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JP2006275230A - 鉄道車両用のブレーキライニング及びディスクブレーキ - Google Patents

鉄道車両用のブレーキライニング及びディスクブレーキ Download PDF

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JP2006275230A JP2005098348A JP2005098348A JP2006275230A JP 2006275230 A JP2006275230 A JP 2006275230A JP 2005098348 A JP2005098348 A JP 2005098348A JP 2005098348 A JP2005098348 A JP 2005098348A JP 2006275230 A JP2006275230 A JP 2006275230A
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Takanori Kato
孝憲 加藤
Taizo Makino
泰三 牧野
Tokuji Sakaguchi
篤司 坂口
Masanori Nakae
正典 中江
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Abstract


【課題】 制動中のブレーキライニングとブレーキディスクの接触面積を確保し、局所的な接触面圧を低下させること。
【解決手段】 鉄道車輪の両側面、あるいは、車軸に取付けたブレーキディスクの摺動面に、両側から押付けられるブレーキライニング1である。ブレーキディスク15と接触する摩擦部材2と、この摩擦部材2を取付けるための裏板3とからなる。摩擦部材2は複数個に分割され、分割された各摩擦部材2は、裏板3に対して少なくともブレーキディスク15の略半径方向には回転可能で、かつ、各摩擦部材2に押付け力が負荷される位置が、各摩擦部材2に内接する円と同心円で、直径が内接円の直径の0.27〜0.67の領域内にある。
【効果】 制動中のブレーキライニングとブレーキディスクの接触面積を十分に確保でき、局所的な接触面圧の増加が低減できて、過度な温度上昇の抑制と耐摩耗性を向上が可能になる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、主として鉄道車両用のディスクブレーキについて、制動の負荷によってブレーキディスクが変形した状態であっても、ブレーキディスクの摺動面とブレーキライニングの摩擦部材との接触領域を十分に確保することで、ブレーキディスクおよびブレーキライニングの制動負荷中における温度上昇を抑制するとともに、ブレーキディスクおよびブレーキライニングの耐摩耗性を向上することが可能なブレーキライニングおよびディスクブレーキに関する。
鉄道車両や自動車及び自動二輪車等の陸上輸送機械の制動装置として、ブロックブレーキ、ドラムブレーキ、ディスクブレーキなどが使用されている。そして、近年では、車両の高速化や大型化に伴い、ディスクブレーキが多用されるようになってきている。
ディスクブレーキとは、ブレーキディスクとブレーキライニングとの摩擦により制動力を得る装置であり、通常、ボルトにより車軸または車輪に取付けたブレーキディスクの摺動面に、ブレーキキャリパによってブレーキライニングを押付けることにより制動力を得、車軸または車輪の回転を制動して車両の速度を制御する。
図4は従来型の鉄道車両用ブレーキライニングの形状を示し、(a)はブレーキライニングの半径方向−周方向平面図、(b)は断面を示す半径方向−軸方向断面図である。同図(a),(b)に示すように、従来のブレーキライニング11は、ブレーキディスクと接触する摩擦部材12を、裏板13に取付けて構成されている。取付けには、リベット14などが適用され、摩擦部材12と裏板13が比較的堅固に固定されている。
図5は従来型の鉄道車両用ディスクブレーキについて、制動中のブレーキディスク15とブレーキライニング11の接触状態を模式的に示す半径方向−軸方向断面図である。同図に示すように、ブレーキディスク15は高速の状態から制動が負荷されると、摺動面15aの近傍が温度上昇し、凸型に変形する。
