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JP2009073492A - 自動二輪車の転倒検出装置および自動二輪車 - Google Patents

自動二輪車の転倒検出装置および自動二輪車 Download PDF

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Abstract

【課題】検出時間を長くすることなく、しかも、車体振動等による転倒検出角度の変動をなくして誤判定することなく転倒検出が可能な自動二輪車の転倒検出装置を提供する。
【解決手段】エンジンを駆動制御するECU及び車体の傾斜角度に基づいて転倒を検出する転倒センサーを備える。前記転倒センサーを加速度センサーにより構成し、該加速度センサーを前記ECU内に組込む。前記加速度センサーは、車体が非傾斜状態のときに地面に垂直な方向である第1の検出方向の加速度を検出する縦置きセンサーと、前記第1の検出方向と直角な方向である第2の検出方向の加速度を検出する横置きセンサーとを有する。(横置きセンサー出力)÷(縦置きセンサー出力)に基づいて転倒を判断する。
【選択図】 図11

Description

本発明は、加速度センサーを用いた自動二輪車の転倒検出装置およびこの転倒検出装置を搭載した自動二輪車に関する。
自動二輪車において、燃料噴射制御や点火時期制御のためにECU(エンジン制御ユニット)が備わる。このECUは、エンジン回転数検出データやスロットル開度検出データあるいは吸気管負圧検出データ等に基づいて、予め設定したマップや制御プログラムにしたがってインジェクタや点火コイルを駆動制御する。このようなECUは、マップやプログラムが格納された記憶回路やデータ処理を行う演算回路等の半導体素子をプリント基板上に搭載したものであり、1部品としてユニット化された状態で車体に取付けられる。
また、自動二輪車において転倒センサーが設けられ、車体の転倒を検出すると燃料噴射や点火を停止するとともに、燃料供給用の電磁ポンプを停止してエンジン停止時の燃料の流出を防止する。
従来の転倒センサーは、車体の傾斜に応じて移動する重りや振り子を用い、転倒時にこの重りや振り子がスイッチをオンさせる機械的構造である。このような機械的構造の転倒センサーは、ECUとは別体として車体に取付けられ、転倒検出データをECUに送ってこの検出データに基づいてECUが転倒時のエンジン制御を行っていた。
しかしながら、従来の機械的転倒センサーは検出精度や信頼性の点で不充分な面があった。したがって、これを改良して精度や信頼性を高めるために、スイッチの接点不良防止および重りや振り子の円滑な動作を図る必要があった。このために、メッキ処理を行ったり段差なし構造とするなどの必要があり、製造プロセスが面倒になりコスト増加の要因となっていた。またサイズや重量も大きく、他の部品に対するスペース的な制約となっていた。
また、従来のECUの取付構造では、ECUと転倒センサーが別体であるのでエンジン周りのスペースが狭い小型スクータ等に用いる場合はスペース上の制約が大きかった。また、従来の車体の転倒センサーは機械式の振り子構造のものを用いているので大型で構成が複雑になり、また、車体左右方向に振り子がスムーズに動けるように対地垂直でかつ車体前後方向に垂直に設置しなければならず、レイアウトが複雑になり取付けも面倒であった。
一方、半導体素子による加速度センサーが知られている。この加速度センサーは、電極間にキャパシタを形成し、加速度に応じて容量を変化させて加速度の大きさを検出するものである。この加速度センサーは、電極以外に大きな機械的構成をもたず、半導体素子の形態で高精度の加速度検出データを得ることができる。したがって、この加速度センサーで重力加速度を検出すれば、センサーの傾きを検出できる。
そこで、この加速度センサーを転倒センサーとして用い、これをECU内に一体的に組込むことが、本発明者により提案され公知である(例えば、特許文献1参照)。
加速度センサーは、加速度を検出する検出方向を有し、1軸センサーは1方向について加速度を検出し、2軸センサーは直交する2方向についての加速度をそれぞれ検出し、3軸センサーは直交する3方向について加速度をそれぞれ検出する。この加速度センサーを転倒センサーとしてECU内に組込み、このECUを車体に取付ける場合、1軸についての加速度センサーの検出方向が、車体に対し上下方向(地面に垂直方向)になる縦置き配置又は車体に対し左右方向(車幅方向)になる横置き配置のいずれかにすることにより、車体が傾斜したときの加速度を効率よく検出できると考えられる。
このような加速度センサーは、車体の傾斜に応じ、検出電圧としてアナログ電圧を出力する。このアナログ検出電圧がA/D変換され、デジタル信号としてECU内の制御回路(CPU)に入力され転倒状態が判別される。
特開2002−71703号公報
しかしながら、加速度センサーを転倒センサーとして用い、その検出信号から転倒を判定する場合、検出信号をA/D変換して転倒判断するときに、A/D変換幅に基づく変換誤差が生じる。したがって、この変換誤差により転倒角度の検出誤差が生じて、誤判定するおそれがあった。
本発明は上記従来技術を考慮したものであって、加速度センサーからなる転倒センサーのA/D変換誤差を低減し、転倒判断の精度を高めた自動二輪車の転倒検出装置およびこの転倒検出装置を備えた自動二輪車を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明に係る自動二輪車の転倒検出装置は、エンジンを駆動制御するECU及び車体の傾斜角度に基づいて転倒を検出する転倒センサーを備え、前記転倒センサーを加速度センサーにより構成し、該加速度センサーを前記ECU内に組込んだ自動二輪車の転倒検出装置において、前記加速度センサーは、車体が非傾斜状態のときに地面に垂直な方向である第1の検出方向の加速度を検出する縦置きセンサーと、前記第1の検出方向と直角な方向である第2の検出方向の加速度を検出する横置きセンサーとを有し、(横置きセンサー出力)÷(縦置きセンサー出力)に基づいて転倒を判断するものである。
