JP2008305950A - 半導体装置の製造方法および半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】短チャネル特性を劣化させること無しに、トランジスタの閾値電圧を低下させることができる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】NMOS領域(またはPMOS領域)の半導体基板101に対して、窒素(またはハロゲン元素)を導入する。その後、熱処理を施すことにより、NMOS領域(またはPMOS領域)の半導体基板101上にゲート絶縁膜107N,107Pを形成する。
【選択図】 図2
【解決手段】NMOS領域(またはPMOS領域)の半導体基板101に対して、窒素(またはハロゲン元素)を導入する。その後、熱処理を施すことにより、NMOS領域(またはPMOS領域)の半導体基板101上にゲート絶縁膜107N,107Pを形成する。
【選択図】 図2
Description
この発明は、半導体装置の製造方法および半導体装置に係る発明であり、特に、MOSトランジスタを有する半導体装置および当該半導体装置の製造方法に関するものである。
MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタのゲート空乏化は、ゲート絶縁膜の実効的な膜厚を増加させる。このため、トランジスタの性能向上のためには、ゲートの空乏化を抑える構造が望ましい。当該ゲート空乏化を避けるため、メタルゲートトランジスタ構造が提案されている。
しかし、ゲート電極として用いる材質の多くが、1000℃程度以上の高温プロセスを経ると、仕事関数の値が、シリコンバンドギャップの中間付近(いわゆるミッドギャップ)になるという問題がある。このため、ゲート電極形成後にソースドレイン領域の活性化アニールを行う場合には、メタルゲートトランジスタの閾値電圧は、しばしば高性能トランジスタに要求される閾値電圧(たとえば0.3V)よりもかなり高い値となる。なお、ゲート電極形成後に活性領域を形成する工程は、いわゆるゲートファーストプロセスと称される。
たとえば、TiN/HfSiON構造(即ちゲート電極がTiN、ゲート絶縁膜がHfSiON)の場合、成膜直後の仕事関数は5.0eV程度でありP型メタルと言える。しかし、TiNの上にポリシリコンを積層させることにより実用的なゲート電極を作り、ソースドレイン領域を形成し、その活性化のため1050℃のスパイクアニールを加えると、仕事関数は4.6eV程度である。このような仕事関数(=4.6eV程度)を有するものをそのままPMOSトランジスタに使用したとしても、閾値電圧は0.6Vを越える。当該閾値電圧を有するPMOSトランジスタは、少なくとも高い電流値が求められる高性能トランジスタとしては適当ではない。
また、ソースドレイン領域の活性化アニール後に、ゲートポリシリコンを全てシリサイド化するフルシリサイド(FUSI:Fully Silicide)構造も考案されている。しかし、同様の問題が生じる。
すなわち、ゲート電極にNiSiなどを用いたメタルゲートトランジスタも、仕事関数はミッドギャップ付近にくる。このため、NMOSトランジスタ,PMOSトランジスタとも仕事関数が高くなり、実用的な高性能トランジスタとはならない。なお、Ni2SiやNi3Siにすると仕事関数は、数100mV変化する。しかし、それでもこれらのトランジスタは、高性能トランジスタとしては完全に十分とは言えない。
メタルゲートの閾値電圧が実用的レベルよりかなり高くなるという上記問題に対しては、従来カウンタードーピングが採用されてきた。
たとえばNMOSトランジスタであれば、通常チャネル領域シリコンはP型ドープとなる。しかし、カウンタードーピング処理が施されると、チャネル領域表面近くにそれとは逆のN型ドープとなる。これとは逆に、PMOSトランジスタにおけるカウンタードーピング処理が施されると、チャネル領域表面付近はP型ドープとなる。
カウンタードーピングを施すことにより、トランジスタの閾値電圧を下げることができる。さらに、カウンタードーピングを施すことにより、たとえば、NMOSトランジスタのチャネル領域はボロンがドープされるが、その最表面に砒素注入層が形成される。他方、PMOSトランジスタのチャネル領域の最表面にはボロン注入層が形成される。
なお、当該カウンタードーピング処理について記載されている文献として、たとえば非特許文献1が存在する。
Y.Okayama et al、「 Symp. on VLSI tech」、2006年、「Suppression effects of threshold voltage variation with NiFUSI gate electrodefor 45nm node and beyond LSTP and SRAM devices」、pp.118−119
しかし、カウンタードーピングをある程度の濃度で行うと、トランジスタは埋め込みチャネル構造となる。当該構造の場合には、ドレイン側からの空乏層の広がりを抑制し難くなり、その結果短チャネル特性の劣化が顕著となる。実際のところ、カウンタードーピングを施すことにより閾値電圧を200mV以上低下させた場合、ゲート長が小さくなるに連れて、高性能なトランジスタ特性を維持することは困難である。
以上のように、メタルゲートを有するMOSトランジスタで閾値電圧を調整する際に、カウンタードーピング処理により閾値電圧を低下させる。当該場合には、短チャネル特性の劣化(たとえば、短チャネル領域におけるサブスレッショルド係数の増加など)という問題が生じる。
そこで、本発明は、短チャネル特性を劣化させること無しに、トランジスタの閾値電圧を低下させることが可能となる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。さらに、当該半導体装置の製造方法により作成される半導体装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の一実施例によれば、半導体基板に対して窒素(またはハロゲン元素)を導入した後に、熱処理を施すことによりゲート絶縁膜を形成する。
