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JP2009070950A - 紫外線センサ - Google Patents

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和夫 青木
Takekazu Ujiie
建和 氏家
Seishi Shimamura
清史 島村
Villora Encarnacion Antonia Garcia
ビジョラ エンカルナシオン アントニア ガルシア
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Koha Co Ltd
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Abstract

【課題】 紫外線の感度を上昇させることを可能とし、製作コストを高騰させることなく、汎用性の高い普及型の紫外線センサを提供する。
【解決手段】 紫外線センサ1は、n型β−Ga単結晶基板2と、n型β−Ga単結晶基板2が紫外線を受光して励起された電流あるいは電圧を検出する検出電極3a,3bとを備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば汎用性の高い普及型の紫外線センサに係り、特に、火炎から放射される紫外線の検出に好適な紫外線センサに関する。
従来から、例えば火を検出する火炎検出手段としては、火炎から放射される紫外線、可視光線、赤外線等を検知し、あるいは火炎の温度や電気伝導度等により火炎の有無を検出する各種のセンサが提案されている。
この種のセンサの一例としては、例えば太陽光の影響を受けずに紫外線のみに反応することができる紫外線光電管がある。しかしながら、この従来の紫外線光電管は、非常に高い駆動電圧を必要とし、装置全体が大型化することと相まって重量が嵩む。そのため、設置環境に応じて選択的に使用しなければならなくなり、汎用性に乏しかった。
また、紫外線センサの他の一例としては、例えば紫外線から可視光の波長領域に感度のあるシリコン受光素子と光学フィルタとを組み合わせた固体素子デバイスとしての紫外線センサがある。しかしながら、この従来の紫外線センサは、経年変化により光学フィルタが紫外線により劣化するため、シリコン受光素子が劣化し易かった。
また、紫外線センサの更に他の一例としては、III族窒化物半導体受光素子を用いた紫外線センサがある。この従来の紫外線センサは、太陽光などの強い可視光に対して感知してしまうため、可視光遮断フィルタを設けている。しかしながら、この従来の紫外線センサは、可視光遮断フィルタを設置する必要があるため、コスト的に高くなり、実用的には馴染まない。
以上の事情に鑑み、上記従来の紫外線センサの他にも、ダイヤモンドを使用した紫外線センサが提案されている。この従来の紫外線センサの一例としては、例えばシリコン基板上にダイヤモンド多結晶薄膜を成長させ、ダイヤモンド多結晶薄膜の表面上に一対の櫛形電極を形成し、それらの櫛形電極が形成されていない表面領域に疎水化処理を施した紫外線センサがある(例えば特許文献1参照)。
この種の従来の紫外線センサの他の一例としては、例えばダイヤモンド単結晶基板上にダイヤモンド単結晶膜を成長させ、そのダイヤモンド単結晶膜上にショットキー性電極及びオーム性電極を形成したショットキー型紫外線センサがある(例えば特許文献2参照)。
従来の紫外線センサの更に他の一例としては、例えば窒素を含有するダイヤモンド単結晶基板上に、水素化処理を施した表面層を形成し、その表面層上に一対の櫛形電極を形成した光導電型のダイヤモンド紫外線センサがある(例えば特許文献3参照)。
特開2005−229078号公報 特開2007−66976号公報 特開2007−139424号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来の紫外線センサは、シリコン基板上にダイヤモンド薄膜を成長させるので、ダイヤモンド薄膜の形態は、単結晶ダイヤモンド薄膜ではない多結晶ダイヤモンド薄膜で構成される。多結晶薄膜には、キャリヤトラップの原因となる高密度の結晶粒界が存在する。また、多結晶薄膜は、表面の準位密度も高い。これらの結晶欠陥は、受光感度を低下させるという問題点があった。
