、薬液タンク(50)内の循環薬液ではなく、新水などの新しい薬液(W)が供給されている。
そして出口スクラバー(14)の頂部出口には処理済排ガス(G)を大気中へ放出する排気ファン(56)が取り付けられている。
薬液タンク(50)は、上述したように入口スクラバー(12)に供給する薬液(W)を貯留し、また、入口スクラバー(12)および出口スクラバー(14)から排出される薬液(W)を回収するタンクである。この薬液タンク(50)には、出口スクラバー(14)のスプレーノズル(14c)にて噴霧された新しい薬液(W)が常に供給されているので、所定量以上の薬液(W)が貯留しないように余剰薬液をオーバーフローさせて排水処理装置(図示せず)へ送るようにしている。
なお、本実施例のガス処理システム(X)におけるガス処理装置(10A)を除く他の部分には、処理対象ガス(E)に含まれる、或いは、当該ガス(E)の分解によって生じるフッ酸などの腐食性成分による腐蝕から各部を守るため、塩化ビニル,ポリエチレン,不飽和ポリエステル樹脂およびフッ素樹脂などによる耐蝕性のライニングやコーティングが施されている。
次に、以上のように構成された排ガス処理システム(X)および排ガス処理装置(10A)の作用について、図4に示す動作図を参照しつつ説明する。
まず、始めに排ガス処理システム(X)の運転スイッチ(図示せず)をオンにして電熱ヒーター(18)を作動させ、反応器(16)内の加熱を開始する。又、これと同時に半導体製造装置(M)から排出される排ガス(E)中における除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号の少なくとも一方のモニタリングを開始する。
続いて、ガス処理空間(A)の温度が、排ガス(E)中の除害対象ガスの熱分解が可能な所定の温度に達すると、排気ファン(56)を作動させて排ガス処理システム(X)への排ガス(E)の導入を開始させる。すると、排ガス(E)は、まず始めに入口スクラバー(12)に導入され、この入口スクラバー(12)内において水などの薬液で洗浄され、粉塵や水溶性成分などが除去される。
ここで、本実施例では、排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号の少なくとも一方が検出されると、ガス処理空間(A)への燃料ガス及び空気の供給が開始されると共に電熱ヒーター(18)に供給する電力量が低減される。
続いて、入口スクラバー(12)で薬洗した排ガス(E)は、ガス導入配管(22)および内筒部材(16d)を通ってガス処理空間(A)の上部に導かれ、電熱ヒーター(18)の電熱および燃料ガスの燃焼熱により排ガス(E)中の除害対象ガスが熱分解され、処理済排ガス(G)となる。なお、ガス処理空間(A)には、導入された燃料ガスの一部が高温のガス処理空間(A)内で熱分解し、ラジカル状態の水素が発生する。このため、かかる水素によって難分解性の除害対象ガスも確実に熱分解させることができる。
そして、ガス処理空間(A)で熱分解が完了した処理済排ガス(G)は、ガス排出口(16c)及びガス排出配管(24)を通って出口スクラバー(14)に導入され、当該出口スクラバー(14)にて水などの薬液で洗浄され、粉塵や水溶性成分などが除去されると共に、冷却された後、排気ファン(56)を介して系外(大気中)に放出される。
本実施例の排ガス処理装置(10A)によれば、半導体製造装置(M)から排出される排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号の少なくとも一方が検出された際に、反応器(16)への燃料ガス及び空気の供給を開始すると共に電熱ヒーター(18)に供給する電力量が減されるので、ガス処理空間(A)で燃料ガスが燃焼しても、ガス処理空間(A)の温度が除害対象ガスの熱分解可能温度を超えて不所望に上昇する心配はない。
また、前記流量信号の検出後、所定の期間(t1)流量信号が検出されない場合にのみ、反応器(16)への燃料ガス及び空気の供給を停止すると共に電熱ヒーター(18)に供給する電力量が増加され、当該電熱ヒーター(18)の電熱によりガス処理空間(A)が除害対象ガスの熱分解可能温度に保持されるようになる。このため、例えば、排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号が5分間隔で規則的にオンとオフとを繰り返すような場合、前記「所定の期間(t1)」を5分より長い時間に設定しておけば、5分間隔と云った比較的短い周期でオンとオフとを繰り返す流量信号に追従して反応器(16)への燃料ガス及び空気の供給量や電熱ヒーター(18)に供給される電力量が変動するのを抑制することができる。
したがって、電熱ヒーター(18)にかかる負荷の変動を極小化しつつ、反応器(16)内が除害対象ガスの熱分解に好適な所定の温度範囲となるように排ガス処理装置(10A)の温度制御をすることができる。
