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JP2008308544A - 含フッ素共重合体 - Google Patents

含フッ素共重合体 Download PDF

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JP2008308544A
JP2008308544A JP2007156333A JP2007156333A JP2008308544A JP 2008308544 A JP2008308544 A JP 2008308544A JP 2007156333 A JP2007156333 A JP 2007156333A JP 2007156333 A JP2007156333 A JP 2007156333A JP 2008308544 A JP2008308544 A JP 2008308544A
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Junpei Nomura
順平 野村
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Abstract

【課題】架橋反応性に優れ、架橋ゴム物性に優れる含フッ素共重合体及びその架橋ゴムの提供。
【解決手段】テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン及びCF=CF−O−R(例えば、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)からなる群より選ばれる1種以上の含フッ素モノマーに基づく繰り返し単位(a)、下記一般式[I]で表される化合物(例えば、2−(2−ビニロシキエトキシ)エチルアクリレート)から選ばれる1種以上のモノマーに基づく繰り返し単位(b)、及び必要に応じて、エチレン及びプロピレンからなる群から選ばれる1種以上の炭化水素モノマーに基づく繰り返し単位(c)を含有し、(b)/((a)+(c))=0.0001〜0.5(モル比)であることを特徴とする含フッ素共重合体。
【化1】
Figure 2008308544

【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素共重合体に関する。
含フッ素共重合体として、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン系共重合体等のフッ素樹脂、及びフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、テトラフルオロエチエレン/プロピレン系共重合体、テトラフルオロエチエレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体等のフッ素ゴムが知られている。
これらの含フッ素共重合体は、耐熱性や耐薬品性に優れることから、通常の材料が耐え得ないような過酷な環境に適用されている。しかし、含フッ素共重合体は、反応性に乏しいため架橋反応性や他材料との接着性が充分でなく、従来より反応性官能基を導入し、反応性を向上する方法が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
一般に、ゴム材料では、一部の熱可塑性エラストマーを除いて、架橋反応により適切な物理特性を発現する必要がある。フッ素ゴムにおいても分子の中に架橋反応性の官能基が導入されている。フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体については、反応性官能基としては、ヨウ素原子(例えば、非特許文献1を参照。)や不飽和結合(例えば、特許文献2を参照。)が提案されている。
フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体よりも耐薬品性、特に耐アミン性や耐高温蒸気性に優れるテトラフルオロエチエレン/プロピレン系共重合体(例えば、特許文献3参照。)については、架橋反応性の官能基を含有するモノマーを共重合する方法が提案されたが、その効果は充分ではなかった(例えば、特許文献2参照。)。したがって、ヨウ素原子を含まず、煩雑な工程を経ないで、フッ素ゴム分子中に架橋反応性の官能基を導入する方法の開発が要請されている。
特開平11−116634号公報 特公昭62−56887号公報 特開平6−306242号公報 建元正祥,高分子論文集,49(10),765−783(1992)
本発明の目的は、架橋反応性に優れ、架橋ゴム物性に優れる含フッ素共重合体及びその架橋ゴムを提供することにある。
本発明は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン及びCF=CF−O−R(ここで、Rは炭素原子数1〜8の飽和ペルフルオロアルキル基又はペルフルオロ(アルコキシアルキル)基である。)からなる群より選ばれる1種以上の含フッ素モノマーに基づく繰り返し単位(a)、下記一般式[I](ここで、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素原子数2〜12のアルキレン基又はエーテル性酸素原子を含む炭素原子数2〜12のアルキレン基である。)で表される化合物から選ばれる1種以上のモノマーに基づく繰り返し単位(b)、及び必要に応じて、エチレン及びプロピレンからなる群から選ばれる1種以上の炭化水素モノマーに基づく繰り返し単位(c)を含有し、(b)/((a)+(c))=0.0001〜0.5(モル比)であることを特徴とする含フッ素共重合体を提供する。