請求項2に記載した自動二輪車の転倒検出装置は、請求項1に記載した発明において、車体が転倒しているとみなす転倒角度をαとし、前記(横置きセンサー出力)÷(縦置きセンサー出力)の値が1g・tan(−α)より小さい場合と、前記値が1g・tanαより大きい場合とのうち、いずれか一方が所定時間以上続いたときに転倒と判断するものである。
請求項3に記載した自動二輪車の転倒検出装置は、請求項2に記載した発明において、前記転倒の判断は、前記縦置きセンサーの検出出力に基づいて車体の傾斜角度が90°以内であると判別された場合に行われるものである。
請求項4に記載した自動二輪車の転倒検出装置は、請求項2に記載した発明において、前記転倒角度を、前記加速度センサーの取付角度に基づいて変更するものである。
請求項5に記載した自動二輪車は、請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載した転倒検出装置を搭載しているものである。
本発明では、加速度センサーを転倒センサーとし、これをECU内に組込んで一体ユニット化することにより、転倒検出精度の向上及び構成の簡素化が図られ、他の部品配置を制約することなく狭いスペースに効率よくレイアウトできる。これとともに、(横置きセンサー出力)÷(縦置きセンサー出力)に基づいて転倒を判断するため、各センサーがノイズを生じても、縦置きセンサーと横置きセンサーの変動が相互に打ち消しあって、設定した検出角度で転倒を判別でき、転倒判断の精度を向上させ信頼性を高めることができる。
このため、本発明によれば、転倒判断の精度を高めた自動二輪車用転倒検出装置を提供することができる。
以下図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
先ず、本願発明の前提となる技術と参考技術とを図1〜図10によって説明する。
図1は、1軸加速度センサーを横置き配置したときのセンサー出力の説明図である。(A)は出力波形、(B)は車体が右に角度θだけ傾いた状態の説明図である。
図1に示す加速度センサー101は、その検出方向abが車体が真直ぐの非傾斜状態(中立位置)で水平に配置した横置き配置で車体に取付けられる。したがって、センサー出力は、車体の傾斜角θに対し出力電圧V=g・sinθとなって、出力電圧特性は、(A)に示すようにサイン曲線を描く。自動二輪車が転倒と見なされるのは、車体がバンク角(約65〜70°)を越えて傾斜したときであり、70°を判別基準としてこれを超えたら転倒と判断できる。したがって、判別基準となる70°のときのセンサー出力は、判別出力Vcとすると、
Vc=g・sin70°=0.94gとなる。
ここで、A/D変換誤差を±10mV(±0.03g)とした場合の角度の誤差は、
(0.94−0.03)g≒g・sin65°
(0.94+0.03)g≒g・sin75°
となる。したがって、A/D変換に基づく角度誤差は70±5°となる。
図2は、1軸加速度センサーを縦置き配置したときのセンサー出力の説明図である。(A)は出力波形、(B)は車体が左に角度θだけ傾いた状態の説明図である。
図2に示す加速度センサー101は、その検出方向abが車体が真直ぐの非傾斜状態(中立位置)で地面に垂直に配置した縦置き配置で車体に取付けられる。したがって、センサー出力は、車体の傾斜角θに対し出力電圧V=g・cosθとなって、出力電圧特性は、(A)に示すようにコサイン曲線を描く。自動二輪車が転倒と見なされるのは、車体がバンク角(約65〜70°)を越えて傾斜したときであり、70°を判別基準としてこれを超えたら転倒と判断できる。したがって、判別基準となる70°のときのセンサー出力は、判別出力Vcとすると、
Vc=g・cos70°=0.34gとなる。
ここで、A/D変換誤差を±10mV(±0.03g)とした場合の角度の誤差は、
(0.34−0.03)g≒g・cos72°
(0.34+0.03)g≒g・cos68°
となる。したがって、A/D変換に基づく角度誤差は70±2°となる。
すなわち、転倒の判断基準となる70°付近の傾斜角度において、図2に示す縦置きの場合のA/D変換に基づく角度誤差は、図1に示す横置きの場合より小さい。したがって、縦置き(Z方向)配置の加速度センサーを使用して車体の傾斜角度を求めることにより、A/D変換誤差を低減し検出精度を高めることができる。2軸(Y,Z方向)又は3軸(X,Y,Z方向)の加速度センサーを用いた場合には、1つの検出方向(第1検出方向)は必ず縦置き(Z方向)配置とし、第2の検出方向を水平な車幅方向(Y方向)又は前後方向(X方向)とする。
2軸又は3軸加速度センサーを用いた場合、Z方向のセンサーにより転倒角度以上の傾斜を検出したときに、X方向又はY方向のセンサーが傾斜を検出しないときは、ウィリー走行又は急な坂道走行と見なして転倒時の処理(燃料ポンプ停止、燃料噴射停止、点火停止等)を行わず、通常制御のまま走行を続ける。
2軸加速度センサーの検出方向をZ,X方向とし、X方向の検出出力が変化したとき(前後方向の傾斜を検出したとき)には急坂やウィリーと判断して転倒と見なさないことも可能である。
図3は、本発明の参考となる技術の一例を示すフローチャートである。
この参考例は、1軸(Z軸方向)のセンサー検出のみにより転倒判断を行なうものである。
ステップa1:1軸加速度センサーを縦置き配置した転倒センサーから、又は2軸あるいは3軸加速度センサーの縦置き配置の第1の検出方向であるZ軸方向のセンサーから、出力電圧を検出する。
