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JP2009057679A - ポリアミド潜在捲縮糸 - Google Patents

ポリアミド潜在捲縮糸 Download PDF

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JP2009057679A JP2008267482A JP2008267482A JP2009057679A JP 2009057679 A JP2009057679 A JP 2009057679A JP 2008267482 A JP2008267482 A JP 2008267482A JP 2008267482 A JP2008267482 A JP 2008267482A JP 2009057679 A JP2009057679 A JP 2009057679A
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Abstract

【課題】コスト面で有利に得ることができ、布帛に十分な伸縮性と柔軟性を付与することが可能なポリアミド潜在捲縮糸を提供する。
【解決手段】粘度差を有する2種類のポリアミドをサイドバイサイド型に貼り合わせた繊維において、高粘度ポリマーは相対粘度3.0〜3.5のナイロン6/66共重合体、低粘度ポリマーは相対粘度2.0〜2.9のナイロン6であり、初期ヤング率が15〜25g/d、捲縮率が40%以上、強度3.0〜4.0g/dであるるポリアミド潜在捲縮糸。
【選択図】なし

Description

本発明は、粘度差を有する2種類のポリアミドがサイドバイサイド型に配置された潜在捲縮性能を有するポリアミド潜在捲縮糸に関するものである。
従来から、ポリアミド繊維は衣料用途に広く用いられている。衣料用ポリアミドの代表であるナイロン6やナイロン66等で一種類のポリマーからなる単一糸は、繊維自体に伸縮性が殆どないため、仮撚加工等を行って伸縮性を付与し、伸縮性のある織編物用に使用している。しかしながら、このような単一糸に加工を施したものでは、十分に満足できる伸縮性を有する布帛を得ることは困難であった。
そこで、弾性を有する繊維とすることによって伸縮性を有する布帛を得る方法や、あるいは、異なる性質のポリマーを用い、染色等の熱処理で捲縮を発現する潜在捲縮性能を有する複合繊維とすることによって、伸縮性を有する布帛を得る方法が提案されている。
前者の弾性を有する繊維においては、ポリウレタン系弾性糸が多く用いられるが、染色性や耐光性が悪く、ナイロン6やナイロン66でカバーリング加工をして用いるのが一般的である。また、特開平57−193521号公報には、伸縮性を有する繊維として、ナイロン系エラストマーとポリアミドをサイドバイサイド型や偏芯芯鞘型に配した複合繊維が記載されているが、これらの繊維はいずれも、カバーリングの加工費やポリウレタン弾性糸及びナイロン系エラストマーが高価でありコスト面で不利であった。
また、後者の異なる性質のポリマーを用いて複合繊維にする場合には、繊維断面形状をサイドバイサイド型として、2成分のポリマーの粘度差を利用して熱水収縮率差を持たせたり、あるいは、熱水収縮率の異なるポリマーを用いることが一般的である。このような複合繊維は、後加工等が必要ない分製造するにはコスト面で有利であり、布帛にある程度の伸縮を付与することはできたが、十分に満足できる程度の伸縮を付与することはできなかった。
さらには、このようなポリアミド繊維は、ポリウレタン等と比べて初期ヤング率が高く、柔軟性に乏しく、布帛にしたときに風合の硬いものしか得られないという問題があった。
特開平57−193521号公報
本発明は、上記の問題を解決するものであって、コスト面で有利に得ることができ、布帛に十分な伸縮性と柔軟性を付与することが可能なポリアミド潜在捲縮糸を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、次の(1)を要旨とするものである。
(1)粘度差を有する2種類のポリアミドをサイドバイサイド型に貼り合わせた繊維において、高粘度ポリマーは相対粘度3.0〜3.5のナイロン6/66共重合体、低粘度ポリマーは相対粘度2.0〜2.9のナイロン6であり、初期ヤング率が15〜25g/d、捲縮率が40%以上、強度3.0〜4.0g/dであることを特徴とするポリアミド潜在捲縮糸。