ブレーキディスクがこのように変形すると、凸部の頂点近傍でのみブレーキライニングとブレーキディスクが接触することになって接触面積が減少し、接触面圧が局所的に増加する。
接触面積が減少して接触面圧が局所的に増加すると、少ない領域に制動エネルギーが投入されるので、制動中におけるブレーキライニングとブレーキディスクの過度な温度上昇を招く結果となる。また、ブレーキライニングとブレーキディスクの摩耗は、両者の接触領域で起こるため、接触面積の減少は摩耗による寿命を短くする可能性がある。
従って、特に新幹線のような高速車両では、温度上昇の抑制、耐摩耗性向上の観点から、ブレーキライニングとブレーキディスクの制動中における接触面積を十分に確保し、局所的な接触面圧を低下させることが重要である。
ブレーキライニングとブレーキディスクを均一に接触させるための技術として、多数の摩擦部材を設けた部分ライニング−ディスクブレーキのためのブレーキライニングが、特許文献1で開示されている。
特表平10−507250号公報
この特許文献1で開示されたブレーキライニングは、ブレーキライニングに多数の摩擦部材を設けること、各摩擦部材が球面の受け座によって旋回できること、などの特徴を有している。またブレーキキャリパからの押付け荷重が、各摩擦部材に均等に負荷されるような構造を有している。
これらの特徴により、特許文献1で開示されたブレーキライニングを備えたディスクブレーキでは、従来のブレーキライニングを備えたディスクブレーキに比べて、ブレーキライニングとブレーキディスクを均一に接触させることが可能となっている。
さらに、特許文献1で開示されたブレーキライニングでは、摩擦部材1個の接触面圧に注目したとき、球面座の効果により、ブレーキディスクの回転によって生じる周方向の接線力が作用しても、ブレーキキャリパからの押付け力と接線力の合力が常に各摩擦部材の中心に作用するので、ブレーキディスクから受ける接触面圧が各摩擦部材の面に均一に作用し、局所的に接触面圧が大きくなるのを抑制できるとしている。
しかしながら、実際は、摩擦部材は変形体であるため、ブレーキディスクとの接触面において微小な変形を生じる。このような変形のために、特許文献1で開示されたブレーキライニングのように、前記押付け力と接線力の合力が摩擦部材の中心に作用すると、図6に示したように、その周りがブレーキディスク15から浮き上がるようになって、接触面圧は摩擦部材の面に均一には作用せず、特定の部分で局所的に接触面圧が高くなってしまう。また、摩擦部材への負荷位置が中心に寄り過ぎる場合も同じ傾向となる。
また、前記のようなブレーキライニングは、従来のブレーキライニングに比べ、構造が複雑となるので、部品数も多くなる。その結果、重量、コストが増加してしまう。
本発明が解決しようとする問題点は、従来の鉄道車両用のブレーキライニングやブレーキディスクでは、簡易な構成で、制動中におけるブレーキライニングとブレーキディスクの接触面積を十分に確保し、局所的な接触面圧を低下させることができないという点である。
本発明の課題は、鉄道車両用ディスクブレーキにおいて、ブレーキライニングとブレーキディスクの過度な温度上昇を抑制する、あるいは、耐摩耗性を向上させるために、制動中のブレーキライニングとブレーキディスクの接触面積を増加させ、局所的に接触面圧が増加するのを抑制する点にある。
上記の課題に対して、本発明者らは有限要素解析によって、ディスクブレーキの構造を検討し、以下のような本発明を成立させた。
すなわち、本発明の鉄道車両用ディスクブレーキのブレーキライニングは、
制動中のブレーキライニングとブレーキディスクの接触面積を確保するため、
ブレーキキャリパに取付けられ、鉄道車輪の両側面、あるいは、車軸に取付けたブレーキディスクの摺動面に、両側から押付けられるブレーキライニングにおいて、
前記ブレーキディスクと接触する摩擦部材と、
この摩擦部材を取付けるための裏板とからなり、
前記摩擦部材は複数個に分割され、分割された各摩擦部材は、前記裏板に対して少なくとも前記ブレーキディスクの略半径方向には回転可能であることを特徴としている。
加えて、本発明の鉄道車両用ディスクブレーキのブレーキライニングは、