一方、上記特許文献2に記載された従来の紫外線センサは、生産性、生産量及びコストの点で問題となるダイヤモンド単結晶基板を使用している。そのため、汎用牲の高い紫外線センサとして広く一般に普及し難いという問題点があった。
また、上記特許文献3に記載された従来の紫外線センサにあっても、ダイヤモンド単結晶基板を使用しているため、汎用性に乏しく、普及の障害となっているという点では、従前どおり変わるところはない。
上記従来の紫外線センサに共通する問題点としては、ダイヤモンドのバンドギャップが約5.5eVと大きくなり、受光領域の吸収端波長が約225nmである。そのため、火災スペクトルに含まれる約225nmよりも大きい波長に対して受光感度が悪化し易くなり、約225nm以下の波長領域の光に反応するセンサしか作製することができないという問題点があった。また、ダイヤモンドのバンドギャップが約5.5eVと高いことに起因して、デバイスの動作に必要なキャリア濃度を得たり、その形態をn型やp型に変化させたりすることは困難であるという問題点があった。また更に、ダイヤモンドは、硬度が高く、加工が困難であるという問題点もあった。
本発明は、上記従来の課題を解消すべくなされたものであり、紫外線の感度を上昇させることを可能とし、製作コストを高騰させることなく、汎用性の高い普及型の紫外線センサを提供することを目的としている。
[1]本発明は、上記目的を達成するため、β−Ga単結晶層よりなる受光部と、前記受光部が紫外線を受光して励起された電流あるいは電圧を検出する検出電極とを備えたことを特徴とする紫外線センサにある。
[2]上記[1]において、前記β−Ga単結晶層は、一導電型のβ−Ga単結晶基板であることを特徴としている。
[3]上記[1]において、前記β−Ga単結晶層は、一導電型のβ−Ga単結晶エピタキシャル層であることを特徴としている。
[4]上記[1]において、前記β−Ga単結晶層は、一導電型のβ−Ga単結晶基板と、前記一導電型のβ−Ga単結晶基板上にエピタキシャル成長した他の導電型のβ−Ga単結晶層であることを特徴としている。
[5]上記[1]において、前記β−Ga単結晶層は、一導電型のβ−Ga単結晶エピタキシャル層と、前記一導電型のβ−Ga単結晶エピタキシャル層に接合された他の導電型のβ−Ga単結晶エピタキシャル層であることを特徴としている。
本発明は、製作コストの高騰を防止することを可能とし、実用的な感度を有する汎用性の高い普及型の紫外線センサを得ることができる。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて具体的に説明する。
[第1の実施の形態]
(光伝導型センサ素子)
図1は、本発明の代表的な実施の形態である紫外線センサ素子を模式的に示す図である。図1(a)は電極パターンを模式的に示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)の1B−1B線の断面図である。
これらの図において、第1の実施の形態に係る紫外線センサ1は、受光部の光誘起電流の変化により、受光部に照射される光を検出する2端子電極を持つ光伝導型センサ素子により構成されている。その受光部は、n型β−Ga単結晶基板2により構成することができる。このn型β−Ga単結晶基板2は、例えば約4.8eVのバンドギャップを有している。
(基板の構成)
この第1の実施の形態にあっては、n型β−Ga単結晶基板2が約4.8eVのバンドギャップを有するため、約258nmより大きい波長域に含まれる太陽光に存在するUV−A(波長315nm〜波長400nm)及びUV−B(波長280nm〜波長315nm)の範囲に広がる光に対しては、n型β−Ga単結晶基板2の価電子帯の電子が伝導帯に励起しないようになっている。
このn型β−Ga単結晶基板2においては、UV−C(波長100nm〜波長280nm)の波長領域のうち、そのバンドギャップより高いエネルギーをもつ約258nm以下の波長の光によって、価電子帯の電子を伝導帯に励起させることができる。そのため、太陽光が存在する雰囲気中においても、紫外線より波長が長い(バンドギャップのエネルギーより低い)可視光を遮断することができるようになる。これにより、深紫外線のみに反応する深紫外線センサが得られる。
(検出電極の構成)
この第1の実施の形態にあっては、特に限定されるものではないが、n型β−Ga単結晶基板2の表面には、電極間に所定の間隔をもって組み合わされた櫛形電極3a,3bがオーミック電極として形成されている。これらの櫛形電極3a,3bは、Ti(チタン)及びAl(アルミニウム)からなる2層構造に形成されている。これらの検出電極の材料としては、特に限定されるものではなく、例えばAu(金)及びAg(銀)などの一般的な金属材料を使用することができる。