Figure 2008308544
また、本発明は、前記含フッ素モノマー、上記一般式[I]で表されるモノマー及び必要に応じて前記炭化水素モノマーをラジカル重合開始剤の存在下にラジカル共重合を実施することを特徴とする前記含フッ素共重合体の製造方法を提供する。
また、本発明は、前記含フッ素共重合体を、有機過酸化物を用いて架橋させてなる架橋ゴムを提供する。
本発明の含フッ素共重合体は架橋反応性に優れ、架橋ゴム物性に優れるフッ素ゴムであり、架橋ゴムは耐熱性、耐薬品性、耐候性等に優れる。
本発明の含フッ素共重合体は、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン及びCF=CF−O−R(ここで、Rは炭素原子数1〜8の飽和ペルフルオロアルキル基又はペルフルオロ(アルコキシアルキル)基である。)からなる群より選ばれる1種以上の含フッ素モノマーに基づく繰り返し単位(a)、上記一般式[I](ここで、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素原子数2〜12のアルキレン基又はエーテル性酸素原子を含む炭素原子数2〜12のアルキレン基である。)で表される化合物から選ばれる1種以上のモノマーに基づく繰り返し単位(b)、及び必要に応じて、エチレン及びプロピレンからなる群から選ばれる1種以上の炭化水素モノマーに基づく繰り返し単位(c)を含有し、(b)/((a)+(c))=0.0001〜0.5(モル比)である。
本発明の含フッ素共重合体において、(c)/(a)=1/99〜70/30(モル比)が好ましく、60/40〜40/60(モル比)がより好ましい。この範囲にあると、含フッ素共重合体は、架橋ゴム物性に優れ、耐熱性及び耐薬品性が良好である。また、前記炭化水素モノマーとしては、プロピレンがより好ましい。
以下、含フッ素モノマーにおいて、テトラフルオロエチレンをTFE、ヘキサフルオロプロピレンをHFP、フッ化ビニリデンをVdF、CF=CF−O−RをPAVE、ペルフルオロ(メチルビニルエーテル)をPMVE、ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)をPPVE、という。また、エチレンをE、プロピレンをP、という。
前記含フッ素共重合体としては、TFE/P系共重合体、TFE/P/VdF系共重合体、VdF/HFP系共重合体、TFE/VdF/HFP系共重合体、TFE/PAVE系共重合体、TFE/PMVE系共重合体、TFE/PPVE系共重合体、TFE/PMVE/PPVE系共重合体、VdF/PAVE系共重合体、E/PAVE系共重合体、E/HFP系共重合体、TFE/E系共重合体等が挙げられる。
TFE/P系共重合体、TFE/P/VdF系共重合体、VdF/HFP系共重合体、TFE/VdF/HFP系共重合体、TFE/PPVE系共重合体、TFE/PMVE/PPVE系共重合体が好ましい。
前記含フッ素共重合体は、以下の共重合組成であることがより好ましい。共重合組成が以下の範囲であると、架橋ゴムは架橋ゴム物性に優れ、耐熱性及び耐薬品性が良好である。
TFE/P系共重合体においてTFEに基づく繰り返し単位/Pに基づく繰り返し単位=40/60〜60/40(モル比)、
TFE/P/VdF系共重合体においてTFEに基づく繰り返し単位/Pに基づく繰り返し単位/VdFに基づく繰り返し単位=40〜60/60〜40/1〜10(モル比)、
VdF/HFP系共重合体においてVdFに基づく繰り返し単位/HFPに基づく繰り返し単位=20/80〜95/5(モル比)、
TFE/VdF/HFP系共重合体においてTFEに基づく繰り返し単位/VdFに基づく繰り返し単位/HFPに基づく繰り返し単位=20〜40/20〜40/20〜40(モル比)、
TFE/PAVE系共重合体においてTFEに基づく繰り返し単位/PAVEに基づく繰り返し単位=40/60〜70/30(モル比)、
TFE/PMVE系共重合体においてTFEに基づく繰り返し単位/PMVEに基づく繰り返し単位=40/60〜80/20(モル比)、
TFE/PPVE系共重合体においてTFEに基づく繰り返し単位/PPVEに基づく繰り返し単位=40/60〜70/30(モル比)、
TFE/PMVE/PPVE系共重合体においてTFEに基づく繰り返し単位/PMVEに基づく繰り返し単位/PPVEに基づく繰り返し単位=40〜70/3〜57/3〜57(モル比)、
VdF/PAVE系共重合体においてVdFに基づく繰り返し単位/PAVEに基づく繰り返し単位=60/40〜95/5、
E/PAVE系共重合体においてEに基づく繰り返し単位/PAVEに基づく繰り返し単位=40/60〜60/40(モル比)、
E/HFP系共重合体においてEに基づく繰り返し単位/HFPに基づく繰り返し単位=40/60〜60/40(モル比)、
