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JP2008309319A - 鉄道車両用ブレーキライニング及びディスクブレーキ - Google Patents

鉄道車両用ブレーキライニング及びディスクブレーキ Download PDF

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JP2008309319A
JP2008309319A JP2007160549A JP2007160549A JP2008309319A JP 2008309319 A JP2008309319 A JP 2008309319A JP 2007160549 A JP2007160549 A JP 2007160549A JP 2007160549 A JP2007160549 A JP 2007160549A JP 2008309319 A JP2008309319 A JP 2008309319A
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brake lining
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Takanori Kato
孝憲 加藤
Shinichiro Hiramatsu
慎一朗 平松
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

【課題】ブレーキ操作中の熱エネルギーを効果的に分散させる。
【解決手段】摺動面2aより内周側に備えられた締結孔部にて車軸に取付けたディスク体又は車輪にボルト締結されるアルミニウム基複合材製ブレーキディスク2の摺動面2aに、ブレーキキャリパによって押付けられる鉄道車両用ブレーキライニング1である。ブレーキディスク2の摺動面2aに押付けられる摩擦部材1aa,1abと、ブレーキキャリパに取付けられ、摩擦部材1aa,1abを支持する裏板1bを備える。摩擦部材1aa,1abは、ブレーキディスク2の半径方向に2個以上に分割配置され、ブレーキキャリパからブレーキライニング1に作用する押付け荷重が、前記摩擦部材1aa,1abの、外周側に比べて内周側の方が大きくなるようにした。
【効果】アルミニウム基複合材製ブレーキディスクの最高温度が効果的に低減され、ブレーキディスクの熱変形及びき裂の発生を軽減できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、特にアルミニウム基複合材製ブレーキディスクとブレーキライニングとの摩擦による熱エネルギーを効果的に分散して、両者の耐久性を向上させることが可能な鉄道車両用ブレーキライニングと、このブレーキライニングを備えたディスクブレーキに関するものである。
鉄道車両や自動車及び自動二輪車等の陸上輸送機械においては、車両の高速化や大型化に伴い、その制動装置としてディスクブレーキが多用されるようになってきている。
ディスクブレーキとは、ブレーキディスクとブレーキライニングとの摩擦により制動力を得る装置で、車軸又は車輪に取付けたブレーキディスクの摺動面に、ブレーキキャリパによってブレーキライニングを押付けることで制動力を得、車軸又は車輪の回転を制動して車両の速度を制御する。
その際、ブレーキライニングとブレーキディスクの接触面は、摩擦熱によって温度が上昇するが、より高速或いはより車両重量が大きいほどブレーキ負荷が大きくなって接触面での温度は高くなる傾向にある。
従来型の鉄道車両用ディスクブレーキとして、図4にブレーキライニングおよびブレーキディスクを示す。図4(a)はブレーキライニングを摩擦部材側からみた平面図、図4(b)は(a)図のA−B断面図である。
ブレーキライニング1は、ブレーキディスク2の摺動面2aと接触する摩擦部材1aを、図示省略したリベットによって裏板1bに取付けた構成である。このブレーキライニング1は、ブレーキキャリパ(図示省略)に取付けられている。