以下の表1に、第1の実施の形態に係るn型β−Ga単結晶基板2の厚さと櫛形電極3a,3bの厚さをまとめて表す。
Figure 2009070950
以下の表2に、図1に示す櫛形電極3a,3bの外部の長さ及び幅をまとめて表す。
Figure 2009070950
(光伝導型センサ素子の動作)
いま、一対の櫛形電極3a,3b間に電圧を印加する。n型β−Ga単結晶基板2に、そのバンドギャップより高いエネルギーをもつ約258nm以下の波長の光が当たると、その光は、櫛形電極3a,3b以外の領域を透過し、n型β−Ga単結晶基板2に達すると吸収される。n型β−Ga単結晶基板2の価電子帯の電子は伝導帯に励起し、電子と正孔(ホール)のペアが発生する。励起された電子は、プラス側の櫛形電極3aへ移動する。一方の正孔は、マイナス側の櫛形電極3bへ移動する。一対の櫛形電極3a,3b間には、光を当てる前の電流よりも増加した電流が流れる。この電流値の変化を電流計により測定することで、n型β−Ga単結晶基板2のバンドギャップより高いエネルギーをもつ約258nm以下の波長の光を検出することができる。
次に、光伝導型センサ素子の製造プロセスを説明する。
(光伝導型センサ素子の製造方法)
以上の構成をもつ第1の実施の形態に係る光伝導型センサ素子1は、以下のように効率的に製造することができる。
(n型β−Ga単結晶基板の作製工程)
このn型β−Ga単結晶の育成には、例えば縁部限定薄膜結晶成長法(EFG法)及び浮遊帯溶融法(FZ法)などの従来の製法と同一の製造技術を使って製造することができる。β−Ga単結晶は、例えば本出願人等が先に提案したβ−Ga単結晶成長技術(特願2003−46552号)等と実質的に同じ製法によって得ることができる。
次に、結晶成長されたn型β−Ga単結晶に切断、研削、及び鏡面研磨などの表面処理を行う。表面処理加工としては、従来の表面処理加工と同一の加工技術を使い、例えば厚さが400μmであるn型β−Ga単結晶基板2を作製することができる。
(n型β−Ga単結晶基板の洗浄工程)
n型β−Ga単結晶基板2を所望の外郭形態に作製した後、n型β−Ga単結晶基板2を洗浄する。この洗浄工程にあっても、従来の洗浄技術を使って洗浄することができる。洗浄技術としては、例えばアセトン及びイソプロピルアルコールなどの溶液中でn型β−Ga単結晶基板2を超音波洗浄することができる。
(櫛形電極の作製工程)
n型β−Ga単結晶基板2を洗浄した後、n型β−Ga単結晶基板2上に櫛形電極をパターン加工する。このパターン加工にあっても、従来のパターン加工技術を使ってパターン加工することができる。パターン加工技術としては、例えばフォトリソグラフィー法を用い、n型β−Ga単結晶基板2上に櫛形電極のレジストパターンを形成する。その後、真空蒸着法あるいは電子ビーム蒸着法等により、Ti(厚さ200nm)及びAl(厚さ200nm)の金属薄膜を堆積する。次に、リフトオフ法により、Ti/Alの2層構造からなる一対の櫛形電極3a,3bの所望のパターンを形成する。
(第1の実施の形態の効果)
上記した第1の実施の形態によれば、以下の様々な効果が得られる。
(1)使用用途に応じて最も適したバンドギャップをもつn型β−Ga単結晶基板2を選択することができるようになる。
(2)n型β−Ga単結晶基板2のバンドギャップより高いエネルギーをもつ約258nm以下の波長域に広がる光を検出することができる。これにより、太陽光からの光に感光することなく、約258nm以下の波長域に広がる火炎の光を選択的に受光することができる。
(3)ダイヤモンドを利用した素子と比較して、ダイヤモンドよりも波長範囲(紫外領域)が広くなり、しかも色々な火炎スペクトルの波長とマッチングした紫外線波長領域の光を検知するセンサを得ることが可能となり、実用的に支障のない感度を有するとともに、汎用性の高い普及型の深紫外線センサを得ることができる。
なお、光伝導型センサの他の一例としては、例えばスパッタ処理を施すことにより、ガラス又はサファイア等の異種基板上にβ−Ga単結晶膜を成膜し、その後、アニール処理を行って作製してもよい。その膜の形態は、実用的に支障のない受光感度を得ることができる多結晶膜で構成することが可能である。
[第2の実施の形態]