TFE/E系共重合体においてTFEに基づく繰り返し単位/Eに基づく繰り返し単位=30/70〜70/30(モル比)。
本発明における一般式[I](ここで、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素原子数1〜12のアルキル基又はエーテル性酸素原子を含む炭素原子数1〜12のアルコキシアルキル基である。)で表される化合物から選ばれる1種以上のモノマーに基づく繰り返し単位(b)の含有量は、(b)/((a)+(c))=0.0001〜0.5(モル比)であり、(b)/((a)+(c))=0.0001〜0.1(モル比)が好ましく、(b)/((a)+(c))=0.001〜0.05(モル比)がより好ましい。この範囲にあると、含フッ素共重合体は架橋反応性に優れ、得られる架橋ゴムは架橋ゴム物性に優れる。
前記一般式[I]で表されるモノマーとしては、Rが炭素原子数2〜4のアルキレン基又はエーテル性酸素原子を含む炭素原子数2〜4のアルキレン基であることが好ましい。特に、Rが水素原子であり、RがCHCH−O−CHCHである、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、及びRがメチル基であり、RがCHCH−O−CHCHである、メタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルが最も好ましい。
本発明の含フッ素共重合体のムーニー粘度は、10〜200が好ましく、30〜150がより好ましい。ムーニー粘度は、分子量の目安であり、大きいと分子量が高く、小さいと分子量が低いことを示す。この範囲にあると含フッ素共重合体の加工性と架橋ゴム物性が良好である。該ムーニー粘度は、実施例に記載のJIS K6300に準じて測定される値である。
本発明の含フッ素共重合体の製造方法としては、乳化重合、溶液重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。また、開始反応には、ラジカル重合開始剤、レドックス重合開始剤、熱、放射線等を用いることができる。分子量及び共重合組成の調整、生産性に優れることから、乳化重合が好ましい。
本発明の含フッ素共重合体の製造方法としては、前記含フッ素モノマー、前記一般式[I]で表されるモノマー及び必要に応じて前記炭化水素モノマーをラジカル重合開始剤の存在下にラジカル共重合を実施する。また、ラジカル共重合を連鎖移動剤の存在下に実施することが好ましい。さらに、前記ラジカル重合が、水性媒体、乳化剤の存在下の乳化重合であることがより好ましい。
水性媒体としては、水、又は水溶性有機溶媒を含有する水が好ましい。水溶性有機溶媒としては、tert−ブタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコール等が挙げられる。tert−ブタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。水性媒体が水溶性有機溶媒を含有する場合には、その含有量は、水の100質量部に対して1〜50質量部が好ましく、3〜20質量部がより好ましい。
乳化剤としては、ラテックスの機械的及び化学的安定性に優れるイオン性乳化剤が好ましく、アニオン性乳化剤がより好ましい。アニオン性乳化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の炭化水素系乳化剤、パーフルオロオクタン酸アンモニウム、パーフルオロヘキサン酸アンモニウム等の含フッ素アルキルカルボン酸塩、一般式F(CFO(CF(X)CFO)CF(X)COOA(式中、Xはフッ素原子又は炭素原子数1〜3のパーフルオロアルキル基、Aは水素原子、アルカリ金属、NH、nは1〜10の整数、mは0又は1〜3の整数である。)で表される含フッ素乳化剤等が好ましい。
F(CFO(CF(X)CFO)CF(X)COOAで表される含フッ素乳化剤としては、F(CFOCFCFOCFCOONH、F(CFO(CF(CF)CFO)CF(CF)COONH、F(CFOCFCFOCFCOONH、F(CFO(CFCFO)CFCOONH、F(CFOCFCFOCFCOONH、F(CFO(CFCFO)CFCOONH、F(CFOCF(CF)CFOCF(CF)COONH、F(CFOCFCFOCFCOONa、F(CFO(CFCFO)CFCOONa、F(CFOCFCFOCFCOONa、F(CFO(CFCFO)CFCOONa等が挙げられる。
乳化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、パーフルオロオクタン酸アンモニウム、F(CFOCFCFOCFCOONH、F(CFOCFCFOCFCOONH、F(CFOCFCFOCFCOONHがより好ましい。
乳化剤の含有量は、水性媒体の100質量部に対して、0.01〜15質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。
乳化重合で使用されるラジカル重合開始剤としては、水溶性開始剤が好ましく、その具体例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸類、ジコハク酸過酸化物、アゾビスイソブチルアミジン二塩酸塩等の有機系開始剤等が挙げられ、好ましくは過硫酸アンモニウム塩等の過硫酸類である。
