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JP2008529556A - 前立腺特異的膜抗原(psma)に対するヒトモノクローナル抗体 - Google Patents

前立腺特異的膜抗原(psma)に対するヒトモノクローナル抗体 Download PDF

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JP2008529556A
JP2008529556A JP2007556368A JP2007556368A JP2008529556A JP 2008529556 A JP2008529556 A JP 2008529556A JP 2007556368 A JP2007556368 A JP 2007556368A JP 2007556368 A JP2007556368 A JP 2007556368A JP 2008529556 A JP2008529556 A JP 2008529556A
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Abstract

本発明は、単離されたモノクローナル抗体、特に、PSMAに特異的に高いアフィニティーで結合するヒトモノクローナル抗体を提供する。本発明の該抗体をコードする核酸分子、発現ベクター、宿主細胞、および本発明の抗体を発現する方法が提供される。本発明の該抗体を含む免疫複合体、二重特異性抗体分子、薬学的組成物も提供される。本発明はまた、癌を治療するための方法を提供する。

Description

発明の背景
前立腺癌は、男性において罹患率および死亡率が最も高い癌である。前立腺癌の治療としては、外科的手術、ホルモン療法、放射線療法、化学治療が挙げられる。転移性の前立腺疾患には有効な治療方法が少ない。したがって、診断および予後マーカー、ならびに治療の標的を表す遺伝子および/または遺伝子産物を同定することは重要である。前立腺特異的抗原(PSA)は、そのような癌マーカーの1つであり、それは、前立腺癌の臨床診断および病期決定において有用である。しかしながら、PSAは、良性の前立腺肥大症(BPH)と、前立腺炎または4〜10ng/mlの範囲の前立腺癌とを区別することができない。したがって、適切な診断を確定するための細胞学的および/または組織学的評価が必要である(Barren, R.J. et al. (1998) Prostate 36:181-188)。
前立腺特異的膜抗原(PSMA)は、750アミノ酸で、トランスフェリンレセプターと54%の相同性を有する約110kDのII型膜貫通糖タンパク質である。PSMAは、19のアミノ酸細胞内ドメイン、24のアミノ酸膜貫通ドメイン、および707のアミノ酸細胞外ドメインを含む、3種類の構造ドメインを有している。PSMAタンパク質は、ニューロカルボキシペプチダーゼおよび葉酸加水分解酵素活性を示し、それは、前立腺の成長および分化の神経内分泌調節に関与することが報告されている(Heston, W.D. (1996) Urologe-Ausgabe A. 35:400-407)。PSM’は、PSMAからオルタナティブスプライシングされたもので、細胞質に局在する。
PSMAは、主に前立腺上皮細胞において発現する。PSMAの発現は、前立腺癌、特に低分化型、転移性およびホルモン難治性癌腫において上昇する(Gregorakis, A.K. et al. (1998) Seminars
in Urologic Oncology 16:2-12; Silver, D.A.(1997) Clinical
Cancer Research 3:81-85)。PSMAの低レベルの発現は、小腸、唾液腺、十二指腸粘膜、近位腎尿細管および脳などの前立腺以外の組織においても認められている(Silver, D.A. (1997) Clinical Cancer Research 3:81-85)。PSMA発現は、腎細胞癌腫または大腸癌腫など特定の悪性腫瘍の腫瘍周辺および腫瘍内部分の毛細血管の上皮細胞においても見られるが、正常組織の血管においては見られない。さらに、PSMAの発現は、腫瘍の血管形成に関与することが報告されている(Silver, D.A. (1997) Clinical Cancer Research 3:81-85)。近年、PSMAは、結腸、乳房、膀胱、膵臓、腎臓の癌腫およびメラノーマにおける腫瘍関連新生血管において発現することが証明されている(Chang, S.S. (2004) Curr Opin Investig Drugs 5:611-5)。
PSMAの細胞外ドメインに対する抗体について記載されている(例えば、Liu, H. et al. (1997)Cancer Res. 57:3629-3634; Murphy, G.P. et al. (1998) J. Urol. 160:2396-2401; Wang, S. et al. (2001) Int. J.
Cancer 92:871-876; Kato, K. et al. (2003) Int. J. Urol. 10:439-444; 米国特許第6,150,508号および米国特許第6,107,090号参照)。さらに近年、PSMAに結合するヒト抗体およびヒト化抗体について記載されている(例えば、Bander, N.H. et al. (2003) Semin.
Oncol. 30:667-676;PCT国際公開WO02/098897号;PCT国際公開WO01/09192号;PCT国際公開WO03/064606号;PCT国際公開WO03/034903号;および米国出願第2004/0033229号参照)。このような抗体は、前立腺癌細胞のイメージングに用いられてきた(例えば、Yao, D. et al. (2002) Semin. Urol. Oncol. 20:211-218; Bander, N.H. et al. (2003) J. Urol. 170:1717-1721参照)。抗PSMA抗体は、典型的には化学治療薬または放射性同位体との結合体として、前立腺癌の治療における治療的インターベンションにも用いられてきた(例えば、Nanus, D.M. et al. (2003) J. Urol.
170:S84-89; Milowsky, M.I. et al. (2004) J. Clin. Oncol. 22:2522-2531; Henry, M.D. et
al. (2004) Cancer Res. 64:7995-8001参照)。
したがって、PSMAは、前立腺癌およびPSMA発現によって特徴付けられる種々の他の疾患の治療のための価値のある標的であり、PSMAを認識するさらなる治療薬が望まれる。
本発明は、PSMAに結合する単離されたモノクローナル抗体、特にヒトモノクローナル抗体を提供する。本発明の抗体は、PSMAに対する高アフィニティー性、細胞を発現するPSMAによる内在化能力、および高い融解温度といった望ましい特性を有している。好ましくは、本発明の抗体は、67℃以上、または69℃以上、または71℃以上の融解温度を有している。
ある局面において、本発明は、ヒトV3−30.3遺伝子の生成物である、またはそれに由来する重鎖可変領域を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供する。そこでは、該抗体は、PSMAに特異的に結合する。本発明はさらに、ヒトVk L18遺伝子の生成物である、またはそれに由来する軽鎖可変領域を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供する。そこでは、該抗体は、PSMAに特異的に結合する。
好ましい態様において、本発明は、
a)ヒトV3−30.3遺伝子の重鎖可変領域;
b)ヒトVk L18遺伝子の軽鎖可変領域を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供し、該抗体は、PSMAに特異的に結合する。
別の好ましい態様において、本発明は、
a)ヒトV5−51遺伝子の重鎖可変領域;
b)ヒトVk L18遺伝子の軽鎖可変領域を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供し、該抗体は、PSMAに特異的に結合する。
好ましい態様において、本発明は、
a)配列番号:9、10、11および12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;
b)配列番号:13、14、15および16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;
c)配列番号:17、18、19および20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
d)配列番号:21、22、23および24からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;
e)配列番号:25、26、27および28からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;
f)配列番号:29、30、31および32からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供し、該抗体は、PSMAに特異的に結合する。
好ましい組み合わせは、
a)配列番号:9を含む重鎖可変領域CDR1;
b)配列番号:13を含む重鎖可変領域CDR2;
c)配列番号:17を含む重鎖可変領域CDR3;
d)配列番号:21を含む軽鎖可変領域CDR1;
e)配列番号:25を含む軽鎖可変領域CDR2;および
f)配列番号:29を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
別の好ましい組み合わせは、
a)配列番号:10を含む重鎖可変領域CDR1;
b)配列番号:14を含む重鎖可変領域CDR2;
c)配列番号:18を含む重鎖可変領域CDR3;
d)配列番号:22を含む軽鎖可変領域CDR1;
e)配列番号:26を含む軽鎖可変領域CDR2;および
f)配列番号:30を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
別の好ましい組み合わせは、
a)配列番号:11を含む重鎖可変領域CDR1;
b)配列番号:15を含む重鎖可変領域CDR2;
c)配列番号:19を含む重鎖可変領域CDR3;
d)配列番号:23を含む軽鎖可変領域CDR1;
e)配列番号:27を含む軽鎖可変領域CDR2;および
f)配列番号:31を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
別の好ましい組み合わせは、
a)配列番号:12を含む重鎖可変領域CDR1;
b)配列番号:16を含む重鎖可変領域CDR2;
c)配列番号:20を含む重鎖可変領域CDR3;
d)配列番号:24を含む軽鎖可変領域CDR1;
e)配列番号:28を含む軽鎖可変領域CDR2;および
f)配列番号:32を含む軽鎖可変領域CDR3を含む。
本発明の他の好ましい抗体または抗原結合部分は、
a)配列番号:1、2、3および4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および
b)配列番号:5、6、7および8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供し、該抗体は、PSMAに特異的に結合する。
好ましい組み合わせは、
a)配列番号:1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および
b)配列番号:5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
好ましい組み合わせは、
a)配列番号:2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および
b)配列番号:6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
別の好ましい組み合わせは、
a)配列番号:3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および
b)配列番号:7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
別の好ましい組み合わせは、
a)配列番号:4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および
b)配列番号:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
本発明の抗体は、例えば、全長抗体、例えば、IgG1またはIgG4アイソタイプとすることができる。あるいは、該抗体は、FabまたはFab’2フラグメント、または一本鎖抗体といった抗体フラグメントとすることができる。
本発明はまた、サイトトキシンもしくは放射性同位体といった治療薬と結合した、本発明の抗体またはその抗原結合部分を含む免疫複合体を提供する。本発明は、前記抗体またはその抗原結合部分とは異なる結合特異性を備えた第2の機能的部分と結合した、本発明の抗体またはその抗原結合部分を含む二重特異性分子を提供する。
本発明の抗体またはその抗原結合部分、または免疫複合体または二重特異性分子および薬学的に許容できる担体を含む組成物も提供される。
本発明の抗体またはその抗原結合部分をコードする単離された核酸分子、ならびにそのような核酸を含む発現ベクター、およびそのような発現ベクターを含む宿主細胞も、本発明に含まれる。さらに、本発明は、ヒトイムノグロブリン 重鎖および軽鎖トランスジーンを含むトランスジェニックマウスであって、本発明の抗体を発現するマウス、ならびに、そのようなマウスから調製されるハイブリドーマであって、本発明の抗体を作製するハイブリドーマを提供する。
さらに別の局面において、本発明は、被験体において腫瘍の増殖を阻害する方法であって、該腫瘍の細胞または血管内皮細胞が腫瘍発現PSMAに近接し、本発明の抗PSMAヒト抗体またはその抗原結合部分を、腫瘍の増殖阻害に有効な量を被験体に投与することを含む方法を提供する。好ましい態様において、前立腺細胞の増殖が阻害される。
本発明はまた、本明細書に提供された本発明の抗PSMA抗体の配列に基づいて、「第2世代」抗PSMA抗体を作製する方法も提供する。例えば、本発明は、抗PSMA抗体を調製する方法を提供する。該方法は、を含む。
(a)(i)配列番号:9、10、11および12からなる群から選択されるCDR1配列、配列番号:13、14、15および16からなる群から選択されるCDR2配列、および配列番号:17、18、19および20からなる群から選択されるCDR3配列を含む重鎖可変領域の抗体配列、または(ii)配列番号:21、22、23および24からなる群から選択されるCDR1配列、配列番号:25、26、27および28からなる群から選択されるCDR2配列、および配列番号:29、30、31および32からなる群から選択されるCDR3配列を含む軽鎖可変領域の抗体配列を提供すること;
(b)少なくとも1つの可変領域の抗体配列であって、重鎖可変領域の抗体配列および軽鎖可変領域の抗体配列から選択された抗体配列内の少なくとも1つのアミノ酸残基を変更して、少なくとも1つの変更された抗体配列を生成すること、および
(c)前記変更された配列をタンパク質として発現することを含む。
別の態様において、本発明は、被験体において、腫瘍(例えば、結腸、腎臓、直腸、尿路上皮、乳房、膀胱、肝臓、膵臓の腫瘍またはメラノーマ)の増殖を阻害または阻止する方法を提供する。そこでは、腫瘍の細胞または血管内皮細胞は腫瘍発現PSMAに近接する。該方法は、抗PSMA抗体またはその抗原結合部分を、抗腫瘍薬と組み合わせて、ともに腫瘍の増殖を阻止または阻害するのに有効な量を被験体に投与することを含む。
別の局面において、本発明は、被験体において、腫瘍の抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を刺激する方法であって、前記腫瘍の細胞または血管内皮細胞が腫瘍発現PSMAに近接うる方法を提供する。該方法は、抗PSMA抗体またはその抗原結合部分を、抗腫瘍薬と組み合わせて、ともに腫瘍の抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を刺激するのに有効な量を被験体に投与することを含む。
さらに別の局面において、本発明は、被験体において、腫瘍関連カヘキシーを阻害する方法であって、前記腫瘍の細胞または血管内皮細胞が腫瘍発現PSMAに近接する方法を提供する。該方法は、抗PSMA抗体またはその抗原結合部分を、抗腫瘍薬と組み合わせて、ともに被験体において腫瘍関連カヘキシーを阻害するのに有効な量を被験体に投与することを含む。
本発明のある態様において、抗PSMA抗体またはその抗原結合部分と、抗腫瘍薬とを組み合わせて被験体への投与することによって、腫瘍の増殖阻害に対する相乗効果が生じる。別の態様において、抗腫瘍薬は、腫瘍質量の損傷を引き起こし、それによって、より有効な腫瘍の抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を引き起こす。
別の態様において、抗PSMA抗体は、7F12 1C3、2A10、2F5または2C6抗体とすることができる。
本発明のある態様において、抗腫瘍薬は、タキソテール(登録商標)(ドセタキセル)などの化学治療薬である。別の態様において、抗腫瘍薬は、アンジオスタチンK1−3、アレステン、aaAT、カンスタチン(Canstatin)、DL−α−ジフルオロメチル−オルニチン、エンドスタチン、フマギリン、ゲニステイン、ミノサイクリン、スタウロスポリン、サリドマイド、およびタムスタチンなどの抗血管形成薬である。別の態様において、抗腫瘍薬は、抗−PD1抗体、抗−CTLA−4抗体、ホスホロチオエートオリゴデオキシリボヌクレオチド(1018 ISS)、GM−CSF遺伝子ワクチン、インターロイキン−2、インターロイキン−7(CYT99 07)、インターロイキン−12、およびインターロイキン−21などの免疫調節性の作用物質である。
別の局面において、本発明は、腫瘍の増殖を阻害または阻止する際、抗PSMA抗体と相乗的に作用することが可能な抗腫瘍薬を同定する方法を提供する。そこでは、腫瘍の細胞または血管内皮細胞は腫瘍発現PSMAに近接する。該方法は、該方法は、インジケータ組成物を(a)試験抗腫瘍薬のみ、(b)抗PSMA抗体のみ、および(c)抗腫瘍薬および抗PSMA抗体の両方と接触させること、(a)試験抗腫瘍薬のみ、および(b)抗PSMA抗体のみが腫瘍の増殖を阻止または阻害する能力と、抗腫瘍薬および抗PSMA抗体の両方が腫瘍の増殖を阻止または阻害する能力を比較することを含む方法であって、(a)および(b)をあわせた場合の効果より(c)による腫瘍増殖を阻止または阻害する効果が大きい場合、腫瘍の増殖を阻止または阻害する際、抗PSMA抗体と相乗的に作用することが可能な抗腫瘍薬であると同定される。
別の局面において、本発明は、抗PSMA抗体(例えば、7F12 1C3、2A10、2F5、または2C6)および抗腫瘍薬(例えば、タキソテール(登録商標)(ドセタキセル)、アンジオスタチンK1−3、アレステン、aaAT、カンスタチン(Canstatin)、DL−α−ジフルオロメチル−オルニチン、エンドスタチン、フマギリン、ゲニステイン、ミノサイクリン、スタウロスポリン、サリドマイド、タムスタチン、抗PD1抗体、抗CTLA−4抗体、ホスホロチオエートオリゴデオキシリボヌクレオチド(1018 ISS)、GM−CSF遺伝子ワクチン、インターロイキン−2、インターロイキン−7(CYT99 07)、インターロイキン−12またはインターロイキン−21)の腫瘍の増殖を阻害または阻止するための有効量、ならびに薬学的に許容できる担体、またはこれらの腫瘍の抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を刺激するための有効量と薬学的に許容できる担体を含む組成物に関する。
本発明の他の特徴および利点については、以下の詳細な説明および限定されることが意図されない実施例において明らかにする。引用文献の内容、ジェンバンク(Genbank)の記載、本明細書において引用する特許および公開されている特許出願は、本明細書において明確に引用によって援用する。
本発明は、単離されたモノクローナル抗体、特に、PSMAに高いアフィニティーで特異的に結合するヒトモノクローナル抗体に関する。いくつかの態様において、本発明の抗体は、特定の重鎖および軽鎖生殖系列配列に由来し、および/または、特定のアミノ酸配列を含むCDR領域などの特定の構造的特徴を含む。本発明は、単離された抗体、そのような抗体の作製方法、そのような抗体を含む免疫複合体および二重特異性分子、および本発明の抗体、免疫複合体、もしくは二重特異性分子を含有する医薬組成物を提供する。本発明はまた、抗体の使用方法、例えば、癌などの疾患の治療をするための方法に関する。
本発明をより理解しやすくするためにいくつかの用語をまず定義する。さならる定義は、詳細な明細書全体に記載する。
用語「前立腺特異的膜抗原」および「PSMA」は、本明細書において互換可能に用いられ、細胞によって天然に発現し、本明細書に記載の抗体1C3、2A10、2F5または2C6との結合を維持するヒトPSMAのあらゆる変形、アイソフォーム、種ホモログを含む。ヒトPSMAタンパク質の完全アミノ酸配列は、Genbank受入番号NP_004467を持つ。ヒトPSMAタンパク質の完全cDNA配列は、Genbank受入番号NM_004476を持つ。
「シグナル伝達経路」は、細胞のある部分から他の部分へシグナルを送信する役割を果たす種々のシグナル伝達分子間の生化学的関係を言う。本明細書において用いられているフレーズ「細胞表面レセプター」は、例えば、シグナルを受信し、細胞質膜を横切るそのようなシグナルを送信することが可能な分子および分子の複合体を含む。本発明の「細胞表面レセプター」の例としては、PSMAレセプターが挙げられる。
本明細書において用いられる用語「抗体」は、全抗体、およびそのあらゆる抗原結合フラグメント(すなわち、「抗原結合部分」)またはその一本鎖を含む。「抗体」は、ジスルフィド結合によって内部結合している少なくとも2つの重鎖(H)および軽鎖(L)を含む糖タンパク質およびその抗原結合部分を言う。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書においては、Vのように省略する)および重鎖定常領域からなる。重鎖定常領域は、3つのドメインCH1、CH2およびCH3からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書においては、Vのように省略する)および軽鎖定常領域からなる。軽鎖定常領域は、1つのドメインCからなる。VおよびV領域はさらに、超可変性の領域、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる部分、より保存されている領域に分散したフレームワーク領域(FR)と呼ばれる部分に分類される。VおよびVのそれぞれは、3つのCDRと4つのFRを含み、アミノ末端からカルボキシ末端に以下の順序で並んでいる。FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、イムノグロブリンと宿主組織もしくはファクターの結合を媒介することもあり、免疫系の種々の細胞(例えば、エフェクター細胞)や古典的相補系の第1の成分(Clq)を含む。
本明細書において用いられている抗体の「抗原結合部分」という用語(単に、「抗体部分」)は、抗原(例えば、PSMA)と特異的に結合する能力を維持する1以上のフラグメントを言う。抗体の抗原結合機能は、全長抗体のフラグメントによって達成することができる。用語、抗体の「抗原結合部分」に包含される結合フラグメントの例としては、(i)Fabフラグメント、V、V、CおよびCH1ドメインからなる一価のフラグメント;(ii)F(ab’)フラグメント、ヒンジ領域でのジスルフィドブリッジによって結合した2つのFabフラグメントを含む二価のフラグメント;(iii)VおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の1つの腕のVおよびVドメインからなるFvフラグメント;(v)Vドメインを含むdAbフラグメント(Ward et al., (1989) Nature
341:544-546);および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)。さらに、FvフラグメントVおよびVの2つのドメインが別個の遺伝子によってコードされていても、それらは、組換え方法によって、VおよびV領域が対になって一価の分子(一本鎖Fv(scFv)として知られている)を形成する単一のタンパク質の鎖としてそれらを結合する合成リンカーを用いて結合することができる(例えば、Bird et al. (1988) Science
242:423-426;およびHuston et
al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照されたい)。そのような一本鎖抗体も、抗体の「抗原結合部分」という用語に包含されるものと意図されている。これらの抗体フラグメントは、当業者に公知の従来技術を用いて得られ、それらのフラグメントは、インタクト抗体と同じ態様で実用性についてスクリーニングされる。
本明細書において用いられる用語「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を持つ他の抗体を実質的に含まない(例えば、PSMAと特異的に結合する単離された抗体は、PSMA以外の抗原と特異的に結合する抗体を実質的に含まない)を意味することが意図されている。しかしながら、PSMAと特異的に結合する単離された抗体は、他の抗原、例えば、他の種のPSMA抗原と交差反応性を有していてもよい。さらに、単離された抗体は、他の細胞材料および/または化学物質を実質的に含まないことがある。
本明細書において用いられている用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」は、単一の分子組成物の抗体分子調製物を意味する。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対する単一の結合特異性およびアフィニティーを示す。
本明細書において用いられている用語「ヒト抗体」は、フレームワーク領域とCDR領域の双方がヒト生殖系列イムノグロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を含むことが意図されている。さらに抗体が定常領域を含む場合、該定常領域もヒト生殖系列イムノグロブリン配列に由来する。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖系列イムノグロブリン配列(例えば、in vitro でランダムもしくは部位特異性の突然変異生成、またはin vivoで体細胞性突然変異によって導入された突然変異)によってコードされないアミノ酸残基を含んでもよい。しかしながら、本明細書において用いられる用語「ヒト抗体」は、CDR配列が他の哺乳動物の生殖系列に由来する抗体を含むことを意図していない。
用語「ヒトモノクローナル抗体」は、フレームワーク領域とCDR領域の双方がヒト生殖系列イムノグロブリン配列に由来する可変領域を有する単一の結合特異性を示す抗体を言う。ある態様において、ヒトモノクローナル抗体は、不死化した細胞に融合するヒト重鎖トランスジーンおよび軽鎖トランスジーンを含むゲノムを持つ、トランスジェニック非ヒト動物、例えば、トランスジェニックマウスから得られたB細胞を含むハイブリドーマによって作製される。
本明細書において用いられている用語「組換えヒト抗体」は、組換え手段によって調製、発現、作出、または単離された全てのヒト抗体、例えば、(a)ヒトイムノグロブリン遺伝子またはそれによって調製されたハイブリドーマ(以下でさらに説明する)のトランスジェニックまたはトランスクロモソーム動物(例えば、マウス)から単離された抗体;(b)ヒト抗体を発現するように形質転換された宿主細胞、例えば、トランスフェクトーマから単離された抗体;(c)組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離した抗体;および(d)ヒトイムノグロブリン遺伝子配列を他のDNA配列にスプライシングすることに関する他のあらゆる手段によって調製、発現、作出、または単離された抗体を含む。そのような組換えヒト抗体は、フレームワーク領域とCDR領域の双方がヒト生殖系列イムノグロブリン配列に由来する可変領域を有する。しかしながら、いくつかの態様において、そのような組換えヒト抗体は、in vitro 突然変異生成を行うことができ(または、ヒトIg配列に遺伝子変異された動物を用いる場合、in vivo 体細胞性突然変異生成)、組換え抗体のVおよびV領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖系列VおよびV配列に由来し、またそれに関連するものの、天然にヒト抗体生殖系列レパートリーにin vivoで存在しないことがある。
本明細書において使用されている用語「アイソタイプ」は、重鎖定常領域の遺伝子によってコードされる抗体クラス(例えば、IgMまたはIgGl)を意味する。
フレーズ「抗原を認識する抗体」および「抗原に特異的な抗体」は、本明細書においては、「抗原に特異的に結合する抗体」という語と互換可能に用いられる。
用語「ヒト抗体誘導体」は、ヒト抗体のあらゆる変形例、例えば、抗体と他の抗原または抗体との結合体を意味する。
用語「ヒト化抗体」は、マウスのような別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列をヒトフレームワーク配列上に移植した抗体を言う。追加のフレームワーク領域改変を、ヒトフレームワーク配列内部で行うことができる。
用語「キメラ抗体」は、可変領域配列と定常領域配列とが別の種に由来する抗体、例えば、可変領域配列がマウス抗体に由来し、定常領域配列がヒト抗体に由来する抗体を意味する。
本明細書において用いられるところの、「ヒトPSMAに特異的に結合する」抗体は、Kが5x10−8M以下、より好ましくは、1x10−8M以下、より好ましくは、5x10−9M以下、より好ましくは、1.2x10−9M以下、さらにより好ましくは、1.2x10−9M〜1.2x10−10M以下である、ヒトPSMAに結合する抗体を意味することが意図される。
本明細書において用いられる用語「Kassoc」または「K」は、特定の抗体−抗原相互作用の会合速度を意味することが意図されている。一方、本明細書において用いられる用語「Kdis」または「K」は、特定の抗体−抗原相互作用の解離速度を意味することが意図されている。これは、KとKの比率から得られ(すなわち、K/K)、モル濃度(M)で表される。抗体のK値は、当該技術において確立された方法を用いて測定することができる。Kを測定するための好ましい方法は、表面プラズモン共鳴を用いて、好ましくは、Biacore(登録商標)システムなどのバイオセンサーを用いて行われる。
本明細書において用いられている、IgG抗体についての「高アフィニティー」は、標的抗原に対して、Kが10−7M以下、より好ましくは10−8M以下、より好ましくは10−9M以下、さらに好ましくは10−10M以下の抗体を意味する。しかしながら、「高アフィニティー」結合は、他の抗体アイソタイプについては変更することができる。例えば、IgMアイソタイプの「高アフィニティー」結合は、Kが10−7M以下、より好ましくは10−8M以下、さらに好ましくは10−9M以下である抗体を意味する。
本明細書において用いられる用語「ベクター」は、それが結合した他の核酸を輸送することのできる核酸分子をいう。ベクターの1つのタイプは、「プラスミド」であり、これは、環状二本鎖DNAのループであって、その中に追加のDNAセグメントをライゲーションできる。別のタイプのベクターは、ウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントをウイルスゲノム中にライゲーションできる。ある種のベクターは、それらが導入された宿主細胞中で自律的に複製することができる(例えば、細菌性の複製オリジンを有する細菌性ベクターおよびエピゾーム性哺乳動物用ベクター)。他のベクター(例えば、非エピゾーム性哺乳動物用ベクター)は、宿主細胞への導入に際して宿主細胞のゲノム中にインテグレートされ、それにより、宿主ゲノムと共に複製される。さらに、ある種のベクターは、それらが機能的に結合した遺伝子の発現を指図することができる。かかるベクターは、ここでは、「組換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」)と言う。一般に、組換えDNA技術において有用な発現ベクターは、しばしば、プラスミド形態である。本明細書においては、「プラスミド」と「ベクター」は、プラスミドが最も普通に用いられる型のベクターであるので、互換可能に用いる。しかしながら、本発明は、かかる他の型の発現ベクター、例えば、同等の機能を果たすウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルスおよびアデノ随伴ウイルス)を包含することを意図している。
本明細書において用いられる用語「組換え宿主細胞」(または単に「宿主細胞」)は、組換え発現ベクターが導入された細胞を意味することが意図される。このような用語は、特定の被検細胞のみならず、そのような細胞の子孫を意味することも意図されている。突然変異や環境の影響によって後の世代において特定の変形が生じるかも知れず、そのような子孫は、実際、親細胞と同一ではないかもしれないが、それでもなお本明細書において用いられる用語「宿主細胞」の範囲に含むものとする。組換え宿主細胞としては、例えば、CHO細胞、トランスフェクトーマ、リンパ性細胞が挙げられる。
本明細書において用いられる用語「被験体」は、ヒトまたは非ヒト動物のいずれをも含む。用語「非ヒト動物」は、脊椎動物、例えば、哺乳動物および非哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などを含む。
用語「トランスジェニック動物」は、1以上のヒト重鎖および/もしくは軽鎖トランスジーンまたはトランスクロモソーム(その動物の天然のゲノムDNAに導入されている、もしくはされていない)を含むゲノムを有し、完全ヒト抗体を発現することができる非ヒト動物を言う。例えば、トランスジェニックマウスは、PSMA抗原および/またはPSMAを発現する細胞によって免疫されたとき、マウスがヒト抗PSMA抗体を生成することができるように、ヒト軽鎖トランスジーンとヒト重鎖トランスジーンまたはヒト重鎖トランスクロモソームを有することができる。トランスジェニックマウス、例えば、HuMAbマウスの場合、ヒト重鎖トランスジーンをマウスの染色体DNAに統合することができ、または、PCT国際公開WO02/43478号に記載されているトランスクロモソーム(例えば、KM)マウスの場合のようにヒト重鎖トランスジーンは、染色体外部に維持され得る。そのようなトランスジェニックおよびトランスクロモソームマウスは、PSMAに対する多数のヒトモノクローナル抗体のアイソタイプ(例えば、IgG、IgA、および/またはIgE)を、V−D−J組換え、およびアイソタイプスイッチングを行うことによって生成することができる。
本明細書において用いられる用語「被験体」は、あらゆるヒトおよび非ヒト動物を含む。用語「非ヒト動物」は、すべての脊椎動物、例えば、、哺乳動物および非哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類などを含む。
以下のサブセクションにおいて、本発明の種々の局面をさらに詳細に説明する。
抗PSMA抗体
本発明の抗体は、抗体の特定の機能的特徴または特性によって特徴付けられる。例えば、該抗体は、ヒトPSMAに特異的に結合する。好ましくは、本発明の抗体は、PSMAと、例えば、K=5x10−7M以下といった高いアフィニティーで結合する。別の例としては、該抗体は、PSMA発現LNCaP(ATCC、CRL−1740)細胞株に特異的に結合する。抗体のPSMAに対する結合能力を評価するための標準的なアッセイ、例えば、ELISA、ウェスタンブロットおよびRIAが、当該技術において公知である。好適なアッセイについて、は実施例において詳細に説明する。抗体の結合カイネティックス(例えば、結合アフィニティー)は、当該技術において公知の技術、例えば、ELISA、スキャッチャード、およびBiacore分析によって評価することができる。本発明の抗体の他の好ましい特性としては、PSMA発現細胞によって内在化される能力、および高い熱安定性がある。抗体の内在化は、実施例6に記載のようにして評価することができる。熱安定性は、実施例6に記載のようにして評価することができる。本発明の好ましい抗体は、融点65℃以上、より好ましくは、66℃以上、さらにより好ましくは67℃以上、さらにより好ましくは68℃以上、さらにより好ましくは70℃以上、さらにより好ましくは71℃以上である。好ましくは、本発明の抗体は、融点が67℃から72℃の範囲である。さらに好ましくは、68℃から72℃の範囲、もしくは69℃から72℃、もしくは70℃から72℃の範囲、もしくは69℃から71.43℃の範囲、または、該抗体は、融点が約71.43℃である。
モノクローナル抗体1C3、2A10、2F5および2C6
本発明の好ましい抗体は、ヒトモノクローナル抗体1C3、2A10、2F5および2C6であり、単離されており、実施例1および2に記載のように構造的に特徴付けられている。1C3、2A10、2F5および2C6のVアミノ酸配列を、配列番号:1、2、3および4にそれぞれ示す。1C3、2A10、2F5および2C6のVアミノ酸配列を、配列番号:5、6、7および8にそれぞれ示す。
これらの抗体のそれぞれがPSMAに結合することができれば、VおよびV配列を「混合して、一致させ」、本発明の他の抗PSMA結合分子を作製することができる。このような「混合して、一致させた」抗体のPSMA結合は、上記の結合アッセイを用いて、実施例において試験することができる(例えば、FACSまたはELISA)。好ましくは、VおよびV鎖を混合して、一致させ、特定のV/VペアリングからのV配列を、構造的に類似するV配列と置き換えることができる。同様に、特定のV/VペアリングからのV配列を、構造的に類似するV配列と置き換えることができる。
したがって、ある局面において、本発明は、単離されたモノクローナル抗体、またはその抗原結合部分を提供する。それは、
(a)配列番号:1、2、3および4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および
(b)配列番号:5、6、7および8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、を含む。該抗体は、PSMA、好ましくはヒトPSMAに特異的に結合する。
好ましくは、重鎖および軽鎖の組み合わせは、以下を含む。
(a)配列番号:1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および(b)配列番号:5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または、
(a)配列番号:2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および(b)配列番号:6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または、
(a)配列番号:3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および(b)配列番号:7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、または、
(a)配列番号:4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および(b)配列番号:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。
別の局面において、本発明は、1C3、2A10、2F5および2C6の重鎖および軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3を含む抗体、またはその組み合わせを提供する。1C3、2A10、2F5および2C6のVCDR1のアミノ酸配列を配列番号:9、10、11および12にそれぞれ示す。1C3、2A10、2F5および2C6のVCDR2のアミノ酸配列を配列番号:13、14、15および16にそれぞれ示す。1C3、2A10、2F5および2C6のVCDR3のアミノ酸配列を配列番号:17、18、19および20にそれぞれ示す。1C3、2A10、2F5および2C6のVCDR1のアミノ酸配列を配列番号:21、22、23および24にそれぞれ示す。1C3、2A10、2F5および2C6のVCDR2のアミノ酸配列を配列番号:25、26、27および28にそれぞれ示す。1C3、2A10、2F5および2C6のVCDR3のアミノ酸配列を配列番号:29、30、31および32にそれぞれ示す。CDR領域を、Kabatシステム(Kabat, E. A., et al.