(ショットキー接合型センサ素子)
図2は、本発明の第2の実施の形態である紫外線センサ素子を模式的に示す図である。図2(a)は、電極パターンを模式的に示す平面図、図2(b)は、図2(a)の2B−2B線の断面図である。なお、これらの図において上記第1の実施の形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。従って、これらの部材に関する詳細な説明は省略する。
これらの図において、第2の実施の形態に係る紫外線センサ1としては、光誘起電流の変化により、受光部に照射される光を検出するショットキー接合型センサ素子により構成することができる。
(基板の構成)
受光部としては、p型β−Ga単結晶基板4により構成することができる。なお、この第2の実施の形態では、受光部をp型β−Ga単結晶で構成したものを例示するが、特に限定されるものではない。その受光部としては、例えばn型β−Ga単結晶で構成したものであってもよい。
(検出電極の構成)
p型β−Ga単結晶基板4の同一表面には、中央部に円形状の切欠き5aを有するオーミック電極5、及びp型β−Ga単結晶基板4とショットキー接合をなす透光性の透明ショットキー電極6を形成することができる。透明ショットキー電極6は、オーミック電極5の切欠き5aの径よりも小径の円盤形状をなしており、オーミック電極5と所定の間隙gをもってオーミック電極5の切欠き5a内に配されている。
透明ショットキー電極6の上面には、幅Wのショットキー電極6aが形成されている。そのショットキー電極6aは、透明ショットキー電極6の中心を含む十文字(クロス線)形状を有している。そのクロス部分には、ショットキー電極6と外部との接続を容易にするために、円形の中央パッド電極部6bが突出されている。
オーミック電極5としては、例えばTi薄膜及びAl薄膜の2層構造により形成することができる。透明ショットキー電極6としては、検出対象とする光の波長に対して透明な透光性の金属薄膜からなり、例えば約258nm以下の光の波長に対して透明な透光性を有するAu薄膜により形成することができる。ショットキー電極6aとしては、例えばAu薄膜により形成することができる。
以下の表3に、第2の実施の形態に係るp型β−Ga単結晶基板4の厚さと電極5,6の厚さをまとめて表す。
Figure 2009070950
以下の表4に、第2の実施の形態に係る電極5,6の外形寸法をまとめて表す。
Figure 2009070950
(ショットキー接合型センサ素子の動作)
いま、p型β−Ga単結晶基板4に、そのバンドギャップより高いエネルギーをもつ約258nm以下の波長の光が当たると、その光は、透明ショットキー電極6を透過し、p型β−Ga単結晶基板4に達すると吸収される。p型β−Ga単結晶基板4の価電子帯の電子が伝導帯に励起し、電子と正孔とがペアとして発生する。p型β−Ga単結晶基板4及び透明ショットキー電極6の接合部には、拡散電圧が生じる。この拡散電圧により伝導帯に励起された電子は、プラス側の透明ショットキー電極6側へ流れる。このときのショットキー電極6aの電流値を検出することで、p型β−Ga単結晶基板4のバンドギャップより高いエネルギーをもつ約258nm以下の波長の光を検出することができる。
(ショットキー接合型センサ素子の製造方法)
この第2の実施の形態に係る光伝導型センサ素子1としては、上記第1の実施の形態に係る光伝導型センサ素子1と同様のバルク単結晶成長技術を使って製造することができる。p型β−Ga単結晶の製法としては、例えば定法に従いマグネシウム(Mg)などをドープした後、熱処理することで、β−Ga単結晶をp型化するか、あるいはMgをイオン注入することでβ−Ga単結晶をp型化することができる。
受光部となるp型β−Ga単結晶基板4上へのエピ成長としては、例えばβ−Ga単結晶基板上にビーム分子エピタキシャル法(MBE法)あるいはパルスレーザ堆積法(PLD法)等の従来の製法と同一の薄膜成形技術を使って製造することができる。p型β−Ga単結晶薄膜の製法の一例としては、例えば本出願人等が先に提案した特開2004−342857号公報等に記載されたβ−Ga単結晶の作製技術と実質的に同じ製法によって得ることができる。
(第2の実施の形態の効果)
この第2の実施の形態の紫外線センサ1によると、上記第1の実施の形態の効果と同様に、p型β−Ga単結晶基板4のバンドギャップより高いエネルギーをもつ約258nm以下の波長の光に感度を有し、可視光領域では感度を有しないセンサ素子を得ることができる。
