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JP2008231366A - 粘接着剤組成物、粘接着シートおよび半導体装置の製造方法 - Google Patents

粘接着剤組成物、粘接着シートおよび半導体装置の製造方法 Download PDF

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JP2008231366A
JP2008231366A JP2007076953A JP2007076953A JP2008231366A JP 2008231366 A JP2008231366 A JP 2008231366A JP 2007076953 A JP2007076953 A JP 2007076953A JP 2007076953 A JP2007076953 A JP 2007076953A JP 2008231366 A JP2008231366 A JP 2008231366A
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JP
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resin
film
adhesive
adhesive layer
adhesive composition
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Application number
JP2007076953A
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English (en)
Inventor
Masatomo Nakamura
優智 中村
Akinori Sato
明徳 佐藤
Isao Ichikawa
功 市川
Osamu Yamazaki
修 山崎
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Lintec Corp
Original Assignee
Lintec Corp
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Abstract

【課題】半導体素子および支持部材表面の凹凸への追従性に優れると共に、厳しいリフロー条件に曝された場合であっても、高いパッケージ信頼性を実現することのできる粘着剤組成物、粘着剤シートおよび半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】造膜性樹脂(A)、重量平均分子量が50,000以下である熱可塑性ポリ
エステル樹脂(B)、熱硬化性樹脂(C)、および熱活性型潜在性硬化剤(D)を含有し、
該造膜性樹脂(A)として重量平均分子量が50,000以上である熱可塑性樹脂(A1
)を少なくとも含有し、
前記造膜性樹脂(A)と前記熱可塑性ポリエステル樹脂(B)との重量比((A):(B))が1:0.1〜1:3であり、
前記造膜性樹脂(A)および前記ポリエステル樹脂(B)と前記熱硬化性樹脂(C)およ
び前記熱活性型潜在性硬化剤(D)との重量比(((A)+(B)):((C)+(D)))
が1:1.2〜1:1.8である
ことを特徴とする粘接着剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な粘接着剤組成物、粘接着シートおよびその半導体装置の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、特にシリコンウエハ等をダイシングし、さらにリードフレーム等にダイボンディングする工程で使用するのに特に適した粘接着剤組成物、該粘接着剤組成物からなる粘接着剤層を有する粘接着シート、および該粘接着シートを用いた半導体装置の製造方法に関する。
シリコン、ガリウムヒ素などの半導体ウエハは大径の状態で製造され、このウエハは素子小片(ICチップ)に切断分離(ダイシング)された後に次の工程であるマウント工程に移されている。この際、半導体ウエハは予め粘着シートに貼着された状態でダイシング、洗浄、乾燥、エキスパンディング、ピックアップの各工程が加えられた後、次工程のボンディング工程に移送される。
これらの工程の中でピックアップ工程とボンディング工程のプロセスを簡略化するために、ウエハ固定機能とダイ接着機能とを同時に兼ね備えたダイシング・ダイボンディング用粘接着シートが種々提案されている(たとえば、特許文献1〜4)。
特許文献1〜4には、特定の組成物よりなる粘接着剤層と、基材とからなる粘接着シートが開示されている。この粘接着剤層は、ウエハダイシング時には、ウエハを固定する機能を有し、さらにエネルギー線照射により接着力が低下し基材との間の接着力がコントロールできるため、ダイシング終了後、チップのピックアップを行うと、粘接着剤層は、チップとともに剥離する。粘接着剤層を伴ったICチップを基板に載置し、加熱すると、粘接着剤層中の熱硬化性樹脂が接着力を発現し、ICチップと基板との接着が完了する。
ところで、近年、半導体装置に対する要求物性は、非常に厳しいものとなっている。たとえば、厳しい熱湿環境下におけるパッケージ信頼性が求められている。しかし、半導体チップ自体が薄型化した結果、チップの強度が低下し、厳しい熱湿環境下におけるパッケージ信頼性は十分なものとは言えなくなってきた。
また近年電子部品の接続において行われている表面実装法ではパッケージ全体が半田融点以上の高温化にさらされる表面実装法(リフロー)が行われている。最近では環境への配慮から鉛を含まない半田への移行により実装温度が従来の240℃から260℃へと上昇し、半導体パッケージ内部で発生する応力が大きくなり、パッケージクラック発生の危険性はさらに高くなっている。すなわち、半導体チップの薄型化および実装温度の上昇が、パッケージの信頼性低下を招いている。
さらに、近年、半導体素子および支持部材は多種多様となってきており、これらの表面には様々な凹凸が存在する。したがって、上記の粘接着シートの粘接着剤層には、これらの凹凸に対する追従性がさらに求められている。
特開平2−32181号公報 特開平8−239636号公報 特開平10−8001号公報 特開2000−17246号公報
しかしながら、従来の粘接着シートを、表面に凹部の間隔が狭く深い凹凸を有する基板に貼着した場合には、粘接着剤層が凹凸に追従することができず、粘接着剤と基板とが接する界面にボイドが発生する場合があった。
また、基板表面の凹凸が浅かったり緩やかだったりした場合やボンディング条件を、圧力を強めたり温度を高くしたり圧接する時間を長めるなど過剰にした場合は、従来の粘接着シートであってもボイドを発生させることなくダイボンディングすることができるが、半導体パッケージ後の信頼性評価において、高い信頼性を得ることが困難であった。