上記一実施例により、半導体基板とゲート絶縁膜との境界付近の窒素(またはハロゲン元素)の濃度は、ゲート絶縁膜の膜厚方向における中心付近の窒素(またはハロゲン元素)の濃度よりも高くなる。当該窒素(またはハロゲン元素)の濃度分布に起因して、短チャネル特性を劣化させること無く、トランジスタの閾値電圧を低下させることができる。
以下、この発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
<実施の形態1>
図1は、後述する本実施の形態に係る半導体装置の製造方法により作成される、半導体装置の構成を示す断面図(フロントエンドプロセス終了時における断面図)である。ここで、図1の素子分離膜102より左側は、NMOSトランジスタN100が形成されるNMOS領域である。他方、図1の素子分離膜102より右側は、PMOSトランジスタP100が形成されるPMOS領域である。
図1は、後述する本実施の形態に係る半導体装置の製造方法により作成される、半導体装置の構成を示す断面図(フロントエンドプロセス終了時における断面図)である。ここで、図1の素子分離膜102より左側は、NMOSトランジスタN100が形成されるNMOS領域である。他方、図1の素子分離膜102より右側は、PMOSトランジスタP100が形成されるPMOS領域である。
NMOSトランジスタN100は、半導体基板101上に形成されたゲート絶縁膜107Nと、ゲート絶縁膜107N上に形成されたゲート電極(108N,109N)とを備える。他方、PMOSトランジスタP100は、半導体基板101上に形成されたゲート絶縁膜107Pと、ゲート絶縁膜107P上に形成されたゲート電極(108P,109P)とを備える。
図1に示す構成において、ゲート電極(108P,109P)の底部およびゲート電極(108N,109N)の底部は、金属層(もしくは金属珪化物層)108P、108Nで構成されている。
また、ゲート絶縁膜107Pは、ハロゲン元素(たとえばフッ素)を含んでいる。なお、当該ゲート絶縁膜107Pには窒素が含まれていても良いが、後述する本発明の効果の観点からは、特に当該ゲート絶縁膜107Pに窒素が含有されている必要がない。ここで、当該ゲート絶縁膜107P中におけるフッ素濃度分布を図2に示す。
図2は、本実施の形態に係る製造方法により作成された半導体装置に対するSIMS(二次イオン質量分析法)測定結果である。図2では、ゲート絶縁膜107Pおよびそのすぐ下の半導体基板101中のフッ素濃度分布を示している。
図2に示すように、半導体基板(シリコン基板)101とゲート絶縁膜107Pとの境界付近のハロゲン元素(フッ素)の濃度は、ゲート絶縁膜107Pの膜厚方向における中心付近のハロゲン元素(フッ素)の濃度よりも高い。より具体的には、ゲート絶縁膜107Pにおけるフッ素濃度は、半導体基板101との境界付近で高く、ゲート絶縁膜107P上に形成されるゲート電極(より具体的には金属層108P)との境界付近に近づくに連れて低くなっている。なお、図2では、左端部(ゲート絶縁膜107Pの最表面)の値が極めて高くなっているが、これは、SIMSにおける測定誤差であり、無視すべきである。
一方、ゲート絶縁膜107Nには、少なくとも窒素が含まれている。ここで、当該ゲート絶縁膜107N中に含有される窒素濃度分布は、図2で示した分布傾向と同様である。半導体基板(シリコン基板)101とゲート絶縁膜107Nとの境界付近の窒素の濃度は、ゲート絶縁膜107Nの膜厚方向における中心付近の窒素の濃度よりも高い(本発明に係る濃度分布)。より具体的には、ゲート絶縁膜107Nにおける窒素濃度は、半導体基板101との境界付近で高く、ゲート絶縁膜107N上に形成されるゲート電極(より具体的には金属層108N)との境界付近に近づくに連れて低くなっている。
当該本発明に係る濃度分布は、次の第一の濃度分布の場合や次の第二の濃度分布の場合と比較して、MOSトランジスタの閾値電圧をより効果的に低下させることができる。当該事項は、発明者による実験結果により確認することができた。
ここで、第一の濃度分布とは、フッ素または窒素の濃度分布が、ゲート絶縁膜107P,107N内で一様であるケースである。また、第二の濃度分布は、フッ素または窒素の濃度分布が、ゲート絶縁膜107P,107Nとゲート電極108P,108Nとの境界付近で高く、ゲート絶縁膜107P,107Nと半導体基板101との境界付近に近づくに連れて低くなるケースである。
なお一般的に、ゲート絶縁膜中の電荷が半導体基板付近に存在する場合の方が、ゲート電極付近に存在する場合よりも、閾値電圧変動に与える影響が大きくなることが知られている。たとえば、ナトリウムなどの可動イオンがゲート絶縁膜中に存在すると、閾値電圧が変動してしまうという問題が過去にはあった。当該問題は、可動イオンの位置が半導体基板側にもゲート電極側にも変わり得えることにより、閾値電圧へ与える影響が変わるために発生していた。当該電荷の位置と閾値電圧との関係が、ゲート絶縁膜107N,107P中に窒素やハロゲン元素が含有されている場合にも成立すると考えられる。つまり、本発明に係る濃度分布の方が第一、二の濃度分布よりも、効率的に閾値電圧を変動させることができるのは、上記事項と関連するものと考えられる。
次に、本実施の形態に係わるCMOS型半導体装置の製造方法を、工程断面図を用いて具体的に説明する。
まず、図3に示すように、PMOSトランジスタ形成領域(以下、PMOS領域と称する)およびNMOSトランジスタ形成領域(以下、NMOS領域と称する)を有する、半導体基板101を用意する。ここで、当該半導体基板101として、たとえばシリコン基板等を採用することができる。