(1991) Sequences of Proteins
of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human
Services, NIH Publication No. 91-3242)を用いて表示する。
これらの抗体のそれぞれがPSMAに結合することができ、抗原結合特異性が主にCDR1、CDR2、およびCDR3によって提供される場合、VCDR1、CDR2、およびCDR3配列およびVkCDR1、CDR2、およびCDR3配列は、「混合して、一致させ」ることができる(すなわち、各抗体がVCDR1、CDR2、およびCDR3配列およびVkCDR1、CDR2、およびCDR3配列が、異なる抗体からのCDRを混合して一致させることができる)、本発明の他の抗PSMA結合分子を作製することができる。そのような「混合して、一致させた」抗体のPSMA結合は、上に記載の、および実施例に記載の結合アッセイ(例えば、FACS、ELISAまたはBiacore分析)で試験することができる。好ましくは、VCDR配列を混合して、一致させ、特定のV配列からのCDR1、CDR2および/またはCDR3配列を構造的に類似するCDR配列と置き換える。同様に、VCDR配列を混合して、一致させ、特定のV配列からのCDR1、CDR2および/またはCDR3配列を構造的に類似するCDR配列と置き換える。1以上のVおよび/またはVCDR領域を、本明細書に開示されているモノクローナル抗体1C3、2A10、2F5および2C6の、CDR配列からの構造的に類似する配列と置き換えることによって、新規なVおよびV配列を作製することができることが当業者にとっては、容易に明らかであろう。
したがって、別の局面において、本発明は、以下を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を含む。
(a)配列番号:9、10、11および12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;
(b)配列番号:13、14、15および16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;
(c)配列番号:17、18、19および20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号:21、22、23および24からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e)配列番号:25、26、27および28からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;および
(f)配列番号:29、30、31および32からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3。該抗体は、PSMA、好ましくはヒトPSMAに特異的に結合する。
好ましい態様において、該抗体は、
(a)配列番号:9を含む重鎖可変領域CDR1;
(b)配列番号:13を含む重鎖可変領域CDR2;
(c)配列番号:17を含む重鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号:21を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e)配列番号:25を含む軽鎖可変領域CDR2;および
(f)配列番号:29を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む。
別の好ましい態様において、該抗体は、
(a)配列番号:10を含む重鎖可変領域CDR1;
(b)配列番号:14を含む重鎖可変領域CDR2;
(c)配列番号:18を含む重鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号:22を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e)配列番号:26を含む軽鎖可変領域CDR2;および
(f)配列番号:30を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む。
別の好ましい態様において、該抗体は、
(a)配列番号:11を含む重鎖可変領域CDR1;
(b)配列番号:15を含む重鎖可変領域CDR2;
(c)配列番号:19を含む重鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号:23を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e)配列番号:27を含む軽鎖可変領域CDR2;および
(f)配列番号:31を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む。
別の好ましい態様において、該抗体は、
(a)配列番号:12を含む重鎖可変領域CDR1;
(b)配列番号:16を含む重鎖可変領域CDR2;
(c)配列番号:20を含む重鎖可変領域CDR3;
(d)配列番号:24を含む軽鎖可変領域CDR1;
(e)配列番号:28を含む軽鎖可変領域CDR2;および
(f)配列番号:32を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む。
特定の生殖系列配列を有する抗体
いくつかの態様において、本発明の抗体は、特定の生殖系列重鎖イムノグロブリン遺伝子からの重鎖可変領域、および/または、特定の生殖系列軽鎖イムノグロブリン遺伝子からの軽鎖可変領域を含む。
例えば、好ましい態様において、本発明は、ヒトV3−30.3遺伝子の生成物である、またはそれに由来する重鎖可変領域を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供する。そこでは、該抗体は、PSMAに特異的に結合する。別の好ましい態様において、本発明は、ヒトVk L18遺伝子の生成物である、またはそれに由来する軽鎖可変領域を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供する。そこでは該抗体は、PSMAに特異的に結合する。
さらに別の好ましい態様において、本発明は、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供する。該抗体は、
(a)ヒトV3−30.3遺伝子の生成物である、またはそれに由来する重鎖可変領域を含み(配列番号:41);
(b)ヒトVL18遺伝子の生成物である、またはそれに由来する軽鎖可変領域(配列番号:43)を含み、該抗体は、PSMA、好ましくはヒトPSMAに結合する。
さらに別の好ましい態様において、本発明は、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供する。該抗体は、
(a)ヒトV5−51遺伝子の生成物である、またはそれに由来する重鎖可変領域を含み(配列番号:42);
(b)ヒトV L18遺伝子の生成物である、またはそれに由来する軽鎖可変領域(配列番号:44)を含み、該抗体は、PSMA、好ましくはヒトPSMAに結合する。
3−30.3およびV L18のVおよびVを有する抗体の例としては、それぞれ、1C3が挙げられる。V5−51およびV L18のVおよびVを有する抗体の例としては、それぞれ、2A10および2F5が挙げられる。
本明細書で用いられるヒト抗体は、該抗体の可変領域がヒト生殖系列イムノグロブリン遺伝子を用いる系から得られる場合、特定の生殖系列配列の「生成物である」または「それに由来する」重鎖または軽鎖可変領域を含む。そのような系は、対象の抗原を有するヒトイムノグロブリン遺伝子をもつトランスジェニックマウスを免疫すること、または、ファージ上に提示されたヒトイムノグロブリン遺伝子ライブラリーをスクリーニングすることを含む。ヒト生殖系列イムノグロブリン配列の「生成物である」または「それに由来する」ヒト抗体は、ヒト抗体のアミノ酸配列と、ヒト生殖系列イムノグロブリンのアミノ酸配列を比較し、配列においてヒト抗体の配列に最も近いヒト生殖系列イムノグロブリン配列を選択することによって(すなわち、最大パーセント(%)同一性)、同定することができる。特定のヒト生殖系列イムノグロブリン配列の「生成物である」または「それに由来する」ヒト抗体は、例えば、天然に存在する体細胞性突然変異によって、または部位指向性突然変異の意図的な導入によって、生殖配列と比較してアミノ酸の相違を含有するかもしれない。しかしながら、選択されたヒト抗体は、ヒト生殖系列イムノグロブリン遺伝子がコードするアミノ酸配列の配列に対してアミノ酸配列において、一般的に90%以上の同一性を有し、他の種の生殖系列(例えば、ネズミ生殖系列配列)イムノグロブリンアミノ酸配列と比較した場合、ヒト抗体をヒトであると同定するアミノ酸残基を含有する。ある場合には、ヒト抗体は、生殖系列イムノグロブリン遺伝子によってコードされたアミノ酸配列において、95%以上、さらに96%、97%、98%、または99%以上の同一性を有することがある。典型的に、特定のヒト生殖系列配列に由来するヒト抗体は、ヒト生殖系列イムノグロブリン遺伝子によってコードされたアミノ酸配列と10アミノ酸以下の相違をもつ。いくつかの場合には、ヒト抗体は、ヒト生殖系列イムノグロブリン遺伝子によってコードされたアミノ酸配列と5以下、またさらに、4、3、2または1以下のアミノ酸の相違をもつ。
相同抗体
さらに別の態様において、本発明の抗体は、本明細書に記載の好ましい抗体のアミノ酸配列に相同なアミノ酸配列を含む重鎖および軽鎖可変領域を含む。そこでは、抗体は、本発明の抗PSMA抗体の望ましい機能的特性を維持している。
例えば、本発明は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供する。
(a)重鎖可変領域は、配列番号:1、2、3および4からなる群から選択されるアミノ酸配列に80%以上相同なアミノ酸配列を含み、
(b)軽鎖可変領域は、配列番号:5、6、7および8からなる群から選択されるアミノ酸配列に80%以上相同なアミノ酸配列を含み、
(c)抗体は、PSMA発現LNCaP細胞株に特異的に結合する。
別の態様において、Vおよび/またはVアミノ酸配列は、上記の配列に85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%相同であればよい。上記の配列のVおよびV領域に対して高い(すなわち、80%以上)の相同性を有するVおよびV領域を有する抗体は、配列番号:33、34、35、36、37、38、39および40に対応する核酸分子の突然変異生成(例えば、部位指向性またはPCR媒介性突然変異生成)によって取得し、その後、本明細書に記載の機能性のアッセイを用いてコードされた改変抗体を、維持されている機能(すなわち、ヒトPSMAへの結合性Kが5x10−8M以下である)について試験することができる。
本明細書において用いられているように、アミノ酸配列間のパーセントホモロジーは、2つの配列間のパーセント同一性と等しい。2つの配列間のパーセント同一性は、当該配列が共有する同一の位置数の関数である(すなわち、%相同性=同一位置数#/位置数の合計#×100)、ギャップの数、各ギャップの長さを考慮することが、2つの配列の任意の配列比較のために導入することが必要である。配列同士の比較および2つの配列間のパーセント同一性の測定は、数学的アルゴリズムを用いて行うことができる。それには、限定されないが下記のものを含む。
2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、E. MeyersおよびW. Millerのアルゴリズムを用いて測定することができる(Comput. Appl. Biosci., 4:11-17 (1988))、それは、ALIGNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれており、PAM120重量残基表、ギャップ長ペナルティー12およびギャップペナルティー4を用いる。さらに、2つのアミノ酸配列間のパーセント同一性は、NeedlemanとWunsch (J. Mol. Biol. 48:444-453 (1970))のアルゴリズムを用いて行うことができる。それは、GCGソフトウェアパッケージのGAPプログラム(http://www.gcg.comから利用可能)に組み込まれており、Blossum62マトリックスまたはPAM250マトリックスのいずれかを用いる。ギャップ重量は16、14、12、10、8、6または4であり、長さ重量(length weight)は1、2、3、4、5または6である。
さらに、または別法として、本発明のタンパク質配列を、さらに「クエリー配列」として用いて、例えば、関連する配列を同定するために、公的なるデータベースを検索することができる。そのような検索は、XBLASTプログラム(バージョン2.0)(Altschul, et al. (1990) J.
Mol. Biol. 215:403-10)を用いて行うことができる。BLASTタンパク質検索は、XBLASTプログラム(スコア=50、ワード長=3)を用いて行い、本発明の抗体分子に相同なアミノ酸配列を取得することができる。比較の目的で、ギャップのある配列比較をするために、Altschul et al., (1997) Nucleic
Acids Res. 25(17):3389-3402に記載されているようにGapped BLASTを用いることができる。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを用いる場合、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメーターを用いることができる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov.を参照されたい。
保存的改変をもつ抗体
いくつかの態様において、本発明の抗体は、CDR1、CDR2およびCDR3配列を有する重鎖可変領域およびCDR1、CDR2およびCDR3配列を有する軽鎖可変領域を含む。これらのCDR配列の1以上は、本明細書に記載の好ましい抗体(例えば、1C3、2A10、2F5および2C6)またはそれらの保存的改変体に基づいて、特定のアミノ酸配列を含み、該抗体は、本発明の抗PSMA抗体の望ましい機能的特性を維持している。したがって、本発明は、CDR1、CDR2およびCDR3配列を有する重鎖可変領域ならびにCDR1、CDR2およびCDR3配列を有する軽鎖可変領域を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を提供する。尚、
(a)重鎖可変領域CDR3配列は、17、18、19および20のアミノ酸配列からなる群から選択されたアミノ酸配列およびその保存的改変を含み;
(b)軽鎖可変領域CDR3配列は、29、30、31および32のアミノ酸配列からなる群から選択されたアミノ酸配列およびその保存的改変を含み;
(c)抗体は、PSMA発現LNCaP細胞株に特異的に結合する。
好ましい態様において、重鎖可変領域CDR2配列は、配列番号:13、14、15および16からなる群から選択されるアミノ酸配列、ならびにそれらの保存的改変を含み;軽鎖可変領域CDR2は、配列番号:25、26、27および28からなる群から選択されるアミノ酸配列、ならびにそれらの保存的改変を含む。別の好ましい態様において、重鎖可変領域CDR1は、配列番号:9、10、11および12からなる群から選択されるアミノ酸配列、ならびにそれらの保存的改変を含み、軽鎖可変領域CDR1は、配列番号:21、22、23および24からなる群から選択されるアミノ酸配列、ならびにそれらの保存的改変を含む。
本明細書において用いられる用語「保存的配列改変」は、アミノ酸配列を含有する抗体の結合特性に有意な影響および変更をきたさないアミノ酸の改変を意味することが意図される。そのような保存的改変は、アミノ酸の置換、追加、および欠失を含む。改変は、当該技術において公知の標準的な技法(例えば、部位指向性の突然変異生成およびPCR媒介性の突然変異生成)によって、本発明の抗体に導入することができる。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基を類似の側鎖をもつアミノ酸残基と置換するものである。類似の側鎖をもつアミノ酸残基のファミリーは、当該技術において定義されている。これらのファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)をもつアミノ酸、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)をもつアミノ酸、非電化極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)をもつアミノ酸、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)をもつアミノ酸、ベータ分枝状側鎖(例えば、トレオニン、バリン、イソロイシン)をもつアミノ酸、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)をもつアミノ酸を含む。したがって、本発明の抗体のCDR領域内の1以上のアミノ酸残基を、同じ側鎖ファミリーの他のアミノ酸残基と置換し、その変更された抗体を、維持された機能(すなわち、(c)に記載の機能)について、本明細書に記載の機能性アッセイを用いて調べることができる。
本発明の抗PSMA抗体と同じエピトープに結合する抗体
別の態様において、本発明は、本発明のあらゆるPSMAモノクローナル抗体(すなわち、本発明のあらゆるモノクローナル抗体を持つPSMAと結合するため交差競合する能力を持つ抗体)と同じヒトPSMA上のエピトープに結合する抗体を提供する。好ましい態様において、交差競合研究のための参照抗体は、モノクローナル抗体1C3(配列番号:1および5にそれぞれ示したVおよびV配列を有する)、またはモノクローナル抗体2A10(配列番号:2および6にそれぞれ示したVおよびV配列を有する)、またはモノクローナル抗体2F5(配列番号:3および7にそれぞれ示したVおよびV配列を有する)、またはモノクローナル抗体2C6(配列番号:4および8にそれぞれ示したVおよびV配列を有する)とすることができる。このような交差競合する抗体は、1C3、2A10、2F5または2C6と交差競合する能力に基づいて、標準的なPSMA結合アッセイを用いて同定することができる。例えば、BIAcore分析、ELISAアッセイ、またはフローサイトメトリーを用いて本発明の抗体との交差競合を調べることができる。試験抗体が、例えば、1C3、2A10、2F5、または2C6のヒトPSMAへの結合を阻害する能力は、ヒトPSMAと結合するために、試験抗体が1C3、2A10、2F5、または2C6と競合することができることを示し、したがって、1C3、2A10、2F5、または2C6とト同じヒトPSMA上のエピトープと結合する。好ましい態様において、1C3、2A10、2F5、または2C6とト同じヒトPSMA上のエピトープと結合する抗体は、ヒトモノクローナル抗体である。そのようなヒトモノクローナル抗体は、実施例に記載のように調製し、単離することができる。
工学処理された、改変された抗体
本発明の抗体は、さらに、本明細書に開示されている1以上のVおよび/またはV配列を有する抗体を開始物質として用いて、改変された抗体を工学的処理することによって調製することができる。その改変された抗体は、開始抗体から特性を改変しておいてもよい。抗体は、1つまたは双方の可変領域(すなわち、Vおよび/またはV)内、例えば、1以上のCDR領域内および/または1以上のフレームワーク領域内の1以上の残基を改変することによって、工学的処理することができる。さらにまたは別法として、抗体は、定常領域内で残基を改変することによって、工学的に処理して、例えば、抗体のエフェクター機能を変更することができる。
行うことが可能な可変領域工学的処理の1つのタイプは、CDRグラフティングである。抗体は、標的抗原と、主に6つの重鎖および軽鎖相補性決定領域(CDR)中に位置づけられたアミノ酸残基を介して相互作用する。このため、CDR内のアミノ酸配列は、個々の抗体間で、CDRの外部よりも多様性を持つ。CDR配列は、大半の抗体−抗原相互作用を担うので、特定の天然に存在する抗体の特性に類似した組換え抗体を、異なる特性をもつ他の抗体からフレームワーク配列上に移植された特定の天然に存在する抗体からCDR配列を含む発現ベクターを構築することによって発現させることができる(例えば、Riechmann, L. et al. (1998) Nature 332:323-327; Jones, P. et al.
(1986) Nature 321:522-525;
Queen, C. et al. (1989) Proc. Natl. Acad.
See. U.S.A. 86:10029-10033; 米国特許第5,225,539号(Winter)および米国特許第5,530,101号;第5,585,089号;第5,693,762号;および第6,180,370(Queen et al.)参照)。
したがって、本発明の別の態様は、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分に関する。それは、それぞれ配列番号:9、10、11および12、配列番号:13、14、15および16、配列番号:17、18、19および20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域、ならびにそれぞれ配列番号:21、22、23および24、配列番号:25、26、27および28、配列番号:29、30、31および32からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、CDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域を含む。したがって、モノクローナル抗体1C3、2A10、2F5および2C6のVおよびV配列を含有するそのような抗体は、これらの抗体のフレームワーク配列とは異なるものを含有してもよい。
そのようなフレームワーク配列は、公的なDNAデータベース、または公開された生殖系列抗体遺伝子配列を含む参考文献から得ることができる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖可変領域遺伝子の生殖系列DNAは、「VBase」ヒト生殖系列配列データベース(www.mrc−cpe.cam.ac.uk/vbaseからインターネットで利用可能)、ならびにKabat, E. A., et al. (1991) Sequences of
Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health
and Human Services, NIH Publication No. 91-3242; Tomlinson, I. M., et al.
(1992)"The Repertoire of Human Germline VH
Sequences Reveals about Fifty Groups of VH Segments with Different
Hypervariable Loops" J. Mol. Biol. 227:776-798; and Cox, J.