本発明は上記のような従来技術に鑑みてなされたものであって、半導体素子および支持部材表面の凹凸への追従性に優れると共に、厳しいリフロー条件に曝された場合であっても、高いパッケージ信頼性を実現することのできる粘着剤組成物、粘着剤シートおよび半導体装置の製造方法を提供することを目的としている。
このような課題の解決を目的とした本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 造膜性樹脂(A)、重量平均分子量が50,000以下である熱可塑性ポリエ
ステル樹脂(B)、熱硬化性樹脂(C)、および熱活性型潜在性硬化剤(D)を含有し、該
造膜性樹脂(A)として重量平均分子量が50,000以上である熱可塑性樹脂(A1)
を少なくとも含有し、
前記造膜性樹脂(A)と前記熱可塑性ポリエステル樹脂(B)との重量比((A):(B))が1:0.1〜1:3であり、
前記造膜性樹脂(A)および前記ポリエステル樹脂(B)と前記熱硬化性樹脂(C)およ
び前記熱活性型潜在性硬化剤(D)との重量比(((A)+(B)):((C)+(D)))
が1:1.2〜1:1.8である
ことを特徴とする粘接着剤組成物。
[2] 前記造膜性樹脂(A)としてさらにエネルギー線重合性低分子化合物(A2)
を含有することを特徴とする上記[1]に記載の粘接着剤組成物。
[3] 80〜120℃における貯蔵弾性率が1.0×101〜1.0×103Paの範囲にあることを
特徴とする上記[1]に記載の粘接着剤組成物。
[4] エネルギー線照射後の80〜120℃における貯蔵弾性率が1.0×101〜1.0×103
aの範囲にあることを特徴とする上記[2]に記載の粘接着剤組成物。
[5] 熱硬化後において、
線膨張係数(α1)が100ppm以下であり、
動的粘弾性測定(周波数:11Hz、昇温速度:3℃/分)における損失正接tanδが最大になる時の温度が110℃以上である
ことを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載の粘接着剤組成物。
[6] 上記[1]〜[5]のいずれかに記載の組成物からなる粘接着剤層が、基材上に形成されてなる粘接着シート。
[7] 上記[6]に記載の粘接着シートの粘接着剤層に半導体ウエハを貼着し、前記半導体ウエハをダイシングしてICチップとし、前記ICチップ裏面に粘接着剤層を固着残存させて基材から剥離し、前記ICチップをダイパッド部上に前記粘接着剤層を介して熱圧着する工程を含む
半導体装置の製造方法。
[8] 前記造膜性樹脂(A)として前記エネルギー線重合性低分子化合物(A2)を
含み、半導体ウエハの貼着後であり、ICチップの剥離前である何れかの段階で粘接着剤
層にエネルギー線照射する工程を含む
上記[7]に記載の半導体装置の製造方法。
本発明によれば、ダイボンディング時における半導体パッケージ用の基板等に形成された凹凸への追従性に優れ、半導体パッケージ後のパッケージ信頼性を実現することのできる粘着剤組成物、粘着剤シートおよび半導体装置の製造方法を提供することができる。
以下、本発明についてさらに具体的に説明する。
本発明に係る粘接着剤組成物は、造膜性樹脂(A)、分子量が50,000以下である
熱可塑性ポリエステル樹脂(B)、熱硬化性樹脂(C)、および熱活性型潜在性硬化剤(D
)(以下、それぞれ、「造膜性樹脂(A)」、「ポリエステル樹脂(B)」、「熱硬化性樹脂(C)」、「硬化剤(D)」、あるいは「成分(A)」、「成分(B)」、「成分(C)」
、「成分(D)」とも言う。)を特定の比率で含有し、各種物性を改良するため、必要に
応じ他の成分を含んでいても良い。
(A)造膜性樹脂;
本発明に係る粘接着剤組成物は、造膜性樹脂(A)として、重量平均分子量が50,000以上である熱可塑性樹脂(A1)(以下「熱可塑性樹脂(A1)」とも言う。)を少なくとも含有する。造膜性樹脂(A)として、さらにエネルギー線重合性低分子化合物(A2))(以下「低分子化合物(A2)」とも言う。)を含有してもよい。熱可塑性樹脂(A1)自体は膜形成が可能であり、低分子化合物(A2)もエネルギー線照射により重合させることで膜形成が可能である。またこの造膜性樹脂(A)は、本発明に係る粘接着剤組成物の粘着性に寄与する。
<熱可塑性樹脂(A1)>
熱可塑性樹脂(A1)の重量平均分子量は50,000以上である一方、200万以下で
あることが望ましい。熱可塑性樹脂(A1)の重量平均分子量が低過ぎると、基材との粘着力が高くなり、ピックアップ不良が起こることがあり、200万を超えると、基板表面の
凹凸へ粘接着剤層が追従できずボイドが発生することがある。
なお、本発明における重量平均分子量の値は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレン標準)により測定される値である。
熱可塑性樹脂(A1)のガラス転移温度は、好ましくは−10℃以上50℃以下、さらに好ましくは0℃以上40℃以下、特に好ましくは0℃以上30℃以下の範囲にある。ガラス転移温度が低過ぎると粘接着剤層と基材との剥離力が大きくなってチップのピックアップ不良が起こることがあり、高過ぎるとウエハを固定するための接着力が不十分となるおそれがある。
熱可塑性樹脂(A1)の例としては、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、天然ゴム、合成ゴム、シリコーン樹脂などが挙げられる。
アクリル樹脂としては従来公知のアクリル樹脂を用いることができる。また、このアクリル樹脂のモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルモノマーあるいはその誘導体が挙げられる。例えば、アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキル
エステル、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル等が挙げられ、環状骨格を有する(メタ)アクリル酸エステルたとえば(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、イミ
ドアクリレート等が挙げられ、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等が挙げられる。また酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン等が共重合されていてもよい。熱硬化性樹脂(C)としてエポキシ樹脂を用いる場合には、エポキシ樹
脂との相溶性が良いことから、水酸基を有するアクリル樹脂が好ましい。