ブレーキディスクの回転による接線力が作用しても、ある特定の部分に負荷が集中して局所的に接触面圧が高くなるのを防ぐために、
各摩擦部材へ押付け力が負荷される位置が、各摩擦部材に内接する円と同心円で、直径が内接円の直径の0.27倍〜0.67倍の領域内にあることを特徴としている。
また、本発明の鉄道車両用ディスクブレーキのブレーキライニングにおいて、
前記複数個に分割した各摩擦部材と裏板との間に、ばね機構をもつ部材を挿入すれば、各摩擦部材が裏板に対して略半径方向の回転のみならず、その他の方向の回転や、板厚方向への変位も可能となって、制動中のブレーキライニングとブレーキディスクの接触面積を、より増加させることができる。この場合、ばね機構をもつ部材としては、比較的省スペースな皿ばねを用いることが望ましい。
また、本発明の鉄道車両用ディスクブレーキのブレーキライニングにおいて、
前記ばね機構をもつ部材の荷重−変位関係の傾き、すなわちばね定数が、その平均値をkmean、摩擦部材の個数をnとしたとき、n・kmeanが40〜180kN/mmとなるような値に設定すれば、ブレーキディスクが変形した状態であっても、ブレーキキャリパからの押付け力が各摩擦部材へ可及的均等に負荷されるようになる。
また、新幹線のような高速車両においては、制動中の摩擦により比較的高温となることから、前記n・kmeanの値(40〜180kN/mm)は、少なくとも常温から400℃の範囲内であることが望ましい。
また、前記各摩擦部材と裏板の間に挿入されるばね部材用材料の降伏応力は、使用中常にばねとして機能できる(弾性変形できる)ように、下限値を設定するのが一般的である(このときの降伏応力は、ばねの形状や個数に依存する)。ただし、前記と同様に、高速車両では高温環境下となることから、用いる材料の降伏応力は、少なくとも常温から400℃の範囲内で、常温の降伏応力に対して0.9倍以上とすることが望ましい。
また、本発明の鉄道車両用ディスクブレーキは、
前述の本発明のいずれかのブレーキライニングを有することを主要な特徴としている。
本発明では、制動中におけるブレーキライニングとブレーキディスクの接触面積を十分に確保できて、局所的な接触面圧の増加を低減できるので、過度な温度上昇が抑制でき、耐摩耗性を向上させることが可能である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図1を用いて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示しており、(a)は鉄道車両用ブレーキライニングの半径方向−周方向平面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図、(d)は1個の摩擦部材についてばね部材の位置関係を示したものである。
図1に示すように、本発明のブレーキライニング1は、例えば摩擦部材2が12個に分割されており、これらの各摩擦部材2と裏板3の間には、内径が20mm、外径が40mm、ばね定数が6kN/mmの、同じ皿ばね4を、それぞれ内径側が摩擦部材2と接触するように挿入されている。
このような構成となすことにより、制動中にブレーキディスクが変形しても、皿ばね4が弾性的に変形して、各摩擦部材2が裏板3に対して相対的に、回転および板厚方向への変位が可能となるので、ブレーキライニング1とブレーキディスクとの接触面積を十分に確保できるようになる。
また、図1の例では、摩擦部材2と皿ばね4は、直径20mmの円上(皿ばね4の内径上)で接触しており、ブレーキキャリパからの押付け力がこの部分に負荷される。これは、摩擦部材2に内接する、直径が50mmの円に対して、直径が0.4倍の同心円であるため、ブレーキディスクの回転による接線力が作用しても、局所的に接触面圧が高くなるのを抑制できる。
このように、制動時、局所的に接触面圧が高くなるのを抑制するには、発明者らの前記有限要素解析によれば、前記押付け力が摩擦部材2に負荷される、図1(d)に斜線で示す領域が、摩擦部材2の内接円(図1の例では直径が50mmの円)に対して、直径が0.27倍以上で、0.67倍以下の同心円の範囲内にあることが必要である。より好ましくは、直径が0.33倍以上で、0.58倍以下の同心円の範囲内である。
