JP2009046495A - 操作性に優れた還元型補酵素q10結晶の製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、還元型補酵素Q10結晶を得るための工業的規模での生産に適した優れた製造法を提供する。
【解決手段】本発明の、アルコール類及び/又はケトン類の溶液中において還元型補酵素Q10を晶出させることを特徴とする還元型補酵素Q10結晶の製造法によれば、スラリー性状や結晶性状の優れた還元型補酵素Q10結晶を得ることができる。また、結晶分離を含む単離プロセス、あるいは、その単離プロセスを含む全プロセスが最短化、且つ、簡便化でき、高純度の還元型補酵素Q10を高収率で得ることができる。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の、アルコール類及び/又はケトン類の溶液中において還元型補酵素Q10を晶出させることを特徴とする還元型補酵素Q10結晶の製造法によれば、スラリー性状や結晶性状の優れた還元型補酵素Q10結晶を得ることができる。また、結晶分離を含む単離プロセス、あるいは、その単離プロセスを含む全プロセスが最短化、且つ、簡便化でき、高純度の還元型補酵素Q10を高収率で得ることができる。
【選択図】なし
Description
本発明は、還元型補酵素Q10結晶の製造法に関する。還元型補酵素Q10は、酸化型補酵素Q10に比べて高い経口吸収性を示し、優れた食品、栄養機能食品、特定保健用食品、栄養補助剤、栄養剤、飲料、飼料、動物薬、化粧品、医薬品、治療薬、予防薬等として有用な化合物である。
広く生物界に分布するベンゾキノン誘導体である酸化型補酵素Q10は、そのビタミン様の機能からビタミンQとも呼ばれており、弱った細胞活性を健康な状態に戻す栄養源として身体を若返らせる成分である。一方、還元型補酵素Q10は、酸化型補酵素Q10の2電子還元体であり、酸化型補酵素Q10が橙色結晶であるのに対し、還元型補酵素Q10は白色結晶である。還元型補酵素Q10及び酸化型補酵素Q10は、ミトコンドリア、リソゾーム、ゴルジ体、ミクロソーム、ペルオキシソーム、或いは細胞膜等に局在し、電子伝達系の構成成分としてATP産生賦活、生体内での抗酸化作用、膜安定化に関与している事が知られている生体の機能維持に必要不可欠な物質である。
還元型補酵素Q10は、例えば、合成、発酵、天然物からの抽出等の従来公知の方法により補酵素Q10を得た後、クロマトグラフィーにより流出液中の還元型補酵素Q10区分を濃縮する方法等により得られることが知られている(特許文献1)。この場合には、上記還元型補酵素Q10中に含まれる酸化型補酵素Q10を、水素化ホウ素ナトリウム、亜ジチオン酸ナトリウム(次亜硫酸ナトリウム)等の還元剤を用いて還元した後、クロマトグラフィーによる濃縮を行っても良いこと、また、還元型補酵素Q10は、既存の高純度補酵素Q10(酸化型)に上記還元剤を作用させる方法によっても得られることも、当該公報中に記載されている。
特開平10−109933号公報
しかしながら、このようにして得られる還元型補酵素Q10は、好適に結晶化させるのが必ずしも容易ではなく、酸化型補酵素Q10をはじめとする不純物を含有する低純度結晶、半固体状や油状物で得られやすい。また、なんとか結晶化できたとしても、スラリー性状等が悪いために、スラリーの流動性が悪くて撹拌しにくい、晶析缶から払い出しにくい、濾過性が悪くて結晶分離に長時間かかるといった問題があった。さらに、還元型補酵素Q10は、各種有機溶媒に対する溶解度が高い傾向もあり、晶析収率が必ずしも高くないといった問題があった。
また、還元型補酵素Q10は、分子酸素によって酸化型補酵素Q10に酸化されやすい性質を有する。工業的規模での製造においては、完全な酸素の除去は極めて難しく、さらに、個々の操作に要する時間はラボスケールでの製造とは異なり、かなり長時間になるため、残存する酸素が大きな悪影響を及ぼす。単離操作の長時間化は上記酸化のリスクを増大させ、難除去性の酸化型補酵素Q10の副生及び製品への混入といった収率、品質面の問題に直結する。
このような状況下、スラリー性状や結晶性状を改善し、還元型補酵素Q10を高収率で、濾過性良く取得する晶析法の確立、又、高純度の還元型補酵素Q10結晶を得るための、結晶分離を含む単離プロセス、あるいは、その単離プロセスを含む全プロセスが最短化、且つ、簡便化された製造法の確立が強く望まれていた。
本発明は、上記に鑑み、還元型補酵素Q10結晶を得るための工業的規模での生産に適した優れた製造法を提供することを目的とする。
本発明者らは、還元型補酵素Q10結晶を良好に結晶成長させるべく、鋭意研究した結果、還元型補酵素Q10をアルコール類及び/又はケトン類の溶液から晶析することにより、スラリー性状や結晶性状の優れた還元型補酵素Q10結晶を高収率で得ることができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、還元型補酵素Q10をアルコール類及び/又はケトン類の溶液中で晶析することを特徴とする還元型補酵素Q10結晶の製造法に関する。
また、本発明は、酸化型補酵素Q10をアルコール類及び/又はケトン類の溶液中で還元型補酵素Q10に還元することにより得られた、還元型補酵素Q10を含有するアルコール類及び/又はケトン類の溶液から、還元型補酵素Q10を晶析する上記製造法に関する。
本発明の方法によれば、結晶分離を含む単離プロセス、あるいは、その単離プロセスを含む全プロセスが最短化、且つ、簡便化でき、高純度の還元型補酵素Q10を高収率で得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、還元型補酵素Q10結晶の製造法、すなわち、還元型補酵素Q10の晶析法について説明する。
本発明の還元型補酵素Q10結晶の製造法は、アルコール類及び/又はケトン類の溶液中で、還元型補酵素Q10を晶析するものである。好ましくは、アルコール類が用いられる。
晶析に用いる還元型補酵素Q10は、例えば、合成、発酵、天然物からの抽出等の従来公知の方法により得ることができる。好ましくは、還元型補酵素Q10中に含まれる酸化型補酵素Q10を還元、或いは、酸化型補酵素Q10を還元することにより得られたものであり、より好ましくは、後述する本発明の還元反応を用いて得られたものである。
本発明の晶析法は、酸化型補酵素Q10を比較的多く含有するものについても適用できるが、後述する還元方法等により調製された高純度の還元型補酵素Q10に対して特に有効である。本発明においては、従来公知の方法により得られた、あるいは、後述する還元方法等により製造された、還元型補酵素Q10を含有する反応液や抽出液に含有される不純物の除去も兼ねて精製晶析するのが特に効果的である。このとき、不純物を母液に除去することが好ましい。これにより、共存する不純物、特に、通常除去するのが必ずしも容易ではない構造の類似した類縁化合物(具体的には、還元型補酵素Q9、還元型補酵素Q8、還元型補酵素Q7等)を除去することができる。アルコール類及び/又はケトン類は、上記の構造の類似した化合物を除去するのに特に効果的な溶媒でもある。また、言うまでもなく、上記精製晶析は、還元型補酵素Q10結晶を再精製するための再結晶法としても非常に有効である。
本発明における最も好ましい態様は、酸化型補酵素Q10をアルコール類及び/又はケトン類(好ましくはアルコール類)の溶液中で還元型補酵素Q10に還元した溶液から、還元型補酵素Q10を晶析(好ましくは精製晶析)する直接単離法(ワンポット法)である。これにより、極めて簡便且つ効率的に、高収率で性状のよい高品質結晶を取得することができる。
本発明で用いるアルコール類としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、飽和のものが好ましく用いられる。例えば、1価アルコールとしては炭素数1〜20のものが挙げられ、好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜6、さらに好ましくは炭素数1〜5、特に好ましくは炭素数1〜4、とりわけ好ましくは炭素数1〜3のものである。最も好ましくは炭素数2〜3の1価アルコールである。また、炭素数2〜5、好ましくは炭素数2〜3の2価アルコール、炭素数3の3価アルコール等も好適に用いられる。上記のうち、炭素数1〜5の1価アルコールは、水と相溶性の高いアルコールであり、水との混合溶媒として使用する場合に好適に用いられる。
1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、1−ドデカノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール等を挙げることができる。
好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、シクロヘキサノールである。より好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコールである。さらに好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコールである。特に好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールであり、とりわけ好ましくは、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールであり、最も好ましくは、エタノールである。
2価アルコールとしては、例えば、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール等を挙げることができる。好ましくは、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオールであり、最も好ましくは、1,2−エタンジオールである。
3価アルコールとしては、例えばグリセリン等を好適に用いることができる。
ケトン類としては、特に制限されず、炭素数3〜6のものが好適に用いられる。具体例としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン等を挙げることができる。好ましくは、アセトン、メチルエチルケトンであり、最も好ましくは、アセトンである。