次に、図3に示すように、半導体基板101の表面内に素子分離膜102を形成する。当該素子分離膜102により、PMOS領域とNMOS領域とが、電気的に分離される。ここで、当該素子分離膜102は、たとえば浅溝素子分離(STI:Shallow Trench Isolation)法を実施することにより、作成可能である。
次に、PMOS領域の半導体基板101に対して、Nウエル104を形成する(図3参照)。また、NMOS領域の半導体基板101に対して、Pウエル103を形成する(図3参照)。ここで、上記各ウエル103,104は、以下の方法を施すことにより形成可能である。
たとえば、フォトリソグラフィー技術を実施することにより、半導体基板101上に、PMOS領域に開口部を有するレジストを形成する。その後、当該レジストをマスクとして使用して、P(リン)イオンを打ち込む。これにより、PMOS領域の半導体基板101に対して、Nウエル104を形成することができる。
また、たとえば、別途フォトリソグラフィー技術を実施することにより、半導体基板101上に、NMOS領域に開口部を有するレジストを形成する。その後、当該レジストをマスクとして使用して、BF2イオンを打ち込む。これにより、NMOS領域の半導体基板101に対して、Pウエル103を形成することができる。
次に、半導体基板101を、酸素を含有する雰囲気中に導入し、当該半導体基板101に対して熱処理を施す。これにより、図3に示すように、半導体基板101上に、10nm程度の膜厚の酸化シリコン膜(以下、犠牲酸化膜と称する)201を形成する。当該犠牲酸化膜201は、後述する窒素イオンおよびハロゲン元素(たとえばフッ素イオン)の注入処理の際に半導体基板101等にダメージが与えられることを抑制するカバー膜として機能する。
次に、犠牲酸化膜201を覆うように、半導体基板101に対してレジスト211を塗布する。そして、フォトリソグラフィー技術を施すことにより、NMOS領域が開口するように、当該レジスト211を選択的に除去する。当該レジスト211を選択的に除去した後の様子を、図4に示す。図4に示すように、レジスト211の開口部(選択的に除去した部分)からは、半導体基板101のNMOS領域に形成された犠牲酸化膜201が露出している。
次に、図4に示すように、上記レジスト211をマスクとして使用して、NMOS領域の半導体基板101に対して、窒素イオンを導入する。当該窒素イオンの導入は、たとえば、窒素分子(N2)の濃度が1×1015/cm2程度で、イオン加速電圧が20keV程度の条件にて、行うことができる。当該窒素イオン導入により、図4に示すように、NMOS領域の半導体基板101の表面付近に、窒素導入領域105が形成される。
なお、当該窒素イオンの導入に際して、PMOS領域は、レジスト211によりマスクされている。したがって、当該PMOS領域には、窒素イオンは導入されない。当該窒素イオン導入後、レジスト211を除去する。
次に、犠牲酸化膜201を覆うように、半導体基板101に対してレジスト221を塗布する。そして、フォトリソグラフィー技術を施すことにより、PMOS領域が開口するように、当該レジスト221を選択的に除去する。当該レジスト221を選択的に除去した後の様子を、図5に示す。図5に示すように、レジスト221の開口部(選択的に除去した部分)からは、半導体基板101のPMOS領域に形成された犠牲酸化膜201が露出している。
次に、図5に示すように、上記レジスト221をマスクとして使用して、PMOS領域の半導体基板101に対して、ハロゲン元素(ここでは、フッ素イオン)を導入する。当該フッ素イオンの導入は、たとえば、フッ素原子の濃度が2×1015/cm2程度で、イオン加速電圧が10keV程度の条件にて、行うことができる。当該フッ素イオン導入により、図5に示すように、PMOS領域の半導体基板101の表面付近に、フッ素導入領域106が形成される。
なお、当該フッ素イオンの導入に際して、NMOS領域は、レジスト221によりマスクされている。したがって、当該NMOS領域には、フッ素イオンは導入されない。
次に、レジスト221を除去する。その後、半導体基板101に対して、1000℃程度の温度で、20秒間程度の熱処理(第二の熱処理と把握できる)を施す。これにより、イオン注入処理による、半導体基板101のダメージを回復させることができる。
なお、半導体基板101および犠牲酸化膜201におけるハロゲン元素(ここでは、フッ素)の含有状況を確認した。その結果を、図6に示す。図6は、上記ダメージ回復後の半導体基板101に対するフッ素濃度の分布の様子を示す測定結果である。当該測定は、二次イオン質量分析法(SIMS)により行った。図6において、縦軸は、フッ素濃度(任意単位a.u.)である、また横軸は、犠牲酸化膜201の表面からの深さ(nm)である。
図6から分かるように、フッ素は、犠牲酸化膜201から半導体基板101に至って、幅広く分布している。しかし、フッ素は、犠牲酸化膜201と半導体基板101との境界付近に集まる傾向にあることに、注目すべきである。なお、犠牲酸化膜201の表面付近において、フッ素濃度が上昇しているように見える。しかし、これは、周知の通り測定誤差であり、実際のフッ素濃度とは異なる。
なお、第二の熱処理を実施することにより基板ダメージを回復した後、半導体基板101および犠牲酸化膜201における窒素の含有状況を確認した。その結果は、NMOS領域における窒素濃度分布は、図6と同じ傾向であった。
その後、半導体基板101に対して、希フッ酸による溶解処理を施す。これにより、図7に示すように、犠牲酸化膜201を除去し、半導体基板101の表面を再び露出させる。
