JP2009041649A - 真空断熱材及び真空断熱材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】粉体の飛散を抑制するために粉体を強固な成形体とする場合においても、断熱性能に優れた真空断熱材を提供することを目的とする。
【解決手段】真空断熱材1は、シリカ粉体4からなる芯材2を外被材3で覆い、外被材3の内部を減圧密閉してなり、芯材2はシリカ粉体4の焼結作用により見掛け比重が130kg/m3以上、250kg/m3以下の成形体である。芯材2の作製方法について説明すると、見掛け比重が130〜250kg/m3となるように所定形状の枠にシリカ粉体4を充填し、加熱プレスによってシリカ粉体4の粒子同士を結着させる。このとき、無機質繊維5を0.1〜30重量%の範囲で混合するとより芯材2の強度が高まり好ましい。また、加熱プレス条件としては、圧力が0.07〜1MPaの範囲、温度は150〜900℃の範囲が好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】真空断熱材1は、シリカ粉体4からなる芯材2を外被材3で覆い、外被材3の内部を減圧密閉してなり、芯材2はシリカ粉体4の焼結作用により見掛け比重が130kg/m3以上、250kg/m3以下の成形体である。芯材2の作製方法について説明すると、見掛け比重が130〜250kg/m3となるように所定形状の枠にシリカ粉体4を充填し、加熱プレスによってシリカ粉体4の粒子同士を結着させる。このとき、無機質繊維5を0.1〜30重量%の範囲で混合するとより芯材2の強度が高まり好ましい。また、加熱プレス条件としては、圧力が0.07〜1MPaの範囲、温度は150〜900℃の範囲が好ましい。
【選択図】図1
Description
本発明は真空断熱材、及び真空断熱材用芯材、さらには真空断熱材を適用した冷蔵庫等の保温保冷機器、建材、住宅に関するものである。
近年、地球温暖化の防止を目的に省エネルギー化が望まれており、民生用機器に対しても省エネルギー化の推進が行われている。特に、冷凍冷蔵庫に関しては、冷熱を効率的に利用するという観点から、優れた断熱性を有する真空断熱材が注目されている。
このような真空断熱材の芯材としては、繊維系、粉体系、発泡樹脂系などの多孔体が用いられ、その内部を高真空度に保持することで気体成分による熱伝導を低減して断熱性能を向上させている。中でも、繊維系の芯材としてガラス繊維を用いた真空断熱材は、冷蔵庫をはじめとする機器に使用されている。しなしながら、長期に渡って使用される場合において、外部からのガス侵入を完全に防ぐことは困難であることから芯材には粉体系を用いることが検討されている。粉体系芯材は微細な空隙構造を有することから気体分子の衝突を遮り、気体による熱伝導を抑制できるため、大気圧に近い比較的低真空雰囲気でも高い断熱性能が得られる。よって、ガス侵入による真空度の低下を考慮しなければならない長期に渡る使用においても、高い断熱性能を維持することができるために有利である。
しかしながら、粉体を芯材として使用する場合、製造時の寸法精度低下や取り扱い性、製造・廃棄時の飛散による問題がある。ゆえに、それらを改善するために粉体を固形状に成形するという手段がある。
従来、粉体を成形体とする技術として、湿式法によって得られる超微粒子シリカと繊維材料を混合、圧縮した成形体を芯材とした真空断熱材がある(例えば、特許文献1参照)。
また、成形なしで使用可能にする方法としては、不織布等の熱溶着が可能な中袋にシリカ等の無機粉末を充填し、さらにその中袋を外被材に封入することで飛散を防止した真空断熱材がある(例えば、特許文献2参照)。
特開昭61−250481号公報
登録実用新案第1835566号公報
しかしながら、特許文献1に示すような従来の芯材における粉末成形体は、記載の密度が220〜460kg/m3の範囲において、実際には250kg/m3未満の低密度領域では強度不足により製造上の取り扱いが困難である。強度不足の原因は、粉同士や粉と繊維の接触面積が小さいことと接着作用が微弱であるためであると考えられる。補強材として、一般的なバインダー成分を付与することも可能であるが、均一に混合するためにバインダー水溶液を塗布した場合には、粉体系芯材特有の微細空隙構造が崩れ、結果的に芯材構造は高密度化する。よって、芯材固体による熱伝導性が増し、真空断熱材としての断熱性能の悪化を招く。また、芯材見掛け比重を250kg/m3以上にまで上げるとハンドリングは可能となるが、高密度化するとバインダー水溶液を塗布した場合と同様に芯材固体による熱伝導性が増してしまうという問題を有していた。