晶析方法としては、特に制限されず、冷却晶析、濃縮晶析、溶媒置換晶析等のうちの少なくとも一つを用いて実施することができる。上記アルコール類及び/又はケトン類中での還元型補酵素Q10の溶解度は、極めて好適な温度依存性を示し、これは還元型補酵素Q10の溶解量を好適に減じて結晶状態へ高収率で移行させる上で好適に寄与する。この特性を最大限に発揮するためには、冷却晶析、又は、冷却晶析に他の晶析方法を組み合わせて行うのが特に好ましい。
晶析濃度は、一つの重要な因子であり、晶析終了時の濃度、つまり、晶析終了時の晶析溶媒の重量に対する還元型補酵素Q10の重量として、好ましくは約15w/w%以下、より好ましくは約13w/w%以下、さらに好ましくは約10w/w%以下である。上記濃度を維持することによって、工業的規模での操作性に耐えうる好適な晶析が可能となる。生産性の観点から、濃度の下限は、通常約1w/w%以上であり、好ましくは約2w/w%以上である。
上記晶析は、強制流動下に実施するのが好ましい。過飽和の形成を抑制し、スムースに核化・結晶成長を行うため、また、高品質化の観点から、単位容積当たりの撹拌所要動力として、通常約0.01kW/m3以上、好ましくは約0.1kW/m3以上、より好ましくは約0.3kW/m3以上の流動が好ましい。上記の強制流動は、通常、撹拌翼の回転により与えられるが、上記流動が得られれば必ずしも撹拌翼を用いる必要はなく、例えば、液の循環による方法等を利用しても良い。
晶析に際しては、過飽和の形成を抑制し、スムースに核化・結晶成長を行うために、種晶を添加することも好ましく行われる。
還元型補酵素Q10の晶析温度(晶析時の冷却温度)は、特に制限されないが、収率等の観点より、好ましくは25℃以下、より好ましくは20℃以下、さらに好ましくは15℃以下、特に好ましくは10℃以下である。下限は、系の固化温度である。よって、当該冷却温度を、好ましくは0〜25℃程度とすることにより、晶析を好適に実施できる。
晶析時には、単位時間当たりの結晶の晶出量を制御して、過飽和の形成を制御するのが好ましい。好ましい単位時間当たりの晶出量は、例えば、単位時間当たり全晶出量の約50%量が晶出する速度以下(即ち、最大で50%量/時間)であり、好ましくは、単位時間当たり全晶出量の約25%量が晶出する速度以下(即ち、最大で25%量/時間)である。冷却晶析の場合、冷却速度として、通常、約40℃/時間以下、好ましくは約20℃/時間以下である。
本発明の晶析法においては、通常、晶析によって得られるスラリー性状や結晶性状の観点から、上記溶媒を用いるのが好ましいが、上記アルコール類及び/又はケトン類の溶液に他の溶媒を共存させる又は添加することもできる。
これらの他の溶媒としては、特に制限されないが、例えば、炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類、脂肪酸類、窒素化合物類(ニトリル類、アミド類を含む)、硫黄化合物類、水等を挙げることができる。
これらの他の溶媒としては、特に制限されないが、例えば、炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類、脂肪酸類、窒素化合物類(ニトリル類、アミド類を含む)、硫黄化合物類、水等を挙げることができる。
炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類、及び、ニトリル類としては、還元反応の溶媒として後述する溶媒を好適に使用することができる。
脂肪酸類としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等を挙げることができる。好ましくはギ酸、酢酸であり、最も好ましくは酢酸である。
ニトリル類を除く窒素化合物類としては、例えば、ニトロメタン、トリエチルアミン、ピリジン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。
硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン等を挙げることができる。
これらの他の溶媒は、還元型補酵素Q10の溶解度、晶析濃度、収率、スラリー性状、結晶性状等の晶析条件を左右する条件を改善するために、これらの他の溶媒の特性に従って、好ましい割合で上記アルコール類及び/又はケトン類の溶液と共に用いると効果的である。
上記他の溶媒のうち、還元型補酵素Q10の溶解性を好適に減じて高い収率を得る、スラリー性状を改善する、そして特に注目すべきことであるが、固液分離性(濾過性)を大きく改善するという観点から、特に水を好ましく用いることができる。
これらの他の溶媒と上記アルコール類及び/又はケトン類との割合は、溶媒の種類によっても異なるので一律に規定できず、実質的に上記アルコール類及び/又はケトン類を主成分とする溶媒であれば特に制限されない。好ましくは、溶媒中の上記アルコール類及び/又はケトン類の割合が、アルコール類とケトン類の合計として約80w/w%以上であり、より好ましくは約90w/w%以上であり、さらに好ましくは約93w/w%以上である。
特に、先述の固液分離性の改善という観点から、補助的溶媒として水を用いる場合、溶媒中の上記アルコール類及び/又はケトン類の割合は、下限は、約90w/w%以上、好ましくは約91w/w%以上、より好ましくは約92w/w%以上、さらに好ましくは約93w/w%以上であり、上限は、約99.5w/w%以下、好ましくは約99w/w%以下、より好ましくは約98w/w%以下、さらに好ましくは約97w/w%以下である。通常、約90〜約99.5w/w%で好適に実施でき、約93〜約97w/w%で最も好適に実施できる。
このようにして得られる還元型補酵素Q10の結晶は、好ましくは、例えば、遠心分離、加圧濾過、減圧濾過等による固液分離、さらに、必要に応じて、上記アルコール類又はケトン類をはじめとする本発明に記載される溶媒を用いてケーキ洗浄を行って湿体として取得し、さらに、内部を不活性ガスに置換した減圧乾燥器(真空乾燥器)に湿体を仕込み、減圧下、乾燥し、乾体として取得することができるし、乾体として取得するのが好ましい。
本発明の製造法は、脱酸素雰囲気下で実施することが、酸化防護の上で効果的である。脱酸素雰囲気は、不活性ガスによる置換、減圧、沸騰やこれらを組み合わせることにより達成できる。少なくとも、不活性ガスによる置換、即ち、不活性ガス雰囲気を用いるのが好適である。上記不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、水素ガス、炭酸ガス等を挙げることができ、好ましくは窒素ガスである。
次に、本発明に使用するに好適な還元型補酵素Q10の合成法、すなわち、酸化型補酵素Q10から還元型補酵素Q10に還元する反応について述べる。
先述のように、上記還元反応は、上記の晶析法で述べたアルコール類及び/又はケトン類の溶液中で行い、直接単離法(ワンポット法)に付すのが好ましい。これにより、操作を簡便化且つ最短化して、分子酸素による酸化を最小化することができる。この場合の特に好適な還元剤は、後述するアスコルビン酸類である。
また、操作が長時間に及んでも還元型補酵素Q10が分子酸素により酸化されるのを防護するために、上記還元反応及び/又は抽出・水洗操作を、酸化防護効果の高い溶媒を用いて実施するのも好ましい。
このような酸化防護効果の高い溶媒としては、炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類、及び、ニトリル類から選ばれる少なくとも1種を用いるのが好ましく、最も好ましくは炭化水素類である。
炭化水素類としては、特に制限されないが、例えば、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素等を挙げることができる。脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素が好ましく、脂肪族炭化水素がより好ましい。
脂肪族炭化水素としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、通常、炭素数3〜20、好ましくは炭素数5〜12のものが用いられる。
具体例としては、例えば、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、2−メチルブタン、シクロペンタン、2−ペンテン、ヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、1−ヘキセン、シクロヘキセン、ヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2、3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン、メチルシクロヘキサン、1−ヘプテン、オクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、エチルシクロヘキサン、1−オクテン、ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、1−ノネン、デカン、1−デセン、p−メンタン、ウンデカン、ドデカン等を挙げることができる。
中でも、炭素数5〜8の飽和脂肪族炭化水素がより好ましく、炭素数5のペンタン、2−メチルブタン、シクロペンタン(ペンタン類と称す);炭素数6のヘキサン、2−メチルペンタン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン(ヘキサン類と称す);炭素数7のヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、2,3−ジメチルペンタン、2,4−ジメチルペンタン)、メチルシクロヘキサン(ヘプタン類と称す);炭素数8のオクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、エチルシクロヘキサン(オクタン類と称す);及びこれらの混合物が好ましく用いられる。とりわけ、上記ヘプタン類は酸化からの防護効果が特に高い傾向がありさらに好ましく、ヘプタンが最も好ましい。