レドックス重合開始剤系では、ジコハク酸過酸化物、アゾビスイソブチルアミジン二塩酸塩等の有機系開始剤、過硫酸類、過酸化水素等の無機系開始剤、過硫酸類又は過酸化水素とヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤との組合せからなるレドックス系開始剤、さらにこれらに少量の鉄、第一鉄塩、硫酸銀などを共存させた系の無機系開始剤等が挙げられる。好ましくは、過硫酸アンモニウム/ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム/硫酸第一鉄系であり、この系にさらにキレート剤としてエチレンジアミン四酢酸2ナトリウム塩を加えることがより好ましい。重合開始剤の含有量は、共重合に用いるモノマーに対して0.0001〜3質量%が好ましく、0.001〜1質量%がより好ましい。
なお、レドックス系開始剤を用いる場合には、pH緩衝剤を併用することが好ましい。
pH緩衝剤としては、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩類を用いることができ、リン酸水素二ナトリウム2水和物、リン酸水素二ナトリウム12水和物等が挙げられる。
乳化重合は、連鎖移動剤の存在下に実施することが好ましい。連鎖移動剤としては、アルコール類、ハイドロカーボン類、メルカプタン類、クロロフルオロハイドロカーボン類、Rf2(式中、Rf2は炭素原子数1〜16の飽和ポリフルオロアルキレン基を示す。以下、同じ。)、Rf2IBr等を用いることができる。
アルコール類としては、メタノール、エタノール等の1級アルコール類、1−メチルプロパノール、1−メチルブタノール、1−メチルペンタノール、1−メチルヘキサノール、1−メチルヘプタノール、1−エチルヘキサノール、1−プロピルペンタノール等の2級アルコール類等が挙げられる。
ハイドロカーボン類としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。メルカプタン類としては、tert−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン等が挙げられる。クロロフルオロハイドロカーボン類としては、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン等が挙げられる。Rf2としては、1,4−ジヨードパーフルオロブタン等が挙げられる。また、Rf2IBrとしては、1−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブタン等が挙げられる。
重合圧力及び温度等の重合条件は、モノマー組成、ラジカル重合開始剤の分解温度等により適宜選択される。通常、重合圧力は0.1〜20MPaGが好ましく、0.3〜10MPaGがより好ましく、0.3〜5MPaGが最も好ましい。重合温度は0〜100℃が好ましく、10〜90℃がより好ましく、20〜80℃が最も好ましい。
前記乳化重合で得られる含フッ素共重合体のラテックスを公知の方法で凝集させて含フッ素共重合体を単離する。凝集には、金属塩の添加、塩酸等の無機酸の添加、機械的剪断、凍結解凍等の方法が用いられる。
本発明の架橋ゴムは、含フッ素共重合体を、有機過酸化物を用いて架橋させてなる。通常、含フッ素共重合体には、架橋剤としての有機過酸化物、充填剤、架橋助剤等を配合して配合物とし、成形し、加熱架橋される。架橋剤としては、有機過酸化物を用いると、架橋ゴムの生産性、耐熱性、耐薬品性に優れる。
有機過酸化物の具体例としては、ジtert−ブチルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、α,α−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン−3等のジアルキルペルオキシド類、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロキシペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、tert−ブチルペルオキシマレイン酸、tert−ブチルペルオキシソプロピルカーボネート等が挙げられる。ジアルキルペルオキシド類が好ましい。
有機過酸化物の含有量は、含フッ素共重合体の100質量部に対して、0.3〜10質量部が好ましく、0.3〜5質量部がより好ましく、0.5〜3質量部が最も好ましい。この範囲にあると引張り強度と伸びのバランスに優れた架橋ゴムが得られる。
