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JP2009054746A - 静電チャック及び静電チャック方法 - Google Patents

静電チャック及び静電チャック方法 Download PDF

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JP2009054746A JP2007219274A JP2007219274A JP2009054746A JP 2009054746 A JP2009054746 A JP 2009054746A JP 2007219274 A JP2007219274 A JP 2007219274A JP 2007219274 A JP2007219274 A JP 2007219274A JP 2009054746 A JP2009054746 A JP 2009054746A
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Abstract

【課題】静電チャックに試料を素早く且つ確実に吸着することができるとともに、静電チャックから試料を素早く剥離させ、この吸着及び剥離に要する時間の短縮化を図ることができる技術を提供する。
【解決手段】試料を保持し誘電面に対して試料を移動させるリフトピンと、リフトピンの先端が誘電面から遠ざかっている際に第3電圧を印加し、リフトピンの先端が誘電面と同一面にある際に第1電圧を印加し、リフトピンの先端が誘電面より入り込んだ際に1電圧より低い第2電圧を印加するチャック電極制御部を備える。
【選択図】図3

Description

本発明は、試料を静電吸着することができる静電チャック、及び試料をチャックする静電チャック方法に関する。
半導体デバイスの製造工程の中において、例えばエッチングやCVD(chemical vapor deposition)等の処理を行う場合にはウエハの載置台として静電チャックが使用される。例えば特許文献1は、真空中で使用される極限紫外光(Extreme
UV;EUV)を用いたEUVリソグラフィで使用される静電チャックが開示されている。静電チャックは導電性を有するシート状のチャック電極の表裏を誘電体である例えばポリイミド等からなる絶縁層で挟んだ構成である。絶縁層の表面にウエハを載置した後、直流電源からチャック電極に直流電圧(チャック電圧)を印加して当該チャック電極とウエハとで挟まれる領域にクーロン力を発生させ、このクーロン力によってウエハを吸着保持する構成とされている。
また、半導体デバイスの製造工程の中において、三次元実装半導体を製造するためウエハ同士を重ね合わせる半導体積層装置が特許文献2のように提案されている。特許文献2に示すような装置においては、ウエハを載置したまま搬送する載置台が必要であり搬送のしやすさを考慮して真空チャックではなく静電チャックが使用される。
さて、載置台上にウエハを静電吸着する場合、一般的には印加電圧が高いとクーロン力も高くなる。従ってウエハを確実に保持するためには、高い電圧を印加することが望ましい。その一方で、必要以上に高い電圧を印加すると、各種処理を行ってからウエハを載置台から剥離する際に、電圧印加を停止しても残留保持力低下までに時間を要する。また、電圧印加を停止して保持力が低下する前にリフトピンによる強制剥離を行うことによって機械的ストレス(ひずみ)による破損やリフトピン上でのウエハずれが発生するおそれもあった。このため載置台に保持に必要な最低限の電圧よりわずかに高い電圧をかけるようにしていた。
特開2006−040993 特開2005−251972
しかしながら、ウエハをリフトピンで載置台の表面に下ろし、そして必要な最低限の電圧よりわずかに高い電圧を印加してから、すぐにリフトピンを載置台の表面からより下げて退避させると、載置台のよるウエハの保持力が弱いためウエハが横方向にずれてしまうことがある。従って、確実にウエハが載置台に保持されるまでの数秒程度の待ち時間を経てからリフトピンを載置台の表面からより下げて退避させなければならず、これが処理速度を低下させる一因となっていた。