ブレーキキャリパは、ブレーキライニング1をブレーキディスク2に押付けて制動力を得るための装置であり、油圧式、空圧式などがある。ブレーキキャリパからブレーキライニング1に負荷される押付け力は、取付け部の構造上、ブレーキライニング1の全体に作用せず、ある特定の部分に集中して作用する。例えば油圧式キャリパの場合は、図4に示すように押付け荷重の中心位置3が2箇所存在し、空圧式キャリパの場合でもほぼ同じ位置に押付け荷重が負荷される。
前記のように、従来のディスクブレーキでは、その構造のため、ブレーキキャリパからの押付け力がブレーキライニング1の一部分にのみ作用する。このため、ブレーキライニング1とブレーキディスク2の接触面では、接触面圧の高い部分と低い部分の差が大きくなり、ブレーキキャリパからの押付け力が作用する直下では、ブレーキライニング1とブレーキディスク2の接触面圧が高くなる傾向にある。
接触面圧の高い部分では、摩擦による熱エネルギーがより多く発生するため、特に新幹線などの高速車両においては、ブレーキ操作中の温度上昇が過大となる可能性がある。接触面圧が高くなって温度が上昇すると、ブレーキディスク2の熱変形、き裂の発生、ブレーキライニング1とブレーキディスク2の摩耗量増加などの原因となり得る。従って、ブレーキライニング1とブレーキディスク2の耐久性を確保するためには、ブレーキ操作中の両者の摩擦による熱エネルギーを効率良く分散することが重要である。
特に近年、車両の高速化とともに様々なブレーキディスクが用いられる傾向にある。
例えば特許文献1には、アルミニウム基複合材製のブレーキディスクが開示されている。
特開2002−364686号公報
しかしながら、アルミニウムは熱伝導率が高く、摩擦による熱エネルギーの分布によっては、ブレーキディスクの最高温度が大きく変化するので、従来の鍛鋼製のものより摩擦による熱エネルギーをより効果的に分散する必要がある。
このブレーキディスクとブレーキライニングの耐久性向上を目的として、特許文献2が提案されている。この特許文献2は、摩擦部材を複数個に分割し、ブレーキキャリパからの押付け力を、それぞれの摩擦部材に均等に負荷する構造により、ブレーキライニングとブレーキディスクの接触面圧を低減するものである。
特表平10−507250号公報
しかしながら、この特許文献2の方法では、ブレーキディスクの厚さが厚く熱容量の大きい部分と、厚さが薄く熱容量の小さい部分に、同じ熱エネルギーが与えられることになる。したがって、アルミニウム基複合材製ブレーキディスクのように熱伝導率の高いブレーキディスクでは、熱容量の小さい部分の温度が上昇してしまうことになる。つまり、特許文献2の技術では、アルミニウム基複合材製ブレーキディスクの温度上昇を抑制可能な熱エネルギー分布を必ずしも実現できるものではない。
本発明が解決しようとする問題点は、アルミニウム基複合材製ブレーキディスクの場合、従来の技術では、摩擦による熱エネルギーを効果的に分散して、ブレーキディスクとブレーキライニングの耐久性を向上することが難しいという点である。
本発明の鉄道車両用ブレーキライニングは、
摺動面より内周側に締結孔を備え、当該締結孔部にて車軸に取付けたディスク体又は車輪にボルト締結されるアルミニウム基複合材製ブレーキディスクの前記摺動面に、ブレーキキャリパによって押付けられる鉄道車両用ブレーキライニングであって、
ブレーキディスクの前記摺動面に押付けられる摩擦部材と、
前記ブレーキキャリパに取付けられ、前記摩擦部材を支持する裏板を備え、
前記摩擦部材は、
前記ブレーキディスクの半径方向に2個以上に分割配置され、
ブレーキキャリパからブレーキライニングに作用する押付け荷重が、前記半径方向に分割された摩擦部材の、外周側に比べて内周側の方が大きくなるようにしたことを最も主要な特徴としている。
本発明の鉄道車両用ブレーキライニングは、厚さが厚く熱容量の大きい部分に摩擦による熱エネルギーをより多く与えることにより、ブレーキ操作中の摩擦による熱エネルギーを効果的に分散させることができる。
本発明の鉄道車両用ブレーキライニングにおいて、ブレーキキャリパからブレーキライニングに作用する押付け荷重が、ブレーキディスクの半径方向に分割された摩擦部材の、外周側に比べて内周側の方が大きくなるようにするには、
例えばブレーキディスクの摺動面の半径方向長さをT、ブレーキキャリパからブレーキライニングに作用する押付け荷重の中心位置と、ブレーキディスクの摺動面の最内周位置との距離をPとした場合に、P/Tを0.20〜0.47となるように構成すれば良い。