ステップa2:Z軸方向センサーの検出出力電圧により転倒かどうかを判別する。すなわち、前述の図2(A)のコサイン曲線において、転倒判断基準角度となる±70°に対応する出力電圧値(g・cos(±70°))より小さい状態かどうかを判別する。この状態が2秒以上続いた場合は転倒と判断する。なお、2秒以上続くことを要件としたのは、電圧検出による転倒判断の信頼性を高めるためである。
ステップa3:転倒と判断した場合、燃料ポンプを停止し、燃料噴射及び点火を停止してエンジンを停止させる。このとき、エンジン出力を徐々に落すことが望ましい。例えば、通常制御による点火サイクルにおける点火コイルへの駆動パルス信号の印加を適当な間隔で停止して点火を間引き制御し、通常制御による点火回数より減らして出力を落とす。このとき点火を停止する間引き間隔は、最初は長い間隔で点火カットし、徐々に間隔を短くするように間引きする。これにより、誤動作等の場合に急激な出力低下によって、車体が不安定になることが防止される。このような点火制御に代えて、またはこれとともに、燃料噴射の間引きを同様に行ってもよい。この場合には、インジェクタのソレノイドへの駆動パルス信号の印加を徐々に減らして出力を落とす。電子スロットルを備えた車両の場合には、電子スロットルを制御することにより出力を落としてもよい。
図4は、本発明の参考技術となる転倒制御装置の制御例のフローチャートである。
この参考例は、2軸(Y軸方向及びZ軸方向)の検出センサーからの出力を用いて、上記図3の参考例におけるZ軸センサーのみに基づく転倒判断に加えてY軸センサーに基づく転倒判断条件を付加したものである。これにより、ウィリー走行や急坂走行による車体の傾斜を転倒と区別して判別できる。
ステップb1:2軸加速度センサーを縦置き配置し、検出方向をZ軸(上下方向)及びY軸(左右方向)とする。この加速度センサーの出力電圧をZ軸及びY軸方向について検出する。
ステップb2:Z軸方向センサーの検出出力電圧により転倒かどうかを判別する。すなわち、前述の図2(A)のコサイン曲線において、転倒判断基準角度となる±70°に対応する出力電圧値(g・cos(±70°))より小さい状態かどうかを判別する。この状態が2秒以上続いた場合は転倒と判断する。なお、前述のように、2秒以上続くことを要件としたのは、電圧検出による転倒判断の信頼性を高めるためである。
ステップb3:上記ステップb2でZ軸方向のセンサーで転倒と判別された場合に、さらにY軸方向センサーの検出出力電圧により転倒かどうかを判別する。すなわち、前述の図1(A)のサイン曲線において、転倒判断基準角度となる±70°に対応する出力電圧値(g・sin(70°))より大きい状態又は(g・sin(−70°))より小さい状態かどうかを判別する。この状態が2秒以上続いた場合は転倒と判断する。
上記ステップb2で転倒と判別しても、Y軸センサーが左右方向に傾斜していないことを検出した場合は、車体はウィリー等により前後方向に傾斜している状態であり、通常制御のルーチンを繰り返す。
ステップb4::転倒と判断した場合、燃料ポンプを停止し、燃料噴射及び点火を停止してエンジンを停止させる。このとき、前述のように、エンジン出力を徐々に落すことが望ましい。
図5は、本発明の参考技術のブロック図である。
この参考例は、2軸又は3軸加速度センサーを用いた場合に、転倒判別するCPUへの入力をDC入力とAC入力の2系統に分けたものである。
図示したように、2軸加速度センサー102のZ軸センサーからのZ軸出力がノイズ除去用フィルタ103を介してA/D変換器104に入力され、ここでA/D変換されてECU内のCPU107に入力され、演算処理により転倒状態を判別される。この系統はDC入力系統である。
一方、2軸加速度センサー102のY軸センサーからのY軸出力が平滑化用のキャパシタ105及びフィルタ106を介してA/D変換器104に入力され、ここでA/D変換されてECU内のCPU107に入力され、演算処理により転倒状態を判別される。この系統はAC入力系統である。
Y軸センサーは、前述のようにウィリー判別等を行って誤動作を防止するための補助センサーである。したがって、走行中に車体が真直ぐな状態から傾斜したかどうかを判別すれば足りる。そこでこのY軸センサーからCPUへの入力はAC入力として出力電圧の変化量によりウィリー等を判別する。これにより、出力電圧と最初の基準値と比較してその差を求める必要がなくなるため、基準値のオフセット誤差の補正が不要になる。
図6は、上記図5の転倒検出装置の動作を示すフローチャートである。
ステップc1:2軸加速度センサーを縦置き配置し、検出方向をZ軸(上下方向)及びY軸(左右方向)とする。この加速度センサーの出力電圧をZ軸及びY軸方向について検出する。
ステップc2:Z軸方向センサーの検出出力電圧により転倒かどうかを判別する。すなわち、前述の図2(A)のコサイン曲線において、転倒判断基準角度となる±70°に対応する出力電圧値(g・cos(±70°))より小さい状態かどうかを判別する。この状態が2秒以上続いた場合は転倒と判断する。なお、前述のように、2秒以上続くことを要件としたのは、電圧検出による転倒判断の信頼性を高めるためである。
ステップc3:上記ステップc2でZ軸方向のセンサーで転倒と判別された場合に、さらにY軸方向センサーの検出出力電圧により転倒かどうかを判別する。この場合、横置きのY軸センサーの出力電圧が、前述の図1(A)のサイン曲線で所定の値(例えば200mV)だけ変化したかどうかを判別し、中立位置からの差は求めない。横方向(車体左右方向)に傾きの変化がなければ(200mV以下であれば)、上記ステップc2での転倒検出は、ウィリー等による車体の前後方向への傾斜であり、転倒処理は行わず、通常制御のルーチンを繰り返す。
ステップc4::転倒と判断した場合、燃料ポンプを停止し、燃料噴射及び点火を停止してエンジンを停止させる。このとき、前述のように、エンジン出力を徐々に落すことが望ましい。
図7は、本発明のさらに別の参考技術の説明図である。
この参考例は、加速度センサーの検出電圧のしきい値を変えることにより、加速度センサーの取付誤差による検出精度低下を防止したものである。