このような範囲であれば、摩擦部材2が受ける力は、中央や端に寄り過ぎないので、図2に示すように、中央で局所的に接触したり、摩擦部材2が回転して端の一部で局所的に接触したりするのを抑制できる。その結果、局所的に接触面圧が上昇するのを抑制することが可能となる。
各摩擦部材2への負荷が、摩擦部材2に内接する円に対し、直径が0.27倍より小さい同心円上にあると、負荷が摩擦部材2の中心に集まり過ぎるため、摩擦部材2の接触面が変形し、摩擦部材2の中心付近で局所的に面圧が高くなってしまう。一方、各摩擦部材2への負荷が、摩擦部材2に内接する円に対し、直径が0.67倍より大きい同心円上にあると、図3に示すように、負荷が摩擦部材2の外周側端部に集まるため、接線力によって摩擦部材2の接触面が傾き、ブレーキディスク15と先に接触する側で局所的に面圧が高くなってしまうからである。
図1の例では、皿ばね4のばね定数は、1つ6kN/mmであることから、これらの皿ばね4の平均ばね定数kmeanと、摩擦部材2の個数nの乗数n・kmeanは72kN/mmである。そのため、ブレーキディスクが変形しても、ブレーキキャリパからの押付け力が各摩擦部材2に比較的均等に負荷され、接触面積の減少、接触面圧の増加を抑制することが可能である。
前記n・kmeanは、発明者らの前記有限要素解析によれば、40kN/mm以上、180kN/mm以下が好ましく、より好ましくは60kN/mm以上、120kN/mm以下である。n・kmeanが40kN/mmより小さいと、押付け力が負荷されたときに皿ばね4が潰されてしまって、ある特定の摩擦部材2への負荷が増加し、押付け力を均等に負荷することができなくなる可能性がある。一方、n・kmeanが180kN/mmより大きいと、皿ばね4が十分に変形できず、各摩擦部材2に押付け力が均等に負荷されなくなるからである。
より均一な押付け力を各摩擦部材2に与えるためには、n・kmeanが40〜180kN/mmの範囲内で、個々の皿ばねのばね定数を調整させて、個々の摩擦部材が受ける力を一定にするのが好ましい。
なお、本発明に用いるばね機構をもつ部材は、図1のような皿ばね4のみならず、角ばね、竹の子ばね、コイルばね、その他のものを適用しても良い。ただし、皿ばねは、角ばね等に比べると少ないスペースで大きな荷重を負担できる利点がある。
ところで、図1に示した構成のブレーキライニング1を新幹線などの高速車両に適用する場合には、制動中に高温環境となるため、用いるばね部材の特性がある程度高温でも変化しないことが好ましい。従って、ばね定数は、少なくとも常温から400℃の範囲でn・kmeanが40〜180kN/mmであることが好ましく、より好ましくは500℃まで前記の値を満たすことである。
また、ばね部材に用いる材料の降伏応力は、使用中常にばねが弾性変形できるように設計するのが一般的であるが、高温環境下となる場合には、少なくとも常温から400℃の範囲で降伏応力が、常温の降伏応力の0.9倍以上とするのが好ましい。より好ましくは、常温から500℃の範囲で降伏応力が、常温の降伏応力の0.95倍以上とすることである。
このような、高温環境下においてもばねの特性が変化しないようにするには、ばねに用いる材料として、例えば熱間加工用工具鋼を用いると、400℃のばね定数が常温の0.88倍、降伏応力が0.95倍であり、十分にその効果が発揮される。
ところで、ブレーキキャリパからブレーキライニングへの押付け荷重を付与する位置5は、図1(a)に示すように、ブレーキライニング1の重心1Gを通って、ブレーキライニング1の長手方向(図1(a)の紙面左右方向)に平行な直線上にある。
これにより、前記押付け荷重が比較的均等に、各摩擦部材2に付与され、より接触面積を増加させる効果がある。
図1では、摩擦部材2は、12個に分割したものを示しているが、その効果を発揮するためには、6個以上に分割すればよい。また、ブレーキライニング1の長手方向の両端部1a,1bを除いて、前記長手方向と直角の内外周方向には2列に配置したものを示している。