本発明のポリアミド潜在捲縮糸は、潜在を発現させたときの捲縮率が高く、初期ヤング率が低いため、製編織した後、熱処理を施すと十分な伸縮性と柔軟性を有する布帛とすることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の潜在捲縮糸は、粘度差を有する2種類のポリアミドをサイドバイサイド型に貼り合わせた繊維であって、高粘度ポリマーは相対粘度3.0〜3.5のナイロン6/66共重合体、低粘度ポリマーは相対粘度2.0〜2.9のナイロン6である。
高粘度ポリマーは、熱水収縮率が大きく、さらに、高速紡糸が可能となるように相対粘度が3.0〜3.5である必要がある。したがって、相対粘度がこの範囲を超えると高速紡糸時の製糸性が劣り、低いと捲縮性能が劣る。
そして、このような高粘度ポリマーとして、ナイロン6にナイロン66を共重合した共重合ポリマーとする。ナイロン66の共重合割合は、5〜20モル%とすることが好ましい。
また、低粘度ポリマーは、高い捲縮性能を得るために、熱水収縮率が小さく、安価なポリマーとして、ナイロン6を用い、その相対粘度は2.0〜2.9、さらに好ましくは2.3〜2.7とする。2.0未満であると、高粘度ポリマーとの粘度差が大きくなりすぎ、糸曲がりが大きく製糸性が悪くなる。一方、2.9を超えると高粘度ポリマーとの粘度差が小さくなり、捲縮性能に劣るものとなる。
したがって、高粘度ポリマーと低粘度ポリマーとの相対粘度の差は、好ましくは、0.4〜1.2、さらに好ましくは0.5〜1.0である。
なお、高粘度ポリマー、低粘度ポリマーともに本発明の効果を損なわない範囲であれば、艶消剤、難燃剤、顔料等の種々の添加物を添加してもよい。
また、本発明の潜在捲縮糸は、高粘度ポリマーと低粘度ポリマーがサイドバイサイド型に貼り合わされたものであり、両成分の割合、貼り合わせ面の形状は特に限定されるものではないが、重量比で高粘度ポリマー/低粘度ポリマーが2/1〜1/2程度とすることが好ましい。そして、繊維の断面形状も丸断面のみならず、各種の異形断面形状のものでもよい。
そして、本発明の潜在捲縮糸は、初期ヤング率が15〜25g/d、さらに好ましくは15〜20g/dである。初期ヤング率をこの範囲内にすることによって、布帛に適度の柔軟性を持たせることができる。したがって、初期ヤング率が15g/d未満であると布帛が柔軟になりすぎ、25g/dを超えると、柔軟性に乏しく、硬い風合の布帛となる。
さらに、本発明の潜在捲縮糸は、伸縮性の良好な布帛を得るために、潜在捲縮が発現したときの捲縮率が40%以上であることが必要である。これよりも小さいと伸縮性が劣り好ましくない。ここで、捲縮率とは、本発明の潜在捲縮糸を繊度測定用検尺器にて5回カセ取りを行い2重のループにし、1/6000g/dの荷重をかけた状態で沸騰水中に30分間浸漬した後取り出し、その状態で30分間風乾し、その後、荷重を1/500g/dに変更して長さAを測定し、次に荷重1/20g/dをかけて長さBを求め、次の式で算出するものである。
捲縮率(%)=〔(B−A)/B〕×100
なお、高粘度ポリマーの相対粘度を前記範囲内で変更すればある程度、捲縮率を調整することができる。
また、本発明の潜在捲縮糸は、布帛としたときに柔軟性、伸縮性に優れ、特に衣料用途に適したものであり、強度は3.0〜4.0g/dであることが必要であり、伸度35〜45%、熱水収縮率10〜25%、単糸繊度2.0〜6.0d程度のものである。
次に、本発明の潜在捲縮糸の製造方法について説明する。まず、粘度差を有する2種類のポリアミドをサイドバイサイド型の紡糸口金で溶融紡出するが、このとき、常用の複合紡糸装置を用いて、常用のサイドバイサイド型の紡糸口金で溶融紡糸することができる。そして、紡出された糸条を冷却固化し、油剤を付与した後、速度4000m/分以上で捲き取り、高配向未延伸糸を得る。
高配向未延伸糸を得る際には、4000m/分以上の速度で捲き取る必要がある。これよりも低いと延伸倍率が大きくなり、捲縮性能が低下したり、初期ヤング率が高くなり、柔軟性に劣るようになる。
得られた高配向未延伸糸に延伸と熱処理を施すことによって、上記のような本発明の潜在捲縮糸を得るが、このとき、延伸は、延伸倍率1.2〜1.5倍とし、熱処理は、120〜160℃で施す。本発明の製造方法においては、熱処理と延伸の順序は、延伸と熱処理を同時に行うか、もしくは延伸後に熱処理を行うことが好ましい。
延伸については、延伸倍率1.2〜1.5の低倍率で行う。この範囲より小さいと強度が劣り、捲縮率も低くなる。また、この範囲より大きいと初期ヤング率が高くなり、柔軟性に乏しくなる。
熱処理については、高粘度ポリマーは結晶性が低く、適度の熱処理を行わないと熱水収縮率が大きく、捲縮による収縮以外に繊維自体も収縮を起こすことがあるので、これを防ぐために、120〜160℃で熱処理する。熱処理温度が120℃未満であると、繊維自体の収縮を防ぐことができず、一方、160℃を超えると、高粘度ポリマーの熱水収縮率が小さくなり、潜在捲縮性能が低下し、好ましくない。