P. L. et al. (1994) "A Directory of Human Germ-line VH
Segments Reveals a Strong Bias in their Usage" Eur. J. Immunol. 24:827-836を参照。それぞれの内容は、本明細書において明確に援用により引用する。
本発明の抗体において使用するための好ましいフレームワーク配列としては、本発明の選択された抗体によって使用されるフレームワーク配列に構造的に類似するもの、例えば、本発明の好ましいモノクローナル抗体によって使用されるV3−30.3フレームワーク配列(配列番号:41)、および/またはV5−51フレームワーク配列(配列番号:42)、および/またはVL18フレームワーク配列(配列番号:43)、および/またはVL6フレームワーク配列(配列番号:44)に類似するものがある。VCDR1、CDR2およびCDR3配列、およびVCDR1、CDR2およびCDR3配列を、フレームワーク配列が由来している生殖系列イムノグロブリン遺伝子に認められる配列と同一のフレームワーク領域に移植することができる。またはCDR配列を、生殖配列と比較して1以上の突然変異を含有するフレームワーク領域に移植することができる。例えば、いくつかの例において、抗体の抗原結合能力を維持する、もしくは高めるために、フレームワーク領域内の残基を変異させることが有効であることがわかっている(例えば、米国特許第5,530,101号;第5,585,089号;第5,693,762号;および第6,180,370(Queen et al))。
別のタイプの可変領域改変は、Vおよび/またはVCDR1、CDR2およびCDR3領域内のアミノ酸残基を改変して、当該抗体の1以上の結合特性(例えば、アフィニティー)を高めることができる。部位指向性の突然変異生成またはPCR媒介性の突然変異生成を行って、突然変異および作用を抗体結合に及ぼすことができる。または対象となる他の機能的特性を、本明細書に記載のin vitro もしくはin vivo アッセイで評価することができる。それを実施例において記載する。(上記のような)保存的改変を導入することが好ましい。突然変異は、アミノ酸の置換、追加、および欠失とすることができるが、置換が好ましい。さらに、典型的には、CDR領域内の改変は、1、2、3、4、または5残基以下とする。
したがって、別の態様において、本発明は、単離された抗PSMAモノクローナル抗体、またはその抗原結合部分を提供する。それは、(a)配列番号:9、10、11および12からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号:9、10、11および12と比較して、1、2、3、4もしくは5のアミノ酸に対して置換、欠失、もしくは追加がなされているアミノ酸配列を含むVCDR1領域;(b)配列番号:13、14、15および16からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号:13、14、15および16と比較して、1、2、3、4もしくは5のアミノ酸に対して置換、欠失、もしくは追加がなされているアミノ酸配列を含むVCDR2領域;(c)配列番号:17、18、19および20からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号:17、18、19および20と比較して、1、2、3、4もしくは5のアミノ酸にに対して置換、欠失、もしくは追加がなされているアミノ酸配列を含むVCDR3領域を含む重鎖可変領域と;(d)配列番号:21、22、23および24からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号:21、22、23および24と比較して、1、2、3、4もしくは5のアミノ酸に対して置換、欠失、もしくは追加がなされているアミノ酸配列を含むVCDR1領域;(e)配列番号:25、26、27および28からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号:25、26、27および28と比較して、1、2、3、4もしくは5のアミノ酸に対して置換、欠失、もしくは追加がなされているアミノ酸配列を含むVCDR2領域;ならびに(f)配列番号:29、30、31および32からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号:29、30、31および32と比較して、1、2、3、4もしくは5のアミノ酸に対して置換、欠失、もしくは追加がなされているアミノ酸配列を含むVCDR3領域を含む。
本発明の工学的に処理された抗体としては、例えば、抗体の特性を向上させるためにVおよび/またはV内のフレームワーク残基に改変が施されたものが挙げられる。典型的には、そのようなフレームワーク改変を行って、抗体の免疫原性を減少させる。1つのアプローチは、例えば、1以上のフレームワーク残基を「逆突然変異」して、対応する生殖系列配列にすることである。さらに具体的には、体細胞性の突然変異を行った抗体は、抗体が由来する生殖系列とは異なるフレームワーク残基を含有している。そのような残基は、抗体フレームワーク配列と、それが由来する生殖系列配列とを比較することによって同定することができる。そのような「逆突然変異した」抗体も本発明の包含されることが意図される。例えば、2C6に関しては、Vのアミノ酸残基#9(FR1内)は、セリンであるが、一方、対応するV5−51生殖系列配列内のこの残基は、アラニンである。フレームワーク領域配列を、それらの生殖系列構成に戻すために、体細胞性の突然変異を、例えば、部位指向性の突然変異生成およびPCR媒介性の突然変異生成によって、「逆突然変異して」生殖系列配列にすることができる(例えば、2C6のVのFR1の残基9をセリンからアラニンに「逆突然変異」することができる)。
別の例としては、2F5に関しては、Vのアミノ酸残基#84(FR3内)は、アスパラギンであるが、一方、対応するV5−51生殖系列配列内のこの残基は、セリンである。フレームワーク領域配列を、それらの生殖系列構成に戻すために、例えば、2F5のVのFR3の残基18をアスパラギンからセリンに「逆突然変異」することができる。
別のタイプのフレームワーク改変では、フレームワーク領域内、さらには1以上のCDR領域内の1以上の残基を変異して、T細胞エピトープを除去して、それによって抗体の潜在的免疫原性を減少させる。このアプローチは、「脱免疫化(deimmunization)」と呼ばれる。それについては、米国特許公報第20030153043号(Carr et al.)に詳細に記載されている。
フレームワーク内もしくはCDR領域内に成される改変に加えて、または、替えて、本発明の抗体を工学的に処理して、Fc領域内に改変が含まれるように、典型的には、抗体の1以上の機能的特性、例えば、血清半減期、補足的固定、Fcレセプター結合、および/または抗原依存性細胞傷害性を変えてもよい。さらに本発明の抗体を化学的に改変してもよい(例えば、1以上の化学的部分を抗体に付着させることができる)、または改変してそのグリコシル化を変更してもよい、再び、抗体の1以上の機能的特性を変更してもよい。これらの態様のそれぞれについては、以下において詳細に説明する。Fc領域の残基の番号付けは、KabatのEUインデックスのものである。
ある態様において、CH1のヒンジ領域を改変して、ヒンジ領域中のシステイン残基を改変、例えば、増加または減少させる。このアプローチは、米国特許第5,677,425号(Bodmer et al.)にさらに詳細に記載されている。CH1のヒンジ領域中のシステイン残基の数を改変して、例えば、軽鎖および重鎖の結合を容易にする。または抗体の安定性を増加もしくは減少させる。
別の態様において、抗体のFcヒンジ領域を変異させて、抗体の生物学的半減期を減少させる。より具体的には、1以上のアミノ酸突然変異をFcヒンジフラグメントのCH2−CH3ドメインインターフェース領域に導入して、抗体がブドウ状球菌タンパク質A(SpA)の固有のFcヒンジドメインSpA結合に対する結合を損傷させるようにする。このアプローチは、米国特許第6,165,745号(Ward et al.)にさらに詳細に記載されている。
別の態様において、抗体を改変して、その生物学的半減期を増加させる。種々のアプローチが可能である。例えば、米国特許第6,277,375号(Ward)に記載されているように、以下の突然変異の1以上を導入することができる:T252L、T254S、T256F。別法として、生物学的半減期を増加させるため、、米国特許第5,869,046号および第6,121,022号(Presta et al.)に記載のように、IgGのFc領域のCH2ドメインの2つのループから取り出されたサルベージレセプター結合エピトープを含有するようにCH1またはCL領域内で抗体を改変させることができる。
さらに別の態様において、少なくとも1つのアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基と置換して、Fc領域を改変して、抗体のエフェクター機能を変える。例えば、アミノ酸残基234、235、236、237、297、318、320および322から選択される1以上のアミノ酸を異なるアミノ酸残基と置き換えて、該抗体がエフェクターリガンドのための改変されたアフィニティーを持つようにするが、親抗体の抗原結合可能性を維持するようにする。アフィニティーが改変されたエフェクターリガンドは、例えば、Fcレセプターまたは補体のC1成分とする。このアプローチは、米国特許第5,624,821号および第5,648,260号(ともにWinter et al.)にさらに詳細に記載されている。
別の例において、アミノ酸残基329、331および322から選択される1以上のアミノ酸を異なるアミノ酸残基と置き換えて、該抗体がC1q結合を改変し、および/または補体依存性細胞傷害性(CDC)を減少もしくはなくすように改変した。このアプローチは、米国特許第6,194,551号(Idusogie et al.)にさらに詳細に記載されている。
別の例において、アミノ酸位置231および239内の1以上のアミノ酸残基を改変して、それによって抗体が補体を固定する能力を改変する。このアプローチは、PCT国際公開WO94/29351号(Bodmer et al)にさらに詳細に記載されている。
さらに別の例において、位置:238、239、248、249、252、254、255、256、258、265、267、268、269、270、272、276、278、280、283、285、286、289、290、292、293、294、295、296、298、301、303、305、307、309、312、315、320、322、324、326、327、329、330、331、333、334、335、337、338、340、360、373、376、378、382、388、389、398、414、416、419、430、434、435、437、438または439の1以上のアミノ酸を改変することによって、Fc領域を改変して、抗体が抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を媒介する能力を増加させ、および/または、Fcγレセプターに対するアフィニティーを増加させる。このアプローチは、PCT国際公開WO00/42072号(Presta)にさらに詳細に記載されている。さらに、FcγR1、FcγRII、FcγRIIIおよびFcRnのヒトIgG1上の結合位置をマッピングし、結合が改善された変異体について記載されている(Shields, R.L. et al. (2001) J.
Biol. Chem. 276:6591-6604参照)。FcγRIIIに対する結合を高めるために位置256、290、298、333、334および339の特定の突然変異を示す。FcγRIII結合を高めるためにさらに以下の組み合わせの変異体を示す。T256A/S298A、S298A/E333A、S298A/K224A、およびS298A/E333A/K334A。
さらに別の態様において、抗体のグリコシル化を改変する。例えば、無グリコシル化抗体を作製することができる(すなわち、抗体がグリコシル化を欠いている)。グリコシル化を改変して、例えば、抗体の抗原に対するアフィニティーを増加させることができる。例えば、抗体配列内のグリコシル化の1以上の部位を改変することによって、そのような糖改変を行うことができる。例えば、1以上のアミノ酸を置換して、その結果、1以上の可変領域フレームワークグリコシル化部位を削除して、それによってその部位のグリコシル化を削除することができる。そのようなグリコシル化は、抗体の抗原に対するアフィニティーを増加させることができる。このようなアプローチは、米国特許第5,714,350号および第6,350,861号(Co et al.)。
さらに、または別法として、例えば、フコシル残基の量が減少したハイポフコシル化(hypofucosylated)された抗体、または2等分されたGlcNac構造が増加した抗体といった改変されたタイプのグリコシル化をもつ抗体を作製することができる。こうした改変されたグリコシル化パターンは、抗体のADCC能を増加させることが証明されている。例えば、改変されたグリコシル化機構をもつ宿主細胞中の抗体を発現させることによって、そのような糖改変を達成することができる。グリコシル化機構をもつ細胞は、当該技術分野において記載があり、本発明の組換え抗体を発現させて、改変されたグリコシル化を持つ抗体を作製する宿主細胞として使用することができる。例えば、細胞株Ms704、Ms705およびMs709は、フコシルトランスフェラーゼ遺伝子FUT8(アルファ(1,6)フコシルトランスフェラーゼ)を持たない。そのため、細胞株Ms704、Ms705およびMs709において発現した抗体は、それらの糖上にフコースを持たない。Ms704、Ms705およびMs709FUT8−/−細胞株は、2つの置換ベクターを用いて、CHO/DG44細胞中のFUT8遺伝子の標的破壊によって作製されたものである(例えば、米国特許公開第20040110704号(Yamane et al. およびYamane-Ohnuki
et al. (2004) Biotechnol Bioeng 87:614-22)。別の例として、欧州特許第1,176,195号(Hanai et al.)は、機能的に破壊された、フコシルトランスフェラーゼをコードするFUT8遺伝子をもつ細胞株を記載している。そのような細胞株中で発現された抗体は、アルファ1,6結合関連酵素を除去または削除することによってハイポフコシル化を示すように発現される。Hanai et al. もまた、抗体のFc領域に結合し、または酵素活性を持たない、N−アセチルグルコサミンへフコースへフコース添加する酵素活性の低い細胞株、例えば、ラットミエローマ細胞株YB2/0(ATCC、CRL1662)を記載している。PCT国際公開WO03/035835号(Presta)は、フコースをAsn(297)結合糖に付着させる能力が低く、その結果、宿主細胞中で発現される抗体のハイポフコシル化を引き起こす変異体CHO細胞株、Lec13細胞を開示している(また、例えば、Shields, R.L. et al. (2002) J.
Biol. Chem. 277:26733-26740参照)。PCT国際公開WO99/54342号(Umana et al. )は、工学的に処理して糖タンパク質改変グリコシルトランスフェラーゼを発現させるようにした細胞株(例えば、ベータ(1,4)−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII))を記載している。その結果、工学的に処理した細胞株で発現した抗体においては、2等分GlcNac構造が増加し、その結果、抗体のADCC活性が増加していた(例えば、Umana et al. (1999) Nat.
Biotech. 17:176-180も参照されたい)。あるいは、抗体のフコース残基は、フコシダーゼ酵素を用いて切断される。例えば、フコシダーゼアルファ−L−フコシダーゼは、フコシル残基を抗体から取り除く(Tarentino, A.L. et al. (1975) Biochem. 14:5516-23)。
本発明によって考えられる抗体の別の改変は、ペグ化(pegylation)である。抗体は、ペグ化して、例えば、抗体の生物学的(例えば、血清)半減期を増加させることができる。抗体をペグ化するために、抗体、またはそのフラグメントを、典型的には、ポリエチレングリコール(PEG)の反応性エステルもしくはアルデヒド誘導体といったPEGと、1以上のPEG基が抗体もしくは抗体フラグメントに付着した条件で反応させる。好ましくは、ペグ化(pegylation)は、反応性PEG分子(または類似の反応性水溶性ポリマー)を用いたアシル化反応またはアルキル化反応によって行われる。本明細書で用いられている用語「ポリエチレングリコール」は、他のタンパク質を誘導体化するあらゆる形態のPEG、例えば、モノ(C1−C10)アルコキシ、もしくはアリールオキシ−ポリエチレングリコールもしくはポリエチレングリコール−マレイミドなどを包含することが意図される。いくつかの態様において、ペグ化される抗体は、無グリコシル化抗体(aglycosylated antibody)である。タンパク質をペグ化する方法は、当該技術分野において公知であり、本発明の抗体に適用される。例えば、欧州特許第0154316号(Nishimura et al.) および欧州特許第0401384(Ishikawa
et al.)に記載されている。
抗体を工学的に処理する方法
上記のように、本明細書に開示されているVおよびV配列をもつ抗PSMA抗体を用いて、Vおよび/またはV配列、またはそこに付着された定常領域を改変することによって新たな抗PSMA抗体を作出することができる。このように、本発明のさらに別の局面において、本発明の抗PSMA抗体、例えば、1C3、2A10、2F5または2C6の構造的特徴を用いて、構造的に関連し、本発明の抗体の、例えば、ヒトPSMAへの結合といった、少なくとも1つの機能的特性を維持している、抗PSMA抗体を作製することができる。例えば、1C3、2A10、2F5もしくは2C6の1以上のCDR領域、またはその突然変異を、公知のフレームワーク領域および/または他のCDRとを組換え技術により組み合わせて、上で述べたように本発明の抗PSMA抗体を作出することができる。他のタイプの改変としては、前のセクションで述べたものが挙げられる。工学的処理のための開始物質は、本明細書に記載のVおよび/またはV配列の1以上、そのCDR領域の1以上である。工学的処理された抗体を作出するために、実際に本明細書に記載のVおよび/またはV配列の1以上またはそのCDR領域をもつ抗体を調製する(すなわち、タンパク質として発現させる)必要はない。むしろ、その配列に含まれる情報を開始材料として用いて、オリジナルの配列に由来する「第2の世代」の配列を作出し、次いで、「第2の世代」の配列を調製してタンパク質として発現させる。
したがって、別の態様において、本発明は、抗PSMA抗体を調製する方法を提供する。それは、
(a)(i)配列番号:9、10、11および12からなる群から選択されるCDR1配列、配列番号:13、14、15および16からなる群から選択されるCDR2配列、および/または配列番号:17、18、19および20からなる群から選択されるCDR3配列を含む重鎖可変領域の抗体配列、および/または(ii)配列番号:21、22、23および24からなる群から選択されるCDR1配列、配列番号:25、26、27および28からなる群から選択されるCDR2配列、および/または配列番号:29、30、31および32からなる群から選択されるCDR3配列を含む軽鎖可変領域の抗体配列を提供すること;
(b)重鎖可変領域の抗体配列、および/または、軽鎖可変領域抗体配列内の少なくとも1つのアミノ酸残基を変更して、少なくとも1つの変更された抗体配列を生成すること、ならびに、
(c)前記変更された配列をタンパク質として発現させることを含む。
標準的な分子生物学の技法を用いて、変更した抗体配列を調製し、発現させることができる。
好ましくは、変更された抗体配列によってコードされた抗体は、本明細書に記載の抗PSMA抗体の機能的特性の1つ、いくつか、もしくは全てを維持するものである。その機能的特性には、限定されないが、PSMA発現LNCaP細胞株への特異的結合がある。
変更された抗体の機能的特性は、当該技術分野において利用可能な、および/または本明細書に記載されている、例えば、実施例に記載のもの(例えば、フローサイトメトリー、結合アッセイ)などの標準的なアッセイを用いて評価することができる。
本発明の抗体を工学的に処理する方法のいくつかの態様において、突然変異をランダムにまたは選択的に、配列をコードする抗PSMA抗体の全ての部分もしくは一部に沿って導入し、得られた改変抗PSMA抗体をスクリーニングして、本明細書に記載のように結合アッセイおよび/または他の機能的特性を調べることができる。突然変異の方法は、当該技術分野において記載がある。例えば、PCT公開公報WO02/092780(Short)は、飽和突然変異生成、合成ライゲーションアッセンブリー、またはその組み合わせを用いて、抗体の突然変異を作製およびスクリーニングする方法を記載している。また、PCT公開公報WO03/074679(Lazar et al. )は、計算的なスクリーニング方法を用いて、抗体の生理化学的特性を最適化する方法を記載している。
本発明の抗体をコードする核酸分子
本発明の別の局面は、本発明の抗体をコードする核酸分子に関する。核酸は、細胞全体に存在していてもよいし、細胞ライセート中に存在してもよい。または、特定の精製された、もしくは実質的に純粋な形態で存在してもよい。核酸は、他の細胞成分もしくは他の混入物、例えば、他の細胞核酸もしくはタンパク質から、アルカリ/SDS処理、CsClバンド形成、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動、および当該技術分野において公知の他の方法をはじめとした標準的な技法によって精製された状態のとき、「単離されている」または「実質的に純粋である」という(F. Ausubel, et al., ed. (1987) Current
Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing and Wiley Interscience, New
York)。本発明の核酸は、例えば、DNAまたはRNAであり、イントロンの配列を含有していても、していなくてもよい。好ましい態様において、核酸はcDNA分子である。
本発明の核酸は、標準的な分子生物学の技法を用いて得ることができる。ハイブリドーマ(以下においてさらに説明するように、例えば、ヒトイムノグロブリン遺伝子を保有するトランスジェニックマウスから分離したハイブリドーマ)によって発現される抗体としては、ハイブリドーマによって作製される抗体の軽鎖および重鎖をコードするcDNAを標準的なPCR増幅またはcDNAクローニング技術によって得ることができる。イムノグロブリン遺伝子ライブラリー(例えば、ファージディスプレイ法)から得られた抗体としては、抗体をコードする核酸をライブラリーから回収することができる。
本発明の核酸分子としては、モノクローナル抗体1C3、2A10、2F5または2C6のVおよびV配列をコードするものが好ましい。1C3、2A10、2F5および2C6のV配列をコードするDNA配列を、配列番号:33、34、35および36にそれぞれ示す。1C3、2A10、2F5および2C6のV配列をコードするDNA配列を、配列番号:37、38、39、および40にそれぞれ示す。
VHおよびVLセグメントをコードするDNAフラグメントを得たら、これらのDNAフラグメントを標準的な組換えDNA技法によって、さらに操作して、例えば、可変領域遺伝子を、全長抗体鎖遺伝子、Fabフラグメント遺伝子、またはscFv遺伝子へと変換することができる。これらの操作において、VLもしくはVHコードDNAフラグメントを、抗体定常領域または柔軟なリンカーなど別のタンパク質をコードする別のDNAフラグメントに作用可能に連結することができる。この文脈で用いられている用語「作用可能に連結する」は、2つのDNAフラグメントによってコードされるアミノ酸配列がフレーム内に維持されるように、2つのDNAフラグメントが結合されることを言う。
VH領域をコードする単離されたDNAは、VHコードDNAを、重鎖定常領域(CH1、CH2およびCH3)をコードする別のDNA分子に作用可能に連結することによって全長重鎖遺伝子に変換することができる。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は、当該技術分野において公知である(例えば、Kabat, E. A., el al. (1991) Sequences of
Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health
and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)。これらの領域を含むDNAフラグメントは、標準的なPCR増幅によって得ることができる。重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgMもしくはIgD定常領域とすることができるが、最も好ましくはIgG1もしくはIgG4定常領域である。Fabフラグメント重鎖遺伝子としては、VHコードDNAは、重鎖CH1定常領域のみをコードする別のDNA分子に作用可能に連結される。
VL領域をコードする単離されたDNAは、VLコードDNAを、軽鎖定常領域CLをコードする別のDNA分子に作用可能に連結することによって全長軽鎖遺伝子(ならびにFab軽鎖遺伝子)に変換することができる。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は、当該技術分野において公知である(例えば、Kabat, E. A., et al. (1991) Sequences of
Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health
and Human Services, NIH Publication No. 91-3242)。これらの領域を含むDNAフラグメントは、標準的なPCR増幅によって得ることができる。軽鎖定常領域は、カッパまたはラムダ定常領域とすることができるが、最も好ましくはカッパ定常領域である。
scFv遺伝子を作製するために、VHおよびVLコードDNAフラグメントを、柔軟性のあるリンカーをコードする、例えば、アミノ酸配列(Gly−Ser)(配列番号:48)をコードする別のフラグメントに作用可能に連結して、VHおよびVL配列を、柔軟性のあるリンカーによって接続されたVLおよびVH領域と隣接する一本鎖タンパク質として発現することができるようにする(例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426; Huston et al.
(1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883; McCafferty et al., (1990) Nature 348:552-554)。
本発明のモノクローナル抗体の作製
本発明のモノクローナル抗体(mAbs)は、従来のモノクローナル抗体法、例えば、標準的な体細胞性の細胞ハイブリダイゼーション技法(Kohler and Milstein (1975) Nature 256: 495)を含む、種々の技法によって作製することができる。体細胞性の細胞ハイブリダイゼーション技法が好ましいが、原則的に、他のモノクローナル抗体作製法、例えば、Bリンパ球のウイルス性または腫瘍形成性の形質転換などを採用することができる。
ハイブリドーマを調製するための好ましい動物系は、ネズミ系である。マウスにおけるハイブリドーマ作製は非常によく確立した処置である。免疫プロトコルおよび融合するための免疫化された脾細胞を単離する技術は当該技術において公知である。融合パートナー(例えば、ネズミミエローマ細胞)および融合処置も公知である。
本発明のキメラまたはヒト化抗体は、上記のようにして調製されたネズミモノクローナル抗体に基づいて調製することができる。重鎖および軽鎖イムノグロブリンをコードするDNAは、対象となるネズミハイブリドーマから取得することができ、また、標準的な生物学的技法を用いて、非ネズミ(例えば、ヒト)イムノグロブリン配列を含有するように工学的に処理することができる。例えば、キメラ抗体を作製するために、当該技術分野において公知の方法を用いて、ネズミ可変領域をヒト定常領域に連結することができる(例えば、米国特許第4,816,567号(Cabilly et al.))。ヒト化抗体を作製するために、当該技術分野において公知の方法を用いて、ネズミCDR領域をヒトフレームワークに挿入することができる(例えば、米国特許第5,225,539号(Winter)、および米国特許第5,530,101号;第5,585,089号;第5,693,762号;および第6,180,370(Queen et al.))。
好ましい態様において、本発明の抗体はヒトモノクローナル抗体である。PSMAに対するこのようなヒトモノクローナル抗体は、トランスジェニックマウスまたは、マウス系よりもむしろヒト免疫系を保有しているトランスクロモソーム性マウスを用いて作製することができる。これらのトランスジェニックおよびトランスクロモソーム性マウスは、本明細書において、HuMAbマウスおよびKMマウス(登録商標)と呼ばれるマウスをそれぞれ含み、ここではまとめて、「ヒトIgマウス」と称する。
HuMAbマウス(登録商標)(Medarex,
Inc.)は、転位されていないヒト重鎖(μおよびγ)ならびに軽鎖イムノグロブリン配列をコードするヒトイムノグロブリン遺伝子の小さな座を、内因性μおよび鎖座に不活性な標的化された突然変異とともに含有している(例えば、Lonberg, et
al. (1994) Nature 368(6474): 856-859)。したがって、マウスにおいては、マウスIgMまたはκの発現が減少し、免疫化に反応して、導入されたヒト重鎖および軽鎖トランスジーンは、クラススイッチングおよび体細胞性の突然変異を行い、高アフィニティーヒトIgGκモノクローナルを産生させる(Lonberg, N. et al. (1994)、上掲; Lonberg, N. (1994) Handbook of Experimental Pharmacology 113:49-101; Lonberg, N. and Huszar, D. (1995) Intern.
Rev. Immunol. 13: 65-93, and Harding, F. and
Lonberg, N. (1995) Ann. N.Y. Acad. Sci. 764:536-546で検討されている)。HuMabマウスの調製および使用、ならびにそのようなマウスが持つゲノム改変は、Taylor, L. et al. (1992)Nucleic acids Research 20:6287-6295; Chen, J. et al. (1993) International
Immunology 5: 647-656; Tuaillon et al.
(1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:3720-3724; Choi et al.
(1993) Nature Genetics 4:117-123; Chen, J. et al. (1993) EMBO J. 12: 821-830; Tuaillon et al.