またフェノキシ樹脂としては、従来公知のフェノキシ樹脂を用いることができ、たとえばビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、などが挙げられる。市販品であれば、東都化成(株)製のフェノトートYP-50(Mw=60,000〜80,000)、フェノトートYP-50S(Mw=50,000〜70,000
)、フェノトートYP-55(Mw=50,000〜60,000)、フェノトートYP-70(Mw=50,000〜60,000)、フェノトートYP-50EK35(Mw=57,000)などが挙げられる。
<低分子化合物(A2)>
エネルギー線重合性低分子化合物(A2)は、紫外線、電子線等のエネルギー線の照射を受けると重合硬化する化合物である。粘接着剤層中に含まれるエネルギー線重合性低分子化合物(A2)がエネルギー線の照射により硬化すると、粘着剤層本体の造膜性が高められる。この化合物は、分子内に少なくとも1つの重合性二重結合を有し、通常は、分子量が100〜30000、好ましくは300〜10000程度である。このようなエネルギー線重合性低分子化合物(A2)としては、具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートあるいは1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、あるいはジシクロペンタジエン骨格を有するアクリレート(たとえば日本化薬(株)製R684)等の多官能モノマーが用いられる。
また、これらの他にも、ウレタンアクリレート、エポキシ変性アクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレートおよびイタコン酸オリゴマーオリゴマーを用いることもできる。
エネルギー線重合性低分子化合物(A2)は、エネルギー線照射により硬化する。エネルギー線としては、具体的には、紫外線、電子線等が用いられる。
本発明では、造膜性樹脂(A)として、熱可塑性樹脂(A1)を単独で使用してもよく、低分子化合物(A2)併用してもよい。低分子化合物(A2)を併用すると、エネルギー線硬化前の粘接着剤層のタックが向上し、常温あるいは比較的低温での加熱下でのウエハへの貼付が良好となる。さらに、エネルギー線硬化後により粘接着剤層の凝集力が増大しダイシング時のチップの保持性が向上するとともに、基材との密着が低減しチップのピックアップ性が良好となる。
熱可塑性樹脂(A1)および低分子化合物(A2)を併用する場合であれば、その重量比(熱可塑性樹脂(A1):低分子化合物(A2))は、好ましくは40:50〜95:5、さらに好ましくは50:50〜90:10である(ただし、両者の合計は100である。)。
熱可塑性樹脂(A1)および低分子化合物(A2)の重量比が上記範囲にあると、ウエハ貼付性とダイシング適性とが両立し、ウエハの加工性が向上する。
(B)熱可塑性ポリエステル樹脂;
本発明の粘接着剤組成物は、重量平均分子量が50,000以下、好ましくは1,00
0〜30,000の熱可塑性ポリエステル樹脂(B)を含んでいる。
熱可塑性ポリエステル樹脂(B)としては、脂肪族ポリエステル、ポリオキシカルボン酸、環状エステルの開環重合物などが挙げられる。
市販品であれば、バイロン(登録商標)220(Mw=2,500)、バイロン(登録商標)270(Mw=23,000)、バイロン(登録商標)500(Mw=23,000)、バイロン(登録商標)GK130(Mw=7,000)およびバイロン(登録商標)BX1001(Mw=28,000)(以上、いずれも東洋紡績社製)、エリーテル(登録商標)UE3220(Mw=25,000、ユニチカ社製)などが挙げられる。
(C)熱硬化性樹脂;
熱硬化性樹脂(C)は、加熱により三次元網状化し、被着体に対して強固に接着する性質を有する。熱硬化性樹脂(C)としては、特に制限はなく、エポキシ、フェノール、レゾルシノール、ユリア、メラミン、フラン、不飽和ポリエステル、シリコーン等の樹脂が挙げられるが、硬化後の強度や反応条件の幅が広くウエハの加工条件に適合させやすいというの観点からはエポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、従来より公知の種々のエポキシ樹脂を用いることができる。このエポキシ樹脂のエポキシ当量は通常50〜5000g/eq、好ましくは100〜2000g/eqである。
エポキシ樹脂としては、具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノールF、レゾルシノール、フェニルノボラック、クレゾールノボラックなどのフェノール類のグリシジルエーテル;
ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルコール類のグリシジルエーテル;
フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸などのカルボン酸のグリシジルエーテル;
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;
アニリンイソシアヌレートなどの窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したグリシジル型もしくはアルキルグリシジル型のエポキシ樹脂;
ビニルシクロヘキサンジエポキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-ジシク
ロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,5-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキサン-m-ジオキサンなどのように、分子内の炭素−炭素二重結合をたとえば酸化することによりエポキシが導入された、いわゆる脂環型エポキシド;
を挙げることができる。
これらの中でも、ビスフェノールA系グリシジル型、o-クレゾールノボラック型、フェノールノボラック型、ジシクロペンタジエン型のエポキシ樹脂が好ましい。
ビスフェノール系グリシジル型エポキシ樹脂としては、jER 828(ジャパンエポキシレ
ジン(株)製、分子量380)、jER 834(ジャパンエポキシレジン(株)製、分子量4
70)、jER 1001(ジャパンエポキシレジン(株)製、分子量900)、jER 1002(ジャパンエポキシレジン(株)製、分子量1060)、jER 1055(ジャパンエポキシレジン(株)製、分子量1350)、jER1007(ジャパンエポキシレジン(株)製、分子量2900)、EPICLON(登録商標)EXA-4850-150(大日本インキ化学工業(株)製、分子量900)、EPICLON(登録商標)EXA-4850-1000(大日本インキ化学工業(株)製、分子量700)、アクリセット(登録商標)BPA-328((株)日本触媒製)等を使用することができる。