また、特許文献2に示すような従来の芯材は、中袋に粉末を充填し、熱溶着することで粉の飛散は防止できるが、中袋への封入で余分な工程数が増えること、外被材封止時に粉末が偏析することで望み通りの形状が得られないこと、寸法精度が低下するなどの問題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、製造における取り扱い性の改善、および粉体の飛散を抑制するために粉体を強固な成形体とする場合においても、断熱性能に優れた真空断熱材を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の真空断熱材はシリカ粉体からなる芯材を外被材で覆い、前記外被材の内部を減圧密閉してなり、前記芯材は前記シリカ粉体の焼結作用により見掛け比重が130kg/m3以上、250kg/m3以下の成形体からなるものである。
粒子径の小さい粉体を芯材として使用すれば、粒子界面の接触熱抵抗をかせぐことができ、かつ硬質粒子材料であることにより、粒子同士の接点においても高い接触熱抵抗が得られ、芯材固体における伝熱を抑制して良好な初期断熱性能が得られる。さらに、微細な空隙構造を形成するため、気体分子の衝突を抑制し、気体による熱伝導を抑制することができる。よって、経時的なガス侵入による劣化も小さくなるために、長期に渡って高い断熱性能を維持できる。シリカ粉体は、工業的に汎用材料でありながら、平均一次粒子径がナノオーダーの超微細粒子を工業的な汎用材料として製造が可能であり、芯材として使用するには望ましい材料である。
本発明の真空断熱材の芯材は、シリカ粉体を焼結させることで粒子界面がなくなることがなく、粒子界面を維持したまま粉体同士を焼結させてハンドリング性の高い成形体を得ることが可能となる。
尚、成形後の芯材の見掛け比重としては、その芯材形状を維持できるという観点から130kg/m3以上、良好な断熱性能が得られるという観点から250kg/m3以下の範囲が望ましい。
本発明のシリカ粉体は、特に指定するものではなく、火炎法、アーク法、プラズマ法などの乾式法により製造される乾式シリカ、沈降法、ゲル法などの湿式法により製造される湿式シリカが使用可能である。乾式シリカは粒子同士の凝集が起こり難く、繊維との分散性向上する。また、汎用性を考慮すると、コスト面で湿式法により得られたシリカ粉体を用いることが工業的には最も望ましい。また、平均一次粒子径が小さいと断熱性能が向上し、加熱成形の低温化と短時間化が可能となるため、一次粒子径は50nm以下のものが望ましく、10nm以下のものがより望ましい。
また、本発明の芯材には焼結助剤が適用できる。これにより焼結温度の低減、成形性の向上が図れるが、特に指定するものではなく、公知の焼結助剤が適用できる。
本発明の真空断熱材は、芯材が微細空隙を有し、気体の熱伝導を抑制できる粉体であることから、経時的なガス侵入があっても長期に渡って気体の熱伝導を抑制し、断熱性能を維持することができる。ここで、シリカ粉体は焼結による成形体となっていることから、ガス発生がなく、成形体強度が向上するために粉体芯材ハンドリング性が向上し、製造・廃棄時の粉の飛散を抑制できる。また、低密度で成形した場合にも強度を確保できることから、高い空隙率を維持し、良好な断熱性能を確保できる。さらには、焼結体は粉体の粒界が残存することで、熱抵抗の高い芯材の作製が可能であり、断熱性能の高い真空断熱材の供給を可能にする。
請求項1に記載の真空断熱材は、シリカ粉体からなる芯材を外被材で覆い、前記外被材の内部を減圧密閉してなり、前記芯材は前記シリカ粉体の焼結作用により見掛け比重が130kg/m3以上、250kg/m3以下の成形体からなるものである。
シリカ粉体は、平均一次粒子径がナノオーダーであるために、微細な空隙構造を作ることで気体熱伝導を抑制し、経時的なガス侵入による内部圧力上昇においても断熱性能を確保できる。また、シリカ粉体単体ではハンドリングの問題で外被材への挿入等の製造面での問題が発生するが、本発明によりシリカ粉体は焼結により粒子同士が結合していることから、低密度な充填状態で十分な強度を有する成形体を得ることができる。さらに、焼結による粒子の結合は、粒界が消失しないために、結合面での接触熱抵抗をかせぐことで熱抵抗の高い芯材を得ることができる。