次に、半導体基板101を酸素を含有している雰囲気中に導入し、熱処理(第一の熱処理と把握できる)を施す。これにより、半導体基板101と酸素とが反応し、図8に示すように、半導体基板101上に、ゲート絶縁膜107N,107Pが形成される。ここで、半導体基板101がシリコン基板である場合には、ゲート絶縁膜107N,107Pは、酸化シリコン膜から成る。具体的に、PMOS領域の半導体基板101上にゲート絶縁膜107Pが形成され、NMOS領域の半導体基板101上にゲート絶縁膜107Nが形成される。
また、ゲート絶縁膜107N,107Pの形成は、同時に行っても良く、または別個独立に行っても良い。なお、当該ゲート絶縁膜107Pの形成の際に、ハロゲン元素(フッ素)は、半導体基板101からゲート絶縁膜107Pへと拡散する。他方、当該ゲート絶縁膜107Nの形成の際に、窒素は、半導体基板101からゲート絶縁膜107Nへと拡散する。
ここで、半導体基板101およびゲート絶縁膜107Pにおけるハロゲン元素(ここでは、フッ素)の含有状況を再び確認した。当該測定結果が図2である。上述したように、図2の測定結果は、PMOS領域における、半導体基板101およびゲート絶縁膜107P中に含まれるフッ素の分布を示している。ここで、縦軸は、フッ素濃度(任意単位a.u.)である。また、横軸は、ゲート絶縁膜107Pの表面からの深さ(nm)である。
図2から分かるように、図6の測定結果と比較して、フッ素の濃度が減少している。これは、犠牲酸化膜201中のフッ素が、当該犠牲酸化膜201の除去と同時に取り除かれたこと、およびその後の熱酸化処理中に外方へ拡散されたこと等が、原因であると考えられる。
また、上述したように、フッ素が、ゲート絶縁膜107Pと半導体基板101との境界付近に集中する傾向にある。より具体的には、ゲート絶縁膜107Pと半導体基板101との境界付近における当該ゲート絶縁膜107P内のフッ素濃度が最も高く、当該境界付近から遠ざかるに連れて、フッ素濃度が低くなる。また、図2に示されているように、ゲート絶縁膜107Pの膜厚方向の中心付近のフッ素濃度よりも、ゲート絶縁膜107Pと半導体基板101との境界付近におけるフッ素濃度の方が高くなっている。
他方、半導体基板101およびゲート絶縁膜107Nにおける窒素の含有状況を再び確認した。当該測定結果は、上述の通り図2と同じ傾向であった。つまり、犠牲酸化膜201中の窒素が、当該犠牲酸化膜201の除去と同時に取り除かれたこと、およびその後の熱酸化処理中に外方へ拡散されたこと等が原因して、窒素濃度が減少する傾向にある。
さらに、窒素が、ゲート絶縁膜107Nと半導体基板101との境界付近に集中する傾向にある。より具体的には、ゲート絶縁膜107Nと半導体基板101との境界付近における当該ゲート絶縁膜107N内の窒素濃度が最も高く、当該境界付近から遠ざかるに連れて、窒素濃度が低くなる。また、ゲート絶縁膜107Nの膜厚方向の中心付近の窒素濃度よりも、ゲート絶縁膜107Nと半導体基板101との境界付近における窒素濃度の方が高くなっている。
当該ゲート絶縁膜107N,107P形成以降のプロセスは、通常のメタルゲート電極形成方法と同じである。つまり、通常のゲートファーストプロセス(ゲート絶縁膜形成後、ゲート電極を形成し、その後ソース・ドレイン領域となる活性領域を形成するプロセス)の結果、図1で示した構造となる。
具体的には、図8で示した半導体基板101上に、金属材料(たとえばTiNであり、後に層108N,108Pとなる)を10nm程度堆積させる。そして、当該金属材料上に、ポリシリコン(後に層109N,109Pとなる)を100nm程度堆積させる。その後、所定の形状にパターニングされたレジストをマスクとして用いて、ドライエッチング処理を施す。
当該ドライエッチング処理により、ゲート絶縁膜107N,107Pおよびゲート電極108N,109N,108P,109Pをパターニングし、結果としてゲート構造を形成する。
その後は、各MOS領域に所定の導電型のイオンを注入することにより、ソース・ドレインエクステンション110,111を形成する。その後、サイドウォールスペーサー112を形成する。そして、各MOS領域に所定の導電型のイオン注入を行う。これにより、深いソース・ドレイン領域113,114を形成する。その後、1030℃程度のスパイクアニール処理により、活性領域110,111,113,114を電気的に活性化させる。
これにより、図1で示した構造の半導体装置が形成される。なお、その後は層間絶縁膜を堆積させ、バックエンドプロセスとなる。
以上のように、本実施の形態に係わる半導体装置の製造方法では、NMOS領域の半導体基板101に対して窒素を導入し、その後に、熱処理によりNMOS領域の半導体基板101上にゲート絶縁膜107Nを形成している。他方、PMOS領域の半導体基板101に対してハロゲン元素を導入し、その後に、熱処理によりPMOS領域の半導体基板101上にゲート絶縁膜107Pを形成している。
したがって、図2を用いて説明したように、半導体基板101とゲート絶縁膜107Nとの境界付近の窒素の濃度は、ゲート絶縁膜107Nの膜厚方向における中心付近の窒素の濃度よりも高くなる。また、半導体基板101とゲート絶縁膜107Pとの境界付近のハロゲン元素の濃度は、ゲート絶縁膜107Pの膜厚方向における中心付近のハロゲン元素の濃度よりも高くなる。各ゲート絶縁膜107N,107Pにおいて、このように窒素またはハロゲン元素が分布されるので、次の3つの効果を有する。
第一の効果は、NMOSトランジスタの閾値電圧Vthnを低下させることができる、ことである。当該効果は、実験により確認されている。
ゲート絶縁膜107N中の窒素が上記のように分布すると、ゲート絶縁膜107N中に存在する窒素(N)が、ゲート絶縁膜107N(SiO2)中の酸素(O)の一部と置換する。これにより、ゲート絶縁膜107Nとシリコン基板101の界面付近にドナー型の準位が発生し、当該界面付近が正に帯電するためと考えられる。