o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、jER 180S65(ジャパンエポキシレジ
ン(株)製)、EOCN(登録商標)102S(日本化薬(株)製)、EOCN(登録商標)103S(日本化薬(株)製)、EOCN(登録商標)104S(日本化薬(株)製)、EOCN(登録商標)1020(日本化薬(株)製)等を使用することができる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、jER 152(ジャパンエポキシレジン(
株)製)、jER 154(ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPPN(登録商標)201(日本化薬(株)製)等を使用することができる。
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂としては、EPICLON(登録商標)EXA-7200HH(大
日本インキ化学工業(株)製、分子量700)等を使用することができる。
これらのエポキシ樹脂は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのエポキシ樹脂の組合せとしては、特に、常温で液状のエポキシ樹脂と常温で固体のエポキシ樹脂とのブレンドが望ましい。このような組合せによれば、造膜性樹脂(A)と熱可塑性ポリエステル樹脂(B)との相溶性が向上し、さらに粘接着性組成物とウエハとの貼付性と、チップと基板との硬化後の接着強度とのバランスが向上する。
(D)熱活性型潜在性硬化剤;
熱活性型潜在性硬化剤(D)とは、室温では前記熱硬化性樹脂(C)と反応せず、ある温度以上の加熱により活性化し、前記熱硬化性樹脂(C)と反応するタイプの硬化剤である。
熱活性型潜在性硬化剤(D)の活性化方法には、加熱による化学反応で活性種(アニオン、カチオン)を生成させる方法;室温付近では熱硬化性樹脂(C)中に安定に分散させ、高温で熱硬化性樹脂(C)と相溶・溶解させ、硬化反応を開始する方法;モレキュラーシーブ封入タイプの硬化剤で高温で溶出して硬化反応を開始する方法;マイクロカプセルによる方法等が挙げられる。
熱活性型潜在性硬化剤(D)の具体例としては、アデカオプトンCP−66((株)ADEKA製)、サンエイド(登録商標)SI−60、80および100(三新化学工業(株)製)等の各種オニウム塩;二塩基酸ジヒドラジド化合物として、ADH(日本ヒドラジン工業(株)製)、SDH(日本ヒドラジン工業(株)製)、IDH(日本ヒドラジン工業(株)製)、N−12(日本ヒドラジン工業(株)製)、LDH(味の素(株)製)、UDH(味の素(株)製)、ジシアンジアミドとして、AH−150(味の素(株)製)、アデカハードナー(登録商標)3636AS((株)ADEKA製);アミンアダクト型硬化剤として、アミキュア(登録商標)PN−23、MY−23、PN−H、MY−H(味の素(株)製);イミダゾール化合物として、キュアゾール(登録商標)2PHZ、2EZ−CY、2MZ−AZINE、2MZ−A、2MZ−OK、2P4MHZ(四国化成工業(株)製)等の高融点活性水素化合物等を挙げることができる。
熱活性型潜在性硬化剤(D)は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記熱活性型潜在性硬化剤(D)は、熱硬化性樹脂(C)100重量部に対して通常0.1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部、特に好ましくは3〜10重量部の割合で用いられる。
<各成分の配合比>
本発明の粘接着剤組成物は、前記の成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)を特定の割合で含有している。
具体的には、前記成分(A)と前記成分(B)との重量比((A):(B))は1:0.1
〜1:3であり、かつ
前記成分(A)および前記成分(B)と前記成分(c)および前記成分(D)との重量比(((A)+(B)):((C)+(D)))は1:1.2〜1:1.8、好ましくは1:1.3〜1:1.7、さらに好ましくは1:1.4〜1:1.6である。
成分(A)に対する成分(B)の重量の割合が上記範囲よりも小さいと、ダイボンド時に粘接着剤層が基板の凹凸へ追従しにくくなり、成分(B)の重量の割合が上記範囲よりも
大きいと、ダイボンド時に粘接着剤の流動性が高まり、はみ出した上チップの回路表面まで這い上がる場合がある。
また、成分(A)および成分(B)に対する成分(c)および成分(D)の重量の割合が上記範囲よりも小さいと、凹凸への追従性が低下する傾向にあり、成分(c)および成分(D)の重量の割合が上記範囲よりも大きいと、流動性が高まりデバイスへの汚染が起こりやすくなる傾向にある。
(E)光重合開始剤;
エネルギー線重合性低分子化合物(A2)を重合させるためにエネルギー線として紫外線を用いる場合には、本発明の組成物中に光重合開始剤(E)を添加することで、重合硬化時間ならびに光線照射量(エネルギー線照射量)を少なくすることができる。
このような光重合開始剤としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4-ジエチルチオキサンソン、α-ヒドロキシ
シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノンなどが挙げられる。光重合開始剤(E)は1種類単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。
光重合開始剤(E)の配合割合は、理論的には、粘接着剤中に存在する不飽和結合量やその反応性および使用される光重合開始剤の反応性に基づいて、決定されるべきであるが、複雑な混合物系においては必ずしも容易ではない。一般的な指針として、光重合開始剤(E)は、エネルギー線重合性低分子化合物(A2)の100重量部に対して0.1〜10重量部含まれることが望ましく、1〜5重量部がより好ましい。0.1重量部未満だと光重合の不足で満足なピックアップ性が得られないことがあり、10重量部を超えると光重合に寄与しない残留物が生成し、粘接着剤の硬化性が不十分となることがある。
(F)硬化促進剤;
硬化促進剤(F)は、粘接着剤組成物の熱硬化速度を調整するために用いられる。好ましい硬化促進剤としては、熱硬化性樹脂(C)の種類にもよるが、たとえばトリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレートなどのテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
