JP2009048819A - 平角導体及びそれを用いたフラットケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】85℃もしくはそれ以上もの高温環境になりうる自動車などに使用する、価格低減および導体強度維持した平角導体を提供する。
【解決手段】導体が導電率95%以上のCu濃度99.9%以上の純銅からなり、その引張強さが350MPa以上400MPa以下の範囲とするものである。
【選択図】図1
【解決手段】導体が導電率95%以上のCu濃度99.9%以上の純銅からなり、その引張強さが350MPa以上400MPa以下の範囲とするものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、平角導体及びそれを用いたフラットケーブルに係り、特に、自動車など高温環境下で適用する平角導体及びそれを用いたフラットケーブルに関する。
フラットケーブルは薄いテープ状の電線である。フラットケーブルは、単数本から数十本並列した導体と、絶縁性と難燃性を共有する接着剤を塗工した接着剤付き絶縁フィルムとを熱ロールなどでラミネートすることにより製造される。
フラットケーブルはその柔軟性を活かし、回路間のジャンパ線(固定配線)に用いられてきた。近年、フラットケーブルの屈曲特性が向上し、フラットケーブルを電気・電子機器の可動部配線にFPC(フレキシブルプリント配線板)代替として適用するケースが増加している。特に、低価格化を狙ったパソコン用のインクジェット型プリンタ印字ヘッド部配線やCD、DVD(デジタル多用途ディスクプレーヤ)やカーナビゲーションのピックアップ部配線など電子機器への適用が進んでいる。
さらに、フラットケーブルは自動車にも適用され始めている(例えば、非特許文献1参照)。フラットケーブルは自動車においてハーネス化して使われる。その接続は、導体に端子を突き刺し加締める手法(ピアッシング)が主流になりつつある。
自動車に適用するフラットケーブルの導体には導電性と強度面から純銅系の硬銅材が適用される(特許文献1参照)。ここで、純銅系の硬銅材とは、引張強さが400MPa以上、伸びが4%程度以下の無酸素銅やタフピッチ銅を指す。
無酸素銅やタフピッチ銅の硬質材は、85℃もしくはそれ以上の高温環境下で長時間使用することにより、結晶が粗大化し強度低下する場合がある。その強度低下する問題は、伸線もしくは圧延の加工度(減面率)が高いほど著しい。そこで、従来はSn、Agなどの合金元素を微量添加することにより結晶粗大化を抑制している。
また、硬銅材は軟銅材に比べて折り曲げに弱い。フラットケーブルは例えば90°や180°折り曲げて使用することが多いが、その際には断線しないよう折り方には注意が必要である。また、硬質材は曲げひずみ(=導体厚み/曲げ直径)が大きくなると共に屈曲寿命が著しく低下するため、繰り返し屈曲する用途にも不向きである。そのため、硬質材にはできるだけ折り曲げず、かつ繰り返し曲げひずみを小さく、つまり屈曲半径を大きくする設計が求められる。
そこで、導体の厚みを薄くし、複数枚重ねる構造のフラットケーブルが提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、従来技術ではSn、Agなどの合金元素を微量添加した硬銅材を用いるため、大量生産が難しくコストが高くなる。
また、本発明者らは、特許文献2の構造のフラットケーブルを試作し屈曲寿命特性を評価したが、寿命向上はほとんど認められなかった。
そこで、本発明の目的は、85℃もしくはそれ以上もの高温環境になりうる自動車などに使用する、価格低減および導体強度維持した平角導体及びそれを用いたフラットケーブルを提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、請求項1の発明は、導体が導電率95%以上のCu濃度99.9%以上の純銅からなり、その引張強さが350MPa以上400MPa以下の範囲の平角導体である。
請求項2の発明は、前記導体が、タフピッチ銅または無酸素銅からなる請求項1に記載の平角導体である。
請求項3の発明は、前記導体のビッカーズ硬さが100以上130以下である請求項1または2に記載の平角導体である。
請求項4の発明は、請求項1〜3いずれかに記載の平角導体を用いて作製したフラットケーブルである。
本発明によれば、85℃もしくはそれ以上もの高温環境下で用いても引張強度を安定持続できる平角導体を提供できる。
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面にしたがって説明する。
図1(a)および図1(b)は、本実施形態に係る平角導体を用いたフラットケーブルの概略構造図を示す。
図1(a)および図1(b)に示すように、本実施形態に係る平角導体2は、導体が導電率95%(95%IACS)以上のCu濃度99.9%以上の純銅からなり、その引張強さが350MPa以上400MPa以下の範囲である。