これは、まず加速度センサーの取付誤差角度を測定し、これに基づいてしきい値をその角度分だけ変更する。取付誤差角度の測定は、横置きセンサーの場合には、−90°、0°、+90°の3点でセンサー出力を測定し、測定結果から演算処理により取付誤差角度を求める。縦置きセンサーの場合には、0°、90°、180°の3点でセンサー出力を測定し、測定結果から演算処理により取付誤差角度を求める。
演算処理は、横置き配置を例に説明すると、
−90°のとき:Y=a+Xsin(−90+b)=a−Xcos(b)
0°のとき:Y’=a+Xsin(b)
+90°のとき:Y”=a+Xsin(90+b)=a+Xcos(b)
ただし、Y,Y’,Y”は出力電圧、aはオフセット電圧、Xは感度、bはセンサー傾き(取付誤差確度)を示す。
ここで、Y+Y”=2aよりa=(Y−Y”)/2
Y”−Y=2Xcos(b)よりX=(Y”−Y)/2cos(b)
Y’−a=Xsin(b)=(Y”−Y)/{2cos(b)*sin(b)}より
2cos(b)*sin(b)=sin(2b)=(Y”−Y)/(Y’−a)
したがって、b=1/2*sin−1{(Y”−Y)/(Y’−a)}となる。
このようにして求めた傾斜角bに基づいて転倒判断のしきい値を変更する。
図7の例は、横置きセンサーにおいて、bが+5°傾いていた場合に、しきい値を±70°から−65°と+75°に変更したものである。縦置きセンサーの場合(2軸加速度センサーの縦置きセンサー(Z軸センサー)の場合)には、Y軸センサーから左右の傾き方向を判別し、左右方向に応じてしきい値を変更可能である。
図8は、本発明のさらに別の参考技術の説明図である。
この参考例は、プリント基板111上の加速度センサー110の取付位置をチェックする際に、予めプリント基板111のセンサー実装位置にシルクによるマーキング108,109を施し、目視又は自動チェックを容易にできるようにしたものである。マーキング108,109は、加速度センサー110の傾き許容範囲や取付角度の目安となる位置に形成する。マーキング形状は、図の(A)(B)に限定されず、角度が概略的に識別できればどのような形状でもよい。
このようなマーキングを施すことにより、プリント基板に対する加速度センサーの取付誤差が識別され、これに基づいて転倒判別の補正が可能になり、また不良品の判別が容易にできる。
このように加速度センサーを実装してCPUを構成するプリント基板は、ECUのケース内に収納される。この場合、ECUケースにガイドを設け、このガイドに沿ってプリント基板をスライドさせてケース内に挿入して位置決めし、樹脂等を充填してプリント基板をケース内のこの位置決めされた所定位置に固定保持することが望ましい。これによりECUに対するプリント基板の取付誤差による検出誤差が低減する。
転倒センサーを内臓したECUを車体に搭載する場合、ECUが車体の重心から離れていると、車体の振動が転倒センサーに影響を与えて検出精度の低下を来たし誤判定の要因となる。
したがって、検出精度を向上させるために、ECUはなるべく車体の重心付近に取付けることが望ましい。これにより、車体の振動や前後ピッチの影響によるノイズ要因を低減し、検出制度を高めることができる。
図9は、本発明のさらに別の参考技術のフローチャートである。
この参考例は、従来問題となっていた転倒センサーのオフセットのばらつきや経時変化及び温度特性等によって検出精度が低下していた問題点に対処して、スピードセンサーを用いて転倒センサーの補正をすることにより、検出精度を向上させたものである。
ステップd1:スピードセンサーにより車速を検出し、転倒センサー(加速度センサー)により車体の傾きを検出する。
ステップd2:スピードセンサーの検出値が所定値(この例では30km/h)を越えて且つ転倒センサーの出力電圧変化が所定値(この例では10mV)未満の状態が10秒以上続いたかどうかを判別する。この状態が10秒以上続いているときは、車体が真直ぐな姿勢で走行中と判断する。
ステップd3:上記ステップd3で、車体が真直ぐな姿勢で走行中と判断したとき、転倒センサー出力又はその平均値を中心値(図1、図2の中立位置での出力電圧値)として更新して保存する。
ステップd4:この中心値からの変化を検出して転倒(傾きが70°以上)かどうかを判断する。これにより、センサーの温度特性や取付誤差によるオフセットのばらつきあるいは経時変化等にかかわらず高精度で転倒検出ができる。
ステップd5::転倒と判断した場合、燃料ポンプを停止し、燃料噴射及び点火を停止してエンジンを停止させる。このとき、前述のように、エンジン出力を徐々に落すことが望ましい。
図10は本発明のさらに別の参考技術のフローチャートである。
この参考例は、前述の図4の参考例におけるウィリー等の転倒以外の車体傾斜判断の信頼性をさらに高めたものである。すなわち、図4の参考例では、車体が逆さま又は90°以上反転した状態になったときに、転倒と判定しない場合がある。この参考例は、このような逆さま状態の転倒を確実に判別するものである。
さらに詳しく言うと、車体が180°転倒すると、縦置きのZ軸センサーの出力は、前述の図2に示したように、1gCos(180°)=−1gとなって、転倒状態であることを示す。一方、横置きのY軸センサーの出力は、前述の図1に示したように、1gSin(180°)=0gとなって、転倒していない状態と誤判断してしまう。
この参考例は、このような誤判定を防止するものであり、Z軸センサーにより±90°以上の傾斜を検出したときには、Y軸センサーに関係なく転倒と判断するものである。
ステップe1:2軸加速度センサーを縦置き配置し、検出方向をZ軸(上下方向)及びY軸(左右方向)とする。この加速度センサーの出力電圧をZ軸及びY軸方向について検出する。