内外周方向には、図1のように、摩擦部材2を2列以上配置するのがよい。これは、先に図5で説明したように、制動中に、ブレーキディスクは半径方向に凸型に変形するため、2列以上配置することにより、内周側と外周側でそれぞれ接触領域を確保でき、接触面積をより増加できるためである。これが1列しか配置していないと、摩擦部材2の内周側、外周側、中央のいずれか1箇所でのみ接触することになり、接触面積が減少する可能性があるからである。
本発明ではブレーキライニング1の長手方向両端部1a,1bに取付ける摩擦部材2の個数は規定しない。これは、ブレーキキャリパに取付ける際の形状の制約条件に関係しており、長手方向両端部1a,1bは十分なスペースが確保できない場合が多いからである。特に内外周方向に2列以上摩擦部材2を配置するのが困難となることから、本発明では規定しないこととした。従って、スペースが確保できれば、両端部1a,1bにおいても十分な個数の摩擦部材2を配置することが好ましいことは言うまでもない。
図1に示した構造は、比較的単純で、部品数も少なく、重量、コストの面で有利である。
なお、摩擦部材2に使用する材料は、一般的に使用される焼結系材料、レジン系材料が好ましい。
以下、ブレーキライニングとブレーキディスクの過度な温度上昇の抑制、耐摩耗性の向上が可能な、ブレーキライニングとブレーキキャリパの構造を検討するため、鉄道車両用ディスクブレーキを対象に有限要素解析を実施した結果について説明する。
有限要素解析は、走行速度が360km/hから非常ブレーキに相当する条件で実施した。対象としたディスクブレーキは新幹線用のディスクブレーキで、ブレーキライニングの寸法は裏板も含めて、長さ(ブレーキディスクの略周方向)が400mm、幅(ブレーキディスクの略半径方向)が140mmである。また、摩擦部材は12個に分割した。
ブレーキライニングとブレーキディスクの接触領域は最大で、半径方向に130mm、周方向にブレーキディスクの80°分である。また、摩擦部材には現在新幹線用ブレーキライニングに使用されている銅−すず−黒鉛系の焼結材料を用いた。
また、ブレーキディスクは同じく新幹線用鍛鋼製ブレーキディスクを用い、ボルトにより車輪側面に取付けられている。
下記表1に検討したブレーキライニング、および、このブレーキライニングを備えたディスクブレーキをまとめて示す。
表1中に示す構造は、ブレーキライニングにおける摩擦部材と裏板間の構造を示しており、各種ばねを挿入した構造についてそれぞれ評価している。また、比較例では従来のように、摩擦部材と裏板をリベットで堅固に結合したものも対象としている。
以下に表1の各項目についての説明を示す。
構造は、ばねを挿入する場合は、ばねの種類を、それ以外のものについては、摩擦部材と裏板の結合方法をそれぞれ表している。接触領域は、摩擦部材とばね部材の接触領域、すなわちブレーキキャリパからの押付け荷重が付与される位置を表しており、摩擦部材に内接する円の直径に対する比率を表している。
ばね定数は、挿入するばね部材の常温での平均ばね定数kmean 20と、摩擦部材の個数nとの乗数、および400℃での平均ばね定数kmean 400と、摩擦部材の個数nとの乗数をそれぞれ示している。なお、表1には示していないが、検討したばね部材はすべて同じばね定数となるようにしている。
σ 400/σ 20は、ばね部材の常温の降伏応力に対する400℃での降伏応力の比率を表している。押付け位置は、ブレーキキャリパから裏板への負荷位置(押付け位置)を表しており、ブレーキライニングの重心を通ってブレーキライニングの長手方向にほぼ平行な直線上にある。
Figure 2006275230
下記表2に、有限要素解析で求めた制動中におけるブレーキディスクとブレーキライニングの接触面圧の最大値と平均値の比を示す。つまり、この値が大きいほど局所的に接触面圧の高い部分があることを示しており、制動中の温度上昇や摩耗量の増加を招く可能性がある。なお、ここで接触面圧の平均値は、押付け荷重を摩擦部材の全接触面積で除した理想的な接触面圧のことである。
Figure 2006275230
表2に示すように、各摩擦部材が独立して動くことのできない従来型の比較例1、2や、摩擦部材とばね部材の接触領域が適正な範囲内にない比較例3、4に比べて、本発明の実施例は、いずれも接触面圧の最大値と平均値の比が小さく、局所的な接触面圧が低減されており、ブレーキディスクとブレーキライニングの過度な温度上昇の抑制及び耐摩耗性の向上が可能であることが分かる。