なお、ゲート絶縁膜107Nに窒素を含有させると、ホットキャリアなどによるデバイス劣化を防ぐことができる。当該デバイス劣化の観点からだけなら、ゲート絶縁膜107N中における窒素濃度分布は、特に限定する必要はないと考えられる。しかし、上記の通り、NMOSトランジスタの閾値電圧Vthnを低下させるためには、図2で用いて説明した窒素濃度分布が要求される。
第二の効果は、PMOSトランジスタの閾値電圧Vthpを低下させることができる、ことである。当該効果は、実験により確認されている。
ゲート絶縁膜107P中のハロゲン元素(たとえばフッ素)が上記のように分布すると、ゲート絶縁膜107P中に存在する窒素(フッ素)が、ゲート絶縁膜107P(SiO2)中の酸素(O)の一部と置換する。これにより、ゲート絶縁膜107Pとシリコン基板101の界面付近にアクセプター型の準位が発生し、当該界面付近が負に帯電するためと考えられる。
なお、負バイアス温度不安定性(Negative Bias Temperature Instability:NBTI)に対する耐性を高めるために、ゲート絶縁膜107P中にフッ素を導入することもできる。たとえば、NBTI耐性を高め、かつボロン突き抜けを抑制するためには、窒素とフッ素の両方をゲート絶縁膜107P中に存在させれば良い。つまり、当該ボロン突き抜けを防ぐ目的で、ゲート絶縁膜107P中に窒素を導入させ、当該窒素の導入に起因したNBTI耐性の劣化を防止する目的で、ゲート絶縁膜107P中にフッ素を導入させる。
ところが、PMOSトランジスタがメタルから成るゲート電極を備える場合には、当該ゲート電極にボロンを存在させる必要がない。したがって、メタルから成るゲート電極の場合には、上記ボロンの突き抜けは問題とならない。よって、ボロン突き抜け防止のためにゲート電極107Pに窒素を導入させる必要もないので、当該ゲート電極の場合には、NBTI耐性が悪化することもない。
しかし、本発明の本質的効果であるPMOSトランジスタの閾値電圧Vthpの低下の観点から、本発明では、ゲート絶縁膜107P中にフッ素を上記濃度分布で導入させている。したがって、上記本発明の効果(第二の効果)の観点からは、ゲート絶縁膜107P中に窒素を導入させる必要は無い。
第三の効果は、PMOSトランジスタおよびNMOSトランジスタの短チャネル効果の劣化を抑制できる、ことである。当該効果は、実験により確認されている。
上述の通り、ゲート絶縁膜107N,107P中における窒素またはハロゲン元素の濃度分布が上記分布の場合には、MOSトランジスタにおける短チャネル効果の劣化は、従来のカウンタードープを用いた場合よりも小さい。
カウンタードープを用いて閾値電圧を低下させた場合には、チャネル部分には、所定の導電型のイオン注入と、当該導電型と逆導電型のイオンの注入が行われる。したがって、双方の導電型同士が相殺し合って実質的なチャネル濃度が薄くなる。よって、ドレイン端からの空乏層の伸びが大きくなり、パンチスルーが起きやすくなる。また、カウンタードープを用いて閾値電圧を低下させた場合には、埋め込みチャネル(ベリッドチャネル)構造となる。したがって、実質的にゲート絶縁膜厚が厚くなる。
カウンタードープを用いて閾値電圧を低下させた場合には、上記事項が原因となって、MOSトランジスタにおける短チャネル特性が悪化するものと考えられる。
当該カウンタードープを用いた場合に対して、本実施の形態の場合には、チャネル部分に逆導電型のイオン注入を行っているわけではない。したがって、実質的チャネル濃度が低下することはなく、また基本的にベリッドチャネル層を形成しているわけではない。よって、本実施の形態の場合には、上述の短チャネル特性劣化要因(原因)を避けているので、上記第三の効果を奏するものと考えられる。
また、NMOS領域の半導体基板101に対して、5×1014/cm2以上の濃度の窒素を導入することが望ましい。また、PMOS領域の半導体基板101に対して、3×1014/cm2以上の濃度のフッ素を導入することが望ましい。
当該導入濃度は、十分なMOSトランジスタの閾値電圧の低下効果を得るために必要な量であり、MOSトランジスタの動作の観点から当該導入量は確認された。つまり、当該導入量未満の場合には、顕著な閾値電圧低下効果を得ることができなかった。当該導入量は、ボロンやリン、砒素のような通常のチャネル注入濃度(1×1014/cm2以下)に比べてかなり濃い量である。しかし、閾値電圧変調のメカニズムが異なるため、また注入後の欠陥回復アニールやゲート絶縁膜107N,107P形成時に半導体基板101外に拡散して行く量を考慮すると、上記窒素、フッ素の導入量は妥当である。
なお、ゲート電極下における空乏化を減少させ、ドレイン電流を増大させる観点から、MOSトランジスタのゲート電極は、金属を含むメタルゲートであることが望まれる。ここで、本実施の形態のように、ゲート絶縁膜107N,107P上に金属層または金属珪化物層を堆積させることにより形成される、底部に金属層(または金属珪化物層)108N,109Pを含むゲート電極も、上記観点から採用される。
しかし、上記メタルゲート等の場合には、MOSトランジスタの閾値電圧が非常に増大するという問題が生じる。したがって、当該メタルゲート等の場合に、閾値電圧を低下することができる等の効果を有する本実施の形態に係る製造方法を採用することが特に有益であると言える。
また、ゲートリークを減少させる観点から、MOSトランジスタのゲート絶縁膜107N,107Pには、少なくとも高誘電体膜が含まれていることが望まれる。
しかし、ゲート絶縁膜107N,107Pに高誘電体膜が含まれる場合には、MOSトランジスタの閾値電圧が非常に増大するという問題が生じる。したがって、ゲート絶縁膜107N,107Pに少なくとも高誘電体膜が含まれる場合に、閾値電圧を低下することができる等の効果を有する本実施の形態に係る製造方法を採用することが特に有益であると言える。
また、上記のように、半導体基板101に対してハロゲン元素(または窒素)を導入した後(より具体的には、犠牲酸化膜201の除去前)に、半導体基板101のダメージを回復させる熱処理(第二の熱処理と把握できる)を施す。そして、その後に、半導体基板101にゲート絶縁膜107N,107Pを形成する。