その際、さらに、前記分割された摩擦部材のうち、ブレーキディスクの内周側と相対する位置に配置した摩擦部材の半径方向中央線と、ブレーキディスクの摺動面の最内周位置との距離をMとした場合に、M/Tが0.2〜0.3となるように構成すれば、より効果的に分散させることができる。
本発明の鉄道車両用ブレーキライニングにおいて、前記摩擦部材が、ブレーキディスクの周方向にも2個以上に分割配置されている場合は、摩擦部材の接触面圧が局所的に大きくなるのをさらに効果的に避けることができる。
本発明の鉄道車両用ディスクブレーキは、
摺動面より内周側に締結孔を備え、当該締結孔部にて車軸に取付けたディスク体又は車輪にボルト締結されるアルミニウム基複合材製ブレーキディスクと、
ブレーキキャリパに取付けられた前記本発明の鉄道車両用ブレーキライニングを備えたことを最も主要な特徴としている。
本発明の鉄道車両用ディスクブレーキでは、ブレーキ操作中の摩擦によって発生する熱エネルギーを均等に分散させることができるので、アルミニウム基複合材製ブレーキディスク、ブレーキライニングとも十分な耐久性確保が可能になる。
本発明により、ブレーキ操作中の摩擦によって発生する熱エネルギーが均等に分散して熱伝導率の高いアルミニウム基複合材製ブレーキディスクの最高温度が効果的に低減されるので、ブレーキディスクの熱変形及びき裂の発生を軽減できる。
さらに、ブレーキライニングとブレーキディスクの接触面圧が低減するので、ブレーキライニングとブレーキディスクの摩耗を軽減することが可能となる。
これにより、ブレーキライニングとアルミニウム基複合材製ブレーキディスクの耐久性が向上し、鉄道車両の高速化、大型化に対応することができる。
以下、本発明の着想から課題解決に至るまでの過程と共に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
アルミニウム基複合材のように熱伝導率の高い材料で製作したブレーキディスクでは、熱容量の大きい部分(板厚の厚い部分)に摩擦による熱エネルギーが大きくなるようにすると、ブレーキ操作中のブレーキディスク温度を効果的に下げることが可能である。
特に車輪の側面に取付けるブレーキディスク(側ディスク)の場合、形状の制約から外周部の厚さが薄くなって熱容量が小さくなるので、内周部で熱エネルギーが大きくなるようにするとよい。
また、車軸に取付けたディスク体に締結されるブレーキディスク(軸マウントディスク)のように、形状の制約を受けない場合でも、内周側より外周側の方が回転中の周速が速いので、ブレーキディスクとブレーキライニングの接触面圧が同じ場合、外周部の熱エネルギーの方が大きくなる傾向にある。
以上のことから、外周部に比べて内周部の接触面圧を意図的に大きくすると、ブレーキ中のブレーキディスク温度を低減できると考えられる。但し、特定の部分の熱エネルギーが大きくなり過ぎると、逆に当該特定の部分の温度が上昇し過ぎてしまう。
従って、ある程度熱エネルギーを分散できるように、ブレーキライニングの摩擦部材の配置や、ブレーキキャリパからブレーキライニングに負荷される押付け位置を検討する必要がある。また、ブレーキディスクの熱変形に対して摩擦部材が追従して動くような構造も効果的である。
以上の考え方を基に、ブレーキ操作中のブレーキディスクとブレーキライニングの摩擦による熱エネルギーを評価するために、発明者らは有限要素解析を行った。
有限要素解析では、ブレーキライニングとブレーキディスクを弾性体でモデル化し、ブレーキライニングの背面側から、ブレーキキャリパからの押付け力相当の荷重を与えた。その際、ブレーキライニングに負荷する押付け位置を変化させた。
図1は有限要素解析を行った発明例のブレーキライニングを説明する図で、(a)はブレーキライニングを摩擦部材側からみた平面図、(b)は(a)図のA−B断面図である。
この発明例のブレーキライニング1の構造を、以下のように定義する。
・ブレーキキャリパからの押付け位置
ブレーキディスク2の摺動面2aの半径方向長さをT、ブレーキキャリパからブレーキライニング1に作用する押付け荷重の中心位置3と、ブレーキディスク2の摺動面2aの最内周位置との距離をPとする。