平角導体2は、中間焼鈍により、その伸びが20%以上(例えば25〜40%)と、従来技術(4%程度以下)と比較して増加する。これにより、85℃またはそれ以上の高温環境下でも導体の結晶粗大化が起きにくくなり、導体の強度を長期間維持することが可能となる。
一方、平角導体2は、中間焼鈍により、その引張強さが従来技術(400MPa以上)と比較して1〜2割減少する。引張強さが350MPa未満、特に280MPa以上350MPa未満の範囲では不均一な加工組織が残る場合が多く、疲労に弱い。さらに、引張強さ280MPa未満では、強度面から張力が作用する部分では不向きである。よって本実施形態では、平角導体2の引張強さを350MPa以上400MPa以下の範囲とする。好ましくは、引張強さが360MPa以上380MPa以下であるとよい。
平角導体2は、タフピッチ銅または無酸素銅からなってもよい。
また、平角導体2の強度を引張強さで規格しにくい場合は、平角導体2のビッカーズ硬さが100以上130以下の範囲であるとよい。好ましくは、ビッカーズ硬さが105以上120以下の範囲であるとよい。
平角導体2を用いたフラットケーブル1は、単数本から数十本(図では5本)並列した平角導体2を、絶縁性と難燃性を共有する接着剤5を塗工した接着剤付き絶縁フィルム3でサンドし、これを熱ロールなどでラミネートしたものである。
フラットケーブル1は、ラミネートタイプのみに限定されず、押出しタイプであってもよい。また、絶縁体、金属および導電性接着剤の積層体からなるシールド材を貼り付けた構造であってもよい。
また、平角導体2の耐食性向上のため、めっきを施してもよい。めっきは信頼性から金めっきが挙げられる。ただし、その場合には下地にNiめっきを施す。
次に、本実施形態に係る平角導体2の製法の一例を説明する。
図2(a)に示す平角導体2の製法は、例えば連続鋳造圧延工程で得られた丸母線6をダイス伸線し、所望の機械的特性を与えるため中間加熱処理(中間焼鈍)を施して中間材7を形成する。その後、中間材7をロール圧延して平角導体2を製造する。
図2(b)に示す平角導体2の製法は、例えば連続鋳造圧延工程で得られた丸母線6をダイス伸線し、所望の機械的特性を与えるため中間加熱処理(中間焼鈍)を施して中間材7を形成する。その後、中間材7をロール圧延して中間材8を形成し、さらに中間材8をロール圧延して平角導体2を製造する。ロール圧延回数は導体のアスペクト比(幅と厚みの比)により変化する。
中間焼鈍位置および条件は導体のサイズにより異なる。
本実施形態において中間焼鈍位置は、中間焼鈍位置においての中間材の断面積A0と、仕上がった平角導体2の断面積Aから得られる減面率[=(1−(A/A0)2)×100%]が概ね30〜50%の範囲となる位置とする。
さらに、本実施形態において中間焼鈍の条件は、200〜250℃で1時間程度とし、平角導体2の伸びが25〜35%となるよう調節する。
また、平角導体2は矩形の銅条を複数回圧延して得た銅箔をスリットしたものでもよい。その場合、導体の引張強さがスリット時に生じる側端の傷の影響により低くなるため、平角導体2の強度を引張強さで規格しにくい。そこで、平角導体2のビッカーズ硬さを100以上130以下の範囲とする。好ましくは、平角導体2の引張強さは360MPa以上380MPa以下(ビッカーズ硬さで105以上120以下)の範囲であるとよい。
本実施形態に係る平角導体2は、引張強さが350MPa以上400MPa以下の範囲としている。これにより、引張強さは従来技術と比較して1〜2割減少するが、伸びが増加することにより高温環境下での結晶粗大化を抑制し、強度低下を少なくすることができる。このため、平角導体2は、85℃もしくはそれ以上もの高温環境下で平角導体の引張強度を安定持続でき、信頼性を高めることができる。さらに、合金元素の添加がないため一般材の引き当てが可能となり、価格を低減できる。
また、平角導体2を用いれば、85℃もしくはそれ以上もの高温環境になりうる自動車などに使用するフラットケーブル1を容易に得ることができる。
本実施形態に係る平角導体の製法によれば、平角導体2を簡単に製造できる。
本発明の効果を確認するため、コンチロッドシステムにて連続鋳造圧延工程で製造したφ8mmの荒引線について、伸線加工工程(中間焼鈍位置)を変え、機械的特性の異なるTPC(タフピッチ銅)導体(幅2.0mm×厚み0.15mm)の試料No.1〜8を製作し、比較評価した。評価は初期強度(導体の引張強さ)および85℃、500h放置後の強度測定とした。その実験結果を表1に示す。表1の強度低下は相対的変化で示す。
本発明を表1のNo.1〜4、比較例を表1のNo.5および6、従来例を表1のNo.7および8に示す。
本発明による試料は比較例より初期強度が高く、かつ従来例に比べて高温下における結晶粗大化を抑えたため、強度低下が少ないことが確認できた。