芳香族炭化水素としては、特に制限されないが、通常、炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜12、より好ましくは炭素数7〜10のものが用いられる。具体例としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、テトラリン、ブチルベンゼン、p−シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ジペンチルベンゼン、ドデシルベンゼン、スチレン等を挙げることができる。好ましくは、トルエン、キシレン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレン、テトラリン、ブチルベンゼン、p−シメン、シクロヘキシルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼンである。より好ましくは、トルエン、キシレン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、クメン、テトラリンであり、最も好ましくは、クメンである。
ハロゲン化炭化水素としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、非環状のものが好ましく用いられる。塩素化炭化水素、フッ素化炭化水素がより好ましく、塩素化炭化水素がさらに好ましい。また、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4、より好ましくは炭素数1〜2のものが用いられる。
具体例としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、1,2−ジクロロプロパン、1,2,3−トリクロロプロパン、クロロベンゼン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン等を挙げることができる。
好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンである。より好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、1,1,1,2−テトラフルオロエタンである。
脂肪酸エステル類としては、特に制限されないが、例えば、プロピオン酸エステル、酢酸エステル、ギ酸エステル等を挙げることができる。酢酸エステル、ギ酸エステルが好ましく、酢酸エステルがより好ましい。エステル基としては、特に制限されないが、炭素数1〜8のアルキルエステル、炭素数1〜8のアラルキルエステル、好ましくは炭素数1〜6のアルキルエステル、より好ましくは炭素数1〜4のアルキルエステルが用いられる。
プロピオン酸エステルとしては、例えば、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソペンチル等を挙げることができる。好ましくはプロピオン酸エチルである。
酢酸エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル等を挙げることができる。好ましくは、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸シクロヘキシルである。より好ましくは、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルであり、最も好ましくは、酢酸エチルである。
ギ酸エステルとしては、例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸sec−ブチル、ギ酸ペンチル等を挙げることができる。好ましくは、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチルであり、最も好ましくは、ギ酸エチルである。
エーテル類としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、飽和のものが好ましく用いられる。通常、炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数4〜8のものが用いられる。
具体例としては、例えば、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ジオキサン、フラン、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等を挙げることができる。
好ましくは、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ジオキサン、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルである。より好ましくは、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルである。さらに好ましくは、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、アニソール等であり、最も好ましくは、メチルtert−ブチルエーテルである。
ニトリル類としては、環状、非環状を問わず、又、飽和、不飽和を問わず、特に制限されないが、飽和のものが好ましく用いられる。通常、炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜12、より好ましくは炭素数2〜8のものが用いられる。
具体例としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、マロノニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、スクシノニトリル、バレロニトリル、グルタロニトリル、ヘキサンニトリル、ヘプチルシアニド、オクチルシアニド、ウンデカンニトリル、ドデカンニトリル、トリデカンニトリル、ペンタデカンニトリル、ステアロニトリル、クロロアセトニトリル、ブロモアセトニトリル、クロロプロピオニトリル、ブロモプロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチル、トルニトリル、ベンゾニトリル、クロロベンゾニトリル、ブロモベンゾニトリル、シアノ安息香酸、ニトロベンゾニトリル、アニソニトリル、フタロニトリル、ブロモトルニトリル、メチルシアノベンゾエート、メトキシベンゾニトリル、アセチルベンゾニトリル、ナフトニトリル、ビフェニルカルボニトリル、フェニルプロピオニトリル、フェニルブチロニトリル、メチルフェニルアセトニトリル、ジフェニルアセトニトリル、ナフチルアセトニトリル、ニトロフェニルアセトニトリル、クロロベンジルシアニド、シクロプロパンカルボニトリル、シクロヘキサンカルボニトリル、シクロヘプタンカルボニトリル、フェニルシクロヘキサンカルボニトリル、トリルシクロヘキサンカルボニトリル等を挙げることができる。
好ましくは、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、スクシノニトリル、バレロニトリル、クロロプロピオニトリル、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチル、トルニトリル、ベンゾニトリルである。より好ましくは、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリルであり、最も好ましくは、アセトニトリルである。
上記溶媒の中でも、例えば、溶解度を高めるための適度な加温ができ、且つ、湿体からの溶剤の乾燥除去や晶析濾液等からの溶剤回収の行いやすい沸点(1気圧下、約30〜150℃)、室温での取り扱い時でも室温以下に冷却した時でも固化しにくい融点(約20℃以下、好ましくは約10℃以下、より好ましくは約0℃以下)を持ち、粘性が低い(20℃において約10cp以下等)等の、沸点、粘性等の性質を考慮して選定するのが好ましい。工業的な作業上の観点から、常温で揮発し難いものが好ましく、例えば、沸点が約80℃以上のものが好ましく、約90℃以上のものがより好ましい。
還元型補酵素Q10は高濃度の溶液ほど酸化されにくい傾向にある。上記溶媒に対して還元型補酵素Q10は高い溶解性を示し、上記溶媒はこの点でも酸化防護に好適である。還元型補酵素Q10の酸化を防護するために好ましい濃度は、溶媒の種類等により一律に規定できないが、上記溶媒に対する還元型補酵素Q10の濃度として、通常1w/w%以上、好ましくは2w/w%以上である。上限は、特に制限されないが、実際的な操作性という観点から、400w/w%以下、好ましくは200w/w%以下、より好ましくは100w/w%以下、さらに好ましくは50w/w%以下である。
このように、上記溶媒の使用によって、望ましくない酸素の副反応は、還元工程を通して最小化される。
還元反応は、水素化金属化合物、鉄(金属又は塩としての鉄)、亜鉛(金属としての亜鉛)、次亜硫酸類、アスコルビン酸類等を還元剤として用いて実施することができる。
また、水素化金属化合物、鉄(金属又は塩としての鉄)、亜鉛(金属としての亜鉛)、次亜硫酸類を用いる還元は、上記の酸化防護効果の高い溶媒中で好ましく実施される。さらに、アスコルビン酸類を用いる還元は、上記の酸化防護効果の高い溶媒の他、アルコール類及び/又はケトン類等の種々の溶媒を用いて実施できるが、好ましくは、アルコール類(特に好ましくは、水と相溶性の高いアルコール)、水と相溶性の高いエーテル類、水と相溶性の高いニトリル類及び水と相溶性の高いケトン類を用いて実施できる。
水素化金属化合物としては、特に制限されないが、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム等を挙げることができる。上記水素化金属化合物の使用量は、水素化金属化合物の種類により異なり、一律に規定できないが、通常、理論水素当量の1〜3倍量で好適に実施できる。
鉄又は亜鉛を用いる還元は、通常、酸を使用して実施される。酸としては、特に制限されないが、例えば、酢酸等の脂肪酸、メタンスルホン酸等のスルホン酸、塩酸や硫酸等の無機酸等を挙げることができる。好ましくは無機酸であり、より好ましくは硫酸である。