これらの熱処理と延伸は、常用の延伸ピンやローラを用いた延伸装置で行うことができるが、仮撚加工を同時に行う場合は、仮撚加工機で延伸と熱処理を行ってもよい。
次に、本発明を実施例によって具体的に説明する。なお、実施例における各物性値は、次の方法で測定した。
(a)相対粘度
96%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dl、温度25℃で測定した。
(b)強伸度、初期ヤング率
島津製作所製オートグラフAGS−5G型を用いて、JIS L 1013に準じて測定した。
(c)熱水収縮率
糸条を50cmのループにし、1/30g/dの初荷重をかけて長さAを求め、次いでフリーにして沸騰水中に15分間浸漬した後、自然乾燥し、再び1/30g/dの荷重をかけて長さBを求め、次の式で算出した。
熱水収縮率(%)=〔(A−B)/A〕×100
(d)捲縮率
前記の方法で測定した。
実施例1、比較例1〜2
低粘度ポリマーに相対粘度2.50のナイロン6を用い、高粘度ポリマーには相対粘度3.10のナイロン6/66共重合体(ナイロン66の共重合量が15モル%)を用いて常用の複合溶融紡糸装置にサイドバイサイド型複合紡糸口金を装着し、低粘度ポリマーと高粘度ポリマーとの複合比(重量比)を1:1として、ポリマー温度270℃で溶融紡出した。この複合繊維を冷却し、油剤を付与した後、速度4360m/分の第1ローラに引き取り、引き続いて延伸することなく速度4370m/分の第2ローラに引き取り、速度4300m/分のワインダーに捲き取って65d/12fの丸断面形状の高配向未延伸糸を得た。次に、得られた高配向未延伸糸を、延伸ゾーンで径が6mmの非加熱延伸ピン(アルミナ製)に1回掛けて表1に示した延伸倍率となるように延伸しながら、長さ30cm、温度160℃の加熱板に接触させて熱処理し、速度680m/分で引き取り、スピンドル回転7600rpmのパーンにトラベラ32番を用いて巻き取り、50d/12fの潜在捲縮糸を得た。
実施例2
第1ローラの速度を4145m/分、第2ローラの速度を4155m/分、ワインダーの速度を4100m/分とした以外は実施例1と同様に行った。
比較例3
高粘度ポリマーを相対粘度2.80のナイロン6/66共重合体とした以外は実施例1と同様に行った。
比較例4
高粘度ポリマーを相対粘度3.80のナイロン6/66共重合体とした以外は実施例1と同様に行った。
比較例5
低粘度ポリマーを相対粘度3.00のナイロン6とした以外は実施例1と同様に行った。
比較例6
低粘度ポリマーを相対粘度1.80のナイロン6とした以外は実施例1と同様に行った。
比較例7
第1ローラ速度1510m/分、第2ローラ速度1520m/分、ワインダー速度1500m/分で115d/12fの低配向の未延伸糸を得た後、延伸倍率2.30で延伸した以外は実施例1と同様に行った。
実施例1〜2、比較例1〜7で得られた繊維の強度、伸度、熱水収縮率、初期ヤング率、捲縮率を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜2の繊維は、十分な捲縮性能と低い初期ヤング率を有し、強度、伸度等にも優れ、製糸性も良好であった。一方、比較例1の繊維は、延伸倍率が低すぎたため、初期ヤング率が低すぎ、強度にも劣っていた。比較例2の繊維は、延伸倍率が高すぎたため、初期ヤング率が高すぎ、熱水収縮率も高かった。比較例3の繊維は、高粘度ポリマーの相対粘度が低すぎたため、捲縮率の低い繊維となった。比較例4の繊維は、高粘度ポリマーの相対粘度が高すぎたため、糸切れが多く捲き取ることができなかった。比較例5の繊維は、低粘度ポリマーの相対粘度が高すぎたため、高粘度ポリマーとの差が小さくなり、捲縮率の低い繊維となった。比較例6の繊維は、低粘度ポリマーの相対粘度が低すぎたため、高粘度ポリマーとの粘度差が大きくなりすぎ、糸曲がりが激しく製糸が困難であった。また、比較例7の繊維は、低配向の未延伸糸を延伸したものであるため、高い延伸倍率で延伸することが必要になり、強度は高いが初期ヤング率も高くなり、捲縮性能にも劣るものとなった。

Claims (1)

  1. 粘度差を有する2種類のポリアミドをサイドバイサイド型に貼り合わせた繊維において、高粘度ポリマーは相対粘度3.0〜3.5のナイロン6/66共重合体、低粘度ポリマーは相対粘度2.0〜2.9のナイロン6であり、初期ヤング率が15〜25g/d、捲縮率が40%以上、強度3.0〜4.0g/dであることを特徴とするポリアミド潜在捲縮糸。
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