・摩擦部材1aa,1abの配置位置
裏板1bの、ブレーキディスク2の内周側と相対する位置に配置する摩擦部材1aaの半径方向中央線4と、ブレーキディスク2の摺動面2aの最内周位置との距離Mを35mmとした。
また、裏板1bの、ブレーキディスク2の外周側と相対する位置には、前記内周側との相対位置に配置した摩擦部材1aaと、ブレーキディスク2の摺動面2aの半径方向中央線5と線対称となるように、摩擦部材1abを配置した。
・摩擦部材1aa,1abの大きさと個数
摩擦部材1aa,1abの半径方向長さLを50mmとした。また、摩擦部材1aa,1abの半径方向における分割数を2、周方向における分割数は、内周側を5、外周側を7とした。
・摩擦部材1aa,1abの裏板1bへの取付け構造
摩擦部材1aa,1abと裏板1bの間に、ばね部品1c(皿ばね、あるいは半径方向にアーチ型の板ばね)を挿入する。
上記した構造の発明例のブレーキライニング1を、下記表1に示した各種寸法について有限要素解析を行った。また、比較として従来型のブレーキライニングや、摺動面全体にほぼ均等に入熱されるブレーキライニングについても有限要素解析を行った。これらの比較例ではアルミニウム基複合材製のブレーキディスクだけでなく、鍛鋼製のブレーキディスクも対象とした。なお、ブレーキディスクのモデルは、摺動部より内周側でボルト締結する構造のブレーキディスクを想定した。
有限要素解析を行った発明例及び比較例は、共通して新幹線用のブレーキライニング1を対象とし、ブレーキライニング1の長手方向長さは400mm、幅方向長さは130mmとした。ブレーキライニング1を構成する材料は、裏板1bが鉄鋼材料、摩擦部材1a,1aa,1abは銅焼結合金とした。また、ブレーキ条件は、300km/hからの非常ブレーキ相当で、押付け力は20kNとした。
有限要素解析に使用したブレーキディスク2は、アルミニウム基複合材製、鍛鋼製ともに内径が310mm、外径が720mmであり、ブレーキライニング1と接触する摺動面2aの内径は465mm、外径は720mmである。なお、それより内周側はボルト締結するための領域である。ブレーキディスク2の摺動面2aにおける最も厚さが薄い位置(最薄位置)は最外周位置、この最薄位置に対して最も遠くなる位置は摺動面2aの最内周位置であり、両者の距離Tは127.5mmである。
Figure 2008309319
本発明の目的は、ブレーキディスク2とブレーキライニング1の耐久性を向上させることにある。
そこで、発明者らは、有限要素解析で求めた発明例と比較例のブレーキライニング1とブレーキディスク2の接触面圧分布から、摩擦による単位面積あたりの平均的な熱エネルギーを算出し、そのときのブレーキディスク2の最高温度を評価した。またブレーキディスク2とブレーキライニング1の摩耗は、両者の接触面圧と相関があるため、ブレーキ操作中の最大接触面圧を評価した。ブレーキディスク2とブレーキライニング1の耐久性は、ブレーキディスク2の最高温度が低く、最大接触面圧が小さいほど向上する。特に、耐久性に大きく影響するブレーキディスク2の熱変形やき裂の発生を軽減するため、ブレーキディスク2の最高温度を抑制することが重要である。
下記表2に、発明例と比較例のブレーキディスク2の最高温度、最大接触面圧をそれぞれ示す。
Figure 2008309319
表2より、外周側の押付け荷重が大きくなる比較例11、従来型のブレーキライニングである比較例12、さらに摺動面全体にほぼ均等に入熱される比較例13と比べ、発明例はいずれもブレーキディスクの最高温度が低くなって、ブレーキディスクの熱変形やき裂の発生が軽減され、耐久性が向上することが分かる。さらに発明例では、最大接触面圧も従来型のブレーキライニングである比較例12より低く、ブレーキライニングとブレーキディスクの摩耗を軽減することが可能となる。
また表2の比較例14〜19の結果に示されるように、熱伝導率が比較的低い鍛鋼製ブレーキディスクに対しては、発明例と同様に押付け位置を変化させてもブレーキディスクの最高温度に大きく影響しないことが分かる。