鉄の使用量は、特に制限されないが、酸化型補酵素Q10の仕込み重量に対して、例えば、約1/5重量以上で好適に実施できる。上限は特に制限されないが、経済性の観点等から、約2倍重量以下である。なお、鉄は、金属鉄のみならず、硫酸鉄(II)等の塩の形態でも使用できる。
また、亜鉛の使用量は、特に制限されないが、酸化型補酵素Q10の仕込み重量に対して、例えば、約1/10重量以上で好適に実施できる。上限は特に制限されないが、経済性の観点等から、約2倍重量以下である。
次亜硫酸類としては特に制限されず、通常、次亜硫酸の塩である。次亜硫酸の塩としては特に制限されず、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が好ましく、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩がより好ましく、ナトリウム塩が最も好ましい。上記次亜硫酸類の使用量は、特に制限されないが、通常、酸化型補酵素Q10の仕込み重量に対して、約1/5重量以上、好ましくは約2/5重量以上、より好ましくは約3/5重量以上である。多くても特に支障はないが、経済的な観点から、通常、約2倍重量以下、好ましくは同重量以下で用いられる。よって、約2/5重量〜約同重量の範囲でより好適に実施できる。
アスコルビン酸類としては、特に制限されず、例えば、アスコルビン酸のみならず、rhamno−アスコルビン酸、arabo−アスコルビン酸、gluco−アスコルビン酸、fuco−アスコルビン酸、glucohepto−アスコルビン酸、xylo−アスコルビン酸、galacto−アスコルビン酸、gulo−アスコルビン酸、allo−アスコルビン酸、erythro−アスコルビン酸、6−デスオキシアスコルビン酸等のアスコルビン酸に類するものが挙げられ、また、それらのエステル体や塩であってもかまわない。さらに、これらはL体、D体、或いは、ラセミ体であっても良い。より具体的には、例えば、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸パルミテート、L−アスコルビン酸ステアレート、D−arabo−アスコルビン酸等を挙げることができる。還元型補酵素Q10の製造において、上記アスコルビン酸類をいずれも好適に使用できるが、生成した還元型補酵素Q10との分離のしやすさ等を考慮すると、上記のアスコルビン酸類のうち、特に水溶性のものが好適に用いられ、最も好ましくは、入手容易性、価格等の観点から、L−アスコルビン酸、D−arabo−アスコルビン酸等のフリー体である。
上記のアスコルビン酸類の使用量は、特に制限されず、酸化型補酵素Q10を還元型補酵素Q10に変換しうる有効量であればよく、酸化型補酵素Q10に対して、通常1倍モル量以上、好ましくは1.2倍モル量以上である。上限は特に制限されないが、経済性を考慮して、通常10倍モル量以下、好ましくは5倍モル量以下、より好ましくは3倍モル量以下である。
上記還元剤のうち、還元能力、収率、品質といった観点から、亜鉛、次亜硫酸類、アスコルビン酸類が好ましく、次亜硫酸類(具体的には、次亜硫酸塩)、アスコルビン酸類がより好ましい。
還元反応においては、水及び/又はアルコール類を好適に併用することができる。水は、特に還元剤として鉄、亜鉛、次亜硫酸類を用いる場合に好適である。還元剤として水素化金属化合物を用いる場合には、アルコール類を併用することができる。水、アルコール類の併用は、これら水、アルコール類の特性が発揮され、反応速度の向上や反応収率の向上等に寄与する。
以下に好ましい還元方法についてより詳細に述べる。
上記次亜硫酸類を用いる還元は、水を併用して、上記の炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類、及び、ニトリル類から選ばれる少なくとも1種の有機溶媒(好ましくは炭化水素類、より好ましくは脂肪族炭化水素、さらに好ましくはヘプタン類、特に好ましくはヘプタン)と水との混合溶媒系で実施するのが好ましい。その際、反応時のpHは、収率等の観点から、通常pH7以下、好ましくはpH3〜7、より好ましくはpH3〜6で実施される。上記pHは、酸(例えば、塩酸や硫酸等の無機酸)や塩基(例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物)を用いて、調整することができる。
上記次亜硫酸類を用いる還元において、水の使用量は、特に制限されず、還元剤である次亜硫酸類を適度に溶解する量であれば良く、例えば、上記次亜硫酸類の水に対する重量が、通常、30w/w%以下、好ましくは20w/w%以下になるように調整するのが良い。又、生産性等の観点から、通常、1w/w%以上、好ましくは5w/w%以上、より好ましくは10w/w%以上であるのが良い。
上記アスコルビン酸類を用いる還元は、上記の炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類、及び、ニトリル類のうち、特に水と相溶性の高い溶媒、なかでも水と相溶性の高いエーテル類及びニトリル類、具体的には、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル等を用いて好適に実施することができるが、前記の本発明の晶析法で用いられるアルコール類及び/又はケトン類(好ましくは、水と相溶性の高いアルコール類及び/又はケトン類(具体的には、アルコール類としては、炭素数1〜5、好ましくは炭素数1〜4、より好ましくは炭素数1〜3の1価又は2価(好ましくは1価)のアルコール、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等))を使用するのが特に好ましい。
又、アスコルビン酸類を用いる還元においては、反応促進の観点から(例えば、反応温度の低下、反応時間の短縮等)、塩基性物質や亜硫酸水素塩等の反応促進効果を有する添加剤を共存させて実施することができる。
上記塩基性物質としては、特に制限されず、例えば、無機化合物、有機化合物を問わず使用しうる。上記無機化合物としては、特に制限されないが、例えば、金属(好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属等)の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩やアンモニア等を挙げることができる。その代表的なものとして、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属炭酸塩等を挙げることができる。上記有機化合物としては、特に制限されないが、例えば、トリエチルアミン等のアミン等を挙げることができる。上記の塩基性物質のうち、金属(好ましくは、アルカリ金属、アルカリ土類金属等)の炭酸塩、炭酸水素塩、アンモニア等の無機化合物;トリエチルアミン等のアミン等の有機化合物といった弱い塩基性物質(弱塩基又は弱アルカリ)を好ましく使用できる。より好ましくは上記の弱塩基性の無機化合物である。
また、上記亜硫酸水素塩としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム等のアルカリ金属亜硫酸水素塩等を好適なものとして挙げることができる。
上記添加剤の量は、期待する程度の反応促進効果を発揮しうる量(有効量)であればよく、特に制限されないが、経済性も考慮して、アスコルビン酸類に対して、通常20倍モル量以下、好ましくは10倍モル量以下、より好ましくは5倍モル量以下、さらに好ましくは2倍モル量以下である。下限は、特に制限されないが、通常0.01倍モル量以上、好ましくは0.05倍モル量以上、より好ましくは0.1倍モル量以上、さらに好ましくは0.2倍モル量以上である。
本発明において記載される還元反応は、強制流動下に実施するのが好ましい。単位容積当たりの撹拌所要動力として、通常約0.01kW/m3以上、好ましくは約0.1kW/m3以上、より好ましくは約0.3kW/m3以上の流動が好ましい。上記の強制流動は、通常、撹拌翼の回転により与えられるが、上記流動が得られれば必ずしも撹拌翼を用いる必要はなく、例えば、液の循環による方法等を利用しても良い。
還元温度は、還元剤の種類や量によって異なり、一律に規定できない。例えば、次亜硫酸類を用いる還元においては、通常100℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下で実施される。下限は、系の固化温度である。よって、還元は、通常、0〜100℃程度、好ましくは0〜80℃程度、より好ましくは0〜60℃程度で好適に実施できる。また、アスコルビン酸類を用いる還元においては、通常30℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上で実施される。上限は系の沸点である。よって、還元は、通常、30〜150℃程度、好ましくは40〜120℃程度、より好ましくは50〜100℃程度で好適に実施できる。
反応濃度は、特に制限はないが、溶媒の重量に対する酸化型補酵素Q10の重量として、通常約1w/w%以上、好ましくは3w/w%以上、より好ましくは10w/w%以上、さらに好ましくは15w/w%以上である。上限は、特に制限されないが、通常約60w/w%以下、好ましくは50w/w%以下、より好ましくは40w/w%以下、さらに好ましくは30w/w%以下である。よって、反応濃度は、約1〜60w/w%、好ましくは約3〜50w/w%、より好ましくは約10〜40w/w%で好適に実施できる。
還元反応は、還元剤の種類や量によって異なり、一律に規定できないが、通常、48時間以内、好ましくは24時間以内、より好ましくは10時間以内、さらに好ましくは5時間以内に完了させることができる。
なお、還元反応は、脱酸素雰囲気下で実施するのが極めて好ましく、驚くべきことには、特に次亜硫酸類を用いた還元反応では、還元反応の収率向上や還元剤量の削減に大きく寄与することも見い出した。脱酸素雰囲気は、不活性ガスによる置換、減圧、沸騰やこれらを組み合わせることにより達成できる。少なくとも、不活性ガスによる置換、即ち、不活性ガス雰囲気を用いるのが好適である。上記不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、水素ガス、炭酸ガス等を挙げることができ、好ましくは窒素ガスである。