以上の作用により、芯材が十分な強度を有する成形体へ容易に加工でき、生産性が向上すると共に、廃棄時の粉体の飛散が起こらない。また、断熱材として芯材の寸法精度が向上する。さらには、粒子同士を結合させることによる断熱性能の低下が防止できる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の真空断熱材において、芯材は重量比で0.1%以上、30%以下の範囲で無機繊維を含む混合体としたものである。
これにより、芯材は、粉体の焼結作用だけでなく無機質繊維が骨材として作用することから、さらに芯材は焼結後の成形体強度が増す。ハンドリング性が高まる。
以上の作用により、これを芯材として適用した真空断熱材は伝熱媒体となる芯材固体の密度を低減し、断熱性能が向上だけでなく材料コストが削減できる。また、芯材強度が増すことでハンドリング性が向上する。
無機質繊維は特に限定するものではないが、ガラス繊維、ロックウール、セラミック繊維などが適用可能であり、汎用面でガラス繊維が好ましい。また、0.1重量%未満であれば骨格構造が形成できないために強度向上が見込めず、繊維が30重量%を超えると繊維が支配的となるために、芯材空隙が粗大化し、その結果気体による熱伝導が起こり断熱性能の悪化を招く。特に、経時的なガス侵入が無視できない長期的な使用においては気体による熱伝導が断熱性能の悪化を顕著に引き起こす。
請求項3に記載の真空断熱材の製造方法は、請求項1または2に記載の真空断熱材において、芯材は通電加熱焼結法によりシリカ粉体を成形体とする製造方法である。
これにより、空隙率の高い粉体を焼結温度帯まで急激に昇温させることが可能となり、
温度むらのない均一加熱状態を迅速に作り出すことができる。
温度むらのない均一加熱状態を迅速に作り出すことができる。
以上の作用により、本発明の真空断熱材の製造方法を適用することで、芯材成形の加工時間が大幅に低減でき、生産性が向上する。
請求項4に記載の真空断熱材の製造方法は、請求項1または2に記載の芯材は放電プラズマ焼結法によりシリカ粉体を成形体とする真空断熱材の製造方法。
これにより、焼結プロセスにおける昇温効率が高いだけではなく、放電プラズマによる粒子間での焼結反応を促進し、ホットプレス等の一般的な加圧焼結法よりも低温域における加工プロセスで芯材成形体の焼結強度を高めることができる。
以上の作用により、本発明の真空断熱材の製造方法を適用することで、必要とする熱エネルギーの削減、および加工時間の短縮が可能となり、生産性が向上する。
また、本発明の外被材はバリア性を有するラミネートフィルムを使用したものが使用でき、その構成は特に指定するものではない。
最内層の熱溶着層には、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、無延伸ポリエチレンテレフタレート、無延伸ナイロン、無延伸エチレン−ポリビニルアルコール共重合体樹脂などが使用可能であり、特に指定するものではない。
また、外部からのガス侵入を抑制するために、金属箔や、蒸着フィルム、コーティングフィルム、蒸着コーティングフィルムなどが使用可能である。その種類や積層数は特に指定するものではない。金属箔は、アルミニウム、ステンレス、鉄やその混合物など、特に指定するものではない。また、蒸着やコーティングの基材となるプラスチックフィルムの材料は、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体樹脂、ポリエチレンナフタレート、ナイロン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミドなど特に指定するものではない。また、蒸着の材料としては、アルミニウム、コバルト、ニッケル、亜鉛、銅、銀、シリカ、アルミナ、ダイヤモンドライクカーボンやそれらの混合物など、特に指定するものではない。また、コーティングの材料としては、PVA、ポリアクリル酸系樹脂やその混合物など特に指定するものではない。また、蒸着コーティングフィルムにおける蒸着とコーティングの積層順序は特に指定するものではない。
また、耐ピンホール性や耐摩耗性の向上、難燃性の付与、さらなるバリア性の向上などを目的としてさらに外層や中間層にフィルムを設けることも可能である。
ここで、外層や中間層に設けるフィルムは、ナイロン、エチレン−4フッ化エチレン共重合体樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体樹脂など、その種類や積層数は、特に指定するものではない。また、蒸着フィルムやコーティングフィルム、蒸着コーティングフィルムであってもよいし、さらに金属箔を積層してもよい。