本発明はこのような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、静電チャックに試料を素早く且つ確実に吸着することができるとともに、静電チャックから試料を剥離させ、この吸着及び剥離に要する時間の短縮化を図ることができる技術を提供することにある。
第1の観点に係る静電チャックは、チャック電極の表面に誘電面が設けられチャック電極に電圧を印加することにより試料を誘電面に静電吸着させる。そして静電チャックは、試料を保持し前記誘電面に対して前記試料を移動させるリフトピンと、リフトピンに保持された試料が誘電面に当接した際に第1電圧を第1時間に印加し、この第1時間経過後、第1電圧より低い第2電圧を印加するチャック電極制御部と、を備える。
このような構成によれば、試料が誘電面に当接した際に高い電圧である第1電圧を印加し、その後第1時間経過後に低い電圧にする。最初に高い電圧を与えるため、素早く誘電面と試料との間にクーロン力を発生させることができる。
第2の観点に係る静電チャックは、試料を保持し誘電面に対して試料を移動させるリフトピンと、リフトピンの先端が誘電面から遠ざかっている際に第3電圧を印加し、リフトピンの先端が誘電面と同一面にある際に第1電圧を印加し、リフトピンの先端が誘電面より入り込んだ際に1電圧より低い第2電圧を印加するチャック電極制御部を備える。
この構成により、リフトピンが試料を誘電面に当接する前から第3電圧を印加するとともにリフトピンの先端が誘電面と同一面にある際に高い第1電圧を印加するため、試料を素早く吸着することが可能となる。また、最終的にチャック電極に低い電圧を印加するため試料の離脱の際にも素早い離脱が可能となる。
また第3の観点に係る静電チャック方法は、試料が誘電面に静電吸着される前にチャック電極に第3電圧を印加する工程と、試料が誘電面に当接した際にチャック電極に第1電圧を第1時間印加する工程と、この第1時間経過後、第1電圧より低い第2電圧をチャック電極に印加する工程と、を備える。
このような静電チャック方法によれば、試料が誘電面に静電吸着される前に第3電圧を印加するとともに試料が誘電面に当接した際に際に高い第1電圧を印加するため、試料を素早く吸着することが可能となる。また、最終的にチャック電極に低い電圧を印加するため試料の離脱の際にも素早い離脱が可能となり、スループットを向上させることができる。
<静電チャックの構成>
本発明に係る静電チャック100の構成について、図1A及び図1Bを参照しながら説明する。
図1Aは本実施形態の静電チャック100の全体構造を示す断面図であり、図1Bは静電チャック100のウエハホルダ20とホルダ保持台40とが分離し、ウエハホルダ20がウエハホルダ搬送アーム71で支持されている断面図である。
ウエハホルダ20は円柱状の支持台21、チャック電極23及び第1接続端子25を有している。支持台21は、例えばアルミナ(Al)セラミックから絶縁体で構成されており、300mmウエハWを保持するホルダ面を有している。支持台21には後述する昇降ピン30用に第1貫通孔24が形成されている。
ホルダ面は研磨されて均一な面精度が確保されている。チャック電極23は例えばシート状の金属で構成され、絶縁体で覆われている。チャック電極23は内部配線により第1接続端子25に接続されている。なお、絶縁体の体積固有抵抗値は、1012Ωcm以上であることが好ましい。チャック電極23に直流電圧が印加されると支持台21の表面すなわちホルダ面が誘電面となる。
ホルダ保持台40は、円柱状の保持台41、移動板46、この移動板46を移動させるシャフト47及び駆動モータ48を有している。さらにホルダ保持台40は、外部に設けられる図示しない搬送アームとの間でウエハWの受け渡しを行うための例えば3本の昇降ピン30を有している。この昇降ピン30は、支持台21に形成された第1貫通孔24及びホルダ保持台40の保持台41に形成された第2貫通孔44を介して移動可能に設けられる。これら昇降ピン30の下端は移動板46に固定されており、駆動モータ48の回転によりシャフト47が上下動することで昇降ピン30も上下動する。保持台41及び移動板46はステンレス材などの金属材によって構成されている。昇降ピン30の先端には導電性部材37が形成され、その配線がスイッチ13に接続されている。