さらにNo.3およびNo.8の試料を用いてフラットケーブルを試作し、高温環境下における耐屈曲性を比較評価した。試験は、JISC5016に準ずるU字摺動屈曲試験とした。この試験はフラットケーブルをU字状に曲げて設定し、その片端末を固定、さらにもう片端末を一定のストロークで繰返し摺動させることにより、銅線が断線するまでの疲労寿命を評価するものである。詳細は以下の通りである。
○フラットケーブル
導体(TPC) :幅2.0mm×厚み0.15mm、10芯、ピッチ3.5mm 接着剤付きフィルム:ソニーケミカル製TC9002N
(PET厚み50μm、接着剤厚み42μm)
○耐屈曲性測定条件
屈曲速度V :150回/分
ストロークS :70mm
平行平板間距離H :15mm(曲げ半径R=7.5mm、曲げひずみ1%に相当)
環境温度 :85℃
屈曲寿命検知 :モニタ用の導体通電電流が10−6秒以上停止もしくは導体抵抗が初期から10%アップした回数。
導体(TPC) :幅2.0mm×厚み0.15mm、10芯、ピッチ3.5mm 接着剤付きフィルム:ソニーケミカル製TC9002N
(PET厚み50μm、接着剤厚み42μm)
○耐屈曲性測定条件
屈曲速度V :150回/分
ストロークS :70mm
平行平板間距離H :15mm(曲げ半径R=7.5mm、曲げひずみ1%に相当)
環境温度 :85℃
屈曲寿命検知 :モニタ用の導体通電電流が10−6秒以上停止もしくは導体抵抗が初期から10%アップした回数。
No.3の試料によるフラットケーブルの寿命は、上記屈曲試験において約4万回と、No.8の試料によるフラットケーブルと比べて約4倍もの高寿命であることが分かった。これにより、本発明による平角導体を用いて作製したフラットケーブルは耐屈曲性が高く、高寿命であることが確認された。
1 フラットケーブル
2 平角導体
3 絶縁フィルム
2 平角導体
3 絶縁フィルム
Claims (4)
- 導体が導電率95%以上のCu濃度99.9%以上の純銅からなり、その引張強さが350MPa以上400MPa以下の範囲であることを特徴とする平角導体。
- 前記導体が、タフピッチ銅または無酸素銅からなる請求項1に記載の平角導体。
- 前記導体のビッカーズ硬さが100以上130以下である請求項1または2に記載の平角導体。
- 請求項1〜3いずれかに記載の平角導体を用いて作製されたことを特徴とするフラットケーブル。
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---|---|---|---|
JP2007212337A JP2009048819A (ja) | 2007-08-16 | 2007-08-16 | 平角導体及びそれを用いたフラットケーブル |
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JP (1) | JP2009048819A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2013069800A1 (ja) | 2011-11-11 | 2013-05-16 | 古河電気工業株式会社 | 圧延銅箔 |
JP2013104088A (ja) * | 2011-11-11 | 2013-05-30 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 圧延銅箔 |
JP2014218730A (ja) * | 2013-05-10 | 2014-11-20 | 古河電気工業株式会社 | 圧延銅箔および圧延銅箔の製造方法 |
US10439347B2 (en) | 2015-04-01 | 2019-10-08 | Furukawa Electric Co., Ltd. | Rectangular rolled copper foil, flexible flat cable, rotary connector, and method of manufacturing rectangular rolled copper foil |
-
2007
- 2007-08-16 JP JP2007212337A patent/JP2009048819A/ja active Pending
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KR20200053649A (ko) | 2015-04-01 | 2020-05-18 | 후루카와 덴끼고교 가부시키가이샤 | 평각 압연 동박, 플렉시블 플랫 케이블, 회전 커넥터 및 평각 압연 동박의 제조 방법 |
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