(1994) J. Immunol. 152:2912-2920;
Taylor, L. et al. (1994) International Immunology 6: 579-591; and Fishwild, D. et al. (1996) Nature
Biotechnology 14: 845-851にさらに記載されている。その内容の全体を引用によってここに援用する。例えば、さらに、米国特許第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,789,650号;第5,877,397号;第5,661,016号;第5,814,318号;第5,874,299号;および第5,770,429号(すべてLonbergとKay);米国特許第5,545,807号(Surani et al.);PCT国際公開WO92/03918号;WO93/12227号;WO94/25585号;WO97/13852号;WO98/24884号;およびWO99/45962号(全てLonbergとKay);ならびにPCT国際公開WO01/14424号(Korman et al)。
別の態様において、本発明のヒト抗体は、トランスジーンおよびトランスクロモソーム上にヒトイムノグロブリン配列を保有するマウス、例えば、ヒト重鎖トランスジーンおよびヒト軽鎖トランスクロモソームを保有するマウスを用いて産生させることができる。本明細書において「KMマウス(登録商標)」と称される、このようなマウスについては、PCT国際公開WO02/43478(Ishida et al.)に詳細な記載がある。
ヒトイムノグロブリン遺伝子を発現するさらに別のトランスジェニック動物系が当該技術において入手可能であり、それらを利用して本発明の抗PSMA抗体を産生させることができる。例えば、キセノマウス(Xenomouse)(Abgenix, Inc.)と呼ばれる別のトランスジェニック系を用いることができる。このようなマウスについては、例えば、米国特許第5,939,598号;第6,075,181号;第6,114,598号;第6,150,584号;および第6,162,963号(Kucherlapati et al.)に記載がある。
さらに、ヒトイムノグロブリン遺伝子を発現する別のトランスクロモソーム性動物系が当該技術において入手可能であり、それらを利用して本発明の抗PSMA抗体を産生させることができる。例えば、ヒト重鎖トランスクロモソームおよびヒト軽鎖トランスクロモソームの双方を保有するマウス、「TCマウス」と称されるマウスを用いることができる。このようなマウスについては、Tomizuka et al. (2000) Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 97:722-727に記載がある。さらに、ヒト重鎖および軽鎖トランスクロモソームを保有するウシについて、当該技術において記載があり(Kuroiwa et al. (2002) Nature
Biotechnology 20:889-894)、本発明の抗PSMA抗体を産生させるために用いることができる。
本発明のヒトモノクローナル抗体はまた、ヒトイムノグロブリン遺伝子のライブラリーをスクリーニングするファージディスプレイ法を用いて調製することもできる。ヒト抗体を単離するためのそのようなファージディスプレイ法は、当該技術分野において確立している。例えば、米国特許第5,223,409号;第5,403,484号;および第5,571,698号(Ladner et al.);米国特許第5,427,908号および第5,580,717号(Dower et al.)、米国特許第5,969,108号;および第6,172,197号(McCafferty et al.);ならびに米国特許第5,885,793号;第6,521,404号;第6,544,731号;第6,555,313号;第6,582,915号;および第6,593,081号(Griffiths et al.)を参照されたい。
本発明のヒトモノクローナル抗体は、ヒト免疫細胞が再構成されて免疫化に応じてヒト抗体反応が生じるようにしたSCIDマウスを用いて作製することもできる。そのようなマウスについては、例えば、米国特許第5,476,996号および第5,698,767号(Wilson et al.)に記載がある。
ヒトIgマウスの免疫
ヒトIgマウスを用いて本発明のヒト抗体を産生させる場合、Lonberg, N. et al. (1994) Nature 368(6474): 856-859;
Fishwild, D. et al. (1996) Nature Biotechnology 14: 845-851およびPCT国際公開WO98/24884号およびWO01/14424号に記載されているようにして、精製または濃縮されたのPSMA抗原および/または組み換えPSMAまたはPSMA融合タンパク質により、このようなマウスを免疫できる。好適には、6〜16週齢の当該マウスに対して最初の注入を行う。例えば、PSMA抗原の精製または組み換え調製物(5〜50μg)を用いて、腹腔中でヒトIgマウスに免疫できる。
PSMAに対する全長ヒトモノクローナル抗体を作製するための詳細な操作を、下記の実施例1に述べた。様々な抗原による累積的な経験により、完全フロイントアジュバントの抗原で最初に腹腔内(IP)免疫し、次に隔週で不完全フロイントアジュバントの抗原でIP免疫(最大6まで)した時、形質転換マウスが応答することが明らかにされている。しかしながら、フロイント以外のアジュバントも有効であることがわかる。さらに、アジュバントの非存在下において全細胞が極めて免疫原性が高いことがわかっている。この免疫応答を、眼窩後方出血により得られた血漿サンプルによる免疫プロトコル過程でモニターできる。血漿は、ELISA(下記で述べたように)によりスクリーニングでき、十分な抗PSMAヒトイムノグロブリン力価を有するマウスを融合に使用できる。マウスを、屠殺3日前に抗原を静注することでブーストし、脾臓を取り出した。各免疫化について2〜3回融合を実施する必要がある。通常、6〜24匹のマウスを各抗原について免疫する。通常、HCo7およびHCo12株の両者を使用する。さらに、HCo7およびHCo12トランスジーンの両者を、2つの異なるヒト重鎖トランスジーン(HCo7/HCo12)を有する1匹のマウスで作製できる。これとは別に、またはこれに加えて、KMマウス(登録商標)株を使用できる。
本発明のヒトモノクローナル抗体産生ハイブリドーマの作製
本発明のヒトモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ作製のため、免疫したマウス由来の脾臓細胞および/またはリンパ節細胞を単離し、マウスミエローマ細胞株のような適切な不死化細胞株に融合できる。得られたハイブリドーマについて、抗原特異的抗体の産生をスクリーニングできる。例えば、免疫したマウス由来の脾臓リンパ球の単細胞懸濁物を、50%PEGにより、6分の1の数のP3X63−Ag8.653非分泌マウスミエローマ細胞(ATCC、CRL1580)に融合できる。細胞は、約2×10で平底マイクロタイタープレートに播種し、20%胎児クローン血清、18%“653”調整培地、5%オリゲン(IGEN)、4mM L−グルタミン、1mM ピルビン酸ナトリウム、5mM HEPES、0.055mM 2−メルカプトメタノール、50単位/mLペニシリン、50mg/mL ストレプトマイシン、50mg/mL ゲンタマイシンおよび1xHAT(Sigma;HATを、注入24時間後に添加する)を含む選択培地中で2週間インキュベートする。約2週後、細胞を、HATをHTに置き換えた培地中で培養する。次に、それぞれのウェルをELISAでスクリーニングし、ヒトモノクローナルIgMおよびIgG抗体をスクリーニングする。いったん広範なハイブリドーマ増殖が起こると、培地は、通常、10〜14日後に観察できる。抗体分泌ハイブリドーマを再播種し、再度スクリーニングし、もしヒトIgGがまだ陽性であるならば、モノクローナル抗体を少なくとも2回、限定希釈によってサブクローニングする。次に、安定なサブクローンをin vitroで培養し、少量の抗体を組織培地に産生させ、特性解析する。
ヒトモノクローナル抗体を精製するため、選択したハイブリドーマを2リットルのスピナーフラスコ中で増殖させ、モノクローナル抗体を精製できる。上清をろ過し、濃縮した後、プロテインA−セファロース(Pharmacia,Piscataway、N.J.)によるアフィニティクロマトグラフィーを行う。溶出したIgGをゲル電気泳動と高速液体クロマトグラフィーでチェックし、純度を確認できる。緩衝液はPBSに交換し、濃度は、1.43吸光係数を用いてOD280で決定できる。モノクローナル抗体を等量にアリコートし、−80℃で保存できる。
本発明のモノクローナル抗体産生トランスフェクトーマの作製
また、本発明の抗体は、例えば、当該技術において公知の組み換えDNA技術と遺伝子トランスフェクション技術を組み合わせて用いて、宿主細胞トランスフェクトーマ中で産生させることができる(例えば、Morrison,S.(1985)Science 229:1202)。
例えば、抗体またはその抗体フラグメント発現のため、部分または全長軽鎖および重鎖をコードするDNAは、標準的な分子生物学技術(例えば、PCR増幅または問題の抗体を発現するハイブリドーマを用いたcDNAクローニング)により得られ、このDNAを、遺伝子が適切に作用するように転写および翻訳調節配列に連結されるように、発現ベクター中に挿入できる。この文脈において、用語「適切に作用するように連結する」とは、ベクター内部の転写および翻訳調節配列が抗体遺伝子の転写と翻訳を制御するというそれらの目的機能を果たすようにベクターに連結されることを意味することを意図している。発現ベクターと発現調節配列は、使用した発現宿主細胞に適合するように選択する。抗体軽鎖遺伝子および抗体重鎖遺伝子を別々のベクターに挿入できるが、さらに典型的には、両者の遺伝子ともに同一発現ベクターに挿入する。抗体遺伝子は、標準的方法(例えば、抗体遺伝子断片上の相補性制限部位とベクターとのライゲーション、または制限部位が全く存在しないならば、平滑末端ライゲーション)によって発現ベクター中に挿入される。本明細書に記載の抗体の軽鎖および重鎖可変領域を用いて、Vセグメントがベクター内部のCセグメントに作用可能なように連結され、Vセグメントはベクター内部のCセグメントに作用可能なように連結されるよう、それらを所望のアイソタイプの重鎖定常および軽鎖定常領域をすでにコードしている発現ベクター中に挿入することによって、いかなる抗体のアイソタイプの全長抗体遺伝子をも創製できる。さらにまたはこれとは別に、組み換え発現ベクターは、宿主細胞から抗体鎖の分泌を促進するシグナルペプチドをコードできる。当該抗体鎖遺伝子は、シグナルペプチドがインフレームで抗体鎖遺伝子のアミノ末端に連結されるようにベクター中にクローニングできる。当該シグナルペプチドは、イムノグロブリンシグナルペプチドまたは非相同シグナルペプチド(すなわち、非イムノグロブリンタンパク質由来のシグナルペプチド)であってもよい。
抗体鎖遺伝子に加えて、本発明の組み換え発現ベクターは、宿主細胞中において抗体鎖遺伝子の発現を調節できる制御配列を有している。用語「制御配列」とは、抗体鎖遺伝子の転写または翻訳を調節するプロモーター、エンハンサーおよび他の発現調節エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含む。このような制御配列は、例えば、Goeddel(Gene Expression Technology. Methods in
Enzymology 185、Academic Press、San Diego、CA(1990))に記載されている。当業者は、制御配列の選択を含む発現ベクターの設計が形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベル等のような因子に依存することを理解できる。哺乳動物宿主細胞発現のための好適な制御配列には、サイトメガロウイルス(CMV)、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス(例えば、アデノウイルス主要後期プロモーター(AdMLP)およびパピローマに由来するプロモーターおよび/またはエンハンサーのような、哺乳動物細胞におけるタンパク質高発現を指示するウイルスエレメントを含む。これとは別に、ユビキチンプロモーターまたはβ−グロビンプロモーターのような非ウイルス制御配列も使用できる。さらに、制御エレメントは、SRαプロモーターシステムのような異なる起源由来の配列で構成され、それらはSV40アーリープロモーターおよびヒトT細胞白血病ウイルス1型の長い末端繰り返し由来の配列を含む(Takebe,Y.ら(1988)Mol.Cell.Biol. 8:466-472)。
抗体鎖遺伝子および制御配列に加えて、本発明の組み換え発現ベクターは、宿主細胞中におけるベクターの複製を制御する配列(例えば、複製開始点)および選択マーカー遺伝子のような付加的配列も有することができる。当該選択マーカー遺伝子は、ベクターを導入した宿主細胞の選択を促進する(例えば、米国特許第4,399,216号、第4,634,665号および第5,179,017号(全てAxel et al)を参照)。例えば、典型的には、選択マーカー遺伝子は、ベクターを導入した宿主細胞上でG418、ハイグロマイシンまたはメトトレキセートのような薬物に対する耐性を付与する。好適な選択マーカー遺伝子には、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子(メトトレキセート選択/増幅とともにdhfr−宿主細胞中で使用するため)およびneo遺伝子(G418選択用)を含む。
軽鎖および重鎖発現のため、重鎖および軽鎖をコードする発現ベクターは、標準的な技術により宿主細胞に導入できる。用語「トランスフェクション」の様々な形態は、外来性DNAを原核生物または真核生物宿主細胞に導入するために一般的に用いた広範囲の技術を包含することを意図しており、例えば、エレクトロポレーション、カルシウム−ホスフェート沈殿、DEAE−デキストラントランスフェクション等である。本発明の抗体を原核生物または真核生物の宿主細胞のいずれにも発現させることは理論的には可能であるが、そのような真核細胞、特に、哺乳動物細胞が原核生物に比べて、適切に折りたたまれ、免疫学的に活性のある抗体を集合させ分泌させやすいため、真核細胞での抗体の発現、さらにもっとも好適には哺乳動物宿主細胞での抗体の発現が最も好適である。抗体遺伝子の原核生物における発現は高収率の活性抗体産生には無効であると報告されている(Boss, M. A. and Wood, C. R. (1985) Immunology
Today 6:12-13)。
本発明の組み換え抗体発現のために好適な哺乳動物宿主細胞には、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)(UrlaubとChasinの (1980) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216-4220に記載されているdhfr−CHO細胞を含む。これは、例えば、R. J. KaufmanとP. A. Sharp (1982) Mol. Biol.
159:601-621に記載されているようにDHFR選択マーカーとともに使用される)、NSOミエローマ細胞、COS細胞およびSP2細胞が含まれる。特に、NSOミエローマ細胞とともに使用する場合には、別の好適な発現システムは、WO87/04462、WO89/01036および欧州特許第338,841号に開示されたGS遺伝子発現システムである。抗体遺伝子をコードする組み換え発現ベクターを哺乳動物宿主細胞中に導入する時、宿主細胞中で抗体を発現させる、またはさらに好適には宿主細胞を増殖させる培地中に抗体を分泌させるだけの十分な時間宿主細胞を培養することによって、抗体は産生される。抗体は標準的なタンパク質精製方法を用いて培地から回収できる。
抗原への抗体結合の特性解析
本発明の抗体について、簡単に述べると、LNCaP細胞を新鮮な状態で、組織培養フラスコから採取し、単一の細胞上清を調製する。LNCaP細胞上清を一次抗体で直接染色し、1%のパラホルムアルデヒドのPBS溶液中に固定する。約100万個の細胞を0.5%BSAおよび50〜200μg/mlの一次抗体を含有するPBS中に再び懸濁させ、氷上で30分間インキュベートする。該細胞を0.1%BSA、0.01%NaNを含有するPBSで2回洗浄し、100μlの1:100希釈されたFITCコンジュゲートヤギ抗ヒトIgGに再懸濁させ(Jackson ImmunoResearch, West Grove, PA)、氷上で30分間インキュベートする。該細胞を再度、2回洗浄し、0.5mlの洗浄緩衝液に再懸濁させ、蛍光染色により、FACSCaliburサイトメータ(Becton-Dickinson, San Jose, CA)にて分析を行う。
別法として、本発明の抗体について、例えば、標準的ELISAによってPSMAへの結合を試験できる。簡単に述べると、マイクロタイタープレートをPBS中0.25μg/mLの精製PSMAでコーティングし、次に、PBS中5%のウシ血清アルブミンでブロックする。抗体希釈物(例えば、PSMA免疫マウス由来の血漿の希釈物)を各ウェルに添加し、37℃で1〜2時間インキュベートする。プレートをPBS/Tweenで洗浄し、次に、アルカリホスファターゼ結合第2試薬(例えば、ヒト抗体用には、ヤギ抗ヒトIgG Fc−特異的ポリクローナル試薬)とともに37℃で1時間、インキュベートする。洗浄後、プレートをpNPP基質(1mg/mL)で発色させ、OD406−650で分析する。好適には、最大力価を示したマウスを融合用に用いる。
上述のようなELISAアッセイも同様に用いて、PSMA抗原と陽性反応を示すハイブリドーマをスクリーニングする。PSMAに高親和力で結合するハイブリドーマをサブクローニングし、さらに特性解析する。各ハイブリドーマから親細胞の反応性を保持するクローンを1個(ELISAにより)選択し、抗体精製のために5〜10個のバイアル細胞バンクを作成し、−140℃で保存する。
抗PSMA抗体を精製するため、選択したハイブリドーマを2リットルのスピナーフラスコ中で増殖させることができ、モノクローナル抗体を精製する。上清をろ過し、濃縮した後、プロテインA−セファロース(Pharmacia,Piscataway、N.J.)によるアフィニティクロマトグラフィーを行う。溶出したIgGをゲル電気泳動と高速液体クロマトグラフィーでチェックし、純度を確認できる。緩衝液をPBSに交換し、濃度は1.43吸光係数を用いてOD280で決定できる。モノクローナル抗体を一定分量に分け、―80℃で保存できる。
選択した抗PSMAモノクローナル抗体が独自のエピトープに結合したかどうかを決定するため、各抗体を市販の試薬(Pierce,Rockford、IL)を用いてビオチン化できる。非標識モノクローナル抗体とビオチン化モノクローナル抗体を用いた競合実験を、PSMAコーティングELISAプレートを用いて上記のように実施できる。ビオチン化mAb結合は、ストレプトアビジン−アルカリホスファターゼプローブにより検出できる。あるいは、下記の実施例に述べるように、放射性標識された抗体を用いて競合的研究を行い、非標識の競合する抗体をスキャッチャード分析(Scatchard analysis)で検出することができる。
精製した抗体のアイソタイプを決定するため、アイソタイプELISAを特定アイソタイプの抗体に特異的な試薬を用いて実施できる。例えば、ヒトモノクローナル抗体のアイソタイプ決定のため、マイクロタイタープレートウェルを1μg/mLの抗ヒトイムノグロブリンで、一晩、4℃でコーティングできる。1%BSAでブロックした後、プレートを試験モノクローナル抗体または精製アイソタイプ対照1μg/mL以下と室温で1〜2時間反応させる。次に、当該ウェルをヒトIgG1またはヒトIgM特異的アルカリホスファターゼ結合プローブと反応させる。プレートを上記のようにして発色分析する。
抗PSMAヒトIgGは、さらに、ウェスタンブロッティングによりPSMA抗原との反応性を試験できる。簡単に述べると、PSMAを調製し、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動に供することができる。電気泳動後、分離した抗原をニトロセルロース膜に移し、10%ウシ胎児血清でブロッキングし、検査対象のモノクローナル抗体でプローブする。ヒトIgG結合は、抗ヒトIgGアルカリホスファターゼを用いて検出し、BCIP/NBT基質タブレット(Sigma Chem. Co., St. Louis, MO)で展開することができる。
免疫複合体
別の局面において、本発明は、サイトトキシン、薬物(例えば、免疫抑制剤)または放射性トキシンのような治療分子に複合させた抗PSMA抗体またはそのフラグメントを特徴とする。このような複合物を、ここで、「免疫複合体」と称する。1個以上のサイトトキシンを含む免疫複合体は、「イムノトキシン」と称される。サイトトキシン、すなわち、細胞傷害性物質には、細胞に有害な(例えば、死滅させる)あらゆる物質が含まれる。例として、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、エチジウムブロマイド、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジハイドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシンおよびそのアナログまたはホモログが挙げられる。また、治療薬には、例えば、代謝拮抗物質(例えば、メトトレキセート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルカリ化剤(例えば、メクロレタミン、チオエパクロラムブチル、メルファラン、カルムスチン(BSNU)およびロムスチン(CCNU)、シクロソスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、およびシス−ジクロロジアミン白金(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン(例えば、ダウノルビシン(旧ダウノマイシン)およびドキソルビシン)、抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(旧アクチノマイシン)、ブレオマイシン、ミトラマイシン、およびアンスラマイシン(AMC))、および有糸分裂剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)が含まれる。
本発明の抗体に複合できる治療薬サイトトキシンの他の好適な例として、デュオカルマイシン、カリケアミシン、マイタンシンおよびオーリスタチン並びにそれらの誘導体が含まれる。カリケアミシン抗体複合物の例は、市販されている(Mylotarg(登録商標);Wyeth−Ayerst)。
サイトトキシンは、先行技術であるリンカー技術を用いて本発明の抗体に結合できる。サイトトキシンを抗体に結合するために用いたリンカータイプの例として、ヒドラゾン、チオエーテル、エステル、ジスルフィドおよびペプチド含有リンカーが含まれるが、これらに限定されない。リンカーは、例えば、リソソームコンパートメント内部の低pHによる切断を受けやすいか、カテプシン(例えば、カテプシンB、C、D)のような腫瘍組織中に主に発現するプロテアーゼのような、プロテアーゼによる切断を受けやすいものが選択される。
サイトトキシンのタイプ、リンカーおよび抗体に治療物質を結合する方法をさらに検討するためには、Saito, G. et al. (2003)
Adv. Drug Deliv. Rev. 55:199-215;
Trail, P.A. et al. (2003) Cancer Immunol.
Immunother. 52:328-337; Payne, G. (2003) Cancer Cell 3:207-212; Allen, T.M. (2002) Nat. Rev. Cancer 2:750-763; Pastan, I. and
Kreitman, R. J. (2002) Curr. Opin. Investig. Drugs 3:1089-1091; Senter, P.D. and Springer, C.J. (2001)
Adv. Drug Deliv. Rev. 53:247-264も参照できる。
本発明の抗体は、放射性同位元素に結合させ、放射性免疫複合体とも称される細胞傷害性放射性薬物を作製できる。診断または治療に使用するための抗体結合放射性同位元素の例として、ヨード131、ヨード125、インジウム111、イットリウム90およびルテチウム177が含まれるが、これらに限定されない。放射免疫複合体を調製する方法は、当該技術分野において確立されている。放射免疫複合体の例は市販されており、Zevalin(登録商標)(IDEC Pharmaceuticals)およびBexxar(登録商標)(Corixa Pharmaceuticals)が含まれ、類似の方法を用いて本発明の抗体を用いて放射免疫複合体を調製できる。
ある生物応答を修飾するために、本発明の抗体複合物を用いることができるが、薬物部分は、旧来の化学的治療薬剤のみに限定されるとみなされない。例えば、薬物部分は、所望の生物活性を有するタンパク質またはポリペプチドであってもよい。このようなタンパク質には、アブリン、リシンA、シュードモナス菌体外毒素またはジフテリアトキシンのような、例えば、酵素的に活性の毒物またはその活性断片、腫瘍壊死因子またはインターフェロン−γのようなタンパク質、または、例えば、リンホカイン、インターロイキン−1(“IL−1”)、インターロイキン−2(“IL−2”)、インターロイキン−6(“IL−6”)、顆粒マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(“G−CSF”)または他の増殖因子のような生物学的応答調節物質が含まれる。
このような治療部分を抗体に結合するための技術は公知であり、例えば、Arnon et al.,
"Monoclonal Antibodies For Immunotargeting Of Drugs In Cancer
Therapy", in Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy, Reisfeld et al. (eds.), pp. 243-56 (Alan R. Liss, Inc. 1985); Hellstrom et al., " Antibodies
For Drug Delivery", in Controlled Drug Delivery (2nd Ed.), Robinson et al. (eds.), pp. 623-53 (Marcel Dekker, Inc. 1987); Thorpe, "Antibody Carriers Of
Cytotoxic Agents In Cancer Therapy: A Review", in Monoclonal Antibodies
'84: Biological And Clinical Applications, Pinchera et al. (eds.), pp. 475-506 (1985); "Analysis, Results, And Future
Prospective Of The Therapeutic Use Of Radiolabeled Antibody In Cancer
Therapy", in Monoclonal
Antibodies For Cancer Detection And
Therapy, Baldwin et al. (eds.), pp. 303-16 (Academic Press 1985)、およびThorpe et al., "The
Preparation And Cytotoxic Properties Of Antibody-Toxin Conjugates",
Immunol. Rev., 62:119-58 (1982) を参照できる。
二重特異性分子
別の局面において、本発明は、本発明の抗PSMA抗体またはそのフラグメントを含む二重特異性分子を特徴とする。本発明の抗体またはその抗原結合部分は、誘導体化することができ、または、例えば、別のペプチドまたはタンパク質(例えば、別の抗体またはレセプターに対するリガンド)のような別の機能分子に連結することによって、少なくとも2つの異なる結合部位または標的分子に結合する二重特異性分子を作製できる。本発明の抗体は、実際に、誘導体化することもでき、あるいは1より多くの他の機能分子に連結することによって、2つ以上の異なる結合部位および/または標的分子に結合する多重特異性分子を作製することができる。このような多重特異性分子も、本文中、用語「二重特異性分子」に含まれるものとする。本発明の二重特異性分子を作製するため、二重特異性分子ができるように本発明の抗体を別の抗体、抗体フラグメント、ペプチドまたは結合模倣物のような1つ以上の結合分子に機能的に(例えば、化学的カップリング、遺伝的融合、非共有結合またはその他で)連結することができる。
したがって、本発明には、PSMAに対する少なくとも1つの第一の結合特異性と第二の標的エピトープに対する第二の結合特異性を含む二重特異性分子を含む。本発明の特定の態様において、第2標的エピトープは、例えば、ヒトFcγRI(CD64)またはヒトFcαレセプター(CD89)のようなFcレセプターである。したがって、本発明は、FcγRまたはFcαRを発現するエフェクター細胞(例えば、単球、マクロファージまたは多形核細胞(PMNs))およびPSMAを発現している標的細胞の両者に結合できる二重特異性分子を含む。これらの二重特異性分子は、PSMA発現細胞をエフェクター細胞の標的とさせ、PSMA発現細胞の食作用、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)、サイトカイン放出、またはスーパーオキサイドアニオン産生のようなFcレセプターを介したエフェクター細胞活性を惹起する。
二重特異性分子が多重特異性である本発明の態様において、さらに、当該分子は、抗Fc結合特異性と抗PSMA結合特異性の他に、第三の結合特異性を有することができる。一つの態様において、第三の結合特異性は、例えば、抗増強因子(EF)部分のような細胞傷害活性に関与し、それによって標的細胞に対する免疫応答を増強する表面タンパク質に結合する分子である。この「抗増強因子部分」とは、例えば、抗原またはレセプターのような、所与の分子に結合し、その結果、Fcレセプターまたは標的細胞抗原の結合決定基の効果を増強する抗体、抗体の機能的断片またはリガンドであってもよい。「抗増強因子部分」は、Fcレセプターまたは標的細胞抗原に結合できる。これとは別に、抗増強因子部分は、第1および第2結合特異性が結合する物質とは異なる物質に結合してもよい。例えば、抗増強因子部分は、細胞傷害性T細胞(例えば、CD2、CD3、CD8、CD28、CD4、CD40、ICAM−1を介して)または、標的細胞に対する免疫応答を増強するような他の免疫細胞と結合することができる。
一つの態様において、本発明の二重特異性分子は、結合特異性部分として、抗体または、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fvまたは一重鎖Fvのようなその抗体フラグメントを少なくとも1つ含む。また、本抗体は軽鎖もしくは重鎖ダイマーであるか、またはFvのようなその最小断片もしくは一本鎖構築物(米国特許第4,946,778号(Ladner et al.)に記載。その内容を引用によって援用する)であってもよい。
ある態様において、Fcγレセプターに対する結合特異性は、モノクローナル抗体によって提供され、その結合は、ヒトイムノグロブリンG(IgG)によって阻害されない。本明細書において用いられている用語「IgGレセプター」は、第1染色体上に位置する8個のγ鎖遺伝子のいずれかを示す。これらの遺伝子は、総計12個の膜貫通型または可溶化型レセプターのアイソフォームをコードし、それらは、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)およびFcγRIII(CD16)の3種のFcγクラスに分けられる。一つの好適な態様としては、当該Fcγレセプターは、ヒト高アフィニティーFCγRIである。ヒトFcγRIは、72kDaの分子であり、IgG単量体に対して高いアフィニティーを示す(10−10−1)。
特定の好適な抗Fcγモノクローナル抗体の作製と特異性解析には、Fanger et al.によりPCT国際公開WO88/00052号および米国特許第4,954,617号に記載されているものがあり、これらの開示は全て本文で参考文献として引用している。これらの抗体は、FcγRI、FcγRIIまたはFcγRIIIのエピトープに、レセプターのFcγ結合部位から離れた部位で結合し、従って、それらの結合が生理学的レベルのIgGによっては実質的に阻害されない。本発明で有用な特異的抗FcγRI抗体は、mAb22、mAb32、mAb44、mAb62およびmAb197である。mAb32産生ハイブリドーマは、アメリカンタイプカルチャーコレクションからATCC 寄託番号HB9469として入手可能である。他の態様において、抗Fcγレセプター抗体は、モノクローナル抗体22のヒト型抗体である(H22)。H22抗体の産生と特異性解析は、Graziano,R.F.ら(1995)J.Immunol. 155(10):4996-5002およびPCT国際公開WO94/10332号に記載されている。H22抗体産生細胞株は、アメリカンタイプカルチャーコレクションにHA022CL1として寄託され、寄託番号CRL11177を有している。
さらに、他の好適な態様において、Fcレセプターに対する結合特異性は、例えば、Fc−アルファレセプター(FcαRI(CD89))のようなヒトIgAレセプターに結合する抗体によって付与され、その結合は、好適には、ヒトイムノグロブリンA(IgA)によって阻害されない。用語「IgAレセプター」は、第19染色体に位置する1個のα−遺伝子(FcαRI)の遺伝子産物を含むことを意味する。この遺伝子は、55〜110kDaの数個のオルタナティブスプライシングされた膜貫通型アイソフォームをコードすることが知られている。FcαRI(CD89)は、単球/マクロファージ、好酸球性および好中球性顆粒球上で構成的に発現されるが、非エフェクター細胞群上では発現しない。FcαRIは、IgA1およびIgA2の両者に対して中程度の親和性(約5×10−1)を有しており、G−CSFまたはGM−CSFのようなサイトカインによって増加する(Morton, H.C. et al. (1996) Critical
Reviews in Immunology 16:423-440)。4個のFcαRI特異的モノクローナル抗体がA3、A59、A62およびA77として同定されており、それらは、IgAリガンド結合ドメインの外側でFcαRIを結合することが記載されている(Monteiro, R.C. et al. (1992) J.