シャフト47及び駆動モータ48は、任意の位置(高さ)に昇降ピン30を移動させることができるし、また一時停止することができる。シャフト47及び駆動モータ48の代わりに、第1ストロークと第2ストロークとを有する多段エアシリンダを使用してもよい。
図1Bに示すように、ウエハホルダ20の支持台21とホルダ保持台40の保持台41とは着脱可能になっている。保持台41に位置決めピン49が設けられ、支持台21に位置決め孔29が設けられる。このため、ウエハホルダ20がホルダ保持台40に設置されると、保持台41に対する支持台21の位置決めが完了する。従って、支持台21に形成された第1貫通孔24及び保持台41に形成された第2貫通孔44との軸が一致し昇降ピン30が移動できるようになる。また、保持台41に対する支持台21の位置決めが完了すると、保持台41に設けられた第2接続端子45と支持台21に設けられた第1接続端子25とが一致し電気的な導通が完了することになる。第2接続端子45につながった配線は切替スイッチ11に接続されている。
さらに、静電チャック100は制御部50を有している。制御部50は、切替スイッチ11及びスイッチ13に信号を送ることができるようになっており、さらに駆動モータ48に駆動信号を送ることができるように構成されている。切替スイッチ11の接続を切り替えることで、チャック電極23は、第1接続端子25及び第2接続端子45を介して直流電源DCと接続できるように構成されている。ウエハWの吸着を行うときには直流電源DCからチャック電極23へ直流電界の印加を行い、ウエハWの吸着を解除するときにはウエハホルダ20の電荷をアースに逃がすようになっている。直流電源DCは直流電圧を80Vから240Vに可変することができる。
切替スイッチ13の接続を切り替えることで、昇降ピン30の先端の導電性部材37が接地(アース)できるように構成されている。導電性部材37は、ウエハWの吸着を行うときには接地(アース)しておらず、ウエハWを離脱するときにはウエハホルダ20の表面とウエハWとに溜まった電荷をアースに逃がすことができる。制御部50は、駆動モータ48に駆動信号を送ることで昇降ピン30を上下動させる。制御部50には、EUVリソグラフィ、CVD又は半導体積層装置などと同期にして動作できるように、外部信号が入力される。
図1Bでは、ウエハホルダ20がウエハホルダ搬送アーム71によってホルダ保持台40と着脱できるようになっている。これは、ウエハWを保持したままウエハホルダ20を移動するためである。ウエハホルダ搬送アーム71にもウエハホルダ20の第1接続端子25と導通する第3接続端子75が設けられており、不図示の直流電源から直流電圧を供給することでウエハホルダ20の移動中にウエハWの吸着を行うことができる。
<昇降ピンの構成>
次に昇降ピン30の詳細については説明する。図2は複数の昇降ピン30の一本の断面図を示した図である。
移動板46に取り付けられた昇降ピン30は中空管構造になっており、昇降ピン30には中央には真空引き管33が形成されている。真空引き管33はパイプPIと接続されており、そのパイプPIは真空ポンプPOに接続されている。図示しないがパイプPIには2ポートの電磁弁が配置されており、その電磁弁によって大気圧開放と真空引きとを切り換えるようにしてある。
昇降ピン30自体はステンレスなどの金属棒31が素材であるが、その周囲は弾性絶縁部材35である絶縁性プラスチック又は絶縁性ゴムで覆われている。ウエハWと接する昇降ピン30の先端は導電性部材37が形成されている。この導電性部材37は銅(Cu)又はアルミニウム(Al)などの合金を使用している。導電性部材37はスイッチ13に接続されている。なお、昇降ピン30自体が導電性であるので導電性部材37と一体に形成してもよい。
<静電チャックの吸着動作:実施例1>
図3(a)は、実施例1の静電チャック100の吸着動作を説明するタイミングチャートであり、(b)はそのフローチャートである。これら静電チャック100の吸着動作は制御部50が行う。なお、上述したようにウエハホルダ20はホルダ保持台40に着脱可能になっているが、図3はウエハホルダ20がホルダ保持台40に装着された状態で動作である。