また、本実施例のガス処理システム(X)によれば、入口スクラバー(12)及び出口スクラバー(14)を備えているので、ガス処理装置(10)に導入する排ガス(E)を予め液洗して排ガス通流経路の目詰まり等を防止し、より安定して排ガス処理装置(10A)を連続運転できると共に、熱分解後の処理済排ガス(G)の清浄度を向上させることができる。
なお、上述のガス処理システム(X)では、入口スクラバー(12)と出口スクラバー(14)の両方を備える場合を示したが、処理する排ガス(E)の種類によってはこれらの何れか一方を備えるようにしてもよい。
また、上述の実施例では、排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号を検出する排ガスセンサー(43)と、半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号を検出するマスフローメーター(45)とを同時に備える場合を示したが、これらは何れか一方のみであってもよい。但し、排ガスセンサー(43)又はマスフローメーター(45)の何れか一方のみを備えた場合には、排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号の何れか一方のみが検出されることになる。
次に、図5および6に示す第2実施例のガス処理装置(10B)について説明する。上述した第1実施例のガス処理装置(10A)と異なる点は、ガス処理空間(A)にN2やArと云った冷却用の不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段(30)が設けられている点、及び制御手段(20B)が燃料供給手段(26),空気供給手段(28)及び不活性ガス供給手段(30)の動作を制御する点である。なお、これら以外の部分は前記第1実施例と同じであるので、前記第1実施例の説明を援用して本実施例の説明に代える。
不活性ガス供給手段(30)は、ガス処理空間(A)にN2やArと云った冷却用の不活性ガスを供給するためのものであり、不活性ガスタンクなどの不活性ガス供給源(図示せず)とガス導入配管(22)とを連通する不活性ガス供給配管(30a)と、マスフローコントローラー等からなり、不活性ガス供給配管(30a)を介してガス導入配管(22)に導入する不活性ガスの量を調整する不活性ガス流量調整手段(30b)とで構成されている。
ここで、この不活性ガス供給手段(30)のうち、不活性ガス流量調整手段(30b)は、配線(L3)を介して後述する制御手段(20)に接続されている。
制御手段(20B)は、燃料ガス流量調整手段(26b),空気流量調整手段(28b)及び不活性ガス流量調整手段(30b)が所定の動作を行なうよう、シーケンス制御するためのものであり、図6に示すように、大略、CPU(38),メモリ(40),入力装置(42)および表示装置(44)などで構成されている。
CPU(38)は、メモリ(40)に記憶されたプログラムを実行する装置である。このCPU(38)には、入力側に信号線(S1)を介して温度センサー(36)で測定した温度データが入力され、信号線(S2a)及び(S2b)を介して排ガス(E)に含まれる除害対象ガスの流量信号及び半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号が入力されるようになっている。又、CPU(38)の出力側には、配線(L1),(L2)及び(L3)を介して燃料ガス流量調整手段(26b),空気流量調整手段(28b)及び不活性ガス流量調整手段(30b)が接続されている。そして、このCPU(46)が、排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号の少なくとも一方と、入力装置(50)からの入力データ等とを受け取り、演算・加工した上で、燃料ガス流量調整手段(26b),空気流量調整手段(28b)及び不活性ガス流量調整手段(30b)に所定の制御信号を出力するようになっている。
メモリ(40)は、主としてCPU(38)に実行させるプログラムが記憶された装置である。本実施例では、このメモリ(40)に主として以下のようなプログラムが記憶されている。すなわち、半導体製造装置(M)から排出される排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号の少なくとも一方をモニタリングし、流量信号と同期するように、ガス処理空間(A)に所定量の燃料ガス,空気及び不活性ガスを供給するプログラムである。
次に、以上のように構成された排ガス処理装置(10B)の作用について、図7に示す動作図を参照しつつ説明する。