Immunol. 148:1764)。
FcαRIおよびFcγRIは、本発明の二重特異性分子として用いるのに好適なトリガーレセプターである。それらが、(1)主に、例えば、単球、PMN、マクロファージおよび樹状細胞のような免疫エフェクター細胞で発現し、(2)高レベルで発現し(例えば、5000〜100,000/細胞)、(3)細胞傷害活性を媒介するものであり(例えば、ADCC、食作用)、(4)自己抗原を含むそれらを標的化した抗原の抗原提示増強を介するためである。
ヒトモノクローナル抗体が好適であるが、本発明の二重特異性分子で使用できる他の抗体として、ネズミ、キメラおよびヒト化モノクローナル抗体がある。
本発明の二重特異性分子は、例えば、抗FcRおよび抗PD−1結合特異性のような構成要素となる結合特異性部分を当該技術分野における公知の方法を用いて結合することによって、調製できる。例えば、二重特異性分子の各結合特異性部分は、別々に作製し、その後互いに連結できる。結合特異性部分がタンパク質またはペプチドである時、様々なカップリング剤または架橋剤を共有結合に使用できる。架橋剤の例として、プロテインA、カルボジイミド、N−サクシンイミジル−S−アセチル−チオアセテート(SATA)、5,5´−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)、o−フェニレンジマレイミド(oPDM)、N−サクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)およびスルホスクインイミジル4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(スルホ−SMCC)(例えば、Karpovsky et al. (1984) J. Exp. Med. 160:1686; Liu, MA et
al. (1985) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:8648を参照)が含まれる。他の方法には、Paulus (1985) Behring Ins. Mitt. No. 78,
118-132; Brennan et al. (1985) Science 229:81-83、およびGlennie et
al. (1987) J. Immunol. 139: 2367-2375に記載のものが含まれる。好適な結合剤は、SATAおよびスルホ−SMCCであり、両者ともにPierce Chemical Co.(Rockford、IL)から入手可能である。
結合特異性部分が抗体である時、それらは、2個の重鎖C末端ヒンジ領域のスルフィドリル結合により結合できる。特に好適な態様において、結合させる前にヒンジ領域を奇数の、好適には1つのスルフィドリル残基を含むように修飾する。
あるいは、2つの結合特異性部分を同一ベクター中でコードでき、同一宿主細胞中で発現させ、構築させることができる。この方法は、二重特異性分子がmAb×mAb、mAb×Fab、Fab×F(ab’)またはリガンド×Fab融合タンパク質である場合に特に有効である。本発明の二重特異性分子は、一本鎖抗体および結合決定基を含む一本鎖分子であるか、または、2個の結合決定基を含む一本鎖二重特異性分子であってもよい。二重特異性分子は、少なくとも2個の一本鎖分子を含むこともできる。二重特異性分子調製方法は、例えば、米国特許第5,260,203号、米国特許第5,455,030号、米国特許第4,881,175号、米国特許第5,132,405号、米国特許第5,091,513号、米国特許第5,476,786号、米国特許第5,013,653号、米国特許第5,258,498号、米国特許第5,482,858号に記載されている。
二重特異性分子のそれらの特異的標的への結合は、例えば、酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ(RIA)、FACS分析、バイオアッセイ(例えば、増殖阻害)またはウェスタンブロットアッセイにより確認できる。これらのそれぞれのアッセイは、一般に、特に問題となっているタンパク質−抗体複合体の存在を、問題の複合体に特異的な標識試薬(例えば、抗体)を用いて検出する。例えば、FcR−抗体複合体は、例えば、抗体−FcR複合体を認識して特異的に結合する酵素結合抗体または抗体断片を用いて検出できる。あるいは、当該複合体は、様々な他のイムノアッセイのいずれかを用いて検出できる。例えば、抗体を放射性標識し、ラジオイムノアッセイ(RIA)で使用できる(例えば、Weintraub, B., Principles of Radioimmunoassays,
Seventh Training Course on Radioligand Assay Techniques, The Endocrine Society,
March, 1986を参照。本明細書に引用によって援用する)。放射性同位元素は、γカウンターまたはシンチレーションカウンターを用いてまたはオートラジオグラフィのような手段により検出できる。
薬剤組成物
別の局面において、本発明は、例えば、本発明のモノクローナル抗体またはその抗原結合部分を1種、またはその組み合わせを含有し、薬学的に許容できる担体とともに調剤された医薬組成物を提供する。このような組成物は、本発明の(例えば、2種以上の異なる)抗体、または免疫複合体または二重特異性分子を1個、または、その組み合わせを含んでいてもよい。例えば、本発明の医薬組成物は、標的抗原上の異なるエピトープに結合するか、または補完的活性を有する抗体(または免疫複合体または二重特異性抗体)の組み合わせを含むことができる。
本発明の医薬組成物はまた、併用療法すなわち他の作用物質と組み合わせて投与することができる。例えば、併用療法は、その他の抗炎症剤または免疫抑制剤を少なくとも1つ組み合わせた本発明の抗PSMA抗体を含んでいてもよい。併用療法で使用できる治療物質の例として、より詳細に下記で本発明の抗体使用についてのセクションで説明されている。
本文中、「薬学的に許容できる担体」には、あらゆる溶媒、分散剤、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張および吸収遅延物質等が含まれ、それらは生理学的に両立できる。好適には、当該担体は、(例えば、注入または点滴による)静注、筋肉内、皮下、非経口、脊髄または上皮投与に適している。投与経路に応じて、活性化合物、すなわち、抗体、免疫複合体または二重特異性分子は、化合物を不活性化する可能性のある酸や他の自然条件の作用から化合物を保護する物質で被覆することもできる。
本発明の医薬化合物は、1種以上の薬学的に許容できる塩を含むことができる。「薬学的に許容できる塩」とは、親化合物が望ましい生物活性を保持するが、望ましくない毒性効果を全く示さない塩を称する(例えば、Berge, S.M., et al. (1977) J.
Pharm. Sci. 66:1-19を参照)。このような塩の例として、酸付加塩および塩基付加塩を含む。酸付加塩は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、燐等のような無毒性の無機酸由来、ならびに脂肪族モノ−およびジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族酸、脂肪族および芳香族スルホン酸等のような無毒性の有機酸に由来するものが含まれる。塩基付加塩には、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等のようなアルカリ土金属、ならびにN,N’−ジベンチルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカイン等のような無毒の有機アミン由来のものが含まれる。
また、本発明の医薬組成物は、薬学的に許容できる抗酸化剤を含むことができる。薬学的に許容できる抗酸化剤の例として、(1)アスコルビン酸、システインハイドロクロライド、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等のような水溶性抗酸化剤、(2)アスコルビルパルミテート、ブチル化ハイドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ハイドロキシトルエン(BHT)、レシチン、プロピルガレート、α−トコフェロール等のような油溶性抗酸化剤、および(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸等のような金属キレート剤が含まれる。
本発明の医薬組成物に使用できる適切な水性および非水性担体の例として、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、およびその適切な混合物、オリーブオイルのような植物油、およびエチルオレイン酸のような注入可能な有機エステルが含まれる。適切な流動性は、レシチンのような被覆物質を使用すること、分散体の場合、必要な粒子径を保持すること、および界面活性剤を使用することによって保持することができる。
また、これらの組成物は保存剤、湿潤化剤、乳化剤および分散剤のようなアジュバントを含有してもよい。微生物存在の防止は、殺菌操作、同上のようにおよび、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸等のような様々な抗菌剤および抗真菌剤を包含させることによって確保できる。また、糖、塩化ナトリウム等のような等張化剤を当該組成物に含ませることが望ましい。さらに、注射製剤形態の吸収を持続させることは、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような吸収を遅らせる物質を包含させることによって実現することができる。
薬学的に許容できる担体には、無菌の注射用溶液または分散体を即時調製するための無菌水溶液または分散体および無菌粉末が含まれる。このような媒体および物質を薬学的に活性の物質のために使用することが当該技術において知られている。これまで従来の媒体または物質が当該活性化合物と両立できなかったので、本発明の医薬組成物中でそれを使用することを検討している。補助的な活性化合物もまた、当該組成物中に組み込むことができる。
治療用組成物は、通常、製造および保存条件下で、無菌でかつ安定でなければならない。当該組成物は、溶液、ミクロエマルジョン、リポゾームまたはその他高濃度の薬物に適した、調剤された構造体として製剤化できる。当該担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、およびその適切な混合物を含む溶媒または分散媒体であってもよい。適切な流動性は、レシチンのようなコーティング剤を使用すること、分散体の場合必要な粒子径を保持することおよび界面活性剤を使用することによって保持できる。多くの場合、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコールまたは塩化ナトリウムのような等張化剤を当該組成物に含有させることが望ましい。モノステアリン酸アルミニウム塩およびゼラチンのような吸収を遅らせる物質を包含させることによって、注射用組成物の吸収を持続させることができる。
無菌の注射用溶液は、必要量の活性化合物を、上記に述べた成分の一つまたはそれらの組み合わせとともに適切な溶媒中に組み込み、必要に応じて無菌的精密ろ過をすることにより調製できる。一般的に、分散体は、基本的分散媒体と上記に述べたものの中から必要な他の成分を含む無菌媒体中に活性化合物を組み込むことによって調製する。無菌の注射用溶液調製のための無菌粉末の場合、好適な調製方法は真空乾燥および凍結乾燥(凍結乾燥)であり、活性成分に、事前に無菌ろ過した溶液からのあらゆる所望の追加成分を加えた粉末を産生できる。
単回投与剤形を作製するために担体物質と組み合わせられる活性成分の量は、治療すべき対象と特定の投与様式に応じて変わる。単回投与剤形を作製するために担体物質と組み合わせられる活性成分の量は、一般的に、治療効果をもたらす組成物量である。一般的に、この活性成分の量は、100%のうち、薬学的に許容できる担体との組み合わせにおいて、約0.01%〜約99%、好適には約0.1%〜約70%、さらに好適には約1%〜約30%の範囲である。
投与法は、望ましい最適な応答(例えば、治療応答)をもたらすように調整される。例えば、単回のボーラスで投与することができるか、数回に投与量を分けて時間をかけて投与することもでき、または治療状況の緊急性に応じて投与量を減ずるかまたは増量することもできる。特に、投与の容易性および投与量の均一性のため、非経口組成物を単位投与形態として製剤化するのが好都合である。本文中、単位投与形態とは、治療対象に対する単位投与として適した物理的に分離した単位を指し、各単位は、必要な薬剤担体と関連させて所望の治療効果をもたらすために計算され、あらかじめ決定した量の活性化合物を含む。本発明の単位投与形態の仕様は、(a)活性化合物の独自の特異性と目的とする特定の治療効果、および(b)個人への治療感受性のため、そのような活性化合物を調剤する技術に固有の限界により規定されかつ直接それらに依存する。
抗体投与のため、当該投与量は、患者体重を基準として、約0.0001〜100mg/kg、さらに一般的には0.01〜5mg/kgの範囲である。例えば、投与量は、約0.3mg/kg体重、1mg/kg体重、3mg/kg体重、5mg/kg体重または10mg/kg体重であるかまたは1〜10mg/kgの範囲である。典型的な治療方法には、例えば、週1回投与、2週間おきに1回投与、3週おきに1回投与、4週おきに1回投与、1ヶ月に1回投与、3ヶ月おきに1回投与または3〜6ヶ月おきに1回投与を必要とする。本発明の抗PSMA抗体の好適な投与方法は、静注投与により、1mg/kg体重または3mg/kg体重であり、当該抗体は、下記の投与スケジュール、すなわち、(i)投与6回を4週おきに、次に3週おき、(ii)3週おき、(iii)3mg/kg体重を1回、次いで3週おきに1mg/kg体重、の一つを用いて投与される。
ある方法では、異なる結合特異性部分を有する2種以上のモノクローナル抗体を同時に投与し、この場合、投与した各抗体の投与量は、例示した範囲内に入る。通常、抗体は、複数回投与される。単回投与間隔は、例えば、毎週、毎月、3カ月おきまたは1年おきとすることができる。また、患者の標的抗原に対する抗体の血中レベルを測定することによって示唆されるように、不定期とすることもできる。血漿中の抗体濃度を約1〜1000μg/mLとなるように調整する方法や、約25〜300μg/mLとなるように調整する方法もある。
あるいは、抗体は、徐放性製剤として投与することもでき、この場合、投与頻度を少なくすることが必要となる。投与量と頻度は、患者における抗体の半減期に依存して変わる。一般的に、ヒト抗体の半減期が最も長く、次に、ヒト化抗体、キメラ抗体、非ヒト抗体が続く。投与量と投与頻度は、治療が予防なのか治療なのかにより変わる。予防的用途においては、比較的低用量が、比較的低い頻度で、長期にわたり投与される。寿命のある限り治療を受けることになる患者もいる。治療的用途では、疾患進行を遅らせるかまたは停止させるまで、好ましくは、患者が部分的または完全に疾患症状の改善を示すまで、比較的高用量を比較的短期間に必要とすることがある。その後、患者は、予防的方法で投与される。
本発明の医薬組成物中における活性成分の実際の投与レベルを変化させることで、毒性を起こすことなしに、特定患者に対して望ましい治療応答を得る有効な活性成分、組成および投与様式を得ることができる。選択した投与量は、本発明で使用した特定組成物、またはそのエステル、その塩若しくはそのアミドの活性、投与経路、投与時間、使用した特定化合物の排泄速度、治療期間、他の薬物、使用した特定組成物と組み合わせて使用した化合物および/または物質、治療患者の年齢、性別、体重、状態、全身の健康状態、および既往歴、ならびに医学分野において公知の諸因子といった、種々の薬物動態因子に左右される。
本発明の抗PSMA抗体の「治療有効投与量」は、疾患症状の重篤度の低下、疾患に由来する症状が消失する期間の頻度と期間の増加、または疾患に罹患したことによる不全または障害の予防につながるものである。例えば、PSMA+腫瘍の治療については、「治療有効投与量」は、未処置被験体に比較して、好適には少なくとも約20%、さらに好適には少なくとも約40%、さらにより好適には約60%、さらに好適には約80%以上として、細胞増殖すなわち腫瘍増殖を阻害する。化合物の腫瘍増殖阻害能は、ヒト腫瘍における有効性を予測できる動物モデル系で評価できる。別法とし、このような組成物の特性は、当業者に公知のアッセイによって化合物の阻害活性、例えば、in vitroにおける阻害能を調べることによって評価することができる。治療化合物の治療有効投与量は、腫瘍の大きさを減じるか、またはそうでなければ、被験体の症状を改善させる。当業者は、被験体の大きさ、被験体の症状の重篤度、および特定組成物または選択した投与経路のような要素に基づき量を決定することができる。
本発明の組成物は、当該技術で公知の様々な方法の1つ以上の方法を用いて、1種以上の投与経路にて投与することもできる。当業者には明らかであろうが、投与経路および/または様式は、望ましい結果に応じて変わる。本発明の抗体の好適な投与経路は、例えば、注射または輸液による、静脈内、筋肉内、皮膚内、腹腔内、皮下、脊髄投与または他の非経口投与経路を含む。本明細書で用いられているフレーズ「非経口投与」とは、腸および局所投与以外の通常の注入による投与様式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下嚢内、眼窩内、心臓内、皮膚内、腹腔内、経気管的、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内注入および点滴が含まれるが、これらに限定されない。
あるいは、本発明の抗体は、局所、上皮のような非経口経路で、または、例えば、鼻腔内、口腔内、膣内、直腸内、舌下または局所で粘膜投与経路により投与できる。
活性化合物は、インプラント、経皮パッチおよびミクロカプセル包含デリバリシステムのような徐放性製剤のような、迅速放出に対して当該化合物を保護する担体とともに調製できる。エチレンビニルアセテート、ポリアンハイドリド、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルソエステルおよびポリ乳酸といった、生分解性、生体適合性ポリマーも使用できる。このような製剤の調製方法は多くが特許を得ており、または、通常、当業者に公知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J.R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978参照。
治療用組成物は、当該技術において公知の医療用具により投与できる。例えば、好適な態様において、本発明の治療組成物は、針のない皮下注入用具により投与できる。そのような装置は、米国特許第5,399,163号、第5,383,851号、第5,312,335号、第5,064,413号、第4,941,880号、第4,790,824号または第4,596,556号に開示されている。本発明で有用な公知のインプラントおよびモジュールの例として、制御された速度で医薬を投薬するためのインプラント可能なミクロインフィージョンポンプを開示した米国特許第4,487,603号、皮膚から医薬を投与するための治療用具を開示した米国特許第4,486,194号、精密な点滴速度で医薬を運搬するための医薬インヒュージョンポンプを開示した米国特許第4,447,233号、連続的薬物運搬のための可変フローインプラント可能な点滴装置を開示した米国特許第4,447,224号、複数チャンバーコンパートメントを有する浸透圧ドラッグデリバリシステムを開示した米国特許第4,439,196号および浸透圧ドラッグデリバリシステムを開示した米国特許第4,475,196号が含まれる。これらの特許は引用によって、本明細書において援用する。他にも多くのインプラント、デリバリシステムおよびモジュールが当業者に公知である。
いくつかの態様において、本発明のヒトモノクローナル抗体を製剤化して、in vivoにおける適切な分布を確保することができる。例えば、血液−脳関門(BBB)バリアは、多くの高親水性化合物を排除する。本発明の治療化合物がBBBを(必要に応じて)確実に通過できるようにするため、それらを、例えば、リポソーム中に処方することができる。リポゾーム製造方法については、例えば、米国特許第4,522,811号;第5,374,548号;および第5,399,331号を参照できる。当該リポソームは、特定細胞または臓器に選択的に運搬される一種以上の分子を含むことができ、それによって標的ドラッグデリバリを増強できる(例えば、V.V. Ranade (1989) J. Clin. Pharmacol. 29:685を参照)。標的となる分子の例として、葉酸またはビオチン(例えば、米国特許5,416,016号(Low et al.)を参照)、マンノシド(Umezawa et al., (1988) Biochem.
Biophys. Res. Commun. 153:1038)、抗体(P.G.
Bloeman et al. (1995) FEBS Lett.
357:140; M. Owais et al. (1995) Antimicrob. Agents Chemother. 39:180)、界面活性剤プロテインAレセプター(Briscoe et al. (1995) Am.
J. Physiol. 1233:134)、p120(Schreier et al. (1994) J. Biol. Chem. 269:9090)が含まれ、また、K. Keinanen; M.L. Laukkanen (1994) FEBS Lett. 346:123; J.J. Killion; I.J.