図3(a)の上段のチャートは、横軸に時間を縦軸にチャック電極23への印加電圧を採っている。図3(a)の中段のチャートは、横軸に時間を縦軸に昇降ピン30の高さを採っている。図3(a)の中段のチャートは、横軸に時間を縦軸に昇降ピン30の真空度を採っている。以下図3(a)を参照しながら、図3(b)のフローチャートを説明する。
ステップS12において、ウエハホルダ20上で昇降ピン30がウエハWを真空吸着する。つまり時刻t1において、昇降ピン30は駆動モータ48によってウエハホルダ20上の受け渡し位置Paにある。そして図示しない搬送アームとの間でウエハWの受け渡しを行う。ウエハWの受け渡しの際には真空ポンプPOで真空吸着できるようになっており、真空度PtにしてウエハWを昇降ピンの先端で真空吸着する。実施例1において時刻t1ではチャック電極23に直流電源DCから直流電圧が印加されていない。
ステップS14において、昇降ピン30がウエハホルダ20の接触位置PcまでウエハWを下降させる。そして昇降ピン30は接触位置Pcで停止する。つまり、時刻t1から時刻t2までの間に昇降ピン30が受け渡し位置Paから接触位置PcまでウエハWを真空吸着した状態で下降する。時刻t1から時刻t2は例えば1秒から5秒程度である。昇降ピン30の接触位置Pcは、支持台21の表面とほぼ同一面の高さであるが厳密には同一面にすることができない。実施例1において接触位置Pcは同一面から−0.1mmから0.2mmまでの範囲に入るようにしている。
ステップS16では、昇降ピン30が接触位置Pcまで到達したので、制御部50は切替スイッチ11を直流電源DCにつなぎ、ウエハホルダ20のチャック電極23に電圧V2を印加する。チャック電極23に電圧V2を加えてもすぐにはウエハホルダ20に電荷が蓄積されないからである。チャック電極23に電圧V2を印加するとアルミナ(Al)セラミックから構成された絶縁体の支持台21が分極して電荷が発生し支持台21の表面が誘電面となる。そして、支持台21の誘電面とウエハWとの間でクーロン力が発生してウエハWが支持台21の表面に引き寄せられて吸着する。電圧V2は例えば150Vから200Vの直流電圧である。
ステップS18において、ウエハWが支持台21の誘電面に引き寄せられて安定的に静電吸着するために所定の時間TA1待機する。時間TA1すなわち時刻t2からt3までの期間でも昇降ピン30の真空度Ptはそのまま継続している。時間TA1は電圧にもよるが2秒から5秒程度である。ウエハWが支持台21の表面からずれない程度の最低限の電圧V1を印加すると、安定的に静電吸着するために長時間かかってしまうため高めの電圧を印加している。
ステップS20において、制御部50はチャック電極23の電圧を電圧V2から最低限の電圧V1に変更する。最低限の電圧V1はウエハWが支持台21の表面からずれない程度の電圧であり、例えば約100Vから約150Vである。チャック電極23に電圧V2を印加したままにしておくと、ウエハWを支持台21の表面から離脱させる際に、除電用プラズマを発生させても除電するのに時間がかかってしまうからである。
ステップS22において、昇降ピン30の真空吸着を止めて大気圧Atに開放する。これでウエハWと昇降ピン30とが離れる。大気圧Atへの開放は、ステップS20のチャック電極23の電圧変更と同時刻t3に行う。
ステップS24において、昇降ピン30を受け渡し位置Paから退避位置Peまで下降させる。上述したように昇降ピン30を支持台21の表面と厳密には同一面にすることができない。仮に昇降ピン30が支持台21の表面より高くなっていると、ウエハWが反った状態になってしまっている。そのため昇降ピン30を退避位置Peに下降させる。
<静電チャックの吸着動作:実施例2>
図4(a)は、実施例2の静電チャック100の吸着動作を説明するタイミングチャートであり、(b)はそのフローチャートである。これら静電チャック100の吸着動作は制御部50が行う。なお、本実施例もウエハホルダ20がホルダ保持台40に装着された状態で動作である。
図4(a)のチャートはすべて図3(a)と同様であり横軸に時間を採っている。以下図4(a)を参照しながら、図4(b)のフローチャートを説明する。