硬化促進剤(F)は、熱硬化性樹脂(C)の合計100重量部に対して0.001〜1
00重量部含まれることが好ましく、0.01〜50重量部がより好ましく、0.1〜10重量部がさらに好ましい。
(G)カップリング剤;
カップリング剤は、粘接着剤組成物の被着体に対する接着性、密着性を向上させるために用いられる。また、カップリング剤を使用することで、粘接着剤組成物を硬化して得られる硬化物の耐熱性を損なうことなく、その耐水性を向上することができる。カップリング剤としては、上記成分(A)、成分(B)、成分(C)、成分(D)等が有する官能基と反応する基を有する化合物が好ましく使用される。カップリング剤としては、シランカップリング剤が望ましい。このようなカップリング剤としてはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロプロピル)トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−6−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上混合して使用することができる。これらカップリング剤は、使用する場合であれば、熱硬化性樹脂(C)100重量部に対して通常0.1〜20重量部、好ましくは0.2〜10重量部、より好ましくは0.3〜5重量部の割合で用いられる。0.1重量部未満だと効果が得られない可能性があり、20重量部を超えるとアウトガスの原因となる可能性がある。
(その他の成分)
本発明の粘接着剤組成物には、上記の他に、必要に応じて各種添加剤が配合されてもよい。例えば、粘接着剤組成物の初期接着力および凝集力を調節するために、架橋剤を添加することもできる。架橋剤としては有機多価イソシアナート化合物、有機多価イミン化合物が挙げられる。
また、本発明の粘接着剤組成物には無機充填材を配合することができる。無機充填材を粘接着剤に配合することにより、熱膨張係数を調整することが可能となり、金属や有機樹脂からなる基板と異なる熱膨張係数を有する半導体チップに対し、硬化後の粘接着剤層の熱膨張係数を最適化することでパッケージの耐熱性を向上させることができる。また、粘接着剤層の硬化後の吸湿率を低減させることも可能となる。好ましい無機充填材としては、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、窒化ホウ素等の粉末、これらを球形化したビーズ、単結晶繊維、ガラス繊維等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
本発明の粘接着剤組成物には、さらに必要に応じて各種添加剤が配合されてもよい。たとえば、硬化後の可とう性を保持するため可とう性成分を添加することができる。可とう性成分は、常温および加熱下で可とう性を有する成分であり、加熱やエネルギー線照射では実質的に硬化しないものが選択される。可とう性成分は、熱可塑性樹脂やエラストマーからなるポリマーであってもよいし、ポリマーのグラフト成分、ポリマーのブロック成分であってもよい。また、可とう性成分がエポキシ樹脂に予め変性された変性樹脂であってもよい。
さらに、粘接着剤組成物の各種添加剤としては、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、顔料、染料等を用いてもよい。
(粘接着剤組成物)
上記のような各成分からなる粘接着剤組成物は感圧接着性と加熱硬化性とを有し、熱硬化される以前には各種被着体を一時的に保持する機能を有する。そして熱硬化を経て最終的には耐衝撃性の高い硬化物を与えることができ、しかも基板表面の凹凸への追従性に優れ、厳しい熱湿条件下においても充分な接着物性を保持し得る。
本発明に係る粘接着剤組成物は、上記各成分を適宜の割合で混合して得られる。混合に際しては、各成分を予め溶媒で希釈しておいてもよく、また混合時に溶媒を加えても良い。
また、本発明に係る粘接着剤組成物の、
(i)前記エネルギー線重合性低分子化合物(A2)が含まれない場合の80〜120℃における貯蔵弾性率、または
(ii)前記エネルギー線重合性低分子化合物(A2)が含まれる場合のエネルギー線照射後の80〜120℃における貯蔵弾性率
は、1.0×101〜1.0×103Pa範囲にあることが望ましい。
該貯蔵弾性率が上記範囲にあると基板等の凹凸へ十分追従し、かつ粘接着剤が接着箇所以外へはみ出す等の不具合を生じない。
この貯蔵弾性率は、たとえば熱可塑性ポリエステル樹脂(B)あるいは熱硬化性樹脂(c)の比率の増減によって調整することができ、これらの成分を増加させれば貯蔵弾性率は低下する。
なおこの貯蔵弾性率の値は、実施例において記載される条件で測定する際の値である。
さらに、本発明に係る粘接着剤組成物の、熱硬化後における、
線膨張係数(α1)は100ppm以下、好ましくは1〜100ppmであり、
動的粘弾性測定における損失正接tanδが最大になる時の温度(以下、この温度を「ガ
ラス転移点(Tg)」ともいう。)は110℃以上、好ましくは110〜160℃、さらに好ましく
は115〜140℃である
ことが望ましい。
該線膨張係数が上記範囲にあると、IRリフローにおける粘接着剤層における歪みが小さくなり、パッケージクラックの発生を抑えることができる。
この線膨張係数は、たとえば造膜性樹脂(A)および熱硬化性樹脂(C)の比率の増減によって調整することができ、造膜性樹脂(A)を減少または熱硬化性樹脂(C)の増加で低下する。
また、損失正接tanδが最大になる時の温度(ガラス転移点(Tg))が上記範囲にある
と、IRリフローによる高温時であっても高い接着性を維持することが出来る。
この温度は、たとえば造膜性樹脂(A)および熱硬化性樹脂(C)の比率の増減によって調整することができ、造膜性樹脂(A)の減少または熱硬化性樹脂(C)の増加で低下する。
なお、前記エネルギー線照射条件や熱硬化条件は、実際に半導体装置の製造工程において使用される条件または推奨条件であり、また線膨張係数およびTgの値は、それぞれ実施例において記載される条件で測定する際の値である。
(粘接着シート)
本発明に係る粘接着シートは、基材上に、上記粘接着剤組成物からなる粘接着剤層が積層してなる。本発明に係る粘接着シートの形状は、テープ状、ラベル状などあらゆる形状
をとり得る。
粘接着シートの基材としては、たとえば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム等の透明フィルムが用いられる。またこれらの架橋フィルムも用いられる。さらにこれらの積層フィルムであってもよい。また、上記の透明フィルムの他、これらを着色した不透明フィルム、フッ素樹脂フィルム等を用いることができる。ただし、本発明の粘接着シートは、その使用に際して、基材面側から紫外線等のエネルギー線照射を行うことがあるため、基材は使用するエネルギー線に対して透明であることが好ましい。