また、外被材の袋形状は、四方シール袋、ガゼット袋、三方シール袋、ピロー袋、センターテープシール袋など、特に指定するものではない。
さらに、外被材は、バリア性を有する容器であってもよく、例えば樹脂を成形した容器などであってもよい。
その材料や構成も特に指定するものではなく、アルミニウム、ステンレス、鉄などの金属や、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体樹脂、ポリエチレンナフタレート、ナイロン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミドなどの樹脂が使用可能である。またこれらの樹脂に蒸着やコーティング処理をしたものを使用してもよい。バリア性の向上のためにこれらの材料を多層化して使用してもよい。
また、真空断熱材の初期断熱性能や経時断熱性能をより一層向上させるために、水分吸着剤やガス吸着剤を使用することも可能である。吸着剤の種類は特に指定するものではなく、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化バリウム、ゼオライト、シリカゲル、ハイドロタルサイトなどが使用可能であり、これらを単独で使用しても、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における真空断熱材の断面図である。図1において、真空断熱材1は芯材2と外被材3とから構成されている。また、芯材2はシリカ粉体4と無機質繊維5とから構成されている。
図1は、本発明の実施の形態1における真空断熱材の断面図である。図1において、真空断熱材1は芯材2と外被材3とから構成されている。また、芯材2はシリカ粉体4と無機質繊維5とから構成されている。
まず、真空断熱材1の製造方法を説明する。
芯材2は、シリカ粉体4と無機質繊維5とを所定割合で混合した粉体を成形型に充填し、加圧状態で昇温することによって、焼結成形体である芯材2を得た。
外被材3は、同じ大きさの長方形に切った2枚のラミネートフィルムの熱溶着層同士を向かい合わせて三辺をヒートシールし、袋状とする。
次に、三辺シールした外被材3の開口部から乾燥させた芯材2を挿入する。これをチャンバー内に設置し、内部を減圧した後、開口部をヒートシールすることで芯材部見掛け比重が130kg/m3以上250kg/m3以下の真空断熱材1を得る。
次に、芯材2の作製方法について説明すると、見掛け比重が130〜250kg/m3となるように所定形状の枠にシリカ粉体4を充填し、加熱プレスによってシリカ粉体4の粒子同士を結着させる。このとき、無機質繊維5を0.1〜30重量%の範囲で混合するとより芯材2の強度が高まり好ましい。また、加熱プレス条件としては、圧力が0.07〜1MPaの範囲、温度は150〜900℃の範囲が好ましい。
以上のように得られた真空断熱材1の熱伝導率を測定したところ、0.0055W/mKという汎用ウレタンボードやスチレンボード断熱材と比較して10倍近い断熱性能が得られた。
芯材2は、焼結によりシリカ粉体4が結着しているため、粒界面が残留していることで高い熱抵抗を維持しながら、成形体は高い強度を有するために、粉落ちが抑制でき、外被材への挿入も容易である。さらに、外被材3が破損した場合や廃棄時に開封した場合にも粉の飛散を抑制が可能となった。
以下、実施例、および比較例を用いて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は本実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
芯材1は、シリカ粉体4として湿式法により作製したシリカと、無機質繊維5としてガラス繊維とから構成される成形体であり、その混合比率は重量比で10:1である。また、ホットプレスの条件は、0.1MPaで500℃とした。また、ホットプレスによる真空断熱材1の芯材2となる成形体見掛け比重は210kg/m3である。
芯材1は、シリカ粉体4として湿式法により作製したシリカと、無機質繊維5としてガラス繊維とから構成される成形体であり、その混合比率は重量比で10:1である。また、ホットプレスの条件は、0.1MPaで500℃とした。また、ホットプレスによる真空断熱材1の芯材2となる成形体見掛け比重は210kg/m3である。