当該工程を実施することにより、ゲート酸化膜107N,107P形成時には既にイオン注入よる欠陥は存在しない。したがって、ゲート絶縁膜107N,107Pの信頼性を高めることができる。また、上記欠陥に起因した接合リーク電流増加も効果的に回避できる。
なお、半導体基板101に窒素(またはハロゲン元素)を導入した後に、熱処理により半導体基板101上にゲート絶縁膜107N,107Pを形成する工程(本発明の工程)を、ダマシン工程等のゲートラストプロセスに採用することも可能である。ここで、ゲートラストプロセスとは、ゲート絶縁膜形成、活性領域形成の後、最後にゲート電極を形成するプロセスである。しかし、当該ゲートラストプロセスに本発明の工程を採用した場合には、プロセスが複雑になるというデメリットがある。
そこで、本発明の工程を採用する場合には、プロセスの簡略の観点から、上述したゲートファーストプロセスを採用することが望ましい。
なお、PMOS領域の半導体基板101に対して注入させるハロゲン元素として、他に塩素イオン等を採用することも可能である。しかし、フッ素イオンを採用した場合に、最も閾値電圧を抑制する効果を得ることができた。さらに、実用の観点からも、ハロゲン元素として当該フッ素を採用することが最も望ましい。
また、上記ゲート絶縁膜107N形成後の半導体基板101に対してプラズマ窒化処理を施すことにより、ゲート絶縁膜107Nに窒素を導入する工程を、さらに付加しても良い。
上記プラズマ窒化工程を付加することにより、たとえば、ポリシリコンから成るゲート電極109Nに含まれるボロンが拡散してシリコン基板に入り込む(いわゆるボロンの染み出し)現象を、当該ゲート絶縁膜107Nは抑制することができる。さらに、当該プラズマ窒化処理により、ゲート絶縁膜107Nの誘電率の高くなる。したがって、実効的なゲート絶縁膜107Nの厚さが薄くすることができる。
なお、当該プラズマ窒化処理工程を付加することにより、NMOSトランジスタN100を構成するゲート絶縁膜107Nに含有される窒素濃度は、後述のようになる。つまり、半導体基板101とゲート絶縁膜107Nとの境界付近の窒素の濃度およびゲート絶縁膜107Nとゲート電極108Nとの境界付近の窒素の濃度は、ゲート絶縁膜107Nの膜厚方向における中心付近の窒素の濃度よりも高くなる。しかし、当該構成の場合であっても、少なくとも、半導体基板101とゲート絶縁膜107Nとの境界付近の窒素の濃度は、ゲート絶縁膜107Nの膜厚方向における中心付近の窒素の濃度よりも高くなる。したがって、プラズマ窒化処理工程を付加したとしても、上述したNMOSトランジスタN100の閾値電圧を低下させる効果は奏される。
<実施の形態2>
実施の形態1では、説明の簡略化のために、半導体基板上に高速論理回路のみを構成する場合について言及した。
実施の形態1では、説明の簡略化のために、半導体基板上に高速論理回路のみを構成する場合について言及した。
本実施の形態では、半導体基板上に、高速論理回路と入出力回路とが形成された、デジタル型の半導体装置(半導体集積回路)の製造方法を念頭に説明を行う。以下、工程断面図を用いて、本実施の形態に係る製造方法を具体的に説明する。
また、以下の説明では、高速動作が要求される高速論理回路を構成する、PMOSトランジスタもしくはNMOSトランジスタを、コアPMOSもしくはコアNMOSと称する。また、入出力回路を構成する、PMOSトランジスタまたはNMOSトランジスタを、I/OPMOSもしくはI/ONMOSと称する。
まず、図9に示すように、第一の領域、第二の領域、第三の領域、および第四の領域を有する半導体基板(以下、シリコン基板)1を用意する。そして、実施の形態1と同様に、当該シリコン基板1の表面内に、STI分離酸化膜2を形成する。図9から分かるように、当該STI分離酸化膜2により、それぞれの領域(第一の領域ないし第四の領域)は、相互に、電気的に分離されている。
ここで、第一の領域には、コアNMOSが形成される。また、第二の領域には、コアPMOSが形成される。また、第三の領域には、I/ONMOSが形成される。また、第四の領域には、I/OPMOSが形成される。
次に、第一の領域ないし第四の領域に対して各々、所定の導電型のイオン注入を行う。これにより、図9に示すように、Pウエル3およびNウエル4が各々、シリコン基板1の表面内に形成される。
次に、シリコン基板1に対して、酸素を含有する雰囲気中に導入し、当該シリコン基板1に対して熱処理を施す。これにより、図10に示すように、シリコン基板1上に、約7nm程度の膜厚のI/O系トランジスタ用ゲート酸化膜(以下、I/O系用ゲート酸化膜と称する)5を形成する。
次に、I/O系用ゲート酸化膜5を覆うように、シリコン基板1に対してレジスト6を塗布する。そして、フォトリソグラフィー技術を施すことにより、第一の領域(コアNMOS形成領域)が開口するように、当該レジスト6を選択的に除去する。当該レジスト6を選択的に除去した後の様子を、図11に示す。図11に示すように、レジスト6の開口部からは、第一の領域に形成されたI/O系用ゲート酸化膜5が露出している。
次に、図11に示すように、上記レジスト6をマスクとして使用して、第一の領域のシリコン基板1に対して、窒素イオンを導入(注入)する。当該窒素イオンの導入は、たとえば、窒素分子(N2)の濃度が1×1015/cm2程度で、加速電圧が20keV程度の条件にて、行う。当該窒素イオン導入により、図11に示すように、第一の領域のシリコン基板1の表面内に窒素導入領域7が形成される。
なお、当該窒素イオンの導入に際して、第二の領域ないし第四の領域は、レジスト6によりマスクされている(図11)。したがって、これらの領域には、窒素イオンは導入されない。したがって、少なくともI/ONMOSが形成される第三の領域には、窒素イオンは導入されない。