まず、始めに排ガス処理装置(10B)の運転スイッチ(図示せず)をオンにして電熱ヒーター(18)を作動させ、反応器(16)内の加熱を開始する。又、これと同時に半導体製造装置(M)から排出される排ガス(E)中における除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号の少なくとも一方のモニタリングを開始する。
続いて、ガス処理空間(A)の温度が、排ガス(E)中の除害対象ガスの熱分解が可能な所定の温度に達すると、排気ファン(56)を作動させて排ガス処理装置(10B)への排ガス(E)の導入を開始させる。
ここで、本実施例では、排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号の少なくとも一方が検出されると、この流量信号と同期するように、ガス処理空間(A)に所定量の燃料ガス,空気及び不活性ガスが供給される。したがって、ガス導入配管(22)および内筒部材(16d)を通ってガス処理空間(A)の上部に導かれた排ガス(E)は、電熱ヒーター(18)の電熱および燃料ガスの燃焼熱により除害対象ガスが熱分解され、処理済排ガス(G)となる。又、ガス処理空間(A)には、導入された燃料ガスの一部が高温のガス処理空間(A)内で熱分解し、ラジカル状態の水素が発生する。このため、かかる水素によって難分解性の除害対象ガスも確実に熱分解させることができる。
そして、ガス処理空間(A)で熱分解が完了した処理済排ガス(G)は、ガス排出配管(24)を通って系外(大気中)に放出される。
本実施例の排ガス処理装置(10B)によれば、半導体製造装置(M)から排出される排ガス(E)中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置(M)に供給される反応ガス(R)の流量信号の少なくとも一方と同期するように、ガス処理空間(A)へ所定量の燃料ガス及び空気を供給しているので、例えばN2Oと云った除害対象ガスの熱分解に必要な量のH2やO2を過不足なく反応器(16)内に供給することができる。
また、ガス処理空間(A)に燃料ガス及び空気が供給された場合、かかる供給に伴ってガス処理空間(A)の温度が急上昇するようになるが、本実施例の排ガス処理装置(10B)では、流量信号と同期するように、反応器(16)に冷却用の不活性ガスを供給するようにしているので、反応器(16)内への燃料ガス及び空気の供給に伴う温度上昇を抑制することができると共に、電熱ヒーター(18)の負荷を変動させる必要がなく、常に一定の負荷で電熱ヒーター(18)を作動させることができる。
本発明の排ガス処理装置および排ガス処理システムは、様々な種類の排ガスを確実に熱分解できるのはもとより、処理効率が極めて高く、しかも安全性にも非常に優れたものであることから、半導体製造プロセスから排出される排ガスの熱分解処理のみならず、化学プラントにおける排ガス処理や多種多様な製造業における揮発性有機化合物(VOC)の分解処理などでも利用することができる。つまり、あらゆる工業プロセスから排出される処理対象ガスの分解処理に利用することができる。
(10)…ガス処理装置
(12)…入口スクラバー
(14)…出口スクラバー
(16)…反応器
(18)…電熱ヒーター
(20A),(20B)…制御手段
(22)…ガス導入配管
(24)…ガス排出配管
(26)…燃料供給手段
(26a)…燃料ガス供給配管
(26b)…燃料ガス流量調整手段
(28)…空気供給手段
(28a)…空気供給配管
(28b)…空気流量調整手段
(30)…不活性ガス供給手段
(30a)…不活性ガス供給配管
(30b)…不活性ガス流量調整手段
(32)…リード線
(34)…電源装置
(36)…温度センサー
(38)…CPU
(40)…メモリ
(42)…入力装置
(44)…表示装置
(45)…マスフローメーター
(46)…データベースサーバ
(48)…排ガスダクト
(50)…薬液タンク
(52)…循環ポンプ
(54)…スプレーノズル
(56)…排気ファン
(X)…ガス処理システム
(M)…半導体製造装置
(S1),(S2)…信号線
(L1)〜(L4)…配線
(E)…排ガス
(G)…処理済排ガス
(R)…反応ガス
(12)…入口スクラバー
(14)…出口スクラバー
(16)…反応器
(18)…電熱ヒーター
(20A),(20B)…制御手段
(22)…ガス導入配管
(24)…ガス排出配管
(26)…燃料供給手段
(26a)…燃料ガス供給配管
(26b)…燃料ガス流量調整手段
(28)…空気供給手段
(28a)…空気供給配管
(28b)…空気流量調整手段
(30)…不活性ガス供給手段
(30a)…不活性ガス供給配管
(30b)…不活性ガス流量調整手段
(32)…リード線
(34)…電源装置
(36)…温度センサー
(38)…CPU
(40)…メモリ
(42)…入力装置
(44)…表示装置