加熱成形によって、シリカ粉体4は焼結作用が生じ、強固な成形体を得ることができた。さらに、ガラス繊維が架橋構造をつくることで、より強度を高めることが可能となった。また、真空断熱材1の初期断熱性能を示す熱伝導率は0.0055W/mKであり、粉体4を成形することなしに外被材3へ挿入した場合よりも断熱性能は優れていた。経時的な断熱性能の変化を想定した温度加速試験を行ったところ、100℃1ヶ月経過後も0.0057W/mKでありガス侵入による劣化は確認できなかった。
(実施例2)
実施例1と同様の構成において、ホットプレスの条件は、0.1MPaで750℃とした。より高温条件での加熱成形によって、粉体4の焼結強度が増し、ハンドリング性がさらに高まった。また、真空断熱材1としたときの熱伝導率も0.0054W/mKであり、特に断熱性能の悪化はみられなかった。
実施例1と同様の構成において、ホットプレスの条件は、0.1MPaで750℃とした。より高温条件での加熱成形によって、粉体4の焼結強度が増し、ハンドリング性がさらに高まった。また、真空断熱材1としたときの熱伝導率も0.0054W/mKであり、特に断熱性能の悪化はみられなかった。
(実施例3)
実施例1と同様の構成において、通電加熱焼結法により芯材2の成形を行った。焼結の条件は、実施例2と同様に750℃とした。その結果、より高い温度でも、ホットプレス等の一般的な加熱プレス条件と比較して昇温スピードを格段に早めることが可能となり、生産性が大幅に改善した。このときの真空断熱材1の熱伝導率は0.0057W/mKであり、断熱性能の悪化も起こらなかった。
実施例1と同様の構成において、通電加熱焼結法により芯材2の成形を行った。焼結の条件は、実施例2と同様に750℃とした。その結果、より高い温度でも、ホットプレス等の一般的な加熱プレス条件と比較して昇温スピードを格段に早めることが可能となり、生産性が大幅に改善した。このときの真空断熱材1の熱伝導率は0.0057W/mKであり、断熱性能の悪化も起こらなかった。
(実施例4)
実施例1と同様の構成において、放電プラズマ焼結法により芯材2の成形を行った。焼結の条件は実施例1よりも低い300℃としたが、ホットプレスにおける500℃と同等の強固な芯材2の成形が可能であった。また、ホットプレス等の一般的な加熱プレス法よりも昇温スピードを格段に高めることが可能である。このときの真空断熱材1の熱伝導率は0.0052W/mKであり、断熱性能も優れていた。
実施例1と同様の構成において、放電プラズマ焼結法により芯材2の成形を行った。焼結の条件は実施例1よりも低い300℃としたが、ホットプレスにおける500℃と同等の強固な芯材2の成形が可能であった。また、ホットプレス等の一般的な加熱プレス法よりも昇温スピードを格段に高めることが可能である。このときの真空断熱材1の熱伝導率は0.0052W/mKであり、断熱性能も優れていた。
(比較例1)
芯材には繊維系のガラス繊維のみを用いて、外被材3へ挿入し、真空断熱材1を作成した。芯材の作製条件以外は実施例1と同様である。
芯材には繊維系のガラス繊維のみを用いて、外被材3へ挿入し、真空断熱材1を作成した。芯材の作製条件以外は実施例1と同様である。
このときの初期断熱性能としては、熱伝導率が0.0030W/mKであり良好な値を示したものの、100℃1ヶ月経過後の熱伝導率は0.0050W/mK、2ヶ月後には0.0071W/mKと経時的なガス侵入による劣化が起きた。よって、長期に渡る使用や、外気に露呈するような厳しい環境で使用する用途には適していない。
(比較例2)
実施例1と同様の試料を用い、150℃での圧縮により芯材2の成形を試みたところ、シリカ粉体4は焼結状態に至らず固形状に成形できなかった。よって、ハンドリングに不向きな粉体のままであり、取り扱いが困難である。よって、成形時の温度はハンドリング性を確保するために200℃以上が望ましい。
実施例1と同様の試料を用い、150℃での圧縮により芯材2の成形を試みたところ、シリカ粉体4は焼結状態に至らず固形状に成形できなかった。よって、ハンドリングに不向きな粉体のままであり、取り扱いが困難である。よって、成形時の温度はハンドリング性を確保するために200℃以上が望ましい。
(比較例3)
実施例1と同様の試料を用い、1000℃での圧縮により芯材の成形を試みたところ、シリカ粉体4の粒子が変形し、緻密構造になるために空隙率が低下した。よって、狙い形状よりも小さくなっただけでなく、高密度化により真空断熱材1を作製したときの熱伝導率も0.022W/mKであり、断熱性能が大幅に劣化していた。よって、芯材成形時の温度は1000℃未満であることが好ましい。