ステップe2:Z軸方向センサーの検出出力電圧により、逆さまの転倒(±90°以上の転倒)かどうかを判別する。すなわち、前述の図2(A)のコサイン曲線において、転倒判断角度を±90°としてこれに対応する出力電圧値(g・cos(±90°))より小さい状態かどうかを判別する。この状態が2秒以上続いた場合は逆さま転倒と判断する。なお、前述のように、2秒以上続くことを要件としたのは、電圧検出による転倒判断の信頼性を高めるためである。
ここで逆さま転倒と判断した場合には、直ちにステップe4に進み燃料ポンプ停止等の転倒制御を行なう。
ステップe3:上記ステップe2でZ軸方向のセンサーで逆さまの転倒ではない(±90°以上傾斜していない)と判別された場合に、さらにZ軸センサー及びY軸方向センサーの検出出力電圧により転倒(±90°以内の転倒)かどうかを判別する。
すなわち、まず、Z軸方向センサーの検出出力電圧により転倒かどうかを判別する。これは前述のように、図2(A)のコサイン曲線において、転倒判断基準角度となる±70°に対応する出力電圧値(g・cos(±70°))より小さい状態かどうかを判別する。この状態が2秒以上続いた場合は転倒と判断する。なお、前述のように、2秒以上続くことを要件としたのは、電圧検出による転倒判断の信頼性を高めるためである。
さらに、このZ軸センサーによる転倒判断がウィリー又は急坂走行ではないことを確認するために、Y軸センサーが傾斜しているかどうかを判別し、Y軸センサーも傾斜と判別したときのみ転倒と判断する。この場合、転倒判断基準角度を±50°とする。これにより、判断角度を±70°としたときよりも、前述の図1のグラフから分かるように、横置きY軸センサーの検出精度が高められる。
すなわち、Y軸転倒判断は、前述の図1(A)のサイン曲線において、転倒判断基準角度を±50°として、これに対応するY軸センサーの出力電圧値が(g・sin(50°))より大きい状態又は(g・sin(−50°))より小さい状態かどうかにより判別する。この状態が2秒以上続いた場合は転倒と判断する。
上記Z軸センサーで転倒と判別しても、Y軸センサーが左右方向に傾斜していないことを検出した場合は、車体はウィリー等により前後方向に傾斜している状態であり、通常制御のルーチンを繰り返す。
ステップe4::転倒と判断した場合、燃料ポンプを停止し、燃料噴射及び点火を停止してエンジンを停止させる。このとき、前述のように、エンジン出力を徐々に落すことが望ましい。
次に、本発明の一実施の形態を図11および図12によって詳細に説明する。
図11は、本発明の実施形態を示すフローチャートである。また、図12は、この実施形態で用いるtan(タンジェント)の出力データのグラフである。
自動二輪車に加速度センサーを設けると、エンジンの振動や路面の凹凸等によりセンサー出力にノイズが含まれてしまう。このため、あるしきい値に対して一定時間しきい値を超えた場合に転倒と判断するロジックを組んだ場合、振動によりしきい値より大きくなったり小さくなったりを繰返し、設定された角度では検出できなくなる。この場合、例えばCRフィルタ等のローパスフィルタを設けて振動成分を消せば設定したしきい値の転倒角度で検出できる。しかしこの場合、応答時間が長くかかり、検出時間が長くなるという問題を生じる。
そこで本実施形態では、縦置きセンサーの出力と横置きセンサーの出力のタンジェントを求め、このタンジェント出力により転倒を判断することにより、たとえ各センサーが振動を拾ってノイズを生じても、縦置きセンサーと横置きセンサーの変動が相互に打ち消し合って、設定した検出角度で転倒を判別できるようにした。
ステップf1:2軸加速度センサーを縦置き配置し、検出方向をZ軸(上下方向)及びY軸(左右方向)とする。この加速度センサーの出力電圧をZ軸及びY軸方向について検出する。
ステップf2:Z軸方向センサーの検出出力電圧により、逆さまの転倒(±90°以上の転倒)かどうかを判別する。すなわち、前述の図2(A)のコサイン曲線において、転倒判断角度を±90°としてこれに対応する出力電圧値(g・cos(±90°))より小さい状態かどうかを判別する。この状態が2秒以上続いた場合は逆さま転倒と判断する。なお、前述のように、2秒以上続くことを要件としたのは、電圧検出による転倒判断の信頼性を高めるためである。
ここで逆さま転倒と判断した場合には、直ちにステップf4に進み燃料ポンプ停止等の転倒制御を行なう。
ステップf3:上記ステップf2でZ軸方向のセンサーで逆さまの転倒ではない(±90°以上傾斜していない)と判別された場合に、さらにZ軸センサー及びY軸方向センサーの検出出力電圧により転倒(±90°以内の転倒)かどうかを判別する。
すなわち、まず、図1(A)の横置きのY軸センサーの出力電圧と図2(A)の縦置きのZ軸センサーの出力電圧とを検出し、そのタンジェント(tan)=(Y軸出力電圧)÷(Z軸出力電圧)を演算により求める。このtan出力値が転倒角度をαとしたとき、1g・tan(−α)より小さいか又は1g・tanαより大きいかを判別する。いずれか一方の条件が2秒以上続いて満たされれば転倒と判断する。2秒以上続くことを要件としたのは、タンジェント出力値による転倒判断の信頼性を高めるためである。両方とも満たされなければ転倒していないと判断する。
グラフで説明すると、図1(A)の横置きY軸センサーからのサイン曲線出力と、図2(A)の縦置きZ軸センサーからのコサイン曲線出力とから得られるタンジェント曲線出力は図12で表わされる。図12において、上記ステップf2で逆さま転倒ではないと判別されているため、車体角度は−90°から+90°の範囲である。この範囲内で車体の左側(−側)又は右側(+側)で転倒角度αを越えたかどうかを判別する。
転倒角度αは、スクーター形式か通常のオートバイ形式の車種や、車体寸法あるいは排気量等を考慮して設定する。このαは車種等に応じてプログラム上で書換え可能としてもよい。
このように縦置きを含む2軸のセンサーを用いて両センサー出力のタンジェントにより転倒判断することにより、ノイズが打ち消されるため、振動等によりセンサー出力に変動が生じても確実に転倒を判別することができる。