ステップS32において、ウエハホルダ20上で昇降ピン30がウエハWを真空吸着する。つまり時刻t1において、昇降ピン30は駆動モータ48によってウエハホルダ20上の受け渡し位置Paにある。そして図示しない搬送アームとの間でウエハWの受け渡しを行う。ウエハWの受け渡しの際には真空ポンプPOで真空吸着できるようになっており、ウエハWを昇降ピンの先端で真空吸着する。
ステップS34において、昇降ピン30はウエハWを受け採る際に制御部50は直流電源DCからチャック電極23に電圧V3を印加する。この電圧V3は、時刻t1から時刻t2の違い又は支持台21の電荷の蓄積具合によって変えてもよい。例えば点線で描いてある電圧V4を制御部50はチャック電極23に印加させてもよい。すなわち、電圧V3又は電圧V4は、80Vから200Vまでの任意の直流電圧を設定することができる。
ステップS36において、昇降ピン30がウエハホルダ20の接触位置PcまでウエハWを下降させる。そして昇降ピン30は接触位置Pcで停止する。つまり、時刻t1から時刻t2までの間に昇降ピン30が受け渡し位置Paから接触位置PcまでウエハWを真空吸着した状態で下降する。時刻t1から時刻t2は例えば1秒から5秒程度である。昇降ピン30の接触位置Pcは、支持台21の表面とほぼ同一面の高さであるが厳密には同一面にすることができない。実施例2において接触位置Pcは同一面から−0.1mmから0.2mmまでの範囲に入るようにしている。
ステップS38では、昇降ピン30が接触位置Pcまで到達したので、制御部50はチャック電極23の電圧を電圧V3から電圧V2に変更する。実施例1とは異なり実施例2ではチャック電極23にすでに電圧V3が加えられているため、支持台21に電荷が蓄積されている。そのため、支持台21に発生している電荷がウエハWにすぐに影響を与える。支持台21の誘電面とウエハWとの間でクーロン力が発生してウエハWが支持台21の誘電面に引き寄せられて吸着する。電圧V2は例えば150Vから200Vの直流電圧である。
ステップS40において、ウエハWが支持台21の誘電面に引き寄せられて安定的に静電吸着するために所定の時間TA2待機する。時間TA2すなわち時刻t2からt3までの期間でも昇降ピン30の真空吸着はそのまま継続している。時間TA2は実施例1の時間TA1よりも短い時間で十分である。時刻t1から時刻t2までにチャック電極23に電圧V3を印加していたからである。
ステップS42において、制御部50はチャック電極23の電圧を電圧V2から最低限の電圧V1に変更する。最低限の電圧V1はウエハWが支持台21の表面からずれない程度の電圧であり、例えば約100Vから約150Vである。
ステップS44において、ステップS42のチャック電極23の電圧変更と同時刻t3に、昇降ピン30の真空吸着を止めて大気圧Atに開放する。
ステップS46において、昇降ピン30を受け渡し位置Paから退避位置Peまで下降させる。
<静電チャックの吸着動作:実施例3>
図5(a)は、実施例3の静電チャック100の吸着動作を説明するタイミングチャートであり、(b)はそのフローチャートである。これら静電チャック100の吸着動作は制御部50が行う。なお、本実施例もウエハホルダ20がホルダ保持台40に装着された状態で動作である。
図5(a)のチャートはすべて図3(a)と同様であり横軸に時間を採っている。以下図5(a)を参照しながら、図5(b)のフローチャートを説明する。
ステップS52において、ウエハホルダ20上で昇降ピン30がウエハWを真空吸着する。つまり時刻t1において、昇降ピン30は駆動モータ48によってウエハホルダ20上の受け渡し位置Paにある。そして図示しない搬送アームとの間でウエハWの受け渡しを行う。ウエハWの受け渡しの際には真空ポンプPOで真空吸着できるようになっており、ウエハWを昇降ピンの先端で真空吸着する。
ステップS54において、昇降ピン30はウエハWを受け採る際に制御部50は直流電源DCからチャック電極23に電圧V3を印加する。この電圧V3は時刻t1から時刻t2にかけて電圧V2まで電圧を可変させる。図5(a)のように直線的に電圧を可変してもよいし階段上に順次電圧V3から電圧V2へ可変してもよい。電圧V3は、80Vから200Vまでの任意の直流電圧を設定することができる。電圧V2は例えば150Vから200Vの直流電圧である。