本発明の含フッ素共重合体を架橋する時に、架橋助剤を含有することが好ましい。架橋助剤を含有すると、架橋効率が高い。架橋助剤の具体例としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタクリルイソシアヌレート、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、トリアリルトリメリテート、m−フェニレンジアミンビスマレイミド、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、ジプロパルギルテレフタレート、ジアリルフタレート、N,N′,N′′,N′′′−テトラアリルテレフタールアミド、ポリメチルビニルシロキサン、ポリメチルフェニルビニルシロキサン等のビニル基含有シロキサンオリゴマー等が挙げられる。特に、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレートが好ましく、トリアリルイソシアヌレートがより好ましい。
架橋助剤の含有量は、含フッ素共重合体100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。この範囲にあると強度と伸びのバランスのとれた架橋ゴム物性が得られる。
さらに、本発明の含フッ素共重合体を架橋させる時に、必要に応じて金属酸化物を含有させることも好ましい。金属酸化物を含有させることで、架橋反応を速やかにかつ確実に進行させることができる。金属酸化物の具体例としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化鉛等の2価金属の酸化物が好ましい。金属酸化物の含有量は、含フッ素共重合体の100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。この範囲にあると強度と伸びのバランスに優れる架橋ゴム物性が得られる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、含フッ素共重合体の共重合組成、ムーニー粘度及び架橋ゴムの物性は、以下の方法により測定した。
[含フッ素共重合体の共重合組成]含フッ素共重合体を重水素化テトラヒドロフランに溶解し、13C−NMRを測定して共重合組成を分析した。
[ムーニー粘度]JIS K6300に準じて、直径38.1mm、厚さ5.54mmの大ローターを用い、100℃で、予熱時間を1分、ローター回転時間を4分に設定して測定された粘度を示す。値が大きい程、間接的に高分子量であることを示す。
[架橋ゴム物性]架橋ゴムをJIS K6251、JIS K6253に従い、基本物性を測定した。
[実施例1(含フッ素共重合体A:TFE/P/アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル共重合体)]
撹拌用アンカー翼を備えた内容積3200mLのステンレス鋼製耐圧反応器を脱気した後、1600gのイオン交換水、40gのリン酸水素二ナトリウム12水和物、0.5gの水酸化ナトリウム、97gのtert−ブタノール、9gのラウリル硫酸ナトリウム、2.5gの過硫酸アンモニウムを加えた。さらに予め200gのイオン交換水に0.4gのエチレンジアミン四酢酸2ナトリウム塩・2水和物(以下、EDTAという。)及び0.3gの硫酸第一鉄7水和物を溶解させた水溶液を投入した。ついで、40℃で、TFE/P=85/15(モル比)のモノマー混合ガスを、反応器内圧が2.50MPaGになるように圧入した。アンカー翼を300rpmで回転させ、水酸化ナトリウムでpHを10.0に調整したヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム2水和物(以下、ロンガリットともいう。)の2.5質量%水溶液(以下、ロンガリット2.5質量%水溶液という。)を添加し、重合反応を開始させた。以降、ロンガリット2.5質量%水溶液を高圧ポンプを用いて連続的に添加した。
重合の進行に伴い圧力が低下するので、反応器内圧が2.49MPaGに降下した時点で、TFE/P=56/44(モル比)の混合ガスを自圧で圧入し、反応器内圧を2.51MPaGまで昇圧させた。これを繰り返し、反応器内圧を2.49〜2.51MPaGに保持し、重合反応を続けた。TFE/P混合ガスの添加量が10gになった時点で、あらかじめ調製しておいたアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル/tert−ブタノール=29.4/70.6(質量比)溶液の1mLを反応器内に窒素背圧で圧入した。以降、TFE/P混合ガスの添加量が390gまで、10g毎に該アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルのtert−ブタノール溶液の1mLを添加し、合計39mL圧入した。TFE/P混合ガスの添加量の総量が400gとなった時点で、ロンガリット2.5質量%水溶液の添加を停止し、反応器内温を10℃に冷却し、重合反応を停止し、TFE/P/アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル共重合体ラテックスを得た。ロンガリット2.5質量%水溶液の使用量は15gであった。重合時間は約3.5時間であった。
該ラテックスを塩化カルシウムの5質量%水溶液に添加して、塩析によりラテックスを凝集させ、TFE/P/アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル共重合体を析出させた。該共重合体をろ過し分離した。ついで、該共重合体をイオン交換水により洗浄し、100℃のオーブンで15時間乾燥させ、白色のTFE/P/アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル共重合体の395gを得た。