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範囲内で、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
例えば、摩擦部材に銅−すず−黒鉛系以外の焼結材料やレジン系材料を用いることも可能である。また、ブレーキディスクについても、鍛鋼製ブレーキディスク以外に、鋳鉄製ブレーキディスク、アルミ複合材料製ブレーキディスクにも適用可能である。
以上の本発明は、鉄道車両用に限らず、自動車や自動二輪車等であっても適用できる。
本発明の鉄道車両用ディスクブレーキの一実施形態であるばね構造をもつ本発明のブレーキライニングを示す図で、(a)は半径方向−周方向平面図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は(a)のB−B断面図、(d)は1個の摩擦部材についてばね部材の位置関係を示した図である。 図1に示す本発明のブレーキライニングにおいて負荷位置が適正な場合を説明する断面図。 図1に示す本発明のブレーキライニングにおいて負荷位置が適正範囲を超える場合について説明する断面図。 従来の鉄道車両用ディスクブレーキのブレーキライニングを示す図で、(a)は半径方向−周方向平面図、(b)は(a)のA−A断面図である。 ブレーキ中におけるブレーキディスクと従来型のブレーキライニングとの接触状態を示す模式図である。 特許文献1で開示されたブレーキライニングにおけるブレーキディスクとの接触部について説明する断面図。
符号の説明
1 ブレーキライニング
1a,1b 長手方向の両端部
1G 重心
2 摩擦部材
3 裏板
4 皿ばね
5 押付け荷重の付与位置
15 ブレーキディスク

Claims (7)

  1. ブレーキキャリパに取付けられ、鉄道車輪の両側面、あるいは、車軸に取付けたブレーキディスクの摺動面に、両側から押付けられるブレーキライニングにおいて、
    前記ブレーキディスクと接触する摩擦部材と、
    この摩擦部材を取付けるための裏板とからなり、
    前記摩擦部材は複数個に分割され、分割された各摩擦部材は、前記裏板に対して少なくとも前記ブレーキディスクの略半径方向には回転可能で、かつ、各摩擦部材に押付け力が負荷される位置が、各摩擦部材に内接する円と同心円で、直径が内接円の直径の0.27〜0.67の領域内にあることを特徴とする鉄道車両用ディスクブレーキのブレーキライニング。
  2. 前記各摩擦部材と前記裏板との間にばね機構をもつ部材が挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用ディスクブレーキのブレーキライニング。
  3. 前記ばね機構をもつ部材が皿ばねであることを特徴とする請求項2に記載の鉄道車両用ディスクブレーキのブレーキライニング。
  4. 前記ばね機構をもつ部材のばね定数が、
    使用するすべてのばね機構をもつ部材のばね定数の平均値をkmean、摩擦部材の個数をnとしたとき、n・kmeanが40〜180kN/mmとなるような値であることを特徴とする請求項2又は3に記載の鉄道車両用ディスクブレーキのブレーキライニング。
  5. 前記n・kmeanの値(40〜180kN/mm)は、少なくとも常温から400℃の範囲の値であることを特徴とする請求項4に記載の鉄道車両用ディスクブレーキのブレーキライニング。
  6. 前記ばね機構をもつ部材の降伏応力が、少なくとも常温から400℃の範囲においては、常温の降伏応力の0.9倍以上であることを特徴とする請求項2〜5いずれかに記載の鉄道車両用ディスクブレーキのブレーキライニング。
  7. 車輪の両側面、あるいは車軸に取付けられたブレーキディスクの摺動面に、ブレーキキャリパに取付けられたブレーキライニングを両側から押付けて制動力を得る鉄道車両用ディスクブレーキにおいて、
    請求項1〜6のいずれかに記載のブレーキライニングを有することを特徴とする鉄道車両用ディスクブレーキ。
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