ステップS56において、昇降ピン30がウエハホルダ20の接触位置PcまでウエハWを下降させる。そして昇降ピン30は接触位置Pcで停止する。つまり、時刻t1から時刻t2までの間に昇降ピン30が受け渡し位置Paから接触位置PcまでウエハWを真空吸着した状態で下降する。時刻t1から時刻t2は例えば1秒から5秒程度である。昇降ピン30の接触位置Pcは、支持台21の表面とほぼ同一面の高さであるが厳密には同一面にすることができない。実施例3において接触位置Pcは同一面から−0.1mmから0.2mmまでの範囲に入るようにしている。
ステップS58では、昇降ピン30が接触位置Pcまで到達し、チャック電極23の電圧は電圧V2になっている。実施例1とは異なり実施例3ではチャック電極23にすでに電圧V3から電圧V2が加えられているため、支持台21に電荷が蓄積されている。そのため、支持台21に発生している電荷がウエハWにすぐに影響を与える。支持台21の誘電面とウエハWとの間でクーロン力が発生してウエハWが支持台21の誘電面に引き寄せられて吸着する。
ステップS60において、ウエハWが支持台21の誘電面に引き寄せられて安定的に静電吸着するために所定の時間TA3待機する。時間TA3すなわち時刻t2からt3までの期間でも昇降ピン30の真空度Ptはそのまま継続している。時間TA3は実施例1の時間TA1よりも短い時間で十分である。時刻t1から時刻t2までにチャック電極23に電圧V2から電圧V3の可変電圧を印加していたからである。
ステップS62において、制御部50はチャック電極23の電圧を電圧V2から最低限の電圧V1に変更する。最低限の電圧V1はウエハWが支持台21の表面からずれない程度の電圧であり、例えば約100Vから約150Vである。
ステップS64において、昇降ピン30の真空吸着を止めて大気圧Atに開放する。ステップS62のチャック電極23の電圧変更と同時の時刻t3に行う。
ステップS66において、昇降ピン30を受け渡し位置Paから退避位置Peまで下降させる。
以上のように実施例1ないし実施例3の静電チャックの吸着動作によれば、静電チャック23にウエハWを吸着する時間を短縮することができるとともに、ウエハWを支持台21から離脱させる際にも、最低限の電圧を静電チャック23に印加しているため剥離に要する時間の短縮化を図ることができる。
<静電チャックの離脱動作>
図6(a)は、静電チャック100の離脱動作を説明するタイミングチャートであり、(b)はそのフローチャートである。これら静電チャック100の離脱動作は制御部50が行う。
図6(a)のチャートはすべて図3(a)と同様であり横軸に時間を採っている。以下図6(a)を参照しながら、図6(b)のフローチャートを説明する。
ステップS102において、制御部50は切替スイッチ11を直流電源DCからアースに切り替え、支持台21に蓄積された電荷をアースに逃がす。つまり時刻t5において、静電吸着を止める。
ステップS104において、昇降ピン30をウエハホルダ20の接触位置Pcまで上昇させる。
ステップS106では、切替スイッチ13の接続を切り替えることで、昇降ピン30の先端の導電性部材37を接地させる。そしてウエハWに蓄積された電荷もアースに逃がす。
ステップS108において、ウエハW及び支持台21の電荷を放電するため所定の時間TA5待機する。上述したようにウエハWを静電吸着しているチャック電極23の電圧は最低限である電圧V1にしているため、電荷を放電する時間を短くすることができる。また、支持台21の電荷を放電するだけでなく、昇降ピン30の先端の導電性部材37も使って電荷を逃がしているため、素早く電荷を逃がすことができる。なお、さらに早く電荷を逃がすため除電プラズマを発生させて支持台21及びウエハWの電荷を逃がしてもよい。
ステップS110において、昇降ピン30を真空吸着してウエハWを吸着する。つまり、時刻t7において昇降ピン30の導電性部材37がウエハWに接触したら、ウエハWの真空吸着を開始する。
ステップS112において、時間TA5が経過後すなわち時刻t8になったら、昇降ピン30を受け渡し位置Paまで上昇させ、図示しない搬送アームとの間でウエハWの受け渡しを行う。
以上において、ウエハW及びウエハホルダ20における残留電荷の除電を積極的に促すための手段として、支持台21の接地、導電性部材37による接地及び除電プラズマの発生を挙げたが、別例としては、ウエハホルダ20を振動させることで局在する残留電荷の吸着力を弱めることができる。