図2に、発明例1〜5(●印)および比較例11(○印)について、ブレーキディスクの最高温度とP/Tの関係を示す。アルミニウム基複合材は温度が400℃を超えると強度が大きく低下するため、ブレーキディスクの耐久性を確保するのが難しくなる。したがって、図2より、P/Tが0.20〜0.47の場合に、ブレーキディスクの最高温度は400℃より低減できること、特にP/Tが0.3〜0.4でその効果が大きくなることが分かる。
本発明は、発明者らが行った上記の有限要素解析より得られた結果に基づいてなされたもので、摺動面2aの内周側に締結孔を備え、熱伝導率の高いアルミニウム基複合材を用いたブレーキディスク2に押し付ける本発明のブレーキライニング1は以下のように構成される。
すなわち、本発明の鉄道車両用ブレーキライニング1は、前記ブレーキディスク2の摺動面2aに押付ける摩擦部材と、ブレーキキャリパに取付けられて前記摩擦部材を支持する裏板1bを備えている。
そして、本発明では、このうちの摩擦部材を、前記ブレーキディスク2の半径方向に、2個以上に分割配置し、ブレーキキャリパからブレーキライニング1に作用する押付け荷重が、前記分割した摩擦部材の、外周側に比べて内周側の方が大きくなるようにしている。
具体的には、ブレーキディスク2の半径方向に、2個以上に分割配置する摩擦部材は、例えば以下のように構成し、配置する。
・ブレーキキャリパからの押付け位置
ブレーキディスク2の摺動面2aの半径方向長さTと、ブレーキキャリパからブレーキライニング1に作用する押付け荷重の中心位置3と、ブレーキディスク2の摺動面2aの最内周位置との距離Pとの比P/Tを0.20〜0.47、好ましくは0.3〜0.4とする。
P/Tがこの範囲内となるようにすることにより、ブレーキディスク2の熱容量の大きい内周側に確実に熱エネルギーが与えられ、ブレーキディスク2の温度を低減することができる。
この押付け荷重の中心位置3は、周方向に2箇所以上あることが好ましく、その場合、同じ半径上の均等位置にあることが好ましい。
また、押付け荷重の中心位置3は、図3に示すように、半径方向に複数個あってもよい。この場合の押付け荷重の中心位置3と、ブレーキディスク2の摺動面2aの最内周位置との距離Pは、次のように定義される。
例えば押付け荷重の中心位置3がk個ある場合(図3ではk=6)、各中心位置とブレーキディスク2の摺動面2aの最内周位置との距離をPi、各中心位置3での荷重の値をQiとすると、P、Pi、Qiの間には次の数式1の関係が成立つ。
Figure 2008309319
したがって、上記数式1で求めたPを、Tで除したP/Tが0.5より小さければ、外周側に比べ内周側の方が押付け荷重は大きくなり、ブレーキディスク2の温度を低減することが可能となる。
・摩擦部材の配置
熱容量の大きいブレーキディスク2の摺動面2aの内周側に大きな熱エネルギーを与えるためには、内周側に配置する摩擦部材の位置を考慮する必要がある。このとき内周側に配置する摩擦部材1aaの半径方向中央線4と、ブレーキディスク2の摺動面2aの最内周位置との距離をMとすると、確実にブレーキディスク2の摺動面2aの内周側に熱エネルギーを強く与えるには、M/Tを0.2〜0.3とするのが好ましい。
すなわち、M/Tが0.2未満になると、極端に内周側に大きな熱エネルギーが与えられ過ぎて、ブレーキディスク2の内周側の温度が上昇し過ぎてしまうおそれがある。また、M/Tが0.3を超えると、ブレーキディスク2の摺動面2aの内周側に熱エネルギーを強く与えることができなくなる可能性があるからである。
この場合、ブレーキディスク2の摺動面2aの半径方向中央線に対して対称となるように外周側の摩擦部材1abを配置するのがよい。また、周方向にも複数個配置するのが好ましい。
・摩擦部材の大きさ
摩擦部材1aa,1abが小さ過ぎると、ブレーキディスク2との接触領域を十分に確保できないので、摩擦部材1aa,1abの半径方向長さLは40mm以上とすることが好ましい。また、摩擦部材1aa,1abの周方向長さは、半径方向長さLとほぼ等しくなるようにするのが好ましい。
・摩擦部材を裏板に取付ける構造
摩擦部材1aa,1abがブレーキディスク2の変形に追従して動くためには、摩擦部材1aa,1abと裏板1bの間に皿ばねあるいは半径方向にアーチ型の板ばね等のばね部品1cを挿入するのが良い。また摩擦部材1aa,1abが十分に動くためには、そのばね定数を6〜12kN/mmとするのが好ましい。ばね定数が6kN/mmより小さいと、ばねの耐久性を十分に確保できず、12kN/mmより大きいと摩擦部材が十分に動くことができない。さらに好ましくは、ばね定数を8〜10kN/mmとするのがよい。