なお、ショットキー接合型センサ1の他の一例としては、例えばスパッタ処理を施すことにより、ガラス又はサファイア等の異種基板上にβ−Ga単結晶膜を成膜し、その後、アニール処理を行って作製してもよい。その膜の形態は、実用的に支障のない受光感度を得ることができる多結晶膜で構成することが可能である。
また、ショットキー接合型センサ1の更に他の一例としては、例えばp型あるいはn型のβ−Ga単結晶基板の上に、同一の導電型又は他の導電型からなるβ−Gaエピタキシャル層を形成したものをセンサ素子として使用することができることは勿論である。検出電極としては、上記第2の実施の形態と同様に、β−Gaエピタキシャル層の上面の所定領域にオーミック電極5、透明ショットキー電極6、及びショットキー電極6aを形成することができる。
[第3の実施の形態]
(PN接合型センサ素子)
図3は、本発明の第3の実施の形態である紫外線センサ素子を模式的に示す図であり、図3(a)は、電極パターンを模式的に示す平面図、図3(b)は、図3(a)の3B−3B線の断面図である。なお、これらの図において上記第1の実施の形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。従って、これらの部材に関する詳細な説明は省略する。
これらの図において、第3の実施の形態に係る紫外線センサ1としては、照射される光を検出する受光部のデバイス構造をPN接合型により構成している。
(PN接合の構成)
図示例によると、PN接合型センサ素子は、n型β−Ga単結晶基板2の表面に、p型β−Gaエピタキシャル層7をエピタキシャル成長させた構造を有している。n型β−Ga単結晶基板2の厚さとしては、上記各実施の形態と同様に、例えば400μm程度が好ましい。p型β−Gaエピタキシャル層7の厚さとしては、例えば数百nm〜数μm程度が好適であり、特に限定されない。
(電極の構成)
p型β−Gaエピタキシャル層7の上面の所定領域には、円盤形状のp側オーミック電極8を形成することができる。n型β−Gaエピタキシャル基板2の下面の所定領域には、p側オーミック電極8よりも大径のn側オーミック電極9を形成することができる。図示例によれば、オーミック電極9としては、Ti(厚さ200nm)及びAl(厚さ200nm)を2層構造に形成した電極を使用している。
(PN接合型センサ素子の動作)
いま、p型β−Gaエピタキシャル層7に、そのバンドギャップより高いエネルギーをもつ約258nm以下の波長の光が当たると、その光はp型β−Gaエピタキシャル層7を透過し、n型β−Ga単結晶基板2との界面に達すると吸収される。その界面において、価電子帯の電子が伝導帯に励起し、電子と正孔のペアが生成される。
p側及びn側を開放した状態にすると、励起された電子は、n型領域に蓄積される。一方の正孔は、p型領域に蓄積される。n型領域には、負の空間電荷が形成される。p型領域には、正の空間電荷が形成される。n型領域のフェルミ準位が、p型領域のフェルミ準位より伝導帯へ上昇することで、これらのフェルミ準位間にqVの差ができる。拡散電圧Vは、V分だけ減少する。n型電極及びp型電極間には、Vの起電力が発生する。この起電力を電圧計により測定することで、β−Ga単結晶のバンドギャップより高いエネルギーをもつ約258nm以下の波長の光を検出することができる。
(PN接合型センサ素子の製造方法)
この第3の実施の形態に係るPN接合型センサ素子1のn型β−Ga単結晶基板2にあっても、上記各実施の形態と同様に、例えばEFG法及びFZ法などの従来の製法と同一のバルク単結晶成長技術を使って製造することができる。p型β−Gaエピタキシャル層7の作製にあっても、例えばMBE法あるいはPLD法等を使って、n型β−Ga単結晶基板2上に、p型β−Gaエピタキシャル薄膜を成長させることができる。n型β−Ga単結晶の製法の一例としては、例えば本出願人等が先に提案した特開2004−342857号公報等に記載されたβ−Ga単結晶の作製技術と実質的に同じ製法によって得ることができる。
(第3の実施の形態の効果)
上記第3の実施の形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)上記第1の実施の形態の効果に加えて、受光面積を最大限に取ることが可能となる。
(PN接合型センサ素子の変形例)