ステップf4::転倒と判断した場合、燃料ポンプを停止し、燃料噴射及び点火を停止してエンジンを停止させる。このとき、前述のように、エンジン出力を徐々に落すことが望ましい。
このように、この実施形態による自動二輪車用転倒検出装置は、縦置き方向のセンサー(Z軸センサー)と横置き方向のセンサー(Y軸センサー)とを有し、(横置きセンサー出力)÷(縦置きセンサー出力)に基づいて転倒判断することを特徴としている。
この構成によれば、車体の振動等により転倒検出の出力値が変動しても、ノイズ除去用のフィルタ等を用いることなく短時間で誤判定のない信頼性の高い転倒検出ができる。
すなわち、自動二輪車用の転倒センサーとして加速度センサーを用いた場合、車体の振動等によって、転倒判断のしきい値となる転倒検出角度が変わってしまう場合がある。これに対処して制御回路にフィルタを設けて振動成分を除去することにより転倒検出角度を一定に保つことができる。しかしながら、フィルタを設けると、応答時間が長くかかり、検出時間が長くなって転倒への対処が遅れるおそれが生じる。
したがって、検出時間を長くすることなく車体振動等による転倒検出角度の変動をなくし誤判定のない転倒検出ができる転倒センサーが求められる。本発明はこのような要求をも満たすものである。
次に上記転倒センサーが組み込まれたECUの車体への取り付け構造について説明する。
図13は本発明が適用される小型自動二輪車の外観図である。
車体1は、前部にハンドル2を有し、ハンドル2はヘッドパイプ3を挿通するステアリング軸4を介して前輪5に連結される。ヘッドパイプ3に車体フレーム6が結合される。車体フレーム6は車体全体のフレーム構造を形成する。車体前部はカウリング7で覆われる。車体1は、車体フレーム6の外側から車体カバー8で覆われる。車体中央にシート9が備わり、その下側に燃料タンク10が設けられ、その後方にヘルメットボックス(物入れ)11が備わる。燃料タンク10は不図示の燃料ホースを介してインジェクタ(不図示)に燃料を供給する。燃料タンク10の上部にブリーザホース12の一端が接続されその他端はキャニスタ13に接続される。キャニスタ13はパージホース14を介して吸気系(例えばスロットルボディ)に連結される。不図示の右側ハンドル部分のスロットルグリップ(又はレバー)にスロットルワイヤ15が装着され吸気系のスロットルバルブに連結される。同じくハンドル部分のブレーキレバー(不図示)にブレーキケーブル16が装着され後輪17のブレーキカムシャフト18に連結される。
車体中央部の車体フレーム6にエンジンユニット19が取付けられる。エンジンユニット19は、エンジン(不図示)とそのクランクケース(不図示)に一体結合された減速機24からなる。このエンジンユニット19は、エンジンブラケット20を介して車体フレーム6の一部を構成する下部車体フレーム部材21に対しピボット22廻りに回転可能に懸架される。このエンジンユニット19の後部に後輪17が連結されるとともにダンパー23の下端が枢着される。ダンパー23の上端は車体フレーム6の一部を構成する後部車体フレーム(不図示)に枢着される。これにより、エンジンユニット19は後輪17とともにピボット22廻りに揺動可能となり、スイングユニット式エンジンが形成される。
減速機24の上側にエアクリーナ25が備わる。エアクリーナ25の前部に外気取入用開口25aが開口し、この開口を覆って車体カバー8の内側にゴムあるいは樹脂からなる防塵カバー26が設けられる。27はスタンド、28はキックレバーである。
図14及び図15はそれぞれ、上記本発明に係る燃料噴射エンジンを備えた自動二輪車の要部を示す側面図及び平面図である。また、図16はその吸気系部分の拡大図である。
燃料タンク10の下方にエンジン29が備わる。このエンジン29は、燃料噴射インジェクタを備えた4サイクル単気筒エンジンである。エンジン29のクランクケース(不図示)は例えばVベルト式の無段減速機構からなる減速機24と一体結合され全体でスイングユニットエンジン形式のエンジンユニット19を構成する。減速機24の前部にダクト30が接続されその開放端部30aから外気を吸引して減速機5内に供給し内部を冷却する。減速機24の後部出力軸(不図示)は後輪17の車軸に連結される。
このスイングユニットエンジン形式のエンジンユニット19の前部にエンジンブラケット20が一体結合される。このエンジンブラケット20に軸31を介してリンクプレート32が枢着される。リンクプレート32はピボット22を介して下部車体フレーム部材21に回転可能に取付けられる。
エンジンユニット19の後部にダンパー(ショックアブソーバ)23が備わる。ダンパー23は、その上端33が後部車体フレーム部材34に枢着され、下端35がエンジンユニット19の後端部のブラケット36に枢着される。これにより、エンジンユニット19はその前側のピボット22を中心に車体フレームに対し揺動可能に装着される。図16に示すように、エンジン29のシリンダ37はほぼ水平近くまで前傾している。クランク軸38は、前述のピボット22を中心にエンジンブラケット20(図14)の軸31とともの矢印Dのように揺動する。
エンジン29の吸気側にはシリンダヘッドの吸気ポート(不図示)に連通する吸気マニホルド39及びこれに接続する吸気管40(図15、図16)が備わり、排気側には排気管41(図15)が接続される。吸気管40は屈曲したエルボ状の吸気管であり、図16に示すように、樹脂の断熱材42を介して相互にフランジ43を突き合せ、2本のボルト44により固定される。45は動弁カムの整備用カバーである。エンジン29には水温センサ46(図15、図16)が設けられる。水温センサ46の検出出力信号は、水温信号ケーブル89(図15)及びワイヤハーネス72を介してエンジン制御ユニット47(図15)に送られる。エンジン制御ユニット47にはさらに後述の吸気温センサ及び吸気圧センサの検出信号ケーブル(不図示)がワイヤハーネス72を介して接続され、これらの検出データに基づいてスロットルバルブ(不図示)を開閉制御する。