Fidler (1994) Immunomethods 4:273を参照することができる。
本発明の用途および方法
本発明の抗体、抗体組成物および方法は、PSMAの発現に関連する障害の診断治療に関わる、多数のin vitroおよびin vivoでの診断的および治療的用途を有している。例えば、これらの分子は、培養細胞に対してin vitroでもしくはex vivoで、あるいはヒト被験体に対して、例えば、in vivoで投与して、様々な障害において、治療、予防および診断をするために投与することができる。本明細書において用いられている用語「被験体」とは、ヒトおよび非ヒト動物類を含むことを意味している。非ヒト動物には、例えば、非ヒト霊長類、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ニワトリ、両生類、爬虫類等のような哺乳動物および非哺乳動物である、全脊椎動物類が含まれる。好適な被験体には、PSMA発現に関連する障害を有するヒト患者が含まれる。PSMAに対する抗体を別の物質とともに投与するときには、その2つは、順番にまたは同時に投与できる。
本発明の抗体組成物(例えば、抗体または免疫複合体))のin vivoおよびin
vitroの好適な投与経路は、当該技術分野において公知であり、当業者によって選択され得る。例えば、抗体組成物は、注射(例えば、静脈内もしくは皮下注射)によって投与することができる。好適な投与量は患者の年齢および体重、そして抗体組成物の濃度および/または製剤によって変わるであろう。
ある態様において、本発明の抗体を、in vitroでの治療的もしくは診断的用とその結合活性に関して試験する。例えば、本発明の組成物は、ELISAやフローサイトメトリーアッセイによって試験することができる。さらに、PSMAを発現する細胞の増殖および/または死滅を阻害することを含む、少なくとも1つのエフェクター媒介性エフェクター細胞活性を惹起する際のこれらの分子の活性を評価する。エフェクター媒介性ADCCをアッセイするためのプロトコルは、実施例において後述する。
A.検出方法
ある態様において、本発明の抗体は、PSMAのレベル、またはPSMAをその膜表面に含有する細胞のレベルを検出するために使用することができる。次にそのレベルは特定の疾患の症状と結びつけることができる。
ある特定の態様では、本発明は、サンプル中のPSMAの有無を検出する方法、または細胞表面上のPSMA量を測定する方法を提供する。この方法では、抗体またはその部分とPSMAの間で複合体形成することが可能な条件下で、当該サンプルと対照サンプルを、PSMAに結合している本発明の抗体またはその抗原結合部分に接触させる。その後、複合体形成を検出し、当該サンプルと、比較される対照と間に複合体形成に差が認められれば、当該サンプル中にPSMAが存在することが示唆される。これは、例えば、当該技術分野において公知の標準的な検出方法、例えば、ELISAやフローサイトメトリー法などによって、本発明の組成物を用いて行うことができる。
したがって、ある局面では、本発明はさらに、サンプル中のPSMA(例えば、ヒトPSMA)の有無を検出する方法、またはPSMAの量を測定する方法を提供する。
この方法では、抗体またはその部分とPSMAの間で複合体形成することが可能な条件下で、当該サンプルと対照サンプルを、PSMAに特異的に結合する本発明の抗体またはその抗原結合部分に接触させる。その後、複合体形成を検出し、当該サンプルと、比較される対照と間に複合体形成に差が認められれば、当該サンプル中にPSMAが存在することが示唆される。
本発明の組成物は、例えばこのような細胞を標識するなど、PSMA発現細胞を標的とするために用いることもできる。このような使用法のために、結合剤を、検出される分子に結合することができる。したがって、本発明は、PSMAをエキソビボまたはインビトロにおいて局在化する方法を提供する。検出用標識は、例えば、放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素共因子などであってよい。
B.PSMA+細胞の増殖の阻害
抗体を用いて、PSMA発現に関連する、いくつかの疾患の症状を予防もしくは寛解することにつながり得る、PSMAを発現する細胞の増殖を阻害することができる。疾患状態と非疾患状態の間のPSMA発現の差は、抗体とPSMAの間で複合体形成することが可能な条件下で、該疾患に罹患した患者から採取した試験サンプルと対照サンプルとを抗PSMA抗体に接触させることによって測定することができる。抗体とPSMAとの間に形成された何らかの複合体を検出し、サンプル中と対照中で比較する。
例えば、該抗体は、以下の生物学的活性の1以上をin vivoまたはin vitroで惹起する;PSMAを発現する細胞の増殖を阻害する、および/またはPSMAを発現する細胞を死滅させる;ヒトエフェクター細胞の存在下でPSMAを発現する細胞の貪食作用またはADCCを媒介する;可溶性PSMAのシェディングを阻害するために使用することができる。本明細書に記載のように、本発明の抗体は、フコシル化された形態の抗体と比較してADCC活性が高められることが示された。
したがって、別の局面において、本発明は、PSMA細胞の増殖を阻害する方法を提供する。この方法は、前記細胞を、前記細胞の抗体依存性細胞障害(ADCC)を誘発するのに十分な条件下で、抗PSMA抗体とを接触させることを含む。細胞は、例えば、腫瘍細胞とすることができる。好ましい態様において、抗PSMA抗体はヒト抗体である。
ある態様において、本発明の抗体またはその結合部分は、例えば、細胞表面上のレセプターをキャップしたり、除去したりすることによって、標的細胞上のPSMAレベルを調節するために使用することができる。抗体Fcレセプター抗体の混合物もこの目的のために用いることができる。
本発明の組成物に結合したエフェクター細胞などの標的特異性エフェクター細胞は、治療薬として用いることもできる。標的化のためのエフェクター細胞は、マクロファージ、好中球または単球などのヒト白血球であってもよい。その他の細胞としては、好酸球、ナチュラルキラー細胞、およびその他のIgGまたはIgAレセプターを有する細胞が含まれる。必要であれば、エフェクター細胞は、治療される被験体から採取することもできる。標的特異性エフェクター細胞は、生理学的に許容される溶液中の細胞の懸濁液として投与することができる。投与される細胞数は約10〜10個程度とすることができるが、治療目的により変化するであろう。一般に、その量であれば、例えば、PSMAを発現する腫瘍細胞などの標的細胞に局在化するのに十分であり、貪食作用などにより細胞死滅を引き起こすのに効果的であろう。投与経路も変えることができる。
標的特異性エフェクター細胞による治療は、標的細胞の除去のための他の技術と併用して行うことができる。例えば、本発明の組成物、および/またはこれらの組成物に保護されたエフェクター細胞を用いた抗腫瘍療法は、化学療法と併用することができる。さらに、併用免疫療法は、二つの異なる細胞傷害性エフェクター群を腫瘍細胞拒絶に向かわせるように用いることができる。
C.免疫複合体の使用と併用治療
ある態様において、本発明の免疫複合体は、化合物(例えば、治療薬、標識、サイトトキシン、放射性トキシン、免疫抑制薬など)を、PSMA細胞表面分子をもつ細胞に標的化するために使用することができる。それはそのような化合物を抗体に結合させることによって行う。したがって、本発明はまた、ex vivo または in vitroでPSMA(例えば、検出可能な標識、放射性同意体、蛍光化合物、酵素、または酵素共因子など)を発現する細胞を局在化する方法も提供する。あるいは、免疫複合体は、サイトトキシンまたは放射性トキシンが、PSMA、例えば、PSMA発現腫瘍細胞を標的とし、その結果、腫瘍細胞を除去することによって、PSMA細胞表面レセプターをもつ細胞を死滅させるために使用することができる。
他の態様において、患者は、FcγレセプターまたはFcγレセプターの発現または活性を調節、例えば、増強または阻害させる物質を用いて、例えば、サイトカインを用いて患者を治療することによって、さらに治療することができる。治療中、投与される好適なサイトカインとしては、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、インターフェロン−γ(IFN−γ)、および腫瘍壊死因子(TNF)が含まれる。
別の態様において、本発明の抗体組成物を用いて治療された患者に、ヒト抗体での治療効果を高めるまたは増強させる細胞傷害性物質または放射毒性物質などの別の治療薬をさらに投与する(本発明の抗体の投与の前、投与と同時、もしくは投与後)ことができる。抗体はその物質と結合することができる(免疫複合物として)、または該物質とは別々に投与することができる。後者の場合(別個の投与)、抗体は、物質投与の前、後、もしくは同時に投与することができる、公知の他の治療方法、例えば、放射線治療などの抗癌治療と共投与することもできる。そのような治療薬としては、とりわけ、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、シスプラチン、硫酸ブレオマイシン、カルムスチン、クロランブシル、シクロホスファミド、ヒドロキシ尿素などの抗悪性腫瘍薬が含まれ、それらは、それら自身、患者に対して毒性もしくは亜毒性となるレベルでのみ有効である。シスプラチンは、4週間毎に1回、100mg/mlの投与量で静脈内投与され、アドリアマイシンは、21日毎に1回、60〜75mg/mlの投与量で静脈内投与される。本発明のヒト抗PSMA抗体またはその抗原結合フラグメントは、本発明の化学治療薬と共投与することによって、細胞傷害性効果をヒト腫瘍細胞にもたらす、異なる機序で作用する2つの抗癌剤を提供する。そのような共投与は、薬剤抵抗性の発達によって生じる問題を解決することができ、または抗体と反応性を示さないそれらの腫瘍細胞の抗原特性に変化をもたらす。
D.癌の治療
PSMAは、前立腺癌腫瘍細胞などの腫瘍上で発現することがわかっている。また、それは癌細胞に近接する血管内皮細胞上、例えば、尿路上皮の癌性細胞、結腸の癌性細胞、直腸の癌性細胞、肺の癌性細胞、乳房の癌性細胞、および肝臓の転移性のアデノカルシノーマでも発現することがわかっている(例えば、米国特許第6,136,311号を参照)。したがって、本発明の抗体は、PSMA発現腫瘍細胞の増殖を阻害することによって、または腫瘍細胞に近接する血管内皮細胞の増殖を阻害することによって、癌を治療するために使用することができる。したがって、別の態様において、本発明は、被験体の腫瘍の増殖を阻害する方法を提供する。そこで、腫瘍の細胞または腫瘍に近接する血管内皮細胞は、PSMAであり、この方法においては、本発明の抗PSMA抗体が、腫瘍の増殖が阻害されるように患者に投与される。ヒト被験体においては、該抗体は、ヒト化抗体またはヒト抗体であることが好ましい。好ましい態様において、腫瘍細胞は前立腺腫瘍細胞である。他の態様において、腫瘍細胞は、結腸、腎臓、直腸、尿路上皮、乳房、膀胱、肝臓、膵臓から選択される癌またはメラノーマである。
本発明の治療方法は、障害を治療または予防するのに有効な量の本発明の抗体組成物を患者に投与することを含む。該組成物は、単独で、あるいは抗体組成物とあわせて、もしくは相乗的に、PSMA発現と関連する疾患を治療または予防する働きをする他の治療薬、例えば、細胞傷害性薬物もしくは放射毒性薬物と併用(抗体に結合、もしくは一緒に投与)して投与することができる。
本発明の方法はまた、抗PSMA抗体を、抗体組成物とあわせて、もしくは相乗的に、PSMA発現に関連する疾患を治療または予防する抗腫瘍薬などの他の作用物質と組み合わせて被験体に投与することを含む。本明細書に示しているように、抗PSMA抗体7F12とタキソテール(登録商標)(ドセタキセル)とを併用して使用することによって、動物モデルにおいて腫瘍の増殖が阻害された。腫瘍関連カヘキシーの動物を治癒させた(実施例8参照)。メカニズムに限定されるつもりはないが、抗腫瘍薬は、腫瘍質量の損傷を引き起こし、それによって、抗体、エフェクター細胞、または他のエフェクター成分の浸透を向上させることができ、より有効な細胞傷害を引き起こすと考えられる。ある態様において、抗腫瘍薬を使用することによって、腫瘍質量の損傷を引き起こし、それによって、エフェクター細胞が腫瘍に接近することができるようにし、より有効な、腫瘍細胞の抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を引き起こす。別の態様において、抗腫瘍薬、例えば、微小管インヒビターを使用することによって、腫瘍細胞が抗PSMA媒介性の死滅を本質的に引き起こしやすくなる。本発明のある態様において、抗PSMA抗体と抗腫瘍薬とを投与することによって得られた相乗的または追加的な効果は、PSMA抗原と基底側の細胞質膜の先端の極性の反転から独立している。
本明細書において用いられている「抗PSMA抗体」は、ヒト前立腺特異的膜抗原と特異的に結合するあらゆる抗体を含む。そのような抗体の例としては、本明細書に記載されている抗体、米国特許出願第10/059989号およびPCT国際公開WO03064606A3号に記載されている抗体、または, 米国特許出願第60/660431号に記載されている抗体が挙げられる。前述の出願の内容全体を本明細書中に引用によって援用する。
本明細書において用いられている「抗腫瘍薬」は、腫瘍を破壊する、または破壊する(例えば、部分的もしくは全体的)際に助けとなるように使用され得るあらゆる物質を含む。ある態様において、抗腫瘍薬は、腫瘍質量の損傷を引き起こし、それによって、エフェクター細胞が腫瘍により容易に接近することができるようにし、より有効な、腫瘍細胞の抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を引き起こすことができる。用語「抗腫瘍薬」は、化学治療薬、血管形成インヒビター、微小管ブロック剤、免疫調節薬、DNA介入物/クロスリンカー、DNA合成インヒビター、DNA−RNA転写調整剤、酵素阻害剤、および遺伝子調整剤を含む。
用語「化学治療薬」は、癌、例えば、前立腺癌を治療するために使用することができるあらゆる物質を含む。化学治療薬は、アルキル化剤、代謝拮抗剤、植物アルカロイド、抗癌性抗生物質、およびステロイドホルモンを含む。化学治療薬の具体的な例としては、限定されないが、オールトランスレチノイン酸、アミノグルテチミド、アザシチジン(Azacitidine)、アザチオプリン、ブレオマイシン(ブレノキサン)、ブスルファン(ミエレラン(Myeleran))、カルボプラチン、カルボプラチナ(パラプラチン(Paraplatin))、カルムスチン(BCNU)、カペシタビン(Capecitabine)、CCNU(ロムスチン)、クロランブシル(ロイケリン)、2-クロロデオキシアデノシン(2-CDA; クラドリビン、ロイスタチン)、シスプラチナ(プラチノール)、シスプラチン(シス−DDP)、シスプラチンブレオマイシンサルフェート、クロランブシル、シクロホスファミド(シトキサノール(Cytoxanl)CTX)、シクロホスファミドヒドロキシ尿素、シタラビン(Ara−C;シトシンアラビノシド)、ダウノルビシン(セルビジン)、ダカルバジン(DTIC;ジメチル-トリアゼノ−イミダゾールカルボキサミド)、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン;ルビドマイシン)、ジエチルスチルベステロール、ドセタキセル (タキソテール(登録商標))、ドキシフルリジン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、エピルビシン、エチニルエストラジオール、エトポシド(VP−16、VePesid)、フルオロウラシル(5−Fu;フロキシウリジン、フルオロデオキシウリジン;FUdR)、フルダラビン(フルダラ)、フルタミド、フルオキシメステロン、ゲムシタビン(Gemzar)、ヘルセプチン(トラスツズマブ;抗HER2モノクローナル抗体)、ヒドロキシ尿素(Hydrea)、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、イダルビシン、イホスファミド(Ifex)、インターフェロンアルファ、イリノテカン(CPT−11)、L-アスパラギナーゼ、ロイプロリド、メクロレタミン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、メルファラン(アルケラン)、メルカプトプリン(6-メルカプトプリン;6−MP)、メトトレキセート(MTX;アメトプテリン)、マイトマイシン(マイトマイシンC)、ミトタン(o,p’−DDD)、ミトキサントロン(ノバントロン)、オキサリプラチン、パクリタキセル(タキソール)、ペメトレクシド(Pemetrexed)、ペントスタチン(2−デオキシコホルマイシン)、プリカマイシン(ミトラマイシン)、プレドニソン、プロカルバジン(マチュラン(Matulane); N-メチルヒドラジン、MIH)、リツキシン(リツキシマブ)、セムスチン(メチル−CCNU)、ストレプトゾシン、タキソール、タモキシフェン、テニポシド、テルチポシド(Tertiposide)、プロピオン酸テストステロン、チオグアニン(6−チオグアニン;TG)、チオテパ、トムデックス(Tomudex)(ラルチトレキセド(Raltitrexed))、トポテカン(Topotecan) (ヒカミチン(Hycamtin);(S)−10−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−エチル−4,9−ジヒドロキシ−1H−ピラノ(3‘、4’)、トレスルファン(Treosulfan)(オバスタット(Ovastat))、バルビシン(Valrubicin)、ビンブラスチン(VLB;ベルバン(Velban))、ビンクリスチン(オンコビン)、ビンデシンおよびビノレルビン(Vinorelbine)(ナベルビン(Navelbine))が含まれる。.
用語「微小管ブロック剤」は、微小管の正常の組織化および動態を阻害することができるあらゆる物質を含む。微小管ブロック剤の例としては、限定されないが、タキサン(タキソール(登録商標)(パクリタキセル)、タキソテール(登録商標)(ドセタキセル)), ビンカアルカロイド(ビンブラスチン、ビンクリスチン(オンコビン)、ビンデシン(エルジシン(Eldisine)、フィルデシン(Fildesin)、ビノレルビン(Vinorelbine)(ナベルビン(Navelbine))、2−メトキシエストラジオール(2ME2)、エストラムスチン、エポチロン、コルヒチン、ドラスタチン15、ノコダゾール、ポドフィロトキシン、リゾキシンが含まれる。
用語「血管形成阻害薬」および「抗血管形成薬」は、本明細書においては互換可能に使用され、血管の形成を妨害および阻害することが可能なあらゆる物質を含む。血管形成阻害薬の具体的な例としては、限定されないが、アンジオスタチンK1−3、アレステン、aaAT、カンスタチン(Canstatin)、DL−α−ジフルオロメチル−オルニチン、エンドスタチン、フマギリン、ゲニステイン、ミノサイクリン、スタウロスポリン、(±)−サリドマイドおよびタムスタチンが含まれる。
用語「免疫調整薬」は、免疫反応を調節、例えば、刺激するあらゆる物質を含む。免疫調整薬の例としては、抗体、例えば、抗PD1抗体および抗CTAー4抗体が挙げられ、単独もしくは組み合わせて用いられる。これは、とりわけ米国仮特許出願第60/679,466号(05/09/2005出願);PCT国際公開WO01/14424号; 米国仮特許出願第60/738,434号(11/21/2005出願);および; 米国仮特許出願第 号(12/08/2005出願)(Attorney Docket No. MEDX−0124US2または04280/1203401−US1)に記載されている。そのすべての内容はそれらの全体を引用によって本明細書に援用する。
本発明の方法で用いることができるさらなる免疫調整薬としては、共刺激のシグナル(例えば、CD28またはICOS)を阻害する抗体、CTLA4を介して阻害性のシグナルを活性化する抗体、および/または、他の免疫細胞マーカー(例えば、CD40、CD40リガンドもしくはサイトカイン)に対する抗体、融合タンパク質(例えば、CTLA4−Fc、PD−1−Fc)、ならびに免疫抑制剤(例えば、ラパマイシン、シクロスポリンAもしくはFK506)がある。免疫調整薬の他の例としては、ホスホロチオエートオリゴデオキシリボヌクレオチド(1018 ISS)、GVAX(GM−CSF遺伝子ワクチン)、インターロイキン(例えば、インターロイキン−1、−2、−3、−4、−5、−6、−7(CYT99 07)、−8、−9、−10、−11、−13、−14、−15、−16、−17、−18、−19、−20、−21、−22、−23、−24、−25、−26、−27、−28、−29および−30)、例えば、組換えインターロイキン抗体、例えば、IL−2、例えば、アルデスロイキン(Aldesleukin)、例えば、組換えインターロイキン(例えば、組換えインターロイキン−21(rIL−21))、例えば、IL−11、例えば、オプレベキン(oprelvekin)、例えば、インターロイキンレセプターアンタゴニスト、例えば、IL−1レセプターアンタゴニスト、例えば、アナキンラ(anakinra)、グルコセレブロシダーゼ、例えば、イミグルセラーゼ、マクロファージ活性化因子、マクロファージペプチド、B細胞因子、およびT細胞因子が挙げられる。
DNA介入物/クロスリンカーの例としては、限定されないが、ブレオマイシン、カルボプラン、カルムスチン、クロランブシル、シクロホスファミド、シス−ジアンミン白金(II)ジクロリド(シスプラチン)、メルファラン、ミトキサントロンおよびオキサリプラチンが挙げられる。
DNA合成インヒビターの例としては、限定されないが、(±)−アメトプテリン(メトトレキサート)、3−アミノ−1,2,4−ベンゾトリアジン1,4−ジオキシド、アミノプテリン、シトシン、β−D−アラビノフラノシド、5−フルオロ−5’−デオキシウリジン、5−フルオロウラシル、ガンシクロビル、ヒドロキシ尿素およびマイトマイシンCが挙げられる。
DNA−RNA転写調整剤の例には、限定されないが、アクチノマイシンD、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ホモラーニングトニン(Homoharringtonine)およびイダルビシンが含まれる。
酵素インヒビターの例としては、限定されないが、S(+)−カンプトセシン、クルクミン、(−)−デグエリン(Deguelin)、5,6−ジクロロベンゾ−イミダゾール1−β−D−リボフラノシド、エトポシド、ホルメスタン、ヒスピジン、2−イミノ−1−イミダゾリジン酢酸(シクロクレアチニン)、メビノリン、トリコスタチンA、チルホスチンAG34、およびチルホスチンAG879が含まれる。
遺伝子調整剤の例としては、限定されないが、5−アザ−2’−デオキシチジン、5−アザシチジン、コレカルシフェロール(ビタミンD3)、4−ヒドロキシタモキシフェン、メラトニン、ミフェプリストーン、ラロキシフェン、オールトランスレチノール(ビタミンAアルデヒド)、レチノイン酸、オールトランス(ビタミンA酸)、9−シス−レチノイン酸、13−シス−レチノイン酸、レチノール(ビタミンA)、タモキシフェンおよびトログリタゾンが含まれる。
本発明の方法はまた、被験体に免疫複合体(抗PSMA抗体、またはその抗原結合部分を含む。サイトトキシンや放射性同位体などの治療薬と結合されている)を抗腫瘍薬と併用して投与することを含む。それによって、抗体組成物と相乗的に複合されて機能し、PSMA発現に関連した疾患を治療または予防することになる。
本発明の方法は、さらに、二重特異性分子(抗PSMA抗体、またはその抗原結合部分を含む。該抗体とは異なる結合特異性を持つ第2の機能的部分に結合されている)を抗腫瘍薬と併用して被験体に投与することを含む。それによって、抗体組成物と相乗的に複合されて機能し、PSMA発現に関連した疾患を治療または予防することになる。抗腫瘍薬は、本明細書に記載の当該技術分野において公知のあらゆる治療的有効量で投与することができる(医薬組成物参照)。
抗PSMA抗体は、単一の抗腫瘍薬と組み合わせて投与してもよい。抗PSMA抗体はまた、2以上の抗腫瘍薬と組み合わせて投与してもよい。
抗PSMA抗体および抗腫瘍薬は、同時に投与してもよい。例えば、抗PSMA抗体および抗腫瘍薬は、単一の薬学的製剤として一緒に投与してもよい。別の態様においては、抗PSMA抗体および抗腫瘍薬は、同時に1以上の別個の製剤として投与してもよい。
抗PSMA抗体および抗腫瘍薬は、異なる時間に投与してもよい。例えば、抗PSMA抗体の投与前に、抗腫瘍薬を投与してもよい(例えば、抗PSMA抗体の投与の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、24または48時間前)。あるいは、抗PSMA抗体を、抗腫瘍薬の投与前に投与してもよい(例えば、抗腫瘍薬の投与の約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、24または48時間前)。ある態様において、抗PSMA抗体は、表1に示した投与スケジュールに基づいて、抗腫瘍薬と併用して投与することができる。
キット
また、本発明の抗体を含むキットおよび使用説明書も本発明の範囲内である。そのキットはさらに、免疫刺激剤、細胞障害剤、または放射毒性剤、または1以上の本発明のさらなる抗体(例えば、第1のヒト抗体とは別のPSMA抗原中のエピトープに結合する相補的活性を有するヒト抗体)などの少なくともさらに一つの試薬を含むことができる。キットは、通常、キット内容物の目的用途を示したラベルを有している。用語ラベルは、すべての文書を含み、キットの上面またはキットとともに付与されるか、そうでない場合にはキットに添付される。
本発明は以下の実施例においてさらに具体化されるが、本発明をさらに限定するものと解釈されてはならない。本願全体に引用されるすべての図面、およびすべての引用文献、特許および特許出願公報の内容を引用によって本明細書中に援用する。
実施例1:PSMAに対するヒトモノクローナル抗体の作製
抗原
抗原として、免疫プロトコルでは、PSMA発現前立腺癌細胞株LNCaP(ATCC CRL−1740)を使用する。
トランスジェニックHuMabマウス
PSMAに対する完全ヒトモノクローナル抗体を、ヒト抗体遺伝子を発現するHuMabトランスジェニックマウスのHCo12株を用いて調製した。このマウス株において、内因性マウスカッパ軽鎖遺伝子を、Chen et al. (1993) EMBO
J. 12:811-820に記載のようにホモ接合により破壊し、内因性マウス重鎖遺伝子は、PCT国際公開WO01/09187号の実施例1に記載のようにして、ホモ接合により破壊した。さらにこのマウス株は、Fishwild et al. (1996) Nature
Biotechnology 14:845-851に記載されているヒトカッパ軽鎖導入遺伝子KCo5と、PCT国際公開WO01/09187号に記載されているヒト重鎖導入遺伝子HCo12を保有している。
HuMabの免疫
PSMAに対する完全ヒトモノクローナル抗体を産生させるため、HuMabを、PSMA発現LNCaP細胞を抗原として免疫した。HuMabマウスのための一般的免疫スキームは、Lonberg, N. et al (1994) Nature 368(6474): 856-859; Fishwild, D. et al. (1996) Nature
Biotechnology 14: 845-851およびPCT国際公開98/24884号に記載されている。当該マウスは、第1回抗原注入時に6〜16週齢であった。5〜10×10細胞を用いて、HuMabマウスを腹腔内(IP)、皮下(Sc)または足蹠注入により免疫した。
トランスジェニックマウスは、完全フロイントアジュバントまたはRibiアジュバント中抗原で、腹腔内に2回免疫し、次いで不完全フロイントアジュバントまたはRibiアジュバント中抗原により(総計11回まで)、腹腔内に3〜21日間免疫した。免疫応答は、眼窩後方出血によりモニタリングした。血漿は、ELISA(下記に説明)によりスクリーニングし、抗PSMAヒトイムノグロブリンの十分な力価をもつマウスを融合に用いた。屠殺3日前にマウスに抗原を静注によりブーストし、脾臓を除去した。典型的には、各抗原について10〜35回の融合(fusions)を行った。数ダースのマウスを各抗原について免疫した。
抗PSMA抗体産生HuMabの選択
PSMAに結合する抗体を産生するHuMabを選択するため、免疫マウス由来の血清を、PSMA発現前立腺癌細胞株LNCaPへは結合するが、陰性前立腺癌細胞株へは結合しないことをフローサイトメトリーによってスクリーニングした。簡単に述べると、抗PSMA抗体の結合は、LNCaP細胞と抗PSMA抗体とを20μg/mlの濃度でインキュベートすることによって評価した。該細胞を洗浄し、FITC標識された抗ヒトIgG Abで結合を検出した。FACScanフローサイトメトリー(Becton Dickinson, San Jose, CA)を用いてフローサイトメトリーを行った。PSMA発現LNCaP細胞に結合するが、非PSMA発現前立腺癌細胞には結合しない抗体を、PSMAへの結合について、Fishwild, D. et al. (1996)に記載のようにしてELISAによってさらに調べた。簡単に述べると、マイクロタイタープレートに、PBS中1〜2μg/mLで精製PSMAをコーティングし、100μL/ウェルを4℃で一晩インキュベートし、次に、200μL/ウェルのPBS/Tween(0.05%)中5%ウシ胎児血清によりブロックした。PSMA免疫マウス由来の血清希釈物を各ウェルに添加し、室温で1〜2時間インキュベートした。このプレートをPBS/Tweenで洗浄し、その後、西洋わさびパーオキシダーゼ(HRP)結合ヤギ抗ヒトIgGポリクローナル抗体とともに室温で1時間インキュベートした。洗浄後、プレートをABTS基質(Sigma, A-1888、0.22mg/mL)で発色させ、分光光度計によりOD415−495で分析した。最大力価の抗PD−1抗体を産生したマウスを融合に使用した。融合は、下記に記載のように実施し、ハイブリドーマ上清を、ELISAにより抗PSMA活性について試験した。
PSMAに対するヒトモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの作製
HuMabから単離したマウス脾臓細胞を、標準的なプロトコルに基づいて、PEGを用いて、マウスミエローマ細胞株に融合させた。次いで、得られたハイブリドーマをスクリーニングし、抗原特異性抗体の産生を調べた。免疫マウスからの脾臓細胞の単細胞懸濁物を、50%PEG(Sigma)により、その4分の1数のSP2/0非分泌性マウスミエローマ細胞(ATCC、CRL1581)に融合させた。細胞を、約1×10/ウェルで平底マイクロタイタープレートに接種し、10%胎児クローン血清、10%P388D1(ATCC,CRL TIB−63)調整培地、DMEM(Mediatech,CRL 10013、高グルコース、L−グルタミンおよびピルビン酸ナトリウムを有する)中3〜5%オリゲン(IGEN)および5mM HEPES、0.055mM 2−メルカプトエタノール、50mg/mLのゲンタマイシン、および1XHAT(Sigma、CRL P−7185)を含む選択培地中で約2週間、インキュベートした。1〜2週後、細胞を、HATをHTに置き換えた培地中で培養した。次に、個々のウェルを、ヒト抗PSMAモノクローナルIgG抗体についてELISA(上記で記載)によってスクリーニングした。強いハイブリドーマ増殖が起こったら、培地を通常10〜14日後にモニタリングした。抗体分泌ハイブリドーマを再度播種し、再度スクリーニングし、もしヒトIgGがまだ陽性であるならば、抗PSMAモノクローナル抗体を少なくとも2回、限定希釈によってサブクローニングした。次に、安定なサブクローンをin vitroで培養し、少量の抗体を組織培地に産生させ、さらに特性解析した。
ハイブリドーマ1C3、2A10、2F5、2C6を選択し、さらに分析した。
実施例2:ヒトモノクローナル抗体1C3、2A10、2F5および2C6の構造特性
モノクローナル抗体1C3、2A10、2F5および2C6の重鎖および軽鎖可変領域をコードするcDNA配列を、標準的PCR技術を用いて1C3、2A10、2F5および2C6ハイブリドーマからそれぞれ得て、標準的DNA配列決定技術を用いて配列決定した。