図4は、PN接合型センサ素子の変形例を模式的に示している。図4(a)は、電極パターンを模式的に示す平面図、図4(b)は、図4(a)の4B−4B線の断面図である。なお、これらの図において上記第3の実施の形態と実質的に同じ部材には同一の部材名と符号を付している。
(PN接合の構成)
PN接合型センサ素子1は、n型β−Ga単結晶基板2と、n型β−Gaエピタキシャル層10と、p型β−Gaエピタキシャル層7とを順次積層した積層構造を有している。n型β−Ga単結晶基板2とp型β−Gaエピタキシャル層7との間にn型β−Gaエピタキシャル層10を設けた構成を採用することにより、電気的特牲に優れており、良質の結晶が得られるようになり、良好な受光感度を得ることができる。
(検出電極の構成)
p型β−Gaエピタキシャル層7の上面の所定領域には、p側オーミック電極8を形成することができる。n型β−Ga単結晶基板2の下面の所定領域には、n側オーミック電極9を形成することができる。
PN接合型センサ素子の他の一例としては、例えばガラス又はサファイア等の異種基板の表面に、β−Gaエピタキシャル薄膜を成長させることができる。
なお、この変形例であるPN接合型センサ素子にあっても、例えばMBE法あるいはPLD法などの従来の製法と同様の薄膜成形技術を使って製造することができることは勿論である。また、上記第3の実施の形態の効果と同様に、酸素欠損が少ない良質の結晶を得ることができる。
以上の説明からも明らかなように、上記各実施の形態にあっては、約4.8eVのバンドギャップを有するセンサ素子を例示しているが、例えば約4.8eVよりも大きなバンドギャップを有する光を選択的に吸収するセンサ素子にも適用が可能である。また、例えばn側及びp側の電極も上記各実施の形態の材料に限定されることはなく、他の金属あるいは半導体の材料を使用してもよいことは勿論であり、本発明の初期の目的を十分に達成することができる。従って、本発明は、上記各実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲内で様々に設計変更が可能である。
本発明は、例えば火災センサ及び紫外線照射装置内の紫外線センサなどに効果的に使用することができる。
本発明の代表的な実施の形態である紫外線センサ素子を模式的に示す図であり、(a)は電極パターンを模式的に示す平面図、(b)は、(a)の1B−1B線の断面図である。 本発明の第2の実施の形態である紫外線センサ素子を模式的に示す図であり、(a)は、電極パターンを模式的に示す平面図、(b)は、(a)の2B−2B線の断面図である。 本発明の第3の実施の形態である紫外線センサ素子を模式的に示す図であり、(a)は、電極パターンを模式的に示す平面図、(b)は、(a)の3B−3B線の断面図である。 第3の実施の形態の変形例である紫外線センサ素子を模式的に示す図であり、(a)は、電極パターンを模式的に示す平面図、(b)は、(a)の4B−4B線の断面図である。
符号の説明
1 紫外線センサ
2 n型β−Ga単結晶基板
3a,3b 櫛形電極
4 p型β−Ga単結晶基板
5 オーミック電極
5a 切欠き
6 透明ショットキー電極
6a ショットキー電極
6b 中央パッド電極部
7 p型β−Gaエピタキシャル層
8 p側オーミック電極
9 n側オーミック電極
10 n型β−Gaエピタキシャル層

Claims (5)

  1. β−Ga単結晶層よりなる受光部と、
    前記受光部が紫外線を受光して励起された電流あるいは電圧を検出する検出電極と、
    を備えたことを特徴とする紫外線センサ。
  2. 前記β−Ga単結晶層は、一導電型のβ−Ga単結晶基板であることを特徴とする請求項1記載の紫外線センサ。
  3. 前記β−Ga単結晶層は、一導電型のβ−Ga単結晶エピタキシャル層であることを特徴とする請求項1記載の紫外線センサ。
  4. 前記β−Ga単結晶層は、一導電型のβ−Ga単結晶基板と、前記一導電型のβ−Ga単結晶基板上にエピタキシャル成長した他の導電型のβ−Ga単結晶層であることを特徴とする請求項1記載の紫外線センサ。
  5. 前記β−Ga単結晶層は、一導電型のβ−Ga単結晶エピタキシャル層と、前記一導電型のβ−Ga単結晶エピタキシャル層に接合された他の導電型のβ−Ga単結晶エピタキシャル層であることを特徴とする請求項1記載の紫外線センサ。
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