吸気マニホルド39には前述の屈曲したエルボ状吸気管40を介してスロットルボディ48が接続される。スロットルボディ48は、ジョイント49を介してエアクリーナ25に接続される。吸気管40にインジェクタ50が装着される。
スロットルボディ48内にはスロットルバルブ(不図示)が装着されるとともに、その上流側にダイヤフラム式サクションピストン51が装着される。このサクションピストン51は、後述のように、そのダイヤフラム室52がスロットルボディ48の上側に設けられ、このダイヤフラム室52に大気を導入する大気通路53の大気取入口(大気開放端部)54がスロットルボディ48の下側に設けられる。スロットルバルブの弁軸には、リンク55を介して不図示のスロットルレバー又はスロットルグリップ等に連結されたスロットルワイヤ15が接続される。
エアクリーナ25前部の空気取入用開口部25aはゴム又は樹脂等からなる防塵カバー26(図13の一点鎖線)で覆われる。この防塵カバー26の外側にさらに車体カバーが取付けられる。サクションピストン51の大気取入口54はこの防塵カバー26の内側に開口する。
サクションピストン51に隣接してスロットルボディ48にヒータ式ワックスタイプのオートチョーク56および吸気圧センサ57が備わる(図15)。オートチョーク56は、スロットルバルブの上流側と下流側とを連通するバイパス管(不図示)を開閉する。吸気圧センサ57は負圧ホース58(図16)を介して吸気マニホルド39又は吸気管40に連通する。エアクリーナ25内に吸気温センサ59(図15)が備わる。
なお、吸気圧センサ57は吸気マニホルド近傍に設けてもよい。また、リンク55と反対側のスロットルバルブの弁軸にスロットル位置センサ(不図示)を設けてもよい。この場合、オートチョーク56は、スロットル位置センサと干渉しないようにスロットルバルブより上流側に設けられる。
燃料タンク10は、その前側下部がブラケット60を介して左右の車体フレーム部材61に固定される。燃料タンク10の後方から燃料ホース62が引出され、インジェクタ50に燃料を供給する。燃料ホース62はスティ63(図14、図16)を介して後部車体フレーム部材34に固定される。64(図14)はオーバーフローパイプである。65(図15)はバッテリ、66(図15)は冷却水のリカバリータンクを示す。車体中央部右側に、図15に示すように、排気ガス浄化用の二次空気導入システム86が備わる。この二次空気導入システム86は負圧ホース87を介して吸気マニホルドに連通し、吸気負圧に応じてエアホース88を介して外気を触媒(不図示)に供給して排気ガスを再燃焼させる。
エアクリーナ25には、図14に示すように、ブローバイガスホース90が接続される。このブローバイガスホース90は、エンジン29のクランクケース(不図示)に通じるカムチェーン室(不図示)に連通し、エンジンのクランクケース内等の圧力上昇によるオイルシール脱落やロス馬力を防止する。このブローバイガスホース90は、エアクリーナ内のエレメント通過後のクリーンサイドに接続され、ブローバイガスは再度燃焼室に導入される。
燃料タンク10は、前述の図13で示したようにブリーザホース12を介してキャニスタ13に連通する。このブリーザホース12の途中にロールオーバーバルブ124が設けられる。このロールオーバーバルブ124は、転倒時に閉じて燃料タンク10からの燃料の流出を防止する。
図17(A)(B)は、それぞれエンジン制御ユニットの取付部分を前面側正面図及び左側面図である。
エンジン制御ユニット(ECU)47は、この配置例では前面側に突出する下部47bの厚さが上部47aより厚く段差を有する略矩形体形状であって、後面側が矩形平面の取付面47cを形成し、この取付面47cと同一面の左右に耳片158が備わる。各耳片158は、それぞれボルト159により燃料タンク支持用のブラケット60の内面側に溶接固定されたステー160に固定される。ECU47の下部にカプラ161を介してワイヤハーネス72が接続される。
ブラケット60は、左右それぞれの後部車体フレーム部材34に接合された車体フレーム部材61上に接合される。左右の後部車体フレーム部材34はそれぞれエルボフレーム145を介して前部車体フレーム部材140に接合される。エルボフレーム145に前述の下部車体フレーム部材21が接合され、この下部車体フレーム部材21に前述のエンジンユニット19(図13、図14)を揺動可能に支持するピボット22が設けられる。162はタンデムライダー用足乗せパイプフレームであり、163はサイドスタンドである。
燃料タンク(不図示)は、左右ブラケット60の上部間に跨って設けた支持部材(不図示)と後部車体フレーム部材34の上部に設けたスティ63上に支持されて配設される。
ECU47内には、その取付面47cと平行に配置した回路基板(不図示)が収容され、この回路基板上に2次元(2軸)加速度センサー(不図示)がその検出面を基板平面と平行にして実装されている。したがって、この2次元加速度センサーからなる転倒センサーは、その検出面を車体前後方向にほぼ垂直な状態で車体左右方向のほぼ中央に、左右両側のブラケット60で保護された位置に取付けられる。
図18(A)(B)は、それぞれ本発明の別の実施形態に係るECU取付構造の後面側正面図及び左側面図である。
この例は、車体フレーム前部を構成するヘッドパイプ164の後方に左右それぞれ2本ずつ上側パイプフレーム165及び下側パイプフレーム166が溶接固定され、これら4本のパイプフレーム165,166に囲まれた位置にECU47を取付けた構造である。ECU47は、その取付面47cを前面にして耳片158がブラケット167にボルト159で固定される。ブラケット167は、二股の下部がそれぞれ左右の下側パイプフレーム166にボルト168で固定される。ブラケット167はさらにその両側縁部等適当なヵ所を下側パイプフレーム166に溶接固定してもよい。