このようにして得られた還元反応液から、生成した還元型補酵素Q10を含有する有機相を採取し、必要に応じて(好ましくは)、さらに有機相を水や食塩水等を用いて繰り返し水洗して、夾雑物を完全に除去した後、アルコール類及び/又はケトン類に溶媒置換して、上述の晶析法に用いることができる。
酸化防護の観点からは、還元型補酵素Q10が、炭化水素類、脂肪酸エステル類、エーテル類、及び、ニトリル類から選ばれる少なくとも1種の溶媒に溶解された溶液を、アルコール類及び/又はケトン類に溶媒置換するのが好ましい。
特に、還元剤として、次亜硫酸ナトリウム等の上記次亜硫酸類を用いる場合には、次亜硫酸類由来の夾雑物を完全に除去したり、水相のpHを安定させるために、繰り返し水洗することが望ましい。
又、上述したように、本発明の晶析法で用いられるアルコール類及び/又はケトン類(好ましくは、水と相溶性の高いアルコール類及び/又はケトン類(具体的には、アルコール類としては、炭素数1〜5、好ましくは炭素数1〜4、より好ましくは炭素数1〜3の1価又は2価(好ましくは1価)のアルコール、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等))を用いて、アスコルビン酸類で還元を行った場合は、前述の晶析法に従って、還元反応液から直接還元型補酵素Q10を晶析する(直接単離法(ワンポット法))のが極めて簡便且つ効率的な晶析法である。その場合、上記方法において還元反応を行った後、好ましくは、冷却又は濃縮又は貧溶媒添加(好ましくは水添加)して、より好ましくは冷却又は濃縮して、さらに好ましくは冷却して、還元型補酵素Q10を晶出するのが良い。尚、この場合、還元反応における溶媒は、特に制限されないが、上記アルコール類及び/又はケトン類を主成分とする溶媒であるのが好ましい。
通常、反応速度、反応収率の点から、溶媒中の上記アルコール類及び/又はケトン類の割合は、約50w/w%以上、好ましくは約60w/w%以上、より好ましくは約70w/w%以上であるが、引き続く晶析への利用も考慮すると、さらに好ましくは約80w/w%以上、特に好ましくは約90w/w%以上、とりわけ好ましくは約93w/w%以上である。
反応時に水を併用した場合は、溶媒中の上記アルコール類及び/又はケトン類の割合は、下限は、約90w/w%以上、好ましくは約91w/w%以上、より好ましくは約92w/w%以上、さらに好ましくは約93w/w%以上であり、上限は、約99.5w/w%以下、好ましくは約99w/w%以下、より好ましくは約98w/w%以下、さらに好ましくは約97w/w%以下である。約93〜97w/w%が最も好適である。
本発明により、高品質の還元型補酵素Q10結晶を作業性、経済性良く得ることができる。本発明により得られる還元型補酵素Q10結晶は、還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比が、96/4以上、好ましくは98/2以上、より好ましくは99/1以上が期待できる。
本発明は、上述の構成よりなるので、工業的規模での作業性、経済性に優れた方法で、高品質の還元型補酵素Q10結晶を簡便且つ効率的に得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。また、実施例中の還元型補酵素Q10の純度、還元型補酵素Q10と酸化型補酵素Q10との重量比は、下記HPLC分析により求めたが、得られた還元型補酵素Q10の純度は本発明における純度の限界値を規定するものではなく、また、同様に、還元型補酵素Q10と酸化型補酵素Q10との重量比も、その上限値を規定するものではない。
(HPLC分析条件)
カラム;SYMMETRYC18(Waters製),250mm(長さ),4.6mm(内径)、移動相;C2H5OH:CH3OH=4:3(v:v)、検出波長;210nm、流速;1ml/min、還元型補酵素Q10の保持時間;9.1min、酸化型補酵素Q10の保持時間;13.3min。
カラム;SYMMETRYC18(Waters製),250mm(長さ),4.6mm(内径)、移動相;C2H5OH:CH3OH=4:3(v:v)、検出波長;210nm、流速;1ml/min、還元型補酵素Q10の保持時間;9.1min、酸化型補酵素Q10の保持時間;13.3min。
[実施例1]
100gの酸化型補酵素Q10(酸化型補酵素Q9を0.40%含有、純度99.4%)を25℃で1000gのヘプタンに溶解させた。撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら、還元剤として次亜硫酸ナトリウム(純度75%以上)100gに1000mlの水を加えて溶解させた水溶液を、徐々に添加し、25℃、pH4〜6で還元反応を行った。2時間後、反応液から水相を除去し、脱気した飽和食塩水1000gでヘプタン相を6回水洗した。以上、すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。このヘプタン相を減圧下にて溶媒置換し、50℃の還元型補酵素Q10の7%(w/w)エタノール溶液を調製した(還元型補酵素Q10を100g(還元型補酵素Q9を0.40%含有)を含む)。さらに、窒素雰囲気下にて撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら10℃/時間の冷却速度で、2℃まで冷却し、結晶を析出させた。スラリーは良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。得られたスラリーを減圧ろ過し、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノールで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶95g(還元型補酵素Q9を0.19%含有、除去率53%)を得た(有姿収率95モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.3/0.7、還元型補酵素Q10の純度は99.0%であった。なお、スラリーのろ過には濾紙を敷いた直径20cmのヌッチェを用い、アスピレーターで減圧した。ろ過の所要時間は12分であった。
100gの酸化型補酵素Q10(酸化型補酵素Q9を0.40%含有、純度99.4%)を25℃で1000gのヘプタンに溶解させた。撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら、還元剤として次亜硫酸ナトリウム(純度75%以上)100gに1000mlの水を加えて溶解させた水溶液を、徐々に添加し、25℃、pH4〜6で還元反応を行った。2時間後、反応液から水相を除去し、脱気した飽和食塩水1000gでヘプタン相を6回水洗した。以上、すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。このヘプタン相を減圧下にて溶媒置換し、50℃の還元型補酵素Q10の7%(w/w)エタノール溶液を調製した(還元型補酵素Q10を100g(還元型補酵素Q9を0.40%含有)を含む)。さらに、窒素雰囲気下にて撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら10℃/時間の冷却速度で、2℃まで冷却し、結晶を析出させた。スラリーは良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。得られたスラリーを減圧ろ過し、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノールで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶95g(還元型補酵素Q9を0.19%含有、除去率53%)を得た(有姿収率95モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.3/0.7、還元型補酵素Q10の純度は99.0%であった。なお、スラリーのろ過には濾紙を敷いた直径20cmのヌッチェを用い、アスピレーターで減圧した。ろ過の所要時間は12分であった。
[実施例2]
実施例1とまったく同条件下にて還元反応から水洗までの一連の操作を行い、還元型補酵素Q10のヘプタン溶液を得た(還元型補酵素Q10を100g(還元型補酵素Q9を0.40%含有)を含む)。このヘプタン溶液を減圧下にて溶媒置換し、50℃の還元型補酵素Q10の7%(w/w)2−プロパノール溶液を調製した。この溶液を窒素雰囲気下にて撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら10℃/時間の冷却速度で、2℃まで冷却し、結晶を析出させた。スラリーは良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。得られたスラリーを減圧ろ過し(実施例1と同様、濾過性は良好)、湿結晶を冷2−プロパノール、冷水、冷2−プロパノールで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶94g(還元型補酵素Q9を0.20%含有、除去率50%)を得た(有姿収率94モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.3/0.7、還元型補酵素Q10の純度は99.0%であった。
実施例1とまったく同条件下にて還元反応から水洗までの一連の操作を行い、還元型補酵素Q10のヘプタン溶液を得た(還元型補酵素Q10を100g(還元型補酵素Q9を0.40%含有)を含む)。このヘプタン溶液を減圧下にて溶媒置換し、50℃の還元型補酵素Q10の7%(w/w)2−プロパノール溶液を調製した。この溶液を窒素雰囲気下にて撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら10℃/時間の冷却速度で、2℃まで冷却し、結晶を析出させた。スラリーは良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。得られたスラリーを減圧ろ過し(実施例1と同様、濾過性は良好)、湿結晶を冷2−プロパノール、冷水、冷2−プロパノールで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶94g(還元型補酵素Q9を0.20%含有、除去率50%)を得た(有姿収率94モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.3/0.7、還元型補酵素Q10の純度は99.0%であった。