本発明に係る粘接着シートは、各種の被着体に貼付され、被着体に所要の加工を施した後、粘接着剤層は、被着体に固着残存させて基材から剥離される。すなわち、粘接着剤層を、基材から被着体に転写する工程を含むプロセスに使用される。このため、基材の粘接着剤層に接する面の表面張力は、好ましくは40mN/m以下、さらに好ましくは37mN/m以下、特に好ましくは35mN/m以下であることが望ましい。下限値は、通常25mN/m程度である。このような表面張力が低い基材は、材質を適宜に選択して得ることが可能であるし、また基材の表面に剥離剤を塗布して剥離処理を施すことで得ることもできる。
基材の剥離処理に用いられる剥離剤としては、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系等が用いられるが、特にアルキッド系、シリコーン系、フッ素系の剥離剤が耐熱性を有するので好ましい。
上記の剥離剤を用いて基材の表面を剥離処理するためには、剥離剤をそのまま無溶剤で、または溶剤希釈やエマルション化して、グラビアコーター、メイヤーバーコーター、エアナイフコーター、ロールコーター等により塗布して、常温または加熱あるいは電子線硬化させたり、ウェットラミネーションやドライラミネーション、熱溶融ラミネーション、溶融押出ラミネーション、共押出加工などで積層体を形成すればよい。
基材の膜厚は、通常は10〜500μm、好ましくは15〜300μm、特に好ましくは20〜250μm程度である。
また、粘接着剤層の厚みは、通常は1〜500μm、好ましくは5〜300μm、特に好ましくは10〜150μm程度である。
粘接着シートの製造方法は、特に限定はされず、基材上に、粘接着剤層を構成する組成物を塗布乾燥することで製造してもよく、また粘接着剤層を剥離フィルム上に設け、これを上記基材に転写することで製造してもよい。なお、粘接着シートの使用前に、粘接着剤層を保護するために、粘接着剤層の上面に剥離フィルムを積層しておいてもよい。粘接着剤層の塗布方法としては、ロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、ダイコーター、カーテンコーター等の公知の塗布装置を使用した方法を用いることができる。
また、粘接着剤層の表面外周部には、リングフレーム等のダイシング工程からダイボンド工程までウエハを固定する治具に、糊残りさせずに固定するための粘着剤層や粘着テープが別途設けられていてもよい。
次に本発明に係る粘接着シートの利用方法について、該粘接着シートを半導体装置の製造に適用した場合を例にとって説明する。
本発明に係る半導体装置の製造方法においては、まず、本発明に係る粘接着シートをダイシング装置上に、リングフレームにより固定し、シリコンウエハの一方の面を粘接着シートの粘接着剤層上に載置し、軽く押圧し、ウエハを固定する。粘接着剤組成物が前記低分子化合物(A2)を含有する場合には、その後、粘接着剤層に、基材側からエネルギー線を照射し、粘接着剤層の凝集力を上げ、粘接着剤層と基材との間の接着力を低下させておく。照射されるエネルギー線としては、紫外線(UV)または電子線(EB)等が用いられ、好ましくは紫外線が用いられる。
次いで、ダイシングソーなどの切断手段を用いて、上記のシリコンウエハを切断しICチップを得る。この際の切断深さは、シリコンウエハの厚みと、粘接着剤層の厚みとの合計およびダイシングソーの磨耗分を加味した深さにする。
なお、エネルギー線照射は、半導体ウエハの貼付後、ICチップの剥離前のいずれの段階で行ってもよく、たとえばダイシングの後に行ってもよく、また下記のエキスパンド工程の後に行ってもよい。さらにエネルギー線照射を複数回に分けて行ってもよい。
次いで必要に応じ、粘接着シートのエキスパンドを行うと、ICチップ間隔が拡張し、ICチップのピックアップをさらに容易に行えるようになる。この際、粘接着剤層と基材との間にずれが発生することになり、粘接着剤層と基材との間の接着力が減少し、チップのピックアップ性が向上する。
このようにしてICチップのピックアップを行うと、切断された粘接着剤層をICチップ裏面に固着残存させて基材から剥離することができる。
次いで粘接着剤層を介してICチップをダイパッド部に載置する。ダイパッド部はICチップを載置する前に加熱するか載置直後に加熱される。加熱温度は、通常は80〜200℃、好ましくは100〜180℃であり、加熱時間は、通常は0.1秒〜5分、好ましくは0.5秒〜3分であり、チップマウント圧力は、通常1kPa〜200MPaである。
ICチップをダイパッド部にチップマウントした後、必要に応じさらに加熱を行ってもよい。この際の加熱条件は、上記加熱温度の範囲であって、加熱時間は通常1〜180分、好ましくは10〜120分である。
このような工程を経ることで、粘接着剤層が硬化し、ICチップとダイパッド部とを強固に接着することができる。粘接着剤層はダイボンド条件下では流動化しているため、ダイパッド部の凹凸にも十分に埋め込まれ、ボイドの発生を防止できる。
すなわち、得られる実装品においては、チップの固着手段である粘接着剤が硬化し、かつダイパッド部の凹凸にも十分に埋め込まれた構成となるため、過酷な条件下にあっても、十分なパッケージ信頼性とボード実装性が達成される。
さらに、本発明の粘接着性組成物は上述した特定の配合組成を有するため、表面に凹部の間隔が狭く深い凹凸が存在する基板に粘接着剤層付きのチップをダイボンドした場合であっても、粘接着剤層は凹凸に追従することができ、粘接着剤と基板とが接する界面でのボイドの発生を防止できる。
なお、本発明の粘接着剤組成物および粘接着シートは、上記のような使用方法の他、半
導体化合物、ガラス、セラミックス、金属などの接着に使用することもできる。
[実施例]
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例において、各種測定は次のように行った。
<試験1 重量平均分子量>
後述する各実施例または比較例に使用される高分子量成分の重量平均分子量の値は、以下の方法により測定した。
測定方法:ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレン標準)
装置:東ソー社製 GELPERMEATION CHROMATOGRAPH
カラム:東ソー社製 TSK-GEL GMHXL 7.8*300mm
溶媒:THF
濃度:1% (分子量100万を超え、溶解性が悪ければ〜0.1%程度まで希釈)
注入量:80μm
流速:1.0ml/min。
<試験2 貯蔵弾性率測定>
後述する各実施例または比較例ごとに、製造された複数枚の粘接着シートに対して、UV照射装置(リンテック(株)製, Adwill RAD2000 m/8)を用いて基材面から紫外線を照射した。各粘接着シートから基材を剥がし、各粘接着剤層同士を厚さ1.0mmとなるように積