(45)…マスフローメーター
(46)…データベースサーバ
(48)…排ガスダクト
(50)…薬液タンク
(52)…循環ポンプ
(54)…スプレーノズル
(56)…排気ファン
(X)…ガス処理システム
(M)…半導体製造装置
(S1),(S2)…信号線
(L1)〜(L4)…配線
(E)…排ガス
(G)…処理済排ガス
(R)…反応ガス
Claims (6)
- 電熱ヒーターを備えた反応器内で半導体製造装置から排出される排ガスを炭化水素系の燃料ガス及び空気と共に加熱分解する排ガス処理装置の温度制御方法であって、
排ガス中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置に供給される反応ガスの流量信号の少なくとも一方に基づいて、前記反応器内への前記燃料ガス及び空気の供給量を調節し、前記反応器内が除害対象ガスの熱分解が可能な所定の温度となるように制御することを特徴とする排ガス処理装置の温度制御方法。 - 電熱ヒーターを備えた反応器内で半導体製造装置から排出される排ガスを炭化水素系の燃料ガス及び空気と共に加熱分解する排ガス処理装置の温度制御方法であって、
排ガス中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置に供給される反応ガスの流量信号の少なくとも一方をモニタリングし、
前記流量信号が検出された際に、前記反応器への前記燃料ガス及び空気の供給を開始すると共に前記電熱ヒーターに供給する電力量を低減させ、
前記流量信号検出後、所定の期間流量信号が検出されない場合にのみ、前記反応器への前記燃料ガス及び空気の供給を停止すると共に前記電熱ヒーターに供給する電力量を増加させることを特徴とする排ガス処理装置の温度制御方法。 - 電熱ヒーターを備えた反応器内で半導体製造装置から排出される排ガスを炭化水素系の燃料ガス及び空気と共に加熱分解する排ガス処理装置の温度制御方法であって、
排ガス中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置に供給される反応ガスの流量信号の少なくとも一方をモニタリングし、
検出された前記流量信号と同期するように、前記反応器に前記燃料ガス及び空気を供給すると共に、
さらに当該流量信号と同期するように、前記反応器に冷却用の不活性ガスを供給することを特徴とする排ガス処理装置の温度制御方法。 - 内部に排ガス中の除害対象ガスを熱分解するガス処理空間が形成された反応器と、前記ガス処理空間を加熱する電熱ヒーターと、前記ガス処理空間に炭化水素系の燃料ガスを供給する燃料供給手段と、前記ガス処理空間に外部空気を供給する空気供給手段と、半導体製造装置から排出される排ガス中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置に供給される反応ガスの流量信号の少なくとも一方に基づいて前記電熱ヒーター,前記燃料供給手段及び前記空気供給手段の動作を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段が、前記流量信号が検出された際に、前記ガス処理空間への燃料ガス及び空気の供給を開始すると共に前記電熱ヒーターに供給する電力量を低減させ、前記流量信号検出後、所定の期間流量信号が検出されない場合にのみ、前記ガス処理空間への燃料ガス及び空気の供給を停止すると共に前記電熱ヒーターに供給する電力量を増加させることを特徴とする排ガス処理装置。 - 内部に排ガス中の除害対象ガスを熱分解するガス処理空間が形成された反応器と、前記ガス処理空間を加熱する電熱ヒーターと、前記ガス処理空間に炭化水素系の燃料ガスを供給する燃料供給手段と、前記ガス処理空間に外部空気を供給する空気供給手段と、前記ガス処理空間に冷却用の不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段と、半導体製造装置から排出される排ガス中の除害対象ガスの流量信号又は半導体製造装置に供給される反応ガスの流量信号の少なくとも一方に基づいて前記燃料供給手段,前記空気供給手段及び前記不活性ガス供給手段の動作を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段が、前記流量信号と同期するように、前記ガス処理空間に燃料ガス,空気及び不活性ガスを供給することを特徴とする排ガス処理装置。 - 請求項4又は5に記載の排ガス処理装置と、
前記排ガス処理装置に導入する排ガスを液洗する湿式の入口スクラバー又は前記排ガス処理装置で熱分解した後の処理済排ガスを液洗する湿式の出口スクラバーの少なくとも何れか一方とで構成されたことを特徴とする排ガス処理システム。
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