[実施例3]
100gの酸化型補酵素Q10(酸化型補酵素Q9を0.40%含有、純度99.4%)を25℃で1000gのヘキサンに溶解させた。撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら、還元剤として次亜硫酸ナトリウム(純度75%以上)100gに1000mlの水を加えて溶解させた水溶液を、徐々に添加し、25℃、pH4〜6で還元反応を行った。2時間後、反応液から水相を除去し、脱気した飽和食塩水1000gでヘキサン相を6回水洗した。以上、すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。このヘキサン相を減圧下にて溶媒置換し、50℃の還元型補酵素Q10の7%(w/w)アセトン溶液を調製した(還元型補酵素Q10を100g(還元型補酵素Q9を0.40%含有)を含む)。この溶液を窒素雰囲気下にて撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら10℃/時間の冷却速度で、2℃まで冷却し、結晶を析出させた。スラリーは良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。得られたスラリーを減圧ろ過し(実施例1と同様、濾過性は良好)、湿結晶を冷アセトン、冷水、冷アセトンで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶93g(還元型補酵素Q9を0.21%含有、除去率48%)を得た(有姿収率93モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.2/0.8、還元型補酵素Q10の純度は98.9%であった。
100gの酸化型補酵素Q10(酸化型補酵素Q9を0.40%含有、純度99.4%)を25℃で1000gのヘキサンに溶解させた。撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら、還元剤として次亜硫酸ナトリウム(純度75%以上)100gに1000mlの水を加えて溶解させた水溶液を、徐々に添加し、25℃、pH4〜6で還元反応を行った。2時間後、反応液から水相を除去し、脱気した飽和食塩水1000gでヘキサン相を6回水洗した。以上、すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。このヘキサン相を減圧下にて溶媒置換し、50℃の還元型補酵素Q10の7%(w/w)アセトン溶液を調製した(還元型補酵素Q10を100g(還元型補酵素Q9を0.40%含有)を含む)。この溶液を窒素雰囲気下にて撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら10℃/時間の冷却速度で、2℃まで冷却し、結晶を析出させた。スラリーは良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。得られたスラリーを減圧ろ過し(実施例1と同様、濾過性は良好)、湿結晶を冷アセトン、冷水、冷アセトンで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶93g(還元型補酵素Q9を0.21%含有、除去率48%)を得た(有姿収率93モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.2/0.8、還元型補酵素Q10の純度は98.9%であった。
[実施例4]
実施例1とまったく同条件下にて還元反応、さらには溶媒置換を行い、50℃の還元型補酵素Q10の7%(w/w)エタノール溶液を調製した(還元型補酵素Q10を100g(還元型補酵素Q9を0.40%含有)を含む)。このエタノール溶液に水50gを添加し、撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら、10℃/時間の冷却速度で2℃まで冷却して結晶を析出させた。スラリーは非常に良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られたスラリーを減圧ろ過し(実施例1と比べ、濾過性は極めて良好)、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノールで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶97g(還元型補酵素Q9を0.21%含有、除去率48%)を得た(有姿収率97モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.2/0.8、還元型補酵素Q10の純度は98.9%であった。
実施例1とまったく同条件下にて還元反応、さらには溶媒置換を行い、50℃の還元型補酵素Q10の7%(w/w)エタノール溶液を調製した(還元型補酵素Q10を100g(還元型補酵素Q9を0.40%含有)を含む)。このエタノール溶液に水50gを添加し、撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら、10℃/時間の冷却速度で2℃まで冷却して結晶を析出させた。スラリーは非常に良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られたスラリーを減圧ろ過し(実施例1と比べ、濾過性は極めて良好)、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノールで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶97g(還元型補酵素Q9を0.21%含有、除去率48%)を得た(有姿収率97モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.2/0.8、還元型補酵素Q10の純度は98.9%であった。
[実施例5]
100gの酸化型補酵素Q10(純度99.4%)を25℃で1000gの酢酸エチルに溶解させた。撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら、還元剤として次亜硫酸ナトリウム(純度75%以上)100gに1000mlの水を加えて溶解させた水溶液を、徐々に添加し、25℃、pH4〜6で還元反応を行った。2時間後、反応液から水相を除去し、脱気した飽和食塩水1000gで酢酸エチル相を6回水洗した。以上、すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。この酢酸エチル相1100gを減圧下、48℃にて300gに濃縮し、窒素雰囲気下で同温を維持しながらエタノール1100gおよび水50gを添加後、撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら10℃/時間の冷却速度で、2℃まで冷却して結晶を析出させた。スラリーは良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。得られたスラリーを減圧ろ過し(実施例1と比べ、濾過性は極めて良好)、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノールで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶91gを得た(有姿収率91モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.1/0.9、還元型補酵素Q10の純度は98.8%であった。
100gの酸化型補酵素Q10(純度99.4%)を25℃で1000gの酢酸エチルに溶解させた。撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら、還元剤として次亜硫酸ナトリウム(純度75%以上)100gに1000mlの水を加えて溶解させた水溶液を、徐々に添加し、25℃、pH4〜6で還元反応を行った。2時間後、反応液から水相を除去し、脱気した飽和食塩水1000gで酢酸エチル相を6回水洗した。以上、すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。この酢酸エチル相1100gを減圧下、48℃にて300gに濃縮し、窒素雰囲気下で同温を維持しながらエタノール1100gおよび水50gを添加後、撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら10℃/時間の冷却速度で、2℃まで冷却して結晶を析出させた。スラリーは良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。得られたスラリーを減圧ろ過し(実施例1と比べ、濾過性は極めて良好)、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノールで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶91gを得た(有姿収率91モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.1/0.9、還元型補酵素Q10の純度は98.8%であった。
[実施例6]