実施例1と同様の試料を用い、1000℃での圧縮により芯材の成形を試みたところ、シリカ粉体4の粒子が変形し、緻密構造になるために空隙率が低下した。よって、狙い形状よりも小さくなっただけでなく、高密度化により真空断熱材1を作製したときの熱伝導率も0.022W/mKであり、断熱性能が大幅に劣化していた。よって、芯材成形時の温度は1000℃未満であることが好ましい。
(比較例4)
実施例1と同様の試料を用い、ガラス繊維の混合比率を下げていったところ、粉体重量に対して0.1重量%を下回ると骨格構造が形成できなくなるために強度が低下し、取り扱いによってその形状の維持が困難となった。また、30重量%を超えると、真空断熱材1の初期断熱性能が悪化し、熱伝導率は0.0070W/mK以上となった。
実施例1と同様の試料を用い、ガラス繊維の混合比率を下げていったところ、粉体重量に対して0.1重量%を下回ると骨格構造が形成できなくなるために強度が低下し、取り扱いによってその形状の維持が困難となった。また、30重量%を超えると、真空断熱材1の初期断熱性能が悪化し、熱伝導率は0.0070W/mK以上となった。
よって、無機質繊維5は含有率0.1重量%以上、30重量%以下の範囲で含むことが望ましい。
以上、実施の形態1における実施例と比較例より、シリカ粉体を低密度で高強度な成形体とするにはシリカ粉体を好ましい温度領域で焼結させることが適しており、ハンドリング性が良好で、かつ断熱性能に優れた真空断熱材を提供できる。また、このときの芯材見掛け比重は130以上250kg/m3以下の密度において初期断熱性能で0.0060W/mK以下という良好な断熱性能、かつ経時的な劣化が抑制できる真空断熱材1が得られた。さらに、無機質繊維を混合することによる強度向上、焼結助剤、成形助剤を用いて成形性を高めることが好ましい。
以上のように、本発明にかかる真空断熱材は、芯材が比較的大気圧に近い減圧状態でも気体熱伝導を抑制できるほど微細空隙構造を作ることが可能な粉体系であるため、ガス侵入が避けられない長期に渡って使用した場合にも断熱性能を維持できる。このため、非常に長い間断熱性能が要求される建築材料としての使用も可能である。また、冷蔵庫のような保冷機器や、電気湯沸かし器、炊飯器、保温調理器、給湯器などの保温機器に使用すれば長期に渡って優れた省エネ効果を示す。また、芯材が成形体であることから、薄肉化した場合にも厚みムラが小さくなるために、省スペースで高い断熱性能が要求されるようなノート型コンピューター、コピー機、プリンター、プロジェクターなどの事務機器への適用も可能である。また、コンテナボックスやクーラーボックスなどの保冷が必要な用途や、防寒具や寝具などへの適用も可能である。
また、本発明の芯材は、ラミネートフィルムからなる外被材を有する真空断熱材への適用に限られたものではない。例えば、ガスバリア性材料からなる外箱と内箱とからなり、前記外箱と前記内箱の間の空間に芯材を設け、前記空間を減圧することで真空断熱構造を有する真空断熱箱体への適用も可能である。
1 真空断熱材
2 芯材
3 外被材
4 シリカ粉体
5 無機質繊維
2 芯材
3 外被材
4 シリカ粉体
5 無機質繊維
Claims (4)
- シリカ粉体からなる芯材を外被材で覆い、前記外被材の内部を減圧密閉してなり、前記芯材は前記シリカ粉体の焼結作用により見掛け比重が130kg/m3以上、250kg/m3以下の成形体である真空断熱材。
- 芯材は重量比で0.1%以上、30%以下の範囲で無機繊維を含む混合体である請求項1に記載の真空断熱材。
- 前記芯材は通電加熱焼結法によりシリカ粉体を成形体とする請求項1または2に記載の真空断熱材の製造方法。
- 前記芯材は放電プラズマ焼結法によりシリカ粉体を成形体とする請求項1または2に記載の真空断熱材の製造方法。
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KR101808899B1 (ko) * | 2014-05-26 | 2017-12-14 | (주)엘지하우시스 | 진공단열재용 심재, 이의 제조 방법 및 이를 이용한 진공단열재 |
-
2007
- 2007-08-08 JP JP2007206584A patent/JP2009041649A/ja active Pending
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