次に、レジスト6を除去する。ここで再び、I/O系用ゲート酸化膜5を覆うように、シリコン基板1に対してレジスト8を塗布する。そして、フォトリソグラフィー技術を施すことにより、第二の領域(コアPMOS形成領域)が開口するように、当該レジスト8を選択的に除去する。当該レジスト8を選択的に除去した後の様子を、図12に示す。図12に示すように、レジスト8の開口部からは、第二の領域に形成されたI/O系用ゲート酸化膜5が露出している。
次に、図12に示すように、上記レジスト8をマスクとして使用して、第二の領域のシリコン基板1に対して、ハロゲン元素(ここでは、フッ素イオン)を導入(注入)する。当該フッ素イオンの導入は、たとえば、フッ素原子の濃度が2×1015/cm2程度で、加速電圧が10keV程度の条件にて、行う。当該フッ素イオン導入により、図12に示すように、第二の領域のシリコン基板1の表面内にフッ素導入領域9が形成される。
なお、当該フッ素イオンの導入に際して、第一の領域、第三の領域、および第四の領域は、レジスト8によりマスクされている(図12)。したがって、これらの領域には、フッ素イオンは導入されない。したがって、少なくともI/OPMOSが形成される第四の領域には、フッ素イオンは導入されない。
次に、レジスト8を除去する。その後、シリコン基板1に対して、1000℃程度の温度で、20秒間程度、熱処理(第二の熱処理と把握できる)を施す。これにより、各イオン注入処理による、シリコン基板1のダメージを回復させることができる。
次に、I/O系用ゲート酸化膜5を覆うように、シリコン基板1に対してレジスト10を塗布する。そして、フォトリソグラフィー技術を施すことにより、第一の領域および第二の領域が開口するように、当該レジスト10を選択的に除去する。当該レジスト10を選択的に除去した後の様子を、図13に示す。図13に示すように、レジスト10の開口部からは、第一の領域および第二領域の各々に形成されたI/O系用ゲート酸化膜5が露出している。換言すれば、I/O系トランジスタが形成される第三の領域および第四の領域は、レジスト10により覆われている。
次に、上記レジスト10をマスクとして使用して、シリコン基板1に対して、フッ酸によるウエットエッチング処理を施す。これにより、図14に示すように、第一の領域および第二の領域に形成されているI/O系用ゲート酸化膜5を除去し、当該第一の領域および第二の領域のシリコン基板1の表面を再び露出させる。なお、図14は、レジスト10除去後の工程断面図である。
次に、第一の領域および第二の領域のシリコン基板1上に、コア系トランジスタ用の薄膜ゲート絶縁膜(以下、コア系用ゲート絶縁膜と称する)11を、約2nm程度の膜厚で形成する(図15)。具体的に、最初に、第一の領域および第二の領域のシリコン基板1を酸化させ、各領域にシリコン酸化膜を形成する。その後、シリコン酸化膜上に、高誘電体膜を積層させる。その後、熱処理(第一の熱処理と把握できる)を加えることにより、HfSiON等のコア系用ゲート絶縁膜11が形成される。
上記熱処理を加えたコア系用ゲート絶縁膜11の形成により、第一の領域のコア系用ゲート絶縁膜11内には、実施の形態1で説明した濃度分布で窒素が分布する。また、第二の領域のコア系用ゲート絶縁膜11内には、実施の形態1で説明した濃度分布でフッ素が分布する。つまり、図2を用いて説明したように、シリコン基板1とコア系用ゲート絶縁膜11との境界付近の窒素(またはフッ素)の濃度は、コア系用ゲート絶縁膜11の膜厚方向における中心付近の窒素(フッ素)の濃度よりも高くなる。
次に、図15に示すように、I/O系用ゲート酸化膜5およびコア系用ゲート絶縁膜11上に、メタル材料(たとえばTiN層)12を10nm程度堆積させる。さらに、図15に示すように、メタル材料12上にポリシリコン13を100nm程度堆積させる。
次に、フォトリソグラフィー技術とドライエッチング処理とを組み合わせることにより、I/O系用ゲート酸化膜5、コア系用ゲート絶縁膜11、メタル材料12、およびポリシリコン13をパターニングする。これにより、図16に示す構成が形成される。
その後は、ソース・ドレインエクステンションを形成し、サイドウォールスペーサーを形成する。そして、イオン注入により深いソース・ドレイン領域を形成し、1030℃程度のスパイクアニール処理を施すことにより、活性領域を電気的に活性化させる。ここまでの工程により、コア部(第一の領域および第二の領域)に関しては、図1と同様の構成が完成する。なお、I/O部(第三の領域および第四の領域)に関しては、領域7,9が形成されていない点、およびコア系用ゲート絶縁膜11で無くI/O系用ゲート酸化膜5が形成されている点以外は、図1と同様の構成である。
なお、その後は、層間絶縁膜を堆積させ、バックエンドプロセスとなる。また、本実施の形態において述べた事項以外の事項は、実施の形態1と共通する。したがって、ここでの詳細な説明は省略する。
以上からも分かるように、本実施の形態においても、実施の形態1で述べた効果と同じ効果を奏することができる。
なお、本実施の形態において、薄い酸化膜(コア部のゲート酸化膜)の形成の直前に、F,N注入を行うことが良い。これにより、次の効果を有する。つまり、他のチャネル注入と同じようにウエル注入の際にF,N注入を行うと、その後のIO系酸化膜(厚膜酸化膜)形成の際に外方拡散などが起こり、実質的にF,Nの注入濃度が低下する。しかし、IO系酸化膜形成後であれば、実質的な濃度の減少を抑えることができ、しきい値電圧調整効果が高く保つことができる。
なお、上記では、I/O系用ゲート酸化膜5は、フッ素イオン等のイオン注入処理の際には犠牲膜としても機能している。しかし、当然犠牲膜用の絶縁膜とI/O系用ゲート酸化膜5とを別途独立に形成しても良い。ただし、前者の方が工程が簡略されることは言うまでも無い。