本発明に係る静電チャック100の全体構造を示す断面図である。 静電チャック100のウエハホルダ20とホルダ保持台40とが分離し、ウエハホルダ20がウエハホルダ搬送アーム71で支持されている断面図である。 昇降ピン30の一本の断面図を示した拡大図である。 実施例1の静電チャック100の吸着動作を説明するタイミングチャートであり、(b)はそのフローチャートである。 実施例2の静電チャック100の吸着動作を説明するタイミングチャートであり、(b)はそのフローチャートである。 実施例3の静電チャック100の吸着動作を説明するタイミングチャートであり、(b)はそのフローチャートである。 静電チャック100の離脱動作を説明するタイミングチャートであり、(b)はそのフローチャートである。
符号の説明
W … 半導体ウエハ
11,13 … 切替スイッチ
20 … ウエハホルダ
21 … 支持部
23 … チャック電極
25,45,75 … 第1接続端子,第2接続端子,第3接続端子
30 … 昇降ピン
35 … 弾性絶縁部材
37 … 導電性部材
40 … ホルダ保持台
41 … 保持台
46 … 移動板
47 … シャフト
50 … 制御部
71 … ウエハホルダ搬送アーム
100 … 静電チャック
DC … 直流電源

Claims (8)

  1. チャック電極の表面に誘電面が設けられ、チャック電極に電圧を印加することにより試料を前記誘電面に静電吸着させる静電チャックにおいて、
    前記試料を保持し前記誘電面に対して前記試料を移動させるリフトピンと、
    前記リフトピンに保持された試料が前記誘電面に当接した際に第1電圧を第1時間に印加し、この第1時間経過後、第1電圧より低い第2電圧を印加するチャック電極制御部と、を備えることを特徴とする静電チャック。
  2. 前記リフトピンは、前記リフトピンの先端が前記誘電面と同一面に位置する状態で前記第1時間停止することを特徴とする請求項1に記載の静電チャック。
  3. 前記チャック電極制御部は、前記試料が前記誘電面に静電吸着される前に第3電圧を印加することを特徴とする請求項1に記載の静電チャック。
  4. チャック電極の表面に誘電面が設けられ、チャック電極に電圧を印加することにより試料を前記誘電面に静電吸着させる静電チャックにおいて、
    前記試料を保持し前記誘電面に対して前記試料を移動させるリフトピンと、
    前記リフトピンの先端が前記誘電面から遠ざかっている際に第3電圧を印加し、前記リフトピンの先端が前記誘電面と同一面にある際に第1電圧を印加し、前記リフトピンの先端が第前記誘電面より入り込んだ際に前記1電圧より低い第2電圧を印加するチャック電極制御部を備えることを特徴とする静電チャック。
  5. 前記リフトピンの先端に真空吸着用の孔部が形成され、前記リフトピンの先端が前記誘電面から遠ざかっている際には前記孔部が前記試料を真空吸着することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の静電チャック。
  6. 前記リフトピンの先端に導電面が形成されており、
    この導電面を接地状態にさせ又は非接地状態にさせたりするスイッチを有することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の静電チャック。
  7. 前記静電チャックは前記試料を支持する支持台と前記リフトピンとを分離することができ、前記支持台は前記試料を静電吸着したまま移動可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の静電チャック。
  8. 試料が誘電面に静電吸着される前にチャック電極に第3電圧を印加する工程と、
    前記試料が誘電面に当接した際に前記チャック電極に第1電圧を第1時間印加する工程と、
    この第1時間経過後、第1電圧より低い第2電圧を前記チャック電極に印加する工程と
    を備えることを特徴とする静電チャック方法。
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