該共重合体の赤外スペクトルには、1730cm−1付近にアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルのカルボニル基に基づく吸収が確認された。該共重合体(以下、含フッ素共重合体Aという。)の組成は、TFEに基づく繰り返し単位/Pに基づく繰り返し単位/アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルに基づく繰り返し単位=56.1/43.9/0.99(モル比)であった。ムーニー粘度は、125であった。
[実施例2(含フッ素共重合体B:TFE/P/メタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル共重合体)]
アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルの29.4質量%tert−ブタノール溶液に替えて、メタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルの31.4質量%tert−ブタノール溶液を用いる以外は実施例1と同様にして、TFE/P/メタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル共重合体ラテックスを得た。ロンガリット2.5質量%水溶液の使用量は16gであった。重合時間は約3.6時間であった。
実施例1と同様にして、該ラテックスを塩析し、析出した共重合体の洗浄、乾燥により、白色のTFE/P/メタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル共重合体の398gを得た。該共重合体の赤外スペクトルには、約1730cm−1付近にメタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルのカルボニル基に基づく吸収が確認された。該共重合体(以下、含フッ素共重合体Bという。)の組成は、TFEに基づく繰り返し単位/Pに基づく繰り返し単位/メタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルに基づく繰り返し単位=55.6/44.4/0.99(モル比)であった。ムーニー粘度は、135であった。
[実施例3(含フッ素共重合体C:TFE/P/アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル共重合体)]
撹拌用アンカー翼を備えた内容積3200mLのステンレス鋼製耐圧反応器を脱気した後、1600gのイオン交換水、3gの炭酸水素ナトリウム、97gのtert−ブタノール、9gのラウリル硫酸ナトリウムの均一混合液を加えた。ついで、該反応器内溶液を75℃に昇温させ、あらかじめ調製しておいたTFE/P=85/15(モル比)のモノマー混合ガスを、反応器内圧が1.85MPaGになるように圧入した。アンカー翼を300rpmで回転させ、過硫酸アンモニウムの10質量%水溶液を25g添加し、重合反応を開始させた。
重合の進行に伴い圧力が低下するので、反応器内圧が1.84MPaGに降下した時点で、あらかじめ調製しておいたTFE/P=56/44(モル比)の混合ガスを自圧で圧入し、反応器内圧を1.86MPaGまで昇圧させた。これを繰り返し、反応器内圧を1.84〜1.86MPaGに保持し、重合反応を続けた。TFE/P混合ガスの添加量が10gになった時点で、あらかじめ調製しておいたアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルの29.4質量%tert−ブタノール溶液の1mLを反応器内に圧入した。以降、TFE/P混合ガスの添加量が390gまで、10g毎にアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルの29.4質量%tert−ブタノール溶液の1mLを圧入し、合計39回圧入した。TFE/P混合ガスの添加量の総量が400gとなった時点で、反応器内温を10℃に冷却し、重合反応を停止し、TFE/P/p−ヒドロキシ安息香酸ビニル共重合体ラテックスを得た。重合時間は約4時間であった。
実施例1と同様にして塩析、水洗浄、乾燥により白色のTFE/P/アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル共重合体の389gを得た。
該共重合体の赤外スペクトルには、1730cm−1付近にアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルのカルボニル基に基づく吸収が確認された。該共重合体(以下、含フッ素共重合体Cという。)の組成は、TFEに基づく繰り返し単位/Pに基づく繰り返し単位/p−ヒドロキシ安息香酸ビニルに基づく繰り返し単位=55.3/44.7/0.99(モル比)であった。ムーニー粘度は、70であった。
[比較例1(含フッ素共重合体D:TFE/P共重合体)]
アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルを使用しない以外は実施例1と同様にして、TFE/P共重合体のラテックスを得た。ロンガリット2.5質量%水溶液の使用量は14.5gであった。重合時間は約3時間であった。
実施例1と同様にして、該ラテックスを塩析し、析出した共重合体の洗浄、乾燥により、白色のTFE/P共重合体の394gを得た。該共重合体(以下、含フッ素共重合体Dという。)の組成は、TFEに基づく繰り返し単位/Pに基づく繰り返し単位=55.8/44.2(モル比)であった。ムーニー粘度は、130であった。
[実施例4〜6、比較例2]
上記で合成した含フッ素共重合体A〜Dを用いて、表1に示す成分及び配合量に従い、各種の配合材料を2ロールで均一に混合して含フッ素共重合体組成物を製造した。含フッ素共重合体組成物を170℃で20分間プレス架橋した後、オーブン中において200℃で4時間の条件で二次架橋し、架橋ゴムを得た。
得られた架橋ゴムの基本物性を測定した結果を表1に示す。表中、M100は、100%伸張時のモジュラスを表す。また、各配合成分の名称は、以下の物質を表す。MTカーボン:カーボンブラック、TAIC:トリアリルイソシアヌレート(日本化成社製)、パーカドックス14:α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)−ジイソプロピルベンゼン(化薬アクゾ社製)、キョウワマグ#150:酸化マグネシウム(協和化学工業社製)、カルビット:水酸化カルシウム(近江化学工業社製)。
Figure 2008308544
一般式[I]で表されるモノマーとしてアクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル又はメタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルを共重合して得た含フッ素共重合体A〜Cを使用した実施例4〜6の含フッ素共重合体組成物は、いずれも架橋反応性に優れ、優れた架橋ゴム物性を示した。一方、一般式[I]で表されるモノマーに基づく繰り返し単位を含有しない含フッ素共重合体Dから得た比較例2の含フッ素共重合体組成物は、引張り強度、M100及び硬度がいずれも低く、架橋ゴム物性及び架橋反応性が不充分であった。
本発明の含フッ素共重合体及びそれから得られた組成物は、架橋反応性に優れ、機械特性、耐熱性、耐薬品性に優れる架橋ゴムを与える。得られた架橋ゴムは、O−リング、シート、ガスケット、オイルシール、ダイヤフラム、V−リング等の材料適する。また、耐熱性耐薬品性シール材、電線被覆材、半導体装置用シール材、耐蝕性ゴム塗料、耐ウレア系グリース用シール材等の用途にも適用できる。

Claims (6)

  1. テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン及びCF=CF−O−R(ここで、Rは炭素原子数1〜8の飽和ペルフルオロアルキル基又はペルフルオロ(アルコキシアルキル)基である。)からなる群より選ばれる1種以上の含フッ素モノマーに基づく繰り返し単位(a)、下記一般式[I](ここで、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素原子数2〜12のアルキレン基又はエーテル性酸素原子を含む炭素原子数2〜12のアルキレン基である。)で表される化合物から選ばれる1種以上のモノマーに基づく繰り返し単位(b)、及び必要に応じて、エチレン及びプロピレンからなる群から選ばれる1種以上の炭化水素モノマーに基づく繰り返し単位(c)を含有し、(b)/((a)+(c))=0.0001〜0.5(モル比)であることを特徴とする含フッ素共重合体。
    Figure 2008308544
  2. 前記一般式[I]で表されるモノマーが、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル又はメタクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルである請求項1に記載の含フッ素共重合体。
  3. 前記繰り返し単位(c)を含有し、(c)/(a)=1/99〜70/30(モル比)である請求項1又は2に記載の含フッ素共重合体。
  4. 前記繰り返し単位(c)を含有し、前記含フッ素モノマーがテトラフルオロエチレンであり、前記炭化水素モノマーがプロピレンであり、(c)/(a)=40/60〜60/40(モル比)である請求項1又は2に記載の含フッ素共重合体。
  5. 前記含フッ素モノマー、前記一般式[I]で表されるモノマー及び必要に応じて前記炭化水素モノマーをラジカル重合開始剤の存在下にラジカル共重合を実施することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の含フッ素共重合体の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の含フッ素共重合体を、有機過酸化物を用いて架橋させてなる架橋ゴム。
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