上述した本発明は、FUSIを含むメタルゲートトランジスタの適用が予想される製品、即ち、トランジスタの電流駆動能力向上が望まれる全てのシリコン半導体集積回路製品に対して適用可能である。特に、本発明は、高速動作を求められる高速論理回路などに適用できる。
1,101 半導体基板(シリコン基板)、2,102 素子分離膜(STI分離酸化膜)、3,103 Pウエル、4,104 Nウエル、5 I/O系用ゲート酸化膜、7,105 窒素導入領域、9,106 フッ素導入領域、11 コア系用ゲート絶縁膜、12 メタル材料、13 ポリシリコン、107N (窒素を含む)ゲート絶縁膜、107P (フッ素を含む)ゲート絶縁膜、108N,108P ゲート電極(金属層)、110,111 ソース・ドレインエクステンション、112 サイドウォールスペーサー、113,114 深いソース・ドレイン領域、N100 NMOSトランジスタ、P100 PMOSトランジスタ。
Claims (15)
- NMOSトランジスタが形成されるNMOS領域を有する、半導体基板を備える半導体装置の製造方法において、
(A)前記NMOS領域の少なくとも一部の前記半導体基板に対して、窒素を導入する工程と、
(B)前記工程(A)の後に、第一の熱処理を施すことにより、前記NMOS領域の前記半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程とを、備えている、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - (C)前記半導体基板に対してプラズマ窒化処理を施すことにより、前記ゲート絶縁膜に窒素を導入する工程を、さらに備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。 - 前記工程(A)は、
前記半導体基板に対して、5×1014/cm2以上の濃度の前記窒素を導入する工程である、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造方法。 - PMOSトランジスタが形成されるPMOS領域を有する、半導体基板を備える半導体装置の製造方法において、
(A)前記PMOS領域の少なくとも一部の前記半導体基板に対して、ハロゲン元素を導入する工程と、
(B)前記工程(A)の後に、第一の熱処理を施すことにより、前記PMOS領域の前記半導体基板上にゲート絶縁膜を形成する工程とを、備えている、
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 前記工程(A)は、
前記半導体基板に対して、3×1014/cm2以上の濃度のフッ素を導入する工程である、
ことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。 - (D)前記工程(A)と前記工程(B)との間に、前記半導体基板に対して第二の熱処理を施す工程を、さらに備えている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。 - 前記工程(B)は、
高誘電体膜を含む前記ゲート絶縁膜を形成する工程である、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。 - (E)前記ゲート絶縁膜上に、金属層または金属珪化物層を堆積させることにより、当該金属層または金属珪化物層を含むゲート電極を形成する工程を、さらに備えている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。 - 前記ゲート電極は、
前記ゲート絶縁膜の形成後であり、活性領域の形成前に、形成される、
ことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。 - NMOSトランジスタを有する半導体装置において、
前記NMOSトランジスタは、
半導体基板上に形成された、窒素が含まれているゲート絶縁膜を、備えており、
前記半導体基板と前記ゲート絶縁膜との境界付近の前記窒素の濃度は、
前記ゲート絶縁膜の膜厚方向における中心付近の前記窒素の濃度よりも高い、
ことを特徴とする半導体装置。 - 前記NMOSトランジスタは、
前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極を、さらに備えており、
前記半導体基板と前記ゲート絶縁膜との境界付近の前記窒素の濃度および前記ゲート絶縁膜と前記ゲート電極との境界付近の前記窒素の濃度は、
前記ゲート絶縁膜の膜厚方向における中心付近の前記窒素の濃度よりも高い、
ことを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。 - PMOSトランジスタを有する半導体装置において、
前記PMOSトランジスタは、
半導体基板上に形成された、ハロゲン元素が含まれているゲート絶縁膜を、備えており、
前記半導体基板と前記ゲート絶縁膜との境界付近の前記ハロゲン元素の濃度は、
前記ゲート絶縁膜の膜厚方向における中心付近の前記ハロゲン元素の濃度よりも高い、
ことを特徴とする半導体装置。 - 前記ハロゲン元素は、
フッ素である、
ことを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。 - 前記ゲート電極の少なくとも底部は、
金属層もしくは金属珪化物層で構成されている、
ことを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれかに記載の半導体装置。 - 前記ゲート絶縁膜は、
少なくとも高誘電体膜を含んでいる、
ことを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれかに記載の半導体装置。
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