100gの酸化型補酵素Q10(純度99.4%)を25℃で1000gのヘプタンに溶解させ、2.9N硫酸1100gおよび亜鉛粉末15gを添加し、撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら、25℃で6時間の還元反応を行った。濃塩酸1000gを添加後、反応液から水相を除去し、脱気した飽和食塩水1000gでヘプタン相を6回水洗した。以上、すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。このヘプタン相を減圧下にて溶媒置換し、50℃の還元型補酵素Q10の7%(w/w)エタノール溶液を調製した。さらに、窒素雰囲気下にて撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら10℃/時間の冷却速度で、2℃まで冷却し、結晶を析出させた。スラリーは良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。なお、得られたスラリーを減圧ろ過し(実施例1と同様、濾過性は良好)、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノールで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶95gを得た(有姿収率95モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.3/0.7、還元型補酵素Q10の純度は99.0%であった。
100gの酸化型補酵素Q10(純度99.4%)を25℃で1000gのヘプタンに溶解させ、2.9N硫酸1100gおよび亜鉛粉末15gを添加し、撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら、25℃で6時間の還元反応を行った。濃塩酸1000gを添加後、反応液から水相を除去し、脱気した飽和食塩水1000gでヘプタン相を6回水洗した。以上、すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。このヘプタン相を減圧下にて溶媒置換し、50℃の還元型補酵素Q10の7%(w/w)エタノール溶液を調製した。さらに、窒素雰囲気下にて撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら10℃/時間の冷却速度で、2℃まで冷却し、結晶を析出させた。スラリーは良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。なお、得られたスラリーを減圧ろ過し(実施例1と同様、濾過性は良好)、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノールで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶95gを得た(有姿収率95モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.3/0.7、還元型補酵素Q10の純度は99.0%であった。
[比較例1]
実施例1とまったく同様にして、飽和食塩水にて水洗後の還元型補酵素Q10100gを含むヘプタン相(還元型補酵素Q9を0.40%含有、純度99.4%)を得た。このヘプタン相を撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら10℃/時間の冷却速度で、50℃から2℃まで冷却し、結晶を析出させた。得られたスラリーは流動性が悪く、晶析容器からの払い出しが実施例1に比べ困難であった。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られたスラリーを減圧ろ過し、湿結晶を冷ヘプタン、冷エタノール、冷水、冷エタノール、冷ヘプタンで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶93g(還元型補酵素Q9を0.29%含有、除去率28%)を得た(有姿収率93モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.6/0.4、還元型補酵素Q10の純度は99.2%であった。なお、スラリーのろ過には濾紙を敷いた直径20cmのヌッチェを用い、アスピレーターで減圧した。ろ過の所要時間は37分であった。また、得られた結晶を実施例1〜6の結晶と共に光学顕微鏡で観察したところ、実施例1〜6と比較して明らかに小さな針状結晶であった。
実施例1とまったく同様にして、飽和食塩水にて水洗後の還元型補酵素Q10100gを含むヘプタン相(還元型補酵素Q9を0.40%含有、純度99.4%)を得た。このヘプタン相を撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら10℃/時間の冷却速度で、50℃から2℃まで冷却し、結晶を析出させた。得られたスラリーは流動性が悪く、晶析容器からの払い出しが実施例1に比べ困難であった。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られたスラリーを減圧ろ過し、湿結晶を冷ヘプタン、冷エタノール、冷水、冷エタノール、冷ヘプタンで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶93g(還元型補酵素Q9を0.29%含有、除去率28%)を得た(有姿収率93モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.6/0.4、還元型補酵素Q10の純度は99.2%であった。なお、スラリーのろ過には濾紙を敷いた直径20cmのヌッチェを用い、アスピレーターで減圧した。ろ過の所要時間は37分であった。また、得られた結晶を実施例1〜6の結晶と共に光学顕微鏡で観察したところ、実施例1〜6と比較して明らかに小さな針状結晶であった。
[実施例7]
100gの酸化型補酵素Q10(純度99.4%)を25℃で1000gのヘキサンに溶解させた。撹拌(撹拌所要動力0.3kW/m3)しながら、還元剤として次亜硫酸ナトリウム(純度75%以上)40gに1000mlの水を加えて溶解させた水溶液を、徐々に添加し、25℃、pH4〜6で還元反応を行った。2時間後、反応液から水相を除去し、脱気した飽和食塩水1000gでヘキサン相を6回水洗した。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。このヘキサン相を減圧下にて溶媒置換し、50℃の還元型補酵素Q10の7%(w/w)エタノール溶液を調製した。さらに、窒素雰囲気下にて撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら10℃/時間の冷却速度で、2℃まで冷却し、結晶を析出させた。スラリーは良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。得られたスラリーを減圧ろ過し、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノールで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶95gを得た(有姿収率95モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.2/0.8、還元型補酵素Q10の純度は98.9%であった。
100gの酸化型補酵素Q10(純度99.4%)を25℃で1000gのヘキサンに溶解させた。撹拌(撹拌所要動力0.3kW/m3)しながら、還元剤として次亜硫酸ナトリウム(純度75%以上)40gに1000mlの水を加えて溶解させた水溶液を、徐々に添加し、25℃、pH4〜6で還元反応を行った。2時間後、反応液から水相を除去し、脱気した飽和食塩水1000gでヘキサン相を6回水洗した。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。このヘキサン相を減圧下にて溶媒置換し、50℃の還元型補酵素Q10の7%(w/w)エタノール溶液を調製した。さらに、窒素雰囲気下にて撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら10℃/時間の冷却速度で、2℃まで冷却し、結晶を析出させた。スラリーは良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。得られたスラリーを減圧ろ過し、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノールで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶95gを得た(有姿収率95モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.2/0.8、還元型補酵素Q10の純度は98.9%であった。
[実施例8]
使用した酸化型補酵素Q10中の純度が98.4%(酸化型補酵素Q9を1.00%、酸化型補酵素Q8を0.30%、及び、酸化型補酵素Q7を0.04%含有)であること以外は、実施例1とまったく同様にして、50℃の還元型補酵素Q10の7%(w/w)エタノール溶液を調製した(還元型補酵素Q9を1.00%、還元型補酵素Q8を0.30%、及び、還元型補酵素Q7を0.04%含有)。このエタノール溶液に水50gを添加し、撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら、3℃/時間の冷却速度で2℃まで冷却して結晶を析出させた。スラリーは非常に良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られたスラリーを減圧ろ過し(実施例1と比べ、濾過性は極めて良好)、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノールで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶95g(還元型補酵素Q9を0.52%含有、除去率48%、還元型補酵素Q8及び還元型補酵素Q7は検出されず)を得た(収率97モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.3/0.7、還元型補酵素Q10の純度は98.7%であった。