1C3の重鎖可変領域のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を図1Aおよび配列番号33および1にそれぞれ示した。
1C3の軽鎖可変領域のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を図1Bおよび配列番号37および5にそれぞれ示した。
1C3重鎖イムノグロブリン配列を公知のヒト生殖系列イムノグロブリン重鎖配列と比較し、1C3重鎖がヒト生殖系列VH3−30.3由来のVHセグメント、未決定Dセグメント、およびヒト生殖系列JH6b由来のJHセグメントを利用することを明らかにした。1C3VH配列の生殖細胞VH3−30.3配列への配列比較を図5に示した。さらに1C3VH配列を、CDR領域決定のKabatシステムを用いて分析し、図1Aおよび5ならびにそれぞれ配列番号9、13および17に示した重鎖CDR1、CDR2およびCD3領域を図示した。
1C3軽鎖イムノグロブリン配列を公知のヒト生殖系列イムノグロブリン軽鎖配列と比較し、1C3軽鎖がヒト生殖系列VK L18由来のVLセグメントおよびヒト生殖系列JK4由来のJKセグメントを利用することを明らかにした。1C3 VL配列の生殖系列VK L18配列への配列比較を図7に示した。さらに1C3 VL配列をCDR領域決定のKabatシステムを用いて分析し、図1Bおよび7ならびにそれぞれ配列番号21、25および29に示した軽鎖CDR1、CDR2およびCD3領域を図示した。
2A10の重鎖可変領域のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を図2Aおよび配列番号34および2にそれぞれ示した。
2A10の軽鎖可変領域のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を図2Bおよび配列番号38および6にそれぞれ示した。
2A10重鎖イムノグロブリン配列を公知のヒト生殖系列イムノグロブリン重鎖配列と比較し、2A10重鎖がヒト生殖系列VH5−51由来のVHセグメント、ヒト生殖系列7−27由来のDセグメント、およびヒト生殖系列JH2由来のJHセグメントを利用することを明らかにした。2A10 VH配列の生殖細胞VH5−51配列への配置を図6に示した。さらに2A10 VH配列をCDR領域決定のKabatシステムを用いて分析し、図2Aおよび6ならびにそれぞれ配列番号10、14および18に示した重鎖CDR1、CDR2およびCD3領域を図示した。
2A10軽鎖イムノグロブリン配列を公知のヒト生殖系列イムノグロブリン軽鎖配列と比較し、2A10軽鎖がヒト生殖系列VK L18由来のVLセグメントおよびヒト生殖細胞型JK4由来のJKセグメントを利用することを明らかにした。2A10 VL配列の生殖細胞VK L18配列への配列比較を図7に示した。さらに2A10 VL配列をCDR領域決定のKabatシステムを用いて分析し、図2Bおよび7ならびにそれぞれ配列番号22、26および30に示した軽鎖CDR1、CDR2およびCD3領域を図示した。
2F5の重鎖可変領域のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を図3Aおよび配列番号35および3にそれぞれ示した。
2F5の軽鎖可変領域のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を図3Bおよび配列番号39および7にそれぞれ示した。
2F5重鎖イムノグロブリン配列を公知のヒト生殖系列イムノグロブリン重鎖配列と比較し、2F5重鎖がヒト生殖系列VH5−51由来のVHセグメント、ヒト生殖系列7−27由来のDセグメント、およびヒト生殖系列JH2由来のJHセグメントを利用することを明らかにした。2F5 VH配列の生殖系列VH5−51配列への配列比較を図6に示した。さらに2F5 VH配列をCDR領域決定のKabatシステムを用いて分析し、図3Aおよび6ならびにそれぞれ配列番号11、15および19に示した軽鎖CDR1、CDR2およびCD3領域を図示した。
2F5軽鎖イムノグロブリン配列を公知のヒト生殖系列イムノグロブリン軽鎖配列と比較し、2F5軽鎖がヒト生殖系列VK L18由来のVLセグメントおよびヒト生殖系列JK4由来のJKセグメントを利用することを明らかにした。2F5 VL配列の生殖系列VK L18配列への配列比較を図7に示した。さらに2F5 VL配列をCDR領域決定のKabatシステムを用いて分析し、図3Bおよび7ならびにそれぞれ配列番号23、27および31に示した軽鎖CDR1、CDR2およびCD3領域を図示した。
2C6の重鎖可変領域のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を図4Aおよび配列番号36および4にそれぞれ示した。
2C6の軽鎖可変領域のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を図4Bおよび配列番号40および8にそれぞれ示した。
2C6重鎖イムノグロブリン配列を公知のヒト生殖系列イムノグロブリン重鎖配列と比較し、2C6重鎖がヒト生殖系列VH5−51由来のVHセグメント、ヒト生殖系列6−13由来のDセグメント、およびヒト生殖系列JH4b由来のJHセグメントを利用することを明らかにした。2C6 VH配列の生殖細胞VH5−51配列への配置を図6に示した。さらに2C6 VH配列をCDR領域決定のKabatシステムを用いて分析し、図4Aおよび6ならびにそれぞれ配列番号12、16および20に示した重鎖CDR1、CDR2およびCD3領域を図示した。
2C6軽鎖イムノグロブリン配列を公知のヒト生殖系列イムノグロブリン軽鎖配列と比較し、2C6軽鎖がヒト生殖系列VK L6由来のVLセグメントおよびヒト生殖細胞型JK3由来のJKセグメントを利用することを明らかにした。2C6 VL配列の生殖細胞VK L6配列への配列比較を図8に示した。さらに2C6 VL配列をCDR領域決定のKabatシステムを用いて分析し、図4Bおよび8ならびにそれぞれ配列番号24、28および32に示した軽鎖CDR1、CDR2およびCD3領域を図示した。
実施例3:抗PSMAヒトモノクローナル抗体の結合特異性の特性解析
この実施例では、抗PSMA抗体の結合特異性を、PSMAを発現する前立腺癌細胞株についてのフローサイトメトリー、および精製PSMAを用いたELISAによって調べた。
フローサイトメトリーによる結合特異性
ヒトPSMA発現前立腺癌細胞株LNCaPを用いて、フローサイトメトリーにより抗PSMAヒトモノクローナル抗体による特異性を測定した。抗PSMAヒトモノクローナル抗体2F5、2A10および2C6の結合を、LNCaP細胞を抗PSMAヒトモノクローナル抗体とともに異なる濃度でインキュベートすることによって調べた。細胞を洗浄し、結合をFITC標識抗ヒトIgG Abを用いて検出した。FACScanフローサイトメトリー(Becton Dickinson, San Jose, CA)を用いてフローサイトメトリー分析を行った。ヒト抗PSMAモノクローナル抗体7F12(PCT国際公開WO03/064606号に記載のように)を陽性対照として用い、非PSMA特異性アイソタイプ対照抗体を陰性対照として用いた。得られた結果を図9に示す。抗PSMAヒトモノクローナル抗体2F5、2A10および2C6は、PSMA発現LNCaP細胞に特異的に結合した。
ELISAによる結合特異性
免疫精製されたPSMAに対する抗PSMA抗体の結合比較を、標準的ELISAにより行い、PSMAに対する結合特異性を調べた。
PSMAをLNCaP細胞から免疫精製し、抗PSMAヒトモノクローナル抗体1C3、2A10、2F5、および2C6に対する結合について試験した。標準的ELISA操作を実施した。抗PSMAヒトモノクローナル抗体を、濃度5μg/mLで添加し、1:2の連続希釈で滴定した。西洋わさびパーオキシダーゼ(HRP)を結合したヤギ抗ヒトIgG(カッパ鎖特異的)ポリクローナル抗体を第2抗体として用いた。ヒト抗PSMAモノクローナル抗体7F12を陽性対照として用い、ブランクを陰性対照として用いた。得られた結果を図10に示す。抗PSMAヒトモノクローナル抗体2A10および2F5は高い特異性でPSMAに結合した。抗PSMAヒトモノクローナル抗体1C3および2C6は検出可能であったが、ELISAアッセイにおいて、PSMAに対して低いレベルの結合しか示さなかった。このことにより、これらの抗体はELISAアッセイにおけるヒンダードエピトープに結合することが示唆された。
実施例4:抗PSMAヒトモノクローナル抗体の結合アフィニティーのスキャットチャード分析
PSMA発現前立腺癌LNCaP細胞株に対する抗体2A10の結合アフィニティーを、スキャッチャード分析を用いて調べた。
LNCaP細胞は、ATCC(CRL−1740)から取得し、10%ウシ胎児血清(FBS)を含有するRPMI培地中で増殖させた。該細胞をトリプシン処理し、Trisベースの結合緩衝液(24mM Tris、pH7.2、137mM NaCl、2.7mM KCl、2mMグルコース、1mM CaCl、1mM MgCl、0.1%BSA)で1回洗浄し、該細胞を結合緩衝液中で2x10細胞/mlに調整した。ミリポアプレート(MAFB NOB)を、1%無脂肪ドライミルクを水に溶かしたものでコーティングし、4℃で一晩保存した。該プレートを0.2mlの結合緩衝液で3回洗浄した。50マイクロリットルの緩衝液だけを最大結合ウェルに添加した(総合的結合)。25マイクロリットルの緩衝液を対照ウェルに添加した(非特異的結合)。濃度を変化させて125I−抗PSMA抗体を全てのウェルに容積25μlで添加した。濃度を変化させて100回以上、非標識抗体を対照ウェルに容積25μlで添加した。結合緩衝液中の25μlのLNCaP細胞(2X10細胞/ml)を全てのウェルに添加した。該プレートを2時間200RPMで、シェーカー上で4℃でインキュベートした。インキュベート終了後、ミリポアプレートを0.2mlの冷却洗浄緩衝液(24mM Tris、pH7.2、500mM NaCl、2.7mM KCl、2mMグルコース、1mM CaCl、1mM MgCl、0.1%BSA)で3回洗浄した。フィルターを除去して、ガンマカウンターで計測した。平衡結合の評価は、単一の部位結合パラメータを用いて、Prismソフトウェア(San Diego, CA)で行った。
上記スキャッチャード結合アッセイによれば、LNCaP細胞に対する2A10抗体のKは、約0.8nMであった。
実施例5:エピトープ競合結合アッセイ
抗PSMAモノクローナル抗体2A10を、公知の抗PSMA抗体7F12(PCT国際公開WO03/064606号)と比較して、競合アッセイを用いて、2つの抗体が同じエピトープに結合するかどうかを調べた。
LNCaP細胞は、ATCC(CRL−1740)から取得し、10%ウシ胎児血清(FBS)を含有するRPMI培地中で増殖させた。該細胞をトリプシン処理し、Trisベースの結合緩衝液(24mM Tris、pH7.2、137mM NaCl、2.7mM KCl、2mM グルコース、1mM CaCl、1mM MgCl、0.1%BSA)で1回洗浄し、該細胞を結合緩衝液中で2x10細胞/mlに調整した。ミリポアプレート(MAFB NOB)を、1%無脂肪ドライミルクを水に溶かしたものでコーティングし、4℃で一晩保存した。該プレートを0.2mlの結合緩衝液で3回洗浄した。25マイクロリットルの緩衝液だけをウェルに添加した(非特異的結合)。濃度を固定して、125I−抗PSMA抗体を全てのウェルに容積25μlで添加した。濃度を変化させて、非標識抗体をウェルに容積25μlで添加した。結合緩衝液中の25μlのLNCaP細胞(2X10細胞/ml)を全てのウェルに添加した。該プレートを2時間200RPMで、シェーカー上で4℃でインキュベートした。インキュベート終了後、ミリポアプレートを0.2mlの冷洗浄緩衝液(24mM Tris、pH7.2、500mM NaCl、2.7mM KCl、2mMグルコース、1mM CaCl、1mM MgCl、0.1%BSA)で3回洗浄した。フィルターを除去して、ガンマカウンターで計測した。平衡結合の評価は、単一の部位結合パラメータを用いて、Prismソフトウェア(San Diego, CA)で行った。アイソタイプ対照抗体を陰性対照として用いた125I−2A10に対する競合結合の結果を図11Aに示し、125I−7F12に対する競合結合の結果を図11Bに示す。その結果から、非標識7F12抗体を添加することにより、標識2A10のLNCaP細胞に対する結合が阻害され、非標識2A10抗体を添加することにより、標識7F12のLNCaP細胞に対する結合が阻害されることがわかる。これにより、2A10抗PSMA抗体と7F12抗PSMA抗体は、同じ、もしくは非常に類似したPSMA上のエピトープに結合することが示された。
実施例6:抗PSMAモノクローナル抗体の内在化
Hum−Zap内在化アッセイを用いて、抗PSMA HuMAbsを、PSMA発現前立腺癌細胞に内在化する能力について調べた。ヒトIgGがトキシンサポリンに結合するためのアフィニティーで、ヒト一次抗体が二次抗体に結合することによって内在化することをHum−Zap試験で調べた。
PSMA発現前立腺癌細胞株LNCaPを2.5x10細胞/ウェルで100μlウェルに、一晩もしくは翌日2時間蒔いた。抗PSMA抗体2A10または7F12のいずれかをウェルに、開始濃度30nM、1:3の連続希釈で滴定した。PSMAに対して非特異的なアイソタイプ対照抗体を陰性対照として用いた。Hum−Zap(Advanced Targeting Systems, IT-22-25)を、濃度11nMで添加し、プレートを48時間インキュベートした。次いで該プレートを1.0μCiのH−チミジンを用いて24時間パルスし、回収し、トップカウントシンチレーションカウンター(Top Count Scintillation Counter)(Packard
Instruments)で読み取った。得られた結果を図12に示す。該抗PSMA抗体2A10は、H−チミジンをPSMA発現LNCap前立腺癌細胞に組み込むことに依存する抗体濃度を示す。このデータは、抗PSMA抗体2A10が前立腺癌細胞株に内在化することを示すものである。
実施例7:ディファレンシャル・スキャニング熱量測定法による抗PSMAモノクローナル抗体の熱安定性
抗PSMAモノクローナル抗体2A10の熱安定性を、抗体の融解温度での熱量測定によって、7F12抗体と比較した。
融解温度の熱量測定(Calorimetric measurements of melting temperature)(登録商標))を、自動サンプラー(MicroCal LLC, Northampton, MA, USA)と組み合わせたVP-Capillary
DSCディファレンシャル・スキャニング熱量測定器の台上で行った。サンプル細胞の体積は0.144mLである。グリコシル化形態および脱グリコシル形態の抗体の変性データを、濃度2.3μM、温度30℃〜95℃、速度1℃/分でサンプルを加熱することによって得た。タンパク質サンプルが、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.4に存在していた。参照細胞においても同じ緩衝液を用いて、モル熱容量を比較した。観察されたサーモグラムを、ベースライン修正し、ソフトウェアOriginバージョン7.0を用いて、2ステップモデルを基に分析されたデータに正規化した。クローン2A10は、T:71.43℃であり、クローン7F12で認められた温度63.05℃と比較してより高い熱安定性を示した。
実施例8:タキソテール(登録商標)と7F12抗体の組み合わせを用いた、in vivo腫瘍移植による治療
雄CB17.SCIDマウスにおいて増殖したLNCaPヒト前立腺癌腫異種移植において、抗PSMA、7F12抗体とタキソテール(登録商標)(ドセタキセル)の抗腫瘍効果を調べた。
高レベルのPSMAを発現するLNCaP前立腺癌細胞を、ATCC(Cat#CRL−1740)から取得し、ATCCの指示に従い、in vitroで拡大した。Taconicから入手した8週齢の雄CB17.SCIDマウスに、マウス1匹につき2.5x10LNCaP細胞を0.2mlのPBS/マトリゲル(1:1)を右横腹の皮下に移植した。マウス体重を測定し、電子キャリパを用いて、移植3週間目から開始して週2回、腫瘍の体積を測定した。腫瘍体積は、「高さ×幅×長さ」で測定した。180mmの血管新生の認められる腫瘍を持つマウス(該腫瘍の見かけから判定)を、治療群に無作為化し、0日目から体重あたりの投薬を個々に行った。マウスについて、腫瘍の増殖を、投薬開始後60日間モニターし、実験終了の時点で終了した。腫瘍がエンドポイント(1500mm)に達したとき、マウスを安楽死させた。投与の情報を表1にまとめた。タキソテール(登録商標)を、Q3Dx3、尾の静脈に静脈内投与した(iv)。アイソタイプ対照抗体リツキサン(登録商標)と抗PSMA、7F12抗体を腹腔内投与(ip)した。Q3Dx5、続いてQ7Dx6。
Figure 2008529556
以上の実験の結果を図13〜16に示す。図13A〜13Bおよび図14A〜14Bに示すように、30mg/kgの抗PSMA抗体7F12のみが適度にLNCaP腫瘍の増殖を減少させた。タキソテール(登録商標)は、試験された2つの用量(すなわち、2mg/kgおよび4mg/kg)において、用量依存的な抗腫瘍増殖効果を示した。30mg/kgの抗PSMA抗体7F12と4mg/kgのタキソテール(登録商標)を用いた併用療法では、それぞれの単独治療よりも優れた効果を示し、LNCaP腫瘍増殖の競合的阻害に近い結果となった(例えば、図13A〜13Bおよび図15A〜15B参照)。図13C〜13Dおよび図15C〜15Dに示すように、この併用療法はまたLNCaP腫瘍関連カヘキシーをも治療した。30mg/kgの抗PSMA抗体7F12と2mg/kgのタキソテール(登録商標)の併用療法もまたそれぞれの単独治療よりも優れた効果を示した(例えば、図13A〜13Dおよび図16A〜16D参照)。これまでに述べたデータは、前立腺腫瘍などの腫瘍を治療する際、タキソテール(登録商標)化学療法と併用することによって、抗PSMA抗体7F12が追加的および可能な相乗効果を示すことを明らかにするものである。
実施例8:トキシン結合型抗PSMA抗体の立腺癌細胞株に対する細胞殺傷の評価
この実施例においては、トキシンと組み合わせた抗PSMAモノクローナル抗体を試験して、細胞増殖アッセイにおいて、それがPSMA+前立腺癌細胞株を殺傷する能力を調べた。
抗PSMA HuMAb抗体2A10を、ペプチジル、ヒドラゾンまたはジスルフィドリンカーなどのリンカーを介してトキシンと結合させた。本発明の抗体に結合し得るトキシン化合物の例は、Attorney Docket No.04280/100M629US3で2005年9月26日に出願された出願に記載がある。PSMA発現前立腺癌細胞株LNCaPを2.5x10濃度/ウェルで100μlのウェルに3時間蒔いた。抗PSMA抗体−トキシン結合体を、開始濃度30nMでウェルに添加し、1:3の連続希釈で滴定した。PSMAに対して非特異的なアイソタイプ対照抗体を陰性対照として用いた。プレートを72時間、3時間洗浄するか、連続的に洗浄するかしてインキュベートした。次いで該プレートを1.0μCiのH−チミジンを用いて24時間パルスし、回収し、トップカウントシンチレーションカウンター(Packard Instruments, Meriden, CT)で読み取った。得られた結果を図17A(3時間洗浄)および図17B(連続的に洗浄)に示す該抗PSMA抗体2A10は、H−チミジンをPSMA発現LNCap前立腺癌細胞に組み込むことに依存する抗体濃度を示す。抗PSMA抗体2A10のEC50値は、洗浄アッセイについては0.157nMであり、連続洗浄アッセイについては、0.0643nMであった。このデータは、抗PSMA抗体は、トキシンと結合したとき、が前立腺癌細胞に対して細胞傷害性を持つことを示すものである。
実施例9:in vivo研究
この実施例においては、トキシンに結合した抗PSMAモノクローナル抗体を試験して、in vivoでPSMA+前立腺癌細胞株を殺傷する能力を調べた。
A.in vivo腫瘍異種移植治療
抗PSMA HuMAb、2A10およびアイソタイプ対照抗体のそれぞれについて、緩衝液を、50mM NaClおよび2mM DTPAを含有する0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)に交換して、6mg/mlに濃縮した。次いで、両抗体を25倍モルの過剰の2−イミノチオランを用いて1時間、室温でインキュベートすることによってチオレート化し、その後、Sephadex G−25カラムを用いて、50mM NaClおよび2mM DTPAを含有する0.1Mリン酸緩衝液(pH6.0)にて脱塩した。次いで、チオレート化した抗体を氷上に維持し、導入されたチオール基の数を測定した。これは、チオレート化した抗体のサンプルをジチオジピリジン(DTDP)と反応させることによって行った。280nmでの吸光度を測定し、サンプル中のタンパク質の濃度を測定した。次に、各サンプル(0.9ml)のアリコートを0.1mlのDTDP(5mMエタノール原液中)とともに10分間室温でインキュベートした。緩衝液のみプラスDTDPのブランクサンプルも並行してインキュベートした。324nmでの吸光度を測定し、チオピリジンに対する吸光度計数19800M−1を用いて抗体ごとに存在するチオールの数を定量した。抗PSMAの場合、抗体ごとに5.3のチオールを導入した。アイソタイプ対照の場合は抗体ごとに6.0導入した。
次に、該チオレート化した抗体を3倍モルの過剰の化合物A(化1)と一緒に、チオール基のモル濃度以上でインキュベートした。
Figure 2008529556
化合物A
化合物AのDMSO中5mM原液を、十分なDMSOとともにチオレート化した抗体に添加し、DMSOの最終濃度を10%(v/v)とした。室温で3時間、インキュベートした後、インキュベーション混合物のpHを、トリエタノールアミンを用いて7.0に上げた。次いで、抗体−化合物A結合体を、50mM NaClと5%(v/v)DMSOを含有した0.1Mリン酸緩衝液(pH7.2)を用いて予備的に平衡化した、セファクリル(Sephacryl)S200カラム上でサイズ排除クロマトグラフィーによって精製した。単量体の結合体を含有する画分を回収し、プールした。次いで、窒素の存在下で、10kDa遮断膜を用いて、得られた精製結合体を攪拌細胞中で濃縮した。結合体の濃度と置換基の比率(抗体分子ごとに結合した薬物分子の数)を、既に測定した各波長の抗体と化合物Aの双方の吸光係数を参照して、280nmおよび340nmでの吸光度を用いて測定した。本発明の抗体に結合することができる他のトキシン化合物の例については、共出願である米国特許出願(Attorney Docket No.04280/100M629US3、2005年9月26日出願)に記載がある。
化合物Aと結合した抗PSMA(2A10クローン)の抗腫瘍効果を、雄CB17.SCIDマウス(Taconic,
Germantown, NYから入手可能)において増殖したヒト前立腺癌腫異種移植片LNCaP上で試験した。高レベルのPSMAを発現するLNCaP前立腺癌細胞をATCC(Cat#CRL−1740)から取得し、ATCCの指示に従い、in vitroで拡大した。Taconicから入手した8週齢の雄CB17.SCIDマウスに、マウス1匹につき2.5x10LNCaP細胞を0.2mlのPBS/マトリゲル(1:1)を右横腹の皮下に移植した。マウス体重を測定し、電子キャリパを用いて、移植3週間目から開始して週2回、腫瘍の体積を立体的に測定した。個々の腫瘍体積は、「高さ×幅×長さ」で測定した。適切な大きさの血管新生の認められる腫瘍を持つマウス(該腫瘍の見かけから判定)を、治療群に無作為化し、0日目から体重あたりの投薬を個々に行った。マウスについて、腫瘍の増殖を、投薬開始後60日間モニターし、実験終了の時点で終了した。腫瘍がエンドポイント(1500mm)に達したとき、マウスを安楽死させた。この異種移植の研究の設計を表2にまとめた。
Figure 2008529556
図18に示すように、0.3μモル/kg(サイトトキシン化合物Aのモルを基準とする)の2A10−化合物A結合体は、実際に、3つ全ての確立した小LNCaP腫瘍の完全退行を誘発した。
B.投与量−反応性研究
抗PSMA(2A10)について、緩衝液を、50mM
NaClおよび2mM DTPAを含有する0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)に交換して、5.6mg/mlに濃縮した。次いで、抗体を7.5倍モルの過剰の2−イミノチオランを用いて1時間、室温でインキュベートすることによってチオレート化し、その後、セファデックスG−25カラムを用いて、5mM グリシン、2mM DTPAおよび3%(v/v)グリセロールを含有する50mM リン酸緩衝液(pH6.0)にて脱塩した。チオレート化した抗体を氷上に維持し、導入されたチオール基の数を測定した。これは、チオレート化した抗体のサンプルをジチオジピリジン(DTDP)と反応させることによって行った。280nmでの吸光度を測定し、サンプル中のタンパク質の濃度を測定した。次に、各サンプル(0.9ml)のアリコートを0.1mlのDTDP(5mMエタノール原液中)とともに10分間室温でインキュベートした。緩衝液のみプラスDTDPのブランクサンプルも並行してインキュベートした。324nmでの吸光度を測定し、チオピリジンに対する吸光度計数19800M−1を用いて抗体ごとに存在するチオールの数を定量した。
次に、該チオレート化した抗体を2倍モルの過剰の化合物Aと一緒に、チオール基のモル濃度以上でインキュベートした。化合物A、10%(v/v)DMSO中5mM原液/90%(v/v)エチレングリコールジメチルエーテルを、十分なエチレングリコールジメチルエーテルとともにチオレート化した抗体に添加し、最終濃度を5%(v/v)とした。室温で2時間、インキュベートした後、抗体−化合物A結合体をイオン交換クロマトグラフィーによって精製した。反応混合物を、緩衝液A(50mM HEPES、5mM グリシン、3%(v/v)グリコール、pH6.0)で予備的に平衡化したSP−セファロースカラムに通した。該カラムを緩衝液A,次いで、95%緩衝液A、5%緩衝液B(50mM HEPES、1MのNaCl、5mM グリシン、3%(v/v)のグリセロール、pH7.2)で洗浄した。次に抗体−化合物A結合体を10%緩衝液Bおよび90%緩衝液Aで溶出した。単量体の結合体を含有する画分を回収し、プールし、モノエタノールアミンを添加することによってpHを7.2に調整した。次いで、得られた精製結合体を50mM HEPES、100mM NaCl、5mMグリシン、3%(v/v)グリセロール(pH7.2)中に透析した。次いで、窒素の存在下で、10kDa遮断膜を用いて、得られた精製結合体を攪拌細胞中で濃縮した。結合体の濃度と置換基の比率(抗体分子ごとに結合した薬物分子の数)を、既に測定した各波長の抗体と化合物Aの双方の吸光係数を参照して、280nmおよび340nmでの吸光度を用いて測定した。アイソタイプ対照(抗CD70、2H5)結合体を、イオン交換カラムからの結合物の溶出を15%緩衝液Bおよび85%緩衝液Aで行った以外は同じ方法で調製した。
上記のように、雄CB17.SCIDマウスにおいて成長したLNCaPヒト前立腺癌腫異種移植片を用いて、結合物の有効性と選択性を測定した。この移植片研究のデザインを表3にまとめた。
Figure 2008529556
表3および図19〜20に示すように、0.15μモル/kgの抗PSMA化合物A(図19)は、0.90μモル/kgのアイソタイプ対照−化合物Aより良好な抗腫瘍効果を示した。少なくとも>6xの選択性(図20)を示した。0.90μモル/kgの抗PSMA化合物Aのみの場合は、一時的な毒性(図21〜22)を示し、最大耐量以下であった。したがって、LNCaP腫瘍保有マウス中の抗PSMA化合物Aでは、6倍以上の治療指数が確認された。
C.大腫瘍に対する有効性
抗PSMA(2A10)について、緩衝液を、50mM
NaClおよび2mM DTPAを含有する0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)に交換して、5.6mg/mlに濃縮した。次いで、抗体を9倍モルの過剰の2−イミノチオランを用いて1時間、室温でインキュベートすることによってチオレート化し、その後、セファデックスG−25カラムを用いて、5mMグリシン、2mM DTPAおよび3%(v/v)グリセロールを含有する50mMのリン酸緩衝液(pH6.0)にて脱塩した。チオレート化した抗体を氷上に維持し、導入されたチオール基の数を測定した。これは、チオレート化した抗体のサンプルをジチオジピリジン(DTDP)と反応させることによって行った。280nmでの吸光度を測定し、サンプル中のタンパク質の濃度を測定した。次に、各サンプル(0.9ml)のアリコートを0.1mlのDTDP(5mMエタノール原液中)とともに10分間室温でインキュベートした。緩衝液のみプラスDTDPのブランクサンプルも並行してインキュベートした。324nmでの吸光度を測定し、チオピリジンに対する吸光度計数19800M−1を用いて抗体ごとに存在するチオールの数を定量した。
次いで、該チオレート化した抗体を2倍モルの過剰の化合物Aと一緒に、チオール基のモル濃度以上でインキュベートした。化合物A、10%(v/v)DMSO中5mM原液/90%(v/v)エチレングリコールジメチルエーテルを、十分なエチレングリコールジメチルエーテルとともにチオレート化した抗体に添加し、最終濃度を5%(v/v)とした。室温で2時間インキュベートした後、抗体−化合物A結合体をイオン交換クロマトグラフィーによって精製した。反応混合物を、緩衝液A(50mM HEPES、5mM グリシン、3%(v/v)グリコール、pH6.0)で予備的に平衡化したSP−セファロースカラムに通した。該カラムを緩衝液A,次いで、95%緩衝液A、5%緩衝液B(50mM HEPES、1MのNaCl、5mM グリシン、3%(v/v)のグリセロール、pH7.2)で洗浄し、次に抗体−化合物A結合体を10%緩衝液Bおよび90%緩衝液Aで溶出した。単量体の結合体を含有する画分を回収し、プールし、モノエタノールアミンを添加することによってpHを7.2に調整した。次いで、得られた精製結合体を50mM HEPES、100mM NaCl、5mMグリシン、3%(v/v)グリセロール(pH7.2)中に透析した。次いで、窒素の存在下で、10kDa遮断膜を用いて、得られた精製結合体を攪拌細胞中で濃縮した。結合体の濃度と置換基の比率(抗体分子ごとに結合した薬物分子の数)を、既に測定した各波長の抗体と化合物Aの双方の吸光係数を参照して、280nmおよび340nmでの吸光度を用いて測定した。アイソタイプ対照(抗CD70、2H5)結合体を、イオン交換カラムからの結合体の溶出を15%緩衝液Bおよび85%緩衝液Aで行った以外は同じ方法で調製した。
上記のように、雄CB17.SCIDマウスにおいて成長したLNCaPヒト前立腺癌腫異種移植片を用いて、結合物の有効性と選択性を測定した。この移植片研究のデザインを表4および5にまとめた。
Figure 2008529556
表4および図23に示すように、低用量0.15μモル/kgの抗PSMA化合物Aを単回投与することによって、平均サイズ240mmの確立された大きなLNCaP腫瘍の成長を大いに阻害した。対照的に0.15μモル/kgのアイソタイプ対照−化合物Aでは、最小の抗腫瘍効果しか示されなかった。表5および図24に示すように、0.30μモル/kgの抗PSMA化合物Aを単回投与することによって、退行を誘発し、平均サイズ430mmの非常に大きなLNCaP腫瘍の成長を大いに阻害した。
Figure 2008529556
本明細書において、述べられるまたは言及される特許出願、特許、公開公報、および他の公開されている文献のそれぞれは、個々の特許出願、特許、公開公報、および他の公開されている文献が特別に、かつ個別に引用によって援用されるのと同程度に、その全体を引用によってここに援用する。
本発明は、具体的態様によって記載されるが、本発明および付属の請求の範囲の真の精神および範囲から離れることなく、種々の変更を行うことができ、均等物に置き換えることもできることが、当業者には明らかである。さらに、多くの改良を行って、特定の状況、材料、物質の組成物、方法ステップもしくはステップを、目的とする本発明の精神および範囲に適用することもできる。このような改良はすべて、付属の請求の範囲内に入るものと意図している。.