169は燃料供給用電磁ポンプである。170は、電磁ポンプ169と燃料タンク(不図示)間の燃料ホース(不図示)途中に設けたフィルタである。
この実施形態においても、ECU47は、内部の2次元加速度センサーからなる転倒センサー(不図示)の検出面と平行な取付面47cを車体前後方向とほぼ垂直にして車体左右方向のほぼ中央に、左右のパイプフレーム165,166で保護された位置に取付けられる。
本発明に係る横置き配置の加速度センサーの出力電圧説明図。 本発明に係る縦置き配置の加速度センサーの出力電圧説明図。 本発明の参考となる技術の一例を示すフローチャートである。 本発明の参考技術となる2軸加速度センサーによる転倒判別制御のフローチャート。 本発明の別の参考技術のブロック構成図。 図5の参考例の動作のフローチャート。 本発明のさらに別の参考技術の出力電圧説明図。 本発明のさらに別の参考技術の構成説明図。 本発明のさらに別の参考技術の動作のフローチャート。 本発明のさらに別の参考技術の動作のフローチャート。 本発明の実施形態の動作のフローチャート。 図11の実施形態のセンサー出力のグラフ。 本発明に係る小型自動二輪車の外観図。 図13の自動二輪車の要部側面図。 図13の自動二輪車の要部平面図。 図13の自動二輪車のエンジン部分の構成図。 ECU取付け構造の構成説明図。 ECU取付け構造の構成説明図。
符号の説明
1:車体、2:ハンドル、3:ヘッドパイプ、4:ステアリング軸、
5:前輪、6:車体フレーム、7:カウリング、8:車体カバー、
9:シート、10:燃料タンク、11:ヘルメットボックス、
12:ブリーザホース、13:キャニスタ、14:パージホース、
15:スロットルワイヤ、16:ブレーキケーブル、17:後輪、
18:ブレーキカムシャフト、19:エンジンユニット、
20:エンジンブラケット、21:下部車体フレーム部材、22:ピボット、
23:ダンパー、24:減速機、25:エアクリーナl、
25a:空気取入用開口、26:防塵カバー、27:スタンド、
28:キックレバー、29:エンジン、30:ダクト、30a:開放端部、
31:軸、32:リンクプレート、33:上端、33a:ダンパー取付孔、
34:後部車体フレーム部材、35:下端、36:ブラケット、
37:シリンダ、38:クランク軸、39:吸気マニホルド、40:吸気管、
41:排気管、42:断熱材、43:フランジ、44:ボルト、
45:整備用カバー、46:水温センサ、47:エンジン制御ユニット、
47a:上部、47b:下部、47c:取付面、
48:スロットルボディ、49:ジョイント、49a:ジョイント端部、
50:インジェクタ、51:サクションピストン、52:ダイヤフラム室、
53:大気通路、54:大気取入口、55:リンク、56:オートチョーク、
57:吸気圧センサ、58:負圧ホース、59:吸気温センサ、
60:ブラケット、61:車体フレーム部材、62:燃料ホース、
62a:固定ホース部、62b:揺動ホース部、63:スティ、
64:オーバーフローパイプ、65:バッテリ、
66:リカバリータンク、72:ワイヤハーネス、74:スロットルバルブ、
86:二次空気導入システム、87:負圧ホース、88:エアホース、
89:水温信号ケーブル、90:ブローバイガスホース、
101:加速度センサー、102:2軸加速度センサー、103:フィルタ、
104:A/D変換器、105:キャパシタ、106:フィルタ、
107:CPU、108,109:マーキング、110:加速度センサー、
111:プリント基板、124:ロールオーバーバルブ、
140:前部車体フレーム部材、145:エルボフレーム、
158:耳片、159:ボルト、160:ステー、161:カプラ、
162:タンデムライダー用足乗せパイプフレーム、
163:サイドスタンド、164:ヘッドパイプ、
165:上側パイプフレーム、166:下側パイプフレーム、
167:ブラケット、168:ボルト、169:電磁ポンプ、
170:フィルタ。

Claims (5)

  1. エンジンを駆動制御するECU及び車体の傾斜角度に基づいて転倒を検出する転倒センサーを備え、
    前記転倒センサーを加速度センサーにより構成し、
    該加速度センサーを前記ECU内に組込んだ自動二輪車の転倒検出装置において、
    前記加速度センサーは、車体が非傾斜状態のときに地面に垂直な方向である第1の検出方向の加速度を検出する縦置きセンサーと、
    前記第1の検出方向と直角な方向である第2の検出方向の加速度を検出する横置きセンサーとを有し、
    (横置きセンサー出力)÷(縦置きセンサー出力)に基づいて転倒を判断することを特徴とする自動二輪車の転倒検出装置。
  2. 請求項1記載の自動二輪車の転倒検出装置において、車体が転倒しているとみなす転倒角度をαとし、前記(横置きセンサー出力)÷(縦置きセンサー出力)の値が1g・tan(−α)より小さい場合と、前記値が1g・tanαより大きい場合とのうち、いずれか一方が所定時間以上続いたときに転倒と判断することを特徴とする自動二輪車の転倒検出装置。
  3. 請求項2記載の自動二輪車の転倒検出装置において、前記転倒の判断は、前記縦置きセンサーの検出出力に基づいて車体の傾斜角度が90°以内であると判別された場合に行われることを特徴とする自動二輪車の転倒検出装置。
  4. 請求項2記載の自動二輪車の転倒検出装置において、前記転倒角度を、前記加速度センサーの取付角度に基づいて変更することを特徴とする自動二輪車の転倒検出装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のうちいずれか一つに記載の転倒検出装置を搭載した自動二輪車。
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