使用した酸化型補酵素Q10中の純度が98.4%(酸化型補酵素Q9を1.00%、酸化型補酵素Q8を0.30%、及び、酸化型補酵素Q7を0.04%含有)であること以外は、実施例1とまったく同様にして、50℃の還元型補酵素Q10の7%(w/w)エタノール溶液を調製した(還元型補酵素Q9を1.00%、還元型補酵素Q8を0.30%、及び、還元型補酵素Q7を0.04%含有)。このエタノール溶液に水50gを添加し、撹拌(撹拌所要動力0.3kw/m3)しながら、3℃/時間の冷却速度で2℃まで冷却して結晶を析出させた。スラリーは非常に良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られたスラリーを減圧ろ過し(実施例1と比べ、濾過性は極めて良好)、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノールで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶95g(還元型補酵素Q9を0.52%含有、除去率48%、還元型補酵素Q8及び還元型補酵素Q7は検出されず)を得た(収率97モル%)。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.3/0.7、還元型補酵素Q10の純度は98.7%であった。
[実施例9]
1000gのエタノール中に、100gの酸化型補酵素Q10(純度99.4%)、60gのL−アスコルビン酸を加え、78℃にて撹拌し、還元反応を行った。30時間後、50℃まで冷却し、同温を保持しながらエタノールを400g添加した。このエタノール溶液を撹拌(撹拌所要動力0.3kW/m3)しながら、10℃/時間の冷却速度で2℃まで冷却し、白色のスラリーを得た。スラリーは良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。得られたスラリーを減圧ろ過し(実施例1と同様、濾過性は良好)、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノールで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶95gを得た(有姿収率95モル%)。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5、還元型補酵素Q10の純度は99.2%であった。
1000gのエタノール中に、100gの酸化型補酵素Q10(純度99.4%)、60gのL−アスコルビン酸を加え、78℃にて撹拌し、還元反応を行った。30時間後、50℃まで冷却し、同温を保持しながらエタノールを400g添加した。このエタノール溶液を撹拌(撹拌所要動力0.3kW/m3)しながら、10℃/時間の冷却速度で2℃まで冷却し、白色のスラリーを得た。スラリーは良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。得られたスラリーを減圧ろ過し(実施例1と同様、濾過性は良好)、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノールで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶95gを得た(有姿収率95モル%)。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5、還元型補酵素Q10の純度は99.2%であった。
[実施例10]
1000gのエタノール中に、100gの酸化型補酵素Q10(純度99.4%)、60gのL−アスコルビン酸を加え、78℃にて撹拌し、還元反応を行った。30時間後、50℃まで冷却し、同温を保持しながらエタノール330gと水70g添加した。このエタノール溶液を撹拌(撹拌所要動力0.3kW/m3)しながら、10℃/時間の冷却速度で2℃まで冷却し、白色のスラリーを得た。スラリーは非常に良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。得られたスラリーを減圧ろ過し(実施例1と比べ、濾過性は極めて良好)、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノールで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶97gを得た(有姿収率97モル%)。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5、還元型補酵素Q10の純度は99.2%であった。
1000gのエタノール中に、100gの酸化型補酵素Q10(純度99.4%)、60gのL−アスコルビン酸を加え、78℃にて撹拌し、還元反応を行った。30時間後、50℃まで冷却し、同温を保持しながらエタノール330gと水70g添加した。このエタノール溶液を撹拌(撹拌所要動力0.3kW/m3)しながら、10℃/時間の冷却速度で2℃まで冷却し、白色のスラリーを得た。スラリーは非常に良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。得られたスラリーを減圧ろ過し(実施例1と比べ、濾過性は極めて良好)、湿結晶を冷エタノール、冷水、冷エタノールで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶97gを得た(有姿収率97モル%)。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5、還元型補酵素Q10の純度は99.2%であった。
[実施例11]
1000gのアセトン中に、100gの酸化型補酵素Q10(純度99.4%)、60gのL−アスコルビン酸、30gの炭酸水素ナトリウムを加え、50℃にて撹拌し、還元反応を行った。45時間後、同温を保持しながらアセトンを400g添加した。このアセトン溶液を撹拌(撹拌所要動力0.3kW/m3)しながら、10℃/時間の冷却速度で2℃まで冷却し、白色のスラリーを得た。スラリーは良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。得られたスラリーを減圧ろ過し(実施例1と同様、濾過性は良好)、湿結晶を冷アセトン、冷水、冷アセトンで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶93gを得た(有姿収率93モル%)。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5、還元型補酵素Q10の純度は99.2%であった。
1000gのアセトン中に、100gの酸化型補酵素Q10(純度99.4%)、60gのL−アスコルビン酸、30gの炭酸水素ナトリウムを加え、50℃にて撹拌し、還元反応を行った。45時間後、同温を保持しながらアセトンを400g添加した。このアセトン溶液を撹拌(撹拌所要動力0.3kW/m3)しながら、10℃/時間の冷却速度で2℃まで冷却し、白色のスラリーを得た。スラリーは良好な流動性を示し、容易に晶析容器より払い出しが可能であった。得られたスラリーを減圧ろ過し(実施例1と同様、濾過性は良好)、湿結晶を冷アセトン、冷水、冷アセトンで順に洗浄(洗浄に用いた冷溶媒の温度は2℃)して、さらに、湿結晶を減圧乾燥(20〜40℃、1〜30mmHg)することにより、白色の乾燥結晶93gを得た(有姿収率93モル%)。なお、以上すべての操作は窒素雰囲気下で実施した。得られた結晶の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.5/0.5、還元型補酵素Q10の純度は99.2%であった。
[参考例1]
表1に示す各種溶媒20gに1gの還元型補酵素Q10(還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.6/0.4)を、25℃下で溶解した。大気中、25℃で24時間の撹拌後、液中の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比を測定した結果を表1に示す。
表1に示す各種溶媒20gに1gの還元型補酵素Q10(還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.6/0.4)を、25℃下で溶解した。大気中、25℃で24時間の撹拌後、液中の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比を測定した結果を表1に示す。
[参考例2]
表2に示す各種溶媒100gに1gの還元型補酵素Q10(還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.6/0.4)を、35℃下で溶解した。大気中、35℃で24時間の撹拌後、液中の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比を測定した結果を表2に示す。
表2に示す各種溶媒100gに1gの還元型補酵素Q10(還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比は99.6/0.4)を、35℃下で溶解した。大気中、35℃で24時間の撹拌後、液中の還元型補酵素Q10/酸化型補酵素Q10の重量比を測定した結果を表2に示す。
本発明は、上述の構成よりなるので、工業的規模での作業性、経済性に優れた方法で、高品質の還元型補酵素Q10結晶を簡便且つ効率的に得ることができる。
Claims (3)
- アルコール類及び/又はケトン類の割合が80w/w%以上である溶液中で、還元型補酵素Q10を晶析することよって得られた還元型補酵素Q10結晶。
- 前記晶析により、結晶中の還元型補酵素Q9の含量が低減された請求項1記載の還元型補酵素Q10結晶。
- 前記晶析により、結晶中の還元型補酵素Q9の含量が0.52重量%以下に低減された請求項2記載の還元型補酵素Q10結晶。
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