なお、本発明のブレーキライニング1の摩擦部材1aa,1abには、一般的に使用される焼結系材料、樹脂系材料が適用できる。
また、前記ブレーキディスク2と、ブレーキキャリパに取付けられた本発明のブレーキライニング1を備えた本発明の鉄道車両用ディスクブレーキに適用するブレーキキャリパは、油圧式、空圧式など様々な方式が適用可能である。
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
以上の本発明は、鉄道車両用のブレーキディスクに限らず、自動車や自動二輪車等のブレーキディスクであっても適用できる。
本発明のブレーキライニングの一実施形態を示す図で、(a)はブレーキライニングを摩擦部材側からみた平面図、(b)は(a)図のA−B断面図である。 図1に示した本発明例のブレーキライニングについて、有限要素解析で得られたブレーキディスクの最高温度とP/Tの関係を表した図である。 本発明のブレーキライニングの他の実施形態を示す図1(a)と同様の図で、押付け荷重が半径方向に複数ある場合の説明図である。 従来型の鉄道車両用ディスクブレーキを構成するブレーキライニングおよびブレーキディスクを示した図で、(a)はブレーキライニングを摩擦部材側からみた平面図、(b)は(a)図のA−B断面図である。
符号の説明
1 ブレーキライニング
1a,1aa,1ab 摩擦部材
1b 裏板
1c ばね部材
2 ブレーキディスク
2a 摺動面
3 押付け荷重の中心位置
4 内周側摩擦部材の半径方向中央線

Claims (5)

  1. 摺動面より内周側に締結孔を備え、当該締結孔部にて車軸に取付けたディスク体又は車輪にボルト締結されるアルミニウム基複合材製ブレーキディスクの前記摺動面に、ブレーキキャリパによって押付けられる鉄道車両用ブレーキライニングであって、
    ブレーキディスクの前記摺動面に押付けられる摩擦部材と、
    前記ブレーキキャリパに取付けられ、前記摩擦部材を支持する裏板を備え、
    前記摩擦部材は、
    前記ブレーキディスクの半径方向に2個以上に分割配置され、
    ブレーキキャリパからブレーキライニングに作用する押付け荷重が、前記半径方向に分割された摩擦部材の、外周側に比べて内周側の方が大きくなるようにしたことを特徴とする鉄道車両用ブレーキライニング。
  2. 前記ブレーキディスクの摺動面の半径方向長さをT、
    ブレーキキャリパからブレーキライニングに作用する押付け荷重の中心位置と、ブレーキディスクの摺動面の最内周位置との距離をPとした場合に、
    P/Tが0.20〜0.47となるように構成することで、ブレーキキャリパからブレーキライニングに作用する押付け荷重が、前記半径方向に分割された摩擦部材の、外周側に比べて内周側の方が大きくなるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用ブレーキライニング。
  3. 前記分割された摩擦部材のうち、ブレーキディスクの内周側と相対する位置に配置した摩擦部材の半径方向中央線と、ブレーキディスクの摺動面の最内周位置との距離をMとした場合に、
    M/Tが0.2〜0.3となるように構成したことを特徴とする請求項2に記載の鉄道車両用ブレーキライニング。
  4. 前記摩擦部材は、
    ブレーキディスクの周方向にも2個以上に分割配置されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の鉄道車両用ブレーキライニング。
  5. 摺動面より内周側に締結孔を備え、当該締結孔部にて車軸に取付けたディスク体又は車輪にボルト締結されるアルミニウム基複合材製ブレーキディスクと、
    ブレーキキャリパに取付けられた請求項1〜4の何れかに記載のブレーキライニングを備えたことを特徴とする鉄道車両用ディスクブレーキ。
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