層し、この積層体を8mmφの円形状に3枚切り取り、これら3枚を積層して動的粘弾性測
定用のサンプル(8mmφ、厚さ3.0mmの円柱状サンプル)とした。
動的粘弾性測定装置(レオメトリックス社製、RDA-II)により、周波数1Hz、昇温速度3℃/min、温度範囲80〜120℃の条件下で、前記サンプルの貯蔵弾性率(G’)を測定
した。
<試験3;線膨張係数(α1)>
後述する各実施例または比較例ごとに、製造された複数枚の粘接着シートの粘接着剤層を積層しながら片面の基材を剥がしつつ、粘接着剤層の厚さが0.2mmとなるように積層し
た。積層した粘接着剤層をUV照射装置(リンテック(株)製、Adwill RAD2000 m/8)を用いて粘接着剤層の両面から1度ずつ紫外線を照射し、これを120℃で1時間、さらに140℃
で1時間の条件で加熱して粘接着剤層を熱硬化させた。各粘接着剤層の熱硬化物のサイズ
を20mm×4.5mmに切り出し、線膨張係数(α1)測定用のサンプルとした。
このサンプルを熱機械分析装置((株)マックサイエンス製、TMA-4000S)により、荷
重2g、昇温速度5℃/min、40〜160℃の範囲を昇温し、次に、荷重2g のまま40℃まで空冷
し、続いて、セカンドスキャンを温度範囲40〜300℃、荷重2g、昇温速度5℃/minの条件で測定を行った。セカンドスキャンにおける60〜80℃の範囲の傾きを線膨張係数(α1)とし
た。
<試験4 ガラス転移点(Tg)の測定>
試験2で作成した、実施例及び比較例の粘接着シートの粘接着剤層の熱硬化物をサイズ30mm×5mmのサイズに切り出し、ガラス転移点(Tg)測定用のサンプルとした。
このサンプルを動的粘弾性測定装置(TAインスツルメンツ社製、DMA-Q800)に測定長さ(チャック間距離)を20mmとして装着し、周波数11Hz、振幅20μm、昇温速度3℃/minの
条件下で、温度範囲40〜300℃の損失正接tanδを測定した。また、測定温度範囲でtanδ
が最大の温度を求め、ガラス転移点(Tg)とした。
<試験5 ダイボンディング時の凹凸埋め込み性評価>
透明な円板ガラス(エヌ・エスジー・プレシジョン社製;直径8インチ、厚さ280μm)
に、テープマウンター(リンテック(株)製、Adwill RAD2500 m/8)を用い、円板ガラスを固定するテーブルの温度を40℃にして、実施例または比較例の粘接着シートを貼付し、同時にリングフレームに固定した。その後、紫外線照射装置(リンテック(株)製、RAD
(登録商標)2000 m/8)を用いて基材面から紫外線を照射した。次いで、ダイシング装置(東京精密社製、AWD-4000B)を使用して8mm×8mmのサイズにダイシングし、粘接着剤層
を有するガラスチップを作製した。ダイシングの際の切り込み量については、基材を20μm切り込むようにした。続いて、この粘接着剤層を有するガラスチップを、粘接着シート側よりニードルで突き上げてピックアップした。
基板として、銅箔張り積層板(三菱ガス化学(株)製, CCL-HL830)の銅箔に回路パタ
ーンが形成され、パターン上にソルダーレジスト(太陽インキ製造(株)製, PSR4000 AUS5)を有している基板((株)日立超LSIシステムズ製:凹凸の最大深さ=15μm、凹部の最小幅=4μm、表面粗さ=11μm)を用いた。この基板上に、上記の粘接着剤層を有するガラスチップを、該粘接着剤層を介して100℃, 300gf, 1秒間の条件で圧着した。光学顕微鏡を用いて、ガラスチップ側から基板と粘接着剤との界面を観察し、粘接着剤組成物の凹凸埋め込み性を評価した。
<試験6 半導体パッケージの信頼性評価>
(i)半導体チップの製造;
#2000研磨したシリコンウエハ(150mm径, 厚さ150μm)に、テープマウンター(リン
テック(株)製、Adwill RAD2500 m/8)を用い、シリコンウエハを固定するテーブルの温度を40℃にして、実施例または比較例の粘接着シートを貼付し、同時にリングフレームに固定した。その後、紫外線照射装置(リンテック(株)製Adwill(登録商標) RAD2000 m/8)を用いて基材面から紫外線を照射した。次いで、ダイシング装置(東京精密社製、AWD-4000B)を使用して8mm×8mmのサイズにダイシングし、粘接着剤層を有するシリコンチップを作製した。ダイシングの際の切り込み量については、基材を20μm切り込むようにした。続いて、この粘接着剤層を有するシリコンチップを、粘接着シート側よりニードルで突き上げてピックアップした。
(ii)半導体パッケージの製造;
基板として、銅箔張り積層板(三菱ガス化学(株)製, CCL-HL830)の銅箔に回路パタ
ーンが形成され、パターン上にソルダーレジスト(太陽インキ製造(株)製, PSR4000 AUS5)を有している基板((株)日立超LSIシステムズ製:最大凹凸=16μm、表面粗さRa=11μm)を用いた。この基板上に、上記の粘接着剤層を有するシリコンチップを、該粘接着剤層を介して100℃, 300gf, 1秒間の条件で圧着し、次いで120℃で1時間、さらに140℃で1時間の条件で加熱し、粘接着剤層を熱硬化させた。その後、モールド樹脂(京セラケミカル(株)製、KE-1100AS3)で封止厚400μmになるように封止装置(アピックヤマダ(株)製、MPC-06M Trial Press)を用いて封止し、175℃で5時間かけてモールド樹脂を硬化させた。次いで、封止された基板をダイシングテープ(リンテック(株)製、Adwill D-510T)に貼付して、ダイシング装置(東京精密社製、AWD-4000B)を使用して12mm×12mmサイズにダイシングすることで信頼性評価用の半導体パッケージを得た。
(iii)半導体パッケージ表面実装性の評価;
得られた半導体パッケージを、85℃, 60%RH条件下に168時間放置して吸湿させた直後に、最高温度260℃、加熱時間1分間のIRリフロー(リフロー炉:相模理工製WL-15-20DNX型)を3回行なった。その後、接合部の浮き・剥がれの有無、パッケージクラック発生の有無を走査型超音波探傷装置(日立建機ファインテック(株)製Hye-Focus)および断面観察により評価した。
基板/半導体チップ接合部に0.5mm以上の剥離を観察した場合を剥離していると判断し
て、パッケージを25個試験に投入し剥離が発生しなかった個数を数えた。
また、粘接着剤組成物を構成する各成分は下記の通りであった。
(A)造膜性樹脂
(A1−1):アクリル系共重合体(日本合成化学(株)社製、コーポニールN2359−6;Mw=870,000)
(A1−2):フェノキシ樹脂(東都化成社製、フェノトートYP50−EK35;Mw=57,000、Tg=93.7℃)
(A2)放射線硬化樹脂:ジシクロペンタジエン骨格含有アクリレート(日本化薬社製、R684)