図1Aは、1C3ヒトモノクローナル抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列(配列番号:33)およびアミノ酸配列(配列番号:1)を示す図である。CDR1(配列番号:9)、CDR2(配列番号:13)およびCDR3(配列番号:17)領域を線で表し、V、DおよびJ生殖系列起源を示している。 図1Bは、1C3ヒトモノクローナル抗体の軽鎖可変領域のヌクレオチド配列(配列番号:37)およびアミノ酸配列(配列番号:5)を示す図である。CDR1(配列番号:21)、CDR2(配列番号:25)およびCDR3(配列番号:29)領域を線で表し、VおよびJ生殖系列起源を示している。 図2Aは、2A10ヒトモノクローナル抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列(配列番号:34)およびアミノ酸配列(配列番号:2)を示す図である。CDR1(配列番号:10)、CDR2(配列番号:14)およびCDR3(配列番号:18)領域を線で表し、VおよびJ生殖系列起源を示している。 図2Bは、2A10ヒトモノクローナル抗体の軽鎖可変領域のヌクレオチド配列(配列番号:38)およびアミノ酸配列(配列番号:6)を示す図である。CDR1(配列番号:22)、CDR2(配列番号:26)およびCDR3(配列番号:30)領域を線で表し、VおよびJ生殖系列起源を示している。 図3Aは、2F5ヒトモノクローナル抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列(配列番号:35)およびアミノ酸配列(配列番号:3)を示す図である。CDR1(配列番号:11)、CDR2(配列番号:15)およびCDR3(配列番号:19)領域を線で表し、VおよびJ生殖系列起源を示している。 図3Bは、2F5ヒトモノクローナル抗体の軽鎖可変領域のヌクレオチド配列(配列番号:39)およびアミノ酸配列(配列番号:7)を示す図である。CDR1(配列番号:23)、CDR2(配列番号:27)およびCDR3(配列番号:31)領域を線で表し、VおよびJ生殖系列起源を示している。 図4Aは、2C6ヒトモノクローナル抗体の重鎖可変領域のヌクレオチド配列(配列番号:36)およびアミノ酸配列(配列番号:4)を示す図である。CDR1(配列番号:12)、CDR2(配列番号:16)およびCDR3(配列番号:20)領域を線で表し、VおよびJ生殖系列起源を示している。 図4Bは、2C6ヒトモノクローナル抗体の軽鎖可変領域のヌクレオチド配列(配列番号:40)およびアミノ酸配列(配列番号:8)を示す図である。CDR1(配列番号:24)、CDR2(配列番号:28)およびCDR3(配列番号:32)領域を線で表し、VおよびJ生殖系列起源を示している。 図5は、1C3(配列番号:1)の重鎖可変領域のアミノ酸配列と、ヒト生殖系列V3−30.3アミノ酸配列(配列番号:41)およびJH6b生殖系列(配列番号:45)との配列比較を示す図である。 図6は、2A10(配列番号:2)、2F5(配列番号:3)および2C6(配列番号:4)の重鎖可変領域のアミノ酸配列と、ヒト生殖系列V5−51アミノ酸配列(配列番号:42)との配列比較を示す図である。 図7は、1C3(配列番号:5)、2A10(配列番号:6)および2F5(配列番号:7の残基1〜107)の軽鎖可変領域のアミノ酸配列と、ヒト生殖系列VL18アミノ酸配列(配列番号:43)およびJK4生殖系列(配列番号:46)との配列比較を示す図である。 図8は、2C6(配列番号:8)の軽鎖可変領域のアミノ酸配列と、ヒト生殖系列VL6アミノ酸配列(配列番号:44)およびJK3生殖系列(配列番号:47)との配列比較を示す図である。 図9は、ヒトPSMAに対するヒトモノクローナル抗体2F5、2A10および2C6がPSMA発現LNCaP細胞と結合することを示すフローサイトメトリー実験の結果を示す図である。 図10は、ヒトPSMAに対するヒトモノクローナル抗体がLNCaP細胞から精製されたPSMAと特異的に結合することを示すELISA実験の結果を示す図である。 図11A〜11Bは、ヒトPSMAに対するヒトモノクローナル抗体2A10および7F12がPSMA発現LNCaP前立腺癌細胞との結合と競合することを示す抗体結合競合研究の結果を示す図である。図11は、125I−2A10と冷7F12抗体との競合を示す図である。図11Bは、125I−7F12と冷2A10抗体との競合を示す図である。 図12A〜12Bは、ヒトPSMAに対するヒトモノクローナル抗体2A10が、PSMA発現LNCaP前立腺癌細胞に入ることを、Hチミジン放出アッセイによって示す内在化実験の結果を示す図である。図12Aは、抗体を導入する前に2時間LNCaP細胞を蒔いた結果を示す図である。図12Bは、抗体を導入する前に一晩LNCaP細胞を蒔いた結果を示す図である。 図13A〜13Bは、抗PSMA 7F12抗体、アイソタイプ対照抗体リツキサン、タキソテール(2mg/kg)、タキソテール(4mg/kg)、抗PSMA 7F12抗体とタキソテール(2mg/kg)との組み合わせ、抗PSMA 7F12抗体とタキソテール(4mg/kg)との組み合わせ、アイソタイプ対照抗体リツキサンとタキソテール(2mg/kg)との組み合わせ、アイソタイプ対照抗体リツキサンとタキソテール(4mg/kg)との組み合わせ、またはPBSのいずれかによって処置したマウスについて、LNCaP腫瘍異種移植片増殖曲線の平均値および中央値を示すグラフである。図13C〜13Dは、抗PSMA 7F12抗体、アイソタイプ対照抗体リツキサン、タキソテール(2mg/kg)、タキソテール(4mg/kg)、抗PSMA 7F12抗体とタキソテール(2mg/kg)との組み合わせ、抗PSMA 7F12抗体とタキソテール(4mg/kg)との組み合わせ、アイソタイプ対照抗体リツキサンとタキソテール(2mg/kg)との組み合わせ、アイソタイプ対照抗体リツキサンとタキソテール(4mg/kg)との組み合わせ、またはPBSのいずれかによって処置したマウスについての、LNCaP腫瘍保有マウスの体重変化の平均値および中央値を示すグラフである。 図14A〜14Bは、抗PSMA 7F12抗体、アイソタイプ対照抗体リツキサン、またはPBSのいずれかによって処置したマウスについてのLNCaP腫瘍異種移植片増殖曲線の平均値および中央値を示すグラフである。図14C〜14Dは、抗PSMA 7F12抗体、アイソタイプ対照抗体リツキサン、またはPBSのいずれかによって処置したマウスについての、LNCaP腫瘍保有マウスの体重変化の平均値および中央値を示すグラフである。 図15A〜15Bは、タキソテール(4mg/kg)、アイソタイプ対照抗体リツキサンとタキソテール(4mg/kg)との組み合わせ、抗PSMA 7F12抗体とタキソテール(2mg/kg)との組み合わせ、またはPBSのいずれかによって処置したマウスについてのLNCaP腫瘍異種移植片増殖曲線の平均値および中央値を示すグラフである。図15C〜15Dは、タキソテール(4mg/kg)、アイソタイプ対照抗体リツキサンとタキソテール(4mg/kg)との組み合わせ、抗PSMA 7F12抗体とタキソテール(4mg/kg)との組み合わせ、またはPBSのいずれかによって処置したマウスについての、LNCaP腫瘍保有マウスの体重変化の平均値および中央値を示すグラフである。 図16A〜16Bは、タキソテール(2mg/kg)、抗PSMA 7F12抗体とタキソテール(2mg/kg)との組み合わせ、アイソタイプ対照抗体リツキサンとタキソテール(2mg/kg)との組み合わせ、またはPBSのいずれかによって処置したマウスについてのLNCaP腫瘍異種移植片増殖曲線の平均値および中央値を示すグラフである。図16C〜16Dは、タキソテール(2mg/kg)、抗PSMA 7F12抗体とタキソテール(2mg/kg)との組み合わせ、アイソタイプ対照抗体リツキサンとタキソテール(2mg/kg)との組み合わせ、またはPBSのいずれかによって処置したマウスについての、LNCaP腫瘍保有マウスの体重変化の平均値および中央値を示すグラフである。 図17A〜17Bは、トキシン結合型ヒトモノクローナル抗PSMA抗体が前立腺癌細胞に対する細胞傷害性を示すことを証明する細胞増殖アッセイの結果を示す図である。(A)3時間の洗浄による。(B)連続洗浄による。 図18は、アイソタイプ対照抗体−薬結合体、αPSMA抗体薬複合体、または結合体緩衝液のみ(賦形剤)を投与したマウスについて、腫瘍体積の経時変化を示すグラフである。 図19は、種々の量のαPSMA抗体−薬結合体、または結合体緩衝液のみ(賦形剤)を投与したマウスについて、腫瘍体積の経時変化を示すグラフである。 図20は、種々の量のアイソタイプ対照抗体−薬結合体または結合体緩衝液のみ(賦形剤)を投与したマウスについて、腫瘍体積の経時変化を示すグラフである。 図21は、種々の量のアイソタイプ対照抗体−薬結合体または結合体緩衝液のみ(賦形剤)を投与したマウスについて、体重の経時変化を示すグラフである。 図22は、種々の量のαPSMA抗体−薬結合体または結合体緩衝液のみ(賦形剤)を投与したマウスについて、体重の経時変化を示すグラフである。 図23は、最初の平均腫瘍体積が240mmの腫瘍について、アイソタイプ対照抗体−薬結合体、αPSMA抗体−薬結合体、または結合体緩衝液のみ(賦形剤)を投与したマウスについて、腫瘍体積の経時変化を示すグラフである。 図24は、最初の平均腫瘍体積が430mmの腫瘍について、αPSMA抗体−薬結合体、または結合体緩衝液のみ(賦形剤)を投与したマウスについて、腫瘍体積の経時変化を示すグラフである。

Claims (55)

  1. 前立腺特異的膜抗原(PSMA)に特異的に結合する、単離されたヒトモノクローナル抗体であって、融解温度が67℃以上である、抗体。
  2. 融解温度が69℃以上である、請求項1に記載の抗体。
  3. 融解温度が71℃以上である、請求項1に記載の抗体。
  4. ヒトV3−30.3遺伝子の生成物である、またはそれに由来する重鎖可変領域を含み、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、該抗体は、PSMAに特異的に結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分。
  5. a)ヒトV3−30.3遺伝子の重鎖可変領域;
    b)ヒトVk L18遺伝子の軽鎖可変領域を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、該抗体は、PSMAに特異的に結合する。
  6. ヒトVk L18遺伝子の生成物である、またはそれに由来する軽鎖可変領域を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、該抗体は、PSMAに特異的に結合する。
  7. a)ヒトV5−51遺伝子の重鎖可変領域;
    b)ヒトVk L18遺伝子の軽鎖可変領域を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、該抗体は、PSMAに特異的に結合する。
  8. a)配列番号:9、10、11および12からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR1;
    b)配列番号:13、14、15および16からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR2;
    c)配列番号:17、18、19および20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域CDR3;
    d)配列番号:21、22、23および24からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR1;
    e)配列番号:25、26、27および28からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR2;
    f)配列番号:29、30、31および32からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、該抗体は、PSMAに特異的に結合する。
  9. a)配列番号:9を含む重鎖可変領域CDR1;
    b)配列番号:13を含む重鎖可変領域CDR2;
    c)配列番号:17を含む重鎖可変領域CDR3;
    d)配列番号:21を含む軽鎖可変領域CDR1;
    e)配列番号:25を含む軽鎖可変領域CDR2;および
    f)配列番号:29を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む、請求項8に記載の抗体。
  10. a)配列番号:10を含む重鎖可変領域CDR1;
    b)配列番号:14を含む重鎖可変領域CDR2;
    c)配列番号:18を含む重鎖可変領域CDR3;
    d)配列番号:22を含む軽鎖可変領域CDR1;
    e)配列番号:26を含む軽鎖可変領域CDR2;および
    f)配列番号:30を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む、請求項8に記載の抗体。
  11. a)配列番号:11を含む重鎖可変領域CDR1;
    b)配列番号:15を含む重鎖可変領域CDR2;
    c)配列番号:19を含む重鎖可変領域CDR3;
    d)配列番号:23を含む軽鎖可変領域CDR1;
    e)配列番号:27を含む軽鎖可変領域CDR2;および
    f)配列番号:31を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む、請求項8に記載の抗体。
  12. a)配列番号:12を含む重鎖可変領域CDR1;
    b)配列番号:16を含む重鎖可変領域CDR2;
    c)配列番号:20を含む重鎖可変領域CDR3;
    d)配列番号:24を含む軽鎖可変領域CDR1;
    e)配列番号:28を含む軽鎖可変領域CDR2;および
    f)配列番号:32を含む軽鎖可変領域CDR3、を含む、請求項8に記載の抗体。
  13. a)配列番号:1、2、3および4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および
    b)配列番号:5、6、7および8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、を含む、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合部分であって、該抗体は、PSMAに特異的に結合する。
  14. a)配列番号:1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および
    b)配列番号:5のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、を含む、請求項13に記載の抗体。
  15. a)配列番号:2のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および
    b)配列番号:6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、を含む、請求項13に記載の抗体。
  16. a)配列番号:3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および
    b)配列番号:7のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、を含む、請求項13に記載の抗体。
  17. a)配列番号:4のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;および
    b)配列番号:8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、を含む、請求項13に記載の抗体。
  18. 請求項1乃至17のいずれか1項に記載の抗体、またはその抗原結合部分、および薬学的に許容できる担体を含む組成物。
  19. 治療薬に結合した、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の抗体、またはその抗原結合部分を含む免疫複合体。
  20. 請求項19に記載の免疫複合体および薬学的に許容できる担体を含む組成物。
  21. 前記治療薬は、サイトトキシンである、請求項19に記載の免疫複合体。
  22. 請求項21に記載の免疫複合体および薬学的に許容できる担体を含む組成物。
  23. 前記治療薬は放射性同位体である、請求項19に記載の免疫複合体。
  24. 請求項23に記載の免疫複合体および薬学的に許容できる担体を含む組成物。
  25. 前記抗体またはその抗原結合部分とは異なる結合特異性を有する第2の機能性部分に結合した、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の抗体、またはその抗原結合部分を含む二重特異性分子。
  26. 請求項25に記載の二重特異性分子および薬学的に許容できる担体を含む組成物。
  27. 請求項1乃至17のいずれか1項に記載の抗体、またはその抗原結合部分をコードする単離された核酸分子。
  28. 請求項27に記載の核酸分子を含む発現ベクター。
  29. 請求項28に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  30. ヒトイムノグロブリン重鎖および軽鎖トランスジーンを含むトランスジェニックマウスであって、該マウスが請求項1乃至17のいずれか1項に記載の抗体を発現する、トランスジェニックマウス。
  31. 請求項30に記載のマウスから調製したハイブリドーマであって、前記抗体を作製するハイブリドーマ。
  32. 被験体において腫瘍の増殖を阻害する方法であって、該腫瘍の細胞または血管内皮細胞が腫瘍発現PSMAに近接し、腫瘍の増殖を阻害するのに有効な量の請求項1乃至17のいずれか1項に記載の抗体、またはその抗原結合部分を、被験体に投与することを含む方法。
  33. 前記腫瘍が前立腺癌の腫瘍である、請求項32に記載の方法。
  34. 前記腫瘍が結腸、腎臓、直腸、尿路上皮、乳房、膀胱、肝臓、膵臓からなる群から選択される癌またはメラノーマである、請求項32に記載の方法。
  35. 抗PSMA抗体を調製する方法であって、該方法は、
    (a)(i)配列番号:9、10、11および12からなる群から選択されるCDR1配列、配列番号:13、14、15および16からなる群から選択されるCDR2配列、および配列番号:17、18、19および20からなる群から選択されるCDR3配列を含む重鎖可変領域の抗体配列、または(ii)配列番号:21、22、23および24からなる群から選択されるCDR1配列、配列番号:25、26、27および28からなる群から選択されるCDR2配列、および配列番号:29、30、31および32からなる群から選択されるCDR3配列を含む軽鎖可変領域の抗体配列を提供すること;
    (b)少なくとも1つの可変領域の抗体配列であって、重鎖可変領域の抗体配列および軽鎖可変領域の抗体配列から選択された抗体配列内の、少なくとも1つのアミノ酸残基を変更して、少なくとも1つの変更された抗体配列を生成すること、および
    (c)前記変更された配列をタンパク質として発現させること、を含む方法。
  36. 被験体において腫瘍の増殖を阻止または阻害する方法であって、該腫瘍の細胞または血管内皮細胞がPSMAを発現する腫瘍に近接し、抗PSMA抗体またはその抗原結合部分を、抗腫瘍薬と組み合わせて、ともに腫瘍の増殖を阻止または阻害するのに有効な量を被験体に投与することを含む方法。
  37. 前記抗PSMA抗体またはその抗原結合部分と、前記抗腫瘍薬とを組み合わせて前記被験体へ投与することによって、前記腫瘍の増殖の阻害に対する相乗効果が生じる、請求項36に記載の方法。
  38. 前記抗腫瘍薬は、腫瘍質量の損傷を引き起こし、それによって、より有効な腫瘍の抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を引き起こす、請求項36に記載の方法。
  39. 前記抗PSMA抗体は、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の抗体である、請求項36に記載の方法。
  40. 前記抗PSMA抗体は、7F12抗体である、請求項36に記載の方法。
  41. 前記抗PSMA抗体は、2A10抗体である、請求項36に記載の方法。
  42. 前記腫瘍が前立腺癌腫瘍、請求項36に記載の方法。
  43. 前記腫瘍は、結腸、腎臓、直腸、尿路上皮、乳房、膀胱、肝臓、膵臓からなる群から選択される癌またはメラノーマである、請求項36に記載の方法。
  44. 前記抗腫瘍薬が化学治療薬である、請求項36に記載の方法。
  45. 前記化学治療薬がタキソテール(登録商標)(ドセタキセル)である請求項44に記載の方法。
  46. 前記抗腫瘍薬は、抗血管形成薬である、請求項36に記載の方法。
  47. 前記抗血管形成薬は、アンジオスタチンK1−3、アレステン、aaAT、カンスタチン(Canstatin)、DL−α−ジフルオロメチル−オルニチン、エンドスタチン、フマギリン、ゲニステイン、ミノサイクリン、スタウロスポリン、サリドマイド、およびタムスタチンからなる群から選択される、請求項46に記載の方法。
  48. 前記抗腫瘍薬が免疫調節性の作用物質である、請求項36に記載の方法。
  49. 前記免疫調節性の作用物質は、抗−PD1抗体、抗−CTLA−4抗体、ホスホロチオエートオリゴデオキシリボヌクレオチド(1018 ISS)、GM−CSF遺伝子ワクチン、インターロイキン−2、インターロイキン−7(CYT99 07)、インターロイキン−12、およびインターロイキン−21からなる群から選択される、請求項48に記載の方法。
  50. 被験体において、腫瘍の抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を刺激する方法であって、前記腫瘍の細胞または血管内皮細胞が腫瘍発現PSMAに近接し、該方法は、抗PSMA抗体またはその抗原結合部分を、抗腫瘍薬と組み合わせて、ともに腫瘍の抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を刺激するのに有効な量を被験体に投与することを含む方法。
  51. 被験体において、腫瘍関連カヘキシーを阻害する方法であって、前記腫瘍の細胞または血管内皮細胞が腫瘍発現PSMAに近接し、該方法は、抗PSMA抗体またはその抗原結合部分を、抗腫瘍薬と組み合わせて、ともに被験体において腫瘍関連カヘキシーを阻害するのに有効な量を被験体に投与することを含む方法。
  52. 腫瘍の増殖を阻止または阻害するのに有効な量の抗PSMA抗体および抗腫瘍薬、ならびに薬学的に許容できる担体を含む、組成物。
  53. 腫瘍の抗体依存性細胞傷害性(ADCC)を刺激するのに有効な量の抗PSMA抗体および抗腫瘍薬、ならびに薬学的に許容できる担体を含む、組成物。
  54. 抗PSMA抗体と相乗的に作用することが可能な抗腫瘍薬を同定する方法であって、前記腫瘍の細胞または血管内皮細胞が腫瘍発現PSMAに近接し、該方法は、インジケータ組成物を下記(a)、(b)および(c)と接触させることを含み、
    (a)試験抗腫瘍薬のみ、
    (b)抗PSMA抗体のみ、および
    (c)抗腫瘍薬および抗PSMA抗体の両方;そして
    (a)試験抗腫瘍薬のみ、および(b)抗PSMA抗体のみが腫瘍の増殖を阻止または阻害する能力と、抗腫瘍薬および抗PSMA抗体の両方が腫瘍の増殖を阻止または阻害する能力を比較することを含む方法であって、(a)および(b)をあわせた場合の効果より(c)による腫瘍増殖を阻止または阻害する効果が大きい場合、腫瘍の増殖を阻止または阻害する際抗PSMA抗体と相乗的に作用することが可能な抗腫瘍薬であると同定される方法。
  55. 前記インジケータ組成物が腫瘍のための動物モデルである、請求項54に記載の方法。
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