(B)熱可塑性樹脂:熱可塑性ポリエステル(東洋紡社製、バイロン(登録商標)220;Mw=2,500)を有機溶媒(メチルエチルケトン)に溶解した溶液(固形分濃度=80%)
(C)熱硬化性樹脂〔エポキシ樹脂〕
(C1):ビスフェノールA型骨格を有する柔軟性液状エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業(株)製、EPICLON(登録商標)EXA-4850-150、エポキシ当量:450)を有機溶
媒(メチルエチルケトン)に溶解した溶液(固形分濃度=80%)
(C2):固形ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、jER 1055、エポキシ当量:800〜900)を有機溶媒(メチルエチルケトン)に溶解した溶液(固形分濃度=65%)
(C3):液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂((株)日本触媒製、アクリセット(登録商標)BPA-328、エポキシ当量:220〜240)を有機溶媒(メチルエチルケトン)に溶解した溶液(固形分濃度=80%)
(C4):ジシクロペンタジエン骨格含有固形エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製、EPICLON(登録商標)EXA-7200HH、エポキシ当量:270−280)を有機溶媒(メ
チルエチルケトン)に溶解した溶液(固形分濃度=70%)
(D):熱活性型潜在性硬化剤としてジシアンジアミド((株)ADEKA製、ハードナー3636AS)2重量部を有機溶媒(メチルエチルケトン)に溶解した溶液(固形濃度が15%)と、硬化促進剤として2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業(株)製、キュアゾール2P4MHZ)1重量部を有機溶媒(メチルエチルケトン)に溶解した溶液(固形分濃度=15%)の混合物。
(E)ベンゾフェノン系光重合開始剤:イルガキュア184(チバスペシャリティケミカルズ社製)を有機溶媒(トルエン)に溶解した溶液(固形分濃度=30%)
(G)シランカップリング剤:東レダウコーニング社製、SZ6083
なお、前記「固形分濃度」は以下のように定義される。
固形分濃度(%)=(全体重量−溶媒重量)/全体重量×100
また、粘接着シートの基材としては、低密度ポリエチレンフィルム(厚さ110μm、表面張力31mN/m)を用いた。
[実施例1]
下記表1に示すように、アクリル系共重合体(A1)10重量部、放射線硬化樹脂(A3)8.3重量部、熱可塑性樹脂(B)50重量部、熱硬化性樹脂(C1)10重量部、熱硬化性樹脂(C2)30重量部、熱硬化性樹脂(C3)45重量部、熱硬化性樹脂(C4)10重量部、熱活性型潜在性硬化剤(D)5.3重量部、光重合開始剤(E)0.25重量部、およびシランカップリング剤(F)1.2重量部を混合し、さらにメチルエチルケトンを混合して、固形濃度が65%である粘接着剤組成物を製造した。
表1に記載の組成の粘接着剤組成物を、シリコーン処理された剥離フィルム(リンテック(株)製SP-PET3811(S))上に乾燥後の膜厚が30μmになるように塗布し、オーブン中で、90℃で2分間乾燥させて粘接着剤層を形成した。次いで、この粘接着剤層を基材と貼り合せて基材上に転写することで、粘接着シートを得た。なお、試験片作成のために、複数枚の粘接着シートを作成した。
得られた粘接着剤組成物および粘接着シートの評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例2〜4および比較例1〜4]
表1に示すように粘接着剤組成物の配合成分および配合量を変更した以外は実施例1と同様の方法で粘接着剤組成物および粘接着シートを得た。
得られた粘接着剤組成物および粘接着シートの評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2008231366
Figure 2008231366

Claims (8)

  1. 造膜性樹脂(A)、重量平均分子量が50,000以下である熱可塑性ポリエステル樹
    脂(B)、熱硬化性樹脂(C)、および熱活性型潜在性硬化剤(D)を含有し、該造膜性樹
    脂(A)として重量平均分子量が50,000以上である熱可塑性樹脂(A1)を少なく
    とも含有し、
    前記造膜性樹脂(A)と前記熱可塑性ポリエステル樹脂(B)との重量比((A):(B))が1:0.1〜1:3であり、
    前記造膜性樹脂(A)および前記ポリエステル樹脂(B)と前記熱硬化性樹脂(C)およ
    び前記熱活性型潜在性硬化剤(D)との重量比(((A)+(B)):((C)+(D)))
    が1:1.2〜1:1.8である
    ことを特徴とする粘接着剤組成物。
  2. 前記造膜性樹脂(A)としてさらにエネルギー線重合性低分子化合物(A2)を含有す
    ることを特徴とする請求項1に記載の粘接着剤組成物。
  3. 80〜120℃における貯蔵弾性率が1.0×101〜1.0×103Paの範囲にあることを特徴とす
    る請求項1に記載の粘接着剤組成物。
  4. エネルギー線照射後の80〜120℃における貯蔵弾性率が1.0×101〜1.0×103Paの範囲
    にあることを特徴とする請求項2に記載の粘接着剤組成物。
  5. 熱硬化後において、
    線膨張係数(α1)が100ppm以下であり、
    動的粘弾性測定(周波数:11Hz、昇温速度:3℃/分)における損失正接tanδが最大になる時の温度が110℃以上である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の粘接着剤組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の組成物からなる粘接着剤層が、基材上に形成されてなる粘接着シート。
  7. 請求項6に記載の粘接着シートの粘接着剤層に半導体ウエハを貼着し、前記半導体ウエハをダイシングしてICチップとし、前記ICチップ裏面に粘接着剤層を固着残存させて基材から剥離し、前記ICチップをダイパッド部上に前記粘接着剤層を介して熱圧着する工程を含む
    半導体装置の製造方法。
  8. 前記造膜性樹脂(A)として前記エネルギー線重合性低分子化合物(A2)を含み、半
    導体ウエハの貼着後であり、ICチップの剥離前であるの何れかの段階で粘接着剤層にエネルギー線照射する工程を含む
    請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
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